JP2552749Y2 - コンバインにおける排藁カッター切替装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、機体後部に装着された
排藁カッターを排藁切断および非切断状態に切替えるコ
ンバインにおける排藁カッター切替装置に係るものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に機体の後方に向けて排藁搬送チェ
ンを配設し、排藁搬送終端側の機体後部に排藁カッター
を装着したコンバインにおいては、機体側から操作され
る切替装置により、排藁投入口に設けた切替板を上下回
動させて、排藁搬送チェンからの排藁が排藁カッター内
に落下する切断状態と、そのまま機体後方に搬送放出す
る非切断状態とに切替自在とし、さらに詰り等の掃除の
ため、排藁カッター全体を後方に向けて回動展開可能と
したものが知られている。ところで、この種の排藁カッ
ターは、排藁切断あるいは非切断状態に切替えたとき
に、これに対応して排藁を搬送するように排藁搬送チェ
ンの搬送終端位置を適宜調節しているが、従来はこの調
節構造が複雑なうえ、搬送される排藁量が減少したとき
には、排藁搬送チェンの挟扼レールによる挟持力が弱く
なって排藁を円滑に搬送することができず、逆に排藁量
が増大すると排藁の詰りが生ずる等の欠点があった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】本考案は上記の如き欠
点を解消すべく創案されたものであって、排藁カッター
を排藁切断あるいは非切断状態に切替えるのみで排藁搬
送チェンを自動的に調整でき、しかも排藁量の増減にか
かわりなく、円滑に排藁を搬送することができるコンバ
インにおける排藁カッター切替装置を提供することを目
的課題としたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本考案が講じた技術的手段は、機体後方に向けて配
設した排藁搬送チェンの下方に排藁カッターを装備し、
その排藁切断と非切断とを切替装置を介して行うように
したコンバインにおいて、上記排藁搬送チェンの下面
に、その搬送終端方向に沿う伸縮自在な挟扼レールを併
設し、かつ当該挟扼レールの伸縮作動を、上記切替装置
の切替作動に連繋するレール切替レバーの回動作動で行
うと共に、上記レール切替レバーの先端部から挟扼レー
ルに至る間に、水平および垂直方向に回動自在な支持リ
ンクを上方への弾性付勢を保持して介装し、上記レール
切替レバーの回動軌跡に沿う支持リンクの連動作動で挟
扼レールを伸縮するように構成したことを特徴とするも
のである。

【０００５】

【作用】したがって本考案によれば、切替装置により排
藁カッターを排藁切断および非切断状態に切替えると、
切替装置に連動するレール切替レバーが支持リンクを介
して排藁搬送チェンの挟扼レールを伸縮させ、切替えた
排藁切断あるいは非切断状態に対応して排藁を搬送す
る。そして、レール切替レバーの先端部に設けた支持リ
ンクが挟扼レールを排藁に向けて上下動自在に押圧付勢
しているので、排藁の量が増減しても排藁搬送チェンは
確実に排藁を挟持して円滑に搬送することができる。

【０００６】

【実施例】次に本考案の一実施例を添付した図面に基い
て詳細に説明する。１はコンバインの機体後部に装着さ
れる排藁カッターであって、該排藁カッター１はその一
側に設けた取付アーム２が機体フレーム３に設けた回動
支点４に軸支されていて、機体後部に連接する収納位置
と、後方に開いた展開位置とに回動可能となっている。
５は排藁カッター１の内部に横架された回転刃である。
６は排藁カッター１の排藁投入口７を開閉する切替板で
あって、その後端縁が左右方向の枢支軸８に固定されて
いて、該枢支軸８の回動により上下動自在となってい
る。９は図示しない穀稈フィードチェン終端部から機体
の後部中央に向けて斜設された排藁搬送チェンであっ
て、該排藁搬送チェン９の搬送終端部が排藁投入口７の
上方に臨んでいる。また前記切替板６には、切欠部１０
が形成されていて、上下動する切替板６が排藁搬送チェ
ン９と接当しないようになっている。

