JP2565384Y2 - コンバインの穀粒タンク支持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、脱穀部で脱粒された穀
粒を一時的に機体に収納しておくコンバインの穀粒タン
ク支持構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】コンバインにおいては、刈取作業中、脱
穀部で脱粒された穀粒は選別部で選別された後、揚穀筒
で穀粒貯留用のタンクに揚上搬送されてタンク内に収納
され、タンクが満杯になると、刈取作業を一旦中断し、
タンク内の穀粒を袋詰めの方法で排出し（袋詰め方
式）、或は排出筒を介してトラック等に直接排出する
（裸籾移載方式）ようになっている。そのため、作業の
中断回数を減らし刈取の作業能率を高めるためにはタン
ク容量を極力大きく設定してある方が望ましい。この要
請に基づき、タンクの上部一側を脱穀部の上方までひさ
し状に延出した構造のものも見受けられる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、タンク容量を
大きく設定すると、タンク内の籾重量も増大するためこ
の籾重量等に耐える強固な支持構造とする必要があり、
特にタンクの上部側を脱穀部の上方まで延出させたもの
では、脱穀部との関係等でタンク全体の支持構造が複雑
となり、しかも部品も多く必要とし、ひいてはコスト高
となる等の問題がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案に係るコンバイン
の穀粒タンク支持構造は、上記のような実状に基づいて
なされたものであって、脱穀部の一側に主タンクを設
け、該主タンクに中央タンクを介して連通させた副タン
クを脱穀部の上方に設けて、該副タンクを中央タンク側
に上下回動自在に枢着した穀粒タンクにおいて、主タン
クを外側方に揺動自在に支持し、該主タンクと脱穀部と
の間には前後方向に揚穀筒と機体フレーム及び脱穀部を
一体的に連結する枠体を設け、該枠体と揚穀筒により中
央タンクを固定支持すると共に、副タンクを枠体に支持
させた作動体により回動させるようにしたことを要旨と
する。

【０００５】

【作用】主タンクと脱穀部の間に設けた枠体により、揚
穀筒と脱穀部及び機体フレームを一体に連結し各構成部
材の剛性を高められると共に、該枠体と揚穀筒により中
央タンクを支持することにより該タンクの支持を強固と
し、また枠体に支持した作動体により補助タンクを円滑
に上下動させることができる。更に主タンクを機体外方
に揺動させることにより、該主タンクの奥側に位置する
脱穀伝動装置のメンテナンスや主タンク及び中央タンク
の清掃等を容易に行うことができる。

【０００６】

【実施例】本考案の構成を図面に示された一実施例によ
り説明すれば、図１はコンバインの全体側面図で、機体
の前部一側に設けた運転席１の後方他側には脱穀部２が
配設され、また、運転席１の後方の機体フレーム３上に
は穀粒貯留用のタンク４が搭載されている。そして、機
体前方の前処理部５で刈取られた穀稈は揚上搬送装置６
で脱穀部２に送給され、脱穀部２で脱粒され選別部（図
示せず）で藁屑等と分離選別された後、螺旋式の揚穀筒
７で揚送され前記タンク４内に貯留されるようになって
いて、タンク４が満杯状態（センサ感知でオペレータに
報知される）になると、刈取作業を一旦中断して機体を
移動し、タンク４内の穀粒を上下回動且つ旋回自在な排
出筒８でトラック等の運搬車（図示せず）に排出するよ
うになっている。ｂは機体後部に設けたエンジン、ｃは
エンジンルーム、ｄはエンジンプーり、ｅは脱穀伝動ベ
ルト、ｆはトランスミッション、ｇは脱穀掃除口、ｈは
揚穀筒掃除口である。

