JP2561606Y2 - 引き戸用錠の取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、例えば、アルミサッシ
製の玄関引き戸等の召合せ框に設けられ、玄関引き戸等
を、その召合せ框の部分で施錠する引き戸用錠の取付構
造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の引き戸用錠の取付構造として、
例えば実公平４−２１９８６号公報に記載のものが知ら
れている。この錠は、屋外戸の召合せ框に埋め込まれた
屋外錠と、屋内戸の召合せ框に埋め込まれた屋内錠とか
ら構成されており、屋外側からキー操作により、または
屋内側からつまみ操作により、屋外錠の係合鎌を屋内錠
に係合させて、施錠を行うようになっている。屋外錠
は、屋外戸の召合せ框の開口部に屋内側から装着され、
シリンダ錠、その施錠機構および係合鎌を収納した屋外
錠本体と、屋外側から装着され、シリンダ錠が臨む外部
カバーとで構成されている。屋外錠は、屋外錠本体の縁
部と外部カバーの縁部とで、召合せ框の開口部の縁部を
挟み込んだ状態で、屋外錠本体と外部カバーとの間に渡
した固定ねじを締め付けることにより、召合せ框に挟持
固定されるようになっている。

【０００３】同様に、屋内錠は、屋内戸の召合せ框の開
口部に屋内側から装着され、つまみ錠およびその施錠機
構を収納した屋内錠本体と、屋外側から装着され、つま
み錠が臨む外部カバーとで構成されている。屋内錠は、
屋外錠本体の縁部と外部カバーの縁部とで、召合せ框の
開口部の縁部を挟み込んだ状態で、屋外錠本体と内部カ
バーとの間に渡した固定ねじを締め付けることにより、
召合せ框に挟持固定されるようになっている。

【０００４】この場合、屋外錠の固定ねじおよび屋内錠
の固定ねじは、召合せ側、すなわち、屋外錠の固定ねじ
は屋内側から、屋内錠の固定ねじは屋外側から締め付け
られ、屋外側からも屋内側からも見え難いようになって
いる。そして、これら屋外錠および屋内錠を、屋外戸お
よび屋内戸にそれぞれ取り付ける場合には、先ず、屋外
戸および屋内戸を、互いに開けた位置から更に逆側に移
動させたオーバーラン状態にしておき、屋内錠を適正位
置に固定すると共に、係合鎌を有する屋外錠を仮固定す
る。次に、屋外戸および屋内戸を元の閉じた位置に移動
させ、この状態で屋外戸と屋内戸との隙間を注視しなが
ら屋外錠の係合鎌を操作し、屋内錠に対する屋外錠の位
置調整（実質的には係合鎌の位置調整）を行う。最後
に、再度、屋外戸および屋内戸を互いに開けたオーバー
ラン位置まで移動させて、屋外錠の本固定を行う。な
お、係合鎌が屋内錠に設けられている場合には、屋外錠
に対し屋内錠を位置調整する。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】このような、従来の引
き戸用錠の取付構造では、係合鎌を有する後付け側の屋
外錠の固定ねじが、召合せ側、すなわち屋外側からねじ
込まれるようになっているので、位置調整の後、いった
ん屋外戸および屋内戸をオーバーラン位置まで移動させ
る必要があり、屋外戸および屋内戸の開閉が頻繁とな
り、煩雑な作業を強いられることとなっていた。また、
屋外錠は係合鎌を有して重いこともあり、屋外錠の仮固
定が甘いと調整の後の屋外戸の移動の際に位置ズレが生
じ、強いと調整ができなくなる問題があり、この面でも
屋外錠の取り付け作業が面倒なものとなっていた。

【０００６】本考案は、かかる問題点に鑑みてなされた
ものであり、取り付けおよび取り付けに伴う位置調整を
容易に行うことができる引き戸用錠の取付構造を提供す
ることをその目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
考案は、屋外戸の中空の召合せ框と屋内戸の中空の召合
せ框との、いずれか一方に埋め込まれた先付け側の第１
の錠と、他方に埋め込まれて第１の錠に位置決めされる
後付け側の第２の錠とを備え、第２の錠が、召合せ側に
露出する外部カバーと、召合せ框内に埋め込まれる内部
カバーとを有し、外部カバーと内部カバーとの間に渡し
た固定ねじにより、召合せ框に固定される、引き戸用錠
の取付構造において、第２の錠は、固定ねじにより、召
合せ框の中空部を構成する召合せ側の壁体を、外部カバ
ーと内部カバーとで挟み込んで固定され、固定ねじは、
内部カバー側からねじ込み可能に構成され、召合せ框の
召合せ側とは逆側には、固定ねじを締め付け操作可能な
操作開口が形成されていることを特徴とする。

