JP2549973B2 - 硬度を改良した着色スティック状化粧品 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は使用中の剛性を改良した
着色スティック状化粧品、特にリップスティック組成物
に関する。

【０００２】慣用のリップスティックは、トリグリセリ
ド又は脂肪酸エステル誘導の油とろうのような疎水性成
分を用いて製品化される。特にろうは構造体（structur
ant）の目的で必要なステイフネス又は剛性を付与する
ために重要である。

【０００３】リップスティックのバッチが軟か過ぎてば
く然と曲がり、それにより組成物を硬度規格外に出して
しまう場合、たまたま問題が起る。このような異常なバ
ッチは品質管理上の問題であるばかりでなく、規準外の
バッチを捨てなければならない場合には生産費用に直接
の悪い影響をもたらす。問題の原因は十分には確認され
ていない。

【０００４】従って、本発明の目的は、脂肪油及びろう
を含む疎水性成分を用いて製品化される、着色スティッ
ク状化粧品を提供することであって、それは再現性のあ
る硬度の満足な製品をもたらす。

【０００５】本発明のもう１つの目的は、費用効率的な
方法で再現性のある硬さに変えることができる着色ステ
ィック状化粧品、特にリップスティックを提供すること
である。

【０００６】本発明の更にもう１つの目的は、構造的及
び美的完全性を保持しながら良好な色彩効果を有する黄
色及び赤色両方の着色料を用いて製品化される、着色ス
ティック状化粧品、特にリップスティックを提供するこ
とである。

【０００７】本発明のこれらと他の目的、特徴及び利点
は、次の総括、詳細な説明及び後記の実施例の考察によ
り更に容易に明白にされよう。

【０００８】痕跡の水、時には 0.3％より著しく少い水
は、組成物に存在するアルミニウム塩又はレーキのよう
な着色料と有害な相互作用をし、更に続いてＣ₁₂〜Ｃ₆₀
脂肪酸と反応してアルミニウム石鹸を形成し得ることが
ここに見出された。これらの石鹸はスティックに構造を
失わせる原因となる結晶毒として作用する。それで、本
発明の組成物は、そうでない場合アルミニウムレーキと
石鹸を形成することとなるＣ₁₂〜Ｃ₆₀脂肪酸を有効量よ
り少く用いて製品化しなければならない。脂肪酸が着色
スティック状化粧品の製品化に意図的に用いられること
は多くはないが、これらの材料はカンデリラ、オゾケラ
イト、カルナウバ、蜜ろう、ラノリン及び鯨ろうのよう
な標準的ろうに本質的な不純物として存在する。

【０００９】これを見抜いた上で、本発明では、再現し
得る硬度を確保する着色スティック状化粧品の製造方法
を提案している。その方法は（ｉ）アルコールを用いて
エステル化し、天然に含まれるＣ₁₂〜Ｃ₆₀脂肪酸をすべ
てそれぞれのエステルに変換したろうを選択するステッ
プ、（ii）約１〜約99％の量のエステル化されたろう
を、約0.001 〜約20％の量のアルミニウム塩である着色
料と混合するステップ、及び（iii ）ステップ（ii）か
ら得る混合物を用いて着色スティック状化粧品を形成す
るステップ、から成る。

【００１０】本発明のもう１つの態様として、（ｉ）約
１〜約99％の天然ろう、（ii）アルミニウム塩である約
0.001 〜約20％の着色料、及び（iii ）Ｃ₁₂〜Ｃ₆₀脂肪
酸を含まない約0.001 〜約20％のＣ₁₂〜Ｃ₆₀脂肪酸エス
テルから成る着色スティック状化粧品を提供する。

【００１１】本発明の更に別の態様として、再現性の硬
度を有するスティック状化粧品を製造する目的で、アル
コールを用いてエステル化し、天然に含まれるＣ₁₂〜Ｃ
₆₀脂肪酸をすべてそれぞれのエステルに変換してあるろ
うを、スティック状化粧品、特にリップスティックに使
用することを提供する。

