JP2547779Y2 - 建設工事用ロングスパンエレベータのフロアゲートロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は建築中の建造物の各階で
作業員や資材等を搬入・搬出するのに用いる建設工事用
ロングスパンエレベータのフロアゲートロック装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】中高層建造物の建築工事においては、建
造物の各階での作業員や資材等の搬入・搬出を可能にす
るために、ロングスパンエレベータが用いられており、
各階にはこのエレベータにより運搬する資材等を搬入・
搬出するための仮設フロアが設けられており（実公昭５
６−２９３５０号公報参照）、そして、この仮設フロア
には、作業員や資材等の落下防止のため、フロアゲート
が設置されており、作業員の不注意によりフロアゲート
を誤って開放した場合や、資材等の搬入・搬出後、フロ
アゲートを閉め忘れた場合、仮設フロアから作業員や資
材等の落下事故が発生するという危険性があったので、
安全確保のため、エレベータが当該階に停止していると
きのみフロアゲートを開くことができるよう工夫されて
いる。

【０００３】

【考案が解決しようとする問題点】上記目的のロック装
置としては、例えば、実公昭５６−３４１１５号公報に
記載の技術がある。この技術は、エレベータが各階の正
常位置に停止した時、エレベータ側に設けられた接触板
が仮設足場（仮設フロア）側に設置された連杆（リミッ
トスイッチ）に当接して連杆が回動することによって、
連杆から離れた位置に設置され且つ手摺（フロアゲー
ト）の係止を開・閉錠しているストッパ機構のロックを
解除できるようにしたものであるが、連杆とストッパ機
構とはワイヤで緊結されており、連杆の回動の作動がワ
イヤによってストッパ機構へ伝えられてストッパを作動
させているため、ストッパの作動が緩慢であるばかりで
なく不正確となり易い嫌いがあり、また、長期間に及ぶ
頻繁な使用によるワイヤの切断等の問題や、ワイヤの検
査や取換えを定期的に行う必要がある外、更に、エレベ
ータが正常位置に停止していない場合や他の階へ停止し
ている場合であっても、連杆に資材等が誤って接触した
場合等には、ロック装置の作動が機械的であるためロッ
クが解除される虞がある。

【０００４】本願考案者は、上記を解決すべく、先に、
実願昭６０−３８９３４号（実開昭０−００００号）に
よりフロアゲートロック装置を明らかにしたが、本考案
はこれを更に改良したものである。

【０００５】即ち、先のロック装置は、各階に配置され
る各階スイッチ（リミットスイッチ）にロングスパンエ
レベータに設けられている接触板が一定時間接触すると
ロック装置内のソレノイドが作動してキー部材を移動さ
せるので、手操作による押棒の押し下げが可能となり、
押棒を押し下げるとフロアゲートの端部支柱に設けられ
ている係止片に係合するロックピンが移動して、ロック
を解除し、フロアゲートの開動作が可能になるものであ
った。

【０００６】然しながら、この装置では、押棒の周囲か
ら雨水の侵入があり、内部の腐食や感電・漏電の防止に
問題があるだけでなく、常時通電状態を維持する必要が
あることから、省エネルギに課題を残し、また、機械式
の部分が多く製造コストの高いものであり、また、操作
も若干繁雑であった。

