JP2559115Y2 - 作業車両の車軸駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、油圧式変速装置を収納
するハウジングの構成と、該ハウジングに付設するオイ
ルフィルタの取付構成に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来からハウジング内に油圧式変速装置
を収納し、該油圧式変速装置自体にチャージポンプを付
設して油圧式変速装置に作動油を補給し、外部のアクチ
ュエータにも圧油を送油させることを可能とする車軸駆
動装置は実開平２─５１７６３号公報の如く公知となっ
ているのである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、作業車両の組
立直後の始動初期には外部アクチュエターの配管部分に
エアがふくまれており外部アクチュエータを駆動すると
エアを含んだ戻り油がハウジングに戻されるようにな
り、該エアはハウジング内で撹拌されて作動油に気泡が
混入し、これがオイルフィルタよりチャージポンプを経
て油圧式変速装置に入ってしまうことになり、騒音や発
進不良、中立状態の不安定となる不都合が生じていたの
である。また、外部アクチュエータを駆動した後の戻り
油がすぐオイルフィルタより油圧式変速装置の作動油補
給として吸引されると作動油が高温になり易く、冷却装
置を大型にする必要があったのである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案はこのような問題
点を解消するために、次の如く構成したものである。車
軸と油圧式変速装置と、該変速装置の出力軸と車軸を連
動連結する動力伝達手段を、ハウジングに内装した車軸
駆動装置であって、油圧式変速装置の作動油を補給する
チャージポンプを有し、チャージポンプから吐出される
油の一部を外部アクチュエータの駆動用として取り出す
ように構成したものにおいて、ハウジングに油圧式変速
装置の収納室Ｘと動力伝達手段の収納室Ｙとを区画する
仕切壁を設け、該収納室Ｘの外側面には、該収納室Ｘの
内部に溜められた油をチャージポンプへ吸引する際に濾
過するオイルフィルタを設けると共に、前記収納室Ｙに
外部アクチュエータからの戻り油ポートを設け、前記仕
切壁に両収納室Ｘ・Ｙを連通させる開口部を設け、該開
口部からオイルフィルタへ至る油吸引経路上の前記収納
室Ｘにエア溜りを設けたものである。また、前記オイル
フィルタをハウジング壁面に装着し、オイルフィルタの
吸入部を該ハウジング壁面に設けた開口部を介して前記
収納室Ｘの油溜りに接続し、該オイルフィルタの吐出部
と、チャージポンプの吸入ポートとの間をハウジングに
内装したパイプ部材により接続したものである。

【０００５】

【実施例】本考案が解決しようとする課題及び解決する
ための手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示し
た実施例の構成を説明する。図１は作業車両の車軸駆動
装置の全体斜視図、図２は同じく半割上部ケースを外し
た状態の平面断面図、図３は図２におけるＡ−Ａ矢視断
面図、図４は図２におけるＢ−Ｂ矢視断面図、図５は図
２におけるＣ−Ｃ矢視断面図、図６は図３におけるＤ−
Ｄ矢視断面図、図７は図３におけるＥ−Ｅ矢視断面図、
図８は図６におけるＧ−Ｇ矢視断面図、図９は図６にお
けるＨ−Ｈ矢視断面図、図１０は油圧回路図である。

【０００６】図１、図２、図３、図４にて全体構成から
説明すると、半割上部ケース１と半割下部ケース２から
なるハウジング内に、油圧式変速装置Ｆと車軸４及び該
油圧式変速装置の出力軸と車軸４を連動連結する動力伝
達手段が内装されて車軸駆動装置が構成され、該ハウジ
ング内の略中央が仕切壁１ａ・２ａにより前後方向に縦
断して仕切られて左右二つの収納室Ｘ・Ｙが形成され、
油圧式変速装置Ｆが収納室Ｘに収納され、動力伝達手段
が収納室Ｙに収納されている。

【０００７】前記油圧式変速装置Ｆはセンタセクション
１０上に油圧ポンプＰと油圧モーターＭが装着されてお
り、該センタセクション１０は後面視略Ｌ字状に構成さ
れ、垂直部１０ａの外側面にモーター取付面を構成し、
水平面上にポンプ取付面を形成し、該ポンプ取付面の上
面の略中央位置にポンプ軸である入力軸１１が立設さ
れ、該入力軸１１回りに複数個のピストン２２を進退自
在に収納したシリンダーブロック２１が外嵌され、該ピ
ストン２２の頭部が可動斜板１３に当接されている。該
可変斜板１３は半割上部ケース１を垂直に貫通した操作
軸１４に固設したアーム１５を回動することによりその
傾転角度を変更可能とし、油圧ポンプＰの圧油の吐出方
向及び吐出量が調節されてモーター軸１６の回転方向及
び、回転数を変更可能としている。

