JP2556854B2 - 光硬化性接着剤 - Google Patents
光硬化性接着剤Info
- Publication number
- JP2556854B2 JP2556854B2 JP62120136A JP12013687A JP2556854B2 JP 2556854 B2 JP2556854 B2 JP 2556854B2 JP 62120136 A JP62120136 A JP 62120136A JP 12013687 A JP12013687 A JP 12013687A JP 2556854 B2 JP2556854 B2 JP 2556854B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- adhesive
- meth
- methacryloyloxyethyl
- dentin
- acrylate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Dental Preparations (AREA)
- Polymerisation Methods In General (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、常温付近の低温領域および湿潤下における
光硬化性に優れ、硬化物の耐水接着性能に優れた光硬化
性接着剤に関し、更に詳しくは、それ自体接着性の歯科
用充填剤、接着性レジンセメント、或いは歯科矯正用接
着剤として、また通常のコンポジット・レジン等の充填
物や歯科用材料等の歯牙との接着を高める歯科用光硬化
性接着剤に関する。
光硬化性に優れ、硬化物の耐水接着性能に優れた光硬化
性接着剤に関し、更に詳しくは、それ自体接着性の歯科
用充填剤、接着性レジンセメント、或いは歯科矯正用接
着剤として、また通常のコンポジット・レジン等の充填
物や歯科用材料等の歯牙との接着を高める歯科用光硬化
性接着剤に関する。
[従来の技術] 従来、歯牙用の接着剤としては、(メタ)アクリル酸
エステル系ビニルモノマーなどのラジカル重合体単量体
および硬化剤からなる硬化性組成物が多数提案されてい
る。
エステル系ビニルモノマーなどのラジカル重合体単量体
および硬化剤からなる硬化性組成物が多数提案されてい
る。
歯牙用接着剤に要求される性能としては、常温付近の
低温領域における硬化速度が大きいことの他に、硬化物
の歯牙に対する耐水接着強度に優れていることである。
また最近の歯牙修復治療技術の著しい進歩に伴ない、接
着性能に対する要求は厳しくなっている。
低温領域における硬化速度が大きいことの他に、硬化物
の歯牙に対する耐水接着強度に優れていることである。
また最近の歯牙修復治療技術の著しい進歩に伴ない、接
着性能に対する要求は厳しくなっている。
従来の(メタ)アクリル酸エステルビニルモノマーな
どのラジカル重合性単量体および重合開始剤からなる歯
牙用硬化性組成物のうちで、重合開始剤としての光重合
用開始剤を使用し、光硬化させる方法を採用することに
より、前述の性能の向上を達成しようとするものも幾つ
か提案されている。たとえば、特公昭54−10986号公報
および特公昭53−33687号公報には、α−ジケトンなど
のカルボニル化合物とアミン類からなる光重合用開始剤
の存在下に重合を行なう方法が提案されている。
どのラジカル重合性単量体および重合開始剤からなる歯
牙用硬化性組成物のうちで、重合開始剤としての光重合
用開始剤を使用し、光硬化させる方法を採用することに
より、前述の性能の向上を達成しようとするものも幾つ
か提案されている。たとえば、特公昭54−10986号公報
および特公昭53−33687号公報には、α−ジケトンなど
のカルボニル化合物とアミン類からなる光重合用開始剤
の存在下に重合を行なう方法が提案されている。
また、特開昭56−120610号公報には、分子内に酸性基
を有するビニルモノマーとα−ジケトンおよび芳香族ス
ルフィン酸塩類とからなる光重合性歯科材料が提案され
ている。
を有するビニルモノマーとα−ジケトンおよび芳香族ス
ルフィン酸塩類とからなる光重合性歯科材料が提案され
ている。
[発明が解決しようとする問題点] しかし、これらの光硬化性組成物はいずれも硬化速度
が十分でなく、また耐水接着強度が低いという欠点があ
り、とりわけ象牙質に対する接着強度において充分な性
能が得られていなかった。
が十分でなく、また耐水接着強度が低いという欠点があ
り、とりわけ象牙質に対する接着強度において充分な性
能が得られていなかった。
このように象牙質とエナメル質の両者に対して接着力
を示し、口腔内のような湿潤状態でしかも温度変化に富
む環境下でも長期間にわたって強い接着力を示す歯科用