【０００７】本考案は、上記の難点を解決した建設工事
用ロングスパンエレベータのフロアゲートロック装置を
明らかにすることを目的とするものである。

【０００８】本考案の上記課題は、 １．フロアゲートの端部支柱が係合する一対の鍬形状の
ロック部材はバネにより開方向に付勢されており、その
基部に、ソレノイドによって作動するキー部材が係合し
て、開動作が禁止されるよう構成されており、ロングス
パンエレベータに設けられている接触板が当該階の各階
スイッチに接触しており、且つ、ロック装置に近接して
設けられている手動スイッチが押された場合にのみソレ
ノイドが作動してロック部材の基部からキー部材がはず
れ、ロック部材はバネの力により開動作を行い、端部支
柱の引き出しが可能となることを特徴とする建設工事用
ロングスパンエレベータのフロアゲートロック装置、 ２．フロアゲートの端部に、開口ないし切欠部などの係
合部を持つフックが用意されており、このフックにソレ
ノイドのロッドが係合して、開動作が禁止されるよう構
成されており、ロングスパンエレベータに設けられてい
る接触板が当該階の各階スイッチに接触しており、且
つ、ロック装置に近接して設けられている手動スイッチ
が押された場合にのみソレノイドが作動してフックから
ソレノイドのロッドがはずれて、ロック解除となること
を特徴とする建設工事用ロングスパンエレベータのフロ
アゲートロック装置、 ３．フックに、ソレノイドのロッドの運動に従って作動
するロックないしキー部材が係合することを特徴とする
前記２に記載の建設工事用ロングスバンエレベータのフ
ロアゲートロック装置、の各々によって達成される。

【０００９】

【実施例】次に、添付図面に示す実施例に従って本考案
を更に詳細に説明する。

【００１０】図１において、１はフロアゲートであり、
その端部支柱２がロック装置３によりロックされること
により当該階にロングスパンエレベータ４が停止してい
ない状態ではフロアゲートの開動作ができないように設
定され、また、フロアゲートの閉操作が行われていない
状態では、ロングスパンエレベータの昇降動作ができな
いように設定される。

【００１１】ロック装置３は次のように構成される。３
１は鍬形のロック部材であり、バネにより開方向に付勢
されている。ロック部材３１が端部支柱２を抱き込んだ
状態を維持させるには、ソレノイド３２のロッドの先端
に形成されるキー部材３３がロック部材３１の基部には
まり込んで、バネに抗してロック部材３１を閉方向に付
勢することによって行われる。ソレノイド３２の解除は
手動スイッチ３４の操作により行われる。

【００１２】端部支柱２がロック部材３１に係合してい
るか否かはリミットスイッチ３５により検知される。

【００１３】他方、ロングスパンエレベータ４の当該階
での存在・不存在は、各階毎に設けられている各階スイ
ッチ３６に、ロングスパンエレベータ４に配置されてい
る接触板４１が接触することにより検知される。

【００１４】次に上記した装置の機能を説明する。

【００１５】エレベータが別階にあるとき： 各階スイッチ３６はＯＦＦとなっており、手動スイッチ
３４を押してもソレノイド３２は作動せず、ロック部材
３１はキー部材３３の存在により開動作を行うことはで
きず、従って、フロアゲート１を開くことはできない。

【００１６】エレベータが当該階で停止していると
き： 各階スイッチ３６は接触板４１の接触によりＯＮ状態と
なっており、手動スイッチ３４を押し続けることによ
り、ソレノイド３２が作動し、内部のバネに抗してロッ
ドが上方向に移動して停止し、キー部材３３によるロッ
ク部材３１の基端固定が解除される結果、ロック部材３
１はバネの力によって開状態となり、端部支柱２の引き
出してフロアゲート１を開くことが可能となる。

【００１７】手動スイッチ３４の押し動作をやめると、
ソレノイド３２の作動が停止し、内部のバネによりロッ
ドが下降してキー部材３３がロック部材３１の基部には
まり込むことになる。

【００１８】端部支柱２のロック部材３１からの引き出
しによってリミットスイッチ３５がＯＮまたはＯＦＦと
なり、エレベータ駆動系の回路がＯＦＦとなる結果、フ
ロアゲート１を開いたままの状態でのロングスパンエレ
ベータ４の操作が禁止される。

