JP2555549B2 - 生体組識接着剤塗布器具 - Google Patents

生体組識接着剤塗布器具

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JP2555549B2 JP6508888A JP50888894A JP2555549B2 JP 2555549 B2 JP2555549 B2 JP 2555549B2 JP 6508888 A JP6508888 A JP 6508888A JP 50888894 A JP50888894 A JP 50888894A JP 2555549 B2 JP2555549 B2 JP 2555549B2
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信人 福永
勝美 川上
隆徳 内田
義光 石原
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KAGAKU OYOBI KETSUSEI RYOHO KENKYUSHO
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、人間または動物に対して動物性タンパク質
を主成分とする生体用接着剤を適用する器具に関し、特
に肝臓や肺の切除断端や消化管の縫合部の止血閉鎖など
に好適な、生体の患部に生体組織接着剤を噴霧して塗布
するための器具に関する。
背景技術 動物性タンパク質を主成分とする生体組織接着剤は、
タンパク質の溶液とこのタンパク質の凝塊形成を促進す
る凝固因子の溶液とを混ぜ合わせることにより現場で形
成される。この種の生体組織接着剤を使用する場合、た
とえば第XIII因子およびフィブリノゲンを含有する溶液
をトロンビン含有溶液と混合し、これを生体組織接着に
用いる場合には、従来、一方の溶液を適用部位に塗布
し、これに他方の溶液を被覆する方法、または２つの溶
液を混合溶液内などであらかじめ混合し、それをシリン
ジに吸い込んで、次いで接着すべき部位に塗布する方法
が採用されていた。
ところが上記の方法はいずれも欠点を有するものであ
った。すなわち１番目の方法は、２つの溶液が完全に混
合しないうちに表面の固化が生じるために混合が不完全
となり、従って接着力の低下が生じるという問題があ
る。また２番目の方法は、２つの溶液を混合すると直ち
に接着剤の固化が起こってしまうので、２溶液の混合後
素早く接着剤を適用部位に塗布しなければならず、相当
の熟練を必要とし、たとえ適用できたとしても適用部位
が限られるという問題があった。
そこで、この様な問題を解決するための方法として、
近年、異なる２つの溶液をそれぞれ２本のシリンジにあ
らかじめ収納しておき、これらシリンジに収納された２
つの溶液を同時に注出させて、２つの溶液を混合させな
がら塗布する方法が、特開昭64−25843号公報、特開昭6
4−40040号公報、実開昭62−62674号公報、実開昭62−6
2675号公報、実開昭62−65972号公報、実開昭62−65973
号公報、実公平３−47609号公報、実開昭62−20853号公
報、実開平１−82049号公報で提案されている。
これらのうち、例えば実公平３−47609号公報に記載
の組織接着剤噴霧装置は、集合ヘッドに２つのシリンジ
の円錐部（ノズル）から放出される生体組織接着剤の各
成分を別々に輸送するコンベア流路を設けるとともに、
各コンベア流路の出口の近くに、これらコンベア流路と
ほぼ直交方向に伸びる２つの無菌ガス供給流路を設け、
これら無菌ガス供給流路の噴出口部の中心線が前方の所
定位置で交差するように配置している。
しかしながら、この組織接着剤噴霧装置では、以下の
ような問題点がある。すなわち、各成分のコンベア流路
が無菌ガス供給流路とほぼ直交し、最終塗布位置では患
部に向いていないので、供給される無菌ガスが低圧の場
