JP2562626B2 - 車両の操舵制御装置 - Google Patents

車両の操舵制御装置

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JP2562626B2
JP2562626B2 JP62284046A JP28404687A JP2562626B2 JP 2562626 B2 JP2562626 B2 JP 2562626B2 JP 62284046 A JP62284046 A JP 62284046A JP 28404687 A JP28404687 A JP 28404687A JP 2562626 B2 JP2562626 B2 JP 2562626B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車両の操舵装置に関するもので、更に詳し
くは、タイヤの路面などの環境や状態の変化に応じた最
適制御を行うことにより車両の操縦性や安定性を向上さ
せた車両の操舵装置に関するものである。
〔従来の技術およびその問題点〕
一般に車両の運動性能及び操舵安定性は運転者のハン
ドル操作すなわち操舵入力に対する車両のヨーレート
(車両の上方からみてその重心回りに生ずる回転角速
度)または横加速度(車両の重心に車両進行方向とは直
角方向、すなわち車両並進方向の加速度)の関係が重要
な要素となっている。
そして車両は、横風などの外乱に影響されることな
く、操舵入力に対応した素早い運動や直進走行時にその
進路が運転者の意志のままに直進するような安定性を確
保されるのが理想である。
ところで、車両に上記のような運動性や安定性を持た
せるために特開昭60−161266号のように、フィードフォ
ワード型制御とフィードバック型制御を組み合わせた装
置が考案されており、この装置では第2図に示すように
ハンドル角からヨーレートまたは横加速度の係数倍を減
じた値に、前記減じた値の微分値を加えた値で制御する
方法や、第3図に示すようなハンドル角と該ハンドル角
の微分値に係数をかけた値の和をフィードフォワード信
号として後輪の補助操舵に用い、車両の挙動をネガディ
ブフィードバック信号として前輪の補助操舵に用いるよ
うに制御する方法を用いることにより、フィードバック
制御とフィードフォワード制御を兼ね備えた制御を行
い、それによってフィードフォワード型制御の欠点とフ
ィードバック型制御の欠点をそれぞれ打ち消すように制
御するとしている。
しかしながら、上記補助操舵装置においては、例えば
運転者が障害物回避のような急操舵を実施した場合は、
上記微分値の影響による制御量で補助操舵量が急激に増
加するので車両が急激に方向を転換し始め、これによっ
て運転者に精神的負担を増加して極度に達し、ひいては
ハンドルの切り過ぎによる安定性の欠如からの突発事故
を誘発しかねない。また、高速道路などの比較的大きな
半径で旋回するときには、上記微分値はほとんど車両の
運動に影響を与えず、その結果として、フィードフォワ
ード信号が小さくなり、車両全体として考えるとアンダ
ーステアを増加することとなり、その結果車両の運動性
は悪化する。更に、横風や轍、段差などの影響により車
両に外力が加わる場合、運転者はこれらの不意の外乱に
対して慌てて当て舵等をするため、この急激な当て舵の
影響による前記微分値の増加で実舵角は切り増し過ぎて
予想以上の運動を引き起こす可能性がある。
前記不具合は、従来装置の補助操舵装置ではハンドル
角の値とハンドル角の微分値に係数を掛けた値の2つを
用いてフィードフォワード制御を行ったため、通常の操
舵装置と比較して微分値の影響が大きく出過ぎてしま
い、思うような制御を行うことが出来ないことに起因す
る。また微分値にかかる係数を小さくすると車両全体の
ゲインが低下し、制御系全体としてみるとフィードバッ
ク制御とあまり変わらないものとなってしまう。すなわ
ち、最適な制御は上記補助操舵装置では達成されないこ
とになる。
また、第3図のような補助操舵装置では前後輪それぞ
れ独立に異なった制御を行うため、前輪の動きと後輪の
動きをそれぞれ制御しなおかつ装置も複雑化してくるた
め、それらに伴う重量増加などの影響で本来目標とした
制御効果が得られない場合が多い。
本出願人は、かかる従来技術の問題点に鑑み、先に、
これら問題を解決した車両の操舵制御装置を開発した
(特願昭62−23261号)。この車両の操舵制御装置は、
第4図に示す如く、車両の操舵量を制御する操舵制御装
置において、ハンドルの操舵角を検出する操舵センサI
と、車両の挙動量を検出する挙動センサIIと、前記操舵
センサIより出力された操舵角信号をそのまま出力する
操舵角信号回路III11と、前記操舵角信号を係数倍する
第1係数器III12を有する操舵角信号演算回路III13と、
前記操舵角信号から操舵角速度信号を演算する微分回路
III14と該微分回路III14から出力された操舵角速度信号
を係数倍する第2係数器III15とからなる操舵角速度信
号演算回路III16と、前記操舵角信号回路III11と前記操
舵角信号演算回路III13と前記操舵角速度信号演算回路I
II16とから得られる信号を加算する加算器III17とから
なり、該加算信号をフィードフォワード制御信号として
発生させるフィードフォワード信号演算手段III1と、前
記挙動センサIIより出力された挙動量信号を係数倍する
第3係数器III21を有する挙動量信号演算回路III22から
なり、該挙動量信号演算回路III22から得られる信号を
フィードバック制御信号として発生させるフィードバッ
ク信号演算手段III2と、前記フィードフォワード信号演
算手段III1と前記フィードバック信号演算手段III2から
出力された信号を加減算して操舵制御信号とする加減算
器III31を有する制御信号演算手段III3と、車両状態検
出センサIVおよび/または外部環境状態検出センサVII
から得られた車両状態量信号および/または外部環境状
態量信号に基づいて第1係数器III12、第2係数器II
I15、第3係数器III21の係数を変更するゲイン変更手段
III4と、からなる制御手段IIIと、前記制御手段IIIの出
力である操舵制御信号をパワー増幅する駆動手段IVと、
前記駆動手段IVにて増幅された出力に基づき前輪または
後輪の少なくとも何れか一方の転舵輪に最適な転舵角を
与えるように制御するアクチュエータ手段Vとを具備し
てなる。
これにより、前記の影響をδの係数倍の値で上記悪
影響を相殺して前記従来技術の問題点を解決し、より安
全な走行を確保し優れた車両の操縦安定性を確保すると
ともに、更にゲイン変更手段III4により、車両の操縦性
や安定性を一層向上させることができた。
しかしながら、この車両の操舵制御装置では、例え
ば、運転者が低μ路において高μ路と同様な急操舵を行
った場合、操舵制御系は車両の応答性を向上させるよう
な操舵命令を出しているにもかかわらず、ヨーレートの
立ち上がりが遅いなど車両の応答性が高μ路に比較して
悪化する。そのため、ドライバーはさらにハンドルを切
り、そのハンドル操作に対応して、操舵制御系は車両の
応答性を向上させる方向に操舵命令を出すことになる。
つまり、操舵制御系はドライバーのハンドルの切りすぎ
を助長することになり、従って、車両の安定性を損ねて
車両のふらつきやスピン等を生じ、事故を誘発する虞れ
が生じる。これは、低μ路においては、操舵制御系はド
ライバーの急なハンドル操作をおさえるように働くべき
であり、高μ路とは背反する要素を持つためである。
また、路面の凹凸により、前記フィードバックおよび
フィードフォワード制御を行うために用いる操舵角信号
や挙動量信号に急激な変化や大きなノイズが生じる可能
性があり、この信号が制御量として用いられた場合、ド
ライバーの意図しない危険な操舵を行う虞れがある。さ
らに、操舵センサや挙動センサが故障した場合にも、上
記路面形状による悪影響を生じた場合と同様な結果を生
ずる虞れがある。これらは、車両のおかれている状況、
状態にかかわらずセンサ出力値をそのまま係数倍したも
のを用いてフィードバック制御およびフィードフォワー
ド制御を行うためである。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、横風や外乱などに対する車両の挙動
修正能力が高く、かつ操舵入力に対する車両の挙動変化
の応答性を高めるような操舵制御系にたいして、車両の
置かれている内外部の環境状態の変化に対応した最適な
操舵を可能とすることである。
