JP2564940B2 - 位相ロックループ回路 - Google Patents

位相ロックループ回路

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は位相ロックループ回路、特にデジタル処理回
路で積分型ループフィルタを用いた位相ロックループ回
路の構成に関する。
[従来の技術] 従来から、完全積分型ループフィルタ(例えば、位相
ラグ型フィルタ)を有する位相ロックループ(PLL)回
路が周知であり、この位相ロックループ回路はデジタル
処理回路でのデジタル復調器などに用いられる。
[解決すべき課題] この種の位相ロックループ回路では、完全積分型ルー
プフィルタを用いることから、無信号時における位相検
出器に生じる誤差電圧の蓄積により上記ループフィルタ
内の積分器に誤差が蓄積されるので、後段に設けられた
積分器で構成される電圧制御発振器(VCO)の周波数が
異常にずれるという問題がある。このため、VCOの周波
数が位相ロックループ回路の同期範囲を超えることにな
り、正常な同期ができず暴走する結果となる。このこと
を、第2図および第3図により詳細に説明する。
第2図には、積分型ループフィルタの回路構成が示さ
れており、この回路の伝達関数H(Z)は次式で与えられ
る。
上記(1)式において、第2項の1/(1−Z-1)は積
分器で生じる値であるが、入力にある固定電圧が印加さ
れた場合にはその電圧が積分され、出力には大きな電圧
が発生することになる。
一方、第3図には、上記ループフィルタの後段に設け
られるVCOの回路構成が示されており、変換テーブル前
までの伝達関数は上記の場合と同様に1/(1−Z-1)で
ある。従って、上記第2図のループフィルタの出力が入
力されると、その電圧はさらに積分され、誤差電圧も大
きな値となる。すなわち、ループフィルタの出力をVn
すれば、VCO内の変換テーブルの入力はΣVnとなる。し
たがって、変換テーブルからはSIN(ΣVn),COS(Σ
Vn)のVCO信号が生成される。
仮に、ループフィルタ出力がVn=Vであるとすると、
周波数fは次式のようになる。
したがって、上式(2)式の周波数が位相ロックルー
プ回路で同期できる周波数範囲内にあれば、正常に復帰
することができるが、長時間放置されると、積分型ルー
プフィルタの周波数が高くなり、同期できなくなる。
本発明は上記問題点にかんがみてなされたもので、そ
の目的は、積分型ループフィルタの出力電圧周波数が同
期範囲の周波数を超えることを防止し、デジタル処理回
路においても正常な動作を維持できる位相ロックループ
回路を提供することにある。
[課題の解決手段] 上記目的を達成するために、本発明は、制御電圧を受
けて所定の周波数を発振する電圧制御発振器と、この電
圧制御発振器の出力と入力周波数との位相比較を行う位
相比較器と、この位相比較器の出力に接続され、前記制
御電圧を発生する積分型ループフィルタからなる位相ロ
ックループにおいて、前記積分型ループフィルタの出力
電圧を、前記位相ロックループのロックが可能な入力周
波数に基づいて得られるしきい値電圧と比較し、このし
きい値電圧を越えたか否かを判定する判定回路と、前記
積分型ループフィルタの出力電圧が前記しきい値より大
きいと判定されたときに、前記判定回路から出力される
情報信号を入力し、雑音成分を除去してリセット信号を
出力する平均回路とを具備し、前記平均回路からのリセ
ット信号を前記積分型ループフィルタに入力し、前記積
分型ループフィルタの出力電圧が前記しきい値を越えた
場合に前記積分型ループフィルタをリセットする構成と
してある。
[作用] 上記構成によれば、判定回路により積分型ループフィ
ルタの出力電圧と正常な同期を維持するためのしきい値
電圧とが比較され、出力電圧が所定のしきい値を超えた
場合にはリセット信号が積分型ループフィルタに出力さ
れる。そして、積分型ループフィルタ内では積分器の値
がリセットされ、新たに積分動作が開始されることにな
る。
[実施例] 以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら
詳細に説明する。
第1図には、実施例に係る位相ロックループ(PLL)
回路の回路ブロックが示されており、位相比較器1には
積分型ループフィルタ2が接続されると共に、この積分
型ループフィルタ2の後段に電圧制御発振器(VCO)3
が接続され、このVCO出力を位相比較器1にフィードバ
ックすることによりループを形成する。そして実施例で
は、上記積分型ループフィルタ2とVCO3との間に判定回
路4を設けており、この判定回路4にはしきい値電圧VA
が設定されている。このしきい値電圧VAは、位相ロック
ループ回路においてロック動作可能な周波数をfLとすれ
ば、VA=2π・T・fLと設定する。
また、実施例では雑音等による誤動作を防止するため
に、低域通過フィルタである平均回路5を判定回路4に
接続しており、この平均回路5の出力を積分型ループフ
ィルタ2に入力する構成とする。
以上の構成によれば、上記判定回路4によってVCO3の
制御電圧となる積分型ループフィルタ2の出力電圧VC
検出され、この出力電圧VCは予め設定したしきい値電圧
VAと比較されることになり、|VC|>VAのときにしきい値
を超えたことを示す情報信号が平均回路5に出力され
る。そうすると、平均回路5からはリセット信号が積分
型ループフィルタ2に出力されるので、このリセット信
号によって積分型ループフィルタ2内の積分器の積分値
はリセットされ、新たに積分動作を開始することにな
る。
例えば、第2図においては積分器としてシフトレジス
タを用いているので、このシフトレジスタの内容を平均
回路5からのリセット信号によりクリアすることにな
る。
このようにして、積分型ループフィルタ2の出力電圧
がVCO3の制御電圧を逸脱した場合には、ループフィルタ
内の積分値がリセットされることにより正常な同期が維
持されることになる。
[発明の効果] 以上説明したように本発明によれば、積分型ループフ
ィルタの出力電圧を所定のしきい値電圧と比較判定し、
このしきい値を超えた場合には積分型ループフィルタ内
の積分値をリセットするようにしたので、VCOの制御電
圧となる積分型ループフィルタ出力電圧の周波数が位相
ロックループ回路の正常な同期範囲の周波数を超えるこ
とを防止できる。したがって、デジタル処理回路におい
ても正常な同期動作を維持することができ、位相ロック
ループ回路の暴走を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は位相ロックループ回路の構成を示す回路ブロッ
ク図、第2図は積分型ループフィルタの構成を示す回路
ブロック図、第3図は電圧制御発振器(VCO)の構成を
示す回路ブロック図である。 1:位相比較器 2:積分型ループフィルタ 3:電圧制御発振器(VCO) 4:判定回路 5:平均回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】制御電圧を受けて所定の周波数を発振する
    電圧制御発振器と、この電圧制御発振器の出力と入力周
    波数との位相比較を行う位相比較器と、この位相比較器
    の出力に接続され、前記制御電圧を発生する積分型ルー
    プフィルタからなる位相ロックループにおいて、 前記積分型ループフィルタの出力電圧を、前記位相ロッ
    クループのロックが可能な入力周波数に基づいて得られ
    るしきい値電圧と比較し、このしきい値電圧を越えたか
    否かを判定する判定回路と、 前記積分型ループフィルタの出力電圧が前記しきい値よ
    り大きいと判定されたときに、前記判定回路から出力さ
    れる情報信号を入力し、雑音成分を除去してリセット信
    号を出力する平均回路とを具備し、 前記平均回路からのリセット信号を前記積分型ループフ
    ィルタに入力し、前記積分型ループフィルタの出力電圧
    が前記しきい値を越えた場合に前記積分型ループフィル
    タをリセットすることを特徴とする位相ロックループ。
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