JP2546454B2 - 構造物の振動制御装置 - Google Patents

構造物の振動制御装置

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JP2546454B2
JP2546454B2 JP3211765A JP21176591A JP2546454B2 JP 2546454 B2 JP2546454 B2 JP 2546454B2 JP 3211765 A JP3211765 A JP 3211765A JP 21176591 A JP21176591 A JP 21176591A JP 2546454 B2 JP2546454 B2 JP 2546454B2
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紀英 小鹿
光雄 坂本
功 西村
哲 大類
勝康 佐々木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制御力を加えることによ
り地震や風等による構造物の応答を低減する能動型振動
制御装置に関し、主として制御回路を工夫したものであ
る。
【0002】
【従来の技術】受動型の振動制御装置としては、ダイナ
ミックダンパー(以下、DDという)があり、構造物に
適用したものとしては、例えば特開昭63−76932
号公報や特開昭63−114773号公報に記載された
もの等がある。
【0003】図14は構造物に適用されるDDの振動モ
デルを示したものであり、図中、m1 は主振動系を構成
する構造物の質量、md は吸振系を構成する付加質量体
の質量である。また、k1 は構造物本体のバネ定数であ
り、質量m1 の構造物本体と質量md の付加質量体と
が、バネ定数kd のバネと、減衰係数cd のダンパーで
連結されている。x1 は構造物の変位、xd は重りの変
位を表す。
【0004】主振動系の固有角振動数は、 ω1 =(k1 /m1 1/2 で与えられる。
【0005】DDにおいて、吸振系の質量md は主振動
系の質量m1 との比が、 μ=md /m1 ≧0.01 程度となるよう設計されている。
【0006】このとき、吸振系の固有角振動数は、 ωd =(1/1+μ)ω1 となり、減衰係数cd 及び減衰定数hd は、 cd =2md ωd d d =〔3μ/8(1+μ)〕1/2 と表現される。
【0007】また、能動型の振動制御装置としては、例
えば特開平1−275866〜69号公報に記載された
もの〔以下、AMD(アクティブ・マス・ドライバーの
略)という〕等がある。
【0008】図15はAMDの振動モデルを示したもの
であり、質量m1 の構造物本体と、質量md の付加質量
体との間に、アクチュエーターの油圧力あるいは電磁力
等による制御力u(t) を加え、構造物の振動を能動的に
抑制する。
【0009】AMDにおいては構造物本体と振動制御装
置を構成する付加質量体との間のバネを柔らかい状態、
例えば、 ωd ≦(1/2)ω1 とし、制御力u(t) を次式のような形で与える。
【0010】 u(t) =G1 (dx1 /dt)+G2 (dxd /dt) ここで、G1 は構造物の応答速度に対するAGC回路等
を含む回路のゲインであり、大入力から小入力までの対
応を図ったものである。また、上式の第2項は付加質量
体側の振動速度にゲインG2 (負符号)をかけたものを
制御力に加えることにより、付加質量体側にも減衰性を
与え、安定化を図ったものである。
【0011】この他、上記AMDに対し、図16の振動
モデルで示すようにアクチュエーターによる制御力と並
列にバネ定数kd のバネを付加し、AMDに比べ少ない
制御力でAMDと同程度の振動制御効果を得ようとする
もの〔以下、HMD(ハイブリッド・マス・ダンパーの
略)という〕が研究されている。
【0012】HMDの場合には、バネ定数kd を付加質
