JP2561188Y2 - 圧力調整弁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、例えば自動車の電子制
御燃料噴射装置に用いられて噴射弁に圧送される燃料の
圧力を一定に保つなど、ポンプから圧送されて他の装置
に供給される流体の圧力を一定に保つ圧力調整弁に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の圧力調整弁は、例えば実
開昭６３−１９８８７４号公報に示されているととも
に、図３に示すように、カップ状に形成され互いに開口
部が対向するように重ね合わせられて内部に空間を形成
する第１および第２シェル１１，１２と、第１および第
２シェル１１，１２間に周縁部にて固定されて前記空間
を第１および第２室Ｒ１，Ｒ２に区画するダイヤフラム
１３と、第１シェル１１の側部に組み付けられ第１室Ｒ
１に向けて開口して流入口を構成する筒状のブッシュ１
４と、ブッシュ１４を貫通させてなり第１シェル１１の
外側面上に固定されたブラケット１５と、第１シェル１
１の底部に組み付けられるとともに第１室Ｒ１内にてダ
イヤフラム１３に向けて突出してなり流出口を構成する
流出パイプ１６と、流出パイプ１６の上部に組み付けら
れダイヤフラム１３の中央部に向けた開口面を有する筒
状の弁座部材１７と、弁座部材１７の開口面に対向する
ようにダイヤフラム１３の中央部に組み付けられ弁座部
材１７との協働によりダイヤフラム１３の変位に応じて
ブッシュ１４と流出パイプ１６との間に形成される流路
を開閉する弁体１８と、第２室Ｒ２内に収容され一端に
て第２シェル１２の底面に支持されかつ他端にてダイヤ
フラム１３に支持されたスプリング１９とを備え、第１
室Ｒ１とブッシュ１４に連通する装置内の圧力がスプリ
ング１８の付勢力に応じた所定の圧力に維持されるよう
にしている。そして、この場合、ブッシュ１４およびブ
ラケット１５は第１シェル１１にろう付け固定されてい
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかるに、上記従来の
装置にあっては、ブッシュ１４の先端部の断面外形形状
は切削加工によって円形に形成されているとともに、同
先端部が侵入するブラケット１５および第１シェル１１
に設けた貫通孔は前記断面外形形状に対応した円形に形
成されているので、炉中にて圧力調整弁の各部をろう付
けする際、ブッシュ１４またはブラケット１５の回転を
防止するために、ブッシュ１４の先端１４ａをかしめて
ブッシュ１４およびブラケット１５を第１シェル１１に
仮固定する必要があった。そのため、この圧力調整弁の
製造行程が複雑になって同調整弁の製造コストが高くな
っていた。本考案は上記問題に対処するためになされた
もので、その目的は、前記かしめ行程を省略して製造行
程の簡素化を図った構造の圧力調整弁を提供することに
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案の構成上の特徴は、上記従来の圧力調整弁に
おいて、ブッシュの先端部の断面外形形状を非円形に形
成するとともに、ブッシュの先端部が侵入する第１シェ
ルおよびブラケットに設けた貫通孔を前記断面外形形状
に対応して非円形に形成したことにある。

【０００５】

【考案の作用・効果】上記のように構成した本考案にお
いては、ブッシュの先端部を非円形に形成するととも
に、第１シェルおよびブラケットに設けた貫通孔も非円
形にしたので、ブッシュの先端部を第１シェルおよびブ
ラケットの貫通孔に圧入嵌合するようにすれば、炉中に
て圧力調整弁の各部をろう付けする際にも、ブッシュお
よびブラケットが第１シェルに対して回転することなく
確実に位置決めされる。その結果、本考案に係る構造の
圧力調整弁によれば、従来装置のようなかしめ行程を削
除することができ、圧力調整弁の製造行程を簡素化でき
て安価な同調整弁を提供できる。