合には、接着剤が患部に塗布されなかったり、接着剤が
均一な霧状にならない危険性がある。それゆえ、かなり
高圧の無菌ガスを供給する必要があり、患部への影響も
心配される。また、各成分の噴出口部の間隔が広く、こ
れら噴出口部から約10〜20cm離れた位置で２液が混合す
るようにしているので、狭い患部への噴霧には適してい
ない。さらに、無菌ガスを確保するために施設のユニッ
トから長いチューブを用いて導入するか大型の高圧ボン
ベより長いチューブを用いて導入しなければならない。
この際、長いチューブや大型ボンベが作業の妨害とな
り、手術の時間が延長したり、特には手術成績にも影響
することも危惧されていた。
そこで、本発明は、供給される無菌ガスが低圧であっ
ても患部へ接着剤を確実に噴霧し得る生体組織接着剤塗
布器具を提供する目的としている。
また、本発明は、接着剤を狭い患部または深遠部にも
噴霧し得る生体組織接着剤塗布器具を提供することを目
的としている。
さらに、本発明は、手術中の移動や取り扱いが便利な
生体組織接着剤塗布器具を提供することを目的としてい
る。
さらにまた、本発明は、長い無菌ガス供給チューブで
作業を妨害することのない生体組織接着剤塗布器具を提
供することを目的としている。
発明の概要 本発明は上記目的を達成するためになされたもので、
生体組織接着剤塗布器具のスプレーヘッドは、中空のハ
ウジングと、該ハウジングに設けられ、上記シリンジの
ノズルを受ける一対のアダプタと、上記ハウジングに無
菌ガスを供給する供給管と、上記ハウジングにそれぞれ
の中心軸を同一方向に向けて設けられ、上記無菌ガスを
ガイドしつつ吐出する一対の隣接した無菌ガス噴射ノズ
ルと、上記ハウジングの内部に配置され、一端は上記ア
ダプタにそれぞれ接続し、他端は上記無菌ガス噴射ノズ
ルを介して該ノズルから所定量突出した一対の液管と、
で構成されている。
上記スプレーヘッドを有する生体組織接着剤塗布器具
では、一対のシリンジから供給された溶液はそれぞれ液
管の先端部より噴射される。一方、無菌ガス供給管より
ハウジングに供給された無菌ガスは、一対の無菌ガス噴
射ノズルよりほぼ同一方向に噴射され、この無菌ガスの
噴射により２つの溶液が霧化されて混合され、目的の患
部に塗布される。
本発明の別の態様では、長さ約５〜50cmの細長い管の
一端を上記ハウジングに接続するとともに、この細長い
管の他端に上記無菌ガス噴射ノズルを設け、上記液管を
その細長い管に挿通している。この態様によれば、狭い
患部や深遠部への噴霧も可能になる。
なお、上記無菌ガス噴射ノズルには、その中心に液管
を位置させるために、内面に複数のリブを設けるのが好
ましい。
また、上記無菌ガス噴射ノズルから突出した一対の液
管の間隔は、約１〜20mm、好ましくは約１〜5mmとす
る。これにより、２つの溶液の均一な噴霧状態が得られ
る。
さらに、無菌ガス噴射ノズルからの液管の突出量は約
0.1〜10mmとするのが好ましい。
さらにまた、生体組織接着剤塗布器具には、上記一対
のシリンジを保持する保持手段と、上記一対のシリンジ
のプランジャを保持してこれらプランジャを同時に移動
させるアクチュエータと、上記アクチュエータを付勢し
て移動させる押圧手段と、上記無菌ガス供給管に無菌ガ
スを供給する無菌ガス供給源と、上記無菌ガス供給源か
らの無菌ガスの供給を制御する第１の制御手段と、上記
押圧手段を制御する第２の制御手段と、上記押圧手段、
無菌ガス供給源、第１の制御手段、及び第２の制御手段
を支持するフレームとを備えている。なお、第１の制御
手段と第２の制御手段は一つのスイッチ手段で兼用し、
このスイッチ手段のオン・オフ動作によって、無菌ガス
の供給とアクチュエータの移動を同時にオン・オフする
のが好ましい。また、無菌ガス供給源は、内部に無菌ガ
スを収容した携帯型のガスシリンダとするのが好まし
