JP2563983C - - Google Patents

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JP2563983C
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は製紙用ロジン系エマルジョンサイズ剤に関する。さらに詳しくは特定
のポリマー系分散剤を使用してなる製紙用ロジン系エマルジョンサイズ剤に関す
る。 [従来の技術及び発明が解決しようとする課題] 紙、板紙、木質繊維板などのセルロ−ス繊維製品は、一般にセルロ−ス繊維の
水性分散体にサイズ剤を添加して抄造されており、該サイズ剤としては通常えら
れる製品に耐水性、耐インキにじみ性などを付与できるところからケン化型強化
ロジン系サイズ剤が汎用されている。しかしながら、前記強化ロジン系サイズ剤
は高温抄紙には採用しがたい欠点がある。すなわち、近時の排水規制に伴ない抄
紙システムのクロ−ズド化が要請されたため、その結果として抄紙水温が上昇し
充分なサイズ効果がえられないためである。また、硫酸バンドの添加量の少ない
中性に近い抄紙系においてもサイズ効果が不充分であることが知られている。 そのため、近年において斯界ではかかるケン化型強化ロジン系サイズ剤に代え
て前記諸問題の多くを解決しうるロジン系エマルジョン型サイズ剤の使用が主流
になっている。該エマルジョン型サイズ剤は、強化ロジンを適当な分散剤の存在
下に高圧せん断力のホモジナイザ−を用いて水に分散させる方法、強化ロジンの
溶融物を適当な分散剤および水を用いて相反転させる反転法、強化ロジンを溶剤
に溶解させついで分散剤および水を用いてエマルジョン化する溶剤法等によって 製造されるものである。 従来、分散剤としてはアルキル硫酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソー
ダ、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテルの硫酸エステル塩などのいわゆる低分子量分散剤が知られて
いるが、これら公知の低分子量分散剤を使用してなるエマルジョンサイズ剤は、
既述のケン型強化ロジン系サイズ剤に比してかなり良好なサイズ性能を有するも
のの、抄紙時の泡立ちが大きいという問題がある。また、高温抄紙時や高pH抄
紙時のサイズ効果も未だ満足しうるものではないのが実状である。 近時、ポリマー系分散剤を使用したロジン系エマルジョン型サイズ剤の開発研
究がなされつつある(特公昭59−48031号公報、特開昭56−16989
8号公報、特開昭61−108796号公報参照)。しかし、これらのポリマー
系分散剤を使用したロジン系エマルジョン型サイズ剤は、抄紙時の泡立ちはほと
んどなく良好であるものの、高温抄紙時や高pH抄紙時のサイズ効果はなお改善
の余地がある。 本発明の目的は、前記問題点をことごとく解決したエマルジョン型ロジン系サ
イズ剤、すなわち広範囲のpHで有効に使用でき、高温抄紙においてもサイズ度
が低下することなく、しかも低発泡性であり使用時の取扱性に優れた製紙用ロジ
ン系エマルジョンサイズ剤を提供せんとすることにある。 [課題を解決するための手段] 本発明者らは前記問題点を解決すべく分散剤に着目して種々研究を重ねた結果
、分散剤として特定の共重合体を用いてロジン物質を水に分散させたときには、
低発泡性でしかも幅広い抄紙pH範囲で優れたサイズ剤適性を具備した製紙用エ
マルジョンサイズ剤を収得しうることを見出した。本発明はこの新しい知見に基
づいて完成されたものである。 すなわち、本発明はロジン物質、分散剤および水からなる製紙用エマルジョ
ンサイズ剤であって、分散剤が(A)一般式(I): (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数3〜22の炭素数3〜2
2のアルケニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、または (式中、R5(式中、R6は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜22のアルケニル基ま を示す)を示す)を表わす)で表されるアクリル酸エステルおよび/またはメタ
クリル酸エステル20〜90モル%、(B)アニオン性不飽和単量体1〜80モ
ル%ならびに(C)前記(A)以外のノニオン性不飽和単量体0〜40モル%か
らなる共重合体(以下、共重合体という)であることを特徴とする製紙用ロジ
