JP3980904B2 - 抄き合わせ紙用接着剤及び板紙製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄き合わせ紙用接着剤及び板紙製造方法に関するものであり、詳しくは、紙層形成後の湿潤紙層を抄き合わせ後プレスし、さらに乾燥する工程を含む2層以上の抄き合わせる板紙の製造に際し使用する層間強度向上用接着剤において、塩水溶液中で、イオン性水溶性単量体およびこれと共重合可能な非イオン性単量体を該塩水溶液中に可溶な高分子分散剤を共存させ、攪拌下、分散重合して得られた100μm以下のイオン性重合体微粒子分散液からなる抄き合わせ紙用接着剤に関し、またそれを用いた板紙製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来紙の層間強度向上剤としては、生澱粉あるいは燐酸エステル澱粉があり、それらのスラリ−をスプレ−する方法が一般的である。特開平11−36195号公報には、両性高分子電解質を水に溶解し、ポリイオンコンプレックスを形成させこれを層間強度向上剤としてスプレ−する方法が開示されている。しかし、この層間強度向上剤は、ポリイオンコンプレックスを吹き付けているので、層間強度向上剤の粒径が小さすぎ、脱水プレスパートあるいはサクションパートにおいて水といっしょに流出してしまう割合が高く、目的の層間強度を得ることが難しい。また特開平10−331100号公報には、アクリル酸あるいはメタアクリル酸の重合体あるいは非イオン性単量体との共重合体を含有する高分子微粒子を含む分散液をスプレ−する方法が提案されている。上記高分子微粒子は粒径的には、改良されているが高分子自体の接着力が十分ではなく特に中性あるいはアルカリ性抄紙において、層間強度が発現しにくい。これを改良するためメチレンビスアクリルアミドなどの架橋剤を共重合して高分子の改質を行い接着力を高める検討が行なわれてはいるが大幅な改善は望めないと推定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、澱粉と同程度の粒度を持つため、脱水プレスパートあるいはサクションパートにおいて水といっしょに流出することが少なく、公知の分散液からなる合成系高分子微粒子に比べ接着量が強化され、中性あるいはアルカリ抄紙においても優れた層間強度の発現する抄き合わせ紙用接着剤を開発し、またその接着剤を用いた板紙の製造方法を開発することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、下記のような発明に到達した。すなわち請求項1の発明は、下記一般式(2)及び/又は(3)の単量体 1 〜50モル%、イタコン酸1〜50モル%、前記一般式(1)の単量体0〜50モル%及び共重合可能な水溶性非イオン性単量体0〜98モル%からなる単量体混合物を、架橋性単量体非存在下に、塩水溶液中で該塩水溶液中に可溶な高分子分散剤を共存させ、攪拌下、分散重合して得られた100μm以下の水溶性両性重合体微粒子の分散液からなる抄き合わせ紙用接着剤である。
【化1】
一般式(1)
R1は水素又はメチル基、QはSO3、C6H4SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R2は水素またはCOOY2、Y1あるいはY2は水素または陽イオン
【化2】
一般式(2)
R3は水素又はメチル基、R4、R5は炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、R6は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
【化3】
一般式(3)
R7は水素又はメチル基、R8、R9は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす。
【0005】
請求項2の発明は、前記一般式(1)の単量体が、(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド2―メチルプロパンスルホン酸またはこれらの塩から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の抄き合わせ紙用接着剤である。
【0006】
請求項3の発明は、前記塩水溶液中に可溶な高分子分散剤が、カチオン性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の抄き合わせ紙用接着剤である。
【0007】
請求項4の発明は、前記塩水溶液中に可溶な高分子分散剤が、アニオン性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の抄き合わせ紙用接着剤である。
【0008】
