JPH08119822A - 歯科用接着性根管充填材料 - Google Patents

歯科用接着性根管充填材料

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JPH08119822A
JPH08119822A JP6255586A JP25558694A JPH08119822A JP H08119822 A JPH08119822 A JP H08119822A JP 6255586 A JP6255586 A JP 6255586A JP 25558694 A JP25558694 A JP 25558694A JP H08119822 A JPH08119822 A JP H08119822A
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JP
Japan
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root canal
monomer
parts
filling material
weight
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Application number
JP6255586A
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English (en)
Inventor
Hidekazu Masuhara
英一 増原
Naoto Masuhara
直人 増原
Jiro Tarumi
二郎 樽見
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JAPAN INST ADVANCED DENTISTRY
SOGO SHIKA IRYO KENKYUSHO KK
Original Assignee
JAPAN INST ADVANCED DENTISTRY
SOGO SHIKA IRYO KENKYUSHO KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】根管内壁面の歯質に浸透して確実に接着し、完
全に根管内腔を封鎖できること、生体組織に適合性があ
り、歯根膜等の周辺組織に刺激を与えないこと、充填操
作が容易であり、しかも充填後に充填材料の除去が可能
であること等の条件を満たすペースト状の歯科用接着性
根管充填材料を提供する。 【構成】式Iの単量体、20〜60重量部、式IIの
単量体、20〜60重量部、式IIIの単量体、5〜3
0重量部、式IVの単量体、0〜10重量部、式Vの
単量体、0〜10重量部及びエタノール、0〜50重
量部からなる歯科用接着性根管充填材料。 (式中、RはH又はCHを示し、Rは−OCH
CHOH又は−OCHCHCHOHを、R
−(OCHCH)m−OCH(但しmは9〜2
3)、nは14〜23を示す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯科治療に用いるペー
スト状の接着性根管充填材料であって、ヒトの歯の根管
内に注入して重合硬化させ、根管内腔を密封するための
ものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から使用されている根管充填材料に
は、グッタペルカ樹脂やイソプレン樹脂を基材とする固
形充填材料、クロロホルムにグッタペルカ樹脂を溶解し
たクロロパーチャ等のペースト状充填材料や、亜鉛華ユ
ージノールセメント等の硬化型充填材料等がある。
【0003】
【発明の解決すべき課題】しかし、グッタペルカ樹脂や
イソプレン樹脂を基材とする固形充填材料やクロロパー
チャ等のペースト状充填材料は、根管内壁(象牙質)と
の接着性が無く、只、根管内腔を物理的に充填している
に過ぎない。そのため、根管内への充填操作が不適当で
あると、歯質と根管充填材料の隙間に細菌等が侵入、又
は繁殖して、根尖部に病変を誘発して予後不良となる。
【0004】従って、これらの根管充填材料を用いて根
