JP2561138B2 - 包接錯体および該包接錯体を利用した2,6−ジイソプロピルナフタレンの分離方法 - Google Patents

包接錯体および該包接錯体を利用した2,6−ジイソプロピルナフタレンの分離方法

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JP2561138B2 JP63225541A JP22554188A JP2561138B2 JP 2561138 B2 JP2561138 B2 JP 2561138B2 JP 63225541 A JP63225541 A JP 63225541A JP 22554188 A JP22554188 A JP 22554188A JP 2561138 B2 JP2561138 B2 JP 2561138B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、新規な包接錯体及び該包接錯体を利用した
2,6−ジイソプロピルナフタレン(以下、ジイソプロピ
ルナフタレンをDIPNと略記する)の分離方法に関する。
2,6-DIPNは高機能性樹脂用モノマーである2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、2,6−ジヒドロキシナフタレン及び
6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の原料として有用な化
合物である。
従来の技術 2,6-DIPNの製造原料としては、DIPN混合物がよく知ら
れている。DIPN混合物は、ナフタレンとプロピレンを原
料としてアルキル化、トランスアルキル化、蒸溜等の操
作を加えることによって工業的に製造されており、感圧
紙マイクロカプセル溶剤、電気絶縁油等の用途に使用さ
れている。
DIPN混合物から2,6-DIPNを分離する方法としては、特
開昭50-69055号公報に記載されているように、DIPN混合
物を冷却することによって2,6-DIPNを析出させ、それを
過分離することにより、高純度の2,6-DIPNを得る方法
が知られており、また、特開昭63-88141号公報には、2,
7-DIPN及び2,6-DIPNを含むイソプロピルナフタレン混合
物から、2,6-DIPNとチオ尿素とのアダクツ形成を利用し
て、2,6-DIPNを分離する方法が記載されている。
発明が解決しようとする課題 しかしながら,特開昭50-69055号公報に記載されてい
る方法において、油状のDIPN混合物を冷却する方法を工
業的に実施しようとすると、氷点下への冷却を必要とす
るため、冷却のための設備費及び用役費が嵩み、そのう
え過及び洗浄を容易にするために、結晶の大きさを均
一にかつ適度な大きさにする必要があり、晶析槽内の伝
熱、攪拌および壁面へ付着する結晶のかきとり等に微妙
な調整が必要であり、特別に設計した晶析槽を必要とす
るという欠点がある。更に、99%以上の高純度の2,6-DI
PNを得るためには、多段の晶析操作を組合せて複雑な系
を構成せざるをえず、経済的に不利となる。
一方、特開昭63-88141号公報に記載の方法は、アダク
ツ形成に長時間を要し、得られる2,6-DIPNの純度も98%
未満であり、高純度を要求されるモノマー原料である2,
6-DIPNの工業的製造方法としては、必ずしも満足できる
ものではない。
本発明は、従来の技術における上記のような事情に鑑
みてなされたものである。
したがって、本発明の目的は、冷却を必要とすること
なく高純度の2,6-DIPNをDIPN混合物から簡単な操作で分
離することができる分離方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、2,6-DIPNの分離に利用すること
ができる新規な包接錯体を提供することにある。
課題を解決するための手段 本発明者は、まったく冷却を必要としない条件下で2,
6-DIPNと優先的に包接錯体をつくり、その包接錯体が簡
単な操作で分解し、一段の包接と分解により、DIPN混合
物から99%以上の純度の2,6-DIPNを回収できるような化
合物を見出すことができれば、工業的に有意義な分離方
法を提供することができると考え、鋭意探索を行った。
その結果、9,9′−ビアントラニル(以下、ビアント
ラニルをBAと略記する)が常温で2,6-DIPNと選択的に包
接錯体をつくり,また、9,9′−BAと2,6-DIPNとの包接
錯体は、加熱することにより、容易に2,6-DIPNと9,9′
−BAとに分解し、しかも回収される2,6-DIPNの純度は99
%以上に達することを見出だし、本発明を完成するに至
った。
本発明の包接錯体は、9,9′−BAと2,6-DIPNからなる
式(I) で示される。
