JP2547158B2 - 風呂装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は風呂装置、特に、入浴水
に溶解させた炭酸ガスによって疲労回復や健康増進に貢
献し得るようにした風呂装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術及び課題】遊離炭酸を含有する炭酸泉に入浴
すると、該炭酸泉内の炭酸成分が皮膚下の毛細血管に作
用して該毛細血管を拡張させ、これにより入浴者の血行
が改善されて該入浴者の疲労回復や健康増進が図れる。
かかる疲労回復等を図るべく入浴水に炭酸ガスを溶解さ
せるようにした風呂装置として概略図２の如きものを提
案した。

【０００３】浴槽(3) と気体排出装置(6) 等を繋ぐ循環
流路(4) には、該気体排出装置(6)の上流側に位置させ
て循環ポンプ(41)が配設されていると共に、該循環ポン
プ(41)の上流側には、三方継ぎ手(44)が配設されいる。
また、該三方継ぎ手(44)には給湯機(1) の燃焼排気を吸
引する気体回路(17)の下流端が接続されており、該気体
回路(17)に於ける上記三方継ぎ手(44)の接続部近傍に
は、排ガス弁(21)が設けられている。

【０００４】又、上記気体回路(17)の上流端には、外周
に多数の透孔を有する排ガス吸引管(18)が設けられてお
り、該排ガス吸引管(18)は、上記した給湯機(1) の燃焼
排気路(10)内に配設されている。図示しない炭酸泉スイ
ッチを投入すると、給湯機(1) のガスバーナ(26)が燃焼
すると共に、気体回路(17)に配設された排ガス弁(21)が
開弁し、更に、循環ポンプ(41)と気体排出装置(6) が作
動する。すると、循環流路(4) 内の水流に因るエゼクタ
効果で、給湯機(1) の燃焼排気路(10)内に発生した燃焼
排気が排ガス吸引管(18)→気体回路(17)→排ガス弁(21)
→三方継ぎ手(44)と流れて上記循環流路(4) を循環する
入浴水に供給せしめられる。

【０００５】すると、上記三方継ぎ手(44)から供給され
た前記燃焼排気中の炭酸ガスは、循環流路(4) 内を流れ
る入浴水と共に下流側の気体排出装置(6) 部分に送ら
れ、その間に前記炭酸ガスが殆ど入浴水に溶解する。そ
して、上記循環流路(4) 内の入浴水に溶解しない余剰の
炭酸ガスや一酸化炭素等の有害成分は、気体排出装置
(6) 部分で分離されて大気中に放出される。

【０００６】これにより、上記気体排出装置(6) を通過
した入浴水は所定量の炭酸ガスを含有することとなり、
該炭酸ガスを含有した入浴水が浴槽(3) 内に供給されて
これが炭酸泉の状態になる。しかしながら、上記のもの
では、ガスバーナ(26)が不完全燃焼状態に陥ると浴室内
の一酸化炭素の量が該浴室の自然換気能力を越えて増加
する場合があり、十分な安全状態が確保できなくなって
しまうという問題があった。

【０００７】上記問題点について更に詳述する。上記先
行技術のものでは、ガスバーナ(26)が不完全燃焼してそ
の燃焼排気中の一酸化炭酸濃度が増加すると、循環流路
(4) の通水内に溶解する一酸化炭素の量も増加し、浴槽
(3) 内の入浴水中には多量の一酸化炭素が溶解した状態
になる。すると、該浴槽(3) 内の入浴水中から抜け出し
て浴室内に放出される一酸化炭素の量も増加し、これに
より、該浴室内の一酸化炭素の量が該浴室の自然換気能
力を越えて増加することとなる。このことから、上記先
行技術のものでは浴室内の十分な安全状態が確保できな
くなってしまうのである。

【０００８】本発明はかかる点に鑑みてなされたもの
で、『浴槽(3) と気体排出装置(6) を循環する循環流路
(4) と、給湯機(1) からの燃焼排気を吸引してこれを上
記気体排出装置(6) の上流側流路内に供給する気体回路
(17)と、上記浴槽(3) 内の入浴水を前記循環流路(4) 内
で強制循環させる循環ポンプ(41)を具備し、給湯機(1)
を燃焼させると共に循環ポンプ(41)を駆動させて入浴水
中の炭酸濃度を高めるようにした風呂装置』に於いて、
給湯機(1) が不完全燃焼状態に陥った際に浴室内の安全
状態が確保できるようにすることをその課題とする。

【０００９】

【技術的手段】上記課題を解決するための本発明の技術
的手段は、『気体回路(17)内を流れる燃焼排気中の一酸
化炭酸濃度が設定値以上になった際に異常信号を出す濃
度判定装置を設け、該濃度判定装置から上記異常信号が
出たときは前記ガスバーナ(26)を消火させると共に循環
ポンプ(41)を停止状態に維持するようにした』ことであ
る。

