JP2546408B2 - カード転写装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明はカード表面に転写フィルムを転写するカード
転写装置に関し、カードの幅方向への転写位置の変更を
可能にしたカード転写装置に関する。

〈従来の技術〉 塩化ビニル等から成るカードに所要の画像を転写して
印画し、更にこの上にオーバーコート用のフィルムを転
写したカードが製造されている。

従来、被転写物であるカードにオーバーコート用の転
写フィルムを転写する装置としては、被転写物であるカ
ードを転写可能な所定位置に搬送し、その上に転写フィ
ルムを配し、更にその上から平板状の版を垂直に下降さ
せ、転写フィルムを加熱圧着して転写するものが知られ
ている。

しかしながら、版を垂直に上下動させて転写フィルム
を転写する装置においては、版を平板状のものにせざる
を得ない。このため、転写時に転写フィルムとカードと
の間に気泡が入ってしまい、カードの見栄えが悪くなる
ばかりか、転写後のフィルムの密着度が弱くなってフィ
ルムが剥離しやすくなるという問題があった。

そこで、本願出願人は上記のような問題を解決すべ
く、円筒上のヒートローラに転写圧接部を突設し、ヒー
トローラの回転によって曲面状の転写突設部で転写フィ
ルムをカードに徐々に転写するカード転写装置を開発
し、既に提案した（特願平１−283688号）。

〈発明が解決しようとする課題〉 上記のようにヒートローラを回転させて転写するカー
ド転写装置は、所期の目的は達成できるものの、実用上
から次のような要求が生じた。

すなわち、オーバーコート用フィルムはカード全面に
転写されるのではなく印画部分にだけ転写されることか
ら、オーバーコート用フィルムの転写位置も印画位置に
応じて種々変更しなければならない。カードの搬送方向
（カードの長手方向）への転写位置の変更はヒートロー
ラの回転とカードの送りとの関係を変更することで行う
ことができるが、カードの幅方向（カードの短手方向）
への転写位置の変更はヒートローラの転写突設部とカー
ドとの位置関係を変更しなければならない。

しかしながら、従前のものではカード幅方向への転写
位置の変更には、ヒートローラを転写突設部の位置が異
なる他のものに交換しなければならず、交換用ヒートロ
ーラの製作に経費及び手間がかかるばかりか、ヒートロ
ーラの取り外し及び取り付けに伴う調整作業等といった
煩雑な作業を行わなければならない。

本発明は上記従来の事情に鑑みなされたもので、カー
ドの幅方向への転写位置の変更を容易に行うことができ
るカード転写装置を提供することを目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 上記目的を達成する本発明のカード転写装置は、基体
上に設けられた被転写物であるカードを転写位置に搬送
するカード搬送手段と、カードの搬送方向と直交するカ
ードの幅方向へ移動可能に基体に取り付けられた支持軸
と、支持軸に軸回りへ揺動自在に取り付けられた支持部
材と、支持軸と平行な軸回りに回転自在に支持部材に取
り付けられて転写フィルムをカード上に転写するヒート
ローラと、支持軸に伴う支持部材の移動を許容した状態
で基体と支持部材との間に介装されヒートローラをカー
ドに圧接させる付勢手段と、カード搬送手段及びヒート
ローラを回転させる駆動手段とを備えたことを特徴とす
る。

〈作用〉 本発明のカード転写装置によれば、支持軸を移動させ
ることにより、この支持軸に支持部材を介して取り付け
られたヒートローラをカードの搬送方向と直角な方向
（カードの幅方向）へ移動させ、これによってカードの
幅方向への転写位置の変更を行う。そしてこの際、基体
と支持部材との間に介装された付勢手段により上記変更
動作が阻害されることはない。

〈実施例〉 本発明のカード転写装置を第１図に示した一実施例に
基づいて説明する。

図示のように、固定設置された基台１にはその上面及
び下面にそれぞれ支柱２、３が立設されており、これら
基台１、支柱２、３によりカード転写装置の基体が構成
されている。

