JP2553122B2 - α−置換ケトン誘導体またはその塩およびそれを含む除草剤 - Google Patents

α−置換ケトン誘導体またはその塩およびそれを含む除草剤

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、一般式(I) (式中、Xは水素原子又は塩素原子、Yは酸素原子又は
イミノ基、Zは単結合又はカルボニル基、R1,R2,R3
びR4はそれぞれ独立に水素原子又は低級アルキル基、
5は水素原子又はそれぞれ置換されてもよい低級アル
キル基、低級アルコキシ基、低級アルケニル基、アリー
ル基、アリールオキシアルキル基もしくはアラルキル基
をそれぞれ表わす)で示されるα−置換ケトン誘導体ま
たはその塩およびそれを有効成分として含む除草剤に関
する。
前記一般式(I)において、基R1,R2,R3及びR4で表
わされる低級アルキル基としては代表的にはメチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基およびイソブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基
があげられ、R5で表わされる低級アルキル基としては
代表的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
ピロピル基、n−ブチルn−ブチル基、イソブチル基、
tert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基又はク
ロロエチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、ブ
ロモプロピル基、トリフルオロメチル基およびトリフル
オロエチル基などのようなハロゲン置換低級アルキル基
等の例示される。低級アルコキシ基としては代表的には
メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基および
tert−ブトキシ基、などの炭素数1〜4のアルコキシ
基、低級アルケニル基としては代表的にはビニル基、ア
リル基などの炭素数2〜4のアルケニル基又はハロゲン
などで置換された置換アルケニル基、アリール基として
は代表的にはフェニル基、p−クロロフェニル基及びト
リル基などのような炭素数6〜10のアリール基及びその
ハロゲンなどの置換体、アリールオキシアルキル基とし
ては代表的にはフェノキシメチル基およびp−クロロフ
ェノキシエチル基などの炭素数7〜10のアリールオキシ
アルキル基及びそのハロゲンなどの置換体、アラルキル
基としては代表的にはフェネチル基およびフェニルプロ
ピルなどの炭素数7〜10のアラルキル基およびそのハロ
ゲンなどの置換体をあげることができる。
〔従来の技術〕 従来より2−{4−(3−クロロ−5−トリフルオロ
メチル−2−ピリジルオキシ)フェノキシ}プロピオン
酸等の一連のピリジルオキシフェノキシ系化合物は農園
芸上、重要な除草剤として開発されてきた。これらピリ
ジルオキシフェノキシ系除草剤は、それ以前のフェノキ
シ系除草剤に比して安全で有用栽培植物に与える影響が
少なく、かつ除草効果が強いという特徴を待っている。
しかしこれらピリジルオキシフェノキシ系除草剤は、単
子葉植物に対しての選択性が小さく、有用植物である
稲、小麦、又は大麦などに薬害を生起すると共に一部多
年生雑草に効果を示さないため、適用場面、使用法など
が極めて限定されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明者は、これらピリジルオキシフェノキシ系除草
剤の特性を維持しながら、かつ単子葉植物間での選択性
が上げ、稲、小麦、或は大麦などに薬害のない除草剤を
開発すべく、研究を進めてきた過程で、ピリジルオキシ
フェノキシプロピオン酸とα−置換ケトン誘導体の縮合
物に非常に活性が強く、かつ選択性のよい殺草活性化合
物を見い出した。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明に従えば、強力な除草効果を有する新規化合物
である。前記一般式(I)に示されるα−置換ケトン誘
導体およびその塩並びにそれを有効成分として含む除草
剤が提供される。
本発明に係る前記一般式(I)の化合物はピリジルオ
キシフェノキシプロピオン酸及びα−置換ケトン誘導体
をその骨格に含む点で従来より知られている除草剤とは
異なっており、人体に対する毒性も極めて低いものであ
る。
本発明の前記一般式(I)で示されるα−置換ケトン
誘導体は、例えば以下のようにして製造することが出来
る。
製造法A 一般式 (式中Xは水素原子または塩素原子を表わす)で示され
る化合物のアミン塩に一般式 (式中、X1は塩素原子又は臭素原子、Yは酸素原子又
はイミノ基、Zは単結合又はカルボニル基、R5は水素
原子、それぞれ置換されてもよい低級アルキル基、低級
アルコキシ基、低級アルケニル基、アリール基、アリー
ルオキシアルキル基又はアラルキル基を表わす)で表わ
される化合物を非プロトン性極性溶媒中で反応させる。
製造法B 一般式 (式中Xは水素原子または塩素原子を表わす)で示され
る化合物のアミン塩と一般式 (式中、X2及びX3は同一又は異って塩素原子又は臭素