【００１９】フロアゲート１を閉めてロックを行うに
は、手動スイッチ３４を押し続けながら、ロック部材３
１を開にしておいて、端部支柱２をロック部材３１に係
合し、手動スイッチ３４を離せば、ソレノイド３２がＯ
ＦＦとなり、キー部材３３が下降してロック部材３１の
開動作を禁止し、ロック完了となる。なお、端部支柱２
をロック部材３１に係合する動作に伴ってリミットスイ
ッチ３５がＯＦＦ又はＯＮとなり、エレベータ駆動系の
回路がＯＮとなり、昇降操作が可能となる。

【００２０】図２・３は他の実施例を示している。図２
の実施例は、ソレノイド３２のロッドが、端部支柱２に
用意されるフック３７に直接に係合してロックを行うも
のであり、図３のものは、ソレノイド３２とフック３７
との間にロックないしキー部材３８を介在させるもので
ある。

【００２１】このような実施例では、図１に示したリミ
ットスイッチ３５は、端部支柱２に接触するのではな
く、フック３７に接触して作動するものであってもよ
い。

【００２２】

【考案の効果】従来のロック装置では、押棒で押す機
械式の為に操作が繁雑であった点が、本考案の装置によ
れば、押しボタンスイッチで手軽に操作できるよう改良
され、押棒の取り付け穴より雨水の侵入で感電災害が
生じ、サビ腐食によってのトラブルが多く破損の原因と
なっていた点が、カバー全体が密閉され押しボタンスイ
ッチを防水式にしたので、雨水の侵入が少なくなるよう
改良され、絶えず各階ソレノイドに通電が有り危険で
あり、又、電気料の大幅アップになっていた点が、押し
ボタンスイッチを押してからソレノイドに通電するよう
改良され、各階フロアゲート開閉の使用頻度が激し
く、押棒と穴の噛み合わせ、及びキー部材の曲がり変形
等でトラブルが発生していた点が、機械的付属品が省略
され、押しボタンスイッチで作動するのでトラブルが発
生しないよう改良され、大型で重量があり取り付けが
困難であった点が、コンパクトになり取り付けが容易と
なり、製作費も安価で修理も簡単であるよう改良された
ので頭記した課題が解決される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す分解斜視図。

【図２】他の実施例を示す斜視図。

【図３】他の実施例を示す斜視図。

【符号の説明】

１ フロアゲート ２ 端部支柱 ３ ロック装置 ４ ロングスパンエレベータ ３１ ロック部材 ３２ ソレノイド ３３ キー部材 ３４ 手動スイッチ ３５ リミットスイッチ ３６ 各階スイッチ ３７ フック ３８ ロックないしキー部材 ４１ 接触板

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フロアゲートの端部支柱が係合する一対の
   鍬形状のロック部材はバネにより開方向に付勢されてお
   り、その基部に、ソレノイドによって作動するキー部材
   が係合して、開動作が禁止されるよう構成されており、
   ロングスパンエレベータに設けられている接触板が当該
   階の各階スイッチに接触しており、且つ、ロック装置に
   近接して設けられている手動スイッチが押された場合に
   のみソレノイドが作動してロック部材の基部からキー部
   材がはずれ、ロック部材はバネの力により開動作を行
   い、端部支柱の引き出しが可能となることを特徴とする
   建設工事用ロングスパンエレベータのフロアゲートロッ
   ク装置。
2. 【請求項２】フロアゲートの端部に、開口ないし切欠部
   などの係合部を持つフックが用意されており、このフッ
   クにソレノイドのロッドが係合して、開動作が禁止され
   るよう構成されており、ロングスパンエレベータに設け
   られている接触板が当該階の各階スイッチに接触してお
   り、且つ、ロック装置に近接して設けられている手動ス
   イッチが押された場合にのみソレノイドが作動してフッ
   クからソレノイドのロッドがはずれて、ロック解除とな
   ることを特徴とする建設工事用ロングスパンエレベータ
   のフロアゲートロック装置。
3. 【請求項３】フックに、ソレノイドのロッドの運動に従
   って作動するロックないしキー部材が係合することを特
   徴とする請求項２に記載の建設工事用ロングスパンエレ
   ベータのフロアゲートロック装置。