JP2565501B2 - 金属材料の高温酸化防止用金属含有組成物の製法 - Google Patents

金属材料の高温酸化防止用金属含有組成物の製法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、金属材料の高温での酸化を防止する水可溶
性の金属含有組成物を製造する方法に関するものであ
る。
[従来の技術] 金属材料の耐高温酸化性を向上せしめる手段として、
例えばステンレス鋼の場合では、合金中のAlやSiの含有
量を増加させる方法等が知られているが、これらの方法
ではステンレス鋼の機械的特性(加工性)や溶接性等が
損なわれるという欠点がある。
また上記以外の酸化防止対策として、金属材料の表面
に酸化防止被膜を形成する方法が知られており、その1
つとして特開昭60−56078号公報および特開昭61−87877
号公報には、金属アルコキシドを利用した酸化防止方法
が開示されている。これらは、金属アルコキシド溶液を
金属材料表面に塗布し、あるいは予め加水分解して酸化
物ゾルとしたものを塗布し、次いで加熱処理することに
より酸化物被膜を金属材料表面に生成せしめる方法であ
る。しかしながらこの酸化物被膜は、表面にひび割れが
生じたり、あるいはピンホールが生じる等の難点があ
り、耐酸化性改善法として十分なものとは言い難い。ま
た、金属塩類を利用して酸化物ゾル等を調製し、塗布後
加熱処理することによって酸化物被膜を形成する方法も
知られているが、この方法にも上記と同様の欠点があ
り、しかも残存する陰イオンによって金属材料が侵され
るという欠点も指摘されている。さらに、高温酸化が問
題になる場合として、抵抗溶接時の高熱によって酸化ス
ケールが発生することが知られており、これは抵抗溶接
物の美感を低下させる最大の原因となっている。この酸
化スケールは従来より酸洗い、電解スケール除去法、研
磨法、ブラスト法などの方法によって除去されている
が、これらの方法は金属材料の表面を侵したり変質させ
るといった問題点を有しているばかりでなく、除去作業
が煩雑で手数を要し、工程増大による生産性の低下ある
いは設備費の増大といった問題点も挙げられている。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は、上記の様な事情に着目してなされたもので
あって、その目的は、金属材料に対してすぐれた耐酸化
性被膜を形成し、金属材料の高温での酸化を防止し、あ
るいは単に塗布するだけで形成される液体状連続被膜に
よって金属材料の酸化を防止し、更にこの液体状連続被
膜によって抵抗溶接時の酸化スケール発生を防止するこ
とができる耐酸化防止被膜を形成し得る水溶性の金属含
有組成物の製法を提供しようとするものである。
[問題点を解決するための手段] 上記の目的を達成することのできた本発明組成物の構
成は、 I a:硼酸、無水硼酸および硼酸アンモニウム並びにAl,G
aまたはInのカルボン酸塩、酸化物および水酸化物より
なる群から選択される1種または2種以上の金属化合物
と、 I b:一般式M(OR)[ただしMはB,Al,GaまたはIn
を、Rは低級アルキル基を示す]で示される1種以上の
金属アルコキシドと、 II:アミノアルコール類の1種または2種以上、および III:カルボン酸を、 有機溶媒の存在下もしくは不存在下で逐次もしくは同
時に加熱反応させるところに特徴が存在する。
上記において用いられるアミノアルコール類の中でも
特に好ましいのは、下記一般式で示されるエタノールア
ミンであり、 (b)R1N(CH2CH2OH) (c)N(CH2CH2OH) [ただし、R1,R2はCnH2n+1(nは0,1〜4の整数を表わ
す)]またカルボン酸としては、低級脂肪族カルボン酸
が好ましく、また本発明を実施するに当たっては、上記
金属化合物中の金属元素1モルに対し、アミノアルコー
ル0.05〜4モルとカルボン酸0.05〜4モルを加熱反応さ
せることによって、金属材料に対し一段と優れた高温酸