支柱２、３の間には支持軸４が取り付けられている。
支柱２の端部には支持軸４を締め付けて保持する割リン
グ５が設けられており、この割リング５のネジ６を緩め
ることにより割リング５による締め付けを解除して、支
持軸４をその軸線に沿った上下方向へ移動させることが
できる。

支持軸４には上下一対の支持部材７が取り付けられて
おり、これら支持部材７は支持軸４を中心として揺動自
在となっている。尚、これら支持部材７は連結軸7aで互
いに連結されて一体となっている。

支持部材７には円筒状のヒートローラ８が支持軸４に
平行に取り付けられており、このヒートローラ８は自ら
の軸回りに回転自在となっている。ヒートローラ８の外
表面には転写突設部8aが設けられており、この転写突設
部8aはローラ８の表面と同様に曲面状を成している。ヒ
ートローラ８内には赤外線ヒータ９が同軸に納められて
おり、図外の温度センサや温度調整器の制御の下で、ヒ
ートローラ８はヒータ９により一定の温度に加熱されて
いる。

基台１上にはヒートローラ８に対峙してプラテンロー
ラ10が設けられており、このプラテンローラ10はヒート
ローラ８と平行で自らの軸回りに回転自在となってい
る。

ヒートローラ８の下端には同軸にギヤ11aが取り付け
られ、支持軸４にはこのギヤ11aに噛み合ったギヤ11bが
回転自在に取り付けられ、基台１と支柱３との間にはギ
ヤ11bに噛み合ったギヤ11cが回転自在に取り付けられて
いる。一方、プラテンローラ10の下端には同軸にギヤ12
aが取り付けられ、基台１にはこのギヤ12aに噛み合った
ギヤ12bが回転自在に取り付けられている。ギヤ11cとギ
ヤ12bは図外の電磁クラッチ及びブレーキを介して互い
に連結され、更に図外の駆動モータに連結されている。
従って、ヒートローラ８とプラテンローラ10はこの駆動
モータの起動により図中矢印で示すように互いに逆向き
に同期回転し、電磁クラッチ及びブレーキの作動により
その回転が制御される。

ここに、ギヤ11b、11cは平歯ギヤであり、ギヤ11cは
その軸方向の長さが長く設定されている。従って、支持
軸４及びヒートローラ８をその軸線方向に移動させて
も、ギヤ11bと11cとの噛み合いは保障されるようになっ
ている。

前記の支柱２にはストッパ片13が取り付けられてお
り、このストッパ片13と支持部材の連結軸7aとの間には
縮み方向にバネ力を及ぼすコイルスプリング14が介装さ
れている。従って、支持部材７は付勢手段としてのスプ
リング14によって支持軸回りに揺動付勢され、ヒートロ
ーラ８はプラテンローラ10に圧接する方向に付勢されて
いる。ここに、ストッパ片の一端13aは連結軸7aに当接
するようになっており、ヒートローラ８とプラテンロー
ラ10との間に若干の隙間が生ずるように、支持部材７の
揺動を規定していいる。

また、コイルスプリング14の一端14aは連結軸7aに揺
動自在に係合しており、これによって、支持部材７すな
わちヒートローラ８の軸方向への移動を許容している。

ヒートローラ８の上端部には制御用のリング15がロー
ラ８と一体回転するように取り付けられており、支持部
材７上に設けられたセンサ16でこのリング15の突片部15
aを検出することによりヒートローラ８の回転停止位置
（転写突設部8aの回転停止位置）を制御する。このリン
グ15はヒートローラ８にネジ17で固定されており、この
ネジ17を緩めることにより突片部15aと転写突設部8aと
の相対的な位置関係を変更することができる。