い。この態様の塗布器具では、無菌ガス供給源等がフレ
ームに一体的に設けてあるので、手術中の移動や取り扱
いが便利なうえ、無菌ガスを導入するための長いチュー
ブを必要としないので、作業の安全性が高まる。また、
溶液と無菌ガスを均一に噴射されるとともに、第１と第
２の制御手段、又はスッイチ手段を操作することにより
塗布処理が自動的に開始されるので、無菌ガスの無駄な
消費がなくなる。
図面の簡単な説明 図１は本発明にかかる生体組織接着剤塗布器具の分解
斜視図である。
図２は図１に示す塗布器具を組み立てた状態の平面図
である。
図３は図１に示す塗布器具を組み立てた状態の側面図
である。
図４はスプレーヘッドの横断面図である。
図５はスプレーヘッドの縦断面図である。
図６はスプレーヘッドに細長い管を取り付けた塗布器
具の平面図である。
図７は図６に示す細長い管の先端部縦断面図である。
図８はスプレーヘッドに取り付ける細長い管の他の態
様の平面図である。
図９は本発明にかかる生体組織接着剤塗布器具の別実
施例の平面図である。
図10はガイドロッドの一部を除いた図９に示す塗布器
具の側面図である。
図11はガイドロッド、シリンジ、スプレーヘッド、無
菌ガス供給管を除いた図９に示す塗布器具の側面図であ
る。
図12は図９に示す塗布器具の一部を拡大した図であ
る。
図13は、押圧ロッドとストッパの接触状態を示す断面
図である。
発明を実施するための最良の形態 添付図面のうち、特に図１から図３を参照して本発明
にかかる生体組織接着剤塗布器具について説明する。こ
れらの図において、全体を符号（１）で表した生体組織
接着剤塗布器具は、フィブリノゲン溶液とトロンビン溶
液を別々に収容する２つのシリンジ（２），（２）を備
えている。各シリンジ（２）はバレル（３）を有し、こ
のバレル（３）は円筒体（４）と、円筒体（４）一端部
のノズル（５）と、円筒体（４）他端部の外側に突出す
るフランジ（６）で一体的に構成されている。シリンジ
（２）のプランジャ（７）は一端側に円筒体（４）の内
径よりも僅かに大径のゴムなどからなるパッキン（８）
を有し、他端側に親指ヨーク（９）を一体的に有し、パ
ッキン（８）を有する一端側がバレル（３）に挿入さ
れ、パッキン（８）が円筒体（４）の内面に密接してい
る。なお、上記バレル（３）、プランジャ（６）は、一
般にガラス、又は透明な合成樹脂例えばポリプロピレ
ン、ポリカーボネートなどの材料で形成されている。
これら２本のバレル（３），（３）を一体的に保持す
るシリンジ保持手段としてのホルダ（10）は、好ましく
はポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリルブ
タジエンスチレン共重合体、ポリカーボネートなどの合
成樹脂で一体的に構成されており、２つの溝部（11），
（11）が平行に形成されている。これらの溝部（11）
は、図示するように、円筒体（４）の外形とほぼ同一形
状のＣ状内面を有し、上端開口部の幅を円筒体（４）の
外径よりも狭くすることにより、溝部（11）に装着され
たバレル（３）を確実に保持するように設計されてい
る。溝部（11）の上端開口部の幅は、バレル（３）を装
着するときの抵抗力と装着された状態での安定性を考慮
して決定するのが好ましい。ホルダ（10）はまた、２つ
の溝部（11），（11）に挟まれた連結部（12）の一端面
と所定距離を置いて対向するストッパ（13）を備えてお
り、溝部（11），（11）に装着されたバレル（３），
（３）のフランジ（６），（６）が、ストッパ（13）と
これに対向するホルダ端面（14）との間の隙間すなわち
フランジ固定溝（15）に挿入できるようにしてある。
バレル（３），（３）に装着されたシリンジ（２），
（２）のプランジャ（７），（７）を一体的に作動させ
る作動手段としての作動部材（16）は、好ましくはホル
ダ（10）と同一の材料で構成されており、前壁（17）