化防止作用を示す金属含有組成物を得ることができる。
[作用] 本発明者らは金属材料の高温での酸化を防止すべく、
種々の薬剤、配合剤について色々検討したところ、前述
の如く[I a]:硼酸、無水硼酸および硼酸アンモニウ
ムとAl,Ga,Inのカルボン酸塩、酸化物および水酸化物よ
りなる群から選択される1種または2種以上の金属化合
物と、[I b]:一般式M(OR)[ただしMはB,Al,Ga
またはInを、Rは低級アルキル基を示す]で示される1
種以上の金属アルコキシド、[II]:アミノアルコール
類、好ましくは前記一般式(a),(b),(c)より
なる群から選択される少なくとも1種のエタノールアミ
ン、および[III]:カルボン酸を、有機溶媒の存在下
もしくは不存在下で加熱反応させることによって得られ
る水溶性の金属含有組成物を、金属材料表面に塗布し加
熱処理すると、金属材料の表面にひび割れがなく、且つ
ピンホールのないすぐれた耐酸化性被膜が形成され、こ
れは高温においても非常にすぐれた酸化防止機能を発揮
すること、また、該金属含有組成物は金属材料に単に塗
布するだけで、表面に均一な液体状連続被膜を形成し、
これは100〜500℃において金属材料に対し優れた酸化防
止効果を発揮し、その後水洗することにより簡単に除去
できることを見出した。さらに、金属材料表面にこの液
体状連続被膜を形成しておけば、抵抗溶接時における酸
化スケール発生防止機能を発揮し得ることも確認され
た。
本発明で使用される金属化合物としては硼酸、無水硼
酸、硼酸アンモニウム及びAl,Ga,Inのカルボン酸、酸化
物、水酸化物が挙げられ、またこれらの金属化合物と併
用される金属アルコキシドとしては、低級(特に炭素数
1〜4)アルキル基をもつ一般式M(OR)(ただしM
はB,Al,GaまたはIn、Rはアルキル基)で表わされる金
属アルコキシドが挙げられ、またアミノアルコール類と
しては、前記一般式(a),(b),(c)で示される
少なくとも1種のエタノールアミンが、またカルボン酸
としては炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸が好ましいも
のとして挙げられる。
上記4種の成分の好ましい配合割合は、B,Al,Ga,Inよ
りなる群から選択される1種または2種以上の金属化合
物(金属アルコキシドを含む)中の金属元素1モルに対
し、アミノアルコールの1種または2種以上の総配合量
が0.05〜4モル、およびカルボン酸の配合量が0.05〜4
モルであり、この範囲であるとき、金属材料に対する高
温酸化防止機能は非常に優れたものとなる。アミノアル
コール類の濃度が4モルを超える場合は、高温における
有機物の炭化が著しくなり、一方0.05モル未満では、加
熱処理によって形成される耐酸化性被膜がひび割れたり
ピンホールができ易くなる。また液状連続被膜を形成し
て酸化防止を行なう場合でも4モルを超えると有機物の
炭化によって操作終了後の水洗除去が困難となり、0.05
モル未満では酸化防止効果が不足気味となる。さらに抵
抗溶接時の酸化スケールの発生防止効果も4モル超では
電極の圧接部外輪に酸化スケールができ易くなり、0.05
モル未満では電極の圧接部位に固体粒子の埋込みが見ら
れたりする場合がある。
カルボン酸の配合量については、0.05モル未満では耐
酸化性被膜にひび割れが生じ易くなり、また4モル超で
は金属材料表面を侵食する場合が生ずる。液体状連続被
膜を形成して酸化防止を行なう場合でも4モル超では金
属材料表面を侵す場合があり、0.05モル未満では十分な
酸化防止効果が得られなくなる。また液体状連続被膜を
形成して抵抗溶接を行なった場合でも、0.05モル未満お
よび4モル超ではいずれも酸化スケールが発生し易くな
る。
上記金属化合物から選択される2種以上の組合せの中
でも、1つの金属化合物として硼素化合物を用いた場
合、金属材料に対する高温酸化防止効果は非常に優れた
ものとなり、殊に全金属化合物中の硼素化合物量がが0.
