JP2538124Y2 - 油圧変速装置の外部油圧取出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は油圧式変速装置のハウジ
ング内に設けた作動油補給ポンプより外部油圧を取り出
すための構成に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来からハウジングに内装された油圧式
変速装置とハウジング外に設けられた油圧アクチュエー
タがある場合、油圧式変速装置の閉回路へ作動油を補給
するポンプと、油圧アクチュエータを駆動するポンプを
ハウジング内にタンデムに配設した構成のものは公知と
なっているのである。例えば、実開平２−５１７６３号
公報の技術である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、従来のように
油圧式変速装置へ作動油を補給するポンプと、油圧アク
チュエータを駆動するポンプを二つ設ける構成である
と、ハウジング内にそれぞれ収納スペースを設けるの
で、ハウジングが大きくなってしまい、部品点数も増加
して高コストとなっていたのである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案はこのような問題
点を解消するために、油圧式変速装置のセンタセクショ
ンに閉回路を形成し、該閉回路の作動油補給ポートに作
動油を補給するポンプを収納したポンプケースをセンタ
セクションに接合し、両者をハウジング内に収納したも
のにおいて、ポンプケースとハウジングの間に挟持した
環状のオイルフィルタ内にポンプの吸入ポートを開口す
ると共に、ポンプの吐出ポートに連通する油圧取出ポー
ト及び前記作動油補給ポートに連通する油圧戻しポート
をポンプケースに設け、両ポートをオイルフィルタ内を
通過させてハウジング外に開口させ、ハウジング外に設
けた油圧アクチュエータと接続可能としたものである。

【０００５】

【実施例】本考案が解決しようとする課題及び解決する
ための手段は以上の如くであり、次に添付の図面に示し
た実施例の構成を説明すると。図１は車軸駆動装置の半
割上部ケースを外した状態の平面断面図、図２は車軸駆
動装置の後面断面図、図３は同じく側面断面図、図４は
図２におけるＡ−Ａ矢視断面図、図５は図２におけるＢ
−Ｂ矢視断面図、図６は図４におけるＣ−Ｃ矢視断面
図、図７は図４におけるＤ−Ｄ矢視断面図、図８は図４
におけるＥ−Ｅ矢視断面図、図９は油圧回路図である。

【０００６】図１、図２、図３にて全体構成から説明す
ると、半割上部ケース１と半割下部ケース２からなるハ
ウジング内に、油圧式変速装置Ｆと車軸４及び両者を連
動連結する動力伝達手段が内装され、該油圧式変速装置
Ｆはセンタセクション１０上に油圧ポンプＰと油圧モー
ターＭを装着しており、該センタセクション１０は後面
視略Ｌ字状に構成され、垂直部１０ａの外側面にモータ
ー取付面を構成し、水平面上にポンプ取付面を形成し、
該ポンプ取付面の上面の略中央位置にポンプ軸である入
力軸１１が立設され、該入力軸１１回りに複数個のピス
トン２２を進退自在に収納したシリンダーブロック２１
が外嵌され、該ピストン２２の頭部が可動斜板１３に当
接されている。該可変斜板１３は操作軸１４に固設した
アーム１５を回動することにより角度を変更可能とし、
油圧ポンプＰの圧油の吐出方向及び吐出量が調節されて
モーター軸１６の回転方向及び、回転数を変更可能とし
ている。

【０００７】前記センタセクション１０の垂直部１０ａ
の外面にはモーター取付面が形成され、該モーター取付
面中央部に前記入力軸１１と直交してモーター軸１６が
横架され、該モーター軸１６上にはピストン２６・２６
・・・を収納したシリンダブロック２５が外嵌され、該
ピストン２６・２６・・・頭部は固定斜板２７に当接さ
れている。

【０００８】前記油圧モーターＭのモーター軸１６は一
側がセンタセクション１０に軸支され、他端がハウジン
グに支持されて、車軸４と平行に支持され、該モーター
軸１６上にはブレーキディスク１７が固定されて、ハウ
ジング内で刻設歯車１６ａが刻設され、該刻設歯車１６
ａにカウンター軸３０上の歯車３１が噛合され、該カウ
ンター軸３０に刻設した刻設歯車３０ａからデフ装置の
リングギア３２と噛合されて、一対の車軸４・４を差動
的に連結するのである。

【０００９】そして、前記センタセクション１０のポン
プ取付面と反対側の下面にポンプケース５を貼設し、該
ポンプケース５上部にはセンタセクション１０を貫通し
た前記入力軸１１により駆動される外部取出用及び作動
油補給用のポンプ３が形成され、該ポンプケース５下面
と半割下部ケース２との間に環状のフィルター９が介装
されている。