原子を表わし、R1,R2,R3及びR4は前記定義の通りであ
る)で表わされる化合物を非プロトン性極性溶媒中で反
応させて一般式 (式中、X4は前記定義のX2又はX3のどちらかで、X,R
1,R2,R3及びR4は前記定義の通りである)で示される化
合物を導き、続いてこれに一般式 R5−COOH (VI) (式中、R5は前記定義の通りである。) で示されるカルボン酸のアミン塩を非プロトン性極性溶
媒中で反応させる。
前記製造法Aおよび製造法Bにおけるアミンとして
は、一般のジアルキルアミン、トリアルキルアミン等が
あげられ、ジシクロヘキシルアミンを好適に使用するこ
とができる。
製造法Aおよび製造法Bにおける非プロトン性極性溶
媒としては、特に限定はないが、好適なものとしては、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどがあ
げられる。製造法Aおよび製造法Bの縮合反応は、通常
0℃〜100℃、好ましくは室温〜60℃の温度で行う。ま
た反応は一般に0.1〜3時間で完了する。
上記のようにして得られる本発明化合物(I)は、反
応終了後、必要に応じて、一般的な精製法を用いて精製
することが出来る。そのような精製法としては、例えば
再結晶、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマト
グラフィー等があげられる。
なお、本発明に係る化合物には、前記置換基R1,R2,R
3,R4,Yおよびピリジルオキシフェノキシプロピオン酸に
基づく光学異性体が存在するが、これらも全て本発明に
含まれる。
このようにして得られる本発明化合物は、人体家畜に
対する毒性が弱く、単子葉植物に対して極めて特異的か
つ強力な発育阻害活性を有する。このことは本発明化合
物が農薬として広く用いられることを示唆している。
本発明の化合物を除草剤として施用するにあたって
は、一般には適当な担体、例えばクレー、珪藻土等の固
体担体或は水、アルコール類、芳香族炭化水素類、エー
テル類、ケトン類、エステル類などの液体担体と混用し
て適用することが出来る。また所望により乳化剤、分散
剤、懸濁剤、展着剤、安定剤などを添加し、乳剤、水和
剤、粒剤、粉剤などの剤型にて供することができ、必要
に応じて他種の除草剤、各種殺虫剤、殺菌剤、植物成長
調節剤などと混合施用してもよい。
本発明の実施に当たり、本発明化合物の濃度は広範囲
にわたり変えることが出来るが、一般には10アールあた
り0.5〜10gの範囲で使用するのが好ましい。前記各種製
剤を製造するに際しては、有効成分を0.5〜90重量%の
範囲で含有するように製造することが出来る。
〔実施例〕
次に製造例、試験例及び製剤例によって本発明を更に
具体的に説明するが、本発明の技術的範囲をこれらの例
に限定するものでないことはいうまでもない。
製造例1 2−{4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−
2−ピリジルオキシ)フェノキシ}プロピオン酸{3−
(4−クロロフェノキシ)−2−オキソ}プロピルエス
テル(化合物番号1) 2−{4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−
2−ピリジルオキシ)フェノキシ}プロピオン酸724mg
をジメチルホルムアミド20mlに溶かし、ジシクロヘキシ
ルアミン0.4mlを加え、50℃で攪拌した。ここに1−ク
ロロ−3−(4−クロロフェノキシ)アセトン420mgを
加え、さらに50℃で3時間攪拌した。反応混合物に水30
mlを加え、酢酸エチルで抽出し、水洗後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られる油状
物を、シリカゲル中圧カラムクロマトグラフィー[(n
−ヘキサン:酢酸エチル=6:1(v/v)]に付し無色油状
の標記化合物600mgを得た。
製造例2 2−{4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−
2−ピリジルオキシ)フェノキシ}プロピオン酸(3−
アセトキシ−2−オキソ)プロピルエステル(化合物番
号3) 2−{4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−
2−ピリジルオキシ)フェノキシ}プロピオン酸1.81g
をジメチルホルムアミド100mlに溶かし、ジシクロヘキ
シルアミン1mlを加え、50℃で攪拌した。ここに1,3−ジ
クロロアセトン1.9gを加え、さらに50℃で3時間攪拌し
た。反応混合物に水100mlを加え、酢酸エチルで抽出
し、水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を
減圧留去して得られる油状物を、シリカゲル中圧カラム
クロマトグラフィー[(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:
1(v/v)]に付し無色油状のクロロメチルケトン誘導体
1.43gを得た。
酢酸0.6mlをジメチルホルムアミド10mlに溶かし、ジ
シクロヘキシルアミン0.2mlを加え、50℃で攪拌した。
