JP2566029B2 - 磁気テープのローディング装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は磁気記録再性装置におけるテープのローディ
ング装置に関する。

［従来の技術］ 一般的に、ビデオテープレコーダ（VTR）やデジタル
オーディオテープレコーダ（DAT）等においては、平行
に配置された２つのリール部材を優するテープカセット
から取り出した磁気テープの一部を回転磁気ヘッド装置
のドラムに巻き付けるための磁気テープのローディング
装置が用いられている。

一般的に、この種のローディング装置は、ローディン
グベースあるいはスライダと呼ばれるブロック状部材
と、このブロック状部材に設けられたガイドポストとを
備えている。

また、前記ローディング装置は、前記回転磁気ヘッド
装置のドラムに磁気テープの一部を巻き付ける動作、即
ちローディング動作を、前記ブロック状部材を前記ドラ
ムの周囲に設けられたガイドレール上で移動させ、その
後所定の位置に固定させることにより行なうように構成
されている。

このような磁気テープのローディング装置において
は、前記ローディングベース等のブロック状部材の移動
を、アームやリンク類、及びローディングリングと呼ば
れる環状部材を備えた駆動手段によって行なっている。

また、前述の磁気テープのローディング装置において
は、前記ローディングベース等のブロック状部材の所定
の位置に固定させる手段は、このブロック状部材をキャ
ッチャあるいはストッパと呼ばれる停止部材に当接させ
て押圧力を付勢するように構成されている。

このようにローディングベース等のブロック状部材及
びローディングリング等の環状部材の夫々を用いて前記
ドラムに対して磁気テープのローディング動作を行なう
ように構成された磁気テープのローディング装置は、例
えば特開平１−191363号公報に示されている。

［発明が解決しようとする課題］ 一般的に、回転ヘッド装置のドラムに磁気テープを巻
き付ける場合、当該ドラムに近接して配置された、磁気
テープの進行方向に対する上流側及び下流側の夫々のガ
イドポストの位置決め精度によって磁気テープの走行状
態が大きく変化するため、この磁気テープの走行安定性
能を向上させるためには当該ガイドポストの位置決め精
度を向上させることが非常に重要な要素となっている。

特に、ガイドポストへの磁気テープの巻き付け角度
が、例えば30度以上と大きい場合には、当該磁気テープ
のトラックリニアリティ特性及びヘッドタッチ特性等の
各性能に与える影響はより一層多くなる。

また、カメラ一体型VTR装置等の場合には、当該装置
の小型化のためにドラムの径をより一層小さくする傾向
にあり、そのためテープフォーマットの互換性を保つべ
く磁気テープのドラムへの巻き付け角度をより一層大き
くしなければならないという要求がある。

従って、前記磁気テープのローディングポストへの巻
き付け角度を必然的に大きく取らざるを得なくなり、そ
のためカメラ一体型VTR装置等の場合にも、前述したガ
イドポストの位置決め精度をより一層向上させる必要が
ある。

しかしながら、前述した従来の磁気テープのローディ
ング装置においては、ローディングベース等のブロック
状部材をガイドレール上で移動させて所定の位置に固定
すべく、キャッチャあるいはストッパと呼ばれる停止部
材に所定の押圧力を付勢して当接させており、このため
前記磁気テープをドラムに巻き付けるための、前記ブロ
ック状部材上に装着されたガイドポストの位置決め精度
を向上させることが難しいという欠点を有している。

更に、従来の磁気テープのローディング装置において
は、前述のローディング動作の度に前記ガイドポストの
位置が異なる、即ちガイドポストの位置再現性が劣って
いるという点、及び繰り返しローディング動作を行なう
につれてガイドポストの位置決め精度が徐々に低下する
という点等、経時変化における耐久性に乏しいという別
の欠点も有している。

本発明は、前記諸点に鑑みなされたものであり、その
目的とするところは、回転ヘッド装置のドラムへのテー
プの巻き付け動作、即ちローディング動作において、当
該ドラムに近接して配置された、テープの進行方向に対
する上流側及び下流側の夫々のガイドポストの位置決め
精度を向上させることによりテープの走行安定性能を向
上させ得る磁気テープのローディング装置を提供するこ
とにある。

