JP2559909Y2 - 養生ネットの巻揚式支持装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、建物の外側の養生ネ
ットを所望時に巻き揚げ得るようにした養生ネットの巻
揚式支持装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の建物の外側の養生ネットの支持手
段には、例えば、(i)建物の外側に縦及び横の単管の組
み立てからなる支持枠を設け、この支持枠に紐、針金等
の結束により養生ネットを取付けるもの、(ii)建物の外
側に間隔をおいて縦に多数のワイヤーを張設し、これら
のワイヤーに紐、針金等の結束により養生ネットに取付
けるもの等がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】従来の前記(i)及び(i
i)の支持手段は、支持枠又はワイヤーに紐、針金等の結
束により養生ネットを取付けるため、その架払（着脱）
に多くの手間と時間がかかり、その架払の作業は危険を
伴う欠点がある。例えば、建物の外装仕上（例えば、プ
レキャストの外壁板の取付）の工事の際には、養生ネッ
トを一時的に撤去する必要があるが、その撤去作業は容
易でなく、その際の外観も良くない欠点があるこの考案
の解決しようとする課題は、従来の前記(i)及び(ii)の
支持手段の上述のような欠点を有しない養生ネットの巻
揚式支持装置を提供すること、換言すると、構造が簡単
で、操作が容易で、外観もよい養生ネットの巻揚式支持
装置を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この考案は、前記課題を
解決するための手段として、次の構成を採用する。この
考案の構成は、長い支持棒が建物躯体に略水平に取付け
られ、長い巻棒が支持棒と略平行に配され、養生ネット
の上方の端が長い支持棒又はその近傍の部分に取付けら
れ、養生ネットの下方の端が巻棒に固着され、複数の滑
車が支持棒又はその近傍の部分に間隔をおいて設けら
れ、複数の連結体が支持棒又はその近傍の部分に間隔を
おいて設けられ、長いロープが滑車に掛けられ、かつ巻
棒の下側を廻らして、その上方の端が連結体に連結さ
れ、ロープの下方の部分が長く延びていることを特徴と
する養生ネットの巻揚式支持装置にある。好ましい実施
態様においては、建物躯体の外側に長い支持棒を略水平
にかつ着脱自在に取付け得るようにし、長い巻棒を支持
棒と略平行に配し、養生ネットの上方の端を長い支持棒
に取付け、養生ネットの下方の端を巻棒に固着し、複数
の滑車を支持棒の間隔をおいた部分に揺動自在に設け、
複数の連結体を支持棒の前記部分の近傍に設け、長いロ
ープを滑車に掛け、かつ巻棒の下側を廻らして、その上
方の端を連結体に連結し、ロープの下方の部分を長く延
ばすようにする。なお、支持棒及び巻棒は、例えば、鋼
製の単管で構成する。

【０００５】

【作用】この考案の養生ネットの巻揚式支持装置は、ロ
ープの下方の部分を引っ張ると、ロープの中途の部分が
引き揚げられて、巻棒に回転が与えられ、養生ネットが
巻棒に巻き付けられ、ロープの下方の部分をゆるめて繰
り出すと、ロープの中途の部分が下げられ、巻棒に逆方
向の回転が与えられ、養生ネットが巻棒から解舒され
て、下方に延ばされる。

【０００６】

【実施例】実施例の養生ネットの巻揚式支持装置１０
は、図１ないし図５に示され、支持棒１１、巻棒１２、
養生ネット１３、保持体１４、連結体１５Ａ、１５Ｂ、
滑車１６、取付具１７、巻揚用のロープ１８等で構成さ
れている。支持棒１１は長い鋼製の単管で構成し、巻棒
１２も長い鋼製の単管で構成する。養生ネット１３は、
図４に示すように、４枚の長い幅Ｗ₁のネット１３ａと
２枚の長い幅Ｗ₂のネット１３ｂとをそれらの長さ方向
の端縁を接合して構成し、その上端縁１３ｃは適宜の手
段で支持棒１１に取付け、その下端縁１３ｄも適宜の手
段で巻棒１２に固着する。例えば、支持棒１１の下側に
これと平行に線状体１１ａを配し、この線状体１１ａの
間隔をおいた部分を線状体１１ｂにより支持棒１１に取
付け、ネット１３の上端縁１３ｃを線状体１１ａにかけ
て屈曲させて、互いに縫合して、ネット１３を取付け
る。

【０００７】図２に示すように、保持体１４は単管クラ
ンプで構成し、５個の保持体１４をネット１３ａ幅Ｗ₁
と略同じ間隔をおいて支持棒１１に固着する。なお、保
持体１４は、その回動する抱持片１４ａに連結したボル
ト１４ｃを、その回動しない抱持片１４ｂの溝に差し込
み、ボルト１４ｃの先にナット１４ｄをねじ込んで支持
棒１１に固着する。図２に示すように、ロープ１４の上
端を保持する連結体１５Ａは、Ｕ型の部材で構成し、保
持体１４の回動する抱持片１４ａに突設した軸１４ａ₁
に回動自在に取付ける。連結体１５Ｂは、Ｕ型の部材で
構成し、保持体１４の回動しない抱持片１４ｂに突設し
た軸１４ｂ₁に回動自在に取付ける。滑車１６は、その
支持片１６ａで回動自在に支持し、この支持片１６ａの
輪部１６ａ₁を連結体１５ＢのＵ型の部分に嵌合し、保
持体１４に揺動自在に支持させる。