量体の振動が構造物の振動と同調するよう、すなわち、 ωd =ω1 となるよう設定し、制御力u(t) を例えば次式の形で与
える。
【0013】 u(t) =G1 (dx1 /dt)+G2 (dxd /dt) +G3 (x1 −xd ) ここで、G3 は負の符号を持つゲインであり、上式の第
3項により振動時に付加質量体に作用する慣性力の一部
をキャンセルし、少ない制御力で付加質量体を振動させ
られるようにしている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の振動制
御装置において、DDは装置に対するエネルギーの供給
が不要であるという利点があるが、振動制御効果が構造
物と付加質量体の質量比によって決まってしまう。従っ
て、大きな質量の付加質量体を必要とし、十分な振動制
御効果を期待し難い。
【0015】AMDはDDに比べ小さな質量の付加質量
体を用いて、大きな制御効果が期待できる。しかし、エ
ネルギーの供給が必要であり、そのための設備、装置の
他、振動時の構造物や付加質量体の応答に応じて所定の
制御力を加えるための制御回路の設計、装置の安定性の
確保、誤作動防止策等が必要となる。
【0016】HMDは前述したようにAMDに比べ制御
力を小さくできる利点があるが、付加質量体の振動を構
造物の振動に同調させる(ωd =ω1 とする)のに手間
がかかる。また、HMDの特徴として、少ない制御力で
大きな制御効果を得るべく、バネ力に相当する項を設け
て慣性力の一部をキャンセルできるが、地震等の周期成
分のうち、構造物の固有周期より長い周期にも新たに同
調周期が生じ、付加質量体の振幅が大きくなるという問
題があり、制御が難しい。
【0017】本発明は従来の振動制御装置における問題
点の解決を図ったもので、HMDを基本とする振動制御
装置について、小さな供給エネルギーで構造物の振動を
効果的に抑制できる信頼性及び安全性の高い振動制御装
置を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の振動制御装置は
構造物内または構造物上の所定位置に設置され、構造物
の固有周期と同調する周期を有する所定質量md の付加
質量体と、前記構造物と前記付加質量体との間に制御力
u(t) を作用させるアクチュエーターを有するHMDの
基本構成において、主として制御力u(t) を与えるため
の制御回路を工夫したもので、制御力u(t) は前述した
次式の形で与える。
【0019】 u(t) =G1 (dx1 /dt)+G2 (dxd /dt) +G3 (x1 −xd ) ……(1) 本発明では安定的な制御を可能とするため、まず上記
(1) 式の第1項にある構造物の応答速度dx1 /dtに
ついて、構造物の固有周期以外の振動成分をカットする
ためのフィルター回路、入力の大小に応じて増幅率を変
化させるためのAGC回路、及び過大な出力を制限する
ための出力制限回路を設ける。なお、入力する応答速度
に関しては、構造物の付加質量体設置位置における応答
速度を検出するための速度センサーと、構造物設置地盤
の応答速度を検出するための地動センサーを設け、加算
器によりこれらの速度信号の差をとったものを入力す
る。
【0020】次に、上記(1) 式の第2項にある付加質量
体の速度dxd /dtについては、付加質量体の速度を
検出する装置速度センサーを設け、入力された付加質量
体の速度信号に対し、ゲインG2 に相当する増幅率を与
える増幅回路を設ける。同様に、上記(1) 式の第3項に
ある付加質量体の相対変位x1 −xd については、付加
質量体の変位(構造物に対する相対変位)を検出する装
置変位センサーを設け、入力された変位信号に対し、ゲ
インG3 に相当する増幅率を与える増幅回路を設ける。
【0021】これらの各信号をさらに加算器を介して合
成し、出力する。 ここで、本発明では、発明が解決しよ
うとする課題の項で述べたHMDの制御が難しいという
課題に対し、上述のフィルター回路について、その伝達