と、これに所定距離を隔てて対向する後壁（18）を有
し、前壁（17）には上方より下方に向かって２つの溝部
（19），（19）が形成され、溝部（19），（19）の中心
間距離が溝部（11），（11）の中心間距離と等しくして
ある。
シリンジ（２），（２）より供給されるフィブリノゲ
ン溶液とトロンビン溶液を噴霧するためのスプレーヘッ
ド（20）は、図4,5に詳細を示すように、偏平な角錐台
状又は円錐台の中空ハウジング（21）を備えている。ハ
ウジング（21）は先端部に中心軸をほぼ同一方向に向け
た一対の平行な無菌ガス噴射ノズル（22），（22）を有
し、それぞれのノズル（22）の内面にはそこから内方に
向かって突出した長手方向の複数のリブ（23）がそれぞ
れ形成され、これらのリブ（23）に囲まれた空間が液管
挿通路（24）としてある。ハウジング（21）はまたその
後端部に一対のシリンジ連結口（25），（25）を有し、
それぞれの連結口（25）にはその後端開口部よりシリン
ジノズル（５）がちょうどフィットする形状の円錐状ノ
ズル挿入口（26）がはめ込まれ、このノズル挿入口（2
6）の先端開口部に接続した液管（27）がハウジング（2
1）の内部と液管挿通部（24）を通りノズル（22）の先
端より突出させてある。ノズル（22）から突出する液管
（27）の長さは約0.1〜10mmとするのが好ましく、この
範囲に設定すると、２つの液管（27），（27）から噴射
された２つの溶液がノズル（22），（22）から噴射され
る無菌ガスにより均一密度の霧になる。ハウジング（2
1）の底部には、ガス無菌化するフィルタ（29）（図３
参照）を有するガス供給管（28）が接続されており、図
示しないガス供給源より供給されたガスをフィルタ（2
9）で無菌化したハウジング（21）の内部に供給するよ
うにしてある。無菌ガス供給管（28）としては一般に塩
化ビニールのチューブが使用される。また、フィルタ
（29）としては、ミリポア社製のマイレックスFGを使用
するのが好ましい。
上記生体組織接着剤塗布器具（１）を使用する場合、
例えば一方のシリンジ（２）にフィブリノゲン溶液、他
方のシリンジ（２）に同量のトロンビン溶液を収容す
る。次に、バレル（３），（３）をホルダ（10）の溝部
（11），（11）にはめ込み、それぞれのフランジ
（６），（６）をフランジ挿入溝（15）に挿入する。こ
のとき溝部（11）の上端開口部幅はバレル（３）の外径
よりも狭くしてあるので、装着したバレル（３）が脱落
することはない。続いて、プランジャ（７），（７）の
親指ヨーク（９），（９）を作動部材（16）の前壁（1
7）と後壁（18）の間に入れると共に、溝部（19），（1
9）にプランジャ（７），（７）の後部を差し込む。こ
のときプランジャ（７），（７）から作動部材（16）が
脱落しないように、前壁（17）と後壁（18）の隙間は、
親部ヨーク（９）の厚さとほぼ同一に設計するのが好ま
しい。そして、バレル（３），（３）のノズル（５），
（５）をそれぞれスプレーヘッド（20）のノズル挿入口
（26），（26）にはめ込む。また、無菌ガス供給管（2
8）をガス供給源より伸びるチューブ（図示せず）に接
続する。
このようにして組み立てられた塗布器具（１）の使用
する場合、無菌ガス供給源より無菌ガス供給管（28）を
介してハウジング（21）の内部に無菌ガスを供給し、ノ
ズル（22）より噴射する。一方、人差し指と中指をホル
ダ（10）及び／又はフランジ（６）に掛け、親指を作動
部材（16）の背面に当ててプランジャ（７），（７）を
バレル（３），（３）に押し込み、それぞれの液管（2
7），（27）から溶液を噴射する。すると、液管（2
7），（27）から噴射された溶液は、その周囲より噴射
される無菌ガスに拡散して霧化し、霧化した２つの溶液
が混合して患部に塗布される。なお、ノズル（22）に挿