【００１２】再現性の剛性を有する着色スティック状化
粧品の製造には、天然ろうに通常存在する不純物であ
る、Ｃ₁₂〜Ｃ₆₀脂肪酸、特に脂肪カルボン酸を含まない
ろうの提供を必要とする。この不純物は１モル当量以上
のＣ₁ 〜Ｃ₆₀一価又は多価アルコールを用いるエステル
化により打ち消し得る。特に好ましいのはＣ₁ 〜Ｃ₆₀一
価アルコールである。本書の有用な例示アルコールとし
て、メタノール、エタノール、ラウリルアルコール、パ
ルミチンアルコール及びそれらの組合せが挙げられる。

【００１３】エステル化方法は、約40℃〜約 250℃、好
ましくは約80℃〜約 150℃のいずれかの温度で撹拌下に
容器中で天然ろうを 0.5〜20％のアルコールと結合させ
ることから成る。

【００１４】有利には、容器に真空を適用して、エステ
ル化中形成される水蒸気を除去する。有効量のルイス酸
触媒、たとえば鉱酸（たとえば硫酸又は塩酸）、有機酸
（たとえばトルエンスルホン酸）又は三弗化硼素エーテ
ラートのような無機物質を使用し得る。

【００１５】本発明に適する天然ろうは、室温で固体で
あって一般に油脂と組成が同様である高分子量の低融点
有機化合物であるのが普通であるが、但しこれらはグリ
セリドを含有しない。ろうは熱可塑性であるが、それら
が高重合体ではないため、それらはプラスチックの種族
に入ると考えらえる。天然ろうには動物起原（蜜ろう、
鯨ろう、ラノリン、セラックろう）と植物起原（カルナ
ウバ、カンデリラ、月桂樹の実、サトウキビろう）のも
のがある。もっとも好ましいのはカンデリラ、カルナウ
バ、蜜ろう、ラノリン及び鯨ろうである。

【００１６】ろうの量は約１〜約99重量％、好ましくは
約10〜約50％、最適には約15〜約25重量％のどの範囲で
もよい。

【００１７】本発明組成物は、アルミニウム塩である約
0.001 〜約20重量％の着色料を含有する。着色料の量は
約 0.1〜約10重量％、最適には約 0.5〜約８重量％の範
囲が好ましい。

【００１８】アルミニウム塩はアルミニウレーキである
のが有利である。レーキは固体希釈剤を用いて増量又は
希釈した顔料又は通例アルミナ水和物である吸着性表面
上の水溶性染料の沈澱により製造される有機顔料のどち
らかである。ある場合には可溶性染料がアルミナ水和物
の表面に沈澱して染色された無機顔料を生じるのか、又
はそれが支持体の存在下に単に沈澱するのに過ぎないか
どうかに関して不確かである。レーキは酸性又は塩基性
染料からの不溶性塩の沈澱からも形成する。

【００１９】本発明の特に好ましいアルミニウムレーキ
は、Ｒｅｄ３アルミニウムレーキ、Ｒｅｄ21アルミニウ
ムレーキ、Ｒｅｄ27アルミニウムレーキ、Ｒｅｄ28アル
ミニウムレーキ、Ｒｅｄ33アルミニウムレーキ、Ｙｅｌ
ｌｏｗ５アルミニウムレーキ、Ｙｅｌｌｏｗ６アルミニ
ウムレーキ、Ｙｅｌｌｏｗ10アルミニウムレーキ、Ｏｒ
ａｎｇｅ５アルミニウムレーキ、Ｂｌｕｅ１アルミニウ
ムレーキである。

【００２０】本発明の基本的成分のほかに、製品機能と
美感を増進するために役立つ他の成分を任意に存在させ
得る。これらの任意成分について下記に説明する。

【００２１】乳化剤と本発明の化粧品製品に混和し得
る。乳化剤の総括濃度は製品の約 0.1〜約30重量％のど
の範囲でもあり得、好ましくは約 0.5〜約20重量％、最
適では約２〜約10重量％の間であり得る。

【００２２】燐脂質は乳化剤の重要な種類であって、組
成物の安定性と好ましい外見に寄与し得る。

【００２３】燐脂質の例はホスホグリセリド、リゾホス
ホグリセリド、スフィンゴミエリン及びそれらの混合物
の種類に入るものである。燐脂質として特に有用なのは
レシチンである。