ここに上記クロロメチルケトン誘導体452mgを加え、さ
らに50℃で3時間攪拌した。反応混合物に水10mlを加
え、酢酸エチルで抽出し、水洗後、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られる油状物を、
シリカゲル中圧カラムクロマトグラフィー[(n−ヘキ
サン:酢酸エチル=9:1(v/v)]に付し、無色油状の標
記化合物310mgを得た。
また、上記製造例1と同様の方法により、製造法Aを用
いて以下の化合物2,4,8,9,10,11,12,13,14、及び15を合
成し、また上記製造例2と同様の方法により、製造法B
を用いて、以下の化合物5,6及び7をそれぞれ合成し
た。
以上、合成した全化合物の製造と物性値を表1に示す。
試験例1(畑地、発生前処理) 7.1×7.1cmの角型ポットに畑土壌をつめ、イヌビエ、
メヒシバを播種した後、5mmの覆土を行った。所定用量
の被験化合物を水で希釈し、アール当たり10lを土壌処
理した。処理後、20日間温室内で管理し、除草効果を下
記基準により観察評価して、表2の結果を得た。
5:完全枯死 4:大 害 3:中 害 2:小 害 1:微 害 0:無 害 試験例2(畑地、発生後処理) 7.1×7.1cmの角型ポットに畑土壌をつめ、イヌビエ、
メヒシバを播種し、5mmの覆土を行った。温室内で7日
間育成して二葉期植物体とし、所定用量の被験化合物を
水で希釈して、アール当たり10lを茎葉処理した。処理
後、20日間温室内で管理し、除草効果を試験例1と同様
の基準により観察評価して、表3の結果を得た。
試験例3(水田、発生前処理) 7.1×7.1cmの角型ポットに水田土壌をつめ、湛水して
水田状態にし、タイヌビエ、コナギを播種した。所定用
量の被験化合物を水で希釈し、ピペットでポット水面に
滴下処理した。処理後、20日間温室内で管理し、除草効
果を試験例1と同様の基準により観察評価して、表4の
結果を得た。
試験例4(水田、発生後処理) 7.1×7.1cmの角型ポットに水田土壌をつめ、湛水して
水田状態にし、タイヌビエ、コナギを播種した。温室内
で7日間育成して二葉期植物体とし、所定用量の被験化
合物を水で希釈して、ピペットでポット水面に滴下処理
した。処理後、20日間温室内で管理し、除草効果を試験
例1と同様の基準により観察評価して、表5の結果を得
た。
製剤例1(乳剤) 有効成分として本化合物(化合物番号3)を15重量
部、キシレン65重量部及びポリオキシエチレンアルキル
アリルエーテル20重量部を混合して均一な溶液とし、有
効成分化合物を15%含有する乳剤を得た。使用に際して
は水で所定の濃度にまで希釈して散布する。
製剤例2(水和剤) 有効成分として本化合物(化合物番号5)を40重量
部、ジークライト55重量部、アルキルベンゼンスルホン
酸ソーダ2重量部、及びポリオキシエチレンアルキルア
リールエーテル3重量部を混合粉砕して有効成分化合物
を40%含有する水和剤を得た。使用に際しては水で所定
の濃度にまで希釈して散布する。
製剤例3(粒剤) 有効成分として本化合物(化合物番号8)を5重量
部、ペントナイト20重量部、クレー73重量部及びドデシ
ルベンゼンスルホン酸ソーダ2重量部を混和し、水約20
重量部を加えて混練り機で練った。これを造粒機を通し
て造粒し、次いで乾燥整粒して有効成分5%を含有する
粒剤を調製した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樋口 直樹 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1 号 サントリー株式会社基礎研究所内 (72)発明者 井手 欽也 滋賀県草津市平井町170 (72)発明者 高橋 俊夫 兵庫県西宮市熊野町9―21―306 (56)参考文献 特開 昭54−119476(JP,A) 特開 昭61−178904(JP,A) 特開 昭54−122728(JP,A) 特開 昭54−22371(JP,A) 実開 昭59−222441(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (式中、Xは水素原子又は塩素原子、Yは酸素原子又は
    イミノ基、Zは単結合又はカルボニル基、R1,R2,R3
    びR4は、それぞれ独立に、水素原子又は低級アルキル
    基、R5は水素原子又はそれぞれ置換されてもよい低級
    アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルケニル基、ア
    リール基、アリールオキシアルキル基もしくはアラルキ
    ル基をそれぞれ表わす)で示されるα−置換ケトン誘導
    体またはその塩。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載の化合物を有
    効成分として含む除草剤。
JP1088A 1987-08-11 1988-01-04 α−置換ケトン誘導体またはその塩およびそれを含む除草剤 Expired - Lifetime JP2553122B2 (ja)

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