本発明の2,6-DIPNの分離方法は、2,6-DIPNを含有する
DIPN混合物から、2,6-DIPNを分離するにあたり、そのDI
PN混合物と、9,9′−BAを接触させて、9,9′−BAと2,6-
DIPNからなる上記式(I)で示される包接錯体を形成さ
せ、該包接錯体を過により分離した後、加熱分解し、
2,6-DIPNを回収することを特徴とする。
本発明の上記包接錯体は、第1図に示される赤外吸収
スペクトル(KBr法)を示す無色結晶性の物質であっ
て、加熱により、9,9′−BAと2,6-DIPNとに分解する。
本発明の上記包接錯体は、9,9′−BAを2,6-DIPNを含むD
IPN混合物と常温で接触させることによって容易に生成
させることができる。その場合、9,9′−BAが常温で2,6
-DIPNと優先的に包接錯体をつくり、また、形成された
包接錯体は、加熱により、容易に9,9′−BAと2,6-DIPN
とに分解するので、本発明の包接錯体の形成及び分解反
応を利用すると、DIPN混合物から2,6-DIPNを容易に分離
することができる。
次に本発明の2,6-DIPNの分離方法について詳細に説明
する。
本発明の方法を実施する際、原料として用いるDIPN混
合物は、ナフタレンとプロピレンをシリカアルミナ、合
成ゼオライト等の固体酸触媒の存在下、アルキル化、ト
ランスアルキル化反応に付し、得られたプロピル化ナフ
タレンを蒸溜することによって得られ、その主な成分
は、2,6-DIPNと2,7-DIPNであり、副成分としては、他の
DIPN異性体がその大部分を占める。DIPN混合物中の2,6-
DIPNの含有量は、アルキル化、トランスアルキル化反応
および蒸溜の操作条件によって異なるが、通常15ないし
50重量%である。
本発明の方法において2,6-DIPNと包接錯体を形成する
9,9′−BAは、融点314℃の淡黄色の結晶で、アントラキ
ノンを還元して得られる9−アントロンを、さらに還元
することにより容易に得ることができる。したがって、
9,9′−BAは工業化に適している原料である。
9,9′−BAと2,6-DIPNの包接錯体を形成させるために
には、結晶の9,9′−BAを、そのまま、或いは液体媒体
中に溶解又は懸濁させて、液体状のDIPN混合物と混合す
ればよい。尚、特に液体媒体を使用する必要はないが、
操作上の利点がある場合には使用すればよい。
DIPN混合物中に存在する2,6-DIPN量に対して使用する
9,9′−BAの量は、モル比で0.2ないし2倍、好ましくは
0.5〜1.2倍である。9,9′−BAの使用量が上記の範囲を
下回ると、2,6-DIPNの回収率が低くなり、反対に上記の
範囲を上回ると、9,9′−BAの利用効率が低くなるう
え、9,9′−BAが2,6-DIPN以外の成分とも包接錯体をつ
くるようになり、回収される2,6-DIPNの純度が低くな
る。
本発明の方法において、9,9′−BAと2,6-DIPNの包接
錯体を形成させるのに適する温度は、5℃ないし50℃、
好ましくは10℃ないし35℃である。
包接錯体を形成させるに際して、前記のDIPN混合物
に、9,9′−BAを加えた混合物を攪拌するのが好ましい
が、DIPN混合物を冷却して2,6-DIPNを析出させて過す
る、いわゆるメルト晶析法の場合のような温度及び攪拌
条件の微妙な調節を行なう必要はない。
包接錯体の形成に要する時間は、通常8時間以内であ
る。9,9′−BAと2,6-DIPNの包接錯体は、DIPN混合物或
いはヘキサンやアセトンのような液体媒体中の溶解度が
小さく、攪拌に特別な注意を払わなくても、過洗浄操
作の容易な形状と大きさを持つ結晶となって析出する。
以上のようにして包接錯体を形成させた後、通常の
過操作によって、包接錯体及び未包接の9,9′−BAを分
離する。付着するDIPN混合物による純度の低下を防ぐた
めに、少量の溶媒で洗浄することが好ましい。そのよう
な溶剤としては、石油エーテル、ヘキサン、トルエン、
アセトン等が適している。
上記のようにして分離された包接錯体を加熱すると、
9,9′−BAと純度99%以上の2,6-DIPNとに分解する。加
熱温度は、圧力によって変化するが、例えば常圧下で
は、165℃以上、好ましくは165℃ないし250℃に加熱す
る。2,6-DIPNの融点は、69℃、9,9′−BAの融点は314℃
であるので、加熱した分解物は、固体の9,9′−BAと液
体の2,6-DIPNの混合物となる。この混合物から2,6-DIPN
を、蒸溜、抽出などの方法により分離すれば、純度99%
以上の2,6-DIPNが得られる。
実施例 以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明
は、それら実施例によって限定されるものではない。
実施例1 40%の2,6-DIPNを含むDIPN混合物5.3g(2,6-DIPN 10.
