JP3741227B2 - 構造物の制振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高層建築物等の構造物の振動を抑制する制振装置に関する。
【0002】
地震や風圧等の外力によって高層建築物等の構造物に発生する振動を抑制するために、可動質量体の運動を利用して制振作用を得るようにした制振装置が用いられている。
この種の制振装置は、可動質量体を積極的に駆動するためのアクチュエータを備えていないもの(パッシブマスダンパ)と、備えているもの(アクティブマスダンパないしハイブリッドマスダンパ)とに大きく分けられる。
【0003】
パッシブマスダンパは、質量体を構造物上に移動可能に支持すると共に、バネ及びダンパユニットを介して質量体と構造部とを連結して振動系を構成し、その振動系の固有振動数を構造物の固有振動数に同調させたものである。
パッシブマスダンパを備えた構造物では、構造物が振動すると、バネ及びダンパユニットを介して振動が伝達されるために質量体が振動させられ、この振動する質量体から逆にバネ及びダンパユニットを介して構造物に作用する力によって構造物の振動が小さく抑えられる。
【0004】
アクティブマスダンパは、質量体を構造物上に移動可能に支持し、質量体と構造物との間に設けたアクチュエータによって質量体を駆動して、その質量体を構造物に対して相対運動させるようにしたものである。
アクティブマスダンパは構造物の振動を検出するセンサを備えており、検出した振動に応じて適切にアクチュエータを制御して質量体を振動させ、その際に質量体からアクチュエータを介して構造物に作用する反作用力によって構造物の振動が小さく抑えられる。
ハイブリッドマスダンパは、パッシブマスダンパの構成に更に、質量体を駆動するアクチュエータを付加したものである。
アクティブマスダンパほどの大容量のアクチュエータを必要とせず、アクチュエータの故障時にもある程度の制振作用が保持されるという利点があるが、構造は最も複雑である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
アクティブマスダンパやハイブリッドマスダンパでは、検出した構造物の振動を抑制するために最適制御によって質量体を駆動するため、大きな制振効果が得られる。
しかしながら、アクチュエータ、センサ、コンピュータ等の制御装置、などの多数のシステムを付加せねばならず、構造が複雑で故障のおそれも高い。
特に、アクチュエータに供給されている電力が断たれると制振機能を喪失するため、地震発生時に発生するおそれのある停電に備えて自家電源装置を装備しておくため等に高コストにならざるを得ない。
【0006】
パッシブマスダンパでは、構造物の特定の振動モードに対してしか効果を発揮しないが、デリケートな部分が存在しないため故障しにくい上に、電力を供給する必要もなく、設置するだけで効果が期待できる。
ただしその振動特性が適切に調整されていないと、十分な制振効果が期待できない。
振動特性に影響を及ぼす要因には、構造物との同調度合いやダンパユニットの減衰の大きさ等があるが、質量体を移動可能に支持している支持構造と質量体との間に作用する摩擦力もまた大きな要因をなしている。
一般に、質量体と支持機構との間の摩擦係数は0.003〜0.007程度であり、従って、質量体設置個所の振動による加速度が3〜7gal(cm/sec2 )程度であると、質量体は支持機構に対して(従って構造物に対して)運動せず、そのためパッシブマスダンパは機能しない。
ところが、3〜7gal程度の大きさの加速度しか発生しない風揺れでも、それによって構造物の居住性はかなり低下する。
従って、従来のパッシブマスダンパには、風揺れによる構造物の居住性の低下を改善することができないという不具合があった。
【0007】
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、従来のパッシブマスダンパに付随していた、支持構造と質量体との間に作用する摩擦力による制振性能の低下という問題を解消して、優れた性能を持ち、また特に、例えば構造物の風揺れ等の小さな加速度の振動に対しても効果的に制振機能を発揮することのできる制振装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、質量体と、構造物に設置され前記質量体を移動可能に支持する支持手段と、前記質量体と前記支持手段とを連結するバネ要素及びダンパ要素とを含んで構成された構造物の制振装置において、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力と同程度の大きさの力を前記質量体に作用させるためのアクチュエータ手段と、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