JP2551901Y2 - ダストカバー用グロメット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、合成樹脂製のダストカ
バーに取り付けられるグロメットに関する。

【０００２】

【従来の技術】図４には、従来におけるダストカバーの
一例が示されている。このダストカバー１は、シャフト
やジョイントに被せられて使用されるもので、両端部に
それぞれ相手部材へ固定するための取付部２，３を有
し、これら取付部２，３の中間は蛇腹部４になってい
る。そして小径の取付部２の斜面５にはグロメット取付
穴６が設けられ、このグロメット取付穴６にグロメット
７が嵌め込まれている。このグロメット７は、ダストカ
バー１の内部と外部とを通気させるためのものになって
いる。

【０００３】グロメット７は、図５に示すように、その
外周部円周方向に環状溝８を有し、この環状溝８をダス
トカバー１のグロメット取付穴６に嵌め込むようになっ
ている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなダストカバー１は、一般には合成樹脂材料を使用し
てブロー成形法により製造されるが、ブロー成形法によ
る製造は、部分部分において肉厚にばらつきを生じるこ
とが多い。このため、図６に示すように、グロメット７
の環状溝８の溝幅ｄに対して、ダストカバー１のグロメ
ット取付穴６周辺の肉厚ｔが厚い場合には、（ａ）のよ
うにグロメット７の取付穴６に対する嵌合が不完全にな
って、グロメット７が脱落する恐れがある。逆に、溝幅
ｄよりも肉厚ｔが薄いと、（ｂ）のようにグロメット７
が異常に突出したり、がたついたり、（ｃ）のように斜
めに組み込まれたりして、結局は摩耗し、脱落する恐れ
がある。

【０００５】このような問題に対し、従来は、（ａ）の
ようにグロメット７の取り付けが不完全であったら、取
り付けができなかったりすることを避けるために、環状
溝８の溝幅ｄを大き目に設定している。このため、
（ｂ）や（ｃ）のようにがたつきが発生する確率が高く
なるという問題があった。

【０００６】本考案は、このような従来の問題を解決す
るものであり、ダストカバーの肉厚にばらつきがあって
も、がたつきなしに確実にダストカバーに取り付けるこ
とのできるダストカバー用グロメットを提供することを
目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記目的を達
成するために、グロメットをダストカバーのグロメット
取付穴に取り付けるための環状溝の両方の内側面を外側
に広がる斜面とし、グロメットをグロメット取付穴に嵌
め込んだときに、ダストカバーのグロメット取付穴周辺
の肉厚寸法がばらつきの最小値である場合には前記環状
溝がその底部でグロメット取付穴に支持され、一方、グ
ロメット取付穴周辺の肉厚寸法がばらつきの最大値およ
び最大値と最小値との間の中間値である場合には前記環
状溝が両 方の内側面でグロメット取付穴の両端部に支持
される構成にしたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】本考案は、上記構成により、ダストカバーの肉
厚がばらついていても、グロメットの環状溝の斜面がそ
の寸法のばらつきを吸収するので、グロメットをダスト
カバーのグロメット取付穴にがたつきなしに確実に取り
付けることができる。

【０００９】

【実施例】図１は本考案の一実施例を示し、図２はその
正面図である。グロメット１１は、ゴムまたはエラスト
マーで筒状に成形され、外周部には円周方向に沿って環
状溝１２を有し、内周部には多数の通気穴１３を設けた
通気部１４を有する。環状溝１２の両方の内側面１２
ａ，１２ｂは、ともに外側に向けてテーパ状に広がった
斜面になっている。

【００１０】次に、上記構成のグロメット１１の作用に
ついて図３を参照して説明する。図３の（ａ）は、ダス
トカバー１５のグロメット取付穴１６周辺の肉厚が、成
形時の肉厚寸法のばらつきの中間値を示す場合の例であ
り、グロメット１１をグロメット取付穴１６に嵌め込ん
だときには、グロメット１１の環状溝１２は、その内側
面１２ａ，１２ｂの中間の位置で、グロメット取付穴１
６の両端部に支持される。（ｂ）は、ダストカバー１５
の肉厚が、肉厚寸法のばらつきの最大値を示す場合の例
であり、グロメット１１の環状溝１２は、その内側面１
２ａ，１２ｂの上部の位置で、グロメット取付穴１６の
両端部に支持される。（ｃ）は、ダストカバー１５の肉
厚寸法のばらつきの最小値を示す場合の例であり、グロ
メット１１の環状溝１２は、その底部でグロメット取付
穴１６に支持される。

【００１１】このように、上記実施例によれば、ダスト
カバー１５の肉厚が最大値と最小値との間でばらついて
いたとしても、環状溝１２の内側面１２ａ，１２ｂが共
に外側にテーパ状に広がっているため、グロメット１１
をダストカバー１５のグロメット取付穴１６に嵌め込ん
だときには、グロメット１１の環状溝１２は、いずれか
の位置でダストカバー１５の取付穴１６に支持されるの
で、グロメット１１をダストカバー１５のグロメット取
付穴１６にがたつきなしに確実に取り付けることができ
る。

【００１２】

【考案の効果】以上のように、本考案のダストカバー用
グロメットによれば、ダストカバーのグロメット取付穴
に嵌め込まれるグロメットの環状溝が、その少なくとも
一方の内側面が外側に広がる斜面になっているので、ダ
ストカバーの肉厚がばらついていてもそれを吸収するこ
とができ、グロメットをダストカバーのグロメット取付
穴にばらつきなしに確実に取り付けることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すグロメットの拡大断面
図。

【図２】同グロメットの拡大正面図。

【図３】（ａ），（ｂ），（ｃ）は同グロメットをダス
トカバーに取り付けた状態を示す拡大部分断面図。

【図４】従来のグロメットを取り付けたダストカバーの
一例を示す断面図。

【図５】従来例におけるグロメット取付部の拡大断面
図。

【図６】従来例におけるグロメットの好ましくない取り
付け状態を示す拡大断面図。

【符号の説明】

１１ グロメット １２ 環状溝 １２ａ，１２ｂ 内側面 １３ 通気穴 １４ 通気部 １５ ダストカバー １６ グロメット取付穴

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周部に円周方向に沿って設けられた環
   状溝をダストカバーのグロメット取付穴に嵌め込むこと
   によってダストカバーに取り付けられ、内周部に通気部
   を有していてダストカバーの内部と外部とを通気させる
   ようになっているダストカバー用グロメットであって、
   前記グロメットの環状溝の両方の内側面を外側に広がる
   斜面とし、グロメットをグロメット取付穴に嵌め込んだ
   ときに、ダストカバーのグロメット取付穴周辺の肉厚寸
   法がばらつきの最小値である場合には前記環状溝がその
   底部でグロメット取付穴に支持され、一方、グロメット
   取付穴周辺の肉厚寸法がばらつきの最大値および最大値
   と最小値との間の中間値である場合には前記環状溝が両
   方の内側面でグロメット取付穴の両端部に支持される構
   成にしたことを特徴とするダストカバー用グロメット。