0mmol)と9,9′−BA3.54g(10.0mmol)をアセトン5ml中
に懸濁させ、室温で3時間攪拌した。生成した無色プリ
ズム状結晶を取し、少量のアセトンで洗浄した後、風
乾すると、9,9′−BAと2,6-DIPNとの1:1包接錯体4.45g
(7.86mmol)が得られた。
この包接錯体の結晶を減圧下(25mmHg)約200℃に加
熱すると、2,6-DIPN 1.67g(原料DIPN混合物中の2,6-DI
PN含有量に対する回収率78.6%、純度99.8%(DSCによ
る))が留出した。
実施例2 2,6-DIPNを20%含むDIPN混合物6.0g(2,6-DIPN 5.65m
mol)と、9,9′−BA2.0g(5.64mmol)を混合し、室温で
6時間放置した。生成した結晶を取し、少量のヘキサ
ンで洗浄した後、風乾すると、9,9′−BAと2,6-DIPNと
の1:1包接錯体2.35g(4.15mmol)が得られた。この包接
錯体の結晶を減圧下(25mmHg)約200℃に加熱すると、
2,6-DIPN 0.80g(3.77mmol、回収率66.7%、純度99.8
%)が留出した。
発明の効果 本発明の包接錯体は、室温において容易に形成され、
容易に分解するから、本発明の方法によれば、その包接
錯体の形成反応及び分解反応を利用することにより、冷
却装置を備えた複雑な晶析槽を使用することなく、DIPN
混合物から、純度99%以上の2,6-DIPNを容易に回収する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の包接錯体の赤外吸収スペクトルを示
すグラフである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】9,9′−ビアントラニルと2,6−ジイソプロ
    ピルナフタレンからなる式(I) で示される包接錯体。
  2. 【請求項2】2,6−ジイソプロピルナフタレンを含有す
    るジイソプロピルナフタレン混合物から、2,6−ジイソ
    プロピルナフタレンを分離するにあたり、該ジイソプロ
    ピルナフタレン混合物と、9,9′−ビアントラニルを接
    触させて、9,9′−ビアントラニルと2,6−ジイソプロピ
    ルナフタレンからなる下記式(I) で示される包接錯体を形成させ、該包接錯体を過によ
    り分離した後、加熱分解し、2,6−ジイソプロピルナフ
    タレンを回収することを特徴とする2,6−ジイソプロピ
    ルナフタレンの分離方法。
JP63225541A 1988-09-10 1988-09-10 包接錯体および該包接錯体を利用した2,6−ジイソプロピルナフタレンの分離方法 Expired - Lifetime JP2561138B2 (ja)

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DE3930055A DE3930055A1 (de) 1988-09-10 1989-09-08 Clathratkomplexe und verfahren zur trennung alkylsubstituierter naphthalinderivate mittels der clathratkomplexe

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