上記従来技術の不具合は、路面とタイヤ間の摩擦
(μ)の変化に対する適応性が十分でないことにある。
そこで、本発明者らは、路面とタイヤ間のμの変化に応
じてフィードバック制御系および/またはフィードフォ
ワード制御系の係数器の係数(ゲイン)を変更するこ
と、及び車両の挙動量から推定したμに基づいて係数器
の係数を決定することにより、上記問題点を解決するこ
とに着眼した。
すなわち、タイヤのスリップが生じない場合でも、例
えばドライバーの操舵に対する車両の挙動量信号の大き
さなどを良路の場合と比較すること等によりμを推定
し、該推定μを用いて例えばヨーレートフィードバック
のゲインを調整することにより、少しのヨーレート等の
挙動変化に対してもそれを抑える方向に操舵制御系を働
かすことが可能となる。さらに、路面の凹凸等を検出す
ることにより大きなノイズが混入する可能性が高い悪
路、あるいはセンサが故障した場合等においても、フィ
ードバック制御系および/またはフィードフォワード制
御系の係数器のゲインを小さくすることにより、前記問
題の影響を除去することが可能となる。
〔発明の説明〕
発明の構成 本発明の車両の操舵制御装置は、第1図に示すように
車両の操舵量を制御する操舵制御装置において、ハンド
ルの操舵角を検出する操舵センサIと、車両の挙動量を
検出する挙動センサIIと、車速や積載荷重、車輪にかか
る荷重、車輪の回転数等の車両状態量を検出する車両状
態検出センサVIと、前記操舵センサIより出力された操
舵角信号をそのまま出力する操舵角信号回路III11と、
前記操舵角信号を係数倍する第1係数器III12を有する
操舵角信号演算回路III13と、前記操舵角信号から操舵
角速度信号を演算する微分回路III14と該微分回路III14
から出力された操舵角速度信号を係数倍する第2係数器
III15とからなる操舵角速度信号演算回路III16と、前記
操舵角信号回路III11と前記操舵角信号演算回路III13
前記操舵角速度信号演算回路III16とから得られる信号
を加算する加算器III17とからなり、該加算信号をフィ
ードフォワード制御信号として発生させるフィードフォ
ワード信号演算手段III1と、前記挙動センサIIより出力
された挙動量信号を係数倍する第3係数器III21を有す
る挙動量信号演算回路III22からなり、該挙動量信号演
算回路III22から得られる信号をフィードバック制御信
号として発生させるフィードバック信号演算手段III
2と、前記フィードフォワード信号演算手段III1と前記
フィードバック信号演算手段III2から出力された信号を
加減算して操舵制御信号とする加減算器III31を有する
制御信号演算手段III3と、前記制御信号演算手段III3
り出力された操舵制御信号と前記車両状態検出センサVI
より出力された車両状態量信号とから車両の挙動量を推
定する車両挙動量推定手段III41と、該車両挙動量推定
手段III41より出力された車両挙動量推定信号と前記挙
動センサIIより出力された挙動量信号とから路面とタイ
ヤ間の摩擦(μ)を推定するμ推定手段III42と、前記
μ推定手段より出力されたμ推定信号に基づいて第1係
数器III12、第2係数器III15、第3係数器III21の少な
くとも1つの係数器の係数を変更する係数器係数変更手
段III43とからなり、係数器に最適な係数を付与するゲ
イン変更手段III4と、からなる制御手段IIIと、前記制
御手段IIIの出力である操舵制御信号をパワー増幅する
駆動手段IVと、前記駆動手段IVにて増幅された出力に基
づき前輪または後輪の少なくとも何れか一方の転舵輪に
最適な転舵角を与えるように制御するアクチュエータ手
段Vとを具備してなる。
発明の作用 上記構成よりなる本発明の車両の操舵制御装置の作用
は、次の通りである。すなわち、操舵センサIに於い
て、ハンドルにおける操舵角を検出して操舵角に相当す
る電気信号などに変換する。また、挙動センサIIに於い
て、車両の挙動変化量を検出して前記変化量に相当する
電気信号などに変換する。また、車両状態検出センサVI
に於いて、車速や積載荷重、車輪にかかる荷重、車輪の
回転数等の車両状態量を検出して前記車両状態量に相当
する電気信号などに変換する。
次に、制御手段IIIに於いて、先ず、前記操舵センサ
I及び挙動センサIIから出力された電気信号などを操舵
角に対する車両の挙動を最適にするため、操舵角をその
まま出力する操舵角信号回路III11と、操舵角の実舵角
に対する大きさ(係数G1)を補正するための第1係数器
III12を有する操舵角信号演算回路III13と、操舵角を微
分的に与えるための微分回路III14と第2係数器III15
からなる操舵角速度信号演算回路III16とからなるフィ
ードフォワード信号演算手段III1により、ハンドル操舵
量δは前記フィードフォワード信号演算手段III1によ
り、δ+G1・+G2・δという値のフィードフォワード
信号に変換され、ハンドル操舵量以上の舵角を与えるこ
とにより操舵に対する車両の応答性を高める。
また、車両の挙動量を検出する挙動センサIIからの信
号にフィードバック量を決定する係数G3を乗算する第3
係数設定器III21を有する挙動量信号演算回路III2では
車両挙動量αをG3・αという値のフィードバック信号に
変換し、車両挙動量が突変したときこれを抑えるように
操舵することにより車両の安定性を向上させる。
そして、前記フィードフォワード信号とフィードバッ
ク信号演算手段から発生される信号を前記制御信号演算
手段III3の加減算器III31において加減算して操舵制御
信号を発生させる。
次いで、前記操舵制御信号を駆動手段IVに於いてアク
チュエータを駆動するためのアクチュエータ駆動信号に
増幅し、このアクチュエータ駆動信号をアクチュエータ
手段Vに於いて前輪又は後輪の少なくとも一方の転舵輪
に最適な転舵角を与えるようにアクチュエータを駆動す
る。
ところで、ゲイン変更手段III4では、先ず、車両挙動
量推定手段III41により、前記制御信号演算手段III3
り出力された操舵制御信号と前記車両状態検出センサVI
より出力された車両状態量信号とから車両の挙動量を推
定する。次に、μ推定手段III42により、該車両挙動量
推定手段III41より出力された車両挙動量推定信号と前
記挙動センサIIより出力された挙動量信号とから路面と
タイヤ間の摩擦(μ)を推定する。次いで、係数器係数
変更手段III43により、前記μ推定手段より出力された
μ推定信号に基づいて第1係数器III12、第2係数器III
15、第3係数器III21の少なくとも1つの係数器の係数
を変更することにより、係数器に現在のタイヤ及び/又
は路面の状況に応じた最適な係数を付与する。
発明の効果 従来の技術では、フィードフォワード信号はハンドル
角の微分値に係数G2をかけた値を加えただけなので、例
えば急操舵を実施した場合にはハンドル角δとハンドル
角の微分値が出力され、これにより車両が大きく旋回
し始め、ドライバーにとっては思いがけない運動を発生
することとなり、ドライバーは煩雑なハンドル操作を余
儀なくされる。また、例えば、μが低い路面上で高μと
同様な操舵をした場合や上記操舵制御信号の係数(G)
を切り換えなかったなどの場合には、操舵のしすぎによ
る車両のふらつきやスピン等が起こり、大変危険であ
る。
これに対して、本発明では前記の影響をδの係数倍
の値で上記悪影響を相殺するともに、前記μ推定値に基
づいて係数(G1、G2、G3)を現在のタイヤ及び/又は路
面の状況に応じた最適なものへと自動的に変更するの
で、上述のような従来技術の問題点を生じさせないと共
に、ドライバーがμ変化に気付かない場合に対してもよ
り安全な走行を確保でき、優れた車両の操縦安定性を実
現することが可能となる。
〔実施態様の説明〕
第一実施態様 本発明の第一実施態様は、第5図のブロック図に示さ
れるものであり、車両挙動量推定手段III41が、前記制
御信号演算手段III3より出力された操舵制御信号と前記
車両状態検出センサVIより出力された車両状態量信号と
から車両の挙動量を推定してなり、μ推定手段III
42が、該車両挙動量推定手段III41より出力された車両
挙動量推定信号と前記挙動センサIIより出力された挙動
量信号のピーク値を比較する比較手段III421と、該比較
手段III421より出力された結果よりμを推定するμ判定
手段III422とを具備してなる。
ここで、前記ピーク値の比較は、例えば、前記車両挙
動量推定信号と挙動量信号の各々のピーク値の大きさ又
は/及び両者のピークが生じるまでの位相差を比較する
