JP2563432Y2 - 多条連続集合鉢体苗移植機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】 この考案は、個々の育苗鉢を連
結片で連結してなる連続鉢体苗の集合体から、連続鉢体
苗を連続に引き出して順次植え付けための移植機に関す
るもので、更に詳しくは、連続鉢体苗の多条植え付けを
可能にした多条連続集合鉢体苗移植機に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より耐腐性の紙で作られた四角叉は
六角筒状の鉢体を用いて植物を栽培し、これをそのまま
移植する育苗移植栽培法が広く実用に供されており、こ
れに用いる鉢体として例えば特公昭３８−２５７１５号
公報に開示される個々の鉢体に水溶性糊料で接着され、
育苗中の灌水により移植時には個々の鉢体苗に分離する
分離型の集合鉢体と、特公昭５−３０８０５号公報に示
すような鉢体苗は隣接鉢体間を連結片で連接され、一端
から終端まで連続して列状に引き出し可能とした連続型
の集合鉢体があり、それぞれ使用作物、適用圃場に合わ
せ何れかを選択使用している。

【０００３】そしてこれら集合鉢体苗による移植作業は
いずれも機械による全自動移植を可能としており、連続
型の集合鉢体にあっては特公昭５５−３０８０５号公報
に示すように、連続鉢体苗を逆円錐状の一対の回転体に
より挟み通すことで、連結片の分離線を分離誘導部より
経時的に分離して一個一個の鉢体苗として移植するもの
であり、叉特公昭６３−６１８６６号公報では、回転円
板に放射状態に設けた移植杆が先頭鉢体苗を挟持して回
転することにより、後続する鉢体苗を引き出すと共に、
続く鉢体苗を停止板により停止させて、先行する鉢体苗
との間の連結片に設けた切込みを切断して一個の鉢体苗
に分離し移植していくものである。

【０００４】そして一対の逆円錐形回転体の上下の周速
差を利用して連結片に設けた切込みを経時的に切断する
方式は、比較的長い鉢体の連続苗分離に用いられ、この
様な鉢体を用いる作物としては、例えばビートなどであ
る。一方移植杆により連続鉢体苗を挟持し、二番目苗を
停止板に停止させることで連結片を切断する方式は、白
菜、レタス等一般蔬菜の育苗移植に使用される比較的長
さの短い鉢体の連続苗分離に用いられているものであ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この様な連続鉢体苗移
植機は何れも駆動輪よりの駆動により移植機構が駆動さ
れ、自動的に連続鉢体苗を個々の鉢体苗に分離して畑の
畦上に植え付けていくもので、極めて能率的であるが、
株間間隔の短い作物、あるいはハウス内栽培での移植に
は適応が極めて困難であった。

【０００６】このため、この出願人は特願平０４−１４
２０８０号に開示する様に、底板を接地面として、底板
前部に設けた把手を人手で引っ張ることで、畑地上を滑
走させつつ底板上に載置した連続集合鉢体苗を、底板後
部に設けた植付部より順次連続的に繰り出しつつ、底板
下に設けてあるオープナーが溝付けした溝内に、連続集
合鉢体苗の連続状態を維持しつつ載置植え付けする移植
機を提案し、極めて良好な植え付けを行うことが出来
た。しかし菊、疎菜などで幅広の畝として株間間隔を２
〜３cmの小間隔とした、２条植え或いは４条植えとする
ような植え付けに使用する移植機はなく又、前記底板を
接地滑走体とする移植機においても、底板後部に設けた
植え付け部は１か所である為、１条植えしか出来ないの
が現状あった。又、底板の幅を広げて底板後部に複数の
切り込みを設けて、繰り出し口としても間隔が固定され
てしまい、条間巾の変更に対応できず又、同一底板とし
て複数の繰り出し口の切り込みを設けた場合、植え付け
に際し、畝上面の凹凸による底板の底面接地状態の維持
を不安定とし、苗の植え付けを困難にする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】 この考案は、上記事情
に鑑み、通常より広幅の畝に対する多条植え付けを可能
するため、底板の進行方向前部を上向きに反らせ、後端
部中央に連続集合鉢体苗の繰り出し部とした切り欠き溝
を設け、左右両側に側枠を固設して底板上面を連続集合
鉢体苗載置部となし、前記繰り出し部先端下面にはオー
プナーを設け、該オープナー後方には連続集合鉢体苗誘
導路を設けた接地滑走体を複数並列して、それらの相互
間を連結杆にて連結してなる移植機において、前記連結
杆を、並列した接地滑走体の前部及び後部に配置し、各
連結杆は、各接地滑走体に支持枠を介して取付けられた
中空管と、各接地滑走体上の中空管に長さ調節可能に嵌
合固定された調節杆とから形成したことを特徴とする。