【００１０】

【作用】上記技術的手段は次のように作用する。入浴水
中の炭酸濃度を高めるときは、既述先行技術と同様に給
湯機(1) のガスバーナ(26)を燃焼させると共に循環流路
(4) の循環ポンプ(41)を駆動状態に維持する。

【００１１】そして、上記動作中に於いては、気体回路
(17)を流れる燃焼排気中の一酸化炭酸濃度は濃度判定装
置で常に監視されている。次に、給湯機(1) のガスバー
ナ(26)が不完全燃焼状態に陥ると、この際に上記気体回
路(17)を流れる燃焼排気中の一酸化炭酸濃度を前記濃度
判定装置が判断して該判定装置から異常信号が出力され
る。そして、該異常信号によって、給湯機(1) のガスバ
ーナ(26)が消火せしめられると共に循環ポンプ(41)が停
止状態に維持され、入浴水に炭酸ガスを溶解させる動作
が停止する。これにより、該入浴水中に一酸化炭素が溶
解する現象も停止する。

【００１２】

【効果】本発明は次の特有の効果を有する。給湯機(1)
のガスバーナ(26)が不完全燃焼したときには該ガスバー
ナ(26)を強制消火させるから、入浴水に一酸化炭素が過
度に溶解しなくなり、該入浴水から抜け出して浴室内に
放出される一酸化炭素の量が多くなる不都合がない。即
ち、上記技術的手段によれば、ガスバーナ(26)が不完全
燃焼した際における浴室内の安全が確保できるのであ
る。

【００１３】

【実施例】次に、上記した本発明の実施例を図１に従っ
て詳述する。浴槽(3) と循環ポンプ(41)の間には既述先
行技術のものと同様に循環流路(4)が形成されており、
前記循環ポンプ(41)としては、この実施例では吐出水圧
を６Kgf/cm² に調整し得る加圧溶解ポンプが使用されて
いる。

【００１４】上記循環ポンプ(41)の下流側には気体排出
装置(6) が配設されており、該気体排出装置(6) は、上
記循環流路(4) 内の循環水に溶解していない燃焼排気を
回収して大気中に放出する機能を具備する。又、上記循
環ポンプ(41)の上流側に配設された三方継ぎ手(44)に
は、給湯機(1) の燃焼排気路(10)から引き出した気体回
路(17)の下流端が接続されていると共に、該気体回路(1
7)の上流端には、側壁に多数の透孔を有する排ガス吸引
管(18)が設けられており、該排ガス吸引管(18)は、上記
した給湯機(1) の燃焼排気路(10)内に配設されている。

【００１５】上記気体回路(17)における前記ガス吸引管
(18)の下流側には、該気体回路(17)を流れる燃焼排気中
の一酸化炭酸濃度を検知するＣＯセンサ(8) と、該気体
回路(17)内の燃焼排気を乾燥させる電気ヒータ(7) が配
設されている。尚、電気ヒータ(7) を設けるのは気体回
路(17)を通過する燃焼排気を加熱乾燥させ、これによ
り、その下流側の排ガス弁(21)を構成する弁体やシール
用のゴム（燃焼排気中の燃焼生成水に弱い）の劣化を防
ぐためである。

【００１６】上記ＣＯセンサ(8) や電気ヒータ(7) は同
図の如く電気接続されており、ＣＯセンサ(8) の出力は
基準値設定器(81)の出力と共に比較器(82)に印加されて
いる。そして、前記基準値設定器(81)の出力は、ガスバ
ーナ(26)が不完全燃焼して気体回路(17)中を流れる燃焼
排気中の一酸化炭酸濃度が許容量を越えた際に於けるＣ
Ｏセンサ(8) が出すこととなる出力値と同じ値に設定し
てある。ここで、上記「許容量」とは、浴槽(3) 内の入
浴水から抜けた一酸化炭素が浴室内に放出されても該浴
室内の安全が十分に確保できるような値に設定してあ
り、浴室の自然換気能力等を考慮して決定されている。
尚、この実施例では、上記ＣＯセンサ(8)と基準値設定
器(81)と更に上記比較器(82)の組み合わせが既述技術的
手段の項に記載の濃度判定装置に対応している。