力の向きを検出し、検出結果を表す信号を発生する検出手段と、前記検出信号に基づいて前記アクチュエータ手段を制御して、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力と同程度の大きさの力を、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力の向きと逆向きに前記質量体に作用させる制御手段とを備え、前記検出手段が、バネにより実質的に摩擦のない状態で支持された検出用質量体を備えたダミー振動系と、この検出用質量体の変位または速度を検出するセンサとで構成されており、前記ダミー振動系は、前記構造物の振動により前記検出用質量体が前記質量体と同位相で振動するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明はまた、質量体と、構造物に設置され前記質量体を移動可能に支持する支持手段と、前記質量体と前記支持手段とを連結するバネ要素及びダンパ要素とを含んで構成された構造物の制振装置において、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力と同程度の大きさの力を前記質量体に作用させるためのアクチュエータ手段と、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力の向きを検出し、検出結果を表す信号を発生する検出手段と、前記検出信号に基づいて前記アクチュエータ手段を制御して、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力と同程度の大きさの力を、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力の向きと逆向きに前記質量体に作用させる制御手段とを備え、前記検出手段が、バネにより実質的に摩擦のない状態で支持された検出用質量体を備えたダミー振動系と、この検出用質量体の変位または速度を検出するセンサとで構成されており、前記ダミー振動系の振動特性を前記質量体の振動系の振動特性と揃えてあることを特徴とする。
本発明はまた、前記アクチュエータ手段がリニアモータで構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、支持手段から質量体に作用する摩擦力の向きが検出手段によって検出され、その検出結果を表す信号が発生される。
この信号に基づいて制御手段がアクチュエータ手段を制御することによって、支持手段から質量体に作用する摩擦力と同程度の大きさの力が、その摩擦力と逆向きに質量体に作用する。
このアクチュエータ手段から質量体に作用する力が、支持手段から質量体に作用する摩擦力の影響を実質的に打消すため、制振装置の振動特性が理想的なものとなり、また特に、小さな加速度の振動に対しても制振装置が反応できるようになり、例えば構造物の風揺れ等の振動も有効に抑制される。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例について説明する。
図1は本発明による構造物の制振装置の一例を示す概略側面図である。
この制振装置2は構造物の一水平方向における振動を抑制するためのものであり、質量体4、質量体4に連結されたコイルバネ6、ダンパユニット26、車輪8、リニアモータ10、リニアモータ10の制御装置18などにより構成されている。
【0012】
この制振装置2は、高層建築物などの構造物の例えば最上階に設置されており、最上階の床20上には基台22が配設され、その両端部には一対の反力壁24が立設されている。
これらの反力壁24の間には2つの反力壁24を結ぶ方向、すなわち矢印Aの方向に一対の平行なレール(図示せず)が敷設されており、質量体4はそのレール上に車輪8を介して移動可能に支持されている。
従って、質量体4は構造物が振動したとき、一対の反力壁24の間を往復運動できるようになっている。
【0013】
質量体4の形状は本実施例では直方体であり、反力壁24に対向する両端面は、それぞれコイルバネ6およびダンパユニット26により対向する反力壁24に連結されている。
そして、質量体4、コイルバネ6、ならびにダンパユニット26により形成される振動系の固有振動周波数は、構造物の固有振動周波数にほぼ一致するようにコイルバネ6のバネ定数および質量体4の重量が設定されている。
【0014】
リニアモータ10はカラム10Aとステータ10Bとにより構成されている。
ステータ10Bは質量体4に固定され、一方、カラム10Aは、ステータ10Bとの間に適切な隙間を保って、2つの反力壁24の間に両端部を反力壁24に固定して質量体4の移動方向に延設されている。