尖部まで確実に充填、封鎖するには極めて綿密な充填操
作が必要であり、確実な根管封鎖には極めて長時間を要
することが大きな問題点となっている。
【0005】一方、亜鉛華ユージノールセメントの場合
は、根管内で硬化した直後は根管がよく封鎖されている
が、硬化物に弾力性がないため、口腔内の温水や冷水等
の繰り返し熱衝撃により、根管内の硬化物が歯質から剥
離して隙間が生じ、その隙間が新たな病巣の開始点にな
る等の問題があった。
【0006】本発明は、従来の根管充填材料の欠点を解
決した根管充填材料であって、以下の条件、即ち、 a)根管内壁面の歯質に浸透して確実に接着し、完全に
根管内腔を封鎖できること、及び、 b)生体組織に適合性があり、歯根膜等の周辺組織に刺
激を与えないこと、 c)充填操作が容易であり、しかも充填後に充填材料の
除去が可能であること、という条件を満たすペースト状
の歯科用接着性根管充填材料を提供しようとするもので
ある。
【0007】本発明は、上記の条件に加えて更に、 d)X線造影性があり、充填の状態が外側からX線診断
により確認できること、及び e)持続的殺菌力乃至抗菌力があること、という条件を
も満たすペースト状の歯科用接着性根管充填材料を提供
することも目的とする。
【0008】
【課題解決のための手段】本発明の歯科用接着性根管充
填材料は、 (1)式I
【0009】
【化6】
【0010】(式中、R1 はH又はCH3 を示し、R2
は−OCH2 CH2 OH又は−OCH2 CH2 CH2
Hを示す)で示される単量体[I] ・・
・20〜60重量部 (2)式II
【0011】
【化7】
【0012】(式中、R1 はH又はCH3 を示し、R3
は−(OCH2 CH2 )m−OCH3 (但しmは9〜2
3)を示す)で示される単量体[II] ・
・・20〜60重量部 (3)式III
【0013】
【化8】
【0014】(式中、RはH又はCH3 を示し,n
は14〜23)で示される単量体 [III]
・・・・5〜30重量部 からなる根管充填材料である。
【0015】又、本発明の歯科用接着性根管充填材料に
は、上記の単量体[I]〜[III]に更に、 (4)一般式 IV
【0016】
【化9】
【0017】(式中、R1 はH又はCH3 を示す)で示
される単量体[IV]、及び/又は、 (5)一般式V
【0018】
【化10】
【0019】(式中、R1 はH又はCH3 を示す)で示
される単量体[V]を含有する根管充填材料も含まれ
る。但し、単量体[IV]又は[V]の量は0.1〜10
重量部の範囲が好ましい。
【0020】更に、これらの根管充填材料に硫酸バリウ
ム等のX線造影剤等を含有させたものも含まれる。
【0021】本発明の歯科用接着性根管充填材料は、使
用直前に重合開始剤を混合して、根管内腔に注入、充填
し硬化させるものである。又、予め光重合開始剤を混合
した場合は、根管内腔に注入、充填した後、光照射して
硬化させることもできる。
【0022】本発明の歯科用接着性根管充填材料におい
て、単量体[I]は、硬化物に歯質との接着性を付与す
る働きを有し、単量体[II]は、硬化物に弾力性と柔軟
性を付与する働きを有する。単量体 [III]は、硬化物の
柔軟性を損なわない架橋剤としての働きを有する。単量
体[IV]は、当該歯科用接着性根管充填材料に歯質との
接着性を付与するとともに、歯牙の知覚過敏を押さえる
作用を付与する働きを有する。単量体[V]は抗菌性の
単量体であり、歯科用接着性根管充填材料に抗菌性を付
与するものである。
【0023】以下、本発明の歯科用接着性根管充填材料
に用いられる単量体[I]〜[V]について詳しく説明
する。
【0024】単量体[I]は、式I
【0025】
【化11】
【0026】で示されるものである。但し、式中のR1
は水素原子又はメチル基を、R2 は2−ヒドロキシエト
キシ基(−OCH2 CH2 OH)又は3−ヒドロキシプ
ロポキシ基(−OCH2 CH2 CH2 OH)を示す。単
量体[I]としては、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、及び3−ヒ
ドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート等が用いられ、中でも2−ヒドロキシ
エチルメタクリレートが特に好ましく用いられる。
【0027】単量体[II]は、式II
【0028】
【化12】
【0029】で示されるものである。但し、式中のR1
は水素原子又はメチル基を、R3 はメトキシポリエチレ
ングリコール残基(−(OCH2 CH2 )m−OC
3 )であって重合度mが9〜23のものをを示す。こ
こで重合度mは9〜23の範囲でなくてはならない。単
量体[II]であって重合度mが9未満のものは硬化物が
脆くなる点で好ましくなく、23より高いものは硬化後
の吸水量が多くなるという問題がある。単量体[II]の
例としては、メトキシポリエチレングリコールメタクリ
レート、メトキシポリエチレングリコールアクリレー
ト、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0030】単量体 [III]は、式 III
【0031】
【化13】
【0032】で示されるものである。但し、式中のR1
は水素原子又はメチル基を、nは14〜23の範囲の数
を示す。ここで、nは14〜23の範囲でなくてはなら
ない。単量体 [III]においてnが14未満のものは硬化
物が脆くなるという問題があり、nが23より大きいも
のは硬化後の吸水量が多くなるという点で好ましくな
い。単量体[III] の例としては、ポリエチレングリコー
ルジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリ
レート、ポリエチレングリコールアクリレートメタクリ
レート、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0033】単量体[IV]は、式IV
【0034】
【化14】
【0035】で示される単量体である。但し式中、R1
は水素原子又はメチル基を示す。単量体[IV]の例とし
てはN−メタクリロイル−3−アミノサリチル酸、N−
メタクリロイル−4−アミノサリチル酸、N−メタクリ
ロイル−5−アミノサリチル酸、N−アクリロイル−3
−アミノサリチル酸、N−アクリロイル−4−アミノサ
リチル酸、及びN−アクリロイル−5−アミノサリチル
酸が挙げられる。これらの単量体の内で最も好ましいも
のは、N−メタクリロイル−5−アミノサリチル酸であ
る。
【0036】単量体[IV]は例えば、メタクリル酸クロ
ライド或いはアクリル酸クロライドと対応する3−、4
−又は5−アミノサリチル酸との反応等によって合成で
き、酢酸エチル−アセトン混合溶媒で再結晶することに
より精製できる。
【0037】単量体[V]は、式V
【0038】
【化15】
【0039】で示される単量体である。但し式中、R1
は水素原子又はメチル基を示す。単量体[V]の例とし
ては、N−メタクリロイル−2−アミノフェニル硼酸、
N−メタクリロイル−3−アミノフェニル硼酸、N−メ
タクリロイル−4−アミノフェニル硼酸、N−アクリロ
イル−2−アミノフェニル硼酸、N−アクリロイル−3
−アミノフェニル硼酸及びN−アクリロイル−4−アミ
ノフェニル硼酸が挙げられる。
【0040】単量体[V]は、例えば対応するアミノフ
ェニル硼酸とアクリル酸クロライド又はメタクリル酸ク
ロライドとを反応させることによって合成できる。
【0041】本発明の歯科用接着性根管充填材料におい
て、単量体として単量体[I]〜 [III]のみを含んでい
る場合、単量体[I]20〜60重量部、単量体[II]
20〜60重量部、単量体 [III]5〜30重量部の範囲
である。そして好ましい範囲は、単量体[I]30〜5
0重量部、単量体[II]30〜60重量部、単量体 [II
I]5〜25重量部の範囲である。単量体[I]が20重
量部より少ないと強靭な硬化物が得られないという問題
があり、60重量部より多いと硬化物が固くなり過ぎる
という点で好適ではない。単量体[II]が20重量部よ
り少ないと硬化物が固くなり過ぎるという問題があり、
60重量部より多いと硬化物の吸水量が高くなり過ぎる
