JP2549232Y2 - 合成樹脂製ペン先の取り付け構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】合成樹脂製ペン先のペン先ホルダ
−への取り付け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術とその課題】外皮部から複数のリブを内方
突出させて毛細管力を付与された貫通孔状のインキ通路
を有する合成樹脂製ペン先は、これをインキ吸蔵体に直
接接続することが一般的であるが、いわゆる生インキ式
筆記具の場合を含め、繊維収束体製などのインキ中継芯
に接続することもある。

【０００３】ところが、このようにインキ中継芯と接続
させる場合、直線的なインキ通路を有することから本質
的に高速筆記性に劣る合成樹脂製ペン先の欠点が更に助
長される。ペン先のインキ通路の後端開口部がインキ中
継芯により部分的とは言え閉塞されたり、ペン先との接
続部におけるインキ中継芯の密度が大きくなるなどがそ
の原因とされているところである。

【０００４】これに対し、ペン先のインキ通路の後端開
口部をインキ溜り部に位置させるという考え方を適用す
ることができる。例えば、インキ通路が側壁開口するよ
うにペン先に小径部を形成するようにしたものがある
が、これも、インキ通路の開口部を大きくすることで閉
塞性を低減できるだけでなく、小径部近傍は実質的にイ
ンキ溜り部となることが期待できるので、ペン先へのイ
ンキ供給が改善されると思料される。実際、ボ−ルの後
部に矢溝部と呼ばれるインキ溜り部を有するボ−ルペン
や矢溝部の後部に別のインキ溜り部を設けたボ−ルペ
ン、また、錘りの変位により形成されるインキ溜り部を
有する小管式筆記具や小管ペン先の後部に積極的にイン
キ溜り部を形成した小管式筆記具と言ったように、ペン
先部の後部にインキ溜り部を有するボ−ルペンや小管式
筆記具は、高速筆記性を求められるプロッタなどの自動
製図機にも好ましく使用されている。

【０００５】しかし、合成樹脂製ペン先の場合、ペン先
の後部にインキ溜り部を設けるようにしただけでは、高
速筆記性を十分に改善することはできない。ボ−ルペン
はボ−ルという小さなものの近く、従って、筆記先端に
極めて近いところにインキ溜り部があるし、小管式筆記
具は、小管ペン先の中に挿入される針体（細杆体）の振
動を伴う摺動によるインキ吐出促進作用があるので少々
筆記先端から離れたところにインキ溜り部が存在しても
よいけれど、前述したように、合成樹脂製ペン先の場合
は直線的なインキ通路を有することによる。

【０００６】更に、インキ溜り部を形成する場合の留意
点として、一旦、空気がインキ溜り部に溜ってしまい、
インキの流れを遮断するようになると、筆記そのものが
できなくなることを挙げられる。例えば、前述したイン
キ通路が側壁開口するようにペン先に小径部を形成した
ものの場合、インキ通路の開口部となる小径部の近傍に
空気が溜ってしまうことは致命的である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、外皮部から複
数のリブを内方突出させて毛細管力を付与された貫通孔
状のインキ通路と、前記リブが複数分割し前記インキ通
路が側壁開口する小径後部とを有する合成樹脂製ペン先
を、前方開口するペン先挿入孔と後方開口する中継芯挿
入孔とこれら両孔の接続孔とを有するペン先ホルダ−
に、前記小径後部の先段部が前記ペン先挿入孔に受承さ
れるように挿入固定し、また、前記ペン先の小径後部と
前記ペン先ホルダ−の両者が形成する前記接続孔部分に
おけるインキ通路の横断面積を前記ペン先の貫通孔とし
てのインキ通路の横断面積より大きくし、更に、前記ペ
ン先ホルダ−の中継芯挿入孔には、前方にインキ溜り部
を形成するとともに前記ペン先の小径後部が該インキ溜
り部を延在して接続するように、インキ中継芯を挿入固
定してなる合成樹脂製ペン先の取り付け構造を要旨とす
る。

【０００８】

【実施例】添付図１において、参照符号１は、ポリアセ
タ−ル、ナイロン、ポリエ−テルエ−テルケトン、ポリ
イミドなどよりなるペン先である。溶融樹脂を押出成形
により貫通孔を有する適宜太さの棒状物とした後、寸
断、整形してなる一般的な方法で得られたものであって
よい。