ン系エマルジョンサイズ剤、ならびにロジン物質、分散剤および水からなる製 紙用エマルジョンサイズ剤であって、分散剤が(A)一般式(I):(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数3〜22の炭素数3〜22
のアルケニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、 または (式中、R3(式中、R4は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜22のアルケニル基ま を示す)を示す)を表わす)で表されるアクリル酸エステルおよび/またはメタ
クリル酸エステル20〜90モル%、(B)アニオン性不飽和単量体1〜60モ
ル%、(C)前記(A)以外のノニオン性不飽和単量体0〜40モル%ならびに
(D)カチオン性不飽和単量体1〜60モル%からなる共重合体(以下、共重合
体という)であることを特徴とする製紙用ロジン系エマルジョンサイズに関す
る。 [実施例] 本発明において被分散体として用いるロジン物質とは、通常、ロジン類0〜9
5重量%及び強化ロジン類5〜100重量%よりなり、さらに必要に応じてこれ
らに50重量%までの強化ロジン増量剤を添加したものをいう。 ここでロジン類としてはガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、これら
の変性物などがあげられ、これらの1種または2種以上を併用して使用されうる
。前記ロジンの変性物としては、たとえば水素添加ロジン、不均化ロジン、重合
ロジン、アルデヒド変性ロジン等があげられる。これらロジン類のうち、たとえ
ばアルデヒド変性ロジンは、通常、ロジンとその1〜8重量%にあたるホルムア
ルデヒドまたはアセトアルデヒドを硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸性触媒
の存在下に140〜200℃程度の温度で0.5〜3時間反応させて得られるも
のである。 また強化ロジンは、前記ロジン類と2〜30重量%、好ましくは3〜20重量
%のα,β−不飽和カルボン酸とを150〜200℃程度の温度で加熱反応させ
てえられるロジンの付加反応生成物である。ここで使用されるα,β−不飽和カ
ルボン酸としてはアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、これらの無
水物及びこれらの混合物があげられ、特にフマル酸、マレイン酸及び無水マレイ
ン酸が好ましい。 必要に応じて用いられるロジン物質に含まれる強化ロジン増量剤としてはたと
えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなど等のワックス、石
油樹脂、テルペン樹脂、これらの水素添加物などの炭化水素樹脂等を例示しうる
。なお、これらを含むロジン物質は通常少なくとも25重量%の強化ロジンを含
んでいることが好ましい。 本発明において分散剤として用いる共重合体は、前記アニオン性共重合体であ
る共重合体または両性共重合体である共重合体であることが必須とされる。 ここで、共重合体または共重合体における必須単量体であるアクリル酸エ
ステルまたはメタクリル酸エステル(以下、両者をまとめて(メタ)アクリル酸
エステルと称す、以下、モノマー(a)という)としては、一般式(I): (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数3〜22の炭素数3〜22
のアルケニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、 または (式中、R5(式中、R6は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜22のアルケニル基まを示す)を示す)を表わす)で表される般式で表わされる各種単量体を例示する
ことができ、これらの単量体の少なくとも一種以上を好ましく使用しうる。モノ
マー(a)はロジン物質の分散剤としての主要構成モノマーであり、分散能を向
上させるとともに、えられたエマルジョンの発泡性を低下する効果を有するため
、必須の成分とされる。 共重合体または共重合体における必須単量体であるアニオン性単量体(以
下、モノマー(b)という)は、えられる分散剤である共重合体にアニオン性を 賦与するために使用されるものであり、アニオン性が共重合体に賦与されること
により得られる水性エマルジョンの分散安定性、サイズ効果を顕著に改善しうる