特性が上記(1) 式の第1項におけるゲインG 1 に関し、
次式のラプラス関数で与えられるように設定する(G 1
=H(s):sは角振動数に関する虚数であり、s=i
ω)H(s)=(s 2 +2Gζ n ω n s+ω n 2 /(s 2 +2ζ n ω n s+ω n 2 ) ……(2) これは、従来のHMDの制御で検討されているハイパス
フィルターやローパスフィルター等では、大きな位相ず
れを伴い、十分な制御効果が得られないのに対し、固有
周期以外の振動成分を効果的にカットし、かつ構造物の
1次角振動数に相当する目的角振動数ω n 付近で位相の
ずれをほとんど生じさせないようにするものであり、こ
れにより効率の良い、安定的な制御力u(t) が得られ
る。
【0022】また、減衰性に関しては付加質量体に対し
磁気ダンパー等、所定の減衰係数cd を有する減衰装置
をアクチュエーターと並列に設け、減衰量の安定化を図
ることができる。この場合、上記(1) 式におけるゲイン
2 は減衰装置がない場合に比べ小さい値となる。な
お、減衰装置は磁気ダンパーに限られないが、磁気ダン
パーの場合、メンテナンスフリーとなる利点がある。
【0023】また、アクチュエーターに関して、従来の
AMDでは油圧シリンダー等を用いたものが実用化され
ているが、ACサーボモーターを用いたラック、ピニオ
ン形式のアクチュエーターを用いれば、地震等の振動外
力が作用したときに瞬時に起動する効率の良い振動制御
装置が可能となる。この場合、振動制御装置の駆動に関
してトリガーを設け、構造物の応答が所定のレベル以上
となったときにのみ、振動制御装置が作動するようにす
れば、誤作動の防止やランニングコストの低減が図れ
る。
【0024】
【実施例】次に、図示した実施例について説明する。
【0025】図1〜図7は本発明の一実施例における振
動制御装置の構造を示したものである。
【0026】本実施例の振動制御装置10は例えば構造
物としての建物の最上階等に設置され、大梁1間に渡し
た梁2に対し、所定質量md の付加質量体11を吊り支
持し、構造物の固有周期と同調する振り子を形成してい
る。例えば、1次固有周期が3.5秒程度の構造物を考
えた場合、これと同調する振り子を形成する付加質量体
11の吊り長さLは約3mとなる。
【0027】本実施例における付加質量体11は2つの
鋼材の塊11aを図に示すように上下のつなぎ板11
b,11cで連結したもので、下つなぎ板11c上にA
Cサーボモーター13a及びベース3側に固定したラッ
ク13bに噛み合うピニオン13cを設置し、加力位置
が付加質量体11全体の重心を通るようにしている。こ
れにより、振動制御装置10のコンパクト化が図られて
いる。
【0028】吊材12は梁2に固定した滑車14と付加
質量体11側に固定した滑車15間に掛け渡した複数の
ワイヤーであり、付加質量体11側の滑車15は図1に
示すように所定間隔aを置いた複数の吊材固定部16を
有し、この固定部16の選択により吊り長さLの粗調整
を行なう。また、吊材12の中間にはターンバックル1
7が設けられており、固定部16の選択で粗調整した
後、ターンバックル17を回すことにより吊り長さLの
微調整を行うことができる。
【0029】アクチュエーター13を構成するラック1
3b及びピニオン13cは図2〜図4に示すようにラッ
ク13bの両側面に歯が設けられており、一対のピニオ
ン13cが両側から挟み込むようにしてラック13bと
噛み合っている。それぞれのピニオン13cに対しては
ACサーボモーター13aが設けられており、2つのA
Cサーボモーター13aを同期させて作動し、ラック1
3b側に反力をとって付加質量体11に制御力を加える
構成となっている。ピニオン13cをラック13bの両
側に設けたことで、制御力に関する偏心がなく、回転運
動を生ずることなく、水平方向の制御力を発生させるこ
とができる。また、ACサーボモーター13aを用いて
いるため、瞬時の起動が可能であり、制御における時間