5〜0.995モルで、他の金属化合物量の総和が0.005〜0.5
モルの範囲のとき、その効果は最も優れたものとなる。
こうした傾向は、耐酸化性被膜を形成して酸化防止を行
なう場合と、液体状の連続被膜を形成した状態で酸化防
止を行なう場合のいずれについても当てはまる。
抵抗溶接時の酸化スケール発生防止効果も、同様に硼
素化合物を主体として用いた場合に特に優れたものとな
るが、この場合は硼素化合物量が0.85〜0.995モル、他
の金属化合物の総和が0.005〜0.15モルの範囲のときに
最良の効果が得られる。
エタノールアミンは前述した様に(a)〜(c)の一
般式で表わされるが、(a),(b),(c)の順に酸
化防止効果は小さくなり、しかも分子量が大きくなる程
その効果は小さくなる。
カルボン酸については、低級脂肪族カルボン酸が最も
適したものであることは先に述べた通りであるが、炭素
数が少ないものほど優れた酸化防止効果を発揮するの
で、通常は炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸、具体的に
は蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が用いられる。
本発明で使用される金属化合物のうち特に好ましいも
のとして償用とされる硼素化合物は、硼酸、無水硼酸、
硼酸アンモニウムあるいは炭素数1〜4を有する硼素ア
ルコキシドであるが、中でも硼酸、無水硼酸単独あるい
硼酸、無水硼酸と炭素数1,2のアルコキシドである硼素
メトキシド、硼素エトキシドの組合せを用いた場合に最
も高い酸化防止効果を発揮し、以下硼酸アンモニウム単
独、硼素プロポキシドあるいは硼素ブトキシドを組合せ
た場合の順である。2種以上の金属化合物を組合せて使
用する場合、配合比を変えても酸化防止効果にはそれほ
ど差は生じない。
硼素化合物を除く他の3種の元素Al,Ga,Inの化合物と
しては、カルボン酸塩、酸化物、水酸化物あるいは炭素
数1〜4を有するアルコキシドが挙げられるが、これら
の中にオキシカルボン酸塩、オキシ水酸化物あるい水和
物等が含まれ、また酸化物等については少量の炭酸塩を
含むものであってもよい。酸化防止効果は、同一金属元
素の化合物間で比較した場合カルボン酸塩が最も優れて
おり、以下酸化物、水酸化物の順となる。
上記金属化合物の1種を選択した場合では、硼素化合
物を用いた場合に最も優れた酸化防止効果が得られ、次
いで以下In化合物、Ga化合物、Al化合物の順となる。
本発明によって得られる高温酸化防止用金属含有組成
物は、上記金属化合物と金属アルコキシドとアミノアル
コールおよびカルボン酸を前記配合比率で混合し、ある
いはアルコール類またはアルコール類と相溶性を有する
有機溶媒に溶解または懸濁させて加熱反応させることに
よって得られる。得られる金属含有組成物は有機溶媒溶
液をそのまま酸化防止用組成物として使用してもよい
し、さらに含まれている有機溶媒を除去してから使用し
てもよい。
反応温度は特に限定されないが、通常は120℃以下、
好ましくは60〜100℃の範囲から選択される。尚反応温
度は、用いる溶媒の種類を変えて還流温度で調整するこ
とも可能である。
反応終点は、反応生成物の赤外線吸収スペクトルを測
定し、波長1300〜1800cm-1の吸収帯(アミドI吸収帯C
=0伸縮振動、アミンNH2あるいはNH変角振動、アミドI
I吸収帯NH変角振動の吸収帯)の変化によって確認され
る。反応の進行に伴うこの領域での吸収帯の変化はたと
えば第1〜7図に示す通りである。金属材料に対して高
温酸化防止機能を発揮し得る組成物は第1〜7図のいず
れかの吸収を有するものでもよいが、好ましくは第2〜
6図に示す吸収を有するものである。すなわち1660cm-1
の吸収帯(アミドI吸収帯C=0伸縮振動)が1590cm-1
の吸収帯(アミンNH2変角振動)の肩ピークとして明ら
かに確認できるところから、1590cm-1と1530cm-1(アミ
ドII吸収帯NH変角振動)の吸収帯のピーク高さの比が1:
1になるまでの範囲のものである。第1図に示す様な反
応進行状態のものでは、金属材料の表面を侵す場合があ
り、また第7図に示す様に1590cm-1と1530cm-1の吸収帯