ことにより行う。
このような構成上の特徴を有する第一実施態様の作用
および効果について説明する。
先ず、車両挙動量推定手段III41では、前記制御信号
演算手段III3より出力された操舵制御信号と前記車両状
態センサVIより出力された車両状態量信号と前記制御信
号演算回路III31より出力された操舵制御信号とから良
路走行時の車両挙動を数学モデル化した車両モデルに基
づいて車両の挙動量を推定する。
また、μ推定手段III42では、先ず比較手段III421
おいて、前記車両挙動量推定手段III41より出力された
車両挙動量推定信号、すなわち、現在の操舵角と車両状
態量と操舵制御量を示す信号に対して良路走行時におい
て生じる例えばヨーレート及び/又は横加速度を推定
し、そのピーク値を求め、次に前記挙動センサIIより出
力されたヨーレートや横加速度等の挙動量信号のピーク
値を求めて両者を比較する。この比較は、例えば、両者
のピーク値の大きさ又は/及び両者のピークが生じるま
での位相差を比較することにより行う。次いで、μ判定
手段III422において、該比較手段III421より出力された
結果よりμを推定する。
上記のようにすることにより、従来では停発進時にお
けるタイヤのスリップ率からμの推定を行っていたのに
対して、本発明では車両の挙動量からμを推定すること
により、定常走行時にタイヤのコーナリングフォースを
決定するμを推定することが可能になった。
従って、車両の走行中の環境の変化に基づく路面変化
状況を車両の挙動量より推定し該推定値を用いて係数器
の係数を設定することにより、状況適応性に勝れた操舵
制御系を構成でき、完全で優れた操縦安定性を付与し得
るという効果を奏することができる。
第二実施態様 本発明の第二実施態様は、第6図のブロック図に示さ
れるものであり、ゲイン変更手段III4が、前記制御信号
演算手段III3より出力された操舵制御信号と前記車両状
態検出センサVIより出力された車両状態量信号とから車
両の挙動量を推定する車両挙動量推定手段III41と、該
車両挙動量推定手段III41より出力された車両挙動量推
定信号と前記挙動センサIIより出力された挙動量信号と
からタイヤと路面間のμを推定するμ推定手段III
42と、前記車両状態検出センサVIより出力された車両状
態量信号とから車輪のスリップ率を算出するスリップ率
算出手段III44と、前記μ推定手段III42より出力された
μ推定信号および前記スリップ率算出手段III44より出
力されたスリップ率信号に基づいて第1係数器III12
第2係数器III15、第3係数器III21の少なくとも1つの
係数器の係数を変更する係数器係数変更手段とからな
る。
このような構成上の特徴を有する第二実施態様の作用
および効果について説明する。
ゲイン変更III4では、先ず、車両挙動量推定手段III
41において、前記制御信号演算手段III3より出力された
操舵制御信号と前記車両状態検出センサVIより出力され
た車両状態量信号とから車両の挙動量を推定する。次
に、μ推定手段III42により、該車両挙動量推定手段III
41より出力された車両挙動量推定信号と前記挙動センサ
IIより出力された挙動量信号とからタイヤと路面間のμ
を推定する。次いで、スリップ率算出手段III44によ
り、前記車両状態検出センサVIより出力された車両状態
量信号である車速と車輪の回転数に基づき車輪のスリッ
プ率を算出する。更に、係数器係数変更手段III43によ
り、前記μ推定手段III42より出力されたμ推定信号お
よび前記スリップ率算出手段III44より出力されたスリ
ップ率信号に基づいて第1係数器III12、第2係数器III
15、第3係数器III21の少なくとも1つの係数器の係数
を変更する。
上記のようにすることにより、スリップ率をゲイン変
更の判断量としたので、例えば、低μ路における発進停
止、或いは急な加減速時における車両のふらつきやスピ
ンを防止するなど安定性を向上させるゲインに変更する
必要が生じた場合に、該変更を車両挙動量に変化が生ず
るよりも前に行うことが可能となる。
従って、車両走行時の外部環境の変化に伴う路面状態
の変化に対応した操舵制御に加え、ドライバーのアクセ
ル操作に伴う加減速時をはじめとする駆動力変化時の車
輪の変化状況に応じた操舵制御を付与することが可能と
なり、車両の安全性を高め、操舵安定性を格段に向上さ
せることができる。
第三実施態様 本発明の第三実施態様は、第7図のブロック図に示さ
れるものであり、ゲイン変更手段III4が、前記制御信号
演算手段III3より出力された操舵制御信号と前記車両状
態検出センサVIより出力された車両状態量信号とから車
両の挙動量を推定する車両挙動量推定手段III41と、該
車両挙動量推定手段III41より出力された車両挙動量推
定信号と前記挙動センサIIより出力された挙動量信号と
からμを推定するμ推定手段III42と、前記車両状態検
出センサVIより出力された車両状態量信号から路面の形
状を推定する路面形状推定手段III45と、前記μ推定手
段III42より出力されたμ推定信号および前記路面形状
推定手段III45より出力された推定路面形状信号に基づ
いて第1係数器III12、第2係数器III15、第3係数器II
I21の少なくとも1つの係数器の係数を変更する係数器
係数変更手段III43とからなる。
このような構成上の特徴を有する第三実施態様の作用
および効果について説明する。
ゲイン変更手段III4では、先ず、車両挙動量推定手段
III41において、前記制御信号演算手段III3より出力さ
れた操舵制御信号と前記車両状態検出センサVIより出力
された車両状態量信号とから車両の挙動量を推定する。
次に、μ推定手段III42により、該車両挙動量推定手段I
II41より出力された車両挙動量推定信号と前記挙動セン
サIIより出力された挙動量信号とからμを推定する。次
いで、路面形状推定手段III45により、前記車両状態検
出センサVIより出力された車速や各輪のサスペンション
変位や速度等の車両状態量信号を基に各輪の接地してい
る路面の形状を推定する。更に、係数器係数変更手段II
I43により、前記μ推定手段III42より出力されたμ推定
信号および前記路面形状推定手段III45より出力された
推定路面形状信号に基づいて第1係数器III12、第2係
数器III15、第3係数器III21の少なくとも1つの係数器
の係数を変更する。
従来では、サスペンションを通じて車両に伝わる路面
の凹凸による振動が、挙動センサにも影響を与え、この
振動の影響を受けた挙動信号が操舵制御信号に用いられ
るために誤動作を生じる原因となっていた。
本第三実施態様では、上記のようにすることにより、
推定路面形状信号をゲイン変更手段の判断量としたの
で、路面形状に対する操舵制御系の安全性および信頼性
をさらに一層向上させることができる。
従って、車両走行時の外部環境変化、ドライバーアク
セル操作による車輪スリップ状態量に加え、走行路面状
態の変化に応じた最適な操舵制御を付与することが可能
となり、車両の安全性を向上させるとともに、車両の操
縦安定性を著しく向上させるという特有の効果を奏する
ことができる。
第四実施態様 本発明の第四実施態様は、第8図のブロック図に示さ
れるものであり、ゲイン変更手段III4が、前記制御信号
演算手段III3より出力された操舵制御信号と前記車両状
態検出センサVIより出力された車両状態量信号とから車
両の挙動量を推定する車両挙動量推定手段III41と、該
車両挙動量推定手段III41より出力された車両挙動量推
定信号と前記挙動センサIIより出力された挙動量信号と
からタイヤと路面間のμを推定するμ推定手段III
42と、前記操舵センサIと挙動センサIIおよび車両状態
検出センサVIの異常を検出するセンサ異常検出手段III
46と、前記μ推定手段III42より出力されたμ推定信号
および前記センサ異常検出手段III46より出力されたセ
ンサ異常検出信号に基づいて第1係数器III12、第2係
数器III15、第3係数器III21の少なくとも1つの係数器
の係数を変更する係数器係数変更手段III43とからな
る。
このような構成上の特徴を有する第四実施態様の作用
および効果について説明する。
ゲイン変更手段III4では、先ず、車両挙動量推定手段
III41において、前記制御信号演算手段III3より出力さ
れた操舵制御信号と前記車両状態検出センサVIより出力
された車両状態量信号とから車両の挙動量を推定する。
次に、μ推定手段III42により、該車両挙動量推定手段I