通された液管（27）は周囲のリブ（23）で安定的に保持
され、その噴射方向が一定しているので、目標の患部に
確実に混合された溶液を塗布することができる。
図６は本発明の変形例を示し、図示する塗布器具は、
直視下または内視鏡下の深遠部への接着剤噴霧を可能に
するために、スプレーヘッド（30）は約５〜50cmの細長
い延長部（31）を備えている。この延長部（31）は両端
部を閉鎖した中空の円筒管またはだ円形状の管で、無菌
ガス供給管（32）が接続されており、先端部（33）には
図７に示すように２つの貫通孔すなわちノズル（34）が
形成され、後端部（35）を貫通して挿入された２つの液
管（36），（36）が上記ノズル（34），（34）から所定
長さ突出させてある。また、後端部（35）から突出した
液管（35）の端部にはシリンジノズル挿入口（37）が接
続され、これらの挿入口（37）がホルダ（38）に保持さ
れたシリンジ（39）のノズルに接続されている。なお、
図示していないが、ノズル（34）の内周面には中心部に
向かって伸びる複数のリブを設け、これらのリブで液管
（36）を中心に保持するのが望ましい。
図７は、図１〜５に示す形式の中空スプレーヘッドの
先端に細長い中空延長部（40）を一体的に設けた改良例
を示し、このような形式のスプレーヘッドを使用するこ
とで、腹膣鏡下で手術などの深遠部への均一な接着剤の
噴霧が可能となる。
図9,10は本発明の別実施例を示し、全体を符号（41）
で表したガン・タイプの生体組織接着剤塗布器具は、ホ
ルダ（10）と作動部材（16）を保持するとともに、この
作動部材（16）をホルダ（10）に向かって自動的に移動
させる送り機構（42）を備えている。
上記送り機構（42）はフレーム（43）を有し、このフ
レーム（43）には所定間隔を隔てた２つの平行なガイド
ロッド（44），（44）の一端部が連結され、これらガイ
ドロッド（44），（44）の他端自由端部がホルダ（10）
を着脱自在に備えた繋ぎ部材（45）で連結されている。
また、ガイドロッド（44），（44）には、これに沿って
前後に移動する押圧部材（46）が設けてあり、この押圧
部材（46）に作動部材（16）が着脱自在に設けてある。
フレーム（43）は更にブレーキボックス（47）を備え
ており、図12に示すように、ブレーキボックス（47）の
前壁と後壁に設けた貫通孔（48），（49）に、上記ガイ
ドロッド（44）と平行に伸びるプレッシャロッド（50）
が挿通され、このプレッシャロッド（50）の先端部が押
圧部材（46）に固定されている。また、ブレーキボック
ス（47）と押圧部材（46）の間にはスプリング（51）が
配置され、後述するスイッチ機構（52）のオン動作に基
づいて、スプリング（51）の付勢力で押圧部材（46）が
前方に押し出されるようになっている。
上記スイッチ機構（52）は、図12に詳細を示すよう
に、ブレーキボックス（47）の内部に位置するブレーキ
部材（54）を備えている。このブレーキ部材（54）はプ
レッシャロッド（50）と直交方向の軸（53）を中心とし
て回動自在に支持されており、プレッシャロッド（50）
に接触可能な摩擦部材（55）を備えている（図13参
照）。なお、摩擦部材（55）と接触するプレッシャロッ
ド（50）の表面に凹凸を設け、摩擦部材（55）とプレッ
シャロッド（50）との間に高い摩擦力が得られるように
するのが好ましい。ブレーキ部材（54）はまた、ブレー
キボックス（47）の天井部（56）に設けた貫通孔（57）
を通るロッド（58）の一端部が回動可能に結合されてお
り、このロッド（58）の周囲に巻回した螺旋状のスプリ
ング（59）の付勢力に基づいて摩擦部材（55）がプレッ
シャロッド（50）に押圧されている。連結部材（60）は
ブレーキボックス（47）の上面と前面に沿って配置され
ており、上記ロッド（58）のブレーキボックス（47）か
