JP2562720B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物

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JP2562720B2 JP2177284A JP17728490A JP2562720B2 JP 2562720 B2 JP2562720 B2 JP 2562720B2 JP 2177284 A JP2177284 A JP 2177284A JP 17728490 A JP17728490 A JP 17728490A JP 2562720 B2 JP2562720 B2 JP 2562720B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は硬化性並びに硬化物の物性が優れた新規な硬
化性樹脂組成物に関するもので、特にその硬化物は強度
及び耐熱水性に優れているために、本発明樹脂組成物は
ラジカル重合性モノマーと併用して、ラジカル硬化性樹
脂の改質材、塗料、注型硬化物、積層材、成形材料など
の広範囲の用途に大変有用であり、特に繊維強化積層材
のゲルコート表面の繊維模様、ひけ、そりの少ない優れ
た表面平滑性の製品を得るのに適する。
〔従来の技術〕
不飽和ポリエステル樹脂は又はビニルエステル樹脂を
使用した繊維強化複合材料は、その樹脂の硬化収縮によ
って硬化物の表面に繊維模様、ひけ、そりなどが発生
し、製品の外観の平滑性を低下させる。
シートモルディングコンパウンド(SMC)又はバルク
モルティングコンパンド(BMC)のように増粘させて加
熱成形を行なうものは低収縮剤として熱可塑性ポリマー
(例;ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル)を添加すること
によって表面平滑性に優れる製品が得られるが、ハンド
レイアップ成形又はスプレーアップ成形によって作られ
る積層硬化物では、SMC又はBMCのように増粘できないた
めに、不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂
と熱可塑性ポリマーとの相溶性が悪いため、比較的短時
間のうちに分離が発生してしまい表面平滑性の製品が得
られない。熱可塑性ポリマー中でも比較的に不飽和ポリ
エステル樹脂又はビニルエステル樹脂との相溶性の良い
ポリマーを添加して不飽和ポリエステル樹脂又はビニル
エステル樹脂をハンドレイアップ成形又はスプレーアッ
プ成形によって常温硬化させても、樹脂の硬化発熱だけ
では十分な低収縮効果が得られなく、表面平滑性の製品
が得られない。
硬化収縮に一番関係するラジカル重合性モノマー
(例;スチレン)の量を低減することによって不飽和ポ
リエステル樹脂又はビニルエステル樹脂の硬化収縮率も
小さくなるが、その反面液状樹脂の粘度が上がり成形作
業性を悪くするという欠点を生ずる。この成形作業性を
悪くせずにラジカル重合性モノマーの量を減らす方法と
しては、エステルの分子量を小さくすることが挙げられ
る。特に不飽和ポリエステル樹脂においてはジシクロペ
ンタジエンをポリエステル主鎖に組み入れることによっ
て分子量を小さくしてラジカル重合性モノマーを減らす
ことや、ポリエステル主鎖にジエチレングリコール、ジ
プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等の線
状のジオールと、アジピン酸のような線状のジカルボン
酸を組み入れることによって液状樹脂の粘度を下げてラ
ジカル重合性モノマーの基を低減できる。しかし一般に
エステルの分子量を小さくしたりエステル主鎖を柔かく
することによって、不飽和ポリエステル樹脂又はビニル
エステル樹脂の硬化物の機械的強度と耐熱水性が低下す
るという欠点を生ずる。それゆえハンドレイアップ成形
又はスプレーアップ成形などの常温硬化による成形方法
では、不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂
を使用して、優れた機械的強度、耐熱性と優れた表面平
滑性とを兼ね備なえた繊維強化積層硬化物を得ることが
難かしい。
それゆえ、表面形状の優れた製品を得るためには、二
次加工を施して、研磨し、磨き上げるという手間のかか
る工程を入れなければならない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は従来の方法において不都合となっていた不飽
和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂における繊