II41より出力された車両挙動量推定信号と前記挙動セン
サIIより出力された挙動量信号とからタイヤと路面間の
μを推定する。次いで、センサ異常検出手段III46によ
り、前記操舵センサIと挙動センサIIおよび車両状態検
出センサVIの出力値が、予め設定された設定値、すなわ
ち車両運動からみて予め設定された出力値の上下限値を
越えた場合や、各センサの出力値を互いに比較し車両運
動上生じないと考えられる場合において、前記センサの
異常を検出する。更に、係数器係数変更手段III43によ
り、前記μ推定手段III42より出力されたμ推定信号お
よび前記センサ異常検出手段III46より出力されたセン
サ異常検出信号に基づいて第1係数器III12、第2係数
器III15、第3係数器III21の少なくとも1つの係数器の
係数を変更する。
上記のようにすることにより、センサ異常により生ず
る操舵制御系の誤動作を防止することができ、より一層
の安全性及び信頼性の向上を図ることができる。
従って、車両の走行時の外部環境変化やドライバーの
操作による状態変化等に適応した最適な操舵制御を付与
する場合において、ドライバーの予期しないセンサ等の
異常・故障に対しても常に車両を安全に保つとともに、
車両の操縦安定性を向上させることができるという著し
い効果を奏することができる。
〔μ推定法の原理説明〕
次に、本発明の車両の操舵制御装置によるタイヤと路
面間のμ推定法について、その原理を一例を挙げて簡単
に説明する。
先ず、車両の運動を、左右方向の並進運動y、ヨー運
動ψの二つの運動についての運動方程式により表現する
と以下のようである。
m・=2(Ff+Fr) ……(1) Iz・=2(af・Ff−ar・Fr) ……(2) 但し、上述の記号は以下の通りである。
m:車両の重量、 mf:前輪にかかる車両重量、 mr:後輪にかかる車両重量、 μ:摩擦、 uf:前輪補助操舵量、 ur:後輪補助操舵量、 Iz:車両のヨー慣性モーメント、 af:車両の前軸と重心間の距離、 ar:車両の後軸と重心間の距離、 cf:車両の前輪のコーナリングパワー、 cr:車両の後輪のコーナリングパワー、 Ff:車両の前輪のコーナリングフォース、 Fr:車両の後輪のコーナリングフォース、 uo:車速、 ψ:車両のヨー角、:車両のヨーレート、 :車両のヨー角加速度、y:車両の横変位、 :車両の横速度、:車両の横加速度、 δf:車両の前輪舵角。
(1)〜(4)式をまとめると、次式のようになる。
ここで、 は、以下のようである。
また、上記(6)式の要素は、それぞれ以下のようで
ある。
(5)、(6)式より、、は次式のように表現で
きる。但し、Sはラプラス演算子である。
(9)式より、横加速度は次式のようになる。
(8)、(10)式の係数を、車両の諸元と車速u0、お
よび車両状態検出センサからの前後輪荷重mf、mrの値を
用いることにより算し、その係数とドライバー舵角δ
及び前後輪操舵角ufとurに対して(8)、(10)式を解
くことにより、ヨーレート推定値と横加速度推定値
を推定する。ただし、ここでは、μは良路相当の値
(例えば0.8〜1.0)とする。
上述した手順により、ヨーレートの推定値と横加
速度の推定値を用いて、タイヤと路面間の摩擦μを
推定する。その手法を、第9図を用いて説明する。
すなわち、同じ操舵をした場合でも、μの高低によ
り、ヨーレート及び横加速度の応答特性が変化する。例
えば、μが低い場合は、μが高い場合に比較してヨーレ
ート及び横加速度の大きさが小さくなると共に、その立
ち上がりも遅くなる。この性質を用いてμの推定を行
う。まず、良路(相当)において生ずるヨーレートと横
加速度の各々の推定値と実際のヨーレート
と横加速度の各々のピーク値を求める。次に、そのピ
ーク値の大きさ及び/又はそのピーク値間の位相差を比
較することによりμの推定を行う。
上記の推定法において、前輪操舵系における(ur
0)実際のμの推定の一例を示すと以下のようである。
すなわち、 (i)μ及び車速及び車両状態量及び操舵制御量の周波
数等に対するピーク値の大きさの比、及び/又は、ピー
ク値の位相差をマップとして記憶し、それらのピーク値
に関する情報を比較した結果から、そのマップを引くこ
とによりμを推定する。
(ii)及びの定常値は、次式のように表される。
推定値の定常値も(11)、(12)式と同様に次式のよ
うになる。
ここで、μは良路相当(例えば、0.8〜1.0)のタイ
ヤ路面間のμである。
このとき、と、との比を(11)、(12)
式、(14)、(15)式より求めることにより、μは(1
6)式のまたは(17)式に推定できる。
μ=(/)・S3/〔(/)・ S2−S2+(1/μ)・S3〕 ……(16) μ=(/)・S6/〔(/)・ S5−S5+(1/μ)・S6〕 ……(17) 実施例 第1実施例 本発明の第一実施態様に属する第1の実施例の車両の
操舵制御装置を、第10図ないし第12図を用いて説明す
る。
本実施例の車両の操舵制御装置は、車両の前輪操舵装
置に適用したもので、基本的には第5図に示される第一
実施態様に属し、操舵センサIと、挙動センサIIと、制
御手段IIIと、駆動手段IVと、アクチュエータ手段V
と、車両状態検出センサVIとからなる。
操舵センサIは、第10図に示すようにハンドルの操舵
角を測定するためにハンドルと同軸上に取り付けられて
いる。
挙動センサIIは、車両のヨーレートを検出して前記
ヨーレートを表す信号を出力するヨーレートセンサII
1と、車両の横加速度を検出して前記横加速度を表
す信号を出力する横加速度センサII2とからなり、車両
重心位置に取り付けられている。
制御手段IIIは、フィードフォワード信号演算手段III
1と、フィードバック信号演算手段III2と、制御信号演
算手段III3と、ゲイン変更手段III4とからなる。
フィードフォワード信号演算手段III1は、前記操舵セ
ンサIから出力された操舵角δに相当する電気信号をそ
のまま通す操舵角信号回路III11と、前記操舵センサI
から出力される操舵角δに相当する信号をG1倍する第1
係数器III12とからなる操舵角信号演算回路III13と、前
記操舵センサIから出力される操舵角δに相当する信号
より操舵角速度に相当する信号を演算する微分回路II
I14と、前記微分回路III14から出力される操舵角速度
に相当する信号をG2倍する第2係数器III15とからなる
操舵角速度信号演算回路III16と、前記第1係数器III12
および第2係数器III15から出力される信号と操舵角信
号回路III11から出力される信号を加算する加算器III17
とからなる。
フィードバック信号演算手段III2は、4個の係数器II
I21、III23、III26、III27と、一次遅れフィルタII
I24、III28、III29と、前記係数器III21、III23から出
力される信号を加算する加算器III25と、前記係数器III
26、III27から出力される信号を加算する加算器III
30と、前記加算器III25、III30から出力される信号を加
算する加算器III20とを有する挙動量信号回路III22から
なる。
一次遅れフィルターIII24は、前記ヨーレートセンサ
からのヨーレート信号から、ヨー角信号ψに相当する
擬似ヨー角 を出力するものであり、一次遅れフィルタIII29は、前
記横加速度センサからの横加速度信号から、横速度に
相当する擬似横速度 を出力するものであり、一次遅れフィルタIII28は、前
記擬似横速度信号 から横変位に相当する擬似横変位を出力するもので
ある。
さて、第11図(a)に示すように、一般にヨーレート
からヨー角ψを、また、横加速度から横速度及び
横速度から横変位yを求めるためには積分回路101を
通過させる必要がある。しかしながら、前記ヨーレート
センサII1において生ずる若干のノイズの影響でヨー角
ψに定常偏差が生じる可能性がある。そこで、前記積分
回路101の後段に第11図(b)に示すような効果を持つ
ハイパスフィルタ102を具備することにより、前記定常
偏差をなくすことが可能となる。ところで、第11図
(a)に示したブロック図は等価的に第11図(c)の様
に一次遅れフィルタ103と係数器104によって置換するこ
とが可能である。そこで、前記積分回路101とハイパス
フィルタ102を一次遅れフィルタ103と係数器104に置き
換え、前述の効果を持たせるようにした。このように、
本実施例では、上記と同様な効果により、一次遅れフィ
