JP2549554Y2 - フロントボデー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、自動車のフロントボデ
ーの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図６において、自動車のフロントボデー
１は図８に示すようにフロントパネルアウタ２とフロン
トパネルインナ（またはパネルメンバ）３とで構成さ
れ、この両方のパネルが結合されてできる空間部にワイ
パーリンフォースメント４が設けられている。そして、
このワイパーリンフォースメント４には図６に示すワイ
パー５の軸ないしはワイパーモータなどが支持される。

【０００３】従来のワイパーリンフォースメント４の取
付面６は図８および図９に示すように平坦な面になって
いる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】図８に示すようにフロ
ントパネルアウタ２にワイパーリンフォースメント４を
スポット溶接Ｗにて溶接した場合にフロントパネルアウ
タ２は薄い鋼板を使用しているので、フロントパネルア
ウタ２の表面に溶接痕が現れて、自動車の外観を損なう
という不具合がある。

【０００５】そこで図９に示すようにフロントパネルイ
ンナ３にワイパーリンフォースメント４をスポット溶接
Ｗにて取り付けた場合にはフロントパネルアウタ２の表
面に溶接痕が現れないが次のような問題がある。

【０００６】図９において、ワイパーリンフォースメン
ト４を取り付けたフロントパネルインナ３にフロントパ
ネルアウタ２を（矢印方向）重ねるようにして両者を一
体的に結合するのであるが、この結合状態ではワイパー
リンフォースメント４の取付面６がフロントパネルアウ
タ５の面７に圧接される。

【０００７】この取付面６とフロントパネルアウタ５の
面７との圧接（図７）において、取付面６は平坦面であ
り、かつ、フロントパネルアウタ２は自動車のデザイン
上全体が外側に湾曲しているので、取付面６のエッヂ部
８がフロントパネルアウタ２の内面に強固に押しつけら
れることになり、薄い鋼板であるフロントパネルアウタ
２の面７の表面に取付面６の痕跡９が現れて外観を損な
うという問題がある。

【０００８】このように、ワイパーリンフォースメント
４をフロントパネルインナ２に取り付けた場合には取付
面６がフロントパネルアウタ２の面７の表面に痕跡９と
して現れ、また、ワイパーリンフォースメント４をフロ
ントパネルアウタ２側に取りつけた場合には溶接の痕跡
が表面に現れるので、いずれにせよ自動車の外観を損な
うという不具合がある。

【０００９】本考案はワイパーリンフォースメントの痕
跡およびワイパーリンフォースメントを溶接により取り
付けてもその溶接の痕跡がフロントパネルアウタの表面
に現れないようにして優れた外観を保つようにしたフロ
ントボデーを提供するものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本考案に係る手段は、フロントパネルインナにワイパ
ーリンフォースメントを取り付け、該ワイパーリンフォ
ースメントの取付部とフロントパネルアウタの内面とを
接触させて前記フロントパネルインナの外側にフロント
パネルアウタを重ねてフロントパネルインナとフロント
パネルアウタとを一体にし、前記ワイパーリンフォース
メントの取付部をフロントパネルアウタの内面側に膨出
する湾曲面にしたことを特徴とするものである。

【００１１】

【作用】本考案はこのように構成したので、フロントパ
ネルインナにワイパーリンフォースメントを取り付けて
いるために、フロントボデーとして組み付けてもスポッ
ト溶接の溶接痕はフロントパネルアウタには現れない。
そしてワイパーリンフォースメントの取付部をフロント
パネルアウタの内面側に膨出する湾曲面にしているの
で、フロントパネルアウタがワイパーリンフォースメン
トの取付面に圧接しても、取付面の端部はフロントパネ
ルアウタの内面に当たることはなく、ワイパーリンフォ
ースメントの痕跡がフロントパネルアウタの表面に現れ
ることはない。

【００１２】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図に基づいて説明
する。図２および図３において、ワイパーリンフォース
メント10にはフロントパネルインナ３にスポット溶接さ
れる溶接取付部11、フロントパネルアウタ２の内面に沿
う略水平の張出し部12およびフロントパネルアウタ２の
内面に沿い、ワイパーモータ等を取り付けるための取付
面13が形成されている。この取付面13は図１に示すよう
にフロントパネルアウタ２側に膨出した湾曲面になって
いる。

