JP2561207Y2 - 熱交換器における出入口管の取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は簡単な構成で出入口管のろう付け精度を向上
し、その固定強度を強化するとともに、出入口管の位置
決めを確実かつ安定して行なえるようにした熱交換器に
おける出入口管の取付構造に関する。

（従来の技術） 従来、例えば車両用空調装置のコンデンサのなかに
は、特開平1-291098号公報のように、一対のヘッダパイ
プを備え、このヘッダパイプに冷媒を流出入させる出入
口管を接続するとともに、ヘッダパイプの間に複数の冷
媒チューブを平行に配設したものがあり、この場合のヘ
ッダパイプと出入口管との取付構造は、ヘッダパイプと
出入口管とを共に円管で構成し、これらに円形の流通孔
と円弧状の切込み孔を形成し、各孔位置でヘッダパイプ
と出入口管を係合保持して、これらをろう付けするよう
にしていた。

（考案が解決しようとする課題） しかし、この従来の構造では、出入口管が円管で構成
され、また該管と係合するヘッダパイプの流通孔が円形
に形成されているため、それらのろう付け前の位置決め
が難しく、クリップ等の適宜な固定手段を用いても位置
ずれの惧れがあって、ろう付け精度やろう付け強度に不
安があり、更にコンデンサの取付け時に出入口管をユニ
オンに接続する際、その締め付けトルクが上記ろう付け
部に集中し、これをろう付け強度のみで抗するようにし
ていたため、ろう付け強度や出入口管の取付け法自体に
強度上の不安があった。

本考案はこのような問題を解決し、簡単な構成で出入
口管のろう付け精度を向上し、その固定強度を強化する
とともに、出入口管の位置決めを確実かつ安定して行な
えるようにした熱交換器における出入口管の取付構造を
提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） このため、本考案の熱交換器における出入口管の取付
構造は、周面に取付孔を形成した一対のヘッダーパイプ
と、ヘッダーパイプに連通する通孔を周面に形成した出
入口管とを設け、前記取付孔に出入口管を係合し、出入
口管をヘッダパイプに接合するようにした熱交換器にお
ける出入口管の取付構造において、出入口管を矩形断面
の管材で構成するとともに、該出入口管の上下周面を取
付孔の開口縁を係合し、かつ出入口管の一部周面をヘッ
ダパイプの内方に配置し、簡単な構成で出入口管のろう
付け精度を向上し、その固定強度を強化するとともに、
出入口管の位置決めを確実かつ安定して行なえるように
したことを特徴にしている。

（実施例） 以下、本考案を車両用空調装置の熱交換器であるコン
デンサに適用した図示実施例について説明すると、第１
図乃至第４図において１は、コンデンサで、これは一対
のヘッダパイプ2,3と、これらパイプ2,3の間に平行に配
設した多数の冷媒移動用の扁平チューブ４を有し、これ
らチューブ４の間に放熱フィン５を配設している。

上記ヘッダパイプ2,3は第２図のように、同様な断面
形状に形成され、これらは内外面にろう材を被覆したア
ルミニウムブレージングシートを略樋状にプレス成形
し、その一対のパイプピース2a,2b,3a,3bを互いに向き
合わせて端縁を溶接し、実施例ではろう付けし、その相
対するパイプピース2b,3bに前記冷媒チューブ４の端部
に差し込んで、これらをろう付けしている 上記ヘッダパイプ2,3の上下端部には、各開口部を閉
塞するキャップ6,7,8,9が取付けられ、またヘッダパイ
プ２の上端部周面とヘッダパイプ３の下端部周面には、
矩形の内空断面を有する取付孔10,11が形成されてい
る。

上記取付孔10,11は同形に形成され、これらは外側の
パイプピース2a,3aにプレス成形されていて、取付孔10,
11の開口縁の内側に二つの隅角係合部が直角に切り欠か
れ、該係合部に出入口管12,13の周面の角部が係合して
いて、該管12,13の片側周面が前記開口縁にろう付けさ
れている。

入口管12と出口管13は、上記取付孔10,11に係合可能
な矩形断面の管材で構成され、その周面の直角状の四つ
の角部のうち、二つの角部がヘッダパイプ2,3の内方に
配置され、かつこれらが前記隅角係合部に係合して、そ
の周面が取付孔10,11の開口縁にろう付けされている。

出入口管12,13の閉塞側の端部周面には、取付孔10,11
に連通する通孔14,15が形成され、この他端に冷媒導管
（図示略）を接続可能なユニオン16を接続している。

この他、図中17,18はヘッダパイプ2,3の内部に設けた
仕切板である。

第５図乃至第８図は本考案の他の実施例を示し、前述
の実施例と対応する構成の部分には同一の符号を用いて
いる。これらの実施例は、ヘッダパイプ2,3の該当部を
同様に構成しているため、便宜上、ヘッダパイプ２側の
み図示している。

このうち、第５図および第６図に示す実施例では、取
付孔10の開口縁と入口管12の周面との線接触状態でのろ
う付けの代わりに、取付孔10の開口縁の上下位置に係合
部として係合片19を突設し、この係合片19,19に入口管1
2を挟持させ、それらの面接触状態でのろう付けを介し
て、ろう付け強度を強化するようにした点を特徴にして
いる。

また、第７図および第８図に示す実施例では、係合片
19の代わりに取付孔10の開口側縁に係合部として係合爪
20を突設し、この係合爪20に通孔14を挿入し、該孔14の
側縁を係合爪20に係合することで、ヘッダパイプ２に対
する入口管12の位置決めを容易に行なえるようにした点
を特徴にしている。

