JP2547653Y2 - 施釉タイルの整列装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、駆動形態の異なるコン
ベアを三つ連設することで、二つ割りを予定する施釉タ
イル生素地を所定間隔ごとに整列する装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】二つ割りを予定するタイル（以下は、ス
プリットタイルという）は、湿式による押出成形により
連続して成形され、所定長さに粗切りされた後、図４に
示すように正確な寸法に切断される。そして、乾燥の
後、タイル生素地の表面１ａ及び裏面１ｂの両面に施釉
され、焼成される。最後に、施釉タイル生素地１の押出
両側面１ｃ及び１ｄに形成された分割案内溝２ａ及び２
ｂを通じて同図の上下に分割され、一つのスプリットタ
イルから二つの製品タイルを得るようにしている。

【０００３】而して、このようなスプリットタイルは、
その表裏の両面１ａ及び１ｂが施釉されるものであり、
施釉後のタイル生素地１は、この表裏両面１ａ又は１ｂ
のいずれか一方をコンベアに載置して長時間搬送するこ
とはできない。その理由は、表裏両面１ａ及び１ｂに塗
布された釉薬が搬送途中においてコンベアと擦れて疵付
き、不良品を多く発生するためである。そのため、スプ
リットタイルの施釉タイル生素地１は、その表裏両面１
ａ及び１ｂ以外の面をコンベアに載置する必要があり、
通常は施釉タイル生素地１の押出側面１ｃ又は１ｄのい
ずれか一方をコンベアに載置して搬送するようにしてい
る。

【０００４】施釉された後のタイル生素地１は、図５に
示すように、セッター３の上にスペーサ４を介して段積
み移載され、ローラハースキルン等の炉で焼成され、最
後に二分割されて製品とされる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】ところで、前記施釉タ
イル生素地１のセッター３への段積み移載は、施釉タイ
ル生素地１の表裏両面１ａ及び１ｂが施釉面であること
からこれを機械的手段によって自動的に挟持移載するこ
とは出来ない。またコンベア上でのタイル生素地１は、
その整列状態が不揃いであるため、タイル生素地１の押
出両側面１ｃ及び１ｄをそのままの状態で機械的手段に
よって挟持移載して自動的に焼成用のセッター３へ段積
みすることも出来ない。そのため、実際にあっては、作
業員が手作業で所定間隔ごとに整列移載しているのが現
状であり、極めて非能率的である。所定間隔ごとに整列
するのは、焼成炉において各施釉タイル生素地１の各面
から全体に万遍なく熱が伝わるようにするためである。
つまり、焼成ムラを防止するために必ず行われるもので
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は従来の前記課題
に鑑みてこれを改良除去したものであって、二分割を予
定するスプリットタイルを複数個のコンベアを用いて自
動的に整列することのできる装置を提供せんとするもの
である。

【０００７】而して、前記課題を解決するために本考案
が採用した手段は、焼成後に二つ割りを予定する表裏両
面を施釉したタイル生素地を縦置きで搬送する搬入コン
ベアと、該搬入コンベアに連続して配設され、間歇駆動
して前記施釉タイル生素地を押せ押せ状態で整列する間
歇駆動コンベアと、該間歇駆動コンベアに連続して配設
された整列コンベアとから成り、前記各コンベアはそれ
ぞれ所定幅の帯状のものが複数本ずつ交互に配置されて
搬入コンベアの終端側と間歇駆動コンベアの終端側とで
一部重複しており、間歇駆動コンベアと整列コンベアと
はこの重複する部分からそれより以前のコンベアよりも
高くなるように緩やかな登り坂に設定された部分を有
し、整列コンベアは、駆動タイミングが間歇駆動コンベ
アに同期すると共に間歇駆動コンベアよりも高速度で駆
動されることを特徴とする施釉タイルの整列装置であ
る。

【０００８】

【作用】本考案にあっては、搬入コンベア上にアトラン
ダムに搬入された二分割を予定するスプリットタイルの
施釉タイル生素地は、該搬入コンベアに連続して設置さ
れた間歇駆動コンベアに自動的に移載される。この間歇
駆動コンベアは、搬入コンベアから施釉タイル生素地が
一個移載されて来るごとに間歇駆動する。一回の間歇駆
動でコンベアが動く距離は、施釉タイル生素地の一個分
の幅に相当する寸法である。そのため、施釉タイル生素
地はアトランダムな状態から隣接するタイルの施釉面ど
うしが接合した押せ押せの状態で整列されることにな
る。

【０００９】そして、間歇駆動コンベアの終端側の施釉
タイル生素地は、次の整列コンベアへ移載されるように
なる。この整列コンベアは、前記間歇駆動コンベアに同
期して駆動され、しかも駆動速度は間歇駆動コンベアよ
りも高速度に設定されている。また整列コンベアは、間
歇駆動コンベアの終端側で一部が重複し、ゆるやかな登
り坂となった部分を有している。そのため、施釉タイル
生素地は、この登り坂となった部分で下方からすくい上
げられ、移載に際しての損傷がない。また整列コンベア
上に移載された施釉タイル生素地は、先行する施釉タイ
ル生素地と所定間隔開けられた状態で整列搬送されるこ
とになる。このように施釉タイル生素地を所定間隔ごと
に自動的に整列することにより、機械を用いて自動的に
移載することができ、ライン全体を自動化することが可
能である。