【０００８】 本考案は、上記連結杆のうち、並列した
接地滑走体の後部に配置した連結杆の調節杆を、左右に
分割し、該左右調節杆は側面に係合させた連接ブラケッ
トを介し、それぞれ揺動自在に連結する構成とすること
ができる。

【０００９】

【作用】 この考案は、接地滑走体を複数並列して、そ
れらの相互間を調節杆を有する連結杆で連結したので、
各接地滑走体に載置した連続集合鉢体苗から引き出した
連続鉢体苗を繰り出し部から連続にて繰り出して多条に
植え付けることができ、しかも調節杆の長さを調節して
条間隔を任意に変更することができる。

【００１０】

【実施例】 以下この考案の実施例を図面により説明す
る。図１および２において、Ａは接地滑走体で、ここで
は、その２台が並列に設置され、後述する連結杆１１に
より連結されている。各接地滑走体Ａは、進行方向前部
をソリ状に湾曲させた底板１を備えている。この底板１
の後端部中央には、進行方向と平行する切込み溝が連続
鉢体苗Ｂの繰り出し部２として設けてある。３は底板１
両側に設けた側枠である。繰り出し部２の両側から繰り
出し口４を経て、各左右側枠３との間に、連続鉢体苗Ｂ
の規制枠５を張設し、側枠３と、規制枠５により囲まれ
た底板１上を連続集合鉢体苗Ｃを載置する連続集合鉢体
苗載置部６としてある。

【００１１】７はウェイトで底板１の後部上面で規制枠
５の外側に設けた固定棒８などにに嵌合されネジ止め固
定されている。

【００１２】繰り出し部２下面に対応して底板１に固設
したオープナー（図示せず）が設けられ、繰り出し口４
より連続して繰り出される連続集合鉢体苗を植え付ける
ための、植え付け溝を設けるもである。このオープナー
後方には、オープナーが設けた植え付け溝に、連続集合
鉢苗が順次繰り出されるための断面 Ｕ字状の誘導路９
が設けられてある。この誘導路９は連続集合鉢体苗を繰
り出し口４より、適宜の角度で接地するようにすると共
に、植え付け溝から外れないように誘導するものであ
る。１０は土寄せ体で底板１の後端部に繰り出し部２を
挟んで一対の平板状、あるいは棒状体として固設してい
るものであって、植え付け溝に植え付けられた連続集合
鉢体苗に培土するもである。

【００１３】 並列に設置した２つの接地滑走体Ａ同士
を連結する連結杆１１は、接地滑走体Ａの前部及び後部
に配置されている。連結杆１１は、各接地滑走体Ａ上に
連結杆支持枠１７を介して取付けられた中空管１２ａ、
１２ｂと、各中空管１２ａ、１２ｂに摺動可能に嵌合さ
れた調節杆１３とからなっている。前記調節杆１３のう
ち、前部側の連結杆１１に用いられる調節杆は１本の棒
状体から、後部側の連結杆１１に用いられる調節杆は、
左右に分割した２本の調節杆１３ａ、１３ｂからそれぞ
れなっている。調節杆１３（１３ａ、１３ｂ）は、図２
に示すように、その一端部が一方の中空管１２ａにピン
１４を用いて抜け不能に止められ、その他端部が他方の
中空管１２ｂに、該中空管１２ｂの上面に設けた溶接ナ
ット１５に螺合させかつ該中空管１２ｂを貫通させたボ
ルト１６により固定されている。すなわち、他方の中空
管１２ｂに対する調節杆１３（１３ａ）の嵌入深さを変
えることで、２台の接地滑走体Ａの相互間隔を任意に変
更できるようになっている。なお、図２には、後部側の
連結杆１１を示しているが、中空管１２ａ、１２ｂに対
する調節杆１３の取付構造は、前部側でも同じであるの
で、ここでは重複する説明を避ける。 連結杆支持枠１７
は、各接地滑走体Ａの左右側枠３にそれぞれ取付けられ
て、各中空管１２ａ、１２ｂの両端部を支持している。
側枠３に対する連結杆支持枠１７の取付けは、連結杆支
持枠１７の下部に設けられたピン穴と、側枠３に設けて
あるピン穴とを一致させて、これらピン穴に通したボル
ト１８を用いてなされている。