のピーク高さが逆転した状態のものでは金属材料表面に
対するぬれ性が悪くなり、結果として酸化防止効果が乏
しくなる。
この反応は、有機溶媒としてホルムアミド、N−メチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジ
エチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセト
アミドなどを使用すると促進される。例えば第1〜7図
に示した様に、イソプロピルアルコールを使用した場合
と比べて、N,N−ジメチルホルムアミドを使用すると5
時間程度の反応で同様の赤外線吸収スペクトルを示す反
応物を得ることができ、およそ10倍の時間短縮が可能と
なる。こうした現象を利用すれば、これらアミド系有機
溶媒と他の有機溶媒とを適宜混合して使用すれば反応時
間を任意に制御することができる。
この様な反応を促進させる有機溶媒を用いて反応を行
なって得られる第1〜7図の赤外線吸収スペクトルを有
する組成物の金属材料に対する酸化防止効果は、抵抗溶
接時の酸化防止も含めて非常に優れたものとなる。
波数1300〜1800cm-1の範囲に見られるこれらの吸収帯
は金属化合物、エタノールアミン類あるいはカルボン酸
の種類によって若干のシフトは見らるが反応の進行に伴
う変化とそれに対する金属材料の酸化防止効果の相関性
はほとんど変わらない。
また本発明を実施するに当たっては、予め金属化合物
(及び金属アルコキシド)とエタノールアミンを反応さ
せて得られるエタノールアミン塩、例えば硼酸トリエタ
ノールアミンの反応によって得られる硼酸トリエタノー
ルアミンをカルボン酸と反応させてもよく、かつまたエ
タノールアミンとカルボン酸を予め反応して得られるエ
ステルあるいはアミド化合物を金属化合物と反応させて
も、硼素化合物とカルボン酸を予め反応させたものを用
いても前記と同様の酸化防止効果を有する組成物を得る
ことができる。
上記の様にして得られる金属含有組成物を高温酸化防
止剤として使用する場合、該組成物を金属酸化物換算で
0.5〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%となるよ
う有機溶媒によって濃度調整して使用される。0.5重量
%未満では、被膜が薄くなりすぎるため十分な酸化防止
効果が得られず、一方30重量%を超える場合は溶液が高
粘性となるため塗装作業が困難となり、均一な被膜が形
成され難くなる。
該金属含有組成物は、金属材料に塗布したのち、一旦
500〜800℃、好ましくは600〜800℃にて加熱処理を行な
うと金属材料表面に酸化物被膜を形成し、この被膜は金
属材料の酸化を阻止する機能を発揮する。該酸化物被膜
の形成は大気雰囲気中で行なうことができる。
また、該金属含有組成物を金属材料に塗布して液体状
連続被膜を形成しておけば、100〜500℃における金属材
料の酸化を防止することができる。この場合、高温にな
るほど有機物の炭化が進行するが、操作終了後の残存被
膜は液体状で残存しているものはもとより、炭化したも
のでも水洗するだけで容易に除去することができる。炭
化物量が多い場合は、金属材料表面を100℃以上に加温
した状態で水洗、あるいは熱水で洗浄すると、残存物の
除去はさらに容易となる。
この様に本発明によって得られる金属含有組成物は、
金属材料に対して低温から高温までの広い温度範囲で酸
化防止効果を発揮し、しかも液体状被膜として100〜500
℃の範囲で使用する場合は、金属材料の熱処理終了後金
属材料表面に塗布した組成物を水洗するだけで除去でき
る性質を有するものである。
さらに、この金属含有組成物は製造に当たっては、赤
外線吸収スペクトルを測定することによって反応の進行
状況を管理することができ、またホルムアミド、N,N−
ジメチルホルムアミドのようなアミド系の溶媒を利用す
ることによって反応を促進し、製造時間を短縮すること
ができる。
[実施例] 以下実施例により、本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はもとより、下記の実施例により制限を受け
るものではない。
尚本発明が適用される金属材料としては、ステンレス