【００２４】脂肪酸誘導体型乳化剤も、特に燐脂質と組
合せて使用し得る。これらの乳化剤には、モノアシルグ
リセロール、ジアシルグリセロール及びポリグリセロー
ルエステル及びそれらの組合せを挙げ得る。特に好まし
いのはグリセロールモノアルアルカノアートであって、
その例はひまわり油及びパーム油のモノグリセリドであ
る。

【００２５】室温（即ち20℃）で液体の油性有機物質と
して定義される皮膚緩和油は単独か又は２種以上の油の
混合物として使用することができる。それらは組成物の
約２〜約97重量％、好ましくは約30〜約70重量％の量で
存在するのが普通である。

【００２６】これらの油は皮膚緩和剤の目的に有用なば
かりでなく、粘性、粘着性及び抗力特性をも付与し得
る。適当な油の例には、カプリル酸トリグリセリド、カ
プリン酸トリグリセリド、イソステアリン酸トリグリセ
リド、アジピン酸トリグリセリド、プロピレングリコー
ル酢酸ミリスチルエステル、ラノリン油、ポリブテン、
パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピ
ル、セバチン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、
ステアリン酸ヘキサデシル、オレイン酸セチル、オレイ
ンアルコール・ヘキサデシルアルコール、小菱胚油、水
素化植物油、ワセリン、変性ラノリン、分枝した炭化水
素、アルコール及びテステル、ひまし油、とうもろこし
油、綿実油、オリブ油、パーム核油、なたね油、サフラ
ワー油、ジョジョバ油、まつよいぐさ油、アボカド油、
鉱油並びに揮発性及び不揮発性のシリコーン油が挙げら
れる。

【００２７】水溶性及び非水溶性物質の両方の形態の皮
膚活性成分は、本発明の製品の範囲内に包含し得る。こ
れらの成分は約0.0001〜約10重量％のどの範囲でもあり
得る。例としては、酸化亜鉛、β−グリシレチン酸、か
みつれ油、いちょう抽出物、ピログルタミン酸、塩又は
エステル、ヒアルロン酸ナトリウム、２−ヒドロキシオ
クタン酸、硫黄、サリチル酸、カルボキシメチルシステ
イン及びそれらの混合物が挙げられる。

【００２８】

【実施例】次の実施例により本発明のある種の形態につ
いて更に十分に説明する。本明細書及び付属の請求項に
引用される部、百分率及び比率は、別段支持しない限り
重量による。

【００２９】実施例 遊離脂肪酸を含有する蜜ろうをＣ₁₄〜Ｃ₁₆アルコール混
合物と一緒に、約３時間、約７インチの真空下に 200℃
まで加熱した。次の処方を有するリップスティックを製
造した。

【００３０】

【表１】成分 重量％ ひまし油 19.5 パルミチン酸イソプロピル 11.6 カプリル酸／カプリン酸／イソステアリン酸／アジピン酸トリグリセリド 7.0 ラノリン 7.0 Ｒｅｄ 21 アルミニウムレーキ 7.0 カンデリラろう 6.6 プロピレングリコール酢酸ミリスチルエーテル 6.0 カプリル酸／カプリン酸トリグリセリド 5.8 グリセロール 5.0 水 5.0 二酸化チタン 4.7 蜜ろう 4.1 モノグリセリド 3.5 ラノリン油 2.5 オゾケライトろう 2.5 燐脂質（大豆リシチン） 1.0 ポリブテン 0.8 カルナウバろう 0.4 前記と組成が同様なリップスティックを遊離脂肪酸不純
物をまだ残しているろう（「非エステル化」）を用いて
製品化した。しかしながら他のスティックはエステル化
された同じろうから形成した。

【００３１】表Ｉには２組のリップスティックについて
種々の物理的性質の試験結果を示す。

【００３２】

【表２】

【００３３】相安定性は凍結融解試験により測定した。
リップスティックの試料を０℃／45℃、40°及び室温の
間の凍結融解サイクルに付した。圧潰及び破損測定はCh
atillion装置により得た。

【００３４】許容し得るリップスティックはそれぞれ
2,000ｇ及び 400ｇより大きい圧潰値及び破損値を有す
るのが通常である。許容し得る圧潰、破損及び安定性値
を示したのはエステル化ろうのみであった。エステル化
ろうを含有する処方では表面光沢に相当顕著な増加もあ
った。これは比較的良好な結晶性構造の徴候である。