効果が奏される。モノマー(b)としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸
、イタコン酸、無水マレイン酸などの各種エチレン性不飽和カルボン酸またはこ
れらのアンモニウム塩もしくはアルカリ金属塩を例示しうる。なお、モノマー(
b)成分をアンモニウム塩やアルカリ金属塩となすには後述する重合方法により
共重合体をえたのち、アンモニア、低級アミン、アルカリ金属水酸化物等のアル
カリ物質を使用して中和してもさしつかえない。 共重合体または共重合体における任意の単量体であるノニオン性不飽和単
量体(以下、モノマー(c)という)としては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)
アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、炭素数6〜22のα−オ
レフィン、炭素数1〜22のアルキルビニルエーテル、ビニルピロリドンなどを
例示しうる。 共重合体における必須単量体であるカチオン性単量体(以下、モノマー(d)
という)は、共重合体に用いる単量体以外の単量体であって、得られる共重合
体にカチオン性を付与し、その結果として両性共重合体となる共重合体を収得
するための必須単量体とされる。すなわち、モノマー(d)の導入してえられた
共重合体を使用することにより該エマルジョンサイズ剤のパルプへの定着性が
向上する。とくに硫酸バンドの添加量が低い場合または高pHの条件でその効果
が顕著となる。モノマー(d)の具体例としては、N,N−ジアルキルアミノア
ルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アク
リルアミド、これらの鉱酸塩およびこれらの第4級化物;アリルアミン、ジアリ
ルアミン、ジアリルモノメチルアミン、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド
などがあげられる。これらのうち好ましいものとしては、N,N−ジメチルアミ
ノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レートは、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N
,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ
エ チル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリル
アミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミド、これらの鉱酸塩およびこれらの第4級化物などを例示
しうる。前記鉱酸塩となすために使用される鉱酸としては塩酸、硫酸などが好適
である。また前記4級化剤としては、とくに制限はされず各種公知のものを使用
しうるが、好ましくはエピハロヒドリン、ハロゲン化メチル、ベンジルハライド
、メチル硫酸などを例示しうる。なお、4級化反応は単量体に対して行なうこと
のほか、当然にえられた共重合体に対しても行なうことができる。 本発明サイズ剤の重要構成成分たる分散剤は、前記各種の単量体を用いて各種
公知の方法を採用して共重合させることにより容易に収得できる。本発明に用い
られる分散剤の前記構成単量体の使用量は、えられる水性エマルジョンの安定性
、発泡度、サイズ効果などを考慮して適宜決定されるが、通常はモノマー(a)
が20〜90モル%、好ましくは30〜80モル%、モノマー(b)が1〜80
モル%、好ましくは10〜70モル%、モノマー(c)が0〜40モル%、好ま
しくは0〜30モル%、モノマー(d)が1〜60モル%、好ましくは10〜5
0モル%の範囲とされる。かかる範囲内でモノマー(a)〜(d)を組合せて共
重合することによりアニオン性および両性の共重合体をうることができる。モノ
マー(a)〜(d)のいずれのばあいであってもその使用量が前記範囲に満たな
いときには、えられる共重合の分散剤としての性能が低下する傾向にある。特に
モノマー(b)および(d)の使用量が前記範囲の下限に満たない場合にはえら
れるエマルジョンサイズ剤のパルプへの定着性が低下するため好ましくない。 前記共重合体の重合方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の各種公
知の方法をそのまま採用することができる。溶液重合によるばあいには、イソプ
ロピルアルコール、メチルイソブチルケトンなどの溶媒を使用しうる。乳化重合
