JP2552309Y2 - スクロール型圧縮機 - Google Patents

スクロール型圧縮機

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JP2552309Y2
JP2552309Y2 JP1990076435U JP7643590U JP2552309Y2 JP 2552309 Y2 JP2552309 Y2 JP 2552309Y2 JP 1990076435 U JP1990076435 U JP 1990076435U JP 7643590 U JP7643590 U JP 7643590U JP 2552309 Y2 JP2552309 Y2 JP 2552309Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本考案は、スクロール型圧縮機に関し、詳しくは軸封
装置、軸受、自転防止機構等の潤滑性を向上させたスク
ロール型圧縮機に関する。
[従来の技術] 一般的なスクロール型圧縮機(以下、単に圧縮機とい
う。)が特開昭57−62988号公報に開示されている。こ
の圧縮機では、第5図に示すように、ハウジング51に固
定側板521及び固定渦巻体522からなる固定スクロール52
が固定され、この固定スクロール52にはハウジング51、
53内に配設された可動側板541及び可動渦巻体542からな
る可動スクロール54が噛合することにより圧縮室56が形
成されている。ハウジング51、53内には軸封装置57及び
主軸受58を介して駆動軸59が支承されており、この駆動
軸59の内端には偏心ピン60が偏心して植設されている。
この偏心ピン60の主軸受58側にはカウンタウェイト61が
固定され、偏心ピン60の他端側には自転防止機構62との
協働により軸受63を介して該可動スクロール54を公転の
み可能に支承する駆動ブッシュ64が嵌合されている。
この圧縮機では、固定渦巻体522と可動渦巻体542とが
互いに噛合するインボリュート曲線等により形成されて
いるため、両スクロール52、54により形成される圧縮室
56は可動スクロール54の公転運動により容積変化を生じ
る。このため、冷媒ガスは、ハウジング51に形成された
流体吸入口55から圧縮室56に導入され、この圧縮室56内
において圧力が順次高められ、両スクリール52、54の中
央部分の吐出口65から吐出室66を経て流体吐出口67より
図示しない冷凍回路へと吐出される。
[考案が解決しようとする課題] 一般に上記型式の圧縮機では、冷媒ガス中に混在する
油粒子によって軸封装置57、主軸受58、自転防止機構6
2、軸受63等のフロント側潤滑必要部が潤滑される方式
を採用している。
しかし、上記従来の圧縮機にあっては、冷媒ガスの吸
入抵抗を極力小さく抑えるため、流体吸入口55が上記フ
ロント側潤滑必要部よりリア側、つまり圧縮室56側に貫
設されており、冷媒ガスが直接的に圧縮室56に吸入され
る構造となっている。このため、かかる圧縮機では、冷
媒ガスが上記フロント側潤滑必要部に導かれにくく、同
時に冷媒ガス中の潤滑油もフロント側潤滑必要部に充分
に供給されにくく、これらに潤滑不良を生じて最悪の場
合には焼付きや早期摩耗を生じることがあった。
なお、上記不具合を回避するため、ハウジングに流体
吸入口と軸封装置とを連通させる副通路を貫設する手段
も知られてはいる(実開昭59−24992号公報)。しか
し、この手段では、副通路に冷媒ガス中の潤滑油を確実
に導くため、複雑な形状の段差を副通路の入口に形成し
なければならず、生産性に難点を有している。
本考案は、高い生産性の下、冷媒ガスの吸入抵抗を増
加させることなく、フロント側潤滑必要部に容易かつ充
分に潤滑油を供給することを解決すべき課題とするもの
である。
[課題を解決するための手段] 本考案の圧縮機は、上記課題を解決するため、ハウジ
ングと、該ハウジングに固定され、固定側板及び固定渦
巻体からなる固定スクロールと、可動側板及び可動渦巻