【０００７】１１は機体側からの操作により、切替板６
を上下動させて排藁カッター１を排藁切断と非切断状態
とに切替える切替装置であって、該切替装置１１は、機
体側切替装置１２と、これに係合するカッター側切替装
置１３とによって形成されている。上記機体側切替装置
１２は、ベルクランク状の切替レバー１４が枢支軸１５
を支点として水平方向回動自在に枢支されており、該切
替レバー１４の一端部が連絡ワイヤ１６を介して機体後
部に設けた回動リンク１７に連結されている。回動リン
ク１７の回動軸１８には操作リンク１９が固定され、該
操作リンク１９が機体側の操作レバーに連結されてい
て、操作レバーの操作により連絡ワイヤ１６が引かれて
切替レバー１４が回動する。２０は緩衝スプリングであ
る。またカッター側切替装置１３には、枢支軸２１を支
点としてカッター切替レバー２２が水平方向回動自在に
枢支され、該カッター切替レバー２２の一端が切替板６
の枢支軸８に固定された回動アーム２３に連結部材２４
を介して連結されている。上記カッター切替レバー２２
の他端には係止体２５が突成され、該係止体２５が前記
切替レバー１４の他端側に後方から摺接係合している。
そして操作レバーの操作により連絡ワイヤ１６が引かれ
て切替レバー１４が回動すると係止体２５が押されてカ
ッター切替レバー２２が回動し、これに連動して回動す
る枢支軸８が切替板６を上動させて排藁切断状態とし、
ついで連絡ワイヤ１６を緩めると、切替板６が自重によ
り下動して排藁投入口７を塞じた非切断状態とする。一
方、収納位置にある排藁カッター１を後方に回動展回さ
せると、係止体２５が切替レバー１４から離間してカッ
ター側切替装置１３は機体側切替装置１２から完全に遊
離するようになっている。

【０００８】２６は排藁搬送チェン９の下面に沿って対
設された挟扼レールであって、該挟扼レール２６は摺動
杆２７と、該摺動杆２７が嵌入支持される支持管部２８
とによって伸縮自在に形成されている。そして上記挟扼
レール２６と切替装置１１との間には、切替装置１１に
連動して挟扼レール２６を伸縮させるリンク機構２９が
設けられている。すなわち、３０は切替装置１１の回動
軸１８に連結固定されたレール切替レバー、３１は挟扼
レール２６を支持する支持リンクであって、上記レール
切替レバー３０の先端に設けた垂直支軸３２と支持リン
ク３１の基端部に設けた水平支軸３３とが、一体状に形
成されたボス部３４によりそれぞれ水平および垂直方向
に回動自在に支持されている。上記支持リンク３１は排
藁搬送チェン９の搬送終端方向に向けて上傾状に配設さ
れ、その先端部に設けた水平支軸３５と摺動杆２７の搬
送終端側に設けた垂直支軸３６とが一体状のボス部３７
で支持されていて、支持リンク３１が挟扼レール２６に
対して水平および垂直のいずれの方向にも回動変位自在
となっている。そして切替装置１１に連動して回動する
レール切替レバー３０が、排藁切断時には支持リンク３
１を介して挟扼レール２６を排藁投入口７の前端位置ａ
まで縮小させ、非切断状態では排藁投入口７を超えた機
体後部位置ｂまで伸長させるようになっている。さらに
上記支持リンク３１の基端部には、ボス部３４と支持リ
ンク３１との間にスプリング３８が巻回されていて、搬
送される排藁に向けて挟扼レール２６を上下動自在に押
圧付勢している。

【０００９】上記の如き構成において、いま機体側の操
作レバーにより操作リンク１９を引けば、回動リンク１
７が回動して連絡ワイヤ１６を引き、これに連動して切
替レバー１４、カッター切替レバー２２、枢支軸８が回
動し、切替板６を上動させて排藁カッター１を排藁切断
状態とする。ついで連絡ワイヤ１６を緩めれば切替板６
が自重により下動して排藁をそのまま機体後方に放出す
る非切断状態とすることができる。一方排藁カッターを
掃除等のため後方に回動展開したときには、カッター側
切替装置１３が機体側切替装置１２から完全に遊離する
ので、切替装置１１に制約されることなく排藁カッター
１を自由に展開させることができる。