光硬化性材料はまだ見出されていない。
を示し、口腔内のような湿潤状態でしかも温度変化に富
む環境下でも長期間にわたって強い接着力を示す歯科用
光硬化性材料はまだ見出されていない。
[問題点を解決するための手段] 本発明者らは、従来技術における上記した問題点に鑑
み、歯科用接着剤として必要な理工学的性質、例えば硬
さ、圧縮強さ、吸水性等の特性を有し、且つ象牙質およ
びエナメル質に対し、優れた接着力を有する歯科用光硬
化性接着剤を得るべく鋭意研究した結果、本発明に到達
したのである。
み、歯科用接着剤として必要な理工学的性質、例えば硬
さ、圧縮強さ、吸水性等の特性を有し、且つ象牙質およ
びエナメル質に対し、優れた接着力を有する歯科用光硬
化性接着剤を得るべく鋭意研究した結果、本発明に到達
したのである。
即ち、本発明によれば、 (a)ラジカル重合性不飽和単量体、 (b)一般式(1) 〔但し、R1は水素原子またはメチル基を、R2は炭素数2
または3のアルキレン基を、R3は炭素数1または2のア
ルキル基を表わす〕 で表わされるリン酸水素アクリロイル(またはメタクリ
ロイル)オキシアルキル アルコキシフェニル化合物、 (c)α−ケトカルボニル化合物、および (d)N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエタノ
ール−p−トルイジン、またはN,N−ジメチルアミノエ
チルメタクリレートのアミン からなる光硬化性接着剤、が提供される。
または3のアルキレン基を、R3は炭素数1または2のア
ルキル基を表わす〕 で表わされるリン酸水素アクリロイル(またはメタクリ
ロイル)オキシアルキル アルコキシフェニル化合物、 (c)α−ケトカルボニル化合物、および (d)N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエタノ
ール−p−トルイジン、またはN,N−ジメチルアミノエ
チルメタクリレートのアミン からなる光硬化性接着剤、が提供される。
本発明の光硬化性接着剤に配合されるラジカル重合性
単量体(a)は、ラジカル重合性を有する不飽和化合物
である。具体的には、ラジカル酸メチル、アクリル酸エ
チル、メタクリル酸メチル、メタクルリ酸エチルなどの
(メタ)アクリル酸アルキル、アクリル酸、メタクリル
酸、アクリル酸−2−ヒドリキシエチル、メタクリル酸
−2−ヒドロキシエチル、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘ
キシレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビ
ス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパ
ン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシシク
ロヘキシル]プロパン、2,2−ビス[3−(メタ)アク
ロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プ
ロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキ
シ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルペンタメチル
ジシロキサン、イソプロピルジメタクリルイソステアロ
イルチタネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン、ジビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢
酸ビニルなどのビニル化合物を例示することができ、こ
れらの2種以上の混合成分を使用することもできる。
単量体(a)は、ラジカル重合性を有する不飽和化合物
である。具体的には、ラジカル酸メチル、アクリル酸エ
チル、メタクリル酸メチル、メタクルリ酸エチルなどの
(メタ)アクリル酸アルキル、アクリル酸、メタクリル
酸、アクリル酸−2−ヒドリキシエチル、メタクリル酸
−2−ヒドロキシエチル、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘ
キシレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビ
ス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパ
ン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシシク
ロヘキシル]プロパン、2,2−ビス[3−(メタ)アク
ロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プ
ロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキ
シ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルペンタメチル
ジシロキサン、イソプロピルジメタクリルイソステアロ
イルチタネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニ
ルトルエン、ジビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢
酸ビニルなどのビニル化合物を例示することができ、こ
れらの2種以上の混合成分を使用することもできる。
一般式(1)で示される化合物(b)は通常アルコキ
シフェノールより合成され、例えばリン酸水素2−メタ
クリロイルオキシエチル 4−メトキシフェニルの場合
を示せば、通常以下のように合成される。
シフェノールより合成され、例えばリン酸水素2−メタ
クリロイルオキシエチル 4−メトキシフェニルの場合
を示せば、通常以下のように合成される。
(1)式で表わされる化合物としては、例えばリン酸
水素2−メタクリロイルオキシエチル 4−メトキシフ
ェニル、リン酸水素2−メタクリロイルオキシエチル
3,4−ジメトキシフェニル、リン酸水素2−アクロイル
オキシエチル 4−メトキシフェニル、リン酸水素3−
メタクリロイルオキシプロピル 4−メトキシフェニ
ル、リン酸水素2−メタクリロイルオキシエチル 4−
エトキシフェニル、リン酸水素2−アクリロイルオキシ
エチル 2−メトキシフェニル、リン酸水素2−メタク
リロイルオキシエチル 3−メトキシフェニル等を挙げ
ることができ、アルコキシ基の異なる置換基数、また
は、異なる置換基位置の化合物の混合物として使用する
こともできる。
水素2−メタクリロイルオキシエチル 4−メトキシフ
ェニル、リン酸水素2−メタクリロイルオキシエチル
3,4−ジメトキシフェニル、リン酸水素2−アクロイル
オキシエチル 4−メトキシフェニル、リン酸水素3−
メタクリロイルオキシプロピル 4−メトキシフェニ
ル、リン酸水素2−メタクリロイルオキシエチル 4−
エトキシフェニル、リン酸水素2−アクリロイルオキシ
エチル 2−メトキシフェニル、リン酸水素2−メタク
リロイルオキシエチル 3−メトキシフェニル等を挙げ
ることができ、アルコキシ基の異なる置換基数、また
は、異なる置換基位置の化合物の混合物として使用する
こともできる。
この(1)式で表わされる化合物は、ラジカル重合性
単量体(a)に対して、通常0.5〜20重量%の割合で用
いられる。この化合物が0.5重量%未満、または20重量
%を超える場合も充分な接着強度が得られない。
単量体(a)に対して、通常0.5〜20重量%の割合で用
いられる。この化合物が0.5重量%未満、または20重量
%を超える場合も充分な接着強度が得られない。
本発明の硬化性組成物に配合される、α−ケトカルボ
ニル化合物(c)およびアミン(d)は光重合開始剤と
して用いられる。
ニル化合物(c)およびアミン(d)は光重合開始剤と
して用いられる。
α−ケトカルボニル化合物(c)としてはα−ジケト
ン、α−ケトアルデヒド、α−ケトカルボン酸、α−ケ
トカルボン酸エステルなどを例示することができる。さ
らに具体的には、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2,3
−ヘキサジオン、ベンジル、4,4′−ジメトキシベンジ
ル、4,4′−ジエトキシベンジル、4,4′−オキシベンジ
ル、4,4′−ジクロルベンジル、4−ニトロベンジル、
α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、1,2
−シクロヘキサンジオンなどのα−ジケトン、メチルグ
リオキザール、フェニルグリオキザールなどのα−ケト
ンアルデヒド、ピルビン酸、ベンゾイルギ酸、フェニル
ピルビン酸、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチ
ル、フェニルピルビン酸メチル、フェニルピルビン酸ブ
チルなどを例示することができる。これらのα−ケトカ
ルボニル化合物のうちでは安定性などの面からα−ジケ
トンを使用することが好ましい。α−ジケトンのうちで
はジアセチル、ベンジル、カンファーキノンが好まし
い。
ン、α−ケトアルデヒド、α−ケトカルボン酸、α−ケ
トカルボン酸エステルなどを例示することができる。さ
らに具体的には、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2,3