【０００８】

【作用】第１の錠および第２の錠を屋外、屋内戸の召合
せ框にそれぞれ取り付ける場合には、先ず、屋外戸およ
び屋内戸を、それぞれの召合せ框がオーバーラップしな
いように開いておき、いずれか一方の召合せ框の適正位
置に第１の錠を固定すると共に、他方の召合せ框に第２
の錠を仮固定する。次に、屋外戸および屋内戸を閉じた
位置に移動させ、この状態で第２の錠を操作しながら第
１の錠に対する第２の錠の位置調整を行う。位置調整が
完了したら固定ねじを締め付けて第２の錠の本固定を行
う。

【０００９】この場合、固定ねじは、内部カバー側から
ねじ込み可能に構成され、かつ召合せ框の召合せ側とは
逆側に、固定ねじを締め付け操作可能な操作開口が形成
されているので、固定ねじの締め付け作業は、屋内また
は屋外側、すなわち開放空間側から行うことができ、位
置調整の後、直ちに後付け側の第２の錠を本固定するこ
とができる。したがって、従来のように位置調整の後、
再度屋外戸および屋内戸をオーバーラン位置まで移動さ
せる必要がない。また、第２の錠は、召合せ框の中空部
を構成する召合せ側の壁体を、外部カバーと内部カバー
とで挟み込んで固定されているため、召合せ框に強固に
固定される。

【００１０】

【実施例】以下、添付図面を参照して、本考案の一実施
例に係る引き戸用錠の取付構造を玄関引き戸に適用した
場合について説明する。図１は玄関引き戸の平面図であ
り、同図に示すように、引き戸用錠１は、玄関引き戸を
構成する屋外戸Ａの召合せ框Ａ１と屋内戸Ｂの召合せ框
Ｂ１とに、それぞれ埋め込まれた屋外錠２（第１の錠）
と屋内錠３（第２の錠）とで構成されている。引き戸用
錠１は、屋外側Ｏからキー操作により施錠および解錠可
能に構成されると共に、屋内側Ｉからもつまみ操作によ
り施錠および解錠可能に構成されている。

【００１１】図２は、屋外錠２および屋内錠３をそれぞ
れの召合せ框Ａ１，Ｂ１に取り付けた状態を示してお
り、同図に示すように、屋外錠２および屋内錠３は、中
空の押出し型材で構成されたそれぞれの召合せ框Ａ１，
Ｂ１の開口部Ａ２，Ｂ２内に埋め込まれている。屋外錠
２は、屋内側Ｉから取り付けられた屋外錠本体４と、屋
外側Ｏから取り付けられたシリンダー錠５とで構成され
ている。屋外錠本体４は、屋内側Ｉに露出する外部プレ
ート１１と、外部プレート１１に沿わせて開口部Ａ２内
に設けた内部プレート１２と、内部プレート１２に取り
付けられたシリンダー錠ホルダー１３とで構成されてい
る。屋外錠本体４は、外部プレート１１の縁部と内部プ
レート１２の縁部とで、召合せ框Ａ１の一方の開口部Ａ
２の縁部を挟み込んだ状態で、屋内側Ｉからねじ込まれ
た上下３本の固定ねじ１４，１４，１４により、召合せ
框Ａ１に固定されている。

【００１２】外部プレート１１には、図３に示すよう
に、中間部にシリンダー錠５の操作端５ａが臨む出没孔
１５が形成され、下部に後述する屋内錠３の係合鎌３３
が臨む角孔１６が形成されている。同様に、内部プレー
ト１２には、外部プレート１１の出没孔１５に合致させ
てシリンダー錠５の操作端５ａが臨む丸孔１７が形成さ
れ、外部プレート１１の角孔１６に合致させて屋内錠３
の係合鎌３３が係合する係合孔１８が形成されている
（図２参照）。一方、シリンダー錠ホルダー１３の下側
には、外部、内部両プレート１１，１２を貫通させて長
ねじ１９が設けられており、長ねじ１９の先端は、支持
金具２０の尾端に螺合されている。支持金具２０の先端
はシリンダー錠５のネック部に巻回されており、屋内側
Ｉから長ねじ１９を締め付けることにより、シリンダー
錠５がシリンダー錠ホルダー１３内に引きつけられて、
そのシリンダカラー２１が召合せ框Ａ１の外面に密着さ
れ、シリンダー錠５が屋外錠本体４に固定される。