【０００７】さて、前記穀粒貯留用のタンク４は、機体
に固定された中央タンク９と、脱穀部２の一側に設けた
主タンク１０及び中央タンク９を挟み主タンク１０の反
対側で且つ脱穀部２の上方に設けた副タンク１１との３
部分に分割構成されており、副タンク９は主タンク１０
の上部側を中央タンク９を挟み脱穀部２の上方へ向けひ
さし状に延出した形状となっている。そして、タンク４
の左右幅は機幅全幅にわたっていて、タンク４全体の容
量を極力大に設定し得るものでありながら機体の左右バ
ランスが常に良好に保持されるように配慮されている。
上記中央タンク９は左右両側を開放し主タンク１０及び
副タンク１１と連通連結され、また、中央タンク９は主
タンク１０側及び前方に向け下傾させた底板９ａと副タ
ンク１１の前・後側板１１ａ，１１ｂ側に延出させた覆
い板９ｂを有しており、底板９ａの後部側を貫通させた
螺旋式揚穀筒７の上端跳出口７ａ近傍にブラケット７ｂ
を介して固定されている。中央タンク９は、平面視にお
いて前部側が幅狭の略台形状を呈しており、また、格納
時に機体上面に前後方向傾斜状態で格納される排出筒８
を逃げるため上面は主タンク１０寄り側が高く副タンク
１１寄り側が低い段差状に構成されている。そして、高
部側には主タンク１０をセット位置にロックするストッ
パＲの係止部１２が設けられ、低部側は溢流口９ｃを設
けたカバー９ｄで覆われている。この構成により、中央
タンク９上面と副タンク１１間には排出筒８の格納時排
出筒８が略完全に没入し得る平面視傾斜状の凹部ａが形
成されるようになっている。また、この凹部ａの底面に
前記溢流口９ｃが位置するようになるので中央タンク９
からオーバーフローした穀粒は機外に流失することなく
凹部ａ内に留まり回収が容易に行なえるものである。１
３は中央タンク９の前面に固定した排出筒受座である。

【０００８】ところで、主タンク１０と脱穀部２との間
には揚穀筒７と機体フレーム３及び脱穀部２を夫々ボル
ト、ナット等の緊締具で一体的に連結した枠体１４が前
後方向に設けられている。即ち、枠体１４は図２及び図
９等に示すように、一端に揚穀筒７に固着の連結金具１
８に対する連結座１７を固着した横杆１４ａと下端に機
体フレーム３への連結座１９を固着した縦杆１４ｂとを
側面視略Ｔ字形状に一体に組み込むと共に、横杆１４ａ
の中途部に後述する油圧シリンダの取付座１４ｃを固着
し、この取付座１４ｃを挟み連結座１７の反対側に脱穀
部２への連結金具１６と中央タンク９の取付板１５を夫
々固着したものである。この枠体１４により機体フレー
ム３と揚穀筒７の上部側が門型状に連結されると共に中
央タンク９の底板前部側が固定されている。したがっ
て、中央タンク９は前部側は枠体１４により、後部側は
ブラケット７ｂを介して揚穀筒７の上部に夫々強固に固
定され、この中央タンク９に副タンク１１が支点軸２３
を介して上下回動自在に支持されると共に、主タンク１
０がストッパＲ及び係止部１２を介して起立したセット
姿勢に連結されるものである。この構成により機能上肉
厚が厚く元々堅牢に構成されている螺旋式揚穀筒７がタ
ンク４を機体に支持するための強度メンバーとなってい
るのでタンク４を強固な支持構造とすることができる。
また、図１０に示すように扱室内外にわたって穀稈を通
過させるために箱状体に形成された扱室の３面を大きく
切欠き強度的に弱くならざるを得ない脱穀部２の上部側
は枠体１４を介し揚穀筒７と一体的に連結されるので脱
穀部２の剛性は大幅に高められる。しかも、枠体１４は
主タンク１０と脱穀部２間に形成された既存の空間部を
利用して嵩ばることなくコンパクトに配設されるので枠
体１４のため特別な取付スペースをつくる必要はない。

【０００９】主タンク１０は正面視において下方部が漏
斗状に形成され、内底部に前後方向に設けた籾排出用の
横送り螺旋２０を支点として外側方に揺動可能に構成さ
れている。２０ａは横送り螺旋２０の伝動ケース、２１
は主タンク揺動操作用の把手で、主タンク１０は手動で
揺動でき、最大揺動状態では主タンク１０の外側面下方
傾斜部１０ａが機体フレーム３に当接して図３及び図４
における仮想線図示の傾斜姿勢に保持されるようになっ
ている。２２は脱穀部２への伝動部で、複数のプーリ及
び伝動ベルトからなり脱穀部の主タンク１０側の側板下
部（選別流板）２ａに位置して前後方向に長く配設され
ており、この伝動部２２を経由してエンジンＥの動力が
脱穀部２の唐箕、１番螺旋、２番螺旋及び揺動選別体等
の駆動各部及び走行部に伝達されるようになっている。
ｉはカウンタプーリ、ｊはカウンタ伝動ベルト、ｋは横
送り螺旋伝動ベルト、ｍは走行ベルトである。