−ヘキサジオン、ベンジル、4,4′−ジメトキシベンジ
ル、4,4′−ジエトキシベンジル、4,4′−オキシベンジ
ル、4,4′−ジクロルベンジル、4−ニトロベンジル、
α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、1,2
−シクロヘキサンジオンなどのα−ジケトン、メチルグ
リオキザール、フェニルグリオキザールなどのα−ケト
ンアルデヒド、ピルビン酸、ベンゾイルギ酸、フェニル
ピルビン酸、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチ
ル、フェニルピルビン酸メチル、フェニルピルビン酸ブ
チルなどを例示することができる。これらのα−ケトカ
ルボニル化合物のうちでは安定性などの面からα−ジケ
トンを使用することが好ましい。α−ジケトンのうちで
はジアセチル、ベンジル、カンファーキノンが好まし
い。
アミン(d)としては、N,N−ジメチル−p−トルイ
ジン、N,N−ジエタノール−p−トルイジン、N,N−ジメ
チルアミノエチルメタクリレートなどが用いられる。
ジン、N,N−ジエタノール−p−トルイジン、N,N−ジメ
チルアミノエチルメタクリレートなどが用いられる。
α−ケトカルボニル化合物(c)は、ラジカル重合性
単量体(a)に対して、通常0.1〜5重量%の割合で用
いられ、またアミン(d)はラジカル重合性単量体
(a)に対して、通常0.1〜5重量%の割合で用いられ
る。α−ケトカルボニル化合物(c)及びアミン(d)
が前記の範囲以外の割合で用いられる場合には充分な接
着強度が得られない。
単量体(a)に対して、通常0.1〜5重量%の割合で用
いられ、またアミン(d)はラジカル重合性単量体
(a)に対して、通常0.1〜5重量%の割合で用いられ
る。α−ケトカルボニル化合物(c)及びアミン(d)
が前記の範囲以外の割合で用いられる場合には充分な接
着強度が得られない。
本発明の光硬化性接着剤に光を照射することによって
重合が起こり、硬化する。光線としては自然光線であっ
ても人工光線であってもよく、紫外領域から可視領域ま
での光線を採用することが可能である。人工光線として
は、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、ハロゲンラ
ンプ、タングステンランプなどを使用することができ
る。光硬化の際の温度は通常0ないし80℃、好ましくは
5ないし50℃の範囲であり、光照射の時間は通常1秒な
いし5分である。
重合が起こり、硬化する。光線としては自然光線であっ
ても人工光線であってもよく、紫外領域から可視領域ま
での光線を採用することが可能である。人工光線として
は、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、ハロゲンラ
ンプ、タングステンランプなどを使用することができ
る。光硬化の際の温度は通常0ないし80℃、好ましくは
5ないし50℃の範囲であり、光照射の時間は通常1秒な
いし5分である。
なお、本発明の歯科用光硬化性接着剤と歯牙象牙質と
の接着においては象牙質表面を適宜研削した後、従来の
ようにリン酸やクエン酸などで前処理することもできる
が、エチレンジアミンテトラ酢酸溶液(以下、EDTAと略
称する)、好ましくは水酸化ナトリウム等で中和した溶
液により前処理することにより歯髄に対して為害性がな
く、かつ著しく接着強度を高めることができる。この際
用いられる好ましいEDTA濃度としては、通常0.1〜0.5モ
ル程度であり、例えば1分間前処理した後、30秒間水洗
することによって処理される。
の接着においては象牙質表面を適宜研削した後、従来の
ようにリン酸やクエン酸などで前処理することもできる
が、エチレンジアミンテトラ酢酸溶液(以下、EDTAと略
称する)、好ましくは水酸化ナトリウム等で中和した溶
液により前処理することにより歯髄に対して為害性がな
く、かつ著しく接着強度を高めることができる。この際
用いられる好ましいEDTA濃度としては、通常0.1〜0.5モ
ル程度であり、例えば1分間前処理した後、30秒間水洗
することによって処理される。
[発明の効果] 本発明に係る歯科用光硬化性接着剤は、歯質に対する
接着性が良く、水中あるいは唾液中においても高い接着
力を保持する。従って、口腔内での耐久性が良好で、例
えば、充填剤として用いた場合、口腔内のように湿潤
し、しかも温度の変化の激しい環境下においても長期間
にわたって象牙に強固に接着し、またコンポジット・レ
ジンや歯列矯正用接着剤等の下塗り塗布剤として使用す
る場合も歯牙に強固に接着すると共に、コンポジット・
レンジや矯正用接着剤等とも強く接着し、従って歯牙と
の間に隙間が生じることが確実に防止され、辺縁封鎖性