請求項5の発明は、前記塩水溶液を構成する塩が二価アニオン塩であることを特徴とする請求項1に記載の抄き合わせ紙用接着剤である。
【0009】
請求項6の発明は、紙層形成後の湿潤紙層を抄き合わせ後プレスし、さらに乾燥する工程を含む2層以上の抄き合わせ紙の製造方法において、請求項1〜5に記載のイオン性重合体微粒子を層間強度向上剤として使用し板紙を製造することを特徴とする板紙製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下具体的に製造方法を説明する。本発明のイオン性重合体微粒子の分散液は硫酸アンモニウムのような多価アニオン塩の水溶液を調製し、アニオン性重合体を合成する場合は、この中に水溶性アニオン性単量体あるいは非イオン性単量体と水溶性アニオン性単量体との混合物をしこみ、両性重合体を合成する場合は、水溶性カチオン性単量体、非イオン性単量体及び水溶性アニオン性単量体を仕込み、これに分散剤として該塩水溶液に可溶な高分子分散剤を共存させ攪拌下、分散重合し合成することができる。
【0011】
初めに分散剤について説明する。高分子分散剤としては、非イオン性あるいはイオン性高分子のいずれでも使用可能であるが、イオン性高分子のほうがより好ましく、両性重合体を合成するならばカチオン性あるいはアニオン性高分子が使用可能であり、アニオン性重合体を合成するならばアニオン性あるいはカチオン性高分子が使用可能である。すなわち適用を意図する製紙原料に合わせて重合体微粒子のイオン性と分散剤のイオン性を適宜選択して合成することができる。
【0012】
アニオン性高分子の例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸(塩)やスチレンスルホン酸(塩)などのアニオン性単量体の(共)重合体である。さらに非イオン性の単量体であるアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N、N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トのなどとの共重合体も使用可能である。その他、アニオン変性ポリビニルアルコ−ル、スチレン/無水マレイン酸共重合物、ブテン/無水マレイン酸共重合物、あるいはそれらの部分アミド化物である。最も好ましい組み合わせは、(メタ)アクリル酸と2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸である。
【0013】
カチオン性高分子としては、アクリル系カチオン性単量体、たとえば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの無機酸や有機酸の塩、あるいは塩化メチルや塩化ベンジルによる四級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体である。例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物などがあげられ、これら単量体と非イオン性単量体との共重合体でも良い。またジメチルジアリルアンモニウム塩化物重合体などジアリルアミン系重合体でも使用できる。
【0014】
非イオン性高分子の例としては、上記非イオン性単量体の(共)重合体、ポリビニルアルコ−ル、スチレン/無水マレイン酸共重合物あるいはブテン/無水マレイン酸共重合物の各々完全アミド化物などである。
【0015】
上記イオン性高分子の分子量としては、5、000から300万、好ましくは5万から150万である。また、非イオン性高分子分の分子量としては、1,000〜100万であり、好ましくは1,000〜50万である。これら高分子分散剤の単量体に対する添加量は、1/100〜20/100であり、好ましくは3/100〜15/100である。
【0016】
重合時の温度は、5〜50℃であり、好ましくは15〜40℃である。50℃より高くすると重合の制御は難しく、急激な温度上昇や重合液の塊状化などが起きて、高重合度で安定な分散液は生成しない。
【0017】
重合開始はラジカル重合開始剤を使用する。これら開始剤は油溶性あるいは水溶性のどちらでも良く、アゾ系,過酸化物系、レドックス系いずれでも重合することが可能である。油溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)、4、4−アゾビス(4−メトキシ−2、4ジメチル)バレロニトリルなどがあげられ、水混溶性溶剤に溶解し添加する。
【0018】