【００１３】この湾曲面13の両端縁に脚部14を一体に設
け、この脚部14の先端を折り曲げてフランジ15を形成
し、このフランジ15をフロントパネルインナ３の内面に
当接するようにしてスポット溶接などで固定し、ワイパ
ーリンフォースメント10が溶接取付部11とこの脚部14と
フランジ15によりフロントパネルインナ３に強固に取り
付けられるようになっている。

【００１４】また、ワイパーリンフォースメント10は図
４に示すようにフロントパネルインナ３にスポット溶接
Ｗにより取り付けられている。そして矢印で示すように
このフロントパネルインナ３とフロントパネルアウタ２
とを重ね合わせるように一体結合して、フロントボデー
を形成する。16はワイパーリンフォースメント10にあけ
られた支持孔、17はフロントパネルアウタ２にあけられ
た支持孔である。

【００１５】このように構成した本実施例の作用につい
て次に説明する。図４において、ワイパーリンフォース
メント10はフロントパネルインナ３に取り付けられてい
るために、スポット溶接Ｗの溶接痕はフロントパネルイ
ンナ３とフロントパネルアウタ２とを重ねるようにして
一体的に組み付けた状態において、フロントパネルアウ
タ２の表面に現れない。そしてワイパーリンフォースメ
ント10の取付部13をフロントパネルアウタ２の内面側に
膨出する湾曲面にしているので、図５に示すように、フ
ロントパネルアウタ２がワイパーリンフォースメント10
の取付面13に圧接しても、取付面13の端部18はフロント
パネルアウタ２の内面から離れた状態になり当たること
はなく、ワイパーリンフォースメント10の痕跡がフロン
トパネルアウタ２の表面に現れることはない。

【００１６】また、ワイパーリンフォースメント10は溶
接取付部11のスポット溶接Ｗと脚部14とフランジ15によ
りフロントパネルインナ３に強固に取り付けられ、か
つ、フロントパネルインナ３とフロントパネルアウタ２
とを重ねるようにして一体にするとともに、支持孔16、
17にワイパー軸などを支持してワイパーリンフォースメ
ント10とフロントパネルアウタ２とを一体結合するの
で、フロントパネルインナ３とフロントパネルアウタ２
とで形成されるフロントボデーの剛性が高められる。

【００１７】

【考案の効果】以上詳述した通り本考案によれば、フロ
ントパネルインナにワイパーリンフォースメントを取り
付けるようにしたので、フロントボデーを組み付けた状
態においてスポット溶接の溶接痕はフロントパネルアウ
タには現れない。そしてワイパーリンフォースメントの
取付部をフロントパネルアウタの内面側に膨出する湾曲
面にしているので、フロントパネルアウタがワイパーリ
ンフォースメントの取付面に圧接されても、取付面の端
部はフロントパネルアウタの内面に当たることはなく、
ワイパーリンフォースメントの痕跡がフロントパネルア
ウタの表面に現れることはない。これにより、ワイパー
リンフォースメントのスポット溶接による取付を可能に
して特別な組み立てを必要とせず、かつ、車体の外観を
損なわないフロントボデーを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すワイパーリンフォース
メントの取付面のみの平面図である。

【図２】ワイパーリンフォースメントの正面図である。

【図３】図２の右側面図である。

【図４】本考案のフロントボデーの組立て分解斜視図で
ある。

【図５】図３のＡーＡ線における横断面図である。

【図６】自動車の外観を斜視図で示した説明用図であ
る。

【図７】従来のフロントパネルアウタとワイパーリンフ
ォースメントとの関係を示す横断面図である。

【図８】フロントパネルアウタにワイパーリンフォース
メントを取付けた場合の従来例の組立て分解斜視図であ
る。

【図９】フロントパネルインナにワイパーリンフォース
メントを取付けた場合の従来例の組立て分解斜視図であ
る。

【符合の説明】

２ フロントパネルアウタ ３ フロントパネルインナ 10 ワイパーリンフォースメント 13 取付面

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フロントパネルインナにワイパーリンフ
   ォースメントを取り付け、該ワイパーリンフォースメン
   トの取付部とフロントパネルアウタの内面とを接触させ
   て前記フロントパネルインナの外側にフロントパネルア
   ウタを重ねてフロントパネルインナとフロントパネルア
   ウタとを一体にし、前記ワイパーリンフォースメントの
   取付部をフロントパネルアウタの内面側に膨出する湾曲
   面にしたことを特徴とするフロントボデー。