方法で使用する乳化剤としては、とくに制限はされず各種の界面活性剤を使用で
きる。アニオン性界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、
アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアル
キルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニル エーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫エステル塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル硫酸エステル塩など、ノニオン性界面活性剤としてはポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル
、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを例示することができ、こ
れらの1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。該使用量は全
仕込単量体に対して通常は0.1〜10重量%程度とされる。 前記重合で使用される重合開始剤としては特に限定はされず、過硫酸塩類、過
酸化物、アゾ化合物、レドックス系開始剤などの各種のもの使用しうる。前記共
重合体の分子量は、ロジン物質の分散能と直接相関するため、通常は重量平均分
子量が1000〜200000であるのが好ましい。該分子量範囲に調節するに
は公知の連鎖移動剤である、たとえばイソプロピルアルコール、四塩化炭素、エ
チルベンゼン、イソプロピルベンゼン、クメン、チオグリコール酸エステル、ア
ルキルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどを適
宜使用すればよい。該使用量は全仕込単量体に対して通常は0.5〜30重量%
程度とされる。前記共重合体は、通常は水溶液であるが、水分散物であってもさ
しつかえない。 上記のようにして得られた共重合体を使用して本発明のサイズ剤を製造するに
は、たとえば特公昭53−4866号公報(溶融高圧乳化法)、特公昭53−2
2090号公報(溶剤高圧乳化法)または特公昭52−77206号、特公昭5
8−4938号公報(反転乳化法)などの公知のいずれの方法をも採用すること
ができる。 たとえば、溶剤高圧乳化法によるばあいには、あらかじめ水に不溶な有機溶剤
に溶解させたロジン物質に対して分散剤たる前記共重合体と水、必要に応じて水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、低級アミン等のアルカリ物質を
加え、ホモジナイザー、ピストン型高圧乳化機、超音波乳化機等を通して乳化し
、ついで前記有機溶剤を留去してえられる。なお、共重合体の添加時期は特に制
限はされず、乳化機を通した後でも、また溶剤留去後でもさしつかえはなく、い
ずれも良好な水性エマルジョンを収得しうる。 また反転法による場合には、例えば次のようにして行なうことができる。すな
わち、ロジン物質を通常90〜160℃に加熱攪拌して溶融ロジンを調製する。
ついで該溶融ロジン物質を攪拌しながらこれに前記共重合体の水溶液または該水
性エマルジョンと所定量の熱水とを添加して相反転させ、ロジン物質が連続相で
あり水が分散相であるエマルジョンを形成させる。 上記溶剤高圧乳化、反転乳化に際しては、分散剤たる共重合体は通常ロジン物
質に対して乾燥重量規準で1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲と
する。1重量%未満では分散力が充分でなく、また30重量%を越えて使用する
のは経済的でない。尚、所望によりえられたこれらのエマルジョンを水またはア
ルカリ水で希釈したり、該エマルジョンのpHを調整することができる。 また、上記溶剤高圧乳化、反転乳化に際しては、前記共重合体に加えて発泡性
、サイズ効果に悪影響を及ぼさない程度に界面活性剤を添加することもできる。
該界面活性剤としては、前述の共重合体の乳化重合時に使用した各種のものを例
示しうる。 かくして得られるロジン系エマルジョンサイズ剤は通常10〜70重量%、好
ましくは30〜55重量%の固形分を有し、ロジン物質は該エマルジョン中に1
μm以下、大部分は0.5μm以下程度の粒子として均一に分散している。また