鋼、アルミニウム、鉄・鋼のごとく高温で酸化スケール
を生ずる様々の金属材料が挙げられる。
実施例1 硼素93g(B2O3換算0.75モル)および硼素エトキシド
(含量97%以上)(東京化成社製)250ml(B2O3換算0.7
5モル)とモノ第2級−ブトキシアルミニウムジイソプ
ロポキシド(Al含量12.4重量%)(川研ファインケミカ
ル社製)10g(Al2O3換算0.023モル)、モノエタノール
アミン450g(7.4モル)及び蟻酸150g(3モル)をイソ
プロピルアルコール400mlに溶解または懸濁させた後、7
5℃にて加熱撹拌した。反応開始後3、7、13、19、2
6、32、45時間毎に反応液を採取し、赤外線吸収スペク
トルを測定した。夫々の赤外線吸収スペクトルを第1〜
7図に示す。
採取した7種類の組成物を、酸化物換算の含有量が18
重量%になるようにイソプロピルアルコールで濃度調整
して塗布液とした。この塗布液をステンレス鋼(SUS 3
04)に塗布し液体状の連続被膜を形成し、一つは、300
℃にて30分間加熱処理した後、残った液状膜及び炭化物
を水洗除去し、ステンレス鋼表面の酸化程度を観察し
た。結果を第1表に示す。
また、他の一つは600℃にて30分間加熱処理して酸化
物被膜を形成させたのち1000℃にて5時間保持し、冷却
後表面の酸化状態を観察した。結果を第2表に示す。
更にもう一つは、加圧力480kg、溶接電流7700A、通電
時間15サイクルの条件下で抵抗溶接を行ない、溶接部の
酸化状態を調べた。結果を第3表に示す。
実施例2 硼素エトキシドを省略した他は硼酸量を186g(B2O3
算1.5モル)とした実施例1と同様の操作を行ない、お
よそ15時間後に赤外線吸収スペクトルを測定したところ
第2図とほぼ同様のスペクトルを有する組成物が得られ
た。この組成物を酸化物換算で15重量%となるようイソ
プロピルアルコールで濃度調査し、実施例1と同様にし
て酸化防止剤としての性能試験を行なったところ、第1
〜3表中の採取試料No.2と同様の結果が得られた。
実施例3 有機溶媒としてのイソプロピルアルコールをN,N−ジ
メチルホルムアミドに代えた以外は実施例1と同様にし
て加熱反応を行ない、2時間後の赤外線吸収スペクトル
を測定したところ第7図と同様のスペクトルを示す組成
物が得られた。
この組成物を酸化物換算で15重量%となるようイソプ
ロピルアルコールで濃度調整し、実施例1と同様にして
酸化防止剤としての性能試験を行なったところ、第1〜
3表中の採取試料No.6と同様の結果が得られた。
実施例4 前記実施例2におけるモノ第2級−ブトキシアルミニ
ウムジイソプロポキシドに代えて酸化ガリウム47g(0.2
5モル)を使用した他は同様の操作を行ない、およそ15
時間で反応を終え赤外線吸収スペクトル測定したとこ
ろ、第4図と同様のスクトルを示す組成物が得られた。
この組成物を酸化物換算で10重量%となるようイソプ
ロピルアルコールで濃度調整し、実施例1と同様にして
酸化防止剤としての性能試験を行なったところ、第1〜
3表中の採取試料No.5と同様の結果が得られた。
実施例5 実施例2におけるモノ第2級−ブトキシアルミニウム
ジイソプロポキシドに代えて蟻酸アルミニウム(Al2O3
含量21重量%)49g(Al2O3換算0.1モル)を使用した他
は同様の操作を行ない、およそ20時間で反応を終え赤外
線吸収スペクトルを測定したところ、第3図と同様のス
ペクトルを示す組成物が得られた。
この組成物を酸化物換算で10重量%となるようイソプ
ロピルアルコールで濃度調整し、実施例1と同様にして
酸化防止剤としての性能試験を行なったところ第1〜3
表中の採取試料No.2と同様の結果が得られた。
実施例6 無水硼酸104g(1.5モル)、インジウムイソプロポキ
シド15g(In2O3換算0.05モル)、モノエタノールアミン
183g(3モル)及び蟻酸150g(3モル)をイソプロピル
アルコール600mlに溶解または懸濁させた後80℃にて加
熱撹拌した。およそ10時間で反応を終え、赤外線吸収ス
ペクトルを測定したところ第2図と同様のスペクトルを
示す組成物が得られた。この組成物を酸化物換算で15重
量%となるようイソプロピルアルコールで濃度調整し、