【００１３】この状態で、屋外側Ｏから図外のキーを差
し込み、かつ押し込むと、シリンダー錠５の操作端５ａ
が外部プレート１１の出没孔１５から突出して、屋内錠
３の内部に挿入される。ここで、キーを右に回すと、屋
内錠３の係合鎌３３が突出して屋外錠２の係合孔１８に
係合し、引き戸用錠１が施錠される。逆に、キーを左に
回すと、係合鎌３３が没入して係合孔１８との係合が解
かれ、引き戸用錠１が解錠される。

【００１４】屋内錠３は、屋外側Ｏから取り付けられた
屋内錠本体６と、屋内側Ｉから取り付けられたつまみ錠
７とで構成されている。屋内錠本体６は、屋外側Ｏに露
出する外部カバー３１と、開口部Ｂ２内に埋め込まれた
内部カバー３２と、外部、内部両カバー３１，３２内に
収納された施錠機構（図示省略）および係合鎌３３とで
構成されている。屋内錠本体６は、外部カバー３１の縁
部と内部カバー３２の縁部とで、召合せ框Ｂ１の一方の
開口部Ｂ２の縁部を挟み込んだ状態で、外部カバー３１
と内部カバー３２との間に渡した上下一対の固定ねじ３
４，３４の締め付けにより、召合せ框Ｂ１に固定されて
いる。

【００１５】外部カバー３１には、図４に示すように、
中間部にシリンダー錠５の操作端５ａが挿入される挿入
孔３５が形成され、下部に係合鎌３３が出没する鎌孔３
６が形成されている。また、外部カバー３１の内側に
は、上記固定ねじ３４，３４に対応させて上下一対のボ
ス３７，３７が固着されており、このボス３７，３７に
屋内側Ｉからねじ込まれた固定ねじ３４，３４により、
外部カバー３１と内部カバー３２とが相互に引きつけら
れて、屋内錠本体６の召合せ框Ｂ１への固定が行われ
る。各固定ねじ３４は皿ねじで構成され、召合せ框Ｂ１
の開口部Ｂ２に屋内側Ｉから取り付けられたつまみ錠７
を取り外した状態で、屋内側Ｉからこの開口部Ｂ２にド
ライバー等の工具を差し込んで締め付けられる。すなわ
ち、この開口部Ｂ２により、固定ねじ３４の操作開口が
構成されている。

【００１６】係合鎌３３は、内部カバー３２の両側部に
固定された支軸３８に回動自在に取り付けられ、屋内錠
本体６の施錠機構により、前記鎌孔３６から出没自在に
回動して、屋外錠２に係合される。すなわち、シリンダ
ー錠５のキー操作により、またはつまみ錠７のつまみ操
作により、施錠機構が作動され、係合鎌３３が回動して
引き戸用錠１の施錠および解錠が行われるようになって
いる。

【００１７】つまみ錠７は、図２および図４に示すよう
に、化粧板３９とつまみ４０とで構成され、上下の２本
のねじ４１，４１で屋内錠本体６の内部カバー３２の背
面に固定されている。この状態で、つまみ４０の操作端
（図示省略）が屋内錠本体６の施錠機構に係合するよう
になっている。つまみ４０は、化粧板３９の中央に上下
方向にスライド自在に構成されている。つまみ４０を下
方にスライド操作すると、つまみ４０の操作端が施錠機
構を介して係合鎌３３が屋外錠２内に突出され、上方に
スライド操作すると、係合鎌３３が屋内錠３内に没入さ
れて、引き戸用錠１の施錠および解錠が行われる。

【００１８】ここで、屋外錠２および屋内錠３の各召合
せ框Ａ１，Ｂ１への取付手順について説明する。屋外戸
Ａおよび屋内戸Ｂを互いにオーバーランする位置まで開
けておき、支持金具２０を取り付けたシリンダー錠５を
屋外側Ｏから召合せ框Ａ１の内部に差し込むと共に、屋
外錠本体４を屋内側Ｉから開口部Ａ２の縁部を挟むよう
にセットする。次に、固定ねじ１４および長ねじ１９を
軽く締め付けた後、屋外錠全体４を適正位置に調整し、
こんどは固定ねじ１４および長ねじ１９を本締めする。
このようにして屋外錠２の取り付けが完了したら、屋内
錠本体４を屋外側Ｏから開口部Ｂ２の縁部を挟むように
セットする。次に、固定ねじ３４を軽く締め付けて屋内
錠本体６を召合せ框Ｂ１に仮止めする。