という点で好適ではない。単量体 [III]が5重量部より
少ないと光硬化が困難になるという問題があり、30重
量部より多いと硬化物が固くなり過ぎるという点で好適
ではない。
【0042】本発明の歯科用接着性根管充填材料におい
て、単量体として、単量体[I]〜[III] の他、単量体
[IV]及び/又は[V]を含んでいる場合、単量体[IV]、
単量体[V]の割合はいずれも10重量部以下が好まし
く、0.1〜3重量部の範囲が特に好ましい。
【0043】本発明の歯科用接着性根管充填材料は、こ
れらの単量体の他、更にX線造影剤を含有していてもよ
い。但し、X線造影剤を含有する場合は、単量体[I]
〜[III]の合計量(単量体[IV]も[V]も含まない場
合)或いは単量体[I]〜[V]の合計量(単量体[IV]
及び/又は[V]を含む場合)とX線造影剤の合計を1
00重量部とするときX線造成剤の割合は50重量部以
下でなければならず、10〜50重量部、特に20〜4
5重量部の範囲が好ましい。X線造影剤の割合が50重
量部を越えると、流動性の高い歯科用接着性根管充填材
料が得られない。一方、X線造影剤の割合が10重量部
より少ないと、充填後の歯科用接着性根管充填材料がX
線で鮮明に映らず、充填後の様子を外部からX線診断す
ることが困難になる。
【0044】X線造影剤としては、硫酸バリウムの他、
臭化バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、及びヨー
ドホルム等、通常X線造影剤として用いられているもの
ならどのような化合物でも用いられ、これらの化合物を
2種以上用いることもできる。
【0045】本発明の歯科用接着性根管充填材料には、
この他、抗菌剤を加えてもよい。特に、歯科用接着性根
管充填材料が抗菌性の単量体[V]を含まない場合に
は、抗菌剤を含んでいることが好ましい。抗菌剤の添加
量は、単量体[I]〜[III]の合計量(単量体[IV]も
[V]も含まない場合)或いは単量体[I]〜[V]の
合計量(単量体[IV]及び/又は[V]を含む場合)10
0重量部に対し、1〜10重量部の範囲が好ましく、特
に2〜6重量部の範囲が好ましい。抗菌剤としては、ク
ロルヘキシジンやユージノール等が好ましく用いられ
る。
【0046】本発明の歯科用接着性根管充填材料は、使
用直前に重合開始剤を添加してから根管に注入、充填す
ることが好ましい。重合開始剤の添加量は、単量体
[I]〜[III](単量体[IV]も[V]も含まない場合)
或いは単量体[I]〜[V](単量体[IV]及び/又は
[V]を含む場合)、X線造影剤及び抗菌剤の合計量1
00重量部に対し、0.1〜2.0重量部の範囲が好ま
しく、特に0.5〜1.0重量部が好ましい。重合開始
剤としては、トリ−n−ブチルボラン酸化物やベンゾイ
ルパーオキサイドのような有機過酸化物の他、ジメチル
パラトルイジン等の芳香族第3級アミンやパラトルエン
スルフィン酸、及びカンファーキノンとジメチルアミノ
エチルメタクリレートからなる光重合開始剤等を使用す
ることができる。これらの重合開始剤のなかで特に好ま
しいものはトリ−n−ブチルボラン酸化物である。トリ
−n−ブチルボラン酸化物は親水性であり、溶存酸素と
反応し、水との界面で重合を開始させるので、根管壁の
奥にまで浸透し、根管内壁に接着された状態で充填され
た歯科用接着性根管充填材料を硬化させることができる
からである。
【0047】本発明の歯科用接着性根管充填材料は、更
にエタノール又は水を含んでいてもよい。エタノール又
は水は、ラジカル重合反応を遅延させる働きがあるの
で、歯科用接着性根管充填材料がそのままでは重合速度
が速すぎて使用しにくい場合に、エタノール又は水を添
加することによって重合速度を調節することができる。
但し、エタノール又は水の添加量は、単量体[I]〜
[V]の合計量100重量部に対し50重量部以下であ
ることが好ましい。
【0048】
【発明の効果】本発明の歯科用接着性根管充填剤は、ペ
ースト状であるので、根管への充填が極めて容易であ
り、根管の先端部である根尖部に至る細部にまで容易に