ルターIII29で横加速度から擬似横速度 を、一次遅れフィルターIII28で擬似横速度 から擬似横変位を算出するようになした。
制御信号演算手段III3は、前記フィードフォワード信
号演算手段III1より出力されるフィードフォワード制御
信号と、前記フィードバック信号演算手段III2より出力
されるフィードバック信号とを加減算する加減算器III
31とからなる。
ゲイン変更手段III4は、前記ヨーレートに相当する
信号と車速u0に相当する信号と、および加減算器III31
の出力である操舵制御量に相当する信号を取り込む入力
部201と、その入力に基づいて車両挙動量の推定及びタ
イヤと路面間のμ推定を行い、その結果から最適なゲイ
ンを算出する演算処理部202と、車両諸元及び前記演算
処理部202の演算処理法とその演算結果を記憶している
記憶部203と、前記演算処理部202で選択された最適ゲイ
ンを出力する出力部204とから構成されるマイクロコン
ピュータ200からなる。
マイクロコンピュータ200で行う機能を,第12図のフ
ローチャートに沿って詳細に説明する。
先ず、イグニションキーON時に、マイクロコンピュー
タ200のプログラムが起動し、初期化を行う(P1)。こ
の初期化のルーチンP1では、A/Dコンバータ、D/Aコンバ
ータ度ハードウェアのイニシャライズおよび各制御パラ
メータの初期設定を行う。
次に、初期化ルーチンP1が終了すると、挙動センサII
1からヨーレート、加減算器III31の出力である操舵制
御量、車両状態検出センサVIから車速u0を、A/Dコンバ
ータを介してマイクロコンピュータ200に取り込む(P
2)。
次いで、車速u0と車両諸元に基づいて、車両のヨーレ
ート推定モデル前記(8)式の係数((7)、(8)
式)を求め、その係数と加減算器III31の出力である操
舵制御量に対して(8)式を解くことにより、車両のヨ
ーレートの推定値を求める(P3)。
次に、A/Dコンバータから入力したヨーレートとP3
で求めたヨーレート推定値のそれぞれについて、対
応関係にある(同じ操舵制御量によって生じた)と
の信号の変曲点、すなわち、信号の凹凸部のピーク値
およびピーク位相値を求める(P4)。
次いで、P4で求められたピーク値位相差からμを推定
する(P5)。すなわち、P4で求められたピーク値位相差
が或るしきい値(例えば、90゜)より大であるならば低
μと判定し、次のステップに進む。また、このピーク値
位相差が前記しきい値以内であるならば、ピーク比/
を計算するとともに、車両諸元及び車速u0から
(7)、(13)式より(16)式のμ推定式の係数を算出
し、その係数とピーク比から(16)式を解いてμを推定
する。
次に、P5で推定された路面のμ推定値と、車速u0に対
して、マップから最適な係数設定器の係数を決定し、前
記係数設定器III12、III15、III21、III23、III26、III
27へ出力し(P6)、その後P2へ戻る。
駆動手段IVは、前記制御手段IIIより出力された操舵
制御信号、すなわち前輪転舵角に相当する信号と、アク
チュエータ手段Vに含まれるロッド変位計514からの信
号の差を取る減算器IV1と、その差の信号をアクチュエ
ータ手段Vに含まれるサーボ弁525に出力する信号に変
換する増幅器IV2からなる。
アクチュエータ手段Vは、前記駆動手段IVから出力さ
れた信号を前輪転舵角に変化するもので、前輪操舵機構
V1と、電気油圧制御機構V2とからなる。
前輪操舵機構V1は、前輪511と、ステアリングリンケ
ージ512と、ロッド513と、ロッド変位計514からなる。
前記電気油圧制御機構V2は、油圧ポンプ521と、油圧
を一定の圧力にたもったそのリリーフ弁522と、前記油
圧ポンプ521で生ずる油圧の変動を抑えるためのアキュ
ームレータ523と、油圧ピストン524と、前記油圧ピスト
ン524に油を供給する方向を決定するサーボ弁525と、前
記油圧ピストン524に油圧を供給するための油圧供給路5
26と前記油圧ピストン524から排出される油とリリーフ
弁522からの漏れ油を回収する油回収路527とこの電気油
圧制御機構V2で使用する油を貯蔵する油タンク528とか
らなる。
前輪511はステアリングリンケージ512によって車体に
転舵可能なように支持され、前記ステアリングリンケー
ジ間をロッド513と油圧ピストン524で連結する。また、
サーボ弁525は、駆動手段IVからの前輪転舵角と前記制
御手段IIIからの出力の差、すなわち前輪転舵角偏差量
に相当する信号によって制御される。そして、このサー
ボ弁525によって油圧ポンプ521及びリリーフ弁522、ア
キュームレータ523で一定圧力に加圧された油が油供給
路526を通して油圧ピストン524の一方の室に供給され、
他方の室を油回収路527により油タンク528に通じさせ、
前記油圧ピストン524を駆動させ、ロッド513、ステアリ
ングリンケージ512を通じて前輪511を左右に転舵するこ
とが可能となる。
また、車両状態検出センサVIは自動車のミッションの
出力に取り付けられてた車速センサで構成され、車速u0
を検出して前記車速u0を表す信号を出力する。
上記構成からなる本実施例の作用及び効果は、以下通
りである。
ハンドルの操舵角を測定する操舵センサIと、車両の
ヨーレートを出力するヨーレートセンサII1および車
両の左右並進方向の加速度を測定する横加速度センサII
2からなる。挙動センサIIの各々の出力は、制御手段III
のフィードフォワード信号演算手段III1とフィードバッ
ク信号演算手段III2に入力される。
フィードフォワード信号演算手段III1では操舵角δに
相当する信号と、微分回路III14を経て操舵角速度に
相当する信号とに分けられる。
一方フィードバック信号演算手段III2では、ヨーレー
トに相当する信号と、一次遅れフィルタIII24を経て
擬似ヨー角 を表す信号、及び横加速度に相当する信号から一次遅
れフィルターIII29を経て擬似横速度 を表す信号と、一次遅れフィルタIII28を経て擬似横変
位を表す信号とに分けられる。
ゲイン変更手段III4の入力部201は、加減算器III31
出力である操舵制御量に相当する信号、車速u0に相当す
る信号の外に挙動センサであるヨーレートセンサII1
り出力されるヨーレートに相当する信号が入力され
る。
そして、該ゲイン変更手段III4では、その入力に基づ
いて、車両のヨーレートを推定し、その推定値と実際の
ヨーレートのピーク値を比較することによりμを推定
し、このμ推定値と車速u0から、現在車両が置かれてい
る状況に最適なゲインを算出する。
そして、これら演算された最適なゲインの値は、ゲイ
ン変更手段III4の出力部204からの最適ゲイン出力G
i(i=1〜6)は,フィードフォワード信号演算手段I
II1の第1係数器III12、第2係数器III15及びフィード
バック信号演算手段III2の4個の係数器III21,III23,II
I26,III27へ入力され、各々の信号 への最適ゲインを与える。
フィードフォワード信号演算手段III1の加算器III17
では、上記操舵角信号δとその最適ゲインG1を掛け合わ
せた信号G1・δと操舵角の微分値信号の最適ゲインG2
を掛け合わせた信号G2・とを加算することにより、フ
ィードフォワード信号δ+G1・δ+G2・を制御信号演
算手段III3に出力する。
一方、フィードバック信号演算手段III2の加算器III
25では、上記ヨーレート信号と最適なゲインG3を掛け
合わせた信号G3・と、擬似ヨー角信号 と最適なゲインG4を掛け合わせた信号 と最適なゲインG5を掛け合わせた信号 と、擬似横変位信号と最適なゲインG6を掛け合わせた
信号G6・を加算することによりフィードバック信号 を制御信号演算手段III3に出力する。
駆動手段IVは、制御信号演算手段III3からの操舵制御
信号 によって,アクチュエータ手段Vを駆動し前輪操舵機構
V1を作動させ、所定の操舵制御を行うのである。
すなわち、最適な前輪転舵制御角δは車両の状態挙
動量を瞬時瞬時に検出し、各々の寄与度によって係数Gi
を与えることにより、運転者も含めた瞬時状態フィード
バック制御系を構成することになり、運転者が操舵を行
う車両に対して最適な転舵角制御を行うことができるも
のであると共に、前記係数Gi(i=1,2,〜6)は、タイ
ヤと路面間のμを定常走行時に推定を行い、そのμ推定
値と車速u0に基づいて決定されるため、例えば路面が滑
り易い状況の場合など通常の状況でないときの補正操舵
量を加えることも可能となり、運転者がタイヤ、路面状
況の変化に気づかないような場合でも車両の応答性や安