基台１上にはカード搬送手段としてのガイドレール18
が設けられており、このガイドレール18によって被転写
物であるカード19がローラ８、10間の転写位置に搬送さ
れる。ガイドレール18の先端部にはセンサ20が設けられ
ており、このセンサ20でカード19を検出してヒートロー
ラ８の回転開始時期を制御する。

また、両ローラ８、10間にはオーバーコート用の転写
フィルムリボン21が介在しており、このリボン21はトル
クリミッタ機構付きの巻戻し，巻取りローラ22a,22b間
をオーバーコート動作毎に間欠的に送られる。ここに、
転写フィルムリボン21とヒートローラ８との間には、通
常時には一定の間隔が生ずるように設定されており、ヒ
ートローラ８からの輻射熱によりリボン21のオーバーコ
ート層が無用に融離してしまうのを防止している。

上記構成のカード転写装置の作動について説明する。

まず、オーバーコート対象であるカードの印画部19a
への転写動作を説明する。カード19をガイドレール18に
挿入すると、センサ20がカード19を検出して駆動モータ
によりヒートローラ８及びプラテンローラ10が回転を開
始する。そして、カード19は両ローラ８、10間な挟まれ
て搬送され、転写突設部8aで印画部19aに転写フィルム
リボン21が圧接される。この結果、リボン21のオーバー
コート層21aが融離して転写され、印画部19aにオーバー
コートが施される。

次に、カード19の搬送方向（カードの長手方向）への
転写位置の変更は、ネジ17を緩めて突片15aとセンサ16
との相対的な位置関係を変更することにより、ヒートロ
ーラ８の回転とカード19の送りとの関係を変更し、転写
突設部8aがカード19に圧接する位置をカード19の長手方
向へずらすことにより行う。

次に、カード19の幅方向（カードの短手方向）への転
写位置の変更は、ネジ６を緩めて支持軸４の取り付け位
置を上下方向に変位させる。すなわち、支持軸４に支持
部材７を介して支持されているヒートローラ８を上下方
向（軸方向）へ変位させ、転写突設部8aのカードへの圧
接位置をカード19の短手方向へずらすことにより行う。
このようにカード19の幅方向への転写位置の変更は、ヒ
ートローラを交換することなく行える。

尚、上記実施例ではヒートローラを立設した竪型のカ
ード転写装置を示したが、ヒートローラを横にした横型
のものにも本発明を適用することができる。また、付勢
手段としてはコイルスプリング14を示したが、弾性ゴム
等といった公知の他の手段を用いることができる。

〈発明の効果〉 本発明のカード転写装置によれば、ヒートローラの取
り付け位置をその軸方向に変更できるようにしたため、
カード幅方向への転写位置の変更をヒートローラの交換
を行うことなく実施することができ、この変更に伴う経
費及び手間を大幅に軽減することができる。従って、オ
ーバーコート転写位置の種々な変更が容易となり、多品
種の少数生産を容易に実現できるという実用上極めて有
利か効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係るカード転写装置をその
一部を破断して示す斜視図である。 １は基台、 ２、３は支柱、 ４は支持軸、 ５は割リング、 ６はネジ、 ７は支持部材、 ８はヒートローラ、 14はコイルスプリング、 18はガイドレール、 19はガード、 21は転写フィルムリボンである。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】基体上に設けられた被転写物であるカード
   を転写位置に搬送するカード搬送手段と、カードの搬送
   方向と直交するカードの幅方向へ移動可能に基体に取り
   付けられた支持軸と、支持軸に軸回りへ揺動自在に取り
   付けられた支持部材と、支持軸と平行な軸回りに回転自
   在に支持部材に取り付けられて転写フィルムをカード上
   に転写するヒートローラと、支持軸に伴う支持部材の移
   動を許容した状態で基体と支持部材との間に介装されヒ
   ートローラをカードに圧接させる付勢手段と、カード搬
   送手段及びヒートローラを回転させる駆動手段とを備え
   たことを特徴とするカード転写装置。