JP2553915B2 - 円筒容器の自動溶接法 - Google Patents

円筒容器の自動溶接法

Info

Publication number
JP2553915B2
JP2553915B2 JP63170781A JP17078188A JP2553915B2 JP 2553915 B2 JP2553915 B2 JP 2553915B2 JP 63170781 A JP63170781 A JP 63170781A JP 17078188 A JP17078188 A JP 17078188A JP 2553915 B2 JP2553915 B2 JP 2553915B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
gap width
root gap
wire
groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63170781A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0220661A (ja
Inventor
祐司 杉谷
泰彦 西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Nippon Sanso Corp
Original Assignee
Nippon Sanso Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Sanso Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical Nippon Sanso Corp
Priority to JP63170781A priority Critical patent/JP2553915B2/ja
Publication of JPH0220661A publication Critical patent/JPH0220661A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2553915B2 publication Critical patent/JP2553915B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、円筒容器の胴部の円周方向及び長手方向
に沿う継手部を内面または外面からアーク溶接する自動
溶接法に係り、特に液化ガスタンクなどの圧力容器の溶
接開始から終了までのプロセスをマイクロコンピュータ
によって完全自動で施行するに好適な円筒容器の自動溶
接法に関するものである。
[従来の技術] 従来、ステンレス密閉容器などの円筒容器の溶接は、
仮付け溶接された容器の胴部の円周方向(バット)及び
長手方向(シーム)に沿う継手部を先ず内面、次いで外
面から手溶接または台車式などの自動溶接機によって行
なわれていた。この従来の溶接法においては、前記継手
部の開先のルートギャップ幅は一般的に零、即ちルート
フェースが接した状態で溶接を行なうようにしており、
特に自動溶接では最大でも1mm以下となるようにその精
度を厳しく管理する必要がある。これは、ルートギャッ
プ幅が大きい箇所では溶けこみが増加し、甚しき場合に
はビードの溶け落ちが生じるためであるが、現実には接
合部材の開先整形加工誤差や先の溶接による溶接変形な
どのためにルートギャップ幅の変動は不可避である。
このため、従来では開先ルートフェースの高さ寸法を
比較的大きく採るか、接合部材の裏側に裏当材を設ける
ことによって溶融金属の抜け落ちを防ぐ必要があった。
一方、特に圧力容器では溶接ビードの放射線透過試験
が義務づけられている故、溶接ビードの余盛り高さには
制限がある。余盛り高さを低くするためには継手部の開
先断面積を大きくするのが望ましいが、上述の通り開先
のルートフェースの高さ寸法を大きく採る必要があるた
め、比較的薄い部材では継手部の表裏両面に同時に開先
を形成することはできない。
そこで従来では、先ず継手部の内面側のみに広い開先
をとったY開先を形成し、内面側溶接を施した後、外面
溶接開始に先立って、溶け込みを最適にするための外面
側開先を形成する必要があった。この外面側開先形成作
業は、以下の手順により行なわれていた。
(イ)先ず内側面ビードに達するガウジングを手作業で
施す。
(ロ)グラインダ等でガウジングスケールを削り取る。
(ハ)形成された開先に、目視による外観検査,カラー
チェック,寸法測定等の所謂裏はつり検査を行なう。
(ニ)裏はつり検査で発見された不良箇所の手直し作
業、例えばカット部のグラインダ処理、開先深さが過剰
な箇所の肉盛修復を行なう。
[発明が解決しようとする課題] 上記のような従来の円筒容器の溶接法において、外面
側開先形成作業(イ)〜(ニ)に要する作業時間は、溶
接作業全体の実に60%以上を占め、溶接作業全体の能率
を大幅に低下させるという問題点がある。更に、(ハ)
の裏はつり検査は、暗く狭い開先内を検査対象としてい
るため、検査を行ないにくく、外観検査の際に欠陥を見
落としたり、開先寸法に大きな誤差を生じる不都合もあ
る。
また、外面側溶接の際にルートフェースの高さ寸法を
大きく採ったとしても、ルートギャップ幅の変動に伴な
う溶け込みの過不足は不可避である。
一方、継手部をI開先の突き合せ継手とすると、溶接
ビードの盛り上がりが大きくなるため、後から余盛りビ
ードをグラインダ等で研削するという繁雑な作業が必要
になってしまう。しかも、容器内面におけるこの作業を
行なうには、作業員が容器内に入らねばならないという
不都合がある。
本発明は、上記のような従来技術の有する問題点に鑑
みて成されたものであり、その目的とするところは、内
外面一層ずつの自動溶接でルートギャップ幅が変動して
も安定した溶け込み深さと所定のビード高さが得られ、
ガウジング作業を不要とし、ビード研削作業を低減し得
る円筒容器の自動溶接法を提供することである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、円筒容器の胴部の円周方向及び長手方向に
沿う継手部に形成されたX開先に沿って溶接電極を移動