なお、上述の実施例は何れも接合手段として、ろう付
けを採用しているが、アーク溶接やガス溶接等の融接手
段を用いることも可能である。また、本考案はコンデン
サーの他に、オイルクーラやラジエータに用いられる熱
交換器に適用することも可能である。

（作用） このように構成した熱交換器における出入口管の取付
構造は、ヘッダパイプ2,3を構成する各一対のパイプピ
ース2a,2bおよび3a,3bをプレス成形する際、外側に配置
するパイプピース2a,3aに矩形の取付孔10,11をプレス成
形し、またパイプピース2b,3bの周面に、チューブ４の
挿入孔を多数プレス成形し、これらを互いに向き合わせ
て接合する。

したがって、管状のヘッダパイプに直接取付孔10,11
を加工する場合に比べて、加工が容易で精度が良く、ま
たヘッダパイプ2,3の周面に取付孔10,11を切り欠き形成
するだけでよいから、ヘッダパイプの一部周面を平坦に
成形し、当該部に連通孔を形成するものに比べて、加工
が簡素で加工コストの低減を図れる。

上記のような加工と前後して、角材からなる出入口管
12,13の所定位置に通孔14,15をプレス成形し、その一端
を閉塞するとともに、他端にユニオン16を接続し、該管
12,13の周面を接合後のパイプピース2a,3aの取付孔10,1
1に接続方向に係合して、それらの係合状態をクリップ
等の適宜手段で保持する。

したがって、出入口管の一部周面を平坦に成形し、当
該部に導孔を形成するものに比べて、加工が簡素で加工
コストの低減を図れる。

この場合、本考案は出入口管12,13の二つの角部を、
取付孔10,11の内側に形成した二つの隅角係合部に係合
し、該角部をヘッダパイプ2,3の内包に配置して、出入
管12,13の重量バランスを図り、上記係合時の姿勢を安
定させているから、従来のように円筒状の出入口管を円
弧状の取付孔に係合させるものに比べて、出入口管12,1
3を強力に保持でき、ろう付け前の多少の振動や衝撃に
よる位置ずれを防止できるとともに、出入口管12,13の
位置決めを確実かつ安定して行なえる。

こうして、出入口管12,13を取付孔10,11に係合すると
ともに、パイプピース2b,3bの挿入孔にチューブ４を差
し込み、該チューブ４の間に放熱フィン５を配設する一
方、各一対のパイプピース2a,2bと3a,3b内の所定位置に
仕切板17,18を配置し、それらの上下端部にキャップ6,
7,8,9を嵌め込み、これらをクリッぷ等の適宜手段で保
持してろう付け炉に搬入し、それらのろう付け部をろう
付けする。

この場合、上述のように出入口管12,13が強力に保持
され、多少の振動や衝撃による位置ずれを防止されてい
るから、ろう付けを精度良く行なえるとともに、ろう切
れ等によるろう付け強度の低下を防止し得る。

こうして、ろう付けされたコンデンサ１を車両へ取り
付け、出入口管12,13のユニオン16に冷媒導管を接続す
る際、出入口管12,13にユニオン16の締め付けトルクが
作用するが、該トルクに対し本考案では、出入口管12,1
3とヘッダパイプ2,3のろう付け強度の他に、出入口管1
2,13と取付孔10,11との係合強度が抗するから、出入口
管12,13の固定強度が増強し、ろう付け部が破損するこ
とはない。

（考案の効果） 本考案の熱交換器における出入口管の取付構造は以上
のように、出入口管を矩形断面の管材で構成したから、
これが円管状のものに比べて、捩り強度を向上すること
ができる。

また、出入口管の上下周面を取付孔の開口縁に係合
し、かつ出入口管の一部周面をヘッダパイプの内方に配
置したから、出入口管を堅固に拘束するとともに、その
重量バランスを保持して、前記係合時の姿勢を安定させ
ることができる。

したがって、出入口管をヘッダパイプに組み付ける
際、出入口管が動揺したり取付孔から脱落することがな
く、その位置決めを確実かつ安定して行なうことがで
き、この種の作業能率を向上することができる。

それゆえ、出入口管に例えば冷媒導管を接触する際、
出入口管に捩り力が作用しても、前述のように出入口管
の捩り強度の強化と、その矩形断面の周面を取付孔の開
口縁に係合することで、これらが前記捩り力に対抗し、
出入口管の固定強度を強化することができるとともに、
出入口管の捩りを低減し、しかもろう付け等の接合部の
負担を軽減することができる等の実用的な効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の要部を示す断面図、第２図は第１図の
Ａ−Ａ線に沿う断面図、第３図は本考案の要部を示す斜
視図、第４図は本考案によるヘッダパイプと入口管との
接続状況を拡大して示す断面図、第５図は本考案の他の
実施例の要部を示す斜視図、第６図は第５図のＢ−Ｂ線
に沿う断面図、第７図は本考案の別の実施例の要部を示
す斜視図、第８図は第７図のＣ−Ｃ線に沿う断面図であ
る。 １……コンデンサ、2,3……ヘッダパイプ、2a,2b,3a,3b
……パイプピース、10,11……取付孔、12,13……出入口
管、14,15……通孔

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】周面に取付孔を形成した一対のヘッダーパ
   イプと、ヘッダーパイプに連通する通孔を周面に形成し
   た出入口管とを設け、前記取付孔に出入口管を係合し、
   出入口管をヘッダパイプに接合するようにした熱交換器
   における出入口管の取付構造において、出入口管を矩形
   断面の管材で構成するとともに、該出入口管の上下周面
   を取付孔の開口縁に係合し、かつ出入口管の一部周面を
   ヘッダパイプの内方に配置したことを特徴とする熱交換
   器における出入口管の取付構造。