充填できる。又、硬化物はゴム状である。そして、単量
体[I]を含有しているので、硬化物は根管内壁の象牙
質とよく接着する。
【0049】更に、単量体[IV]を含むものは、根管内
壁の象牙質の接着性に更に優れているだけでなく、歯牙
の知覚過敏を押さえる作用を付与する働きも有する。
【0050】従って、本発明の歯科用接着性根管充填材
料は、 a)根管内壁面の歯質に浸透して確実に接着し、完全に
根管内腔を封鎖できること、及び、 b)生体組織に適合性があり、歯根膜等の周辺組織に刺
激を与えないこと、 c)充填操作が容易であり、しかも充填後に充填材料の
除去が可能であること、という条件をよく満たす。硬化
物はゴム状であるから、リーマーやファイル等の器具を
用いれば容易に根管から除去できる。
【0051】更に単量体[V]を含むものやX線造影剤
を含むものは、それ自体抗菌性やX線に対する造影性が
あるから、 d)X線造影性があり、充填の状態が外側からX線診断
により確認できること、及び e)持続的殺菌力乃至抗菌力があること、という条件を
も満たす。
【0052】
【実施例】以下、実施例により、本発明について更に詳
細に説明する。
【0053】[実施例1]歯科用接着性根管充填材料の
基剤として、単量体[I]として2−ヒドロキシエチル
メタクリレート40重量部、単量体[II]としてメトキシ
ポリエチレングリコールメタクリレート40重量部、及
び単量体 [III]としてポリエチレングリコールジメタク
リレート20重量部を用い、これらを混合して単量体混
合物を調製した。
【0054】得られた単量体混合物70重量部にX線造
影剤(硫酸バリウム)30重量部を配合してペースト状
の歯科用接着性根管充填材料を調製した。
【0055】使用直前に、このペースト状の歯科用接着
性根管充填材料1gに対し、重合開始剤としてトリ−n
−ブチルボラン酸化物0.005gを混和して活性化し
た。予めヒトの抜去歯を用いて根管内を10%次亜塩素
酸ナトリウム水溶液で洗浄しておき、この活性化した歯
科用接着性根管充填材料を根管内に注入した。更に螺旋
充填器(レンツロ)を用いて、根尖部に至る細部にま
で、この歯科用接着性根管充填材料を注入した。そし
て、そのまま35℃で20分静置したところ、この歯科
用接着性根管充填材料は注入した状態のままで硬化して
いた。
【0056】この抜去歯を矢状面に沿って縦断した標本
を走査型電子顕微鏡で観察したところ、注入した歯科用
接着性根管充填材料は根管内壁の象牙質表面と強固に接
着していることが確認でき、根管が確実に封鎖されてい
ることが判った。
【0057】[実施例2]歯科用接着性根管充填材料の
基剤として、単量体[I]として2−ヒドロキシエチル
メタクリレート40重量部、単量体[II]としてメトキシ
ポリエチレングリコールメタクリレート50重量部、及
び単量体 [III]としてポリエチレングリコールジメタク
リレート10重量部を用い、これらを混合して単量体混
合物を調製した。この単量体混合物100重量部に対し
0.7重量部のエタノールを更に添加した。
【0058】得られた単量体混合物70重量部にX線造
影剤(硫酸バリウム)30重量部を配合してペースト状
の歯科用接着性根管充填材料を調製した。
【0059】使用直前に、このペースト状の歯科用接着
性根管充填材料1gに対し、重合開始剤としてトリ−n
−ブチルボラン酸化物0.005gを混和して活性化し
た。予めヒトの抜去歯を用いて根管内を10%次亜塩素
酸ナトリウム水溶液で洗浄しておき、この活性化した歯
科用接着性根管充填材料を根管内に注入した。更に螺旋
充填器(レンツロ)を用いて、根尖部に至る細部にま
で、この歯科用接着性根管充填材料を注入した。そし
て、そのまま35℃で静置したところ、この歯科用接着
性根管充填材料は20分経過後は未だ完全には硬化して
いなかったが、30分経過後にはほぼ完全に硬化してい
た。
【0060】この抜去歯を矢状面に沿って縦断した標本
を走査型電子顕微鏡で観察したところ、注入した歯科用
接着性根管充填材料は根管内壁の象牙質表面と強固に接
着していることが確認でき、根管が確実に封鎖されてい
ることが判った。