【０００８】前記センタセクション１０の垂直部１０ａ
の外面にはモーター取付面が形成され、該モーター取付
面中央部に前記入力軸１１と直交してモーター軸１６が
横架され、該モーター軸１６上にはピストン２６・２６
・・・を収納したシリンダブロック２５が外嵌され、該
ピストン２６・２６・・・頭部は固定斜板２７に当接さ
れている。

【０００９】前記油圧モーターＭのモーター軸１６は車
軸４と平行に支持され、該モーター軸１６上に刻設した
歯車１６ａより収納室Ｙ内の動力伝達手段を構成するカ
ウンター軸３０上の歯車３１と噛合されて動力が伝達さ
れ、該カウンター軸３０に刻設した歯車３０ａからデフ
装置のリングギア３２と噛合されて、一対の車軸４・４
を差動的に連結するのである。また、前記センタセクシ
ョン１０には油圧ポンプＰと油圧モーターＭの吐出ポー
ト又は吸入ポートとそれぞれ連通するために、図６に示
すように油路１０ｂ・１０ｃが平行に穿設されており、
垂直部１０ａと反対側の油路１０ｂ・１０ｃ端にはそれ
ぞれチェックバルブ１９ａ・１９ｂが配設されて、油圧
ポンプＰと油圧モーターＭの間で閉回路が構成されてい
る。前記チェックバルブ１９ａ・１９ｂは解除ロッド２
０ａ・２０ｂを押すことにより閉回路内とハウジング内
とを連通して作動油の流通を可能として、牽引等で油圧
式変速装置をフリーとして車軸が回転自在となるように
している。

【００１０】そして、図３、図４に示すように、前記セ
ンタセクション１０のポンプ取付面と反対側の下面にポ
ンプケース５が貼設され、該ポンプケース５内にはセン
タセクション１０を貫通した前記入力軸１１により駆動
される外部取出用及び作動油補給用のチャージポンプ３
が形成され、該チャージポンプ３の吸入ポート５ｂはポ
ンプケース５の側面に開口された開口部と連通されて、
該開口部にハウジング外側壁が挿入されたパイプ６の一
端が螺着され、該パイプ６の他端はオイルフィルタ９の
吐出口に螺着されている。該オイルフィルタ９は油圧式
変速装置Ｆと車軸４をはさんだ反対方向の後側壁面外に
貼設されており、その吸入口９ａは収納室Ｘの半割下部
ケース２下部の開口部２ｂと連通されている。

【００１１】前記チャージポンプ３の吐出ポート５ａ
は、図７に示すように、減圧弁３３の一次側（高圧側）
の分岐油路に連通し、抵抗弁３４から油路５ｃを介して
外部油圧取出口３６に接続され、図５に示すように、ハ
ウジング下部、即ち、半割下部ケース２の底面に設けた
該外部油圧取出口３６から配管を介して切換バルブ４０
のポンプポートと連通して、該切換バルブ４０を切り換
えることにより例えば外部アクチュエータ３９としての
油圧シリンダーを伸縮可能としているのである３５は外
部アクチェータ３９の駆動油圧を設定するリリーフ弁で
ある。

【００１２】前記切換バルブ４０からの戻り油は配管を
介してハウジング上部、即ち、半割上部ケース１の上面
の収納室Ｙに位置する戻り油ポート３７と接続され、該
戻り油は前記オイルフィルタ９の吸入口９ａ側とは別の
収納室Ｙに戻るようにして、該収納室Ｙから収納室Ｘへ
作動油が流れるように仕切り壁１ａ・２ａに開口部７が
設けられ、該開口部７を通じて戻り油が収納室Ｙから収
納室Ｘ方向へ吸引されるようにしている。この構成をと
ることにより収納室Ｘ及び収納室Ｙにおける作動油のヒ
ートバランスが良好に保たれる。そして、その吸引径路
の上方に位置する収納室Ｘの半割上部ケース１にエア溜
り１ｂが形成されており、戻り油にエアが混入していて
も前記開口部７を通過した直後に気泡がエア溜り１ｂ内
へ導かれるようにしているのである。該エア溜り１ｂ上
部にはブリーザ機構を有する注油口４１が設けられ、該
エア溜り１ｂの形状は図１に示すように、半割上部ケー
ス１の上面より突出して入力軸１１上端に固設した入力
プーリー４２と冷却ファン４３の一部を囲むように形成
して、冷却風を誘導できるようにすると共にハウジング
の冷却面積を大きくして効率良く冷却できるようにして
いるのである。