させながら連続的なアーク溶接を施すに際し、 ルートギャップ幅の変化に対して設定された溶け込み
深さを保つための溶接電流の変化特性を接合部材材質、
開先形状、溶接ワイヤ及びシールドガスなどの使用材料
に特有の関数として予め求めておき、 先ず容器内面側の溶接に際しては、溶接中に前記電極
の前方の開先形状を撮像手段により撮像し、その撮像デ
ータに基づきルートギャップ幅を検出しながら、ルート
ギャップ幅の変化に対して溶け込みが予め定められた第
1の設定値に保持されるように前記ルートギャップ幅検
出値に応じて溶接電流の大きさを前記変化特性に従って
実時間制御すると共に、前記ワイヤの通電チップからの
突き出し長さが予め定められた一定値に保持されるよう
に前記制御された溶接電流の大きさに応じてワイヤ送給
速度を可変制御し、また、溶接アークの長さ(アーク
長)が予め定められた一定値に保持されるように前記制
御された溶接電流、ワイヤ送給速度の大きさに応じて溶
接供給電圧を可変制御し、更に前記ルートギャップ幅及
びワイヤ送給速度の変化に対してビード高さが一定に保
たれるように溶接速度の可変制御による溶着量補償制御
を行ない、 容器外面側の溶接に際しては、既に裏面が溶接されて
いるので、溶融金属の溶け込みの心配が殆どないため、
ルートギャップ幅が零の時に溶け込み深さがルートフェ
ースの厚さ寸法から前記第1の設定値を差し引いた値以
上の第2の設定値を保つような溶接電流の大きさを前記
変化特性から選んでその値に定電流制御し、ルートギャ
ップ幅の変化については溶接速度のみを可変制御してビ
ード高さを一定に保つことにより上記目的を達成したも
のでる。
この場合、容器内面側から溶接を行なっているが、容
器外面側の溶接も最初に行なっても同様である。つまり
その場合は、外面側溶接時に前記溶接電流、ワイヤ送給
速度、溶接供給電圧、溶接速度の可変制御を行ない、内
面溶接時は前記溶接速度制御のみを行うことになる。
また、前記ルートギャップ幅検出値は、開先上方から
見た開先エッジを示す二本のショルダーライン及び二本
のルートラインを前記撮像手段により撮像し、その二本
のショルダーライン間の設計距離と実測距離との差及び
/または二本のルートライン間の実測距離に基き検出す
ることができる。
更に、溶接使用材料として次の各使用材料、 円筒容器材料:板厚8〜20mmのステンレス鋼板SUS304ま
たはSUS304L 溶接ワイヤ:308系フラックスコアードワイヤ(1.6mm
径) シールドガス:CO2ガス(100%) を用い、溶け込み深さの第1の設定値を1.5mm〜2mmと
し、ルートギャップ幅の変化が0〜3mmのときの本発明
の溶接法の各溶接パラメータ好適な値または好適な制御
範囲を下記条件、 溶接電流:200A〜500A ワイヤ送給速度:60〜350mm/秒 溶接電源端子電圧:25〜45V 溶接速度:20〜100cm/分 ワイヤ突き出し長さ:10〜20mm アーク長さ:0〜5mm である。
[作 用] 本発明においては、継手部の開先にはX開先が採用さ
れている。これは、以下に説明する本発明の溶接法によ
れば、開先のルートギャップ幅変動に対して溶け込みを
所望の目標値に一定に保つことが可能となるため、Y開
先やI開先とする必要がないためである。
本発明に従えば、先ず始めに、開先のルートギャップ
幅の変化に対して或る溶込み深さを保つための溶接電流
の大きさの変化特性が接合部材材質、開先形状、溶接ワ
イヤおよびシールドガスなどの使用材料に特有の関係と
して種々のルートギャップ幅について予め実験により求
められる。例えば、溶接電流をI、ルートギャップ幅を
G、ルートギャップ幅が零のときの溶接電流をI0とする
と、或るルートギャップ範囲内においては、 I=I0−cG …(1) の線形式で表わせるリニヤな変化特性が得られることが
確めめられている。但し(1)式でcは定数であり、こ
の定数cと前記I0とは、実際の溶接に用いる前記使用材
料等によって一義的に定まる値をもつ。
実際の溶接パラメータの制御に際しては、これらの変
化特性のうちから使用材料と設定溶込み深さに対応した
変化特性が選ばれて用いられる。
溶接中においては、溶接電極の前方の開先形状を撮像
手段で撮像し、その撮像データに基づきルートギャップ
幅の大きさが時々刻々と検出され、このルートギャップ
幅検出値によって、前述の選ばれた変化特性に従った溶
接電流のリアルタイム制御が行われる。この場合、ルー
トギャップ幅の検出位置と溶接電極位置との間隔に応じ
た遅延は、例えば検出位置のルートギャップ幅を記憶
し、その記憶された値の中から溶接電極位置に対応した
値を選び出すことにより補償し得る。
このようにして、溶接中のルートギャップ幅の変化に
応じて、第1の設定溶込み深さを保持するための溶接電
流制御が行われ、溶け落ちの生じない安定した自動アー
ク溶接が行われる。
また本発明に従えば、前記溶接電極として消耗溶接電
極ワイヤを使用して前記の溶接パラメータ制御が行われ
るが、この場合、前記制御された溶接電流Iの大きさの
変化に対応して、Lesnewichの関係式、 Vf=A・I+B・l・I2 …(2) に従い、ワイヤ送給速度Vfが可変制御され、これにより
前記ワイヤの通電チップからの突出し長さlが予め定め
られた一定値に保持される。尚、(2)式でA,Bはワイ
ヤおよびシールドガス等によって一義的に定まる定数で
ある。
更に加えて、前記制御された溶接電流Iおよび制御さ
れたワイヤ送給速度Vfの変化に対応して、 Et=EL+Ea+ER …(3) の関係式に従い、溶接供給電圧Etが可変制御される。こ
こで前記(3)式の場合、ELはワイヤ突出し長さlの部
分における電圧降下、Eaはアーク電圧、ERは溶接電圧供
給端子と溶接トーチおよび溶接部材との間のケーブル等
の回路抵抗Rによる電圧降下であり、それぞれ次のとお
りである。
EL=a・l・I−b・Vf/I …(4) Ea=E0(I)+x・la …(5) ER=R・I …(6) 尚、E0(I)は溶接電流Iの関数としての陽極電圧降
下と陰極電圧降下の和、つまりアーク電圧からアーク柱
電圧降下を差し引いた量、Xはアークの電位傾度、a,b
はワイヤおよびシールドガス等によって一義的に定まる
定数である。
前述の供給電圧Etの可変制御は、前述のように一定値