該水性エマルジョンは乳白色の外観を呈し、3.5〜6.5のpHを有する。 そして本発明の水性エマルジョンは室温において短くとも6ケ月間安定であり
、沈殿を生ずることもない。また、希釈安定性が優れているので河川、水道、井
戸等の水を用いても充分に希釈できパルプの水分散液によく分散される。しかも
その希釈液は長時間安定である。さらに後記実施例で示すとおり機械的安定性が
良好であり、きわめて低発泡性でもある。 本発明の製紙用エマルジョンサイズ剤は、これをたとえばパルプの水分散液に
硫酸バンド等の定着剤とともに添加しpH4〜7で抄造する方法またはパルプの
水分散液にカチオン性の定着剤などとともに添加しpH4〜7で抄造する方法な
どを採用でき、幅広い抄紙pH範囲で成紙に優れたサイズ効果を付与することが
できる。この場合、該エマルジョンサイズ剤はパルプに対して0.05〜3重量
%程度(乾燥重量規準)の量で使用される。また、本発明のサイズ剤はパルプに
対 する定着性がすぐれているため、硫酸バンドの使用量を低減できる。さらには高
温抄紙系においても、用水の硬度が高くなっても、また古紙などの使用によるク
ロ−ズド化で爽雑物質が増加してもサイズ効果が低下することはない。 本発明の製紙用エマルジョンサイズ剤は、セルロ−ス繊維の抄造のみならず、
該繊維と鉱物繊維、たとえば石綿、岩綿などや合成繊維、たとえばポリアミド、
ポリエステル、ポリオレフィン等との混合物を抄造して、紙、板紙、繊維板等を
製造する際にも有利に適用しうる。 本発明により得られる水性エマルジョンは表面サイズ剤としても使用すること
ができ、このばあい、あらかじめ抄造された湿紙に噴霧、浸漬、塗布など等の慣
用方法で適用しうる。 以下に実施例をあげて本発明の水性エマルジョンの製造法をさらに具体的に説
明する。なお、参考利は、本発明において使用するロジン物質の製造例を示すも
のである。例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準による。 参考例1 トール油ロジン1800部を加熱溶融し、165℃で攪拌しながら触媒として
p−トルエンスルホン酸モノ水和物2.7部を添加した。ついで37%ホルムア
ルデヒド水溶液118部を160〜170℃で90分間を要して添加した。同温
度でさらに1時間攪拌してホルムアルデヒド変性ロジンをえた。この変性ロジン
にさらにガムロジン1200部を添加して175℃で1時間攪拌混合した。 前記混合物を2950部およびフマル酸177部を加熱溶融して200℃で3
時間反応させた。えられたロジン物質(I)の酸価は203、軟化点(環球法、
以下同じ)は103.5℃であった。 参考例2 ガムロジン1000部およびフマル酸190部を加熱溶融し、200℃にいた
らしめ、同温度で4時間反応させた。えられた強化ロジンの酸価は286、軟化
点138.5℃であった。 上記でえられた強化ロジン550部およびガムロジン500部を170℃に加
熱し、30分間混合してロジン物質(II)をえた。 参考例3 ガムロジン1000部を165℃に加熱溶融し、攪拌しながら触媒としてp−
トルエンスルホン酸モノ水和物0.95部を添加した。ついで37%ホルムアル
デヒド水溶液54部を160〜170℃で90分間を要して添加した。同温度で
さらに1時間攪拌してホルムアルデヒド変性ロジンをえた。これにフマル酸90
部を添加し200℃で3時間反応させた。えられたロジン物質(III)の酸価は
230、軟化点は125℃であった。 参考例4〜12 第1表に示したモノマー100部にラウリルメルカプタン5部、ポリオキシエ
チレン(n=13)ドデシルフェニルエーテル硫酸エステルのナトリウム塩5部
、ポリオキシエチレン(n=9)オレイルエーテル2部、過硫酸カリウム3部お
よび水400部を混合し、加熱し、80℃で6時間反応を行った。その後、冷却
し、60℃でアニオン性モノマーと等モルのアンモニアを加えて1時間攪拌し、
(メタ)アクリル系ポリマーのケン化物を15%含有する水溶液(または乳化液
)をえた。 参考例9 n−ブチルメタクリレート(60モル%)、メタクリル酸(20モル%)、N,N
−ジメチルアミノプロピルアミドのメチルクロライド四級化物(20モル%)を
モノマーとして100部を用い、参考例4と同様に反応を行い、ポリマーを15
%含有する乳化液を得た。 実施例1〜6 第2表のロジン物質100部をベンゼン100部に溶解し、ついで上記参考例 で得られた(メタ)アクリルエステル系ポリマーの所定量を軟水で希釈して20
0部とした水溶液を添加した。この混合物を40℃に加熱し、ホモミキサー(5
000rpm×1分)にて予備乳化したのち、同温度でせん断圧力を300kg