【０００９】このペン先１は、外皮部２と貫通孔状のイ
ンキ通路３と外皮部２が無くてインキ通路３が側壁開口
する小径後部４とを有する。参照符号５は、小径後部４
の先端の段部、即ち、先段部である。ここで、図示の先
段部５は垂直壁部となっている。

【００１０】また、参照符号６はペン先ホルダーであ
る。ペン先１同様に、適宜合成樹脂製として射出成形品
とするのが一般的である。好ましくは、ペン先１より軟
質材料を選択使用する。

【００１１】このペン先ホルダ−６は、前方開口するペ
ン先挿入孔７、後方開口する中継芯挿入孔８、これらペ
ン先挿入孔７と中継芯挿入孔８との接続孔９を有する。
参照符号１０は中継芯挿入孔８に設けた内段部である。

【００１２】ペン先１は、ペン先挿入孔７に前方（図面
左方）から挿入され、接続孔９の前壁にて受承され固定
されている。脱落防止は、接着によったり、ペン先挿入
孔７の内壁との小さくて十分な嵌合力での摩擦嵌合によ
ったりすればよい。

【００１３】ペン先１の小径後部４は、ペン先ホルダー
６の接続孔９を貫挿し、中継芯挿入孔８内へ延び、中継
芯挿入孔８に後方から挿入固定されたインキ中継芯１１
に接続している。

【００１４】ここで、図示のものは、ペン先１の小径後
部４の尖った後端をインキ中継芯１１の先端部に埋入さ
せているが、面状に形成したペン先１の後端をインキ中
継芯１１に当接させるようにすることなどもできる。

【００１５】また、ペン先ホルダ−６の中継芯挿入孔８
の内段部１０は、インキ中継芯１１の挿入位置を決める
とともにインキ溜り部１２を確保するものとなっている
が、インキ中継芯１１の先端にペン先１の小径後部４を
遊挿する凹部を形成し、その凹部をインキ溜り部とする
ことなどもできるので、内段部１０を省略することも可
能である。

【００１６】更に、図示のペン先１の小径後部４は、外
皮部２のみを除去したものとなっており、また、ペン先
ホルダ−６の接続孔９の内径はこの外皮部２の内径に等
しくなっているが、実際には、外皮部２を完全な円形内
径のものとすることはできないし、また、小径後部４と
するのにも寸法ばらつきがあることから、接続孔９の内
径を外皮部２の内径に完全一致させることはできない。
この点については、少なくとも、接続孔９の部分におい
てペン先１の小径後部４とペン先ホルダ−６の両者が形
成するインキ通路の横断面積をペン先１の貫通孔として
のインキ通路３の横断面積より大きくしておくようにす
る。

【００１７】図２は、上述した、接続孔９の部分におけ
るインキ通路の横断面積を貫通孔としてのインキ通路３
の横断面積より大きくしておくようにする手段例を示し
ている。

【００１８】即ち、接続孔９はペン先１の小径後部４と
の間に隙間１３を有するものとなっている。隙間１３は
接続孔９の部分におけるインキ通路の一部となる。横断
面が周状となるこの隙間１３の大きさはペン先１の小径
後部４の小径程度により適宜とでき、従って、容易に上
述条件を満足することができる。

【００１９】また、接続孔９の内径は外皮部２の内径よ
り大きくなっている。このようにすることも、上述条件
を満足する一手段である。

【００２０】次に、図３と図４にペン先１の形状例を示
す。図３は、外皮部２から内方突出するリブ１４が中心
部で相互に一体となっていないものの一例であり、ま
た、リブ１４が中心に向って突出していないものの一例
であり、図４は、リブ１４が中心部で相互に一体となっ
ているものの一例であり、また、リブ１４が中心に向っ
て突出しているものの一例であり、更に、両図は、リブ
１４が主副複種類となっているものの一例である。図示
はしないが、リブ１４として一種のものが複数突出した
ものとすることもできる。尚、図中の点線は小径後部４
としての径を示すが、小径後部４は、リブ１４が複数分
割されたものとなれば、もちろん図示より大径あるいは
小径のものとすることができる。ちなみに、図３のもの
と図４のものとを比較すると、インキ通路３が複数分離
されていない分だけ図３のものの方がインキ吐出性に優
れ、反面、強度の劣ったものとなる。