維強化積層硬化物の表面平滑性を改良し、同時に優れた
硬化物物性を与える硬化性樹脂組成物の提供を課題とす
るものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結
果、例えばヒドロキシアクリレートモノマー(例;ヒド
ロキシプロピルメタクリレート)とジイソシアナート
(例;トリレンジイソシアナート)とを、ラジカル重合
性モノマー(例:スチレン)中でウレタン化触媒の存在
下でウレタン化反応させて得られるウレタンアクリレー
トおよび/又は、ヒドロキシアクリレート、ジイソシア
ナートおよび2価アルコール(例:プロピレングリコー
ル)をスチレン中で反応させて得られるウレタンアクリ
レート(1)と、マイレン酸(又は無水マイレン酸と
水)とジクロペンタジエンを反応させ、得られるモノエ
ステルと、更に2価アルコール(例:プロピレングリコ
ール)を反応させて得られるジシクロペタジエン変性不
飽和エステルおよび/又は、ジシクロペンタジエンとマ
イレン酸を反応させて得られるモノエステルと、2価ア
ルコール(例:プロピレングリコール)、不飽和二塩基
酸及びその酸無水物(例:無水マイレン酸)又は飽和二
塩基酸及びその酸無水物(例:無水フタル酸)又はこれ
らの混合物をエステル化反応させてジシクロペンタジエ
ン変性不飽和エステル(2)を得て、この2種の組成物
を配合してウレタンアクリレート変形樹脂組成物を得る
ことにより、硬化物の機械的強度、耐熱水性に優れ且
つ、繊維強化積層硬化物の表面平滑性に優れることを見
い出し本発明に至った。
なお、前記ウレタンアクリレート(1)とジシクロペ
ンタジエン変性不飽和エステル(2)の一般式は下記の
通りである。
一般式(1) 〔但し、R1、R2はH(水素原子)又はCH3(メチル基)
を表わし、R3、R4はアルキレン基を表わし、Rはジイソ
シアナートからイソシアナート基を除いた残基を表わ
し、Xは2価アルコールから水酸基を除いた残基を表わ
し、nは0〜100の整数を表わす。〕 一般式(2) 〔但し、R5は2価アルコールから水酸基を除いた残基を
表わし、Yは不飽和二塩基酸又は飽和二塩基酸からカル
ボキシ基を除いた残基を表わし、nは0〜100の整数を
表わす。〕 である。
〔作 用〕
本発明の理解を助けるために好適な実施態様によって
説明する。2価アルコール(例;プロピングリコール)
とジイソシアナート(例;4,4′−ジフェニルメタンジイ
ソシアナート)とを重合禁止剤(例;ハイドロキノン)
を添加したラジカル重合性モノマー(例;スチレン)中
でジイソシアナートを過剰にして、乾燥空気を吹き込み
ながらウレタン化触媒(例;ジブチル錫ジラウレート)
の存在下で50〜100℃てウレタン化反応を行ない。引き
続き、ヒドロキシアクリレートモノマー(例;ヒドロキ
シプロピルメタアクリレート)を残りのイソシアネート
基より水酸基が過剰になるようにして加え、ウレタン化
触媒下でウレタン反応を行ない実質上イソシアナート基
の残存しないウレタンアクリレートを簡単に得ることが
できる。
以下に2価アルコールとしてプロピレングリコール、
ジイソシアナートとして、4,4′−ジフェニルメタンジ
イソシアナート、ヒドロキシアクリレートモノマーとし
て2−ヒドロキシプロピルメタアクリレートを用いて、
ウレタンアクリレートを合成するための反応式を示す。
(但し、nは0〜100の整数を表わす。) また無水マイレン酸と水を反応してマイレン酸とし、
ジシクロペンタジエンと120〜140℃で反応しジシクロペ
ンタジエンマレート又はジシクロペンタジエンフマレー
トを作り、更に2価アルコール(例;プロピレングリコ
ール)と必要に応じて不飽和二塩基酸及びその酸無水物
(例;無水マイレン酸)又は飽和二塩基酸及びその酸無
水物(例;無水フタル酸)又はこれらの混合物をエステ
ル化反応し、ラジカル重合性モノマー(例;スチレン)
と重合禁止剤(例;ハイドロキノン)を配合することに
より簡単にジシクロペンタジエン変性不飽和エステルが
得られる。
以下にジシクロペンタジエン、水、無水マイレン酸、
2価アルコールとしてプロピレングリコール、飽和二塩
基酸として無水フタル酸を用いてジシクロペンタジエン
変性不飽和エステルを合成するための代表的な反応式を
示す。
〔但し、nは0以上の整数を表わす。〕 このようにして得られたウレタンアクリレートとジシ
クロペンタジエン変性不飽和エステルを10〜90重量部/9
0〜10重量部の比率で配合することによって硬化性樹脂
組成物が得られる。
本発明において、ウレタンアクリレートの製造に使用
可能なヒドロキシアクリレートモノマーとしては、例え