に制御された突き出し長lのもとに、例えば(3)〜
(6)式に基づいて、前記制御された溶接電流Iおよび
制御されたワイヤ送給速度Vfの変化に対して更に前記ア
ーク長laを或る測定値に保つための電圧補償制御として
行われる。
本発明に従えば、更に加えて、ルートギャップ幅Gと
前記可変制御されたワイヤ送給速度Vfの変化に対応し
て、 V=Vf・K/{Vf0・K/V0+△S(G)} …(7) の制御式に従って溶接速度Vが可変制御される。ここで
Vf0はルートギャップ幅が零のときのワイヤ送給速度初
期値、V0は同様にルートギャップ幅が零のときの溶接速
度初期値であり、Kはワイヤ断面積にワイヤの溶着効率
を乗じた値、△S(G)はルートギャップ幅Gの関数と
しての、ルートギャップ幅が開いたことによりビード高
さを一定とするために必要となった溶着量の増加分で、
例えば△S(G)=d・G(dは開先深さ)である。
前記溶接速度の可変制御は、前述のように一定値に制
御された突き出し長さlのもとに、例えば(7)式に基
づいて、ルートギャップ幅Gと前記可変制御されたワイ
ヤ送給速度Vfの変化に対して常にビード高さが一定に保
たれるように溶着量の補償制御として行われる。
ついで本発明においては他方の面側の溶接に際しては
既に裏面が溶接されてるので、溶融金属の溶け落ちの心
配がほとんどないためルートギャップ幅が零のときに溶
込み深さがルートフエースの厚さ寸法から前記第1の設
定値を差し引いた値以上の第2の設定値を保つような溶
接電流の大きさを前記変化特性から選んでその値となる
ように定電流制御が行われ、ルートギャップ幅の変化に
ついては溶接速度のみを可変制御してビード高さを一定
に保つ制御が行われる。
この場合の制御式は、ワイヤ送給速度Vfが常に一定で
あるので(7)式より、 V=Vf0・K/{Vf0・K/V0+△S(G)} …(8) で与えられ、溶接速度Vのみが可変制御されてビード高
さが一定に保たれる。
また、本発明におけるルートギャップ幅の検出は下記
の通りに行われる。
前記撮像手段により開先を上方から撮像すると、開先
エッジを示す二本のショルダーライン及び二本のルート
ラインが得られる。ここで、二本のルートライン間の距
離はルートギャップ幅を表わすことは述べるまでもな
い。一方、二本のショルダーライン間の設計距離と実際
の距離との差はルートギャップ幅変化に対応している。
従って、撮像手段の撮像データに基づきこれらの距離や
差を求めれば、ルートギャップ幅を間接的に検出するこ
ともできる。
本発明の特徴と利点を一層明確にするために、好まし
い実施例について図面とともに説明すれば以下のとおり
である。
[実施例] I.溶接装置の構成 第1図に本発明の好適な実施例に使用する円筒容器溶
接装置の構成例を示す。
この装置は大きく分けて、円筒容器8を横倒し状態に
支持してその軸芯回りに回動させるターニングローラー
5と、台車9上に装備された溶接ロボット10とから構成
されている。容器8は一端面側に口81を有し、この口の
ある端面側に前記溶接ロボット10が対置されている。ま
た、容器8のシーム及びバットの継手部(図示せず)に
はX開先が形成されている。
溶接ロボット10は、主制御装置2と、溶接電源装置3
と、マニプレータ4とを備えている。マニプレータ4は
ポスト41に昇降位置調節可能に支持されたガイドブロッ
ク42を有し、このブロック42には図示しない駆動装置に
よって水平移動可能に水平コラム43が案内支持されてお
り、この水平コラム43の先端近傍には溶接ワイヤ送給リ
ール6が取付けられ、更に水平コラム43の先端にはブー
ム44が取付けられている。ブーム44は、この場合、容器
8の軸心と同心、またはブーム先端が回動する容器8の
口81の縁と機械的に干渉しない範囲内で平行に配置され
ている。
尚、8aは直径の異なる容器の仮想線であり、このよう
な容器の直径の変化による口の高さ位置の変更に対して
な、ブーム44の高さ位置、即ち水平コラム43の高さ位置
を変えればよく、或はまたターニングローラ5の高さ位
置を変えてもよい。
ブーム44の先端には、起倒シリンダー45によりブーム
長さ方向と直行する水平軸(以下、θ軸と称する)回り
で回動可能なアーム46が取付けられており、アーム46先
端には溶接ヘッド1がγ軸旋回ブロック18によってアー
ム軸(以下、γ軸と称する)回りに少なくとも90゜の角
度範囲で回動され得るように装備されている。
前記アーム46は、第2図及び第3図に示されるように
ブームの先端に枢支されたYS軸スライドブロック46Y
Sと、このYS軸スライドブロック46YSに摺動可能に取付
けられたYA軸スライドブロック46YAとからなるY軸スラ
イドブロック46Yを備えており、アーム長さ方向に伸縮
自在となっている。尚、YA軸スライドブロック46YAの先
端には、ワイヤ送給装置6Aから送給された溶接ワイヤを
溶接ヘッド1へ送給するためのワイヤ送給モータ6Bが備
えられている。
第2図に破線で示すように、ブーム44とアーム46との
軸を揃えて真直に水平姿勢をとると、台車9の移動でヘ
ッド1を容器8の口81を通して出し入れでき、容器8内
などの溶接部位の上でアーム46をブーム44に対して直角
に回動させて第2図の実線のように垂直姿勢をとると、
Y軸スライド46Yによる伸縮長さの調節で溶接ヘッド1
を溶接部に近付けたり離したりできる。
第4図に前記溶接ヘッド1の構成例を示す。
第4図において、(A)図は溶接ヘッド1部分の正面
(溶接方向前方)拡大図であり、(B)図は(A)図の
側面図である。
これら第4図(A),(B)に示すように、溶接ヘッ
ド1は、アーム46と直行して固定された溶接開先幅方向
に向いたx軸11xに案内支持されたx軸スライドブロッ
ク11と、溶接ヘッド1の高さ方向に固定されたy軸12y
に案内支持されたy軸スライドブロック12と、前記x軸
11xとy軸12yと直行する溶接方向に向けられたOS軸13OS
に案内支持されたOS軸スライドブロック13と、前記y軸
12yと平行な向きにy軸スライドブロック12に取付けら
れたトーチ14と、トーチ位置(溶接点)の前方で一定距
離だけ先行した開先位置を照明するために、図示しない
手段により溶接ヘッド1に固定された照明用ライト15