/cm2に調整したピストン型高圧乳化機に2回通して乳化した。えられたエマ
ルジョンから減圧下で40℃にてベンゼンを留去せしめ、本発明の水性エマルジ
ョンをえた。各エマルジョンの製造に用いたロジン、ポリマーの種類および使用
量は第2表に示す。比較例1 参考例1でえられたロジン物質(I)をベンゼン100部に溶解し、ついでド
デシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩2部(固形分)を軟水で希釈して20
0gとした水溶液を添加した。この混合液を40℃に加熱し、実施例1と同様に
乳化し、ベンゼンを留去せしめエマルジョンをえた。 比較例2 参考例1でえられたロジン物質(I)を加熱溶融して150℃にいたらしめ、
20%のポリオキシエチレン(n=13)ジスチリルフェニルエーテル硫酸エス
テルのナトリウム塩25部を添加し、相反転によりエマルジョンをえた。 なお、実施例1〜6ならびに比較例1および2でえられたエマルジョンの機械
的安定性および起泡性はつぎの方法により測定した。その結果を第3表に示す。 (1)機械的安定性 水性エマルジョン50gをマーロン式安定度試験器(新星産業(株)製)の容
器に秤取し、温度25℃、荷重10kg、回転速度1000r.p.m.で5分
間機械的シェアーを加えたのち、生成した凝集物を100メッシュの金網で濾取
し、機械的安定性を次式に従い算出した。 機械的安定性(%)=(凝集物の絶乾重量/試料エマルションの絶乾重量)×
100 (2)起泡性(イ) 水性エマルジョンを濃度5%に脱イオンで希釈し、この希釈液につき、JIS
K 3362に準じて泡の高さ(mm)を測定した。 (3)起泡性(イ) パルプ(L−BKP)の1%水性スラリーにパルプに対しそれぞれ5%および
2.5%の水性エマルジョン(絶乾重量基準)および硫酸バンドを添加してえら
れた水性液1リットルを、JIS K 3362に規定された装置に入れ、内容
物をポンプで10分間循環(8リットル/分)したのち、循環を止めて泡の高さ
(mm)を測定した。 比較例3 スチレン65部、アクリル酸25部、n−ブチルアクリレート10部、ドデシ
ルメルカプタン5部、ボリオキシエチレン(n=12)ノニルフェニルエーテル
硫酸エステルのナトリウム塩4部(固形分)、ポリオキシエチレン(n=10)
ドデシルフェニルエーテル1部、過硫酸カリウム2部および水400部を混合攪
拌し、80℃で4時間加熱した。その後、60℃まで冷却し、アクリル酸と等モ
ルの水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌し、20%ポリマー水溶液をえた。 えられたポリマーを使用し、実施例1と同様に乳化を行い、エマルジョンをえ
た。 比較例4 イソプロピルアルコール8部と36%塩酸12部に水850部を加え、ついで
この液を65℃に加熱した。攪拌下で、これにアクリルアミド110部とアクリ
ル酸7部とを水75部に溶かした溶液、ジメチルアミノエチルメタクリレート5
3部およびベルオクソ硫酸アンモニウムを約3時間で滴下し、さらに2時間反応
を行なった。その後、冷却し、15%ポリマー水溶液をえた。 えられたポリマーを使用し、実施例1と同様に乳化を行い、エマルジョンをえ
た。 比較例4 ウォーターバス上に設置しかつ攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およ
びチッ素導入管を付した5つ口フラスコにアクリル酸388.8g(5.4モル)
、アクリロニトリル286.2g(5.4モル)、オクチルメルカプタン98.6
g(0.675モル)およびメチルアルコール110.7gを仕込みチッ素気流
中、攪拌下反応系の温度を35±2℃に保ち、滴下ロートから2.5過硫酸アン
モニウムを含有するメチルアルコール溶液300gを9時間かけて滴下し、滴下
終了後、さらに1時間同温度に保って反応を終了した。反応混合物は淡黄緑色を
呈し、不揮発分65.0%(理論値65.3%)であった。つぎにこの反応混合
物からメチルアルコールを減圧留去(100℃/2mmHg×30分)したのち
、風乾してメチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキ
サンに可溶な白色粉末をえた。分析の結果は以下の通りである。 このことから生成物は次式で表される化合物を主成分とすることがわかる。 以上のようにしてえられたオリゴマー115g(約0.1モル)に水酸化ナト
リウム40.4g(0.72モル)および水1276.6gを添加し、約70℃