定性を自動的に調整し、天候や路面の状態に合った最適
な転舵角制御を行うことが可能となる。
第2実施例 本発明の第二実施態様に属する第2実施例の車両の操
舵制御装置を、第13図ないし第20図を用いて前記第1実
施例との相違点を中心に説明する。
本実施例の車両の操舵制御装置は、車両の前輪操舵装
置に適用したもので、基本的には第6図に示される第二
実施態様に属し、操舵センサIと、挙動センサIIと、制
御手段IIIと、駆動手段IVと、アクチュエータ手段V
と、車両状態検出センサVIおよびVIIとからなる。
前記挙動センサIIは、第13図に示すように、車両の重
心回りの回転角速度を検出するヨーレートセンサII
1と、車両の左右並進方向の加速度を測定する横加速度
センサII2とからなる。
車両状態量検出センサは、第13図に示すように、自動
車のミッションの出力軸に取り付けられて、車速u0を検
出して車速u0を表す信号を出力する車速センサVIと、各
タイヤの回転角速度を測定する車輪回転角速度センサVI
Ii1(i=1,2,3,4)と、各タイヤにかかる荷重を測定す
る荷重センサVIIi2(i=1,2,3,4)とからなる。
前記制御手段IIIは、フィードフォワード信号演算手
段III1と、フィードバック信号演算手段III2と、制御信
号演算手段III3と、ゲイン変更手段III4とからなる。
また、係数設定器III21はヨーレートのフィードバッ
クゲインG3を、係数設定器III23はヨー角のフィードバ
ックゲインG4を、係数設定器III26は横速度のフィード
バックゲインG5を、係数設定器III27は横変位のフィー
ドバックゲインG6を各々の信号に掛け合わせるために用
いられ、これら4個の係数設定器III21、III23、II
I26、III27より出力される信号を加算するために前記加
算器III20、III25、III30は用いられる。
制御信号演算手段III3は、前記フィードフォワード信
号演算手段III1より出力される信号と、前記フィードバ
ック信号演算手段III2より出力される信号を加減算する
加減算器III31とからなる。
ゲイン変更手段III4は、前記ヨーレートに相当する
信号と、車速u0に相当する信号と、前記各輪回転角速度
に相当する信号と、前記各輪荷重に相当する信号、およ
び加減算器III31の出力である操舵制御量に相当する信
号を取り込む入力部201と、該入力信号に基づいて車両
の挙動量推定及びタイヤと路面間のμ推定とタイヤのス
リップ率の算出を行い、その結果から最適なゲインを算
出する演算処理部202と、車両諸元及び前記演算処理部2
02の演算処理法とその演算結果を記憶している記憶部20
3と、前記演算処理部202で選択された最適ゲインを出力
する出力部204とから構成されるマイクロコンピュータ2
00からなる。
該マイクロコンピュータ200で行う機能について、第1
4図のフローチャートに沿って以下に説明する。
先ず、イグニションキーON時に、マイクロコンピュー
タ200のプログラムが起動し、初期化を行う(P21)。こ
の初期化のルーチンP21では、A/Dコンバータ、D/Aコン
バータ等ハードウェアのイニシャライズおよび各制御パ
ラメータの初期設定を行う。
次に、初期化ルーチンP21が終了すると、挙動センサ
からヨーレート、加減算器III31の出力である操舵制
御量に相当する信号δ、車速センサVIから車速u0、車
輪回転角速度センサVIIi1(i=1、2、3、4)から
各輪回転角速度、および荷重センサVIIi2(i=1,2,3,
4)から各輪荷重を、A/Dコンバータを介してマイクロコ
ンピュータ200に取り込む(P22)。
次いで、車速u0と車両諸元に基づいて、車速のヨーレ
ート推定モデル前記(8)式の係数((7)、(8)
式)を求め、その係数と加減算器III31の出力である操
舵制御量に対して(8)式を解くことにより、車両のヨ
ーレートの推定値を求める(P23)。
次に、A/Dコンバータから入力したヨーレートとP23
で求めたヨーレート推定値のそれぞれについて、対
応関係にある(同じ操舵制御量によって生じた)と
の信号の変曲点、すなわち、信号の凹凸部のピーク値
の大きさおよびピーク位相値を求める(P24)。
次いで、P24で求められたピーク値位相差からμを推
定する(P25)。すなわち、P24で求められたピーク値位
相差が或るしきい値(例えば、90℃)より大であるなら
ば低μと判定し、次のステップに進む。また、このピー
ク値位相差が前記しきい値以内であるならば、ピーク比
を計算するとともに、車両諸元及び車速u0から
(7)、(13)式より(16)式のμ推定式の係数を算出
し、その係数とピーク比から(16)式を解いてμを推定
する。
次いで、P22で読み込んだ車速u0と各輪回転角速度か
らスリップ率を算出する(P26)。
次に、P25で推定された路面のμ推定値と、P26で算出
したスリップ率および車速u0に対して、マップから最適
な係数設定器の係数を決定し、前記係数設定器III12、I
II15、III21、III23、III26、III27へ出力し(P27)、
その後P22へ戻る。
ここで、P27の内容について、第15図のフローチャー
トに沿って、更に詳細に説明する。
先ず、μ推定値とスリップ率の読み込みを行う(P27
1)。
次いで、タイヤと路面間の状態を判定する(P272)。
すなわち、先ず、μ推定値の補正及び重み付けを行い
(例えば第16図)、次にスリップ率の補正および重み付
けを行う(例えば第18図)。そして、以上の結果より得
られた値のうち小さい方の値(μ)をとり、さらにそ
の値に対してクラス分けを行い(例えば、第17図)、こ
のクラス分けにより得られた値をタイヤと路面間の判定
値Gμとする。
次に、車速u0の読み込みを行う(P273)。
次いで、車速u0のクラス分けをし(例えば第19図)、
その値をGuとする(P274)。
次に、係数器係数を決定する(P275)。すなわち、P2
73の出力であるGμおよびP275の出力であるGuに基づ
き、第20図に示すマップなどから係数器の係数を算出す
る。
次いで、決定された係数を各係数器に出力する(P27
6)。但し、本実施例では、P275で決定された係数の変
更が急激に行われないように、予め定められた係数の変
化量の最大値に基づき、もし現在の係数と決定された係
数との差が上記最大値以下であるならば、現在の係数を
決定された係数にそのまま変更し、また、現在の係数と
決定された係数が上記最大値以上であるならばその係数
変更は上記最大値とし、段階的に決定された係数に漸近
させるようにするか、或いは、現在の係数を初期条件と
する安定な一次遅れフィルターに決定された係数を通過
させることにより係数の変更を行う。
次に、駆動手段IV、アクチュエータ手段V、および前
輪操舵機構V1は、前述の第1実施例と同様に構成した。
上記構成からなる本実施例の作用及び効果は、以下の
通りである。
ゲイン変更手段III4の入力部201は、加減算器III31
出力である操舵制御量に相当する信号と、車速u0に相当
する信号の外に挙動センサであるヨーレートセンサII1
より出力されるヨーレートに相当する信号と、車両状
態検出センサである車輪回転角速度センサVIIi1(i=
1,2,3,4)及び荷重センサVIIi2(i=1,2,3,4)より出
力される車輪回転角速度に相当する信号と各輪にかかる
荷重に相当する信号が入力される。
そして、該ゲイン変更手段III4では、その入力に基づ
いて、車両のヨーレートを推定し、その推定値と実際の
ヨーレートのピーク値を比較することによりμを推定
し、このμ推定値と車速u0から、現在車両が置かれてい
る状況に最適なゲインを算出する。
そして、これら演算された最適なゲインの値、すなわ
ちゲイン変更手段III4の出力部204からの最適ゲイン出
力Gi(i=1〜6)は,フィードフォワード信号演算手
段III1の第1係数器III12、第2係数器III15及びフィー
ドバック信号演算手段III2の4個の係数器III21,III23,
III26,III27へ入力され、各々の信号 への最適ゲインを与える。
フィードフォワード信号演算手段III1の加算器III17
では、上記操舵角信号δとその最適ゲインG1を掛け合わ
せた信号G1・δと操舵角の微分値信号の最適ゲインG2
を掛け合わせた信号G2・とを加算することにより、フ
ィードフォワード信号δ+G1・δ+G2・を制御信号演
算手段III3に出力する。
一方、フィードバック信号演算手段III2の加算器III
25では、上記ヨーレート信号と最適なゲインG3を掛け