遅れを少なくすることができる。
【0030】図2及び図5中、4はガイドブロックであ
り、付加質量体11に回転が生じないように案内する機
能を有している。なお、付加質量体11を案内する面に
はフッ素樹脂を用いて、接触した場合でも摩擦力等で制
御効果の低下が生じるのを防止している。
【0031】図6は付加質量体11の下方に位置するベ
ース3を示したもので、付加質量体11の振動方向中央
部の2箇所に緩衝装置5を設け、制御の異状その他で付
加質量体11の振動が過大になった場合には、付加質量
体11に設けられた下向きの突出部11dが緩衝装置5
と衝突し、過大な振動を抑制できるようになっている。
なお、本発明の振動制御装置10は制御力u(t) が作用
しない場合には、DDとして機能させることができ、そ
の場合にも緩衝装置5が過大な振幅を抑える効果を有す
る。
【0032】また、本実施例では振動制御装置10に安
定的な減衰性を与えるために、ベース3位置に磁気ダン
パー6を設けており、図7に示すように付加質量体11
の下端に取り付けた複数の鋼板11eが、磁気ダンパー
6の溝内を通過する際、減衰力を受ける構造となってい
る。
【0033】図8及び図9は振動制御装置10の他の実
施例を示したもので、基本的な構成は図1〜図7の場合
と同様である。本実施例では吊り長さLを調整する手段
として、梁側に固定した滑車15と付加質量体側に固定
した滑車15間に吊材12としてワイヤーを掛け、さら
に中間にも上下方向に移動可能な滑車15aを設け、中
間の滑車15aに対し吊材12を両側から拘束するよう
にして、吊り長さLを調整する装置を用いている。ま
た、本実施例ではガイドブロック4が付加質量体11の
外側に設置され、またACサーボモーター13a、磁気
ダンパー6の配置等も異なっている。
【0034】図17は上記実施例における振動制御装置
を振動モデルとして表したものであり、図16のHMD
に対し、減衰係数cd のダンパーが加わった形となる。
【0035】図中、m1 は主振動系を構成する構造物の
質量、md は付加質量体の質量である。また、k1 は構
造物本体に対するバネ定数、kd は振り子をバネに置き
換えて表現したときのバネ定数(=md L/g)、u
(t) は制御力、x1 は構造物の変位、xd は付加質量体
の変位を表す。
【0036】振動制御装置の付加質量体の動きを制御す
るための制御力は、一般的なHMDと同様、次式によっ
て規定することができる。
【0037】 u(t) =G1 (dx1 /dt)+G2 (dxd /dt) +G3 (x1 −xd ) ……(1) ここで、上記(1) 式の第1項におけるゲインG1 は主振
動系を構成する構造物の応答速度が小さい場合にも、速
度を増幅した形で制御力を与える機能を有し、これによ
り振動制御効果を上げることができる。
【0038】上記(1) 式の第2項は作用、反作用の関係
を利用して付加質量体に対しても減衰性を与えるための
項であり、これにより付加質量体の振動の安定化を図る
ことができる。なお、上記実施例では磁気ダンパーによ
っても減衰力を与えており、磁気ダンパーがない場合に
比べてG2 の値を小さく設定した状態で、効果的な制御
を行うことができる。
【0039】また、HMDとして付加質量体の周期(ま
たは角振動数ωd )を構造物の固有周期(または固有角
振動数ω1 )と同調させているため、バネ力(バネ定数
d )が制御に必要なほとんどの力を吸収し、制御に必
要な力が小さくなる。
【0040】すなわち、付加質量体には制御力〔u(t)
〕、慣性力〔md ( dxd /dt)2 〕及びバネ力〔k
d (xd −x1 )〕が働いており、次の関係がある。
【0041】〔制御力〕+〔慣性力〕+〔バネ力〕=0 上式で、慣性力とバネ力はほぼキャンセルし合うので、
制御力は極めて小さくなる。
【0042】その際、上記(1) 式の第3項のゲインG3
(負の値で、例えば−kd ×0.9または−kd ×0.