水溶性アゾ系開始剤の例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などがあげられる。またレドックス系の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどとの組み合わせがあげられる。さらに過酸化物の例としては、ペルオクソ二硫酸アンモニウムあるいはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t-ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエ−トなどをあげることができる。これら開始剤の中で最も好ましいのは、ペルオクソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウムあるいは亜硫酸水素ナトリウムによるレドクッスである。
【0019】
両性重合体微粒子を重合する際使用するアニオン性単量体は、イタコン酸を必須とする。イタコン酸は重合反応的には種々興味ある挙動を示すが、これが本発明の抄き合わせ紙用接着剤の合成時にも良好な影響を与え、その結果本発明の抄き合わせ紙用接着剤の優れた効果を発現させているものと推定される。
【0020】
重合体微粒子を合成する場合のアニオン性単量体は、上記イタコン酸の他、アニオン性単量体を共重合することもできる。そのようなアニオン性単量体の例として、スルフォン酸基含有単量体でも良いが、好ましくはカルボキシル基含有単量体あるいはカルボキシル基含有単量体を主体とした単量体混合物が適する。カルボキシル基含有単量体の例は、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。またスルフォン酸基含有単量体の例は、アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸、ビニルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸などである。さらにこの重合体は、他の非イオン性の水溶性単量体を共重合しても良い。例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリンなどがあげられ、これら一種または二種以上との共重合が可能である。
【0021】
重合体微粒子を合成する場合のアニオン性単量体は、上記イタコン酸の他、アニオン性単量体を共重合することもできる。そのようなアニオン性単量体の例として、スルフォン酸基含有単量体でも良いが、好ましくはカルボキシル基含有単量体あるいはカルボキシル基含有単量体を主体とした単量体混合物が適する。カルボキシル基含有単量体の例は、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。またスルフォン酸基含有単量体の例は、アクリルアミド2−メチルプロパンスルフォン酸、ビニルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸などである。さらにこの重合体は、他の非イオン性の水溶性単量体を共重合しても良い。例えば(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリンなどがあげられ、これら一種または二種以上との共重合が可能である。
【0022】
上記単量体類のモル比は、両性重合体の場合、前記イオン性重合体微粒子が、前記一般式(2)及び/又は(3)のカチオン性単量体1〜50モル%、イタコン酸1〜50モル%、その他のアニオン性単量体0〜50モル%及び共重合可能な非イオン性単量体0〜98モル%であり、好ましくは、前記一般式(2)及び/又は(3)のカチオン性単量体1〜30モル%、イタコン酸1〜30モル%、その他のアニオン性単量体0〜20モル%及び共重合可能な非イオン性単量体40〜98モル%である。
【0023】
塩水溶液を形成するに使用する塩類としては、ナトリウムやカリウムのようなアルカリ金属イオンやアンモニウムイオンとハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオンなどとの塩であるが、多価アニオンとの塩がより好ましい。これら塩類の塩濃度としては、7重量%〜飽和濃度まで使用できる。
【0024】
本発明の抄き合わせ紙用接着剤の重合体濃度は凡そ15〜30質量%の範囲で重合される。15重量%未満では運賃コストが高価になりすぎ、30重量%を超えると製品の流動性が不足し、取り扱い難くなる。本発明の抄き合わせ紙用接着剤をスプレ−塗布する場合、希望の濃度に希釈してスプレ−塗布されるが、希釈倍率は自由に選択できる。一般的に従来の澱粉は0.5〜5質量%程度の濃度に希釈分散させてスプレ−塗布されているのに対し、本発明品は、凡そ0.05〜5質量%濃度でスプレ−塗布する方法が使用できる。紙質向上剤としてより多くの重合体をスプレ−塗布したい場合には凡そ0.5〜5質量%濃度でもスプレ−塗布が可能である。
【0025】