［課題を解決するための手段］ 前記目的は、本発明によれば、所定位置に装着された
テープカセットからテープを引き出し、当該引き出した
テープを回転ヘッド装置のドラムに所定角度巻き付ける
テープのローディング装置であって、ベース部材と、前
記ベース部材に一体的に嵌着されたドラムと、少なくと
も２つのガイドポスト部材とを備え、少なくともドラム
の上流および下流の最近傍のガイドポスト部材はベース
部材上に設けられており、前記ベース部材を回転させる
ことにより当該ベース部材と前記ガイドポスト部材とが
協動して当該ドラムへの前記テープの巻き付けを行うよ
うに構成されていることを特徴とする磁気テープのロー
ディング装置、および該磁気テープのローディング装置
において、ドラムの回転軸とベース部材の回転軸が一致
しており、かつ、ベース部材の回転と共にドラムおよび
ベース部材の夫々が上記回転軸方向に移動する構造を有
していることを特徴とする上記磁気テープのローディン
グ装置によって達成される。

［作用］ 前述の構成から、本発明による磁気テープのローディ
ング装置は、前記ドラムと前記ガイドポスト部材とがベ
ース部材を介して一体的に連結されているため、ローデ
ィング動作時及びアンローディング動作時のいずれにお
いてもこれらドラムとガイドポスト部材との間の相対位
置を常に一定に保ち得る。

［実施例］ 以下、本発明による磁気テープのローディング装置の
一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図、第２図及び第３図は、本発明による磁気テー
プのローディング装置のテープローディング動作におけ
る一連の状態を示す平面図である。尚、第３図は説明の
ために拡大して示してある。

第４図は第１図の、第５図は第２図の、及び第６図は
第３図の夫々に示された、矢印Ａの方向からみた磁気テ
ープのローディング装置のテープローディング動作にお
ける一連の状態を示す正面図である。

これらの各図において、１はシャーシ、２は回転磁気
ヘッド装置、３は回転磁気ヘッド装置２に一体的に装着
されたベース部材、４はベース部材３に一体的に装着さ
れた入口側の第１のガイドポスト部材、５はベース部材
３に一体的に装着された入口側の第２のガイドポスト部
材、６は後述する磁気テープ７に接触すべく移動するロ
ーディング傾斜ポスト部材、８は磁気テープ７に接触す
べく移動するローディング垂直ポスト部材、8aはローデ
ィング垂直ポスト部材８と共に磁気テープ７に接触して
案内する垂直ポスト部材、９はベース部材３に一体的に
装着された出口側のガイドポスト部材、10はキャプスタ
ン部材、11はキャプスタン部材10との間に磁気テープ７
を挟んだ状態で当該キャプスタン部材10に対して圧着的
に接触して当該磁気テープ７を搬送駆動し得るように構
成されたピンチローラ部材、12はローディング垂直ポス
ト部材８と同様に磁気テープ７に接触すべく移動するロ
ーディング垂直ポスト部材、及び13は磁気テープ７及び
当該磁気テープ７の供給・巻き取りを行なうための一対
のリール部材14,15を備えたカセットケースの夫々を示
している。

回転磁気ヘッド装置２は、例えば第６図に示すよう
に、当該第６図において垂直なＺ軸に対して角度γで傾
斜して配置された、支持部材の一例である回転軸2aの回
りでヘッドが回転し得るように当該回転軸2aに装着され
たドラム2cを有している。

第１図及び第４図の夫々は、磁気テープ７のすべてが
カセットケース13の内部に収納された状態であるアンロ
ーディング状態を示している。

このようなアンローディング状態においては、カセッ
トケース13のカセットマウス13aの内部に、入口側の第
１のガイドポスト部材４、入口側の第２のガイドポスト
部材５、ローディング傾斜ポスト部材６、ローディング
垂直ポスト部材８、ピンチローラ部材11、及びローディ
ング垂直ポスト部材12の夫々が配置されている。

第１図及び第４図の夫々に示す磁気テープ７のアンロ
ーディング状態から第３図及び第６図の夫々に示すよう
な磁気テープ７のローディング完了状態にもっていくた
めには、入口側の第１のガイドポスト部材４、入口側の
第２のガイドポスト部材５、及び出口側のガイドポスト
部材９の夫々が一体的に装着されたベース部材３を矢印
Ｃで示される時計方向に回転させる必要がある。

第２図及び第５図の夫々には、磁気テープ７のローデ
ィング動作の途中の経過状態が示されている。

第３図及び第６図の夫々には、磁気テープ７のローデ
ィング動作の完了状態が示されている。

このような磁気テープ７のローディング動作において
は、磁気テープ７の入口側に在るローディング傾斜ポス
ト部材６が矢印16で示す方向に、磁気テープ７の入口側
に在るローディング垂直ポスト部材８が矢印17で示す方
向に、ピンチローラ部材11が矢印18で示す方向に、及び
磁気テープ７の出口側に在るローディング垂直ポスト部
材12が矢印19で示す方向に、例えば、前述したアーム、
リンク等で構成された駆動装置（図示せず）により夫々
移動され、この移動動作と前述のベース部材３の回転動
作とが相俟って磁気テープ７のローディング動作が完了
される。

