JP2562466Y2 - 湯水混合栓に付設した分岐水栓 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、湯水混合栓に付設した
分岐水栓に関するものである。

【０００２】

【従来の技術とその課題】従来より、湯水混合栓は、台
所や浴室の壁面に取付けられており、壁内に埋設されて
いる水パイプと湯パイプとに、ハ字状に配置された、１
対のクランク管（ソケットまたは偏心管ともいう）を介
して、接続されていて、一つの首振り可能の吐水口（ス
パウト）から、湯水が吐水するようになっている。

【０００３】ところで、かかる混合栓には湯水用分岐栓
が組込まれていて、ハンドル操作をすれば、湯水がスパ
ウトからでなく、例えばシャワ−ヘッドに通水し吐水す
るようになっている（実公昭５９−３４７６４号公報、
実公昭５８−１９４２５号公報、実公昭５８−３３３４
１号公報等参照）。

【０００４】そして、かかる混合栓には、水のみを分岐
させる分岐水栓は組込まれておらず、水のみを吐水させ
ようとすれば、ハンドル操作によってスパウトから水の
みを吐水することになる。そのため従来においては、図
４に示すように、１対の、給水および給湯用クランク管
１のうち、給水用クランク管１に分岐水栓２を取付け
て、ここより水を分岐させて、例えば浄水器３に接続す
るようにしている。なお、図４において４は湯水混合
栓、５はスパウト、６は接続管を示す。

【０００５】しかしながら、かかる分岐水栓２が設けら
れたクランク管１では、この分岐水栓２が壁面に直交し
て前方に突出して配置されており、したがって、この分
岐水栓２が混合栓４の直下にくるため、スパウト５の首
振りに支障があったり、スパウト５からの吐水を受ける
容器の設置に邪魔となったり、更には、既存の混合栓４
に分岐水栓２を新しく付設しようとすれば、クランク管
１も取換える必要がある、という問題があった。

【０００６】そのため、例えば実開昭６１−１８７２９
１号公報では、壁に埋設された水パイプと湯パイプと
に、ハ字状に配置された１対のクランク管を介して接続
され、かつ、首振り可能のスパウトをもつ湯水混合栓
に、前記給水用クランク管の出口部に、ハンドル付垂直
状弁棒をもち、かつ、分岐路の開口部を下向きにした分
岐水栓を設け、給湯用クランク管の出口部に、該分岐水
栓の主管路方向の長さと同一長さの短管からなるアダプ
タを設け、これらの分岐水栓とアダプタとに前記湯水混
合栓を取付けた提案がされている。

【０００７】しかしながら、かかる提案では、次のよう
な問題が残存していた。 １）この分岐水栓では、分岐路用開口部が弁棒の直下に
位置せず、しかも、この分岐水栓には、横方向に位置し
た浄水器を固着支持しているので、分岐水栓には回転モ
−メントが働く状態となって、湯水混合栓や浄水器の使
用中、分岐水栓が回転してパッキンを緩め、クランク管
の出口部や湯水混合栓の水入口部とのシ−ル性を損ない
水漏れのおそれがあった。 ２）そのため、分岐水栓とアダプタとの間に横パイプを
渡して両者を継ぎ、分岐水栓の回転を防いでいるので、
しかも分岐水栓の横に浄水器を固定しているので、壁面
と湯水混合栓との間隔が大となり、定められた大きさの
シンクタンクにおいて、長尺のスパウトからの吐水に支
障きたすおそれがあり、その上、構造が複雑化して掃除
等のメンテナンスが不利となり台所には好ましくない。 ３）浄水器を分岐水栓の横に固定しているので、Ｌ字形
壁面のある台所では使用できない。 ４）横パイプで分岐水栓とアダプタとを継いでいるの
で、分岐水栓のみの取換えができない。

【０００８】

【課題を解決するための手段】そこで本考案は、かかる
問題を解決するためになされたもので、その要旨とする
ところは、台所の壁に埋設された水パイプと湯パイプと
に、ハ字状に配置された１対のクランク管を介して接続
され、かつ、首振り可能の長尺のスパウトをもつ湯水混
合栓にあって、前記給水用クランク管の出口部に、ハン
ドル付垂直状弁棒をもち、かつ、分岐路の開口部を下向
きにした分岐水栓を設け、給湯用クランク管の出口部
に、前記分岐水栓の主管路方向の長さと同一長さの短管
からなるアダプタを設け、これらの分岐水栓とアダプタ
とに取付けた湯水混合栓において、前記分岐水栓を、前
記クランク管の出口部と湯水混合栓の水入口部とをそれ
ぞれネジにより接続する水平方向に貫通した直管状主管
路からなる１次室と、該主管路を中心に前記壁面に平行
な断面でみて同心状に膨出したジャケットを分岐路とす
る２次室と、これらの室を連通し、かつ、前記主管路の
上面に開口した弁孔と、該弁孔を開閉し、かつ、前記弁
棒の下端に設けたケレップと、該弁棒の直下に位置し、
分岐路に下向きに開口し、かつ、ホ−スが接続する分岐
路用開口部と、から構成したことを特徴とする湯水混合
栓に付設した分岐水栓にある。