本発明の抄き合わせ紙用接着剤の適用可能な抄紙pHはおよそ4.0以上、9.0以下である。一般的に抄紙pHは酸性抄紙においても4.0未満の場合は少なく4.0未満で抄紙すると紙に悪影響を与える。また、抄紙pHが9.0を超えると高分子微粒子の溶解性が徐々に促進され、湿潤紙表層に留まった高分子微粒子がドライヤ−で加熱される前に溶解してしまい、プレスパ−トで脱水される際に水とともに流出したり、湿潤紙層内部に浸透してしまい接着効果が低下するので好ましくない。
【0026】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0027】
【実施例1】
攪拌機、還流冷却管、温度計および窒素導入管を備えた4つ口500mlセパラブルフラスコに脱イオン水:135.1g、イタコン酸6.3g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル:19.2g、50%アクリルアミド:149.0g、硫酸アンモニウム135.4g、また20質量%水溶液のアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物重合体(分子量:100万)30.0g(対単量体6.0質量%)を添加した。その後、攪拌しながら窒素導入管より窒素を導入し溶存酸素の除去を行う。この間恒温水槽により25℃に内部温度を調整する。窒素導入30分後、0.2質量%のペルオキソニ硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウムの0.2質量%水溶液をそれぞれこの順で2.5g(対単量体、40ppm)添加し重合を開始させた。開始剤添加2時間後、反応物液の粘性が、やや上昇したがそれ以上増加せず、重合開始後8時間たったところで前記開始剤をそれぞれ同量追加し、さらに15時間重合を継続させ反応を終了した。この試作品を試作−1とする。この試作−1のイタコン酸/メタクリル酸ジメチルアミノエチル/アクリルアミドのモル比は4/10/86であり、粘度は920mPa・sであった。なお、顕微鏡観察の結果、2〜20μmの粒子であることが判明した。結果を表1に示す。
【0028】
【比較例1〜3】
実施例1〜5と同様な操作により、アクリル酸/アクリルアミド=50/50、分散剤としてアクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸重合体使用時(比較―1)、アクリル酸/アクリルアミド=50/50、分散剤としてアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物重合体使用時(比較―2)、アクリル酸/メタクリル酸ジメチルアミノエチル/アクリルアミド=8/10/82、分散剤としてアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物重合体使用時(比較―3)をそれぞれ合成した。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
AAC:アクリル酸、IA:イタコン、AAM:アクリルアミド、DMM:メタクリル酸ジメチルアミノエチルP−AMP:アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸重合体P−DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物重合体、分散液粘度:mPa・s、
【0030】
【実施例2】
ダンボール古紙をパルパーにより離解後、ナイヤガラ式ビ−タ−にて叩解し、カナデイアンスタンダ−ドフリ−ネスC.F.S=400mlに調整した。この分散液に液体バンド2%添加しpHを4.9に調節した。その後、市販の紙力増強剤(ポリストロン117、荒川化学製)を対パルプ0.3%添加して攪拌し均一に混合した。得られたパルプスラリ−を0.5%に希釈し、抄紙pHを測定した後、タッピスタンダ−ドシ−トマシン(1/16m2)に1L入れ乾燥坪量80g/m2の紙を抄紙した。ワイヤ−上のウェットシ−トに濾紙、ク−チプレ−トを乗せク−チロ−ル3回かけ湿紙を濾紙に転写した。これをA層とした。次いで同様に乾燥坪量80g/m2の紙を抄紙し、ワイヤ−ごと湿紙を直示天秤に乗せ、実施例1〜5で合成した試作−1を表2に記載した所定の希釈濃度に希釈した分散液を圧力2.5気圧で10.0gノズルよりスプレ−塗布した。これをB層とした。
【0031】
A層を濾紙がついたままB層に合わせ、その後濾紙を剥がした。これをワイヤ−ごとシ−トマシンに戻し、シ−トマシンに水を張りワイヤ−の下まで満たした水を排水することにより減圧脱水し、新たに濾紙を乗せ、ク−チロ−ルを3回かけ濾紙に転写させた。転写した湿紙を2枚の濾紙に挟み、3kg/m2の圧力で5分間プレス後、ロ−タリ−ドライヤ−で乾燥させて抄き合わせ紙をえた。得られた抄き合わせ紙を調湿後J−TAPPI紙パルプ試験法NO.19−77に従って、T字剥離強さ(gf/5cm)を測定した。結果を表2に示す。