ら突出した部分が連結されている。また、連結部材（6
0）には、ブレーキボックス（47）の天井部（56）に設
けた貫通孔（61）を通るロッド（63）が連結されてお
り、スプリング（62）の付勢力に基づいて連結部材（6
0）は下方に付勢されている。連結部材（60）は更にフ
レーム（43）に回動自在に連結されたスイッチ手段すな
わちスイッチレバー（64）に回動自在に連結され、この
スイッチレバー（64）を矢印Ｘ方向の移動すると、連結
部材（60）が上昇するとともにブレーキ部材（54）が矢
印Ｙ方向に回動し、スプリング（51）の付勢力に基づく
プレッシャロッド（50）の矢印Ｚ方向への移動を許容
し、逆に、スイッチレバー（64）を解放するとスプリン
グ（59）と（62）の付勢力により連結部材（60）が下降
するとともにブレーキ部材（54）が矢印Ｙ′方向に回動
してプレッシャロッド（50）を停止するようにしてあ
る。
上記スイッチレバー（64）は、上述のようにプレッシ
ャロッド（50）の矢印Ｚ方向への移動（すなわち前進動
作）を制御する機能と、後述する無菌ガス供給装置（6
5）からの無菌ガスの供給を制御する機能を有する。上
記無菌ガス供給装置（65）はガスホルダ（66）を有し、
このガスホルダ（66）はフレーム（43）に固定されてお
り、上記スイッチレバー（64）に指を引っ掛けてこれを
作動するためのグリップを構成している。上記ガスホル
ダ（66）の中には小型ガスボンベ（67）が収容されてお
り、このガスボンベ（67）の吐出圧力が小型高圧レギュ
レータ（68）で調整できるようになっている。また、ガ
スボンベ（67）の吐出口は接続管（69）に接続され、ガ
スボンベ（67）に収容されているガス接続管（69）、及
びこれに接続されるチューブ（71）を介してガス供給管
（28）に供給されるようになっている。さらに、接続管
（69）は弁（70）を有し、スイッチレバー（64）を矢印
Ｘ方向に移動させると弁（70）が閉鎖状態から開放状態
に切り換えられるようになっている。上記ガスボンベ
（67）としては、例えば日本瓦斯炭酸株式会社製のミニ
ガスカートリッジＭ−1509−EW−Cn2Rが適している。ま
た、高圧レギュレータ（68）としては0.5〜4.0kg/cm2の
範囲で圧力調整できるものが好ましく、例えば日本瓦斯
炭酸株式会社製のガス供給器NR−01が適している。
上記生体組織接着剤自動塗布器具の使用方法について
説明する。上記塗布器具の使用に際して、例えば一方の
シリンジ（２）にフィブリノーゲン溶液、他方のシリン
ジ（２）に同量のトロンビン溶液を収容し、これらのシ
リンジ（２），（２）をホルダ（10）に装着し、プラン
ジャ（７），（７）の親指ヨーク（９），（９）を作動
部材（16）に収め、プレッシャロッド（50）をスプリン
グ（51）の付勢力に抗して後方に移動し、繋ぎ部材（4
5）にホルダ（10）を固定し、押圧部材（46）に作動部
材（16）を固定する。また、シリンジ（２），（２）の
ノズル（５），（５）にスプレーヘッド（20）を装着
し、延長チューブ（71）を介して無菌ガス供給管（28）
を接続管（69）に接続する。
以上のようにして事前準備が完了した塗布器具を用い
て溶液を患部に噴霧する場合、ガスホルダ（66）を握
り、スイッチレバー（64）に人差し指を引っ掛け、スプ
レーヘッド（20）の先端ノズル（22），（22）を患部に
向け、スイッチレバー（64）を矢印Ｘ方向に移動させ
る。すると、スイッチレバー（64）が弁（70）を開放
し、ガスボンベ（67）に収容されているガスが接続管
（69）、延長チューブ（71）を介してフィルタ（29）に
供給され、ここで無菌化された後、ハウジング（21）を
通りノズル（22），（22）から患部に向けて噴射され
る。同時に、スイッチレバー（64）の移動により、連結
部材（60）とロッド（58），（63）が上方に移動し、ブ