体からなり、該固定スクロールと噛合することにより圧
縮室を形成する可動スクロールと、該ハウジングにフロ
ント側から軸封装置及び主軸受装置を介して回転自在に
支承された駆動軸と、該駆動軸のリア端に偏心して植設
された偏心ピンと、該偏心ピンに嵌合され自転防止機構
との協働により軸受を介して該可動スクロールを公転の
み可能に支承する駆動ブッシュと、該駆動ブッシュと該
主軸受装置との間で該駆動軸に連設されて該可動スクロ
ールの動的不均衡を吸収するカウンタウェイトとを含
み、該可動スクロールの公転運動によって該圧縮室が冷
媒ガスを流体吸入口から吸入するとともに該冷媒ガスの
圧力を高めて吐出するスクロール型圧縮機において、 前記流体吸入口は前記カウンタウェイトの周面と対向
すべく貫設され、該流体吸入口には、該カウンタウェイ
トの周面より外側で後方に延在し、前記固定渦巻体の外
端と前記可動渦巻体の外端とが形成する前記圧縮室に通
じる吸入路が連通されているという新規な手段を採用し
ている。
本発明の圧縮機では、冷媒ガスをフロント側へ積極的
に案内する形状のカウンタウェイトを採用することが望
ましい。例えば、フロント側の側面が回転中心から周方
向へ向かって厚さが薄くなる傾斜面にされたカウンタウ
ェイトを採用することができる。
[作用] 本考案の圧縮機では、流体吸入口がカウンタウェイト
の周面と対向すべく貫設されているため、冷媒ガスがカ
ウンタウェイトの回転による負圧によって内部に容易に
導かれ、フロント側の主軸受装置及び軸封装置近傍に引
き込まれる。ここで冷媒ガス中の潤滑油が主軸受装置及
び軸封装置に供給される。そして、圧縮室は可動スクロ
ールの公転運動によって容積が順次縮小して負圧となる
ため、主軸受装置及び軸封装置近傍の冷媒ガスはリア側
に移動し、軸受及び自転防止機構を経て、圧縮室へと導
かれる。ここで冷媒ガス中の潤滑油が軸受及び自転防止
機構に供給される。また、カウンタウェイトの周面が流
体吸入口側に存在する際には、冷媒ガスはカウンタウェ
イトの周面より外側で後方に延在して流体吸入口と連通
する吸入路を経由することにより、カウンタウェイトの
周面による吸入抵抗を受けることなく、直接的に圧縮室
へと導入される。よって、冷媒ガスが滑かに圧縮室へ導
入されるとともに、冷媒ガス中の潤滑油がフロント側潤
滑必要部に容易かつ充分に供給される。
さらに、本考案の圧縮機では、ハウジングに副通路を
貫設したり、副通路の入口に複雑な形状の段差を形成し
たりする必要はなく、比較的単純な設計又は加工によ
り、高い生産性を実現できる。
冷媒ガスをフロント側へ積極的に案内する形状のカウ
ンタウェイトを採用した場合には、冷媒ガスがカウンタ
ウェイトの回転によってより一層フロント側潤滑必要部
に導かれ、冷媒ガス中の潤滑油がより容易かつ充分にフ
ロント側潤滑必要部に供給される。
[実施例] 以下、本考案を具体化した実施例を図面を参照しつつ
説明する。
(実施例1) この圧縮機では、第1図に示すように、固定側板21
と、この固定側板21と一体に形成され外殻を形成するシ
ェル部22と、固定側板21の内側にインボリュート曲線等
により形成された固定渦巻体23とからなる固定スクロー
ル2が、可動側板41と、この可動側板41の内側にインボ
リュート曲線等により形成された可動渦巻体42とからな
る可動スクロール4と噛合することにより、圧縮室39を
形成している。固定スクロール2のシェル部22と締結手
段により結合されたフロントハウジング30内にはフロン
ト側から軸封装置31及び主軸受32を介して駆動軸33が回
転自在に支承されており、駆動軸33の大径部リア端には
偏心ピン34が偏心して植設され、該偏心ピン34には後述
する自転防止機構37との協働により、軸受38を介して該
可動スクロール4を公転のみ可能に支承する駆動ブッシ
ュ36が嵌合され、該偏心ピン34又は駆動ブッシュ36に
は、該可動スクロール4の動的不均衡を吸収するカウン
タウェイト35が取付けられている。自転防止機構37は、