【0032】
【比較例4〜7】
実施例2と同様な操作によって、比較−1〜比較−3を用いて試験した。また、馬鈴薯澱粉(比較−4)の分散液をスプレーした試験も同時に行なった。結果を表2に示す。
【0033】
【実施例3】
実施例2と同様な抄き合わせの操作によって、新聞古紙を用い試験した。液体バンド1%を添加しpHを6.2に調節した後、市販の紙力増強剤(ポリストロン117、荒川化学製)を対パルプ0.15%添加して攪拌し均一に混合した。その後、実施例2と同様な手順で抄き合わせを行い、乾燥、紙質測定を行なった。結果を表3に示す。
【0034】
【比較例8〜11】
実施例3と同様な操作によって、比較−1〜比較−3を用いて試験し、馬鈴薯澱粉の分散液(比較−4)をスプレーした試験も同時に行なった。結果を表3に示す。
【0035】
【実施例4】
ダンボール古紙をパルパーにより離解後、ナイヤガラ式ビ−タ−にて叩解し、カナデイアンスタンダ−ドフリネスC.F.S=400mlに調整した。この分散液に炭酸ナトリウムの10%水溶液によってpHを7.42に調節した。その後、市販の両性紙力増強剤ハイモロックKL−127(ハイモ株式会社製)を対パルプ0.1%添加して攪拌し均一に混合した。得られたパルプスラリ−を0.5%に希釈し、抄紙pHを測定した後、タッピスタンダ−ドシ−トマシン(1/16m2)に1L入れ乾燥坪量80g/m2の紙を抄紙した。その後は、実施例3と同様な操作によって抄き合わせを行い、乾燥、測定を行なった。結果を表4に示す。
【0036】
【比較例12〜14】
実施例4と同様な操作によって、比較−2〜比較−3を用いて試験し、また、馬鈴薯澱粉の分散液(比較−4)をスプレーした試験も同時に行なった。結果を表4に示す。
【0037】
【表2】
塗布濃度:質量%、塗布量:G/m2、T字剥離強さ:(gf/5cm)
【0038】
【表3】
塗布濃度:質量%、塗布量:G/m2T字剥離強さ:(gf/5cm)
【0039】
【表4】
塗布濃度:質量%、塗布量:G/m2T字剥離強さ:(gf/5cm)
Claims (6)
- 下記一般式(2)及び/又は(3)の単量体 1 〜50モル%、イタコン酸1〜50モル%、前記一般式(1)の単量体0〜50モル%及び共重合可能な水溶性非イオン性単量体0〜98モル%からなる単量体混合物を、架橋性単量体非存在下に、塩水溶液中で該塩水溶液中に可溶な高分子分散剤を共存させ、攪拌下、分散重合して得られた100μm以下の水溶性両性重合体微粒子の分散液からなる抄き合わせ紙用接着剤。
R1は水素又はメチル基、QはSO3、C6H4SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H4COOあるいはCOO、R2は水素またはCOOY2、Y1あるいはY2は水素または陽イオン
R3は水素又はメチル基、R4、R5は炭素数1〜3のアルキルあるいはアルコキシル基、R6は水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い、Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基を表わす、X1は陰イオンをそれぞれ表わす。
R7は水素又はメチル基、R8、R9は炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、X2は陰イオンをそれぞれ表わす - 前記一般式(1)の単量体が、(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド2―メチルプロパンスルホン酸またはこれらの塩から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の抄き合わせ紙用接着剤。
- 前記塩水溶液中に可溶な高分子分散剤が、カチオン性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の抄き合わせ紙用接着剤。
- 前記塩水溶液中に可溶な高分子分散剤が、アニオン性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の抄き合わせ紙用接着剤。
- 前記塩水溶液を構成する塩が二価アニオン塩であることを特徴とする請求項1に記載の抄き合わせ紙用接着剤。
- 紙層形成後の湿潤紙層を抄き合わせ後プレスし、さらに乾燥する工程を含む2層以上の抄き合わせ紙の製造方法において、請求項1〜5に記載のイオン性重合体微粒子を層間強度向上剤として使用し板紙を製造することを特徴とする板紙製造方法。
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