合わせた信号G3・と、擬似ヨー角信号 と最適なゲインG4を掛け合わせた信号 と最適なゲインG5を掛け合わせた信号 と、擬似横変位信号と最適なゲインG6を掛け合わせた
信号G6・を加算することによりフィードバック信号 を制御信号演算手段III3に出力する。
駆動手段IVは、制御信号演算手段III3からの操舵制御
信号 によって,アクチュエータ手段Vを駆動し前輪操舵機構
V1を作動させ、所定の操舵制御を行うのである。
すなわち、最適な前輪転舵制御角δは車両の状態挙
動量を瞬時瞬時に検出し、各々の寄与度によって係数Gi
を与えることにより、運転者も含めた瞬時状態フィード
バック制御系を構成することになり、運転者が操舵を行
う車両に対して最適な転舵角制御を行うことができるも
のであると共に、前記係数Gi(i=1,2,〜6)は、良路
相当において生ずるヨーレート推定値と実際のヨーレー
トを比較することによりタイヤと路面間のμを定常走行
時に推定すると共に、各輪のスリップ率を算出し、その
μ推定値とスリップ率と車速u0に基づいて決定される。
そのため、例えば路面が滑り易い状況等においては通常
の状況とは異なる補正操舵量を加えることが可能とな
り、さらに、ヨーレートが生じない直進時等においてタ
イヤがスリップすることにより生ずるふらつきやスピン
を防止することが可能になる。従って、運転者がタイ
ヤ、路面状況の変化に気づかないような場合や急発進及
び急停止時でも車両の応答特性を自動的に調整し、天候
や路面の状態に合った最適な転舵角制御を行うことが可
能となる。
第3実施例 本発明の第一実施態様、第二実施態様、第三実施態様
及び第四実施態様に属する第3実施例の車両の操舵制御
装置を、第21図および第22図を用いて、前記第2実施例
との相違点を中心に説明する。
本実施例の車両の操舵制御装置は、車両の前輪操舵装
置に適用したもので、基本的には第5図に示される第一
実施態様に属し、操舵センサIと、挙動センサIIと、制
御手段IIIと,駆動手段IVと、アクチュエータ手段V
と、車両状態検出センサVIおよびVIIとからなる。
車両状態検出センサは、第21図に示すように、車速セ
ンサVIと、各タイヤの回転角速度を測定する車輪回転角
速度センサVIIi1(i=1,2,3,4)と、各タイヤにかかる
荷重を測定する荷重センサVIIi2(i=1,2,3,4)と路面
の形状センサVIIi3(i=1,2,3,4)とからなる。
ゲイン変更手段III4は、前記ヨーレートに相当する
信号と車速u0に相当する信号と、加減算器III31の出力
である操舵制御量に相当する信号と、前記車輪回転角速
度に相当する信号、および前記各輪荷重に相当する信号
と前記路面形状に相当する信号とを取り込む入力部201
と、該入力信号に基づいて車両挙動量の推定と、タイヤ
と路面間のμ推定、各車輪のスリップ率の算出、および
路面形状の判定とセンサ異常の判定を行い、その結果か
ら最適なゲインを算出する演算処理部202と、車両諸元
及び該演算処理部202の演算処理法とその演算結果を記
憶している記憶部203と、前記演算処理部202で選択され
た最適ゲインを出力する出力部204とから構成されるマ
イクロコンピュータ200からなる。
該マイクロコンピュータ200で行う機能を、第22図の
フローチャートに沿って詳細に説明する。
先ず、イグニションキーON時に、マイクロコンピュー
タ200のプログラムが起動し、初期化を行う(P31)。こ
の初期化のルーチンP31では、A/Dコンバータ、D/Aコン
バータ等ハードウェアのイニシャライズおよび各制御パ
ラメータの初期設定を行う。
次に、初期化ルーチンP31が終了すると、ヨーレート
センサII1からヨーレート、加減算器III31の出力であ
る操舵制御量、車両状態量検出センサVIおよびVIIから
車速u0および車輪回転角速度と各輪荷重と路面形状ある
いは路面形状に対応する信号(例えば、バネ上相対変
位、速度等)を、A/Dコンバータを介してマイクロコン
ピュータ200に取り込む(P32)。
次に、P32において諸信号の読み込みが終了すると路
面形状センサVIIi3(i=1,2,3,4)の出力から路面形状
を判定する(P33)。もし、悪路であると判定されたな
らば以下のルーチンを通らずにP39へ進む。
次に、P33において悪路ではないと判定されると、操
舵角センサ及び車両挙動量センサの出力値が異常である
かどうかを判定する(P34)。ここでは、例えば次のよ
うな点について判定をする。i)センサの出力値が車両
運動上起こり得ない値になっていないか。ii)センサの
出力値の比較を行い、他と矛盾しているものはないか。
もし、この判定条件が満たされ異常と判定された場合は
以下のルーチンを通らずにP39へ進む。
次いで、車速u0と各輪荷重と車両諸元に基づいて、車
両のヨーレート推定モデル(8)式との係数((7)、
(8)式)を求め、その係数と加減算器III31の出力で
ある操舵制御量に対して(8)式を解くことにより、車
両のヨーレートの推定値を求める(P35)。
次に、A/Dコンバータから入力したヨーレートとP35
で求めたヨーレート推定値のそれぞれについて、対
応関係にある(同じ操舵制御量によって生じた)と
の信号の変曲点、すなわち、信号の凹凸部のピーク値
およびピーク位相値を求める(P36)。
次いで、P36で求められたピーク値からμを推定する
(P37)。すなわち、P36で求められたピーク値位相差が
或るしきい値(例えば、90゜)より大であるならば低μ
と判定し、次のステップに進む。また、このピーク値位
相差が前記しきい値以内であるならば、ピーク比/
を計算するとともに、車両諸元及び車速u0から
(7)、(13)式より(16)式のμ推定式の係数を算出
し、その係数とピーク比から(16)式を解いてμを推定
する。
次に、P32で読み込んだ車速u0と各輪回転角速度から
スリップ率を算出する(P38)。
次いで、P37で推定された路面のμ推定値と、P38で算
出したスリップ率および車速u0と悪路判定及びセンサ異
常判定結果に対して、マップから最適な係数設定器の係
数を決定し、前記係数設定器III12、III15、III21、III
23、III26、III27へ出力し(P39)、その後P32へ戻る。
駆動手段IV、アクチュエータ手段V及び車速検出セン
サVIは、第2実施例と同様に構成した。
上記構成からなる本実施例の作用及び効果は以下の通
りである。
ゲイン変更手段III4の入力部201は、加減算器III31
出力である操舵制御量に相当する信号と、車速u0に相当
する信号の他に挙動センサであるヨーレートセンサII1
より出力されるヨーレートに相当する信号と、車両状
態検出センサである車輪回転角速度センサVIIi1(i=
1,2,3,4)及び荷重センサVIIi2(i=1,2,3,4)及び路
面形状センサVIIi3(i=1,2,3,4)より出力される車輪
回転角速度に相当する信号と各輪にかかる荷重に相当す
る信号と路面形状あるいは路面形状に対応する信号とが
入力される。
そして、該ゲイン変更手段III4では、その入力に基づ
いて、第1実施例と同様に最適なゲインを算出して、該
ゲイン変更手段III4の出力部204からの最適ゲイン出力G
i(i=1〜6)は、フィードフォワード信号演算手段I
II1の第1係数器III12、第2係数器III15及びフィード
バック信号演算手段III2の4個の係数器III21,III23,II
I26,III27へ入力され、各々の信号 への最適ゲインを与える。
本実施例では、悪路判定及びセンサ異常判定を行うこ
とにより、車両の挙動信号や操舵角信号等を係数倍して
フィードバック及びフィードフォワード信号として用い
ていることから生ずる制御系に与える悪影響を防止する
ことができる。つまり、例えば車両運動から生じたもの
ではなく路面の凹凸による車両振動を挙動量検出センサ
が感知し、その信号をあたかも車両運動により生じたも
のとしてフィードフォワード及びフィードバックしてし
まうことやセンサが故障することにより生じた異常な信
号をフィードフォワード及びフィードバックしてしまう
ことによる操舵制御系に生ずる誤動作を防止できる。こ
れにより、第2実施例の操舵制御効果に加え、より安全
かつ信頼性の高い制御系を構成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の概念を示す概略構成図、第2図ないし
第4図は従来技術を示す概略構成図、第5図は本発明の
第一実施態様を示す概略構成図、第6図は本発明の第二