が改良されて、2次う蝕の防止が達成される。
接着性が良く、水中あるいは唾液中においても高い接着
力を保持する。従って、口腔内での耐久性が良好で、例
えば、充填剤として用いた場合、口腔内のように湿潤
し、しかも温度の変化の激しい環境下においても長期間
にわたって象牙に強固に接着し、またコンポジット・レ
ジンや歯列矯正用接着剤等の下塗り塗布剤として使用す
る場合も歯牙に強固に接着すると共に、コンポジット・
レンジや矯正用接着剤等とも強く接着し、従って歯牙と
の間に隙間が生じることが確実に防止され、辺縁封鎖性
が改良されて、2次う蝕の防止が達成される。
[実施例] 以下、実施例および比較例により本発明を更に説明す
る。
る。
(実施例1) 実験用歯牙は、屠殺直後、顎骨に植立した状態で入手
した牛歯を抜去し、付着している歯牙周囲組織を取り除
き、歯冠部と歯根部をダイヤモンドカッター(マルトー
カッターMC−100)を用いて切断し、歯冠部歯髄を除去
したものを冷凍保存し、必要時に凍結して用いた。即硬
性レジンは、メタクリル酸メチル(MMA)とメタクリル
酸エチルの1:1粒状共重合体に、過酸化ベンゾイルを1
重量%添加したものを粉剤として用い、液剤にはMMA中
にN,N−ジメチル−p−トルイジンを0.5重量%溶解した
ものを用いた。
した牛歯を抜去し、付着している歯牙周囲組織を取り除
き、歯冠部と歯根部をダイヤモンドカッター(マルトー
カッターMC−100)を用いて切断し、歯冠部歯髄を除去
したものを冷凍保存し、必要時に凍結して用いた。即硬
性レジンは、メタクリル酸メチル(MMA)とメタクリル
酸エチルの1:1粒状共重合体に、過酸化ベンゾイルを1
重量%添加したものを粉剤として用い、液剤にはMMA中
にN,N−ジメチル−p−トルイジンを0.5重量%溶解した
ものを用いた。
コンポジット・レジンは、光硬化性のシラックス(3M
社製)を用い、光照射器はデイライトランプ(松風社
製)を用いた。
社製)を用い、光照射器はデイライトランプ(松風社
製)を用いた。
接着剤は、トリエチレングリコールジメタクリレート
中に、リン酸水素2−メタクリロイルオキシエチル 4
−メトキシフェニルを2重量%、カンファーキノンを0.
5重量%、およびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ートを0.5重量%溶解したものを用いた。
中に、リン酸水素2−メタクリロイルオキシエチル 4
−メトキシフェニルを2重量%、カンファーキノンを0.
5重量%、およびN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ
ートを0.5重量%溶解したものを用いた。
牛歯象牙質をシリコンカーバイド紙#600まで注水下
にエコメット(Ecomet)III〔ブエーラー(Buehler)
社〕を用いて研削した後、0.5M中和EDTA溶液(EDTA・2N
a塩を水に溶解し、水酸化ナトリウムでpH7.4とした溶
液)で1分間前処理を行なった後、10秒間水洗して調製
し、更に直径5mmの穴のあいたセロハンテープを貼り、
被着面積を規定した。前記接着剤を一層被着面に塗布し
た後1分間光照射した。この上に両面接着テープで直径
5.5mmの穴のあいた厚さ1mmのシリコンゴム板を貼り、そ
のスペースにコンポジット・レジンを充填し、1分間光
照射した。
にエコメット(Ecomet)III〔ブエーラー(Buehler)
社〕を用いて研削した後、0.5M中和EDTA溶液(EDTA・2N
a塩を水に溶解し、水酸化ナトリウムでpH7.4とした溶
液)で1分間前処理を行なった後、10秒間水洗して調製
し、更に直径5mmの穴のあいたセロハンテープを貼り、
被着面積を規定した。前記接着剤を一層被着面に塗布し
た後1分間光照射した。この上に両面接着テープで直径
5.5mmの穴のあいた厚さ1mmのシリコンゴム板を貼り、そ
のスペースにコンポジット・レジンを充填し、1分間光
照射した。
その後即硬性レジンを用い、筆積み法により直径6mm
のアクリル棒を硬化コンポジット・レジン面に垂直にな
るように置き、30分間室温に放置後、37℃水中に1日浸
漬した後、オートグラフDDS−500(島津製作所製)によ
りクロスヘッドスピード2.0mm/minで引張り試験を行な
い接着強さを測定した。なお、引張り試験は試験機によ
り歯牙およびアクリル棒を把持し、象牙質とコンポジッ
ト・レジン硬化物との接着強度を測定する方法で行なっ
たが、この方法による場合は即硬性レジン硬化物とアク
リル棒、および即硬性レジンとコンポジット・レジン硬
化物とは強力に接着するのでこれらの面で破壊すること
はない。
のアクリル棒を硬化コンポジット・レジン面に垂直にな
るように置き、30分間室温に放置後、37℃水中に1日浸