【０００９】

【考案の実施の形態】本考案の構成を添付図面に示す実
施の形態例により詳細に述べる。図１（Ａ）は本考案の
実施の形態例の分岐水栓の断面図、同（Ｂ）は（Ａ）の
ａ〜ａ断面図、図２はアダプタの一部切断側面図、図３
は本実施の形態例の平面図である。

【００１０】先ず、本実施の形態例の全体概要を述べ
る。図３において、４はシングルレバ−式の湯水混合栓
であって、図示のように比較的長尺のスパウト５が首振
り可能に取付けられている。この混合栓４は、１対の、
給水および給湯用クランク管１，１ａを介して、台所の
壁面７に取付けられる。

【００１１】給水用クランク管１の出口部には、コンプ
レッション式の分岐水栓２ａの弁棒２４が、壁面７に平
行に、つまり垂直状に設けられており、給湯用クランク
管１ａの出口部には、この分岐水栓２ａの主管路方向の
長さと同一長さの短管からなるアダプタ８が設けてあ
る。したがって、混合栓４は、これらの分岐水栓２ａと
アダプタ８に取付けられている。その結果、分岐水栓２
ａのハンドル９や、分岐水栓２ａから分岐して接続され
るホ−ス（不図示）は混合栓４の裏側に配置される。

【００１２】この分岐水栓２ａは、図１においてケレッ
プ２２で開閉するコンプレッション式水栓であって、水
平の主管路（１次室）と下向きの開口部をもった分岐路
（２次室）とからなる分岐弁である。この弁体１０に
は、第１、第２および第３の連通孔１１，１２，１３が
設けられている。

【００１３】第１の連通孔１１の開口部にはソケット１
４が螺着されていて、このソケット１４に袋ナット１５
が抜止めされて回転自在に嵌合されている。第２の連通
孔１２の開口部にはナット１６が螺着されている。そし
て、これらの第１および第２の連通孔１１，１２によっ
て壁面７に直交した方向の主管路（１９）を形成してい
る。したがって、主管路はその両端でネジにより接続さ
れている。

【００１４】第３の連通孔１３の開口部（分岐路用開口
部）にはジョイント短管１７が螺着されている。そし
て、第３の連通孔１３は壁面７に平行に下向きになった
分岐路（１３）を形成している。

【００１５】第１の連通孔１１の袋ナット１５は、混合
栓４の水入口部と接続するようになっており、第２の連
通孔１２のナット１６は給水用クランク管１の袋ナット
１８と接続するようになっている。また、第３の連通孔
１３のジョイント短管１７には、不図示の浄水器と接続
されたホ−スが外嵌されるようになっている。

【００１６】これらの第１および第２の連通孔１１，１
２は弁体１０を水平方向に貫通する１次室１９を形成
し、第３の連通孔１３は、この１次室１９の外側で、壁
面７に平行な断面でみて同心状に膨出したジャケット状
の２次室２０に連通している。したがって、主管路の長
さは可及的に短くすることができる。この１次室１９と
２次室２０とは、主管路の上面に開口した弁孔２１で連
通し、この弁孔２１は弁棒２４の下端に設けたケレップ
２２で開閉される。

【００１７】すなわち、このケレップ２２は、常時、弁
棒２４で支持されたスプリング２３で押圧されて弁孔２
１を閉塞している。このケレップ２２の足２２ａは、弁
棒２４の下端側に上下摺動自在に挿入されている。この
弁棒２４は弁体１０に螺子２５により螺合されていて、
ハンドル９を回動すれば、弁棒２４が上下に螺進し、ケ
レップ２２を、水圧およびスプリング２３によって上下
動ができる状態にしている。

【００１８】一方、給湯用クランク管１ａに取付けられ
たアダプタ８には、アダプタ本体２６の一端側に螺子２
７を設け、他端側にソケット２８を螺着している。この
ソケット２８にはアダプタ用袋ナット２９が抜止めされ
て回転自在に嵌合されている。このアダプタ用袋ナット
２９は混合栓４の湯入口部と接続するようになってお
り、螺子２７は給湯用クランク管１ａの袋ナット３０と
接続するようになっている。なお、３１は混合栓４のシ
ングルレバ−である。