(第4図(B)において図示を省略する)と、ライト15
の照明する部分をCCD撮像素子で撮影するCCDカメラ16
と、トーチ前方にて溶接中に発生するヒュームをCCDカ
メラ16の視野内から除去するエアーノズル17とを備えて
いる。
ここで前記トーチ14には、アーク回転軸芯回りに回転
させて、その物理的効果を周辺に分散させ、溶け込みの
周辺分散と扁平ビード(湾曲ビード)などの利点が得ら
れる高速回転アークトーチが用いられている。この高速
回転アークトーチの使用は特に薄板の場合に効果的であ
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
また前記OS軸スライドブロック13は、バッド溶接の際
に、容器円周の傾斜によって重力の作用で溶融池形状が
変化をきたすため、所定の溶融池形状を得る目的でアー
ク発生点を或る大きさだけ溶接方向の先方または後方へ
移動させるためにトーチ位置にオフセット量を与えるも
のである。この場合、移動量(オフセット量)の大きさ
は、予め所定の溶接条件、容器径、溶接ワイヤ、溶接母
材材料、開先形状等で実験的に求めておく。本例ではシ
ーム溶接とほぼ同様な溶融池形状を得るために、このオ
フセット量により内面溶接の際には若干上進溶接ぎみと
し、外面溶接時は若干下進溶接ぎみとしている。
溶接ヘッド1へのトーチ14へは、第1図に示した送給
リール6Aからワイヤ送給モータ6Bを介して溶接ワイヤが
供給され、このワイヤには溶接電源装置3から溶接電流
が供給される。また、台車9近傍に配置されたボンベ7
からはトーチ14へシールドガスが供給され、更に台車9
上の図示しないエアー源からノズル17に加圧エアーが供
給されるようになってい 尚、溶接ヘッド1の上方の軸
18γは、上述のγ軸を示す。
この溶接ヘッド1の各軸ブロック11,12,13,18の変位
や、アーム46の水平・垂直姿勢変え回動、Y軸ブロック
46Yの伸縮、及びコラム43の水平移動とブロック42の高
さ位置調整、そしてターニングローラ5の回動などの制
御は、制御装置2がCCDカメラ16からの画像データやト
ーチ14のアーク自体の電気的特性データ及び手動入力に
よる指令等に基いて行なうようになっている。この制御
装置2の内部構成は第5図中に示されている。
II.制御系の構成 第5図に、上述の溶接装置を使用した本発明の好適な
実施例に係る円筒容器の自動溶接法の制御系のブロック
図を示す。
第5図において、主制御装置2は、画像処理制御装置
21と、この画像処理制御装置21に付属するモニタテレビ
21TVと、開先倣い制御装置22と、トーチ高さ制御装置23
と、溶接制御装置24と、モータ制御装置25と、ターニン
グローラ制御装置26と、マニプレータ制御装置27と、こ
れら各制御装置21〜27への制御指令を与えるマイクロコ
ンピュータ(以下、MCONと称す)30及びそれに付属する
キーボード等の入力装置31とを含んでいる。
画像処理制御装置21は、CCDカメラ16からの撮像信号
を画像処理して、開先位置、開先形状、仮付け部位置、
溶融池形状等の情報をモニタテレビ21TV等に出力する。
開先倣い制御装置22は、画像処理開先倣い制御系22a
とアークセンサ開先倣い制御系22bとを含む。そのう
ち、画像処理開先倣い制御系22aは、入力装置31からMCO
N30に設定されたアークセンサ倣い開始速度よりも溶接
速度が遅い場合に、画像処理制御装置21からの情報を受
けて開先中心を求め、トーチが開先中心に位置するよう
にX軸スライドブロック11によるX軸11x方向(開先幅
方向)の開先倣いを行なう。但し、アークセンサ倣い開
始速度より溶接速度が早い場合は、アークセンサ開先倣
い制御系22bがトーチ14のアーク特性測定データに基い
てX軸スライドブロック11による開先倣いを行なう。こ
こで、トーチ14として高速回転アークトーチを採用した
場合、アークセンサ開先倣い制御系22bのアーク特性測
定データに基づくトーチ位置の制御法は、例えば特願昭
61−94905号に詳しい。
これら開先倣い制御装置22の系22a,22bの切り替えは
溶接速度に基くMCON30の指令により行なわれる。
トーチ高さ制御装置23は、トーチ高さ粗倣い制御系23
aと電流制御トーチ高さ制御系23bとを含む。トーチ高さ
粗倣い制御系23aは、y軸スライドブロック12の位置を
検出し、y軸スライドブロック12が常に原点位置近傍に
保持されるようにY軸スライドブロック46Yの位置を制
御する。更に電流制御トーチ高さ制御系23bが、溶接電
流の変化を検出して基準値と比較し、常に溶接電流が基
準値と等しくなるようにy軸スライドブロック12の上下
位置の制御を行なう。
溶接電源3からトーチ14及び接合部材8への溶接電流
・電圧の供給は溶接制御装置24を介して行なわれ、ワイ
ヤ送給モータ6Bの制御はモータ制御装置25により行なわ
れ、更にターニングローラ5の回転及び回転速度(バッ
ト溶接の溶接速度)の制御はターニングローラ制御装置
26によって行なわれる。また、マニプレータ4の各部及
び溶接ヘッド1の回動機構18の制御はマニプレータ制御
装置27により行なわれる。
尚、マニプレータ4の各部及び溶接ヘッド1の各部
は、リミットスイッチ、ポテンショメータ等の図示しな
い位置検出手段を備えており、その位置検出信号は各々
の制御装置を介してMCON30に与えられる。
また、溶接トーチ14の溶接進行方向Fに対する位置も
図示しない位置検出手段により検出されMCON30に与えら
れる。
III.円筒容器の溶接手順 第6図に前記MCON30の制御により本発明に係る円筒容
器の自動溶接法を実施する際の制御シーケンスのフロー
チャートを示す。
以下、このフローチャートに沿って本発明に係る円筒
容器の自動溶接法の手順を説明する。
システムの電源投入(S1)後、機能選択(S2)を行な
う。ここで、選択される機能(S3)には、溶接実験(S3
−1)、データベース編集(S3−2)、実行シーケンス
(S3−3)の三種類が用意されているものとする。所定
の溶け込み深さpを保つための溶接電流Iのデータが未
だ得られていない場合には、溶接実験(S3−1)を選択
し、溶接実験を行う。
溶接実験(S3−1) ここでは、ルートギャップ幅の変化に対して、所定の