フロントハウジング30に固定された固定レース371と、
この固定レース371に固定され周方向に整合する複数の
規制孔372aをもつ固定リング372と、この固定リング372
の規制孔372aに配設される軸受素子373と、固定リング3
72と対向し軸受素子373が配設される周方向に整合する
複数の規制孔374aをもつ可動リング374とからなる。こ
の自転防止機構37の可動リング374に可動スクロール4
の可動側板41が固定されている。また、固定スクロール
2の固定側板21の中央部分には吐出段階の圧縮室39と連
通する吐出口11が貫設されている。固定スクロール2に
はリアハウジング10が固定されており、この吐出口11は
逆止弁12を介してリアハウジング10の内部に形成された
吐出室13と連通し、吐出室13は図示しない流体吐出口で
冷凍回路と連通している。
本実施例の特徴的な構成として、フロントハウジング
30にはカウンタウェイト34の周面35aと対向して冷凍回
路と通じる流体吸入口8が貫設されている。この流体吸
入口8には、フロントハウジング30及び固定レース371
の一部を貫通するとともに、第2図にも示すように、固
定リング372の一部をも貫通することにより、カウンタ
ウェイト35の周面より外側で後方に延在し、固定渦巻体
23の外端と可動渦巻体42の外端とが形成する圧縮室39に
通じる吸入路9が連通している。
この圧縮機では、エンジン(図示せず)の回転が電磁
クラッチ(図示せず)の接続により第1図に示す駆動軸
33に伝達され、駆動ブッシュ36が自転防止機構37との協
働により可動スクロール4を公転運動させる。このと
き、第3図に容積変化を生じる圧縮室39を示すと同時に
カウンタウェイト35及び吸入路9等の位置をも示すよう
に、略扇状のカウンタウェイト35が回転するため、カウ
ンタウェイト35の回転方向後方には負圧を生じる。冷媒
ガスは、この負圧によって流体吸入口8から内部に容易
に導かれ、第1図に示すように、近接する主軸受32、軸
封装置31に積極的に供給される。ここで冷媒ガス中の潤
滑油が主軸受32及び軸封装置31に供給される。そして、
圧縮室39は可動スクロール4の公転運動によって容積が
順次縮小して負圧となるため、主軸受32及び軸封装置31
近傍の冷媒ガスはリア側に移動し、自転防止機構37、軸
受38等を経た後、容積変化を生じて負圧状態となってい
る圧縮室39へと導かれる。ここで冷媒ガス中の潤滑油が
軸受38及び自転防止機構37に供給される。また、カウン
タウェイト35の周面35aが流体吸入口8側に存在する際
には、冷媒ガスは、第3図に示すように、カウンタウェ
イト35の周面35aによる吸入抵抗を受けることなく、流
体吸入口8と連通する吸入路9を経由して負圧状態の圧
縮室39へと導入される。このため、かかる圧縮機では、
冷媒ガスは吸入が阻害されることなく滑かに圧縮室39に
導入され、冷媒ガス中の潤滑油は軸封装置31、主軸受3
2、自転防止機構37、軸受38等のフロント側潤滑必要部
に容易かつ充分に供給される。その後、冷媒ガスは、可
動スクロール4の公転運動によって圧縮室39内で順次圧
力が高められ、吐出口11から第1図に示す吐出弁12を押
し開いて吐出室13へ導出され、流体吐出口から冷凍回路
へと送り出される。
したがって、この圧縮機では、比較的容易な設計又は
加工により能率よく生産可能であるとともに、冷媒ガス
の吸入抵抗の増加を回避して、フロント側潤滑必要部を
好適に潤滑してフロント側潤滑必要部の焼付きや早期摩
耗を有効に防止することができる。
(実施例2) 第4図に示す本実施例の圧縮機は、基本的に実施例1
の圧縮機と同一であるが、カウンタウェイト351の形状
が異なる。したがって、実施例1と同一の構成について
は同一符号を付し、説明を省略する。すなわち、この圧
縮機では、フロント側の側面が回転中心から周方向に向
かって厚さが薄くなる傾斜面35bとされたカウンタウェ
イト351を採用している。
かかる圧縮機では、冷媒ガスがカウンタウェイト351