ステータ10Bには三相交流巻線(図示せず)が施されており、この巻線に三相交流電圧を印加することによりステータ10Bはカラム10Aに対して、質量体4と共に移動する。
【0015】
基台22上には更に、基台22から質量体4に作用する摩擦力(より詳しくは基台22に取付けられた前述のレールから質量体4に取付けられた車輪8に作用する摩擦力)の向きを検出するための検出装置30が取付けられている。
この検出装置30は、構造物が振動したときに、質量体4と同位相で振動する検出用質量体12を備えたダミー振動系40と、この検出用質量体12の速度を検出する速度センサ16とで構成されている。
検出用質量体12は、板バネ14によって基台22上に支持されており、板バネ14は基台22上に鉛直に配置され、一端が基台22に固定され、他端が検出用質量体12に連結されている。この支持構造によれば、検出用質量体12は、板バネ14により実質的に摩擦のない状態で支持され、構造物の振動方向と同じ水平方向に振動することとなる。
この検出用質量体12と板バネ14とから成るダミー振動系40の固有振動数は、前述の質量体4及びコイルバネ6から成る制振装置本体の振動系の固有振動数と略々一致するように、その検出用質量体12の質量及び板バネ14のバネ定数が設定されている。
【0016】
即ち、質量体4の振動系(制振装置本体の振動系)の振動特性と、ダミー振動系40の振動特性とを揃えて、質量体4と、検出用質量体12とが、常に同位相で振動するように(従って常に互いに同じ方向に運動するように)してある。更に厳密には、質量体4に摩擦力が実質的に作用しない場合にそのような状態となるように、それら振動系の振動特性を揃えてある。
質量体4は車輪8により支持されているため、この質量体4に対しては、その運動方向ないしは運動しようとする方向と逆向きの摩擦力が(車輪8を介して)作用する。一方、検出用質量体12は単に板バネ14により支持されているため、摩擦力が作用しないのである。
【0017】
上述の速度センサ16は、検出用質量体12の速度を検出して、検出結果を表す応答信号を発生する。ただしここでは、速度の大きさは利用せず、単に運動の方向を利用するだけである。
この応答信号の極性は、検出用質量体12が図1の右方へ運動しているときには正になり、逆に左方へ運動しているときには負になるようにしてある。この応答信号は制御装置18へ入力している。
制御装置18は、この速度センサ16からの応答信号の極性の正負に応じて、三相交流電源とリニアモータ10との接続を切換えて、リニアモータ10の駆動方向を変化させる指令信号を、リニアモータ10へ送出する。
これによって、応答信号の極性が正のときにはリニアモータ10が質量体4を図1の右方へ駆動し、負のときにはリニアモータ10が質量体4を図1の左方へ駆動するようしてある。
【0018】
この制御装置18は、リニアモータ10の駆動方向だけを制御して変化させるものであり、その駆動力の大きさは制御しない。それゆえ制御装置18は、アクティブマスダンパやハイブリッドマスダンパに使用されているような複雑なものではなく、構造が簡明で低コストのものとすることができる。
リニアモータ10が質量体4を駆動する駆動力の大きさは、基台22から質量体4に作用する摩擦力(より詳しくは基台22に取付けられた前述のレールから質量体4に取付けられた車輪8に作用する摩擦力)の大きさと同程度にし、本実施例ではそれより僅かに大きくなるようにしてある。
【0019】
速度センサ16は、検出用質量12の運動方向が検出できればよく、運動速度の大きさを検出する必要はないため、アクティブマスダンパやハイブリッドマスダンパに使用されているセンサのように精度を要求されず、簡明な構成の安価なものを使用することができる。
更に、速度センサ16の代わりに変位センサを使用し、そのセンサの変位を表す出力信号を電子回路で処理することによっても、検出用質量12の運動方向を検出することができる。
そのために必要な電子回路は当業者には容易に設計できるものであるため詳述しないが、高精度の微分回路を使用する必要はなく、単にセンサの出力信号が増加しているか減少しているかを判断するだけの簡明で安価な回路とすることができる。
【0020】
次に、以上のように構成された制振装置2の動作について説明する。
制振装置2が設置された構造物が地震や風圧によって矢印Aの振動方向に振動すると、質量体4は、慣性力のために、基台22に対して相対的に矢印Aの振動方向に運動する。
質量体4に力Fを作用させ、その力Fの大きさを緩やかに変化させたときの、その力Fの大きさと、質量体4の基台22に対する相対的変位Δとの間の関係を図2に示した(これは、リニアモータ10を機能させていない場合の関係を示したものである)。
この関係は、図2に点線で示した比例関係となるのが理想であるが、実際には基台22から質量体4に作用する摩擦力fのために、図2に実線で示したようなヒステリシス特性を呈する。