【００１７】次に、比較器(82)の出力は後述するＴフリ
ップフロップ（以下、ＴＦＦ(83)と略記する）の出力と
共にＡＮＤ回路(84)に印加されており、該ＡＮＤ回路(8
4)の出力は、炭酸泉スイッチ(85)の出力と共にOR回路(8
6)に印加されている。そして、該OR回路(86)の出力はＴ
ＦＦ(83)のクロック入力部に印加されており、該ＴＦＦ
(83)の出力によって、ガスバーナ(26)へのガス回路(26
0) に挿入されたガス弁(261) と気体回路(17)内の排ガ
ス弁(21)が開閉されるようになっている。また、上記Ｔ
ＦＦ(83)の出力によって、気体回路(17)に配設された電
気ヒータ(7) が発熱せしめられると共に循環流路(4) に
挿入した循環ポンプ(41)が駆動せしめられるようになっ
ている。

【００１８】次に、浴槽(3) の側壁と追焚用熱交換器(3
1)を循環する追焚回路(32)には、該追焚用熱交換器(31)
の上流側に位置させて、濾過器(5) と追焚循環ポンプ(3
3)がこの順序で上流に向けて順次配設されている。そし
て、上記濾過器(5) 内には、その内部を通過する通水内
の塵芥を吸着除去する濾材(54)が充填せしめられてお
り、更に、追焚回路(32)における濾過器(5) の上流側近
傍と下流側近傍には、洗浄排水弁(52)と洗浄給水弁(51)
が配設されている。

【００１９】上記洗浄排水弁(52)は、前記濾過器(5) の
入口側を追焚循環ポンプ(33)と排水回路(56)に択一的に
繋げるように切り替わる動作を行うようになっている。
他方、洗浄給水弁(51)には洗浄給湯パイプ(57)が接続さ
れているとともに、該洗浄給湯パイプ(57)の上流端は、
給湯機(1) の給湯回路(11)から分岐させた湯張り回路(1
4)に接続されている。そして、上記洗浄給水弁(51)は、
既述濾過器(5) の出口側を追焚回路(32)の追焚用熱交換
器(31)側と上記洗浄給湯パイプ(57)側に択一的に切り替
える動作を行うようになっている。

【００２０】又、上記給湯回路(11)から分岐させた湯張
り回路(14)は、追焚回路(32)の下流端近傍に接続されて
いるとともに、上記湯張り回路(14)には給湯弁(19)と湯
張り弁(190) が配設されている。次に、上記実施例の風
呂装置の動作の実際を説明する。図示しない湯張りスイ
ッチを投入すると、ガスバーナ(26)が燃焼して給湯機
(1) から温水が供給せしめられると共に、給湯弁(19)と
湯張り弁(190) が開弁して浴槽(3) 内への湯張り動作が
進行する。そして、該浴槽(3) 内水位が設定水位に達す
ると、これを図示しない水位センサが検知して給湯弁(1
9)及び湯張り弁(190) が閉弁せしめられて湯張り動作が
停止する。

【００２１】次に、浴槽(3) 内が自然に温度低下する
と、これを図示しない温度センサが検知し、追焚循環ポ
ンプ(33)が動作すると共に追焚用熱交換器(31)用の追焚
バーナ(36)が燃焼する。これにより、浴槽(3) 内の入浴
水は、追焚循環ポンプ(33)→濾過器(5) →追焚用熱交換
器(31)→浴槽(3) と循環加熱されて浴槽(3) 内が設定温
度まで追焚きされる。なお、この追焚きの際には、洗浄
排水弁(52)は追焚循環ポンプ(33)と濾過器(5) を繋ぐ姿
勢に、又、洗浄給水弁(51)は濾過器(5) と追焚用熱交換
器(31)を繋ぐ姿勢をそれぞれ維持している。

【００２２】次に、浴槽(3) 内の入浴水の炭酸濃度を高
める場合の動作を説明する。炭酸泉スイッチ(85)を投入
すると、ＴＦＦ(83)の出力によってガス弁(261) が開弁
すると共に図示しない点火装置が作動してガスバーナ(2
6)が燃焼状態に維持される。また、上記ＴＦＦ(83)の出
力によって、気体回路(17)内の電気ヒータ(7) が発熱せ
しめられると共に、該気体回路(17)内の排ガス弁(21)が
開弁せしめられ、更に、循環流路(4) の循環ポンプ(41)
が駆動せしめられる。