このような磁気テープ７のローディング動作が完了す
ると、第３図に示すように、ピンチローラ部材11が磁気
テープ７をキャプスタン部材10に圧着した状態になる。

このようにピンチローラ部材11が磁気テープ７をキャ
プスタン部材10に圧着した状態において、磁気テープ７
は初めて回転磁気ヘッド装置２による記録・再生を行な
うことが可能になる。

また、前述の磁気テープ７のローディング動作を行な
う際に、安定した磁気テープ７の搬送・移動、換言する
と理想的なテープ走行を得るための入口側の第１のガイ
ドポスト部材４、入口側の第２のガイドポスト部材５及
びローディング傾斜ポスト部材６の夫々の配置は、以下
のように設定されなければならない。

例えば、前述の本実施例の場合、第３図及び第６図の
夫々に示すように、ドラム2cの直径をＤ、ドラム2cのス
チル角をα、ドラム2cへの磁気テープ７の巻き付け角
（度）をβ、ドラム2cを回転自在に支持する回転軸2aの
傾斜角（度）をγ、及びドラム2cの回転角（度）をθと
すれば、入口側の第１のガイドポスト部材４及び入口側
の第２のガイドポスト部材５の単位方向ベクトル（l,m,
n）は次のように表される。

ｌ＝sinα・sinβ・cosθ ＋sinα・cosβ・cosγ・sinθ ＋cosα・sinγ・sinθ ｍ＝sinα・sinβ・sinθ −sinα・cosβ・cosγ・cosθ −cosα・sinγ・cosθ ｎ＝sinα・cosβ・sinγ ＋cosα・cosγ また、ローディング傾斜ポスト部材６は、第３図に示
すように、破線で表された仮想線20にあたかも接するよ
うに、当該仮想線20の近傍に配置されなければならな
い。

尚、第３図に示すようにx,y座標を設定したとする
と、仮想線20は次のように表される。

l_x＋m_y＝ｌ・P_x＋ｍ・P_y＋ｎ・P₂ 但し、P_x,P_y,P_zの夫々は、ドラム2cへの磁気テープ７
の入口部Ｐ（第３図）の座標である。

これらP_x,P_y,P_zの夫々は次のように表される。

P_x＝D/2（cosβ・cosθ −sinβ・cosγ・sinθ ＋β・tanα・sinγ・sinθ） P_y＝D/2（cosβ・sinθ ＋sinβ・cosγ＋cosθ −β・tanα・sinγ・cosθ） P_z＝D/2（sinβ・sinγ ＋β・tanα・cosγ） また、第３図におけるローディング傾斜ポスト部材６
への磁気テープ７の巻き付け角度をλとすれば、第６図
に示すようにローディング傾斜ポスト部材６の傾斜角度
ωは次のように表される。

cosω＝（ｎ−cosλ）／（１−cosλ） また、前述のベース部材３を矢印Ｃで示される時計方
向に回転させる場合、ベース部材３の回転前及び回転後
の夫々の状態における、換言するとローディング動作前
及びローディング動作後の夫々の状態における、Ａ方向
からみた磁気テープ７の高さのずれをできるだけ減少さ
せるべく、第７図に示すように、ベース部材３をドラム
2cの回転軸2aとは異なる、傾斜角度がおよそψに設定さ
れた回転軸3aの周りで回転させる。

尚、傾斜角度のψは次のような条件、 tanψ＝Pz/D を満たすように設定する。

前述の実施例の磁気テープのローディング装置を更に
小型化すべく、第８図に示すように、ベース部材３の回
転軸3aを、前述のＡ方向とは逆の方向に、カセットケー
ス13に対してより一層接近させてもよい。

また別の実施例においては、ドラム2cの回転軸2a及び
ベース部３の回転軸3aの夫々の傾斜角度を、例えば第９
図に示すように、γとなるように一致させる。

この別の実施例の場合には、ドラム2cの磁気テープ７
のリード部2b（第６図）の高さ位置の変化、及びドラム
2cの傾斜角度γの変化の夫々により、ローディング動作
の途中において生じる可能性のある磁気テープ７の捩れ
を解消すべく、ドラム2c及びベース部材３の夫々の回転
が生起されると共にドラム2c及びベース部材３の夫々を
回転軸2aの軸方向に沿って移動させるように構成しても
よい。