従来の制振装置では、この摩擦抵抗のために、制振特性が低下すると共に、小加速度の振動に対しては制振装置が機能せず、構造物の風揺れを抑制できないという不都合を生じていた。
【0021】
これに対して本発明に係る制振装置2では、前述の構成によりこの摩擦抵抗力を打ち消し、この摩擦抵抗力に起因する不都合を払拭している。
すなわち、その振動特性を質量体4の振動系の振動特性に揃え、ただし実質的に摩擦力が作用しないように構成したダミー振動系40から、検出用質量12の運動方向を表す検出信号を取り出し、その検出信号に従ってリニアモータ10の駆動方向を制御して、このリニアモータ10が、質量体4に作用している摩擦力と大きさが略々等しく向きが逆の駆動力を質量体4に加えるようにしている。
これによって摩擦力の影響が実質的に打消され、質量体4の振動系は、摩擦力が作用していないときと同じ理想的な振動特性を持つことができ、また、小加速度の振動に対しても制振装置2が機能するため、構造物の風揺れのような振動も効果的に抑制することができる。
【0022】
図3は、速度センサ16からの出力信号と、リニアモータ10が質量体4に加える駆動力との関係を示した波形図である。
図3の(A)は速度センサ16からの出力信号を示し、図3の(B)はリニアモータ10が質量体4に加える駆動力、すなわち推力を示している。
図から分かるように、リニアモータ10が質量体4に加える駆動力の大きさは一定であり(摩擦力fよりやや大きい)、その向きが速度センサ16からの出力信号の極性に応じて切換わっている。
【0023】
従って、この構造物の制振装置2では、例えば風によって構造物が振動し、そのとき構造物の最上階の応答加速度が3〜7gal程度の弱いものであっても、質量体4は摩擦力fの影響を受けることなく構造物の振動に応じて反力壁24の間を往復運動し、制振効果を発揮する。
また、この構造物の制振装置2では、従来のアクティブマスダンパのような強力な駆動手段駆動手段を制御するための大規模な制御装置、駆動手段にエネルギを供給する大がかりな例えば電気設備、そして構造物および質量体の変位や動きを検出するための高精度のセンサは不要であるため、装置は低コストで製作でき、また、設置スペースは狭くて済み、さらに、保守が容易であることも含めランニングコストが低い。
そして、車輪8に作用する摩擦力を打ち消す程度にしか質量体4を駆動しないので、リニアモータ10、速度センサ16、制振装置18等が万一故障した場合でも、アクティブマスダンパの場合のようにその故障が重大な結果を招くというおそれもない。
【0024】
また、質量体4の駆動手段として本実施例ではリニアモータ10を用いたが、リニアモータ10の代りに通常の回転式の電動モータや、あるいは油圧モータ、油圧シリンダなどを用いてもよい。
さらに、上記実施例では検出用の質量体12の動きを速度センサ16により検出したが、速度センサの代りに変位センサを用いても検出用の質量体12の移動方向を知ることができ、必要な情報を得ることができる。
また、上記実施例では質量体4は1次元的に移動する構造としたが、図1において矢印Aと平面上で直交する方向にも質量体4が移動できる構造とし、その方向においても検出用の質量体12の動きを検出して質量体4に対して摩擦力を打ち消すための力を加え、2次元的に微弱振動に対する制振効果が得られるようにすることも無論可能である。
また、上記実施例では、リニアモータ10が質量体4に加える駆動力の大きさは摩擦力fを若干上回る程度としたが、この駆動力は摩擦力fより若干小さいものであっても、図2に実線で示したようなヒステリシス特性は緩和され、点線で示した特性に近づくので、弱い振動に対する制振効果を改善することが可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による構造物の制振動装置では、質量体と、構造物に設置され前記質量体を移動可能に支持する支持手段と、前記質量体と前記支持手段とを連結するバネ要素及びダンパ要素とを含んで構成された構造物の制振装置において、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力と同程度の大きさの力を前記質量体に作用させるためのアクチュエータ手段と、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力の向きを検出し、検出結果を表す信号を発生する検出手段と、前記検出信号に基づいて前記アクチュエータ手段を制御して、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力と同程度の大きさの力を、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力の向きと逆向きに前記質量体に作用させる制御手段とを備える。そして、前記検出手段が、バネにより実質的に摩擦のない状態で支持された検出用質量体を備えたダミー振動系と、この検出用質量体の変位または速度を検出するセンサとで構成されており、前記ダミー振動系は、前記構造物の振動により前記検出用質量体が前記質量体と同位相で振動するように構成されている。ないしは、前記検出手段が、バネにより実質的に摩擦のない状態で支持された検出用質量体を備えたダミー振動系と、この検出用質量体の変位または速度を検出するセンサとで構成されており、前記ダミー振動系の振動特性を前記質量体の振動系の振動特性と揃えてある。