溶け込み深さpを保つための溶接電流Iの特性を調べる
溶接実験を行なう。実験手順については説明を省略し、
溶接実験の結果の一例を第7図に示す。
第7図は、自動アーク溶接について、ワイヤ送給速度
と溶接速度の比Vf/Vを各ルートギャップ幅で一定にし
て、一定な溶け込み深さの得られる条件での溶接電流I
とルートギャップ幅Gとの関係、即ちルートギャップ幅
Gを変えた場合の或る溶込み深さpを保つための溶接電
流Iの大きさを求めた結果である。
第7図において、○印は溶込み1mmを確保する特性、
●印は溶込み2mmを確保する特性、△印は溶け込み3mmを
確保する特性、×印はビード溶け落ちを生じる電流上限
特性である。この場合、開先形状は第8図に示す通りで
あり、溶接使用材料は下記の条件Aのとおりである。
条件A. 円筒容器材質:板厚10mmのステンレス鋼板SUS304 溶接ワイヤ:308系フラックスコアードワイヤ(1.6mm
径) シールドガス:CO2ガス(100%) 例えば、第7図において、目標溶け込みp1=2mmを確
保する特性は、 I0=360(A),c=37(A/mm)を上記(1)に当嵌め
て、 I=360−37G …(1A) なる単純な線形式で表わされる。
尚、第7図において、条件Aに対して目標溶け込み2m
mを確保する特性の適用範囲は、ルートギャップ幅変化
が0〜3mmの範囲である。従って、第7図に示した特性
に従って制御を行う際は、ルートギャップ幅の寸法制度
を0〜3mmの範囲に収める必要がある。
溶接実験を終了すると、データベース編集(S3−2)
へ進む。
データベース編集(S3−2) 溶接実験(S3−1)で得られた溶接電流の特性は、MC
ON30により適宜に編集され、記憶される。例えば、溶接
実験(S3−1)で条件Aに対して(1A)式が得られたと
すると、MCON30は予測される様々なルートギャップ幅G
に対して(1A)式の値を求め、制御すべき溶接電流Iの
データを作製し、これを記憶する(以下、この記憶デー
タを溶接データベースと称す)。
以上で実効シーケンス(S3−3)を行うための準備が
終了する。
実行シーケンス(S3−3) データベース編集(S3−2)で記憶されたデータベー
スに基づき、以下のシーケンスで溶接が実行される。
実行条件指定(S3−3−1) 先ず、溶接開始に先立って、入力装置31を介してMCON
30に実行条件を指定する。ここで指定されるのは、継手
種類、溶接データベース等である。以下の説明では継手
種類として最終鏡板部の内面側のバット継手が指定され
たものとする。一方、溶接データベースは、データベー
ス編集(S3−2)でMCON30に記憶させておいたもののな
かから、使用するワイヤやシールドガスなどに適合する
ものを選択する。
また、前述のc,a,b,A,B,x,R,I0,V0,Vf0の各定数と、
l,la等の設定値、及びOS軸ブロック13によるオフセット
量等も何らかの手段によりMCON30に与えられる。例え
ば、溶接データベースを指定すると、これらの値が一義
的に定まるようにMCON30にプログラムしておく。
各軸設定(S3−3−2) 入力装置31に対する入力作業を終えた後、台車9を移
動して容器8の口81にブーム44を対置させ、ブーム44を
容器8の軸心と平行に対置させた後、各部を原点復帰さ
せて水平コラム43の高さ位置を容器8の口81に合せ、且
つアーム46を第2図の実線で示した姿勢にしておく。こ
の状態ではブーム44の先端は口81に真直に向い合ってい
る。
先ず、内面溶接に際して、バット継手に合った溶接ヘ
ッド位置にするために、γ軸旋回ブロック18によって溶
接ヘッド1を回動し、そのX軸が容器8の軸方向に向く
ようにする。次いでアーム46をブーム44の先端で起倒シ
リンダ45により起し、第2図に破線で示したようにアー
ム46とブーム44を真直に軸を揃えた状態とする。この状
態で溶接ヘッド1が口81の縁からはみださないように前
記原点位置が定められている。その後コラム43を水平移
動させて容器8内部にブーム44の先端部を挿入してアー
ム46を回動して第2図に実線で示したように垂直に立て
る。
以上の操作のうち、原点復帰は、MCON30に各部の原点
位置を予め記憶させておけば自動的に原点復帰させるこ
とが可能である。その他の操作は、入力装置31に対する
手動入力に基き、MCON30を介してマニプレータ制御装置
27等に支持を与えることにより行なう。
トーチ高さ設定(S3−3−3) 次に、MCON30はマニピュレータ制御装置27を介してYS
軸ブロック46YSを上下動させる。この際、MCON30は、CC
Dカメラ16の撮像信号を検出し、この検出信号がピー
ク、即ちCCDカメラ16のピントが合焦位置となるよう
に、溶接ヘッド1の高さ位置を自動設定する。
開先サーチ(S3−3−4) 画像処理制御装置21よりモニタテレビ21TVに出力され
た画像をオペレータの目視により参照しながら、バット
継手の開先の溶接始端位置をサーチする。そのサーチ結
果に基き、トーチが溶接始端位置に対して適正な位置と
なるように、入力装置31からMCON30を介してマニプレー
タ制御装置27及びターニングローラ制御装置26に制御指
令を与える。マニプレータ制御装置27及びターニングロ
ーラ制御装置26は、MCON30の指令に従い、マニプレータ
4の水平コラム43及びターニングローラ5を移動させ
て、トーチ14が正しく開先に指向するようにさせる。
尚、OS軸ブロック13は、MCON30に与えられたオフセッ
ト量が得られるように、図示しない制御手段により調整
される。
開先線教示(S3−3−5) CCDカメラ16で開先形状を真上から撮像すると、モニ
タテレビ21TV21には、第8図に示すように開先エッジの
画像が四本の縦ラインとして得られる。オペレータは、
モニタテレビ21TVを参照しながら、この開先形状を示す
ルートラインRL1,RL2、ショルダーラインSL1,SL2の四本
のライン位置を例えば入力装置31を介してMCON30に教示
する。これら教示ラインは、ルートギャップ幅Gの検出
を行なう基準となるものである。ここで内面側溶接及び
外面側溶接の際のルートギャップ幅Gの検出について説
明しておく。
第9図において、内面側のルートギャップ幅Gの検出
は、画像の二本のルートラインRL1,RL2間の距離を直接