ばアクリル酸又はメタアクリル酸にエチレンオキシド、
プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン等のモノエポ
キシ化合物を付加させた2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブ
チルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、ヒドロキシ
ブチルメタアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げ
られる。
前記ジイソシアナートとしては、例えばトリレンジイ
ソシアナート(TDI)、フェニレンジイソシアナート(P
DI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、1,6−ヘキ
サメチレンジイソシアナート(HMDI)、4,4′−ジフェ
ニルメタンジイソシアナート(MDI)、イソホロンジイ
ソシアナート(IPDI)、テトラメチルキシリレンジイソ
シアナート(TMXDI)、シクロヘキサンジイソシアナー
ト(CHDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アナート(DCHMDI)等市販されている2価のイソシアナ
ートはほとんど使用できる。
2価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,3−ブタンジオール、ペンタンジオ
ール、3−メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、メチルオクタンジオール、ノナンジオール、ジ
エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフ
ェノール骨格又は水素化ビスフェノール骨格をもつ2価
アルコールなど市販されている2価アルコールはほとん
ど使用できる。
ウレタン化触媒としては、トリエチルアミン、トリエ
チレンジアミン、N−メチルモルホリン、などの第三級
アミンやナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクト
エ酸銅、ジブチル錫ジラウレートなどの有機酸塩および
有機金属化合物が用いられる。
ジシクロペンタジエン変性不飽和エステルの製造の原
料であるマイレン酸の代わりに無水マイレン酸と水を使
用してもよい。またジシクロペンタジエンとマイレン酸
の代わりに、ジシクロペンタジエンの誘導体であるジシ
クロペンタジエンマレート、ジシクロペンタジエンフマ
レート等を使用できる。また と無水マイレン酸又はマイレン酸又はフマール酸とを組
み合わせて使用することも可能である。
2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオー
ル、3−メチルペンタジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、メチルオクタンジオール、ノナンジオール、ジエチ
レングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、ビスフェノール骨格又は水素化ビスフェ
ノール骨格をもつ2価アルコールなど市販されている2
価のアルコールはほとんど使用できる。
不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、無水マイ
レン酸、マイレン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イ
タコン酸、シトラコン酸等通常の不飽和ポリエステル樹
脂に使用されるものはすべて使用できる。
飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、無水フタル
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘット
酸、セバシン酸、アジピン酸、テトラヒドロ無水フタル
酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等通常の
不飽和ポリエステル樹脂に使用されるものはすべて使用
できる。
かくして得られるウレタンアクリレート変性樹脂は分
子量が比較的に小さく且つ分子量分布が狭く、ラジカル
重合性モノマーとの相溶性が良く、低粘度てあり、分子
内にウレタン結合をもつウレタンアクリレート樹脂が配
合されるため、分子量が低くても硬化物が優れた機械的