すなわちドラム2c及びベース部材３の夫々の移動を、
当該回路2aとベース部材３とシャーシ１との間に設けら
れるヘリカルスプライン構造2fによって行なえばよい。

尚、ヘリカルスプライン構造2fのピッチｐは、ドラム
2cのリードのピッチと一致させる。即ち、 ｐ＝π・Ｄ・tanα と設定し、条数は必要に応じて選択するのが好ましい。

以上の通り、前述のいずれの実施例においても、ロー
ディング完了時にはガイドポスト部材間において磁気テ
ープ７を捩れさせることがなく、カセットケース13の磁
気テープ７の出入口において当該磁気テープ７の走行平
面を基準平面21と一致させ、且つカセットケース13の磁
気テープ７の出入口において当該磁気テープ７の高さ位
置を一致させ、理想的なテープパスを形成することが必
要である。

尚、前述のいずれの実施例においても、ベース部材３
上の入口側に２本のガイドポスト部材を、ベース部材３
上の出口側に１本のガイドポスト部材を夫々設けている
が、これに限らず種々の本数のガイドポスト部材を様々
に組合せた磁気テープのローディング装置、及びドラム
2cへの磁気テープ７の種々の巻き付け角度を備えた磁気
テープのローディング装置にも、本発明の構成を適用し
得ることは容易に理解されよう。

また、ベース部材３上に、ガイドポスト部材の位置、
傾き、及び高さの夫々を調整するための装置を設けても
良いのは勿論である。

［発明の効果］ 以上の構成から、本発明の磁気テープのローディング
装置は、ドラムとガイドポスト部材とがベース部材を介
して一体的に連結されているため、ローディング動作時
及びアンローディング動作時のいずれにおいてもこれら
ドラムとガイドポスト部材との間の相対位置を常に一定
に保ち得る。そのため、ローディング動作時及びアンロ
ーディング動作時のいずれにおいてもガイドポスト部材
の前述した位置再現性及び経時変化による位置精度の劣
化を解消することができ、ベース部材上での一連のガイ
ドポスト部材の位置調整さえ行なっておくことによって
テープ走行を常に安定させることができる。

また、ベース部材上に一連のガイドポスト部材等を配
設するため、ローディングベースやローディングリング
等、大型で複雑な構成の部品を省略できるため、装置の
小型化及び部品点数の削減を容易に行ない得る。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図及び第３図の夫々は、本発明による磁気
テープのローディング装置の一実施例におけるテープロ
ーディング動作の一連の状態を示す平面図、第４図は第
１図の、第５図は第２図の、及び第６図は第３図の夫々
に示された磁気テープのローディング装置のテープロー
ディング動作の一連の状態を示す正面図、第７図はベー
ス部材の回転軸の配置方向を説明する説明図、第８図は
本発明による磁気テープのローディング装置の別の実施
例を示す平面図、及び第９図は本発明による磁気テープ
のローディング装置の別の実施例の説明図である。 ２……回転磁気ヘッド装置、2a……ヘッド回転軸、2c…
…ドラム、2f……ヘリカルスプライン構造、３……ベー
ス部材、4,5,9……ガイドポスト部材、６……ローディ
ング傾斜ポスト部材、７……磁気テープ、８……ローデ
ィング垂直ポスト部材、10……キャプスタン部材、11…
…ピンチローラ部材、13……カセットケース。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】所定位置に装着されたテープカセットから
   テープを引き出し、当該引き出したテープを回転ヘッド
   装置のドラムに所定角度巻き付けるテープのローディン
   グ装置であって、ベース部材と、前記ベース部材に一体
   的に装着されたドラムと、少なくとも２つのガイドポス
   ト部材とを備え、少なくともドラムの上流および下流の
   最近傍のガイドポスト部材はベース部材上に設けられて
   おり、前記ベース部材を回転させることにより当該ベー
   ス部材と前記ガイドポスト部材とが協動して当該ドラム
   への前記テープの巻き付けを行うように構成されている
   ことを特徴とする磁気テープのローディング装置。
2. 【請求項２】ドラムの回転軸とベース部材の回転軸が一
   致しており、かつ、ベース部材の回転と共にドラムおよ
   びベース部材の夫々が上記回転軸方向に移動する構造を
   有していることを特徴とする請求項１に記載の磁気テー
   プのローディング装置。