実施態様を示す概略構成図、第7図は本発明の第三実施
態様を示す概略構成図、第8図は本発明の第四実施態様
を示す概略構成図、第9図は本発明のμ推定法の原理説
明図、第10図ないし第12図は本発明の第1実施例を示
し、第10図はその全体を示すシステム図、第11図は一次
遅れフィルタの原理説明図、第12図はゲイン変更手段の
フローチャート、第13図ないし第20図は本発明の第2実
施例を示し、第13図はその全体を示す図、第14図はゲイ
ン変更手段のフローチャート、第15図はゲイン変更手段
における係数器係数の選択ルーチンを示すフローチャー
ト、第16図は第15図におけるμ推定値の補正及び重み付
けの一例を示す線図、第17図は第15図における補正値に
対してクラス分けの一例を示す線図、第18図は第15図に
おけるスリップ率の補正及び重み付けの一例を示す線
図、第19図は第15図における車速u0のクラス分けの一例
を示す線図、第20図は第15図における係数算出のための
マップの一例を示す線図、第21図および第22図は本発明
の第3実施例を示し、第21図はその全体を示すシステム
図、第22図はゲイン変更手段のフローチャートである。 I……操舵センサ、II……挙動センサ、III……制御手
段、III1……フィードフォワード信号演算手段、III11
……操舵角信号回路、III12……第1係数器、III13……
操舵角信号演算回路、III14……微分回路、III15……第
2係数器、III16……操舵角速度信号演算回路、III17
…加算器、III2……フィードバック信号演算手段、III
21……第3係数器、III22……挙動量信号演算回路、III
3……制御信号演算手段、III31……加算器、III4……ゲ
イン変更手段、III41……車両挙動量推定手段、III42
…ゲイン変更手段、III43……係数器係数変更手段、IV
……駆動手段、V……アクチュエータ手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B62D 131:00 137:00 審査官 藤井 昇 (56)参考文献 特開 昭60−161266(JP,A) 特開 昭62−8872(JP,A) 特開 昭62−255284(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両の操舵量を制御する操舵制御装置にお
    いて、 ハンドルの操舵角を検出する操舵センサと、 車両の挙動量を検出する挙動センサと、 車速や積載荷重、車輪にかかる荷重、車輪の回転数等の
    車両状態量を検出する車両状態検出センサと、 前記操舵センサより出力された操舵角信号をそのまま出
    力する操舵角信号回路と、前記操舵角信号を係数倍する
    第1係数器を有する操舵角信号演算回路と、前記操舵角
    信号から操舵角速度信号を演算する微分回路と該微分回
    路から出力された操舵角速度信号を係数倍する第2係数
    器とからなる操舵角速度信号演算回路と、前記操舵角信
    号回路と前記操舵角信号演算回路と前記操舵角速度信号
    演算回路とから得られる信号を加算する加算器とからな
    り、該加算信号をフィードフォワード制御信号として発
    生させるフィードフォワード信号演算手段と、 前記挙動センサより出力された挙動量信号を係数倍する
    第3係数器を有する挙動量信号演算回路からなり、該挙
    動量信号演算回路から得られる信号をフィードバック制
    御信号として発生させるフィードバック信号演算手段
    と、 前記フィードフォワード信号演算手段と前記フィードバ
    ック信号演算手段から出力された信号を加減算して操舵
    制御信号とする加減算器を有する制御信号演算手段と、 前記制御信号演算手段より出力された操舵制御信号と前
    記車両状態検出センサより出力された車両状態量信号と
    から車両の挙動量を推定する車両挙動量推定手段と、該
    車両挙動量推定手段より出力された車両挙動量推定信号
    と前記挙動センサより出力された挙動量信号とから路面
    とタイヤ間の摩擦(μ)を推定するμ推定手段と、前記
    μ推定手段より出力されたμ推定信号に基づいて第1係
    数器、第2係数器、第3係数器の少なくとも1つの係数
    器の係数を変更する係数器係数変更手段とからなり、係
    数器に最適な係数を付与するゲイン変更手段と、 からなる制御手段と、 前記制御手段の出力である操舵制御信号をパワー増幅す
    る駆動手段と、 前記駆動手段にて増幅された出力に基づき前輪または後
    輪の少なくとも何れか一方の転舵輪に最適な転舵角を与
    えるように制御するアクチュエータ手段とを具備してな
    ることを特徴とする車両の操舵制御装置。
  2. 【請求項2】車両挙動量推定手段が、前記制御信号演算
    手段より出力された操舵制御信号と前記車両状態検出セ
    ンサより出力された車両状態量信号とから車両の挙動量
    を推定してなり、 μ推定手段が、該車両挙動量推定手段より出力された車
    両挙動量推定信号と前記挙動センサより出力された挙動
    量信号のピーク値を比較する比較手段と、該比較手段よ
    り出力された結果よりμを推定するμ判定手段とを具備
    してなることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記
    載の車両の操舵制御装置。
  3. 【請求項3】ゲイン変更手段が、前記制御信号演算手段
    より出力された操舵制御信号と前記車両状態検出センサ
    より出力された車両状態量信号とから車両の挙動量を推
    定する車両挙動量推定手段と、該車両挙動量推定手段よ
    り出力された車両挙動量推定信号と前記挙動センサより
    出力された挙動量信号とからμを推定するμ推定手段
    と、前記車両状態検出センサより出力された車両状態量
    信号と車輪の回転数に基づき車輪のスリップ率を算出す
    るスリップ率算出手段と、前記μ推定手段より出力され
    たμ推定信号および前記スリップ率算出手段より出力さ
    れたスリップ率信号に基づいて第1係数器、第2係数
    器、第3係数器の少なくとも1つの係数器の係数を変更
    する係数器係数変更手段とからなることを特徴とする特
    許請求の範囲第(1)項記載の車両の操舵制御装置。
  4. 【請求項4】ゲイン変更手段が、前記制御信号演算手段
    より出力された操舵制御信号と前記車両状態検出センサ
    より出力された車両状態量信号とから車両の挙動量を推
    定する車両挙動量推定手段と、該車両挙動量推定手段よ
    り出力された車両挙動量推定信号と前記挙動センサより
    出力された挙動量信号とからμを推定するμ推定手段
    と、前記車両状態検出センサより出力された車両状態量
    信号から路面の形状を推定する路面形状推定手段と、前
    記μ推定手段より出力されたμ推定信号および前記路面
    形状推定手段より出力された推定路面形状信号に基づい
    て第1係数器、第2係数器、第3係数器の少なくとも1
    つの係数器の係数を変更する係数器係数変更手段とから
    なることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の
    車両の操舵制御装置。
  5. 【請求項5】ゲイン変更手段が、前記制御信号演算手段
    より出力された操舵制御信号と前記車両状態検出センサ
    より出力された車両状態量信号とから車両の挙動量を推
    定する車両挙動量推定手段と、該車両挙動量推定手段よ
    り出力された車両挙動量推定信号と前記挙動センサより
    出力された挙動量信号とからμを推定するμ推定手段
    と、前記操舵センサと挙動センサおよび車両状態検出セ
    ンサの異常を検出するセンサ異常検出手段と、前記μ推
    定手段より出力されたμ推定信号および前記センサ異常
    検出手段より出力されたセンサ異常検出信号に基づいて
    第1係数器、第2係数器、第3係数器の少なくとも1つ
    の係数器の係数を変更する係数器係数変更手段とからな
    ることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の車
    両の操舵制御装置。
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