【００１０】

【実施例】以下に、本考案の構成を図面に示す実施例に
基づいて説明すると次の通りである。なお、従来の場合
と同一符号は同一部材である。

【００１１】図１乃至図３は本考案の一実施例に係るも
のであり、図１は整列ラインの全体を示す配置図、図２
はコンベアどうしの接続部を示す平面図、図３はコンベ
アどうしの接続部を示す側面図である。図１に示すよう
に、この実施例にあっては、施釉ラインの搬出コンベア
５と直交する方向に整列ラインの搬入コンベア６が配設
されている。この搬入コンベア６は、連続的に駆動され
るものである。搬入コンベア６の終端側の両サイドに
は、透過型の光電検出センサー７ａ及び７ｂが配設さ
れ、施釉タイル生素地１がこの位置へ搬送されて来たか
どうかを検出するようになっている。

【００１２】また搬入コンベア６の終端側には、図２及
び図３に示す如く、該搬入コンベア６に連続して同軸上
の回転プーリを有する間歇駆動コンベア８が配設されて
いる。搬入コンベア６と間歇駆動コンベア８とは、それ
ぞれ所定幅の帯状のものが複数本ずつ交互に配設されさ
れたものであり、搬入コンベア６の終端側でその一部が
重複している。そして、間歇駆動コンベア８は、この重
複する部分から搬入コンベア６よりも高くなるように緩
やかな登り坂に設定された部分を有している。また、間
歇駆動コンベア８は、前記搬入コンベア６から施釉タイ
ル生素地１が一個供給されるごとに、施釉タイル生素地
１の一個分の幅に相当する寸法分だけ前進するようにな
っている。

【００１３】更に、間歇駆動コンベア８の終端側には、
図２及び図３に示す場合と同様に、該間歇駆動コンベア
８に連続して同軸上の回転プーリを有する整列コンベア
９が間歇駆動コンベア８と一部重複して配設されてい
る。従って、整列コンベア９も 間歇駆動コンベア８と同
じように、所定幅の帯状のもの複数本から成り、間歇駆
動コンベア８と交互に配置されている。そして、前記重
複する部分から間歇駆動コンベア８よりも高くなるよう
に緩やかな上り坂に設定された部分が設けられている。
また、この整列コンベア９は、駆動タイミングが前記間
歇駆動コンベア７と同期するように設定されている。然
しながら、その駆動速度は間歇駆動コンベア８よりも高
速度となるように設定されている。

【００１４】更にまた、整列ラインの隣には、段積みラ
インが併設されている。段積みラインは、セッター３の
供給コンベア１０と、該セッター供給コンベア１０の隣
に併設されたスペーサ４の供給コンベア１１とより成っ
ている。而して、整列駆動コンベア９の終端側には、整
列コンベア９と供給コンベア１０との間を移動する施釉
タイル生素地１の挟持移載部１２と、供給コンベア１０
と供給コンベア１１との間を移動するスペーサ４の吸着
移載部１３とを備えた移載装置１４が配設されている。

【００１５】次に、上述の如く構成された整列装置の動
作態様を説明する。先ず、前工程の施釉ラインにおい
て、その表裏の両面１ａ及び１ｂに釉薬が塗布された施
釉タイル生素地１は、押出側面１ｃ又は１ｄのいずれか
一方がコンベアと接触し、小口端面１ｅ及び１ｆは進行
方向を向いた姿勢で搬送される。これは、施釉面をコン
ベアに直接載置して搬送することは極力避ける必要のあ
ることと、押出側面１ｃ又は１ｄを載置面として搬送す
る場合の方が安定性に優れているからである。

【００１６】而して、施釉ラインの搬出コンベア５の終
端側へ達した施釉タイル生素地１は、該搬出コンベア５
と直交する方向へ駆動する搬入コンベア６にアトランダ
ムに移載される。搬入コンベア６は連続して一定速度で
駆動している。そして、施釉タイル生素地１が該搬入コ
ンベア６の終端側に到達すると、これを光電検出センサ
ー７ａ及び７ｂが検知し、次の間歇駆動コンベア８及び
整列コンベア９を同期させて駆動させる。間歇駆動コン
ベア８の一回の駆動距離は、施釉タイル生素地１の縦置
き状態での幅寸法分に相当する。従って、間歇駆動コン
ベア８では施釉タイル生素地１は押せ押せの状態で整列
されることになる。

【００１７】一方、間歇駆動コンベア８の終端側で同軸
上のプーリを介して接続された整列コンベア９は、前記
光電検出センサー７ａ及び７ｂの信号により間歇駆動コ
ンベア８と同期して駆動する。そして、この場合に、間
歇駆動コンベア８よりも高くなるようにゆるやかな登り
坂に設定された部分で、施釉タイル生素地１を下方から
すくい上げ、当該整列コンベア９への取り込みに際し、
施釉タイル生素地１を損傷させることがない。