8程度の値を選択する)によって生じる同調角振動数ω
d ’(=〔(kd +G3 )/md 1/2 )を、付加質量
体の角振動数ωd の1/2以下とする。
【0043】この結果、入力として用いられる構造物の
応答速度の周期成分の他に、これより長周期の周期成分
に対し同調が生じることになり、制御力を少なくするた
めにはゲインG1 に適度なフィルターをかける必要があ
る。
【0044】従来のHMDの制御で検討されているフィ
ルターはハイパスフィルターやローパスフィルター等で
あるが、通常のハイパスフィルターやローパスフィルタ
は大きな位相ずれを伴っているので、カットオフ振動
数をかなり離さなければならず、十分な効果が得られて
いないのが実情であり、位相ずれのない急峻な特性を持
つフィルターの工夫が必要となる。
【0045】図13は本発明の振動制御装置における制
御回路の実施例を示したもので、図の上段のブロック
が上記(1) 式の第1項に対応する。
【0046】入力は地震や風等による構造物の応答速度
であり、振動制御装置を設置した位置における建物速度
センサーと、構造物設置地盤の応答速度を検出する地動
センサーの検出値の差を地盤面に対する相対的な応答速
度として入力する。これをフィルター回路21、AGC
回路22及び出力制限回路23を含む回路で増幅する。
【0047】フィルター回路21は目的の振動数付近で
位相のずれがほとんどなく、かつ鋭敏な特性を持つもの
で、その伝達特性は上記(1) 式の第1項におけるゲイン
1 に関し、次式のラプラス関数で与えられる(G 1
H(s):sは角振動数に関する虚数であり、s=i
ω)
【0048】 H(s)=(s2 +2Gζn ωn s+ωn 2 ) /(s2 +2ζn ωn s+ωn 2 ) ……(2) これにより、目的角振動数(構造物の1次角振動数に相
当)ωn で、ゲインG倍(例えば20倍前後の値とす
る)の出力が得られ、かつこの角振動数で位相ずれはな
い。ζn は減衰定数であり、例えば0.2〜0.5(2
0%〜50%)といった値をとる。高振動数域及び低振
動数域でも同様に位相ずれを生じることはなく、目的角
振動数の前後でわずかな位相ずれを生じるのみである。
このフィルターを用いることにより、上述の制御方式に
必要な制御変位及び制御力が著しく低減される。
【0049】AGC回路22は、通常、オーディオ回路
等に用いられているものであるが、この回路の採用によ
り、大入力から小入力までの振動を扱うことができ、振
動制御効果を増すことができる。
【0050】ただし、AGC回路22はある程度の時間
遅れを伴って増幅率を変化させるので、出力制限回路2
3により出力を制限し、特に振動初期等において過大な
出力信号が出ないようにした。
【0051】図13中、左寄り2段目及び3段目のブロ
ックはそれぞれ上記(1) 式の第2項及び第3項に対応
し、振動制御装置に設けた速度センサー及び変位センサ
ーからの値を入力し、図中AMP1、AMP2で示す増
幅回路24,25でゲインG2 及びG3 に相当する増幅
を行い、加算器26,27でこれらの信号を合成して、
制御力u(t) を出力する。
【0052】図10〜図12は本発明の振動制御装置を
2台用いて、直交するx,y両水平方向の振動と、回転
(ねじれ)振動を同時に制御するための振動制御装置の
配置例を示したものである。
【0053】すなわち、図10中、HMD1と表した振
動制御装置と、HMD2と表した振動制御装置を構造物
の断面中心から離れた端部よりに、装置の軸方向を直交
させて配置し、地震等の振動外力に対する構造物の応答
に応じて、これら2台の振動制御装置を同時に制御する
ことで、回転を含めた構造物の応答低減を図っている。
【0054】図11はこの制御の原理を示したもので、
振動制御装置を断面中心から離して設置したことで、H
MD1でx方向の振動と回転振動を同時に制御すること
ができる(図11(a) 参照)。同様に、HMD2がy方
向の振動と回転振動を同時に制御する(図11(b) 参
照)。また、これらの制御を適切に組み合わせることに
より、図11(c) に示すように回転成分を含まない水平
方向(xy方向)のみの制御も可能となる。
【0055】図12は2台の振動制御装置の制御機構を
示したもので、それぞれの制御は基本的には前述した図
13に示す形の制御回路を用いて行われる。
【0056】
【発明の効果】 HMDを基本構成とする振動制御装
置において、構造物の応答速度に対応する入力につい
て、フィルター回路が固有振動数以外の振動成分、特に
問題となる低振動数成分(長周期成分)を効果的にカッ
トし、かつその固有振動数付近で位相のずれをほとんど
生じさせないという特性を有するため、効率の良い振動
制御が可能となり、また振動制御装置のストロークが大
きくなるのを防止できる。
【0057】 AGC回路の採用により、地震や風の
大小に係わらず装置能力に見合ったストロークで振動制
御装置の安定的な連続運転が可能となる。また、出力制
限回路を組み込んだことで、AGC回路の時間遅れによ
る制御初期段階でのストロークの増大等の問題も生じな
い。
【0058】 トリガーを組み込み、駆動手段として