【００２３】すると、既述先行技術と同様に浴槽(3) 内
の入浴水が循環流路(4) 内で循環し始め、この循環水の
流れに基づくエゼクタ効果で、給湯機(1) の燃焼排気路
(10)内に発生した燃焼排気が上記循環流路(4) を循環す
る入浴水に混入せしめられる。すなわち、上記燃焼排気
は、給湯機(1) の燃焼排気路(10)内に配設された排ガス
吸引管(18)→気体回路(17)→排ガス弁(21)→三方継ぎ手
(44)→循環流路(4) の経路で該循環流路(4) 内を流れる
入浴水に混入されるのである。爾後、既述先行技術と同
様に、上記燃焼排気を含有する循環流路(4) 内の水は、
循環ポンプ(41)の作用で気体排出装置(6) 部分に送られ
ると共に、該気体排出装置(6) に到達するまでの間に上
記燃焼排気内の炭酸ガスのほとんどが前記循環流路(4)
内の水に溶解する。又、該炭酸ガスの溶解時には、上記
循環ポンプ(41)（この実施例では上述のように加圧溶解
ポンプが採用されている）の加圧力によって前記炭酸ガ
スの溶解現象が助長される。そして、上記循環流路(4)
内の水に溶解しない余剰の炭酸ガスや一酸化炭素は、気
体排出装置(6) に到達した際に、これで分離されて大気
中に放出される。

【００２４】これにより、上記気体排出装置(6) から流
出する水は所定量の炭酸ガスを含有することとなり、該
炭酸ガスを含有した水は浴槽(3) 内に供給されて入浴水
の炭酸濃度を高め、これにより該浴槽(3) 内を炭酸泉の
状態にする。一方、上記入浴水の炭酸濃度を高める上記
動作を実行している際には、上記気体回路(17)を流れる
燃焼排気中の一酸化炭酸濃度が常にＣＯセンサ(8) やそ
の出力を判断する比較器(82)等で監視されている。そし
て、該ＣＯセンサ(8) の出力が基準値設定器(81)の設定
値以上になると（ガスバーナ(26)が不完全燃焼した場
合）、比較器(82)から異常信号が出ることとなり、該異
常信号によってＴＦＦ(83)が「Ｌ」信号を出す。即ち、
ガス弁(261) が閉弁してガスバーナ(26)が消火状態に維
持されると共に、循環流路(4) の循環ポンプ(41)が停止
せしめられて入浴水の炭酸濃度を高める動作が強制的に
停止せしめられるのである。また、気体回路(17)に設け
られた電気ヒータ(7) の発熱動作が停止せしめられ、更
に、排ガス弁(21)が閉弁状態に維持され浴室内の安全状
態が確保される。

【００２５】次に、入浴水の炭酸濃度を高める上記動作
を実行している際には、給湯機(1)で加熱生成された温
水は、追焚回路(32)内に配設された濾過器(5) を逆流し
てこれを洗浄するようになっている。すなわち、上記動
作時には、給湯弁(19)が開弁すると共に、濾過器(5) の
上下流路部に配設された洗浄排水弁(52)と洗浄給水弁(5
1)は、排水回路(56)と洗浄給湯パイプ(57)側にそれぞれ
繋がった状態になり、これにより、給湯機(1) からの供
給温水は、湯張り回路(14)→洗浄給湯パイプ(57)→洗浄
給水弁(51)→濾過器(5) →洗浄排水弁(52)→排水回路(5
6)と流れるのである。これにより、給湯機(1)からの供
給温水は、追焚回路(32)内の通水が追焚き時に濾過器
(5) を通過する方向と逆方向へ向かって該濾過器(5) 内
を通過し、該温水が逆方向に通過する際に、該濾過器
(5) 内の濾材(54)に付着した湯垢などの汚れを排水回路
(56)から外部に排出する。

【００２６】そしてこのものでは、給湯機(1) からの供
給温水で濾過器(5) 内を逆流洗浄するようにしたから、
給湯機(1) で加熱生成された温水を単純に排水してしま
う場合に比べ、該温水の有効利用が図れる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の説明図

【図２】先行技術の説明図面

【符号の説明】

(1) ・・・給湯機 (3) ・・・浴槽 (4) ・・・強制循環流路 (17)・・・気体回路 (21)・・・排ガス弁 (26)・・・ガスバーナ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 浴槽(3) と気体排出装置(6) を循環する
   循環流路(4) と、給湯機(1) からの燃焼排気を吸引して
   これを上記気体排出装置(6) の上流側流路内に供給する
   気体回路(17)と、上記浴槽(3) 内の入浴水を前記循環流
   路(4) 内で強制循環させる循環ポンプ(41)を具備し、給
   湯機(1) を燃焼させると共に循環ポンプ(41)を駆動させ
   て入浴水中の炭酸濃度を高めるようにした風呂装置に於
   いて、気体回路(17)内を流れる燃焼排気中の一酸化炭酸
   濃度が設定値以上になった際に異常信号を出す濃度判定
   装置を設け、該濃度判定装置から上記異常信号が出たと
   きは前記ガスバーナ(26)を消火させると共に循環ポンプ
   (41)を停止状態に維持するようにした風呂装置。