【００１８】また、前記整列コンベア９はその駆動速度
が、間歇駆動コンベア８の駆動速度よりも高速度となる
ように設定されている。そのため、間歇駆動コンベア８
から押せ押せで供給されて来た施釉タイル生素地１は、
整列コンベア９へ移載された後、この整列コンベア９で
先行する施釉タイル生素地１との間に所定の間隙が形成
される。このようにして整列コンベア９上において、所
定数の施釉タイル生素地１が所定間隔ごとに整列された
後は、該整列コンベア９は間歇駆動コンベア８の駆動と
は無関係に単独で駆動し、所定数の施釉タイル生素地群
どうしの間に所定の間隙を形成するようになっている。

【００１９】このようにして整列コンベア９で整列され
た施釉タイル生素地１は、整列コンベア９の終端側で移
載装置１４の挟持移載部１２によってタイルの小口端面
（切断端面）１ｅ及び１ｆを挟持され、隣位の供給コン
ベア１０によって段積み部へ搬送されて来たセッター３
の上に移載される。このとき、移載装置１４の吸着移載
部１３は、供給コンベア１１によって搬送されて来たス
ペーサ４を吸着するようになっている。そして、次に移
載装置１４は、挾持移載部１２が整列コンベア９の次の
施釉タイル生素地群を挟持するように移動し、このとき
吸着移載部１３はセッター３上へ移載された施釉タイル
生素地群の上にスペーサ４を移載するようになっている
（図５参照）。

【００２０】以後は、上述の動作を繰り返し、施釉タイ
ル生素地１を所定段数段積みするようになっている。段
積みが終了した後は、供給コンベア１０が間歇駆動し、
段積みされた施釉タイル生素地１をローラハースキルン
等の焼成炉へ搬出するすると共に、新たにセッター３を
段積み位置へ搬入するようになっている。以上が施釉タ
イル生素地１の整列から段積み工程までの１サイクルで
ある。以後は、上述の各動作を繰り返し、整列と段積み
とを繰り返して行うようになっている。

【００２１】ところで、本考案は上述した実施例に限定
されるものではなく、適宜の変更が可能である。例え
ば、搬入コンベア６の終端側において、施釉タイル生素
地１が搬入されて来たかどうかを検出する手段として
は、透過型の光電検出センサー７ａ及び７ｂ以外にも反
射型の光電検出センサーや超音波センサー，リミットス
イッチ等が適用可能である。

【００２２】

【考案の効果】以上説明したように本考案にあっては、
搬入コンベアと、間歇駆動コンベアと、該間歇駆動コン
ベアと同期して駆動されると共に駆動速度が間歇駆動コ
ンベアよりも高速度に設定された整列コンベアとの三つ
のコンベアを組合せて施釉タイル生素地を搬送すること
により、施釉タイル生素地を所定間隔ごとに自動的に整
列することができる。そのため、機械を用いて自動的に
段積移載ができ、スプリットタイルの製造ライン全体の
自動化が実現できる。

【００２３】また搬入コンベアから間歇駆動コンベアへ
の移載及び間歇駆動コンベアから整列コンベアへの施釉
タイル生素地の移載に際し、整列コンベアが施釉タイル
生素地の下方からこれをすくい上げて取り込むことがで
きるので、施釉タイル生素地を損傷させることがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る施釉タイル生素地の製造ラインを
示す平面図である。

【図２】本考案に係るコンベアどうしの接続部の一例を
示す平面図である。

【図３】本考案に係るコンベアどうしの接続部の一例を
示す側面図である。

【図４】本考案が対象とするスプリットタイルを示す斜
視図である。

【図５】施釉タイル生素地の段積み状態を示す側面図で
ある。

【符号の説明】

１…施釉タイル生素地 ３…セッター ４…スペーサ ５…施釉ラインの搬出コンベア ６…搬入コンベア ８…間歇駆動コンベア ９…整列コンベア

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 板野 浩平 愛知県常滑市鯉江本町５丁目１番地 株 式会社イナックス内 (72)考案者 高口 勉 愛知県常滑市鯉江本町５丁目１番地 株 式会社イナックス内 (72)考案者 井上 光好 愛知県常滑市北条１丁目131番地 鍛治 島工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭54−81586（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】焼成後に二つ割りを予定する表裏両面を施
   釉したタイル生素地を縦置きで搬送する搬入コンベア
   と、該搬入コンベアに連続して配設され、間歇駆動して
   前記施釉タイル生素地を押せ押せ状態で整列する間歇駆
   動コンベアと、該間歇駆動コンベアに連続して配設され
   た整列コンベアとから成り、前記各コンベアはそれぞれ
   所定幅の帯状のものが複数本ずつ交互に配置されて搬入
   コンベアの終端側と間歇駆動コンベアの終端側とで一部
   重複しており、間歇駆動コンベアと整列コンベアとはこ
   の重複する部分からそれより以前のコンベアよりも高く
   なるように緩やかな登り坂に設定された部分を有し、整
   列コンベアは、駆動タイミングが間歇駆動コンベアに同
   期すると共に間歇駆動コンベアよりも高速度で駆動され
   ることを特徴とする施釉タイルの整列装置。