【００１０】ところで、副タンク１１は延出始端寄り
（実施例では中央タンク９との接合面側）の上部側を支
点として上下方向に回動自在に構成されており、副タン
ク１１を上方に回動変位させた穀粒排出姿勢ではタンク
４全体の容積が増大するようになっている。即ち、副タ
ンク１１の内側板１１ｃの上部側に固定された支点軸２
３は中央タンク９に固定のメタル２４に対して回動自在
に支持されており、また前記枠体１４に支持された副タ
ンク１１の作動体（実施例では油圧シリンダー）２５の
一端は副タンク１１の底板１１ｅに一体に組み込まれた
タンクフレーム１１ｄに連結されている。また、副タン
ク１１の底板１１ｅ内方端には塞ぎ板２６がヒンジ２６
ａを介して上下回動自在に連結されており、塞ぎ板２６
は常時中央タンク９内に没入した状態でタンク底板９ａ
上に接触支持されている。したがって、副タンク１１が
該タンク１１の上部側を回動支点として上方に回動して
も底部側はこの塞ぎ板２６により、また前面及び後面側
は前記覆い板９ｂにより覆われタンク内の穀粒がこぼれ
ないようになっている（図３、図８参照）。２７はシー
ル材である。なお、脱穀部２の天板（シリンダカバー）
を開けて行なう扱室の点検や受網の交換時には油圧シリ
ンダ２５を伸長させることにより副タンク１１が支点軸
２３を中心にして簡単にシリンダカバーの上方離反位置
に回動退避するので副タンク１１が扱室のメンテナンス
に支障をきたすことはない。なお、一々図示しなかった
が各部品相互間はボルト、ナット等の緊締具で連結する
ものであり、また、図２に示すタンク４の分解斜視図で
符号Ａ〜Ｈは夫々ボルト穴を示し、合せ面は便宜上同一
符号で示してある。

【００１１】

【考案の効果】本考案は、上述したように構成したの
で、主タンクと脱穀部との間に形成される空間部を利用
して機能上元々堅牢に構成されている揚穀筒と脱穀部及
び機体フレームを一体に連結する枠体を設けることによ
り、各構成部材の取付剛性が一段と高められると共に、
該枠体と揚穀筒とにより中央タンクを固定支持すること
により、中央タンクの支持構造が強固となり、主タンク
と補助タンクとの連通関係を適切に保持してタンクへに
対する穀粒の給排出を円滑に行うことができる。 また、
枠体は上記空間部を利用し、かつ前後方向に設けたもの
であるので機体が嵩張らず、かつ該枠体自体の剛性も高
められるので、該枠体による作動体の支持を確実とし補
助タンクを円滑に上下動させることができると共に、主
タンクを外方に移動させればその奥側に位置する脱穀伝
動部のメンテナンスや、主タンク及び中央タンクの清掃
を容易に行うことができ、コンバインの耐久性や性能向
上に役立つものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を装備したコンバインの側面図である。

【図２】穀粒貯留用タンクの分解斜視図である。

【図３】脱穀部とタンクの関係を示す正面図である。

【図４】タンクと排出筒の関係を示す正面図である。

【図５】タンクの平面図である。

【図６】主タンクの側面図である。

【図７】副タンクの斜視図である。

【図８】副タンクの回動作動部取付状態を示す正面図で
ある。

【図９】枠体の組み込み状態を示す側面図である。

【図１０】枠体に脱穀部を連結した状態を示す正面図で
ある。

【図１１】副タンクの回動作動部の正面図である。

【図１２】枠体に対する中央タンク取付部の正面図であ
る。

【図１３】排出筒の格納状態を示す平面図である。

【図１４】中央タンクと副タンクの接合部の一部切欠平
面図である。

【図１５】排出筒受座の正面図である。

【符号の説明】

２ 脱穀部 ３ 機体フレーム ４ 穀粒貯留タンク ７ 揚穀筒 ９ 中央タンク １０ 主タンク １１ 副タンク １４ 枠体 １４ａ 横杆 １４ｂ 縦杆 １４ｃ 副タンク回動作動部取付座 １５ 中央タンク取付板 １６ 脱穀部への連結金具 ２０ 籾排出用の横送り螺旋 ２３ 副タンクの回動支点２５ 作動体

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 脱穀部の一側に主タンクを設け、該主タ
   ンクに中央タンクを介して連通させた副タンクを脱穀部
   の上方に設けて、該副タンクを中央タンク側に上下回動
   自在に枢着した穀粒タンクにおいて、主タンクを外側方
   に揺動自在に支持し、該主タンクと脱穀部との間には前
   後方向に揚穀筒と機体フレーム及び脱穀部を一体的に連
   結する枠体を設け、該枠体と揚穀筒により中央タンクを
   固定支持すると共に、副タンクを枠体に支持させた作動
   体により回動させるようにしたことを特徴とするコンバ
   インの穀粒タンク支持構造。