【００１９】ここで、屋外戸Ａおよび屋内戸Ｂをいった
ん閉めて、屋外錠２と屋内錠３とを対面させる。この状
態で、屋内側Ｉから屋内錠３の内部カバー３２に形成さ
れた開口（図示省略）内を覗き、屋外錠２のシリンダー
錠５の操作端５ａと、屋内錠３の施錠機構の受入れ部
（図示省略）とが合致するように屋内錠本体６の位置調
整を行う。好ましくは、このとき屋外戸Ａと屋内戸Ｂと
の隙間を注視しながら係合鎌３３を出没させて、更に屋
内錠本体６の屋外錠２に対する位置調整を行う。調整が
完了したら、固定ねじ３４を本締めして屋内錠本体６を
召合せ框Ｂ２に固定する。最後に、屋内側Ｉからつまみ
錠７を屋内錠本体６にねじ止めする。

【００２０】以上のように本実施例によれば、後付けと
なる屋内錠本体（屋内錠３）６の固定ねじ３４を、屋内
側Ｉから締め付けることができるので、屋内錠本体（屋
内錠３）６を位置調整の後、直ちに固定ねじ３４の本締
めを行うことができる。したがって、位置調整の後に屋
内戸Ｂを動かす必要がないので、屋内錠本体（屋内錠
３）６の位置ズレや、屋外、屋内戸Ａ，Ｂの移動作業が
省略でき、屋内錠３の取り付けを簡単かつ正確に行うこ
とができる。したがって、引き戸用錠１の取り付けに要
する作業時間が短縮され、施工性を向上することができ
る。

【００２１】なお、本実施例では、屋内錠本体の固定ね
じのねじ込み操作は、つまみ錠用の開口部（操作開口）
を利用して行なわれるようになっているが、つまみ錠の
化粧板の窪み形状によっては、別途、固定ねじ用に操作
開口を形成するようにしてもよい。また、屋内錠本体
は、固定ねじによる引きつけ構造で、召合せ框の一方の
開口部の縁部に固定する構造になっているが、逆に、突
っ張り構造で、召合せ框の両方の開口部の縁部に固定す
る構造であってもよい。

【００２２】

【考案の効果】以上のように本考案の引き戸用錠の取付
構造によれば、後付け側の第２の錠の固定ねじを、召合
せ框の召合せ側とは逆側からねじ込み操作可能に構成さ
れているので、ねじ込み操作を開放空間側から行うこと
ができ、第２の錠の本固定、すなわち第２の錠の取り付
け作業、および取り付けに伴う位置調整作業を、簡単か
つ短時間で行うことができる効果を有する。また、第２
の錠は、召合せ框の召合せ側の壁体を、外部カバーと内
部カバーとで挟み込んで固定されているため、第２の錠
を固定する際に、中空の召合せ框を押しつぶしてしまう
ことはなく、召合せ框に強固に固定することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る引き戸用錠の取付構造
を用いた玄関引き戸の裁断平面図である。

【図２】実施例の引き戸用錠の取付け状態を表した裁断
側面図である。

【図３】屋外錠の外部露出部の外観図である。

【図４】屋内錠の外部露出部の外観図である。

【符号の説明】

１ 引き戸用錠 ２ 屋外錠 ３ 屋内錠 ３１ 外部カバー ３２ 内部カバー ３４ 固定ねじ Ａ 屋外戸 Ａ１ 召合せ框 Ｂ 屋内戸 Ｂ１ 召合せ框 Ｂ２ 開口部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 屋外戸の中空の召合せ框と屋内戸の中空
   の召合せ框との、いずれか一方に埋め込まれた先付け側
   の第１の錠と、他方に埋め込まれて当該第１の錠に位置
   決めされる後付け側の第２の錠とを備え、当該第２の錠
   が、召合せ側に露出する外部カバーと、前記召合せ框内
   に埋め込まれる内部カバーとを有し、当該外部カバーと
   当該内部カバーとの間に渡した固定ねじにより、召合せ
   框に固定される、引き戸用錠の取付構造において、前記第２の錠は、前記固定ねじにより、前記召合せ框の
   中空部を構成する召合せ側の壁体を、前記外部カバーと
   前記内部カバーとで挟み込んで固定され、 前記固定ねじは、前記内部カバー側からねじ込み可能に
   構成され、前記召合せ框の召合せ側とは逆側には、当該
   固定ねじを締め付け操作可能な操作開口が形成されてい
   ることを特徴とする引き戸用錠の取付構造。