計測することにより行なう。
一方、外面側のルートギャップ幅Gの検出は、内面溶
接ビードのたれ込みや仮付ビードなどにより直接計測出
来ないので、画像の二本のショルダーラインSL1,SL2間
の距離を計測し、開先角度を一定と仮定してショルダー
ラインSL1,SL2間の設計距離と計測距離との差を計算す
ることによりルートギャップ幅Gを間接的に求める。こ
の場合、ルートギャップ幅Gが負の値を持つことも考え
られるが、負の値は一義的に零と見なすものとする。
尚、内面側のルートギャップ幅G検出に際し、外面側
からの光ノイズ等が原因で二本のルートラインRL1,RL2
が検出できない場合は、外面側と同様な方法により検出
してもよい。但し、開先角度の変動を考慮すると上記直
接計測のほうが正確な検出を行なえる。内面側は種々の
溶接条件制御を行なう関係上、できる限り正確なルート
ギャップ幅Gを検出することが望ましい。
溶接(S3−3−6) 以上でトーチのセットが完了するので溶接を開始す
る。
アークを発生して溶接が開始されると、CCDカメラ16
の撮像信号に基く画像処理装置の画像データ処理によ
り、トーチ位置(溶接点)の前方の既知の距離位置(例
えば溶接点から100mm前方の位置とする)のルートギャ
ップ幅Gが例えば前記撮像信号のフレーム時間毎に検出
され、その検出値は画像処理制御装置21のメモリ(図示
せず)に次々に格納される。
第5図において、位置F1にあるトーチ14が100mm前方
の位置F2に達するまでに、MCON30は上述の格納されたル
ートギャップ幅Gのデータを検索し、位置F2におけるル
ートギャップ幅Gを求める。更に、この求められたルー
トギャップ幅Gに基いて溶接データベースを検索し、設
定溶込み深さp1を保つための最適な溶接電流Iの大きさ
を決定する。次に、位置F2におけるトーチ14への溶接電
流Iが決定された大きさになるように、溶接制御装置24
に指令を与える。
このような制御によって溶接中のルートギャップ幅の
変動に対して設定溶込み深さp1を保持するような適正な
溶接電流Iの制御が行われる。
従って所望の設定溶込み深さでの安定した溶接が果た
される。
この制御によって溶接電流Iが変化するが、それに対
してワイヤ突き出し長さl及びアーク長laを一定に保持
するため、(2)式及び(3)〜(6)式に従いワイヤ
送給速度Vf、電源供給電圧Etを制御する。制御されたワ
イヤ送給速度Vf、電源供給電圧Etは第7図の例において
は第9図に示す通りとなる。
第9図において、(2)式における定数は、A=0.22
6,B=4.63×10-5である。また、ワイヤ突き出し長lの
設定値はl=15mmである。
これらの定数が入力装置31から入力されるとMCON30内
ではこれを(2)式に当嵌めて前述の制御された溶接電
流Iに応じたワイヤ送給速度Vfの制御信号をモータ制御
装置25へ与え、ワイヤ送給モータ6Bの速度を可変制御す
る。
また第9図において、ワイヤ突き出し長さl=15mmに
加えてアーク長la=2.5mmが設定値であり、定数は、
(3)〜(6)式においては x=2.4(V/mm), E0(I)=0.025×I+16.4(V), R=0.01Ω,a=1.12×10-3, b=2.19 である。
これらの値が入力装置31から入力されると、MCON30内
ではこれを(3)〜(6)式に当嵌めて、前述制御され
た溶接電流Iおよび制御されたワイヤ送給速度Vfに応じ
た電圧Etが溶接制御装置24から出力されるように電圧を
可変制御する。
ルートギャップ幅Gの変化に対してビード高さを一定
に保つには、前述の検出されたルートギャップ幅Gの値
から、ルートギャップ幅Gが開いたことによりビード高
さを一定とするために必要となった溶着量の増加分を求
め、これと現在のワイヤ送給速度Vfとから溶接速度の可
変制御でビード高さを補償するのが前述(7)式の制御
式であ0る。MCON30にはこのための演算式も与えられて
おり、ルートギャップ幅が零のときの溶接速度初期値V0
とワイヤ送給速度初期値Vf0と定数Kの入力装置31によ
る設定に従ってMCON30の内部でルートギャップ幅Gとワ
イヤ送給速度Vfとに応じた溶接速度Vが演算され、ター
ニングローラ制御装置26を介してターニングローラ5が
可変速度制御されることにより、ビード高さも初期設定
値に一定に保持される。
尚、この場合、第9図では、 V0=7.67mm/秒, Vf0=171.4mm/秒, K=1.275mm2, △S(G)=3.5×G として溶接速度Vを求め、ルートギャップ幅Gによって
決まる溶接電流Iとの関係で示している。
以上のような溶接パラメータ制御により、内面側のバ
ット溶接が、所定の溶込み深さp1で一定ビード高さで行
なわれる。
各軸退避(S3−3−7) バットに沿った一周の溶接が行われ、溶接ヘッド1が
溶接始端部に達すると、溶接始端部の開先は既に埋めら
れているから、開先のショルダーラインSL1、SL2が検出
できなくなった時点をビードの始端部とみなして溶接を
終了させる。溶接が終了すると、MCON30は先ずYA軸スラ
イドブロック46YAを上昇させて溶接ヘッド1を引き上
げ、アームをシリンダーにより起してブーム44と軸を揃
え、水平コラム43を逆方向に水平移動させてヘッド1を
容器内から引出し原点復帰させる。
以上、容器内面のバット溶接について説明したが、容
器内面のシーム溶接については、同様にヘッド1を容器
8内に挿入し、ヘッド1の向きを原点復帰状態からその
X軸が容器長さ方向と直交するように、γ軸旋回ブロッ
ク18をヘッド1を旋回させて行う。この場合、溶接の送
りは水平コラム43の水平移動で与えられ、その送り速度
即ち溶接速度は、マニプレータ制御装置27に制御され
る。このシーム溶接は、接合部材がなくなった時点をビ
ードの始端部とみなして溶接終了させる。
一方、容器外面の溶接については、ガイドブロック42
により水平コラム43の高さ位置を上昇させ、容器頂部に
て同様に下向き姿勢の溶接を行えばよい。この場合、開
先のルートギャップは既に内面側溶接で埋められてお
り、外面溶接では溶け落ちの心配がほとんどないため、
ルートフェース厚さtfか内面溶接時の設定溶込深さP1
差し引いた値より大きな設定溶け込み深さP2が常に得ら