【０００８】取付具１７は、単管クランプで構成し、建
造中の建造物１の梁、柱等の適宜の部分に間隔をおいて
取付けたブラケットＢにボルト１７ｅ等を使って着脱自
在に取付ける。その回動する抱持片１７ａと回動しない
抱持片１７ｂとの間で、支持棒１１の複数の部分を挾
み、抱持片１７ｂに連結してボルト１７ｃを、抱持片１
７ａの溝に差し込み、ボルト１７ｃの先にナット１７ｄ
をねじ込んで支持棒１１に支持する。巻揚用のロープ１
８は、例えば、天然又は合成の繊維等からなるロープ、
ワイヤーロープ等の線状体で構成する。長いロープ１８
の一方の端を、図１に示すように、支持片１６ａの隙間
に通して滑車１６に掛け、巻棒１２の下側を廻らしてか
ら、その端の部分１８ａを連結体１６ＡのＵ型の部分に
掛けて結束し、保持体１４の連結体１６Ａに連結し、ロ
ープ１８の他方の端１８ｂが下方（図１の矢印方向）に
引くことにより、ロープ１８の中途の部分１８ｃを上方
に引き揚げて、巻棒１２に回転を与え、養生ネット１３
を巻棒１２に巻き付けながら、引き揚げ得るようにす
る。

【０００９】実施例の養生ネットの巻揚式支持装置１０
の使い方を説明する。建造物１の鉄骨躯体の建方中、例
えば、図５に示すように、鉄骨柱２、鉄骨梁３からなる
躯体の建方が５階まで完了し６階及び７階の躯体の一部
だけが建てられている建方中に、建物躯体の外側の６階
の床を支持する梁３又は柱２に間隔をおいて多数のブラ
ケットＢを取付け、これらのブラケットＢにボルト１７
ｅ等の固着手段を使って取付具１７を着脱自在に取付け
る。養生ネットの巻揚式支持装置１０は地上で組み立て
る。クレーン等の揚重装置を使って、巻揚式支持装置１
０を吊り揚げ、その支持棒１１を、各取付具１７の抱持
片１７ａ、１７ｂ間に挿入し、抱持片１７ｂに連結して
ボルト１７ｃを抱持片１７ａの溝に差し込み、ボルト１
７ｃの先にナット１７ｄをねじ込んで取付ける。なお、
２組の巻揚式支持装置１０を近接させて躯体の６階の床
の上側に取付ける。そして、各ロープ１８の下部をゆる
めて繰り出し、１階ないし５階の鉄骨躯体の全面を養生
ネット１３で覆うように養生ネット１３を下方に延ばし
てから、ロープ１８の下部を建物躯体の下方の部分等に
固定する。そうすると、１階ないし５階の鉄骨躯体の養
生が完了する。なお、ロープ１８を案内する滑車１６が
揺動自在に支持されているから、ロープ１８を斜め方向
に引くことができ、複数本のロープ１８をまとめて引き
取ったり、繰り出したりすることができる。

【００１０】建物躯体の外装仕上工事、例えば、プレキ
ャストの外装壁４の取付工事を行なう場合は、各ロープ
１８の下部１８ｂをゆっくり引っ張り、ロープ１８の中
途の部分１８ｃを引き上げ、巻棒１２に回転を与え、養
生ネット１３をその下方の部分から順次に巻棒１２に巻
き付ける。養生ネット１３を６階の床を支持する梁３の
上方の位置に巻き揚げるまで、各ロープ１８を矢印方向
に引き下げる。それから、クレーン等の揚重装置を使っ
てプレキャストの外装壁４を吊り揚げ、１階ないし５階
の建物躯体の外周の柱２、梁３等に取付ける。１階ない
し５階の外装壁４の取付けが終了したら、再び、各ロー
プ１８をゆるめて繰り出し、１階ないし５階の鉄骨躯体
の全面を養生ネット１３で覆い、ロープ１８の下方の部
分に固定する。例えば、建造物１の鉄骨躯体の６階ない
し１０階の建方が完了したら、建物躯体の外側の１１階
の床を支持する梁等に間隔をおいてブラケットＢを取付
け、それらのブラケットＢにそれぞれ取付具１７を取付
け、６階の床を支持する梁に取付けてあった養生ネット
の巻揚式支持装置１０を外し、それらをクレーン等の揚
重装置を使って１０階に吊り揚げ、各支持装置１０の支
持棒１１を各取付具１７を使って１１階の床を支持する
梁の上側に取付ける。６階の床を支持する梁の上側に取
付けた場合と同様に操作し、１階ないし１０階の鉄骨躯
体の全面を養生ネット１３で覆ったり、養生ネット１３
を１１階の床を支持する梁の上側の位置まで巻き揚げた
りする。なお、６階の床を支持する梁の上側に取付けた
巻揚式支持装置１０を外さずに、１１階の床を支持する
梁の上側に、別の巻揚式支持装置１０を取付けるように
してもよい。