の温度で攪拌してオリゴマー中の酸基の約90%が中和されたカリウム塩として
濃度10%の水溶液をえた。 えられたオリゴマーを使用し、実施例1と同様に乳化を行い、エマルジョンを
えた。 第3表に示した結果より、(メタ)アクリルエステル系アニオン性または両性
のポリマーを分散剤として用いることにより、公知の分散剤を用いるばあいに比
し、機械的安定性にすぐれ、しかも起泡性がきわめて小さい水性エマルジョンを
収得しうることがわかる 実用試験1 実施例1〜6および比較例1〜5でえられた水性エマルジョンを製紙用サイズ
剤として使用したばあいの成紙のサイズ度(秒)をステキヒト法(JIS P
8122に規定)によって測定した。 すなわち、叩解度30°SRのパルプ(L−BKP)を1%の水性スラリーと
し、20℃に保温し、これに対してパルプ乾燥重量基準で2.5%の硫酸バンド
ついで0.2%または0.5%の水性エマルジョンの順序で薬品を添加し、均一
に拡散させたのち、TAPPIスタンダード・シート・マシーンを用いて坪量6
0±1g/m2となるようpH4.5で抄紙した。これを5kg/cm2の圧力で
1分間乾燥し、この紙料を20℃、65%R.H.の条件で24時間調湿した後
、サイズ効果を測定した。その結果を、第4表に示す。 実用試験2 叩解度50°SRのパルプ(新聞古紙、炭酸カルシウム3%含有)を1%の水
性スラリーとし、50℃に保温し、これに対しパルプを乾燥重量基準で1.0%
の硫酸バンド、ついで0.5%の水性エマルションの順で添加し、均一に拡散さ せたのち、抄紙し、サイズ効果を測定した。その結果を、第4表に示す。 [発明の効果] 本発明の製紙用ロジン系エマルジョンサイズ剤は、機械的安定性が良好であり
、しかも低発泡性であるため、抄紙時の作業性が改善される。さらには、高温抄
紙時や高pH抄紙時のサイズ効果が良好であるため、近時の抄紙クローズド化に
充分に対応しうるものである。また、本発明の製紙用ロジン系エマルジョンサイ
ズ剤は、当然に表面サイズ剤として適用しうるという効果を奏する。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ロジン物質、分散剤および水からなる製紙用エマルジョンサイ
    ズ剤であって、分散剤が(A)一般式(I): (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数3〜22の炭素数3〜22
    のアルケニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、 または (式中、R5(式中、R6は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜22のアルケニル基ま を示す)を示す)を表わす)で表されるアクリル酸エステルおよび/またはメタ
    クリル酸エステル20〜90モル%、 (B)アニオン性不飽和単量体1〜80モル%ならびに (C)前記(A)以外のノニオン性不飽和単量体0〜40モル% からなる共重合体であることを特徴とする製紙用ロジン系エマルジョンサイズ剤
    。 【請求項2】 ロジン物質、分散剤および水からなる製紙用エマルジョンサイ
    ズ剤であって、分散剤が(A)一般式(I): (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数3〜22の炭素数3〜22
    のアルケニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、または (式中、R5(式中、R6は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜22のアルケニル基ま を示す)を示す)を表わす)で表されるアクリル酸エステルおよび/またはメタ
    クリル酸エステル20〜90モル%、 (B)アニオン性不飽和単量体1〜60モル%、 (C)前記(A)以外のノニオン性不飽和単量体0〜40モル%ならびに (D)カチオン性不飽和単量体1〜60モル%からなる共重合体であることを特
    徴とする製紙用ロジン系エマルジョンサイズ剤。 【請求項3】 分散剤の重量平均分子量が1000〜20000である請求項
    1または2に記載の製紙用ロジン系エマルジョンサイズ剤。 【請求項4】 分散剤の含有量がロジン物質に対して固形分換算で1〜30重
    量%である請求項1、2または3に記載の製紙用ロジン系エマルジョンサイズ剤

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