ACサーボモーター等を用いれば、常時の風や地震のな
い時に振動制御装置が作動しないようにすることがで
き、ランニングコストの低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の振動制御装置の一実施例における正面
図である。
【図2】図1に対応する側面図である。
【図3】振動状態を示す鉛直断面図である。
【図4】アクチュエーター部分の機構を示す平面図であ
る。
【図5】ガイド機構等の配置を示す側面図である。
【図6】ベース側の機構を示したもので、(a) は平面
図、(b) は鉛直断面図である。
【図7】磁気ダンパーの配置を示す鉛直断面図である。
【図8】他の実施例を示す平面図である。
【図9】図8に対応する正面図である。
【図10】2台の振動制御装置の配置例を示したもの
で、(a) は平面図、(b) は正面図である。
【図11】(a) 〜(c) は2台の振動制御装置を用いた制
御方法を説明するための図である。
【図12】2台の振動制御装置による制御機構の説明図
である。
【図13】本発明の振動制御装置の回路図である。
【図14】比較例としての従来のDDの振動モデル図で
ある。
【図15】比較例としての従来のAMDの振動モデル図
である。
【図16】HMDの振動モデル図である。
【図17】減衰装置を付加したHMDの振動モデル図で
ある。
【符号の説明】
1…大梁、2…梁、3…ベース、4…ガイドブロック、
5…緩衝装置、6…磁気ダンパー、10…振動制御装
置、11…付加質量体、12…吊材、13…アクチュエ
ーター、14…滑車、15…滑車、16…吊材固定部、
17…ターンバックル、21…フィルター回路、22…
AGC回路、23…出力制限回路、24,25…増幅回
路、26,27…加算器
フロントページの続き (72)発明者 大類 哲 東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (72)発明者 佐々木 勝康 東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島 建設株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−105879(JP,A) 特開 平1−275869(JP,A) 特開 平3−140647(JP,A) 特開 昭63−280158(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物内または構造物上に設置され、前
    記構造物の固有周期と同調する周期を有する所定質量m
    d の付加質量体と、前記構造物と前記付加質量体との間
    に制御力u(t) を作用させるアクチュエーターと、振動
    外力に対する前記構造物の前記付加質量体設置位置にお
    ける応答速度を検出する速度センサーと、振動外力に対
    する前記構造物設置地盤の応答速度を検出する地動セン
    サーと、前記付加質量体の速度を検出する装置速度セン
    サーと、前記付加質量体の変位を検出する装置変位セン
    サーと、前記各センサーの検出値に応じて、前記制御力
    u(t) を与える制御回路とからなり、前記制御回路は前
    記速度センサー及び前記地動センサーによって与えられ
    る速度信号の差を入力するための加算器と、前記加算器
    より入力された信号について、前記構造物の固有周期以
    外の振動成分をカットするためのフィルター回路と、入
    力の大小に応じて増幅率を変化させるためのAGC回路
    と、過大な出力を制限するための出力制限回路と、前記
    装置速度センサー及び前記装置変位センサーによって与
    えられる速度信号及び変位信号について、それぞれ所定
    の増幅率を与える増幅回路と、前記フィルター回路、A
    GC回路及び出力制限回路を経た構造物の速度信号と、
    前記増幅回路を経た前記付加質量体の速度信号及び変位
    信号とを加算するための加算器とを有し、前記フィルタ
    ー回路の伝達特性を前記構造物の固有周期に対応する角
    振動数をω n として、ラプラス関数H(s)=(s 2
    2Gζ n ω n s+ω n 2 )/(s 2 +2ζ n ω n s+ω
    n 2 )〔ただし、s=iωは角振動数に関する虚数、ζ
    n は減衰定数〕で与えたことを特徴とする構造物の振動
    制御装置。
  2. 【請求項2】 所定の減衰係数cd を有する減衰装置
    を、前記構造物と前記付加質量体との間に前記アクチュ
    エーターと並列に設けてある請求項1記載の構造物の振
    動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記制御力u(t) を前記構造物の応答が
    所定のレベル以上となったときにのみ発生させるための
    トリガーを設けてある請求項1または2記載の構造物の
    振動制御装置。
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