【０００６】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面を用いて説明
すると、図１は同実施例に係る圧力調整弁を正断面図に
より示している。この圧力調整弁はカップ状に形成され
た第１および第２シェル２１，２２を有し、各シェル２
１，２２は、互いに開口部が対向するように重ね合わせ
られて内部に空間を形成している。これらの第１および
第２シェル２１，２２間には、ダイヤフラム２３がその
周縁部にて各シェル２１，２２の端部をかしめることに
より固定されており、同ダイヤフラム２３は前記空間を
第１および第２室Ｒ１，Ｒ２に区画している。

【０００７】第１シェル２１の側面には、ブッシュ２４
およびブラケット２５が組み付けられている。ブッシュ
２４は燃料ポンプからの燃料を燃料噴射弁に圧送する燃
料供給路側に接続されて第１室Ｒ１に対する流入口を構
成するもので、図１，２に示すように、プレス加工など
により筒状に成形されている。このブッシュ２４の先端
部２４ａの断面外形形状は６角形に形成されており、同
先端部２４ａは第１シェル２１の側面に形成した６角形
の貫通孔２１ａに嵌合されるようになっている。ブラケ
ット２５は当該圧力調整弁を他の装置に固定するもの
で、長円状に形成されている。このブラケット２５の中
央部にはブッシュ２４の先端部２４ａの外形に対応した
６角形の貫通孔２５ａが形成されていて、同先端部２４
ａを貫通させている。ブラケット２５の両側には、当該
圧力調整弁を他の装置へ固定するねじを貫通させるため
の一対の貫通孔２５ｂ，２５ｂが形成されている。第１
シェル２１の底面中央部には流出パイプ２６が垂直に組
み付けられている。この流出パイプ２６は第１シェル２
１の底面を貫通するとともに外周面にて同底面に固着さ
れ、同パイプ２６の上端面はダイヤフラム２３に対向し
ている。流出パイプ２６の上端部には円筒状の弁座部材
２７が嵌合固定されており、その上端面はダイヤフラム
２３の中央部に向けて開口している。流出パイプ２６の
下端部はＬ字型に曲げられ、その先端部にはホースが嵌
合されるようになっている。

【０００８】ダイヤフラム２３の中央部には保持体３１
が組み付けられ、同保持体３１により弁座部材２７の上
端面に対向した弁体３２が支持されている。弁体３２は
平板状に形成されてその下面にて弁座部材２７の上端面
に着座するものであり、その上面にはボール３３が固着
されている。このボール３３は、保持体３１にかしめ固
定された保持板３４により下方への変位が規制されてい
る。

【０００９】第２室Ｒ２内にはスプリング３５が収容さ
れている。スプリング３５は、その上端にて第２シェル
２２の底面２２ａにより支持され、その下端にて保持体
３１にかしめ固定されたばね受け３６により支持されて
いる。なお、第２シェル２２には負圧導入パイプ３７が
組み付けられており、第２室Ｒ２は負圧導入パイプ３７
を介してエンジンの吸気管に連通している。

【００１０】上記構成の圧力調整弁のブッシュ２４およ
びブラケット２５の組み付けにおいては、ブッシュ２４
の先端部２４ａをブラケット２５の貫通孔２５ａを貫通
させるとともに第１シェル２１の貫通孔２１ａに圧入嵌
合する。そして、ろう剤をブッシュ２４、ブラケット２
５および第１シェル２１の接合部に塗布して、当該圧力
調整弁を炉中に入れて、前記接合部をろう付け固着す
る。この場合、ブッシュ２４の先端部２４ａの断面外形
形状は６角形に形成されているとともに、ブラケット２
５の貫通孔２５ａおよび第１シェル２１の貫通孔２１ａ
も前記形状に対応した６角形に形成されているので、ブ
ッシュ２４およびブラケット２５は第１シェル２１に対
して確実に位置決めされて、ブッシュ２４およびブラケ
ット２５が第１シェル２１に対して回転してしまうよう
なことがなくなる。その結果、上記実施例の圧力調整弁
においては、製造行程を簡素化できて同調整弁を安価に
製造できるようになる。