【００３５】前記の説明と実施例は本発明の選択された
実施態様について例示している。これを参照して、種々
の変更が当業者に示唆されるが、それらすべてが本発明
の精神と範囲内に入る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジヨン・アンソニイ・スウエダ アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージイ・ 07675、リバー・デイル、オレンジバー グ・ロード・683 (72)発明者 リチヤード・テイソン・リツジ アメリカ合衆国、ニユー・ヨーク・ 11413、スプリングフイールド・ガーデ ン、ワンハンドレツド・アンド・フオー テイフイフス・アベニユー・184−25 (56)参考文献 特開 昭58−92605（ＪＰ，Ａ)

Claims (10)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （ｉ）アルコールを用いてエステル化
   し、天然に含まれるＣ₁₂〜Ｃ₆₀脂肪酸をすべてそれぞれ
   のエステルに変換したろうを選択するステップ、 （ii）約１〜約99％の量のエステル化されたろうを、約
   0.001 〜約20％の量のアルミニウム塩である着色料と混
   合するステップ、及び （iii ）ステップ（ii）から得る混合物を用いて着色ス
   ティック状化粧品を形成するステップ から成る、着色スティック状化粧品の製造方法。
2. 【請求項２】 アルミニウム塩がアルミニウムレーキで
   ある、請求項１に記載の方法。
3. 【請求項３】 アルミニウム塩がＲｅｄ３アルミニウム
   レーキ、Ｒｅｄ21アルミニウムレーキ、Ｒｅｄ27アルミ
   ニウムレーキ、Ｒｅｄ28アルミニウムレーキ、Ｒｅｄ33
   アルミニウムレーキ、Ｙｅｌｌｏｗ５アルミニウムレー
   キ、Ｙｅｌｌｏｗ６アルミニウムレーキ、Ｙｅｌｌｏｗ
   10アルミニウムレーキ、Ｏｒａｎｇｅ５アルミニウムレ
   ーキ、Ｂｌｕｅ１アルミニウムレーキ又はそれらの混合
   物を含む、請求項１又は請求項２に記載の方法。
4. 【請求項４】 アルコールがＣ₁ 〜Ｃ₆₀アルコールであ
   る、請求項１〜３のいずれかに記載の方法。
5. 【請求項５】 ろうがカンデリラ、カルナウバ、蜜ろ
   う、ラノリン、鯨ろう、又はそれらのろう混合物であ
   る、請求項１〜４のいずれかに記載の方法。
6. 【請求項６】 （ｉ）１〜99％の天然ろう、 （ii）アルミニウム塩である0.001 〜20％の着色料、及
   び （iii ）Ｃ₁₂〜Ｃ₆₀脂肪酸を含まない0.001 〜20％のＣ
   ₁₂〜Ｃ₆₀脂肪酸エステルから成る着色スティック状化粧
   品。
7. 【請求項７】 アルミニウム塩がアルミニウムレーキで
   ある、請求項６に記載の着色スティック状化粧品。
8. 【請求項８】 アルミニウム塩が、Ｒｅｄ３アルミニウ
   ムレーキ、Ｒｅｄ21アルミニウムレーキ、Ｒｅｄ27アル
   ミニウムレーキ、Ｒｅｄ28アルミニウムレーキ、Ｒｅｄ
   33アルミニウムレーキ、Ｙｅｌｌｏｗ５アルミニウムレ
   ーキ、Ｙｅｌｌｏｗ６アルミニウムレーキ、Ｙｅｌｌｏ
   ｗ10アルミニウムレーキ、Ｏｒａｎｇｅ５アルミニウム
   レーキ、Ｂｌｕｅ１アルミニウムレーキ又はそれらの混
   合物を含む、請求項６又は請求項７に記載の着色スティ
   ック状化粧品。
9. 【請求項９】 ろうがカンデリラ、カルナウバ、蜜ろ
   う、ラノリン、鯨ろう、又はそれらのろう混合物であ
   る、請求項６〜８のいずれかに記載の着色スティック状
   化粧品。
10. 【請求項１０】 ろうが10〜50重量％の量で存在する、
    請求項６に記載の着色スティック状化粧品。