強度、耐熱水性を示す。又、この変性樹脂は硬化物の表
面の乾燥性に優れる。
本発明に使用されるラジカル重合性モノマーとしては
不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂で用い
られる公知公用のスチレン、ビニルトルエン、α−メチ
ルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ビニ
ルナフタレン、エチルビニルエーテル、メチルビニルケ
トン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチ
ルメタアクリレート、アクリロニトリル、メタアクリロ
ニトリル等のビニル化合物及びシアリルフタレート、ジ
アリルフマレート、ジアクリルサクシネート、トリアリ
ルシアヌレート等のアリル化合物などの本発明による樹
脂と架橋可能なビニルモノマーあるいはビニルオリゴマ
ー等が挙げられ、単独あるいは併用で使用されるが一般
的にはスチレンが使用される。
本発明で使用される重合禁止剤としては、ハイドロキ
ノン、パラベンゾキノン、メチルハイドロキノン、カテ
コール等の不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル
樹脂に使用されている公知公用の重合禁止剤が挙げられ
る。本発明における硬化性樹脂組成物は通常の不飽和ポ
リエステル樹脂又はビニルエステル樹脂の硬化に使用さ
れている硬化触媒及び硬化促進剤を添加することによっ
て容易に硬化することができる。本発明に使用される硬
化触媒としてはメチルエチルケトンパーオキサイド、t
−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキ
サイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパー
オキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。硬化促進
剤としては、ナフテン酸コバルト、オクトエ酸コバル
ト、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、アセチルア
セトン等が挙げられる。
また、増感剤の存在下にて光硬化及び紫外線硬化をさ
せることが可能である。
本発明における硬化性樹脂組成物は、通常の不飽和ポ
リエステル樹脂又はビニルエステル樹脂と同様にして、
繊維補強材を使用して容易に繊維強化積層硬化物を得る
ことができる。繊維補強材としてはガラス繊維、ポリエ
ステル繊維、ビニロン繊維、炭素繊維、ポリアミド繊
維、スチールファィバーなどの繊維のチョップドストラ
ンドマット、ロービング、ロービングクロスなど織物、
編物、糸状不織布のものなど市販のあらゆる繊維が使用
できる。
かくしてウレタンアクリレート変性樹脂と繊維補強材
とから得られる繊維強化積層硬化物は優れた機械的強
度、耐熱水性を示し且つ、繊維の模様、ひけ、そりの少
ない優れた表面平滑性を示す。
〔実施例〕
次に本発明をより詳細に説明するために合成例及び実
施例を示すが、これらをもって本発明の範囲を限定する
ものではない。なお、特に断らない限り、例中の部は重
量部である。
ウレタンアクリレートの合成 合成例1 温度計、還流装置、撹拌羽根、乾燥空気吹き込み口、
滴下ロートを備えた4つ口フラスコにスチレン1500部と
ハイドロキノン1.5部と4,4′−ジフェニルメタンジイソ
シアナート1900部を仕込み、乾燥空気を少量吹き込みな
がら撹拌し、混合物を60℃まで昇温した。プロピレング
リコール260部とジブチル錫ジラウレート0.1部の混合物
を滴下ロートから、ウレタン化反応による急激な発熱に
注意しながら1時間にわたって滴下しながら加えた。滴
下終了後液温を65〜75℃に30分間保ち、ジブチル錫ジラ
ウレート0.5部を滴下して加えて液温を65〜75℃に30分
間保った後に、ヒドロキシプロピルメタアクリレート13
40部とジブチル錫ジラウレート0.2部の混合物を滴下ロ
ートから1.5時間にわたって発熱に注意しながら加え
た。滴下終了後、液温を65〜75℃に30分間保ち、ジブチ
ル錫ジラウレート1.0部を滴下して加え、液温を65〜75
℃に1時間保ち、更にジブチル錫ジラウレート2.0部を
滴下して加えて液温を65〜75℃に1時間保ったのちに、
赤外吸収スペクトルを測定してイソシアナート基の吸収
ピークの消失を確認し反応を終了した。樹脂液を冷却し
て、25℃で粘度54ポアズの組成物(A)を得た。
合成例2 合成例1と同様にして4,4′−ジフェニルメタンジイ