【００２１】以上の他にも種々なせる。例えば、図１、
図２に対応して示した図５、図６のものは、小径後部４
の先段部５がテ−パ−壁部となっており、ペン先挿入孔
７との間に周状の隙間１５を形成している。この隙間１
５をインキ通路と接続するものとしておくと、この隙間
１５もインキ溜り部として利用できる。また例えば、図
示はしないが、接続孔９を横断面円形のものとするので
はなく、全長にわたるスリットとか凹部とかを有するも
のとしたりすることもできる。

【００２２】

【考案の効果】本考案の合成樹脂製ペン先の取り付け構
造は、外皮部から複数のリブを内方突出させて毛細管力
を付与された貫通孔状のインキ通路と、前記リブが複数
分割し前記インキ通路が側壁開口する小径後部とを有す
る合成樹脂製ペン先を、前方開口するペン先挿入孔と後
方開口する中継芯挿入孔とこれら両孔の接続孔とを有す
るペン先ホルダ−に、前記小径後部の先段部が前記ペン
先挿入孔に受承されるように挿入固定し、また、前記ペ
ン先の小径後部と前記ペン先ホルダ−の両者が形成する
前記接続孔部分におけるインキ通路の横断面積を前記ペ
ン先の貫通孔としてのインキ通路の横断面積より大きく
し、更に、前記ペン先ホルダ−の中継芯挿入孔には、前
方にインキ溜り部を形成するとともに前記ペン先の小径
後部が該インキ溜り部を延在して接続するように、イン
キ中継芯を挿入固定してなるので、ペン先がインキ通路
を狭めるような強い圧縮力をペン先ホルダ−から受ける
ことなく確実に固定できることもあって、インキは、イ
ンキ溜り部からペン先ホルダ−の接続孔部、更に、ペン
先の貫通孔状インキ通路部へと量を減らすことなく供給
され、また、ペン先の小径後部における複数分割された
リブは、実際上、配置関係を互いにばらつかせたものと
なるが、前方に向い次第に整った配置関係となり、従っ
て、毛細管力も前方に向って次第に強いものとなり、し
かも、ペン先はインキ中継芯に接続しているので、仮
に、インキ溜り部に空気が溜っても、この空気がインキ
の流れを遮断することを極力防止でき、更に、ペン先の
小径後部における複数分割されたリブがインキ溜り部に
あって微振動することによるインキ吐出促進並びに空気
によるインキの流れの遮断防止も期待でき、それゆえ、
本考案によれば、プロッタなどの自動製図機に使用する
にも十分実用的な高速筆記性を満足する合成樹脂製ペン
先を有する筆記具を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す縦断面図。

【図２】本考案の他の一実施例を示す縦断面図。

【図３】合成樹脂製ペン先の一形状例を示す横断面図。

【図４】合成樹脂製ペン先の他の一形状例を示す横断面
図。

【図５】本考案のまた他の一実施例を示す縦断面図。

【図６】本考案の更に他の一実施例を示す縦断面図。

【符号の説明】

１ ペン先 ２ 外皮部 ３ インキ通路 ４ 小径後部 ５ 先段部 ６ ペン先ホルダ− ７ ペン先挿入孔 ８ 中継芯挿入孔 ９ 接続孔 １０ 内段部 １１ インキ中継芯 １２ インキ溜り部 １３ 隙間 １４ リブ １５ 隙間

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外皮部から複数のリブを内方突出させて
   毛細管力を付与された貫通孔状のインキ通路と、前記リ
   ブが複数分割し前記インキ通路が側壁開口する小径後部
   とを有する合成樹脂製ペン先を、前方開口するペン先挿
   入孔と後方開口する中継芯挿入孔とこれら両孔の接続孔
   とを有するペン先ホルダ−に、前記小径後部の先段部が
   前記ペン先挿入孔に受承されるように挿入固定し、ま
   た、前記ペン先の小径後部と前記ペン先ホルダ−の両者
   が形成する前記接続孔部分におけるインキ通路の横断面
   積を前記ペン先の貫通孔としてのインキ通路の横断面積
   より大きくし、更に、前記ペン先ホルダ−の中継芯挿入
   孔には、前方にインキ溜り部を形成するとともに前記ペ
   ン先の小径後部が該インキ溜り部を延在して接続するよ
   うに、インキ中継芯を挿入固定してなる合成樹脂製ペン
   先の取り付け構造。