れるような溶接電流Iの大きさを第7図のデータから選
んでMCON30に設定し、ルートギャップ幅Gの変化に応じ
て溶接速度Vのみを可変制御してビード高さを一定に保
つ制御を行う。この場合の制御式は、(8)式で与えら
れ、これがMCON30にプログラムされる。
尚、実施例のシステムでは内面側溶接時のルートギャ
ップ幅データがMCON30で処理されるので、溶接位置との
関係でこのデータを記憶しておけば外面側溶接時のルー
トギャップ幅変化およびそれに比例した開先断面積変化
△Sのデータを作ることができる。
ところで上記実施例では、溶接使用材料の一例として
条件Aを示した。この条件Aに対して本発明の溶接法を
適用する場合、ルートギャップ幅変動が0〜3mmの範囲
における各溶接パラメータの好適な値や制御範囲は第7
図及び第9図に示した通りであり、この範囲では溶け込
み、ビード高さが一定でしかも欠陥のないビードが得ら
れることが確認されている。勿論、条件A以外の溶接使
用材料の組合せについても、ルートギャップ幅の変化に
対して設定された溶け込み深さを保つための溶接電流の
変化特性を使用材料に特有の関数として予め求めること
により、上記実施例と同様の効果を奏することができ
る。
[発明の効果] 以上説明したように本発明によれば、X開先継手のル
ートギャップの幅変動に対して溶け込みを所望の目標値
に一定に保って自動溶接することが可能であるから、ガ
ウジングやカラーチェック等の面倒な作業が不要とな
る。更にビード高さを一定に保つことができるので、グ
ラインダー処理はバット溶接の終始端部のみ施せばよ
く、グラインダー処理に要する時間は従来例に比して大
幅に減少する。参考までに、第1表に円筒容器の溶接作
業に要する時間について、本発明の方法と従来法との比
較を示す。第1表に示すように、本発明の方法によれ
ば、溶接作業全体の作業時間は従来例に比して約1/3に
短縮し、作業能率が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に使用する溶接装置の構成例
を示す概略側面図、第2図はブーム先端のアーム部分を
示す部分側面図、第3図はY軸スライドの伸縮状態を示
す部分平面図、第4図(A)は溶接ヘッド部分を示す拡
大平面図、第4図(B)は前図に対応する拡大側面図、
第5図は本発明の一実施例に使用する制御系の概略の構
成例を示すブロック図、第6図は本発明の制御シーケン
スを示すフローチャート図、第7図はルートギャップ幅
変化に対して或る溶け込み深さを確保するための溶接電
流の変化特性を示す線図、第8図は前図の実験に用いた
開先形状及び開先の撮像状態を示す説明図、第9図は前
記実験例における溶接電流と各溶接パラメータとの関係
を示す線図である。 1:溶接ヘッド、2:主制御装置、3:溶接電源装置、4:マニ
プレータ、5:ターニングローラ、8:円筒容器、14:回転
アークトーチ、16:CCDカメラ、21:画像処理制御装置、2
1TV:モニタテレビ、22:開先倣い制御装置、23:トーチ高
さ制御装置、24:溶接制御装置、25:モータ制御装置、2
6:ターニングローラ制御装置、27:マニプレータ制御装
置、30:マイクロコンピュータ、31:入力装置。 尚、各図中同一図面は同一又は相当部を示す。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒容器の胴部の円周方向及び長手方向に
    沿う継手部に形成されたX開先に沿って溶接電極を移動
    させながら連続的なアーク溶接を施すに際し、 ルートギャップ幅の変化に対して設定された溶け込み深
    さを保つための溶接電流の変化特性を接合部材材質、開
    先形状、溶接ワイヤ及びシールドガスなどの使用材料に
    特有の関数として予め求めておき、 先ず容器内面側の溶接に際しては、溶接中に前記電極の
    前方の開先形状を撮像手段により撮像し、その撮像デー
    タに基づきルートギャップ幅を検出しながら、ルートギ
    ャップ幅の変化に対して溶け込みが予め定められた第1
    の設定値に保持されるように前記ルートギャップ幅検出
    値に応じて溶接電流の大きさを前記変化特性に従って実
    時間制御すると共に、前記ワイヤの通電チップからの突
    き出し長さが予め定められた一定値に保持されるように
    前記制御された溶接電流の大きさに応じてワイヤ送給速
    度を可変制御し、又溶接アークの長さが予め定められた
    一定値に保持されるように前記制御された溶接電流、ワ
    イヤ送給速度の大きさに応じて溶接供給電圧を可変制御
    し、更に前記ルートギャップ幅及びワイヤ送給速度の変
    化に対してビード高さが一定に保たれるように溶接速度
    の可変制御による溶着量補償制御を行ない、 容器外面側の溶接に際しては、ルートギャップ幅が零の
    時に溶け込み深さがルートフェースの厚さ寸法から前記
    第1の設定値を差し引いた値以上の第2の設定値を保つ
    ような溶接電流の大きさを前記変化特性から選んでその
    値に定電流制御し、ルートギャップ幅の変化については
    溶接速度のみを可変制御してビード高さを一定に保つこ
    とを特徴とする円筒容器の自動溶接法。
  2. 【請求項2】前記ルートギャップ幅検出値が、開先上方
    から見た開先エッジを示す二本のショルダーライン及び
    二本のルートラインを前記撮像手段により撮像し、その
    二本のショルダーライン間の設計距離と実測距離との差
    及び/または二本のルートライン間の実測距離に基き検
    出されることを特徴とする請求項1に記載の円筒容器の
    自動溶接法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の円筒容器の自動溶接法に
    おいて、溶接使用材料として次の各使用材料、 円筒容器材質:板厚8〜20mmのステンレス鋼板SUS304ま
    たはSUS304L 溶接ワイヤ:308系フラックスコアードワイヤ(1.6mm
    径) シールドガス:CO2ガス(100%) を用い、溶け込み深さの第1の設定値を1.5mm〜2mmと