【0026】
従って、従来のアクティブマスダンパのような強力な駆動手段、駆動手段を制御するための大規模な制御装置、駆動手段にエネルギを供給する大がかりな例えば電気設備、そして構造物および質量体の変位や動きを検出するための高精度のセンサは不要であるため、装置は低コストで製作でき、また、設置スペースは狭くて済み、さらに、保守が容易であることも含めランニングコストが低い。
そして、支持手段における摩擦力を打ち消す程度にしか質量体を駆動しないので、万一誤動作によって適切な方向に力が加えられなかったとしても安全上の問題は発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による構造物の制振装置の一例を示す概略側面図である。
【図2】図1の構造物の制振装置における質量体に作用する力と質量体の変位との関係を示すグラフである。
【図3】(A)は図1の構造物の制振装置における速度センサの出力信号を示す波形図、(B)はリニアモータが第1の質量体に加える力を示す波形図である。
【符号の説明】
2 制振装置
4、12 質量体
6 コイルバネ
10 リニアモータ
8 車輪
14 板バネ
16 速度センサ
18 制御装置
20 床
22 基台
24 反力壁
26 ダンパユニット
30 検出装置
40 ダミー振動系
Claims (3)
- 質量体と、
構造物に設置され前記質量体を移動可能に支持する支持手段と、
前記質量体と前記支持手段とを連結するバネ要素及びダンパ要素と、
を含んで構成された構造物の制振装置において、
前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力と同程度の大きさの力を前記質量体に作用させるためのアクチュエータ手段と、
前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力の向きを検出し、検出結果を表す信号を発生する検出手段と、
前記検出信号に基づいて前記アクチュエータ手段を制御して、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力と同程度の大きさの力を、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力の向きと逆向きに前記質量体に作用させる制御手段とを備え、
前記検出手段が、バネにより実質的に摩擦のない状態で支持された検出用質量体を備えたダミー振動系と、この検出用質量体の変位または速度を検出するセンサとで構成されており、前記ダミー振動系は、前記構造物の振動により前記検出用質量体が前記質量体と同位相で振動するように構成されている、
ことを特徴とする構造物の制振装置。 - 質量体と、
構造物に設置され前記質量体を移動可能に支持する支持手段と、
前記質量体と前記支持手段とを連結するバネ要素及びダンパ要素と、
を含んで構成された構造物の制振装置において、
前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力と同程度の大きさの力を前記質量体に作用させるためのアクチュエータ手段と、
前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力の向きを検出し、検出結果を表す信号を発生する検出手段と、
前記検出信号に基づいて前記アクチュエータ手段を制御して、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力と同程度の大きさの力を、前記支持手段から前記質量体に作用する摩擦力の向きと逆向きに前記質量体に作用させる制御手段とを備え、
前記検出手段が、バネにより実質的に摩擦のない状態で支持された検出用質量体を備えたダミー振動系と、この検出用質量体の変位または速度を検出するセンサとで構成されており、前記ダミー振動系の振動特性を前記質量体の振動系の振動特性と揃えてある、
ことを特徴とする構造物の制振装置。 - 前記アクチュエータ手段がリニアモータで構成されている請求項1又は2記載の構造物の制振装置。
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