【００１４】 １９は把手で、一対の把手取り付け枠２
０ａ、２０ｂを介して前部側の連結杆１１の中空管１２
ａ、１２ｂに取付けられている。この把手取り付け枠２
０ａ、２０ｂと中空管１２ａ、１２ｂの連結は、中空管
１２ａ、１２ｂに固設した取付け金具２１に設けた左右
２箇所の孔に、把手取り付け枠２０ａ、２０ｂの先端に
設けた孔を合わせ、ボルト２２ａ、２２ｂにより固定す
るが、その際先端の孔は縦長とすることにより、ボルト
２２ａ、２２ｂの位置を変えて把手１９の高さを、引っ
張る人の身長に適宜調節することが出来る。又把手１９
は連結管１１と同じく、左右への伸縮可能な中空パイプ
と摺動パイプの構成とし、連結管１１の長さに対応でき
るものとしている。接地滑走体Ａの後部側の速結杆１１
を構成する中空管１２は、前記したように左右に分割し
た２本の調節杆１３ａ、１３ｂからなっているが、この
調節杆１３ａ、１３ｂは、断面Ｌ字形の連接ブラケット
２３を介して相互に上下方向に回動自在に連結されてい
る。すなわち、連接ブラケット２３は、図３に示すよう
に、その一側面が各調節杆１３ａ、１３ｂの端部側面に
当接させられて、水平方向へ延ばしたピン２４ａ、２４
ｂにより各調節杆１３ａ、１３ｂに対して軸着されてい
る。

【００１５】この考案は上記構成よりなるもので、並列
した接地滑走体を連接連結している連結杆１１の調節杆
１３を調整して、繰り出し部２の間隔を条間に合わせ、
載置部６上の連続集合鉢体苗の一端を畝上に固定した
後、把手１９を持ち把手１９方向に速歩程度にて接地滑
走体を並列連結して構成した移植機を引っ張ると、順次
並列状態で連続集合鉢体苗は繰り出し口４より畝上のオ
ープナーにより設けられた溝内に連続状態を維持しつ
つ、１本の帯状で繰り出され植え付けられるものであ
る。この際、各接地滑走体はウエイト７により、常時、
繰出し部２を接地状態とし、又、調節杆１３ａ、１３ｂ
を連接ブラケット２３を設けて回し回動自在にピン２４
ａ、２４ｂにて嵌合連接しているので、片方の接地滑走
体が畝面の凹凸で上下動しても他方には影響されず、常
に接地状態を維持して植え付けの繰り出しを行うもので
ある。

【００１６】

【考案の効果】 この考案は、接地滑走体を複数並列し
て、それらの相互間を調節杆を有する連結杆で連結した
ので、各接地滑走体から連続鉢体苗を繰り出して多条に
植え付けることができることはもちろん、調節杆の長さ
を調節して条間隔を任意に変更することができ、利用価
値が向上する。又、後部側の連結杆の調節杆を揺動可能
とした場合は、各接地滑走体が相互に影響を及ぼし合う
ことが少なくなるので、各接地滑走体の接地状態が維持
され、円滑な植え付けが保証される。

【００１７】

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の移植機の斜視図。

【図２】図１の要部拡大斜図。

【図３】連結杆要部拡大斜視図。

【符号の説明】

１ 底板 ２ 繰り出し部 ３ 側枠 ４ 繰り出し口 ５ 規制枠 ６ 連続集合鉢体苗載置部 ７ ウェイト ８ 固定棒 ９ 誘導路 １０ 土寄せ体 １１ 連結杆 １２ 中空杆 １３ 調節杆 １４ ネジ １５ ボルト １６ ポルト １７ 連結杆支持枠 １８ ポルト １９ 把手 ２０ 把手取り付け杆 ２１ 取付け金具 ２２ ボルト ２３ 連接ブラケット ２４ ピン

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 底板の進行方向前部を上向きに反らせ、
   後端部中央に連続集合鉢体苗の繰り出し部とした切り欠
   き溝を設け、左右両側に側枠を固設して底板上面を連続
   集合鉢体苗載置部となし、前記繰り出し部先端下面には
   オープナーを設け、該オープナー後方には連続集合鉢体
   苗誘導路を設けた接地滑走体を複数並列して、それらの
   相互間を連結杆にて連結してなる移植機において、前記
   連結杆を、並列した接地滑走体の前部及び後部に配置
   し、各連結杆は、各接地滑走体に支持枠を介して取付け
   られた中空管と、各接地滑走体上の中空管に長さ調節可
   能に嵌合固定された調節杆とから形成したことを特徴と
   する多条連続集合鉢体苗移植機。
2. 【請求項２】 並列した接地滑走体の後部に配置した連
   結杆の調節杆を、左右に分割し、該左右調節杆は側面に
   係合させた連接ブラケットを介し、それぞれ揺動自在に
   連結してあることを特徴とする請求項１に記載の多条連
   続集合鉢体苗移植機。