    し、ルートギャップ幅の変化が0〜3mmのとき、各溶接
    パラメータの値または制御範囲を下記条件、 溶接電流:200A〜500A ワイヤ送給速度:60〜350mm/秒 アーク電圧:25〜45V 溶接速度:20〜100cm/分 ワイヤ突き出し長さ:10〜20mm アーク長さ:0〜5mm とすることを特徴とする請求項1に記載の円筒容器の自
    動溶接法。
JP63170781A 1988-07-11 1988-07-11 円筒容器の自動溶接法 Expired - Lifetime JP2553915B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63170781A JP2553915B2 (ja) 1988-07-11 1988-07-11 円筒容器の自動溶接法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63170781A JP2553915B2 (ja) 1988-07-11 1988-07-11 円筒容器の自動溶接法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0220661A JPH0220661A (ja) 1990-01-24
JP2553915B2 true JP2553915B2 (ja) 1996-11-13

Family

ID=15911254

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63170781A Expired - Lifetime JP2553915B2 (ja) 1988-07-11 1988-07-11 円筒容器の自動溶接法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2553915B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9333580B2 (en) 2004-04-29 2016-05-10 Lincoln Global, Inc. Gas-less process and system for girth welding in high strength applications

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2591523B2 (ja) * 1990-08-27 1997-03-19 株式会社東芝 給水加熱器の水室鏡内面自動溶接装置
CN107214443B (zh) * 2017-06-13 2018-11-20 江苏政田重工股份有限公司 一种吊臂分段焊接装置
JP7075311B2 (ja) * 2018-08-21 2022-05-25 株式会社神戸製鋼所 溶接制御装置、表示制御装置、溶接システム、溶接制御方法及びプログラム
CN110026658A (zh) * 2019-01-21 2019-07-19 宁波信聚美机械制造有限公司 一种压力容器焊接装置和用该装置制造压力容器的方法
CN113681184B (zh) * 2021-08-11 2022-11-01 河南省绿博能源设备有限公司 一种灭火器瓶体焊接生产线

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9333580B2 (en) 2004-04-29 2016-05-10 Lincoln Global, Inc. Gas-less process and system for girth welding in high strength applications

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0220661A (ja) 1990-01-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4733051A (en) Method and apparatus for controlling root pass weld penetration in open butt joints
US6744012B2 (en) Control method of arc welding and arc welder
KR101678306B1 (ko) 압력용기 및 강관용 자동용접장치
KR101678307B1 (ko) 압력용기 및 강관제작용 자동용접장치의 용접방법
WO2003074221A1 (fr) Soudeuse de copie de rainure automatique et procede de soudage
JPH0665437B2 (ja) 適応溶接案内装置
WO2020251038A1 (ja) リペア溶接制御装置およびリペア溶接制御方法
JP2553915B2 (ja) 円筒容器の自動溶接法
EP2594356A2 (en) Tig welding machine
JP3793750B2 (ja) 薄板の重ね接合用パルスプラズマ自動溶接方法及びその装置
JP3337349B2 (ja) 狭開先自動溶接装置
JP4761689B2 (ja) 多層盛溶接方法および多層盛自動溶接装置
JPH08267240A (ja) 自動溶接装置
JP2761718B2 (ja) 溶接鋼管製造における内面溶接トーチの自動倣い装置及び溶接鋼管の製造方法
JP2000351071A (ja) 自動溶接システム
JP3326716B2 (ja) ビード継ぎ重ね溶接方法及びその自動溶接装置
JP4117526B2 (ja) X開先継手の多層盛溶接方法
JPS63256280A (ja) 円筒容器用溶接装置
JP2895289B2 (ja) 溶接自動倣い装置
JP2505965B2 (ja) 固定配管の溶接方法及び装置
JP3943380B2 (ja) アーク溶接の制御方法及びアーク溶接装置
JP3160745B2 (ja) 鋼管矢板継手の溶接装置
JP2000167667A (ja) 自動溶接方法及び装置
WO2024122231A1 (ja) 溶接装置及び溶接制御プログラム
JPH0270384A (ja) 多層盛り自動アーク溶接法