漬した後、オートグラフDDS−500(島津製作所製)によ
りクロスヘッドスピード2.0mm/minで引張り試験を行な
い接着強さを測定した。なお、引張り試験は試験機によ
り歯牙およびアクリル棒を把持し、象牙質とコンポジッ
ト・レジン硬化物との接着強度を測定する方法で行なっ
たが、この方法による場合は即硬性レジン硬化物とアク
リル棒、および即硬性レジンとコンポジット・レジン硬
化物とは強力に接着するのでこれらの面で破壊すること
はない。
接着力は8個の試験結果の平均値として求めた結果、
象牙質に対して61Kg/cm2の接着強さを示した。
象牙質に対して61Kg/cm2の接着強さを示した。
(比較例1,2および3) 実施例1の接着剤中にリン酸水素2−メタクリロイル
オキシエチル 4−メトキシフェニルがない場合(比較
例1)、カンファーキノンがない場合(比較例2)、N,
N−ジメチルアミノエチルメタクリレートがない場合
(比較例3)について実施例1と同様に象牙質への接着
強さを測定し、結果を第1表に示した。
オキシエチル 4−メトキシフェニルがない場合(比較
例1)、カンファーキノンがない場合(比較例2)、N,
N−ジメチルアミノエチルメタクリレートがない場合
(比較例3)について実施例1と同様に象牙質への接着
強さを測定し、結果を第1表に示した。
(比較例4および5) 実施例1の接着剤中のリン酸水素2−メタクリロイル
オキシエチル 4−メトキシフェニルの代りに下記
(2)式で示されるリン酸水素2−メタクリロイルオキ
シエチルフェニル使用(比較例4)、および下記(3)
式で示される2−メタクリロイルオキシエチルトリメリ
ット酸無水物使用(比較例5)をした場合について、実
施例1と同様に象牙質への接着強さを測定し、第2表に
示した。
オキシエチル 4−メトキシフェニルの代りに下記
(2)式で示されるリン酸水素2−メタクリロイルオキ
シエチルフェニル使用(比較例4)、および下記(3)
式で示される2−メタクリロイルオキシエチルトリメリ
ット酸無水物使用(比較例5)をした場合について、実
施例1と同様に象牙質への接着強さを測定し、第2表に
示した。
(実施例2,3および4) 実施例1において、カンファーキノンを1重量%、N,
N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを1重量%と
すると共に、接着剤中のリン酸水素2−メタクリロイル
オキシエチル 4−メトキシフェニルの濃度を1重量
%、5重量%および10重量%にした場合について、実施
例1と同様に象牙質への接着強さを測定し、結果を第3
表に示した。
N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを1重量%と
すると共に、接着剤中のリン酸水素2−メタクリロイル
オキシエチル 4−メトキシフェニルの濃度を1重量
%、5重量%および10重量%にした場合について、実施
例1と同様に象牙質への接着強さを測定し、結果を第3
表に示した。
(実施例5) 実施例1における牛歯象牙質のかわりに牛歯エナメル
質を用いて、実施例1と同様に接着操作を行なった結
果、71Kg/cm2の接着強さを示した。
質を用いて、実施例1と同様に接着操作を行なった結
果、71Kg/cm2の接着強さを示した。
(実施例6および7) 実施例1において、0.5M中和EDTA溶液で1分間前処理
するかわりに、65%リン酸で30秒間前処理した牛歯象牙
質(実施例6)および牛歯エナメル質(実施例7)につ
いて接着強さを測定し、結果を第4表に示した。
するかわりに、65%リン酸で30秒間前処理した牛歯象牙
質(実施例6)および牛歯エナメル質(実施例7)につ
いて接着強さを測定し、結果を第4表に示した。
Claims (2)
- 【請求項1】(a)ラジカル重合性不飽和単量体、 (b)一般式(1) 〔但し、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数2ま
たは3のアルキレン基を、R3は炭素数1または2のアル
キル基を表わす〕 で表わされるリン酸水素アクリロイル(またはメタクリ
ロイル)オキシアルキル アルコキシフェニル化合物、 (c)α−ケトカルボニル化合物、および (d)N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエタノ
ール−p−トルイジン、またはN,N−ジメチルアミノエ
チルメタクリレートのアミン からなる光硬化性接着剤。 - 【請求項2】一般式(1)で表わされる化合物が、リン
酸水素2−メタクリロイルオキシエチル 4−メトキシ
フェニルである特許請求の範囲第1項記載の光硬化性接
着剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62120136A JP2556854B2 (ja) | 1987-05-19 | 1987-05-19 | 光硬化性接着剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62120136A JP2556854B2 (ja) | 1987-05-19 | 1987-05-19 | 光硬化性接着剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63286484A JPS63286484A (ja) | 1988-11-24 |
JP2556854B2 true JP2556854B2 (ja) | 1996-11-27 |
Family
ID=14778857
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62120136A Expired - Lifetime JP2556854B2 (ja) | 1987-05-19 | 1987-05-19 | 光硬化性接着剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2556854B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE59001245D1 (de) * | 1989-10-19 | 1993-05-27 | Heraeus Kulzer Gmbh | Dentales haftmittel. |
TW562831B (en) * | 1997-12-12 | 2003-11-21 | Denki Kagaku Kogyo Kk | Curable resin composition, adhesive composition, bonded product, and bonding method |
-
1987
- 1987-05-19 JP JP62120136A patent/JP2556854B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63286484A (ja) | 1988-11-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1249221B1 (en) | Dental adhesive composition | |
AU763355B2 (en) | Bonding compositions for dental use | |
FI77368C (fi) | Adhesion befraemjande medel, foerfarande foer dess framstaellning och anvaendning daerav som adhesionsbefraemjande medel foer foerbaettring av tandfyllningars adhesion till tandben. | |
US4380432A (en) | Method for adhering structures to teeth | |
JP5207751B2 (ja) | 歯科用接着性組成物 | |
JP5489494B2 (ja) | 歯科用光硬化性材料 | |
JPS63162769A (ja) | 裏装剤 | |
JP2556854B2 (ja) | 光硬化性接着剤 | |
JP2000204010A (ja) | 歯科用接着キット | |
JPS58173175A (ja) | 歯科用接着剤 | |
JP2782694B2 (ja) | 歯科用接着剤 | |
JPH08119822A (ja) | 歯科用接着性根管充填材料 | |
JPH0791171B2 (ja) | 矯正用光硬化型樹脂複合組成物 | |
JP3480654B2 (ja) | 歯科用プライマー | |
JP3518162B2 (ja) | 歯科用接着キット | |
JP4148333B2 (ja) | 歯科用分離材組成物 | |
JPH05306209A (ja) | 光硬化性接着剤 | |
JPH05286822A (ja) | 光硬化性接着剤 | |
JPS6020426B2 (ja) | 人体硬質組織用の接着剤 | |
JPH072613B2 (ja) | 歯科用接着性表面処理剤 | |
JPH0662688B2 (ja) | 光硬化性組成物 | |
JPS6227403A (ja) | 光硬化性組成物 | |
JPS6071602A (ja) | 光硬化性組成物 | |
JP3236030B2 (ja) | 新規な接着方法 | |
JPH02188509A (ja) | 歯科用接着剤 |