の回転時に傾斜面35bに積極的に案内されることによっ
てもフロント側へ導かれるため、より一層フロント側潤
滑必要部に潤滑油を供給することができる。
以上、実施例1、2の圧縮機では流体吸入口をフロン
トハウジングのカウンタウェイトと対向する位置に貫設
したが、圧縮機の構成如何によっては必ずしもフロント
ハウジングに流体吸入口を貫設すべきとは限られない。
また、実施例1、2の圧縮機では固定レース等を貫通
して吸入路を貫設したが、これも圧縮機の構成如何によ
って制限されるものではない。
[考案の効果] 以上詳述したように、本考案のスクロール型圧縮機で
は、流体吸入口をカウンタウェイトの周面と対向して貫
設するとともに、圧縮室と直接通じる吸入路と該流体吸
入口とを連通させているため、冷媒ガスの吸入抵抗を増
加させることなく、比較的単純な設計又は加工により、
軸封装置、軸受、自転防止機構等のフロント側潤滑必要
部に好適に潤滑油を供給できる。
また、本考案の圧縮機において、冷媒ガスを積極的に
案内する形状のカウンタウェイトを採用した場合には、
より一層フロント側潤滑必要部に潤滑油を供給すること
ができる。
したがって、このスクロール型圧縮機では、能率よく
生産可能であるとともに、フロント側潤滑必要部の潤滑
不良を好適に防止することができ、ひいては耐久性を向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1〜3図は本考案の実施例1に係るスクロール型圧縮
機を示し、第1図は縦断面図、第2図は第1図のA−A
線断面図、第3図は第1図のB−B線断面図である。第
4図は本考案の実施例2に係るスクロール型圧縮機を示
す縦断面図である。第5図は従来のスクロール型圧縮機
を示す縦断面図である。 10…リアハウジング 2…固定スクロール、21…固定側板 22…シェル部、23…固定渦巻体 30…フロントハウジング 31…軸封装置、32…主軸受 33…駆動軸、34…偏心ピン 35、351…カウンタウェイト 35a…周面、35b…傾斜面 36…駆動ブッシュ、37…自転防止機構 38…軸受、39…圧縮室 4…可動スクロール、41…可動側板 42…可動渦巻体、8…流体吸入口 9…吸入路

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハウジングと、該ハウジングに固定され、
    固定側板及び固定渦巻体からなる固定スクロールと、可
    動側板及び可動渦巻体からなり、該固定スクロールと噛
    合することにより圧縮室を形成する可動スクロールと、
    該ハウジングにフロント側から軸封装置及び主軸受装置
    を介して回転自在に支承された駆動軸と、該駆動軸のリ
    ア端に偏心して植設された偏心ピンと、該偏心ピンに嵌
    合され自転防止機構との協働により軸受を介して該可動
    スクロールを公転のみ可能に支承する駆動ブッシュと、
    該駆動ブッシュと該主軸受装置との間で該駆動軸に連設
    されて該可動スクロールの動的不均衡を吸収するカウン
    タウェイトとを含み、該可動スクロールの公転運動によ
    って該圧縮室が冷媒ガスを流体吸入口から吸入するとと
    もに該冷媒ガスの圧力を高めて吐出するスクロール型圧
    縮機において、 前記流体吸入口は前記カウンタウェイトの周面と対向す
    べく貫設され、該流体吸入口には、該カウンタウェイト
    の周面より外側で後方に延在し、前記固定渦巻体の外端
    と前記可動渦巻体の外端とが形成する前記圧縮室に通じ
    る吸入路が連通されていることを特徴とするスクロール
    型圧縮機。
JP1990076435U 1990-07-18 1990-07-18 スクロール型圧縮機 Expired - Lifetime JP2552309Y2 (ja)

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