【００１１】

【考案の効果】この考案は、実用新案登録請求の範囲に
記載した構成を備えることにより、次の（イ）及び
（ハ）の効果を奏する。 （イ）請求項１記載の養生ネットの巻揚式支持装置は、
長い支持棒が建物躯体に略水平に取付けられ、長い巻棒
が支持棒と略平行に配され、養生ネットの上方の端が長
い支持棒又はその近傍の部分に取付けられ、養生ネット
の下方の端が巻棒に固着され、複数の滑車が支持棒又は
その近傍の部分に間隔をおいて設けられ、複数の連結体
が支持棒又はその近傍の部分に間隔をおいて設けられ、
長いロープが滑車に掛けられ、かつ巻棒の下側を廻らし
て、その上方の端が連結体に連結され、ロープの下方の
部分が長く延ばされているから、ロープの下方の部分を
引っ張って引き取ることにより、ロープの中途の部分が
引き揚げられて、巻棒に回転が与えられ、養生ネットを
巻棒に巻き付けることができ、ロープの下方の部分をゆ
るめて繰り出すと、ロープの中途の部分が下げられ、巻
棒に逆方向の回転が与えられ、養生ネットを巻棒から解
舒して下方に延ばすことができ、簡単な構成の装置を使
って、養生ネットの架払を簡単に行なうことができる。
また、建方中の建物躯体に簡単に取付けることができる
から、早期に、人の墜落や物の落下を防止することがで
きる。簡単で軽量な部材の結合により構成されているか
ら、巻揚式支持装置を地上で組み立て、揚重機等を使っ
て吊り揚げ、建物躯体に簡単に取付けることができるか
ら、危険なネット張り作業をなくすことができ、工事中
の養生ネットの盛替えを時機をえて容易に行なうことが
できる。しかも、周囲からの外観も非常によい。 （ロ）請求項２記載のようにすると、装置の構成が簡単
になり、建物躯体への取付も容易になり、操作の容易な
養生ネットの巻揚式支持装置を廉価で提供できる。滑車
が揺動自在になっているから、ロープを斜め方向に引く
ことができ、複数本のロープをまとめて引き取ったり、
繰り出したりしても、装置に無理な力が作用することが
ない。 （ハ）請求項３記載のようにすると、どこの建築現場に
も存在する単管を使って巻揚式支持装置の支持棒及び巻
棒を構成することができ、巻揚式支持装置を簡単に製作
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の養生ネットの巻揚式支持装置を図４の
Ａ−Ａ線で縦断した側面図

【図２】図１に示す巻揚式支持装置の上部の拡大した側
面図

【図３】図１の巻揚式支持装置を図４のＢ−Ｂ線で縦断
した側面図

【図４】実施例の養生ネットの巻揚式支持装置を概略的
に示す正面図

【図５】実施例の巻揚式支持装置を建造中の建物に取付
けた状態の概略的な正面図

【符号の説明】

１ 建造中の建造物 ２ 鉄骨柱 ３ 鉄骨梁 ４ プレキャストの外装壁 １０ 養生ネットの巻揚式支持装置 １１ 支持棒 １２ 巻棒 １３ 養生ネット １３ａ、１３ｂ ネット １３ｃ 上端縁 １３ｄ 下端縁 １４ 保持体 １５Ａ、１５Ｂ 連結体 １６ 滑車 １６ａ 支持片 １７ 取付具 １８ 巻揚用のロープ Ｂ ブラケット Ｗ₁、Ｗ₂ ネットの幅

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】長い支持棒が建物躯体に略水平に取付けら
   れ、長い巻棒が支持棒と略平行に配され、養生ネットの
   上方の端が長い支持棒又はその近傍の部分に取付けら
   れ、養生ネットの下方の端が巻棒に固着され、複数の滑
   車が支持棒又はその近傍の部分に間隔をおいて設けら
   れ、複数の連結体が支持棒又はその近傍の部分に間隔を
   おいて設けられ、長いロープが滑車に掛けられ、かつ巻
   棒の下側を廻らして、その上方の端が連結体に連結さ
   れ、ロープの下方の部分が長く延びていることを特徴と
   する養生ネットの巻揚式支持装置。
2. 【請求項２】建物躯体の外側に長い支持棒が略水平にか
   つ着脱自在に取付けられ、長い巻棒が支持棒と略平行に
   配され、養生ネットの上方の端が長い支持棒に取付けら
   れ、養生ネットの下方の端が巻棒に固着され、複数の滑
   車が支持棒の間隔をおいた部分に揺動自在に設けられ、
   複数の連結体が支持棒の前記部分の近傍に設けられ、長
   いロープが滑車に掛けられ、かつ巻棒の下側を廻らし
   て、その上方の端が連結体に連結され、ロープの下方の
   部分が長く延びていることを特徴とする養生ネットの巻
   揚式支持装置。
3. 【請求項３】支持棒及び巻棒が鋼製の単管で構成されて
   いることを特徴とする請求項１又は２記載の養生ネット
   の巻揚式支持装置。