JP2560937Y2 - 車両用シートのアームレスト構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、衝突時においても、収
納位置にあるアームレストが前方に飛び出すことのない
アームレスト構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、車両用シートのアームレスト構造
として、実開昭５８−７９４３３号公報に記載されてい
るようなものが知られていた。すなわち、図８に示すよ
うに、シートクッション４０と、シートバック４１と、
シートバック４１に設けられたアームレスト４２とで構
成されるリクライニングシートにおいて、アームレスト
４２はシートバック４１に対して矢印の方向に回動可能
となっている。アームレスト４２の上端部には、アーム
レスト４２のシートバック４１に対しての係止を解除す
るための引き手４３が備えられている。

【０００３】図９に示すように、シートバック４１のフ
レーム（図示せず）の両側に設けられたサイドパネル４
４には、アームレスト４２を取り付けるためのアームレ
スト取付軸４５が固着されている。アームレスト本体４
６に設けられた円筒軸４７は、アームレスト取付軸４５
に回動可能に軸支されている。アームレスト本体４６内
では、引き手４３が、ワイヤ４８、ベルクランク状のリ
ンク４９を介してロックピン５０と接続されている。ロ
ックピン５０は、サイドパネル４４にアームレスト取付
軸４５を中心として円弧状に配設された多数のロック孔
５１のいずれかに挿脱可能に係合するようになってい
る。したがって、アームレスト４２をシートバック４１
に対して所望の角度に調整することができていた。

【０００４】さらに、収納位置にある時も、アームレス
ト４２がロックピン５０により、シートバック４１に対
して係止されているので、衝突時においても、アームレ
スト４２が前方に飛び出すことはなかった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような車両用シートのアームレスト構造では、部品点数
も多く、引き手を引き上げた状態のまま、アームレスト
を移動させなければならず、操作性もあまり良くなかっ
た。

【０００６】本考案は、上記した点に鑑み、構造が簡単
で、アームレストの操作性も良く、衝突時においても、
収納位置にあるアームレストが前方に飛び出すことのな
い車両用シートのアームレスト構造を提供することを目
的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案の車両用シートの
アームレスト構造は、シートクッションと、シートバッ
クと、アームレストと、該アームレストに固着されて、
該アームレストを上記シートバックに対して回動可能と
するヒンジ軸とを備えている車両用シートのアームレス
ト構造において、上記ヒンジ軸が挿通する孔を有するブ
ラケットを備え、上記ヒンジ軸の上記孔への挿通部分
は、断面が縦長の平板状であり、上記孔は、上方の縦孔
である第１孔と、下方の該第１孔より幅広の第２孔とが
連接されており、該第２孔は、上部に上記ヒンジ軸が当
接する当接部を有し、上記ヒンジ軸は、上記第１孔では
回動不能とされ、上記第２孔では回動可能とされてお
り、上記ヒンジ軸は、弾性部材により、常時、上方に付
勢されていることを特徴とするものである。

【０００８】

【考案の作用】本考案は、上記のような構成であり、ア
ームレストが収納位置にある場合、ヒンジ軸は、弾性部
材により、常時、上方に付勢され、第１孔に位置してい
るため、回動できない。また、アームレストを使用位置
に回動させる場合は、アームレスト自体を下方に押し下
げ、ヒンジ軸を第２孔に移動させ、そのまま前方に回動
させれば、ヒンジ軸は、弾性部材により、上方に移動
し、第２孔の当接部に押し付けられる。

【０００９】

【考案の効果】このように本考案によれば、構造が簡単
で、剛性も高く、アームレストの操作性も良く、衝突時
においても、収納位置にあるアームレストが前方に飛び
出すことはない。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の実施例を、添付図面に基づい
て詳細に説明する。図１に示すように、リアシート１
は、左右一対のシートクッション２、シートバック３か
らなるシートにより構成されていて、その中央には回動
可能なアームレスト４が備えられている。また、両シー
トバック３の間には、アームレスト４を収納するための
凹部５が設けられている。

【００１１】図２に示すように、シートバック３のフレ
ーム（図示せず）に固着されたヒンジブラケット６が、
アームレスト４の両側面に伸びてきている（一側面のみ
図示、他側面も同様な構成となっている）。なお、ヒン
ジブラケット６は、凹部５両側の突状部７内に設けられ
ている。ヒンジピン８は、アームレスト４内を挿通し、
アームレスト４に固着されている。ヒンジブラケット６
には、ヒンジピン８が挿通する孔９、およびヒンジピン
８を常時、上方に付勢するスプリング１０を取り付ける
取付部１１が設けられている。孔９は、上方の縦穴であ
る第１孔１２と、下方の略半円状である第２孔１３とが
連接されている。ヒンジピン８は、孔９を挿通する部分
８ａのみ、縦長の平板状になっている。第２孔１３は、
アームレスト４が使用位置にある時、この平板状の部分
８ａが当接する当接部１３ａを上方に有している。ヒン
ジピン８に対して回動可能に円筒状のスプリングブラケ
ット１４がヒンジピン８の先端部８ｂに設けられてい
る。

【００１２】図３に示すように、ヒンジピン８の先端部
８ｂに切欠部１５を設け、スプリングブラケット１４が
ヒンジピン８から抜け落ちないようにスプリングブラケ
ット１４よりも径の大きい環状のリング１６が、切欠部
１５にはめ込まれている。また、スプリングブラケット
１４には、スプリング１０を取り付ける取付部１７が設
けられている。