【００１９】本実施の形態例の作用を述べる。既存の湯
水混合栓４を１対のクランク管１，１ａから取外し、給
水用クランク管１に分岐水栓２ａを、給湯用クランク管
１ａにアダプタ８を取付けた後、取外している混合栓４
を、これらの分岐水栓２ａとアダプタ８に再び取付け
る。

【００２０】そして、分岐水栓２ａの第３の連通孔１３
に、洗濯機または浄水器に接続されたホ−スを連結す
る。分岐水栓２ａのハンドル９を回動操作すれば、混合
栓４の使用中でも洗濯機等に給水することができると共
に、この分岐水栓２ａがあっても、混合栓４のスパウト
５の首振りには支障がない。

【００２１】

【考案の効果】本考案によれば、 １）分岐水栓を湯水混合栓の裏側に設け、かつ、分岐水
栓のハンドル付垂直状弁棒を壁面に平行に設けたので、
既存の湯水混合栓に分岐水栓を新しく付加しても、湯水
混合栓の長尺のスパウトの首振りには支障がないし、し
かも、給水および給湯用クランク管や湯水混合栓やその
パッキンは、既存のものをそのまま使用できると共に、
増設設備が全体にシンプル化して分岐水栓付加工事が安
価にでき、その上、可及的にシンプル化している構造で
あるので、掃除等のメンテナンスが有利となり台所に好
都合となる。 ２）分岐水栓を、アダプタに対応する短管状の特有な分
岐水栓としたので、すなわち、垂直状弁棒がクランク管
の出口部と湯水混合栓の水入口部とを接続する直管状水
平主管路の直上に位置し、かつ、弁棒直下の下方に分岐
路用開口部を開口させたので、ネジにより接続するクラ
ンク管や湯水混合栓に対し、当該分岐水栓を回転させる
力が働かない。したがって、クランク管や湯水混合栓や
パッキンは既存のものをそのまま使用してもよく、しか
も、湯水混合栓の壁面に対する平行度も損なわず、その
上、湯水混合栓や分岐水栓の使用中、水漏れのおそれも
ないことから、短管からなる安価なアダプタと相俟っ
て、分岐水栓付加工事が安価にできる。 ３）ハンドル付垂直状弁棒と下向きの分岐路用開口部と
を垂直線上に位置させ、かつ、壁面に平行な断面からみ
て直管状主管路を中心に同心状に膨出したジャケットを
形成しているので、主管路方向の長さが短縮され、しか
も、ジャケットは湯水混合栓の背部のデットスペ−スを
利用して膨出しているので、増設工事によっても、分岐
水栓を設けた湯水混合栓が台所の壁面よりそれほど突出
せず、長尺のスパウトによる吐水は従来と同様となって
何ら支障をきたさない。 ４）垂直状弁棒と分岐路用開口部とが垂直線上に位置し
ているので、Ｌ字形壁面のある台所でも使用することが
できる。 ５）分岐水栓が故障すれば、アダプタに関係なく単独で
取換えができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は本考案の実施の形態例の分岐水栓の断
面図、（Ｂ）は（Ａ）のａ〜ａ断面図である。

【図２】アダプタの一部切断側面図である。

【図３】本実施の形態例の平面図である。

【図４】従来例の斜視図である。

【符号の説明】

１，１ａ…クランク管、２ａ…分岐水栓、４…湯水混合
栓、５…スパウト、７…壁面、８…アダプタ、９…ハン
ドル

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 台所の壁に埋設された水パイプと湯パイ
   プとに、ハ字状に配置された１対のクランク管を介して
   接続され、かつ、首振り可能の長尺のスパウトをもつ湯
   水混合栓にあって、 前記給水用クランク管の出口部に、ハンドル付垂直状弁
   棒をもち、かつ、分岐路の開口部を下向きにした分岐水
   栓を設け、給湯用クランク管の出口部に、前記分岐水栓
   の主管路方向の長さと同一長さの短管からなるアダプタ
   を設け、これらの分岐水栓とアダプタとに取付けた湯水
   混合栓において、 前記分岐水栓を、前記クランク管の出口部と湯水混合栓
   の水入口部とをそれぞれネジにより接続する水平方向に
   貫通した直管状主管路からなる１次室と、該主管路を中
   心に前記壁面に平行な断面でみて同心状に膨出したジャ
   ケットを分岐路とする２次室と、これらの室を連通し、
   かつ、前記主管路の上面に開口した弁孔と、該弁孔を開
   閉し、かつ、前記弁棒の下端に設けたケレップと、該弁
   棒の直下に位置し、分岐路に下向きに開口し、かつ、ホ
   −スが接続する分岐路用開口部と、から構成したことを
   特徴とする湯水混合栓に付設した分岐水栓。