ソシアナート1800部、スチレン1000部、ハイドロキノン
1.5部を仕込み、ヒドロキシプロピルメタアクリレート2
200部、ジブチル錫ジラウレート0.2部を滴下して加えて
反応し、粘度22ポアズの組成物(B)を得た。
合成例3 合成例1と同様にして、テトラメチルキシリレンジイ
ソシアナート2010部、スチレン1250部、ハイドロキノン
1.5部を仕込み、3−メチルペンタジオール430部、ジブ
チル錫ジラウレート0.1部を滴下して加えて反応し、続
いて2−ヒドロキシエチルメタアクリレート1310部、ジ
ブチル錫ジラウレート0.2部を滴下して加えて反応し、
粘度11ポアズの組成物(C)を得た。
合成例4 合成例1と同様にして、2,4−トリレンジイソシアナ
ート1490部、スチレン1020部、ハイドロキノン1.5部を
仕込み、ヒドロキシプロピルメタアクリレート2600部、
ジブチル錫ジラウレート0.2部を滴下して加えて反応
し、粘度3.8ポアズの組成物(D)を得た。
ジシクロペンタジエン変性不飽和エステルの合成 合成例5 通常の不飽和ポリエステルの反応装置を使い、ジシク
ロペンタジエン2000部、水270部を仕込み、無水マイレ
ン酸1355部を4回に分けて加えて70〜100℃で反応した
後に、125〜135℃に2時間保ち、プロピレングリコール
565部を加えて通常の方法にて脱水縮合反応を行ない酸
価15mgKOH/gになったところで反応をやめ、ハイドロキ
ノン0.5部、スチレン1250部を加えて溶解し、酸価11.2m
gKOH/g、粘度5.5ポアズの組成物(E)を得た。
合成例6 合成例5と同様にして、ジシクロペンタジエン1880
部、水250部、無水マレイン酸1275部、ネオペンチルグ
リコール745部を反応して、ハイドロキノン0.5部、スチ
レン1250部を溶解し、酸価11.6mgKOH/g、粘度6.3ポアズ
の組成物(F)を得た。
合成例7 合成例5と同様にして、ジシクロペンタジエン1400
部、水190部、無水マイレン酸945部、プロピレングリコ
ール770部、無水フタル酸715部を反応し、ハイドロキノ
ン0.5部、スチレン1250部を溶解して、酸価13.1mgKOH/
g、粘度25ポアズの組成物(G)を得た。
実施例1 組成物(A) 200部 組成物(E) 200部 スチレン 55部 6%ナフテン酸コバルト 2部 を配合し、55%のメチルエチルケトンパーオキサイド4
部を加えて混合し常温硬化させて、3mm厚のシート状注
型硬化物及び13×13×130mmの注型硬化物を作った。こ
れを100℃で2時間後硬化したのち、JISに準じて引張り
試験、曲げ試験、熱変形温度測定、煮沸試験の試験片を
作製し、試験を行なった。
次にあらかじめ離型処理したガラス板に約0.3mmの厚
さにゲルコート樹脂を塗布して硬化させて常温に16時間
おいた上に、上記の配合樹脂を用いて35×35cmの大きさ
の450g/m2のガラスチョップドストランドマット570g/m2
のガラスロービングクロスを使ってマット、マット、ロ
ービングクロス、マット、ロービングクロスの順に5層
積層して硬化させた。樹脂がゲル化してから1日おい
て、積層硬化物のバーコル硬度(JIS K 6911 934−
1)が最終硬度の80%以上であることを確認してから脱
型し、脱型後1日おいて積層板の1部を切断して50℃の
オーブンに3時間入れた。積層板の表面(ゲルコートの
面)の状態を目視並びに塗装面などの表面平滑性の評価
として優れる写像性測定機(スガ試験機(株)ICM−1D
P)にて評価した。同様にして積層板を作り、樹脂がゲ
ル化後5時間して最終硬度の80%に満たないうちに脱型
し、同様にして積層板の表面の平滑性を評価した。
実施例2 組成物(B) 200部 組成物(G) 200部 スチレン 64部 6%ナフテン酸コバルト 2部 を配合し、55%メチルエチルケトンパーオキサイド4部
を加えて混合し、実施例1と同様にして試験片を作り、
試験を行なった。また、実施例1と同様にして積層板を
作製し、表面状態を評価した。
実施例3 組成物(C) 200部 組成物(F) 200部 スチレン 32部 6%ナフテン酸コバルト 2部 を配合し、55%メチルエチルケトンパーオキサイド4部
を加えて混合し、実施例1と同様にして試験片を作り、
試験を行なった。また実施例1と同様にして積層板を作
製し、表面状態を評価した。
実施例4 組成物(D) 200部 組成物(F) 200部 スチレン 32部 6%ナフテン酸コバルト 2部 を配合し、55%メチルエチルケトンパーオキサイド4部
を加えて混合し、実施例1と同様にして試験片を作り、