レーキ部材（54）のプレッシャロッド（50）に対する押
圧が解除され、これによりプレッシャロッド（50）がス
プリング（51）の付勢力に基づいて前方（矢印Ｚ方向）
に移動し、押圧部材（46）を介して作動部材（16）とプ
ランジャ（７），（７）を押圧する。その結果、シリン
ジ（２），（２）に収容されている溶液がそれぞれ液管
（27），（27）より噴射され、これが無菌ガスによりそ
れぞれ霧化されて患部に混合状態で均一に噴霧される。
なお、無菌ガスの噴射と溶液の噴射は同時にスタートす
るようにしてもよいが、スイッチレバー（64）を矢印Ｘ
方向に移動させるとまず無菌ガスが噴射され、さらにス
イッチレバー（64）を同方向に移動させた状態で溶液が
噴射されるようにするのが好ましい。
溶液噴霧を停止する場合、スイッチレバー（64）に加
えた力を解除すればよい。これにより、スプリング（6
2），（59）の復帰力により連結部材（60）が下方に移
動し、ブレーキ部材（54）がプレッシャロッド（50）に
押圧力をもって接触し、プレッシャロッド（50）の前方
移動を阻止する。また、スイッチレバー（64）が矢印
Ｘ′方向に移動して弁（70）が閉鎖位置に切り換えら
れ、ガスボンベ（67）からのガス供給が停止する。な
お、スイッチレバー（64）を断続的にオン状態とオフ状
態に切り換えることにより、患部への溶液噴霧量を簡単
に調整することができる。
このように、ガン・タイプの生体組織接着剤自動塗布
器具（41）はガスボンベ（67）を一体的に備えているの
で、手術中の移動や、接着剤の噴射方向を自由に切り換
えることができるとともに、片手操作で簡単に作動状態
と非作動状態に切り換えることができるという利点があ
る。
なお、以上に説明した生体組織接着剤は本発明の単な
る実施例にすぎず、添付の請求の範囲に記載されている
発明の範囲で種々改良することができることは言うまで
もない。

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】一対のシリンジに収容されているそれぞれ
    の溶液を噴霧し混合して患部に塗布する生体組織接着剤
    塗布器具のスプレーヘッドであって、 中空のハウジングと、 該ハウジングに設けられ、上記シリンジのノズルの受け
    る一対のアダプタと、 上記ハウジングに無菌ガスを供給する供給管と、 上記ハウジングにそれぞれの中心軸を同一方向に向けて
    設けられ、上記無菌ガスをガイドしつつ吐出する一対の
    隣接した無菌ガス噴射ノズルと、 上記ハウジングの内部に配置され、一端は上記アダプタ
    にそれぞれ接続し、他端は上記無菌ガス噴射ノズルを介
    して該ノズルから所定量突出した一対の液管と、で構成
    したことを特徴とするスプレーヘッド。
  2. 【請求項２】長さ約５〜50cmの細長い管の一端を上記ハ
    ウジングに接続するとともに、この細長い管の他端に上
    記無菌ガス噴射ノズルを設け、上記液管をその細長い管
    に挿通した請求項１のスプレーヘッド。
  3. 【請求項３】上記無菌ガス噴射ノズルは、その中心に液
    管を位置させるために、内面に複数のリブを備えている
    請求項１又は２のスプレーヘッド。
  4. 【請求項４】上記無菌ガス噴射ノズルから突出した一対
    の液管の間隔を約１〜20mmとした請求項１〜３のいずれ
    かのスプレーヘッド。
  5. 【請求項５】上記無菌ガス噴射ノズルから突出した一対
    の液管の間隔を約１〜5mmとした請求項１〜３のいずれ
    かのスプレーヘッド。
  6. 【請求項６】上記無菌ガス噴射ノズルからの液管の突出
    量を約0.1〜10mmとした請求項１から５のいずれかのス
    プレーヘッド。
  7. 【請求項７】上記無菌ガスの供給管は、上記ハウジング
    に供給されるガスを無菌化するフィルタを備えている請