【００１０】また、前記センタセクション１０には油圧
ポンプＰと油圧モーターＭの吐出ポート又は吸入ポート
とそれぞれ連通するために、図４に示すように油路１０
ｂ・１０ｃが平行に穿設されており、垂直部１０ａと反
対側の油路１０ｂ・１０ｃ端にはそれぞれチェックバル
ブ１９ａ・１９ｂが配設されて、油圧ポンプＰと油圧モ
ーターＭの間で閉回路が構成されている。前記チェック
バルブ１９ａ・１９ｂは解除ロッド２０ａ・２０ｂを押
すことにより閉回路内とハウジング内とを連通して作動
油の流通を可能として、牽引等で油圧式変速装置をフリ
ーとして車軸が回転自在となるようにしている。

【００１１】そして、図４、図７に示すようにチェック
バルブ１９ａと１９ｂの間には長溝状の連通油路１０ｄ
が穿設されて、該連通油路１０ｄの中央にフィルタ９内
と連通する油路５ｃを設けて、該油路５ｃ上のセンタセ
クション１０とポンプケース５の境界部に鋼球を介装し
て自吸用のチェックバルブ２３が形成され作動油補給ポ
ートを形成し、図５、図６、図７に示すように、前記連
通油路１０ｄはアクチュエータリリーフ弁３４の低圧側
と、補給油圧を設定するチャージリリーフ弁３５の高圧
側に連通され、該アクチュエータリリーフ弁３４の高圧
側はポンプ３の吐出ポート５ａと油圧取出ポート３６の
側に配設され、チャージリリーフ弁３５の低圧側はハウ
ジング内と連通され、ポンプ３の吸入ポート５ｂはフィ
ルタ９内に開口されている。また、油圧戻しポート３７
に前記チャージリリーフ弁３５の高圧側と連通されて連
通油路１０ｄから閉回路内に作動油を補給できるように
している。

【００１２】前記油圧取出ポート３６と油圧戻しポート
３７はパイプにより前記フィルタ９内を貫通して半割下
部ケース２からハウジング外へ開口可能に設けられ、油
圧取出ポート３６はハウジング外に設けた油圧アクチュ
エータ（油圧シリンダー）３９を作動させるための切換
バルブ４０のポンプポートと、油圧戻しポート３７は切
換バルブ４０のタンクポートと連通されているのであ
る。

【００１３】

【考案の効果】以上のように構成したので次のような効
果を奏するものである。即ち、油圧式変速装置の閉回路
の作動油補給ポートに作動油を補給するポンプが、ハウ
ジング外の油圧アクチュエータをも駆動できるようにな
り、単一のポンプで両者に供給できてポンプが一つで済
み、低コスト化が図れ、油圧式変速装置を内装するハウ
ジングの収納スペースも小さく小型化できるのである。
また、ポンプケースとハウジングの間に挟持した環状の
オイルフィルタ内に、ポンプの吸入ポートと、油圧取出
ポートと、油圧戻しポートとを配置するので更にコンパ
クト化が図れたのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】車軸駆動装置の半割上部ケースを外した状態の
平面断面図である。

【図２】車軸駆動装置の後面断面図である。

【図３】同じく側面断面図である。

【図４】図２におけるＡ−Ａ矢視断面図である。

【図５】図２におけるＢ−Ｂ矢視断面図である。

【図６】図４におけるＣ−Ｃ矢視断面図である。

【図７】図４におけるＤ−Ｄ矢視断面図である。

【図８】図４におけるＥ−Ｅ矢視断面図である。

【図９】油圧回路図である。

【符号の説明】

Ｆ 油圧式変速装置 Ｐ 油圧ポンプ Ｍ 油圧モーター １ 半割上部ケース ２ 半割下部ケース ３ ポンプ ５ ポンプケース ５ａ 吐出ポート ５ｂ 吸入ポート ９ フィルタ １０ センタセクション ３４ アクチュエータリリーフ弁 ３５ チャージリリーフ弁 ３６ 油圧取出ポート ３７ 油圧戻しポート ３９ 油圧アクチュエータ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 油圧式変速装置のセンタセクションに閉
   回路を形成し、該閉回路の作動油補給ポートに作動油を
   補給するポンプを収納したポンプケースをセンタセクシ
   ョンに接合し、両者をハウジング内に収納したものにお
   いて、ポンプケースとハウジングの間に挟持した環状の
   オイルフィルタ内にポンプの吸入ポートを開口すると共
   に、ポンプの吐出ポートに連通する油圧取出ポート及び
   前記作動油補給ポートに連通する油圧戻しポートをポン
   プケースに設け、両ポートを、オイルフィルタ内を通過
   させてハウジング外に開口させ、ハウジング外に設けた
   油圧アクチュエータと接続可能としたことを特徴とする
   油圧変速装置の外部油圧取出装置。