【0061】[実施例3]歯科用接着性根管充填材料の
基剤として、単量体[I]として2−ヒドロキシエチル
メタクリレート40重量部、単量体[II]としてメトキシ
ポリエチレングリコールメタクリレート30重量部、単
量体 [III]としてポリエチレングリコールジメタクリレ
ート20重量部、単量体[IV]としてN−メタクリロイル
−5−アミノサリチル酸2重量部、及び単量体[V]と
してメタクリロイルアミノフェニル硼酸8重量部を用
い、これらを混合して単量体混合物を調製した。
【0062】得られた単量体混合物70重量部にX線造
影剤(硫酸バリウム)30重量部を配合してペースト状
の歯科用接着性根管充填材料を調製した。
【0063】使用直前に、このペースト状の歯科用接着
性根管充填材料1gに対し、重合開始剤としてトリ−n
−ブチルボラン酸化物0.005gを混和して活性化し
た。予めヒトの抜去歯を用いて根管内を10%次亜塩素
酸ナトリウム水溶液で洗浄しておき、この活性化した歯
科用接着性根管充填材料を根管内に注入した。更に螺旋
充填器(レンツロ)を用いて、根尖部に至る細部にま
で、この歯科用接着性根管充填材料を注入した。そし
て、そのまま35℃で20分静置したところ、この歯科
用接着性根管充填材料は注入した状態のままで硬化して
いた。
【0064】この抜去歯を矢状面に沿って縦断した標本
を走査型電子顕微鏡で観察したところ、注入した歯科用
接着性根管充填材料は根管内壁の象牙質表面と強固に接
着していることが確認でき、根管が確実に封鎖されてい
ることが判った。
【0065】[実施例4]歯科用接着性根管充填材料の
基剤として、単量体[I]として2−ヒドロキシエチル
メタクリレート35重量部、単量体[II]としてメトキシ
ポリエチレングリコールメタクリレート35重量部、単
量体 [III]としてポリエチレングリコールジメタクリレ
ート20重量部、単量体[IV]としてN−メタクリロイル
−5−アミノサリチル酸1重量部、及び単量体[V]と
してメタクリロイルアミノフェニル硼酸3重量部を用
い、これらを混合して単量体混合物を調製した。
【0066】得られた単量体混合物60重量部にX線造
影剤(硫酸バリウム)40重量部を配合してペースト状
の歯科用接着性根管充填材料を調製した。
【0067】使用直前に、このペースト状の歯科用接着
性根管充填材料1gに対し、重合開始剤としてトリ−n
−ブチルボラン酸化物0.005gを混和して活性化し
た。
【0068】予めヒトの抜去歯を用いて根管内を10%
次亜塩素酸ナトリウム水溶液で洗浄しておき、この活性
化した歯科用接着性根管充填材料を根管内に注入した。
更に螺旋充填器(レンツロ)を用いて、根尖部に至る細
部にまで、この歯科用接着性根管充填材料を注入した。
そして、更にグッタペルカポイントを挿入し、そのまま
35℃で20分静置したところ、この歯科用接着性根管
充填材料は硬化してグッタペルカポイントのマトリック
スとなっていた。
【0069】この抜去歯を矢状面に沿って縦断した標本
を走査型電子顕微鏡で観察したところ、注入した歯科用
接着性根管充填材料はグッタペルカポイントと一体化し
ていることが確認でき、更に根管の根尖部に至る細部に
までこの歯科用接着性根管充填材料が侵入して硬化して
いること、及び根管内壁の象牙質と強固に接着している
ことが確認できた。特に、分岐根管内にもこの歯科用接
着性根管充填材料の侵入が見られ、従来の根管充填法と
比較して、より一層緻密に根管封鎖されていることが判
った。
【0070】[実施例5]歯科用接着性根管充填材料の
基剤として、単量体[I]として2−ヒドロキシエチル
メタクリレート34重量部、単量体[II]としてメトキシ
ポリエチレングリコールメタクリレート40重量部、単
量体 [III]としてポリエチレングリコールジメタクリレ
ート20重量部、及び単量体[V]としてメタクリロイ
ルアミノフェニル硼酸6重量部を用い、これらを混合し
て単量体混合物を調製した。
【0071】この単量体混合物60重量部にX線造影剤
(硫酸バリウム)40重量部を配合してペースト状の歯
科用接着性根管充填材料を調製した。
【0072】使用直前に、このペースト状の歯科用接着