実施例1と同様にして酸化防止剤としての性能試験を行
なったところ、第1〜3表中の採取試料No.2と同様の結
果が得られた。
実施例7 無水硼酸52g(0.75モル)、インジウムイソプロポキ
シド15g(In2O3換算0.05モル)、トリエタノールアミン
1000g(6.7モル)及びプロピオン酸4g(0.053モル)を
エチルアルコール1000mlに溶解または懸濁させた後70℃
にて加熱撹拌した。およそ30時間で反応を終え、赤外線
吸収スペクトルを測定したところ、第1図と同様のスペ
クトルを示す組成物が得られた。
この組成物を酸化物換算で10重量%となるようエチル
アルコールで濃度調整し、実施例1と同様にして酸化防
止剤としての性能試験を行なったところ第1〜3表中の
採取試験No.1と同様の結果が得られた。
実施例8 実施例2で得られた組成物を酸化物換算で0.4重量%
となるようイソプロピルアルコールで濃度調整し、実施
例1と同様にして酸化防止剤としての性能試験を行なっ
たところ、第1〜3表中の採取試料No.1および7とほぼ
同様の結果が得られた。
[発明の効果] 本発明は以上の様に構成されており、その効果は要約
すれば次の通りである。
(1)硼酸、無水硼酸、硼酸アンモニウム並びにAl,Ga,
Inのカルボン酸塩、酸化物Al,Ga,Inのカルボン酸塩、酸
化物または水酸化物よりなる群から選択される1種また
は2種以上の金属化合物と、B,Al,Ga,Inよりなる群から
選択される金属アルコキシドの1種または2種以上およ
びアミノアルコール類の1種または2種以上、更にはカ
ルボン酸を原料として、全く新しいタイプの酸化防止用
金属含有組成物を得ることができる。
(2)この金属含有組成物は、金属材料に塗布した後に
加熱処理して酸化物被膜を形成した後に加熱処理して酸
化物被膜を形成させることによって高性能の酸化防止被
膜を形成し得るほか、金属材料に塗布して液体状連続被
膜を形成するだけでも優れた酸化防止効果を発揮し、後
者は操作終了後水洗によって簡単に除去することができ
るので、高温酸化を受け易い金属材料(殊に鉄鋼やステ
ンレス鋼など)を高温処理するときの酸化防止剤として
極めて優れた効果を発揮する。しかも該組成物よりなる
液体状連続被膜を抵抗溶接される金属材料の表面に形成
しておけば、抵抗溶接時の酸化スケール発生を完全に防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1〜7図は実施例で得た金属含有組成物の赤外線吸収
スペクトルである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】I a:硼酸、無水硼酸および硼酸アンモニウ
    ム並びにAl,GaまたはInのカルボン酸塩、酸化物および
    水酸化物よりなる群から選択される1種または2種以上
    の金属化合物と、 I b:一般式M(OR)[ただしMはB,Al,GaまたはIn
    を、Rは低級アルキル基を示す]で示される1種以上の
    金属アルコキシドと、 II:アミノアルコール類の1種または2種以上、および III:カルボン酸を、 有機溶媒の存在下もしくは不存在下で逐次もしくは同時
    に加熱反応させることを特徴とする金属材料の高温酸化
    防止用金属含有組成物の製法。
  2. 【請求項2】アミノアルコール類が、下記一般式で示さ
    れるエタノールアミンである特許請求の範囲第1項に記
    載の金属含有組成物の製法。 (b)R1N(CH2CH2OH) (c)N(CH2CH2OH) [ただし、R1,R2はCnH2n+1(nは0,1〜4の整数を表わ
    す)]
  3. 【請求項3】カルボン酸が、低級脂肪族カルボン酸であ
    る特許請求の範囲第1または2項に記載の金属含有組成
    物の製法。
  4. 【請求項4】金属化合物中の金属元素1モルに対し、ア
    ミノアルコール類0.05〜4モルとカルボン酸0.05〜4モ
    ルを加熱反応せしめる特許請求の範囲第1〜3項のいず
    れかに記載の金属含有組成物の製法。
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