【００１３】次に、この構成における作用を説明する。
図４に示すように、アームレスト４が収納位置にある状
態Ａ（図中一点鎖線）、アームレスト４を押し下げた状
態Ｂ（図中二点鎖線）、アームレスト４が使用位置にあ
る状態Ｃ（図中実線）の３つの状態について説明する。
なお、図５、図６、図７においては、シートバック３
は、一点鎖線によりその外形線のみを示すとともに、ス
プリング１０等は、省略している。

【００１４】図５は、アームレスト４が、収納位置にあ
る状態のヒンジピン８の状態図である。ヒンジピン８
は、スプリング１０により、常時、上方に付勢されてい
るため、第１孔１２に位置し、衝突時にアームレスト４
が前方に回動しようとしても、平板状の部分８ａが第１
孔１２内でその回動を規制されるため、アームレスト４
の収納状態は堅持される。

【００１５】図６は、アームレスト４自体を押し下げた
時のヒンジピン８の状態図である。アームレスト４を収
納するための凹部５と収納位置にある状態でのアームレ
スト４の上端部４ａとの間に手を挿入して、アームレス
ト４自体を下方に押し下げると、ヒンジピン８は、スプ
リング１０の付勢力に抗して第１孔１２から第２孔１３
に移動して、アームレスト４は回動可能となる。

【００１６】図７は、アームレスト４が、使用位置にあ
る状態のヒンジピン８の状態図である。アームレスト４
自体を押し下げたままの状態で、シートバック３に対し
て前方へ回動させ、アームレスト４を使用位置にもって
くる。ヒンジピン８は、スプリング１０により、上方に
付勢されているため、第２孔１３の当接部１３ａに押し
付けられた状態となり、アームレスト４は、使用位置で
保持される。

【００１７】以上のように、本考案の実施例において
は、アームレスト４とシートバック３との係止が、アー
ムレスト自体の操作により行えるため構成が簡単とな
る。また、ヒンジピンとヒンジブラケットに設けられた
孔との圧接関係により係止を行うので、剛性も高い。ま
た、アームレスト４を収納するための凹部５と収納位置
にある状態でのアームレスト４の上端部４ａとの間に手
を挿入して、アームレスト４自体を下方に押し下げ、ア
ームレスト４自体を押し下げたままの状態で、シートバ
ック３に対して前方へ回動させる、という一連の操作
で、アームレスト４を使用位置に移動させることができ
るため、操作性もよい。かつ、衝突時においても、収納
位置にあるアームレスト４が前方に飛び出すことはな
い。なお、実施例では、ヒンジピン８は、挿通部分８ａ
のみ、縦長の平板状としたが、全体が縦長の平板状であ
ってもよい。

【００１８】また、ヒンジブラケット６もシートバック
３のフレーム（図示せず）に固着されているが、車体側
（図示せず）でも、シートクッション２側でも、固定で
きる場所であれば、いずれの場所でもよい。

【００１９】また、ヒンジピン８は、上方側からスプリ
ング１０により、引っ張られているが、下方側からスプ
リング等の弾性部材により、押し上げられるようなもの
であってもよい。

【００２０】また、孔９は、第１孔１２は縦孔で、第２
孔１３は略半円状であるが、第１孔では、ヒンジピン８
が回動不能とされ、第２孔では、ヒンジピン８が回動可
能とされ、ヒンジピン８が当接する当接部を有している
ようなものであればどのような形状でもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案に係るリアシートの斜視図であ
る。

【図２】図２は、本考案に係る主要部の斜視図である。

【図３】図３は、図２におけるＸ−Ｘ線矢視図である。

【図４】図４は、アームレストの各状態を示す状態図で
ある。

【図５】図５は、アームレストの収納位置におけるヒン
ジピンの状態図である。

【図６】図６は、アームレストを押し下げた時のヒンジ
ピンの状態図である。

【図７】図７は、アームレストの使用位置におけるヒン
ジピンの状態図である。

【図８】図８は、従来例に係るリクライニングシートの
斜視図である。

【図９】図９は、従来例に係る主要部の構成図である。

【符号の説明】

３…シートバック ４…アームレスト ６…ヒンジブラケット ８…ヒンジピン ９…孔 １０…スプリング １２…第１孔 １３…第２孔 １３ａ…当接部 １４…スプリングブラケット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートクッションと、シートバックと、ア
   ームレストと、該アームレストに固着されて、該アーム
   レストを上記シートバックに対して回動可能とするヒン
   ジ軸とを備えている車両用シートのアームレスト構造に
   おいて、上記ヒンジ軸が挿通する孔を有するブラケット
   を備え、上記ヒンジ軸の上記孔への挿通部分は、断面が
   縦長の平板状であり、上記孔は、上方の縦孔である第１
   孔と、下方の該第１孔より幅広の第２孔とが連接されて
   おり、該第２孔は、上部に上記ヒンジ軸が当接する当接
   部を有し、上記ヒンジ軸は、上記第１孔では回動不能と
   され、上記第２孔では回動可能とされており、上記ヒン
   ジ軸は、弾性部材により、常時、上方に付勢されている
   ことを特徴とする車両用シートのアームレスト構造。