【００１３】また、前記減圧弁３３の二次側（低圧側）
の油路５ｄは図９に示すように、チェックバルブ１９ａ
と１９ｂの間の連通油路１０ｄと連通され閉回路内が負
圧となった場合に作動油が補給できるようにしている。
２３は自吸用チェックバルブであり、チャージ油圧が何
らかの故障で十分でなくなった場合、フィルタ８から油
路５ｅを通じて補給できるようにしている。

【００１４】

【考案の効果】以上のように構成したので次のような効
果を奏するものである。請求項１の如く構成したので、
収納室Ｙに外部アクチュエータからの戻り油が入り、こ
れにエアが混入している状態であっても、仕切壁の開口
部を通過した段階でエア溜りによってエアが抜け易くな
り、収納室Ｘには気泡の混入の少ない作動油が溜められ
るようになり、この作動油を油圧式変速装置の作動油補
給とするので、騒音や発進不良を防止し、安定した中立
状態が得られるのである。また、外部アクチュエータか
らの戻り油がオイルフィルタより吸引されるまでの経路
を長くでき、作動油の高温化を抑制でき、車軸駆動装置
のヒートバランスを改善できたのである。

【００１５】請求項２の如く、オイルフィルタをハウジ
ング壁面に装着し、オイルフィルタの吸入部を該ハウジ
ング壁面に設けた開口部を介して前記収納室Ｘの油溜り
に接続し、該オイルフィルタの吐出部と、チャージポン
プの吸入ポートとの間をハウジングに内装したパイプ部
材により接続したので、オイルフィルタのメンテナンス
が容易に行えるようになり、該オイルフィルタは側面に
配置しているので、車軸駆動装置の地上高を高く維持で
き、ハウジングにオイルフィルタ継手を加工する必要な
く安価にオイルフィルタを付設できるようになったので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】作業車両の車軸駆動装置の全体斜視図である。

【図２】同じく半割上部ケースを外した状態の平面断面
図である。

【図３】図２におけるＡ−Ａ矢視断面図である。

【図４】図２におけるＢ−Ｂ矢視断面図である。

【図５】図２におけるＣ−Ｃ矢視断面図である。

【図６】図３におけるＤ−Ｄ矢視断面図である。

【図７】図３におけるＥ−Ｅ矢視断面図である。

【図８】図６におけるＧ−Ｇ矢視断面図である。

【図９】図６におけるＨ−Ｈ矢視断面図である。

【図１０】油圧回路図である。

【符号の説明】

Ｆ 油圧式変速装置 Ｐ 油圧ポンプ Ｍ 油圧モーター Ｘ・Ｙ 収納室 １ 半割上部ケース １ａ・２ａ 仕切壁 １ｂ エア溜り ２ 半割下部ケース ３ チャージポンプ ４ 車軸 ５ ポンプケース ６ パイプ ７ 開口部 ９ オイルフィルタ １０ センタセクション １６ モーター軸 ３６ 油圧取出口３７ 戻り油ポート ３９ アクチュエータ

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車軸と油圧式変速装置と、該変速装置の
   出力軸と車軸を連動連結する動力伝達手段を、ハウジン
   グに内装した車軸駆動装置であって、油圧式変速装置の
   作動油を補給するチャージポンプを有し、チャージポン
   プから吐出される油の一部を外部アクチュエータの駆動
   用として取り出すように構成したものにおいて、ハウジ
   ングに油圧式変速装置の収納室Ｘと動力伝達手段の収納
   室Ｙとを区画する仕切壁を設け、該収納室Ｘの外側面に
   は、該収納室Ｘの内部に溜められた油をチャージポンプ
   へ吸引する際に濾過するオイルフィルタを設けると共
   に、前記収納室Ｙに外部アクチュエータからの戻り油ポ
   ートを設け、前記仕切壁に両収納室Ｘ・Ｙを連通させる
   開口部を設け、該開口部からオイルフィルタへ至る油吸
   引経路上の前記収納室Ｘにエア溜りを設けたことを特徴
   とする作業車両の車軸駆動装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載のオイルフィルタをハウジ
   ング壁面に装着し、オイルフィルタの吸入部を該ハウジ
   ング壁面に設けた開口部を介して前記収納室Ｘの油溜り
   に接続し、該オイルフィルタの吐出部と、チャージポン
   プの吸入ポートとの間をハウジングに内装したパイプ部
   材により接続したことを特徴とする作業車両の車軸駆動
   装置。