試験を行なった。また実施例1と同様にして積層板を作
製し、表面状態を評価した。
実施例5 組成物(A) 200部 組成物(G) 200部 スチレン 80部 6%ナフテン酸コバルト 2部 を配合し、55%メチルエチルケトンパーオキサイド4部
を加えて混合し、実施例1と同様にして試験片を作り、
試験を行なった。また実施例1と同様にして積層板を作
製し、表面状態を評価した。
比較例 通常の不飽和ポリエステル樹脂の反応装置を使い、プ
ロピレングリコール1590部、イソフタル酸1265部、無水
マイレン酸1120部を仕込んで通常の方法にて脱水縮合反
応を行ない酸価28mgKOH/gになったところで反応をや
め、冷却してハイドロキノン0.5部とスチレン1500部を
加えて溶解し酸価19.5mgKOH/g、25℃の粘度45ポアズの
樹脂組成物(I)を得た。実施例1と同様にして樹脂組
成物(I)250部、スチレン50部、6%ナフテン酸コバ
ルト1.5部、5%メチルエチルケトンパーオキサイド3
部を混合して、注型硬化物を作製して物性試験を行なっ
た。次に上記配合樹脂組成物を使い実施例1と同様にし
て積層板を作り、表面の状態を評価した。
実施例において作製した樹脂組成物の粘度及び注型硬
化物の物性試験の測定値と積層板の表面の状態の評価結
果を表1に示す。
表1において煮沸試験の評価は、○変化なし、Δ少し
変化あり、×変化ありをそれぞれ表わし、積層板の目視
の評価は◎平滑性に大変優れる。○平滑性に優れる、Δ
ふつう、×劣る、をそれぞれ表わし、( )内は50℃3
時間オーブンに入れたものの値を表わし、写像性の値
は、100%に近いほど鏡面の近く、0に近くなるほど表
面状態が悪いことを表わしている。写像性の測定は入射
角60度で0.5mmのくし形のパターンにて行なった。
〔発明の効果〕 本発明によれば、ヒドロキシアクリレートモノマー、
ジイソシアナート、必要に応じて2価アルコールをウレ
タン化反応させることにより、高性能なウレタンアクリ
レートを得て、またジシクロペンタジエン又はその誘導
体、無水マイレン酸と水又はマイレン酸、更に2価アル
コール、必要に応じて不飽和二塩基酸、その酸無水物、
飽和二塩基酸、その酸無水物又はこれらの混合物をエス
テル化反応させることにより、ジシクロペンタジエン変
性不飽和エステルを得て、この2つの組成物を配合する
ことにより、高性能な樹脂組成物が極めて容易に得ら
れ、また得られる樹脂組成物の硬化物は極めて、良好な
機械的強度、耐熱水性、表面乾燥性を示し、特に繊維強
化積層硬化物の表面状態の極めて良好な改良を示し、ヒ
ドロキシアクリレートモノマー、ジイソシアナート、2
価アルコール、飽和二塩基酸、不飽和二塩基酸の種類を
変えることにより多種多様のものが製造可能であり、更
に本発明による硬化性樹脂組成物は、不飽和ポリエステ
ル樹脂又はビニルエステル樹脂に添加するだけで大変良
好な改質材となり、機械的強度、耐熱水性、表面乾燥性
及び繊維強化積層硬化物の表面状態を簡単に向上させる
ことができ、本発明による樹脂組成物単独及びに改質材
として塗料、注型物、ライニング材、積層材、成形材料
などの広範囲の用途に大変有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1により得られたウレタンアクリレート
変性樹脂の赤外吸収スペクトルである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1)で表わされるウレタンアクリ
    レート10〜90重量部と、一般式(2)で表わされるジシ
    クロペンタジエン変性不飽和エステル90〜10重量部より
    成る硬化性樹脂組成物。 一般式(1) 〔但し、R1、R2はH(水素原子)又はCH3(メチル基)
    を表わし、R3、R4はアルキレン基を表わし、Rはジイソ
    シアナートからイソシアナート基を除いた残基を表わ
    し、Xは2価アルコールから水酸基を除いた残基を表わ
    し、nは0〜100の整数を表わす。〕 一般式(2) 〔但し、R5は2価アルコールから水酸基を除いた残基を
    表わし、Yは不飽和二塩基酸又は飽和二塩基酸からカル
    ボキシル基を除いた残基を表わし、nは0〜100の整数
    を表わす。〕
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の硬化性樹脂組
    成物に対して、ラジカル重合性モノマーを配合してなる
    硬化性樹脂組成物。
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