性根管充填材料1gに対し、重合開始剤としてトリ−n
−ブチルボラン酸化物0.005gを混和して活性化し
た。予めヒトの抜去歯を用いて根管内を10%次亜塩素
酸ナトリウム水溶液で洗浄しておき、活性化した歯科用
接着性根管充填材料を根管内に注入した。更に螺旋充填
器(レンツロ)を用いて、根尖部に至る細部にまで、こ
の歯科用接着性根管充填材料を注入した。そして、その
まま20分静置したところ、この歯科用接着性根管充填
材料は注入した状態のままで硬化していた。
【0073】この抜去歯を37℃の生理食塩水中に30
日間浸漬した後、硬化した歯科用接着性根管充填材料を
リーマー及びファイルで除去する操作を試みたところ、
根管内からも根尖孔部位からも容易に除去することがで
きた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 4/32 MEQ 290/06 MRS // C07C 69/54 Z 9546−4H 233/55 9547−4H

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)一般式I 【化1】 (式中、R1 はH又はCH3 を示し、R2 は−OCH2
    CH2 OH又は−OCH2 CH2 CH2 OHを示す)で
    示される単量体[I] ・・・20〜60
    重量部 (2)一般式 II 【化2】 (式中、R1 はH又はCH3 を示し、R3 は−(OCH
    2 CH2 )m−OCH3 (但しmは9〜23)を示す)
    で示される単量体[II] ・・・20〜6
    0重量部 (3)一般式 III 【化3】 (式中、R1 はH又はCH3 、nは14〜23)で示さ
    れる単量体 [III] ・・・・5〜30重量
    部 (4)一般式 IV 【化4】 (式中、RはH又はCH3 を示す)で示される単量
    体[IV] ・・・・0〜10重量部 (5)一般式V 【化5】 (式中、R1 はH又はCH3 を示す)で示される単量体
    [V] ・・・・0〜10重量部及び (6)エタノール又は水 ・・・・0〜5
    0重量部(但し、単量体[I]〜[V]の合計量を10
    0重量部とする)からなる歯科用接着性根管充填材料。
  2. 【請求項2】 更に、X線造影剤を含む請求項1に記載
    の歯科用接着性根管充填材料。
  3. 【請求項3】 当該X線造影剤が、硫酸バリウム、臭化
    バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、及びヨードホ
    ルムから選ばれた1種以上の化合物からなる、請求項2
    に記載の歯科用接着性根管充填材料。
  4. 【請求項4】 当該X線造影剤割合が、単量体[I]〜
    [V]と当該X線造影剤の合計量100重量部に対し、
    10〜50重量部の範囲である、請求項2又は3に記載
    の歯科用接着性根管充填材料。
  5. 【請求項5】 単量体[IV]がN−メタクリロイル−5
    −アミノサリチル酸である、請求項1〜4のいずれかに
    記載の歯科用接着性根管充填材料。
  6. 【請求項6】 単量体[V]がN−メタクリロイル−3
    −アミノフェニル硼酸である、請求項1〜5のいずれか
    に記載の歯科用接着性根管充填材料。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の歯科用根管充填材料10
    0重量部に対し0.1〜2.0重量部の重合開始剤を含
    む歯科用接着性根管充填材料。
  8. 【請求項8】 重合開始剤がトリ−n−ブチルボラン酸
    化物である請求項7に記載の歯科用接着性根管充填材
    料。
  9. 【請求項9】 重合開始剤がカンファーキノンとジメチ
    ルアミノエチルメタクリレートからなる光重合開始剤で
    ある請求項7に記載の歯科用接着性根管充填材料。
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