    求項１〜６のいずれかのスプレーヘッド。
  8. 【請求項８】動物性タンパク質を主成分とする生体組織
    接着剤を患部に噴霧して塗布する器具において、 一対のシリンジから別々に供給されたタンパク質の溶液
    とタンパク質の凝塊形成を促進する凝固因子の溶液とを
    無菌ガスと共に噴射するスプレーヘッドを、 中空のハウジングと、 該ハウジングに設けられ、上記シリンジのノズルを受け
    る一対のアダプタと、 上記ハウジングに無菌ガスを供給する供給管と、 上記ハウジングにそれぞれの中心軸を同一方向に向けて
    設けられ、上記無菌ガスをガイドしつつ吐出する一対の
    隣接した無菌ガス噴射ノズルと、 上記ハウジングの内部に配置され、一端は上記アダプタ
    にそれぞれ接続し、他端は上記無菌ガス噴射ノズルを介
    して該ノズルから所定量突出した一対の液管と、で構成
    した生体組織接着剤塗布器具。
  9. 【請求項９】長さ約５〜50cmの細長い管の一端を上記ハ
    ウジングに接続するとともに、この細長い管の他端に上
    記無菌ガス噴射ノズルを設け、上記液管をその細長い管
    に挿通した請求項８の生体組織接着剤塗布器具。
  10. 【請求項１０】上記無菌ガス噴射ノズルは、その中心に
    液管を位置させるために、内面に複数のリブを備えてい
    る請求項８又は９の生体組織接着剤塗布器具。
  11. 【請求項１１】上記無菌ガス噴射ノズルから突出した一
    対の液管の間隔を約１〜20mmとした請求項８〜10のいず
    れかの生体組織接着剤塗布器具。
  12. 【請求項１２】上記無菌ガス噴射ノズルから突出した一
    対の液管の間隔を約１〜5mmとした請求項８〜10のいず
    れかの生体組織接着剤塗布器具。
  13. 【請求項１３】上記無菌ガス噴射ノズルからの液管の突
    出量を約0.1〜10mmとした請求項８から12のいずれかの
    生体組織接着剤塗布器具。
  14. 【請求項１４】上記一対のシリンジを保持する保持手段
    を備えた請求項８から13のいずれかの生体組織接着剤塗
    布器具。
  15. 【請求項１５】上記一対のシリンジのプランジャを保持
    してこれらのプランジャを同時に移動させるアクチュエ
    ータを備えた請求項８から14のいずれかの生体組織接着
    剤塗布器具。
  16. 【請求項１６】上記一対のシリンジを保持する保持手段
    と、 上記一対のシリンジのプランジャを保持してこれらプラ
    ンジャを同時に移動させるアクチュエータと、 上記アクチュエータを付勢して移動させる押圧手段と、 上記無菌ガス供給管に無菌ガスを供給する無菌ガス供給
    源と、 上記無菌ガス供給源からの無菌ガスの供給を制御する第
    １の制御手段と、 上記押圧手段を制御する第２の制御手段と、 上記押圧手段、無菌ガス供給源、第１の制御手段、及び
    第２の制御手段を支持するフレームとを備えた請求項８
    から13のいずれかの生体組織接着剤塗布器具。
  17. 【請求項１７】上記第１の制御手段と第２の制御手段が
    一つのスイッチ手段により兼用され、このスイッチ手段
    のオン・オフ動作によって、無菌ガスの供給とアクチュ
    エータの移動が同時にオン・オフされる請求項16の生体
    組織接着剤塗布器具。
  18. 【請求項１８】上記無菌ガス供給源が、内部に無菌ガス
    を収容した携帯型のガスシリンダである請求項16または
    17のいずれかの生体組織接着剤塗布器具。
  19. 【請求項１９】上記塗布器具が、ガン・タイプである請
    求項16または18のいずれかの生体組織接着剤塗布器具。
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