JP2554425Y2 - 内周刃砥石 - Google Patents

内周刃砥石

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JP2554425Y2 JP1989034903U JP3490389U JP2554425Y2 JP 2554425 Y2 JP2554425 Y2 JP 2554425Y2 JP 1989034903 U JP1989034903 U JP 1989034903U JP 3490389 U JP3490389 U JP 3490389U JP 2554425 Y2 JP2554425 Y2 JP 2554425Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、半導体インゴットからのウェーハ切り出し
等に使用される内周刃砥石に係わり、特に、砥石寿命を
延長するための改良に関する。
「従来の技術」 この種の内周刃砥石は、第3図に示すように薄肉円環
状の台金1の内周縁に、ダイヤモンド砥粒(図示略)を
金属めっき相で固定した砥粒層2を形成してなるもの
で、円環状の固定治具を介してその外周縁が駆動装置に
装着され、使用に供される。
従来の内周刃砥石では、前記砥粒層2は第4図に示す
ように断面涙形をなし、砥粒層2の台金半径方向の幅W
は2〜3mm程度に設定されている。また、金属めっき相
としてはNiが使用され、その硬度はビッカース硬度で20
0〜300Hv程度、超砥粒の集中度は150程度が標準であ
る。
「考案が解決しようとする課題」 ところで、従来の内周刃砥石を用いてウェーハを切り
出す場合には、下記のような種々の不都合が複合し、比
較的早期にウェーハの切断精度が低下したり、台金破断
に至る確率が高く、その改善が望まれている。
砥粒層2と被削材の当接面に切粉が滞留しやすく、砥
粒層2の目詰まりが生じて切削抵抗が増す。
切削抵抗の増大に伴い、安定性が悪化して台金1の振
れが生じ、ウェーハの切断精度が悪化するのみならず、
台金1と被削材が直接摩擦しあい、台金1に傷が付いた
り、台金1が座屈する場合がある。
台金1は冷間圧延により抗張力を高めてあるため、
のように摩擦して過熱すると台金1の抗張力が著しく低
下し、張力に耐えられず座屈や破断に至る危険性が高く
なる。
そこで本考案者らは、上記現象について詳細な検討を
試み、内周刃砥石の各部の寸法を種々変更して切断実験
を繰り返した結果、特に、前記砥粒層2の幅Wを小さく
すると、砥石の安定性が向上し、台金1の振れが低減さ
れるという新規な事実を発見するに至った。
ところがその反面、幅Wを小さくすると、切断中に個
々の超砥粒に加わる衝撃が大きくなり、超砥粒が脱落す
る率が高く、使用に堪えないという欠点が判明した。
「課題を解決するための手段」 本考案は上記知見に基づいてなされたもので、砥粒層
の台金半径方向の幅を台金内周縁の全周に亘って1mm以
下にするとともに、金属めっき相の硬度を300Hv以上に
し、さらに前記砥粒層における超砥粒の集中度を160〜2
00にしたことを特徴とする。
「作用」 この内周刃砥石によれば、砥粒層の半径方向の幅を従
来品より小さくすることにより、砥粒層の表面のうち切
削に直接かかわらない両側面部分の面積を小さくし、被
削材とこれら両側面部分との摩擦抵抗が低減でき、その
分、切削抵抗が小さくなる。また、砥粒層と被削材との
当接面積が小さいから、個々の超砥粒に加わる圧力が相
対的に大きくなり、超砥粒による切粉の掻き出し作用が
高められて、砥粒層と被削材との当接面から切粉が速や
かに排出され、切粉の残留による切削抵抗の増加および
その不均一化が防げる。さらに切削抵抗が小さい分、発
熱量が小さくなるため、過熱による台金の強度劣化が起
こりにくい。したがって、これらの複合効果により、ウ
ェーハの切断精度を高めて砥石寿命を延長し、かつ台金
の破断やウェーハの破損を防止できる。
また、金属めっき相の硬度を300Hv以上に高めたか
ら、超砥粒の保持力が向上し、前記のように超砥粒に加
わる衝撃が増大しても過度の脱落が防止できる。
さらに、超砥粒の集中度を160〜200にしたことによ
り、切削面における超砥粒の露出密度が高まるため、金
属めっき相と被削材が直に摩擦して金属めっき相が磨耗
することが少なくなり、前記効果と相まって超砥粒保持
力を一層高められる。
「実施例」 第1図は本考案に係わる内周刃砥石の砥粒層の断面図
である。
この内周刃砥石は、薄肉円環板状の台金10の内周縁
に、ダイヤモンドまたはCBN等の超砥粒11を金属めっき
相12で固定してなる砥粒層13を、全周に亙って同一の断
面涙形となるように形成したものである。
砥粒層13の台金半径方向の幅Wは1mm以下に設定され
ている。この幅Wが1mmより大では、切断中に台金10の
振れが大きくなり、従来の問題が解決できない。なお、
幅Wの下限は台金10に対する砥粒層11の固着強度および
砥石寿命を考慮して決定される。
金属めっき相12の材質はNi合金等とされ、その硬度は
マイクロビッカース硬度で300Hv以上とされている。300
Hv未満では超砥粒11の保持力が不足して砥粒脱落が多く
なり、使用に堪えない。
また、砥粒層13における超砥粒11の集中度は160〜200
とされる。160未満では切削面における超砥粒11の露出
密度が低下して金属めっき相12の露出面積が大きくな
り、金属めっき相12が被削材との摩擦で磨耗する傾向が
強まり、その分、砥粒保持力が低下する。また200より
大になると、超砥粒11が多すぎて金属めっき相12が緻密
に形成されなくなり、やはり砥粒保持力が低下する。
金属めっき相12からの超砥粒11の平均突出量は、その