【００１１】次に、上記のように構成した圧力調整弁の
作動を簡単に説明しておく。第１室Ｒ１内の燃料圧力に
よるダイヤフラム２３を上方へ押し上げる力が、スプリ
ング３５によるダイヤフラム２３を押し下げる力から第
２室Ｒ２内の負圧によるダイヤフラム２３を引き上げる
力を差し引いた合成力より大きければ、ダイヤフラム２
３は上方へ移動して弁体３２が弁座部材２７の上端面か
ら離れるので、第１室Ｒ１内の燃料は流出パイプ２６を
介して燃料タンク側へ流れて第１室Ｒ１内の燃料圧が低
下する。一方、第１室Ｒ１内の燃料圧力によるダイヤフ
ラム２３を上方へ押し上げる力が、前記合成力より小さ
ければ、ダイヤフラム２３は下方へ移動して弁体３２が
弁座部材２７の上端面に着座するので、第１室Ｒ１内の
燃料は閉じ込められ、ブッシュ２４を介して流入する燃
料によって第１室Ｒ１内の燃料圧が上昇する。このよう
なダイヤフラム２３および弁体３２の作用により、第１
室Ｒ１内の燃料圧力が定められ、燃料供給路の圧力が所
定圧に維持される。

【００１２】なお、上記実施例においては、ブッシュ２
４の先端部２４ａの断面外形形状、ブラケット２５およ
び第１シェル２１の貫通孔２５ａ，２１ａの形状を６角
形にしたが、この形状は６角形以外の多角形でもよい
し、長円形状、だるま形状などでもよい。また、円形の
一部に位置決め用の凹部または凸部を有するような形状
でもよい。すなわち、ブッシュ２４がブラケット２５お
よび第１シェル２１に対して回転の規制されるような非
円形であれば、いかなる形状でもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例を示す圧力調整弁の正断面
図である。

【図２】 同圧力調整弁の第１シェル、ブッシュおよび
ブラケットの組立分解斜視図である。

【図３】 従来の圧力調整弁の正断面図である。

【符号の説明】

２１…第１シェル、２１ａ…貫通孔、２２…第２シェ
ル、２３…ダイヤフラム、２４…ブッシュ、２４ａ…先
端部、２５…ブラケット、２５ａ…貫通孔、２６…流出
パイプ、２７…弁座部材、３１…保持体、３２…弁体、
３５…スプリング、Ｒ１…第１室、Ｒ２…第２室。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 カップ状に形成され互いに開口部が対向
   するように重ね合わせられて内部に空間を形成する第１
   および第２シェルと、前記第１および第２シェル間に周
   縁部にて固定されて前記空間を第１および第２室に区画
   するダイヤフラムと、前記第１シェルの側部に組み付け
   られ前記第１室に向けて開口して流入口を構成する筒状
   のブッシュと、前記ブッシュを貫通させてなり前記第１
   シェルの外側面上に固定されたブラケットと、前記第１
   シェルの底部に組み付けられるとともに前記第１室内に
   て前記ダイヤフラムに向けて突出してなり流出口を構成
   する流出パイプと、前記流出パイプの上部に組み付けら
   れ前記ダイヤフラムの中央部に向けた開口面を有する筒
   状の弁座部材と、前記弁座部材の開口面に対向するよう
   に前記ダイヤフラムの中央部に組み付けられ前記弁座部
   材との協働により前記ダイヤフラムの変位に応じて前記
   ブッシュと前記流出パイプとの間に形成される流路を開
   閉する弁体と、前記第２室内に収容され一端にて前記第
   ２シェルの底面に支持されかつ他端にて前記ダイヤフラ
   ムに支持されたスプリングとを備えた圧力調整弁におい
   て、前記ブッシュの先端部の断面外形形状を非円形に形
   成するとともに、前記ブッシュの先端部が侵入する前記
   第１シェルおよびブラケットに設けた貫通孔を前記断面
   外形形状に対応して非円形に形成したことを特徴とする
   圧力調整弁。