JP2548825B2 - 農作業車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、エンジンからの動力を夫々摩擦クラッチを
介して左右車輪に動力を供給して走行する走行機体に、
作業装置を連結してある農作業車に関する。

〔従来の技術〕

上記農作業車において、従来では、例えば特開昭59−
219529号公報に開示されているように、ハンドルの切れ
角に応じて左右駆動輪に対する駆動系に介装した油圧ク
ラッチをオンオフ制御する構成のものがあった。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来構造においては、走行中は常に上述したよう
な制御が実行されるものであるが、一般に農作業車では
機体の後部に例えばロータリ耕耘装置や苗植付装置等の
作業装置を連結して、機体の走行に伴って耕耘作業や田
植作業を行うものであるが、このような作業走行中にお
いて、上記制御が実行されると、条合わせや姿勢修正操
作時にも機体が振らつくことがあり、操縦が不安定にな
るおそれがあった。

本発明は、合理的構造改良により、上記不具合を解消
する点に目的を有する。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の特徴構成は、冒頭に記載した農作業車におい
て、前記作業装置に対する動力断続用作業クラッチが切
状態であることを検出する作業状態検出手段と、操向用
前輪の操向切れ角を検出する角度検出手段と、前記作業
状態検出手段が検出状態になると、前記角度検出手段に
より検出される切れ角に対応して、旋回内側の前記摩擦
クラッチを減速伝動状態に制御するクラッチ制御手段と
を備えてある点にある。

〔作 用〕

作業装置を駆動しながら走行する場合には、上記クラ
ッチ制御手段が作動せず、左右車輪が常に同一回転数で
回転駆動されるので、湿地等で片側の車輪がスリップし
た場合等においても、片側のみに動力が集中されるとい
ったことがなく、直進走行性が確保される。

又、枕地等において作業クラッチが切状態となると、
前輪の操向切れ角に応じて旋回内側の摩擦クラッチが減
速制御されるので、内側車輪が旋回半径に応じて減速駆
動されることになる。

〔発明の効果〕

その結果、作業走行時には、振らつきのない安定した
直進走行を行うことができ、しかも、枕地旋回時には泥
押しが少なく、枕地を荒らすことのない円滑な旋回走行
を行えるものとなった。又、その切換え作動は自動で行
われるので操作上の煩わしさがなく、作業上の操縦操作
性が向上するものとなった。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第２図に示すように、乗用型走行機体の後部に作業装
置の一例としての苗植付装置（１）を連結して農作業車
の一例としての乗用型田植機を構成してある。

前記苗植付措置（１）は、後下り傾斜姿勢に設けら
れ、一定ストロークで左右往復動する苗のせ台（２）、
苗のせ台（２）の下端から苗を一株づつ切り出して圃場
に植付ける植付爪（３）等を備えて成り、リフトシリン
ダ（４）により、駆動昇降自在に機体に連結してある。
又、前記苗のせ台（２）、植付爪（３）等は、機体前部
に搭載したエンジン（５）の動力を伝動軸（６）を介し
て供給して駆動するように伝動系を構成し、この伝動系
には、機体操縦部（７）に設けてあるクラッチレバー
（８）の操作により入切自在な植付クラッチ（９）〔作
業クラッチの一例〕を介装し、動力伝達を断続できるよ
う構成してある。

走行機体は、エンジン（５）の動力を走行ミッション
（10）を介して左右前輪（11），（11）に供給するとと
もに、第１図にも示すように、伝動軸（12）及び夫々湿
式多板摩擦クラッチ（13L），（13R）を介して左右後輪
（14），（14）に供給して駆動走行するよう構成し、前
記摩擦クラッチ（13L），（13R）は各々油圧ピストン
（15L），（15R）により押圧して入切するよう構成して
ある。又、左右前輪（11），（11）はステアリングハン
ドル（16）の回動操作により操向揺動して旋回走行する
よう構成してある。

そして、前記植付クラッチ（９）が切状態であること
を検出する作業状態検出手段としての検知スイッチ（1
7）をクラッチレバー（８）の近傍に設けるとともに、
前輪（11）の操向切れ角を検出する角度検出手段として
のロータリエンコーダ（18）を操向操作系に配設し、前
記検出スイッチ（17）が検知状態になるとロータリエン
コーダ（18）により検出される切れ角に対応して旋回内
側の摩擦クラッチ（13L），（13R）を減速伝動状態に制
御するクラッチ制御手段としての制御装置（19）を備え
てある。詳述すると、第１図に示すように、各油圧ピス
トン（15L），（15R）に対応する圧油路に夫々電磁制御
弁（20L），（20R）を介装するとともに、制御装置（1
9）が夫々の電磁制御弁（20L），（20R）に対してパル
ス電流を供給して励磁駆動し摩擦クラッチ（13L），（1
3R）を制御するよう構成してある。そして、制御装置
（19）は、検知スイッチ（17）の出力が非検知状態であ
るときは、ロータリエンコーダ（18）からの出力に無関
係に、所定時間大デューティ比（例えば100％）の駆動
電流を両電磁制御弁（20L），（20R）に供給する。又、
検知スイッチ（17）が検知状態であると、ロータリエン
コーダ（18）により検出されたハンドル切れ各に対応し
てデューティ比を少側に変更させてパルス電流を旋回内
側の電磁制御弁（20L），（20R）に供給し、単位時間当
りのクラッチ入時間が短くなって、結果的に旋回内側の
後輪（14）の回転速度が小さくなるよう制御する。

このようにして、枕地旋回の際には、ステアリングハ
ンドル（16）の操向切れ各に対応した左右車輪の相対回
転周速度差が生じ、泥押しのない円滑な旋回走行を行え
ることになり、枕地を乱すことがなく、しかも、作業走
行中に左右車輪の相対周速度差が生じないので直進性が
勝れ、条の位置合わせ等のハンドル操作によっても機体
が振らつくことがなく、植付条の直線性が向上する。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする
為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構
造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る農作業車の実施例を示し、第１図は
制御系統図、第２図は田植機の全体側面図である。 （１）……作業装置、（５）……エンジン、（９）……
作業クラッチ、（13L），（13R）……摩擦クラッチ、
（11），（14）……車輪、（17）……検出手段、（18）
……角度状態検出手段、（19）……制御手段。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジン（５）からの動力を夫々摩擦クラ
   ッチ（13L），（13R）を介して左右車輪（14），（14）
   に動力を供給して走行する走行機体に、作業装置（１）
   を連結してある農作業車であって、前記作業装置（１）
   に対する動力断続用作業クラッチ（９）が切状態である
   ことを検出する作業状態検出手段（17）と、操向用前輪
   （11）の操向切れ角を検出する角度検出手段（18）と、
   前記作業状態検出手段（17）が検出状態になると、前記
   角度検出手段（18）により検出される切れ角に対応し
   て、旋回内側の前記摩擦クラッチ（13L），（13R）を減
   速伝動状態に制御するクラッチ制御手段（19）とを備え
   てある農作業車。