平均粒径の1/3〜2/3に調整することが望ましい。1/3未
満では突出量が不足して被削材への食い込み量が小さく
なり、2/3より大では保持力が低下して超砥粒11が脱落
しやすくなる。
一方、砥粒層11の厚さTは、台金10の厚さTD+(0.12
〜0.20)mm程度が望ましい。この範囲よりも薄いと切断
中に被削材と台金10が接触して切削抵抗を増すおそれが
あり、前記範囲よりも厚いと被削材の切断しろが大きく
なって被削材の無駄が生じる。
なお、この内周刃砥石を製造するには、次のような製
造方法が適している。
台金10の内周縁に粘着剤付きマスキングテープを貼付
し、カッタを装着したオートドラフタまたはNC加工装置
にこれををセットした後、砥粒層13の外周縁に相当する
位置に沿ってマスキングテープをカッタで高精度に切断
する。その際、カッタで台金10に傷を付けないように、
切り込み量を厳密に制御する必要がある。次いで台金10
の内周縁部のマスキングテープを剥がし、露出部分に砥
粒層13を電着する。
台金10にフォトレジストを塗布した後、これを露光装
置にセットし、紫外線で露光および現像して台金10の内
周縁部のみフォトレジストを除去し、この露出部分に砥
粒層13を電着する。
上記構成からなる内周刃砥石によれば、以下のような
作用が得られる。
a.砥粒層13の幅Wを従来品より小さくすることにより、
第2図に示すように砥粒層13の表面のうち切削に直接か
かわらない両側面部分Pの面積を小さくし、被削材Hと
これら両側面部分Pとの切摩擦抵抗が低減でき、その
分、切削抵抗が小さくなる。
b.砥粒層13と被削材Hとの当接面積が小さいから、個々
の超砥粒11に加わる圧力が相対的に大きくなるうえ、超
砥粒11の突出量が比較的大きいため、超砥粒11による切
粉の掻き出し作用が良好になる。したがって、切粉が砥
粒層13と被削材Hとの当接面から効率良く速やかに排出
され、当接面での切粉の残留による切削抵抗の増加およ
びその不均一化が防げる。
c.切削抵抗が小さい分、発熱量が小さくなるため、台金
10の過熱による強度劣化が起こりにくい。
したがって、上記a,b,cの複合効果により、ウェーハ
の切断精度を従来品よりも格段に高めて、砥石寿命を延
長でき、また台金10の破断やウェーハの破損を防止する
ことが可能である。
また、金属めっき相12の硬度を300Hv以上に高めると
ともに、超砥粒11の集中度を160〜200にしたから、砥粒
保持力を格段に向上することができ、前記のように超砥
粒11に加わる衝撃が増大しても過度の脱落が起こるおそ
れがない。
「考案の効果」 以上説明したように、本考案に係わる内周刃砥石によ
れば、砥粒層の半径方向の幅を従来品より小さくするこ
とにより、砥粒層の表面のうち切削に直接かかわらない
両側面部分の面積を小さくし、被削材とこれら両側面部
分との摩擦抵抗が低減でき、その分、切削抵抗が小さく
なる。また、砥粒層と被削材との当接面積が小さく、個
々の超砥粒に加わる圧力が相対的に大きくなるので、超
砥粒による切粉の掻き出し作用が高められる。これによ
り、砥粒層と被削材との当接面から切粉が速やかに排出
され、切粉の残留による切削抵抗の増加およびその不均
一化が防げる。さらに、切削抵抗が小さい分、発熱量が
小さくなるため、台金の過熱による台金の強度劣化が起
こりにくい。したがって、これらの複合効果により、ウ
ェーハの切断精度を高めて砥石寿命を延長し、かつ台金
の破断やウェーハの破損も防止できる。
また、金属めっき相の硬度を300Hv以上に高めて超砥
粒の保持力を向上しているので、前記のように超砥粒に
加わる衝撃が増大しても過度の脱落を防止できる。
さらに、超砥粒の集中度を160〜200にしたことによ
り、切削面における超砥粒の露出密度が高まるから、金
属めっき相と被削材が直に摩擦して金属めっき相が磨耗
することが少なくなり、前記効果と相まって超砥粒の保
持力を一層高められる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案に係わる内周刃砥石の砥粒層の断面図、
第2図は同砥石の効果を示す断面図、第3図は一般的な
内周刃砥石の平面図、第4図は従来の内周刃砥石の砥粒
層の断面図である。 10……台金、11……超砥粒、12……金属めっき相、13…
…砥粒層、W……砥粒層の台金半径方向の幅。

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄肉円環状の台金の内周縁に、超砥粒を金
    属めっき相で固定してなる砥粒層を電着形成した内周刃
    砥石において、 前記砥粒層の台金半径方向の幅を台金内周縁の全周に亘
    って1mm以下にするとともに、金属めっき相の硬度を300
    Hv以上にし、さらに前記砥粒層における超砥粒の集中度
    を160〜200にしたことを特徴とする内周刃砥石。
JP1989034903U 1989-03-28 1989-03-28 内周刃砥石 Expired - Lifetime JP2554425Y2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS5821039B2 (ja) * 1975-09-26 1983-04-26 株式会社東芝 内周刃型ダイヤモンドブレ−ド
JPS5882677A (ja) * 1981-11-13 1983-05-18 Noritake Co Ltd 超砥粒砥石
JPS61102464U (ja) * 1984-12-13 1986-06-30

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