【００１０】そして回動軸１８に連結固定されたリンク
機構２９のレール切替レバー３０が排藁カッター１の切
替えに連動して前後に回動し、レール切替レバー３０の
先端に支持された支持リンク３１が挟扼レール２６を伸
縮させて、排藁切断あるいは非切断状態に対応して排藁
を挟持搬送することができる。しかも支持リンク３１は
挟扼レール２６に対して、いずれの方向にも回動変位す
るので、レール切替レバー３０の先端が円弧状に前後回
動しても、その回動軌跡に沿って連動する支持リンク３
１により挟扼レール２６に無理な力が作用することはな
く円滑に挟扼レール２６を伸縮させることができる。そ
のうえ挟扼レール２６は、スプリング３８が巻回された
支持リンク３１により上下動自在に押圧付勢されている
ので、排藁量が少ないときでも確実に排藁を挟持して搬
送することができ、また排藁量が増大した際には、支持
リンク３１がスプリング３８の付勢に抗して下動するの
で、排藁の詰り等を生ずることなく排藁を搬送すること
ができる。

【００１１】

【考案の効果】これを要するに本考案は、機体後方に向
けて配設した排藁搬送チェンの下方に排藁カッターを装
備し、その排藁切断と非切断とを切替装置を介して行う
ようにしたコンバインにおいて、上記排藁搬送チェンの
下面に、その搬送終端方向に沿う伸縮自在な挟扼レール
を併設し、かつ当該挟扼レールの伸縮作動を、上記切替
装置の切替作動に連繋するレール切替レバーの回動作動
で行うと共に、上記レール切替レバーの先端部から挟扼
レールに至る間に、水平および垂直方向に回動自在な支
持リンクを上方への弾性付勢を保持して介装し、上記レ
ール切替レバーの 回動軌跡に沿う支持リンクの連動作動
で挟扼レールを伸縮するように構成したから、切替装置
により排藁カッターを切替えるのみで、排藁切断あるい
は非切断状態に対応して挟扼レールを伸縮し、排藁の搬
送切替を適切に行うことができるものでありながら、水
平および垂直方向に回動自在な支持リンクを、レール切
替レバーの回動先端部と挟扼レールとの間に介装し、当
該レール切替レバーの回動軌跡に沿う支持リンクの連動
作動で挟扼レールを伸縮させるので、その伸縮作動に対
する無理な操作力が挟扼レールとレール切替レバーの双
方にかかることがなく、排藁切断および非切断の切替変
化に速やかに追従する伸縮作動状態を維持することがで
き、排藁量が増減変化する場合も、伸縮した挟扼レール
を容易かつスムーズに上下動し得て、排藁搬送チェンと
排藁カッターの円滑な連繋動作を確保することができる
ものである。

【００１２】

【図面の簡単な説明】

【図１】要部の平面図である。

【図２】同上側面図である。

【図３】作用説明図である。

【図４】連動系統図である。

【符号の説明】

１ 排藁カッター ９ 排藁搬送チェン １１ 切替装置 ２６ 挟扼レール ２９ リンク機構３０ レール切替レバー ３１ 支持リンク

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機体後方に向けて配設した排藁搬送チェ
   ンの下方に排藁カッターを装備し、その排藁切断と非切
   断とを切替装置を介して行うようにしたコンバインにお
   いて、上記排藁搬送チェンの下面に、その搬送終端方向
   に沿う伸縮自在な挟扼レールを併設し、かつ当該挟扼レ
   ールの伸縮作動を、上記切替装置の切替作動に連繋する
   レール切替レバーの回動作動で行うと共に、上記レール
   切替レバーの先端部から挟扼レールに至る間に、水平お
   よび垂直方向に回動自在な支持リンクを上方への弾性付
   勢を保持して介装し、上記レール切替レバーの回動軌跡
   に沿う支持リンクの連動作動で挟扼レールを伸縮するよ
   うに構成したことを特徴とするコンバインにおける排藁
   カッター切替装置。