JP2545845Y2 - 自動工具交換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は工作機械例えば旋盤のタ
レット刃物台と工具マガジン装置との間で工具交換を行
う自動工具交換装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図１０に示すような複合旋盤のタレット
刃物台１０１の回転工具軸と工具マガジン装置１０２の
マガジンポット１０３との間で工具の自動交換を行う自
動工具交換は、工具マガジン装置１０２から取り出した
工具を、主工具交換アーム装置１０４の中間ポット１０
７に渡すための副工具交換アーム装置１０５を有してい
る。

【０００３】主工具交換アーム装置１０４の中間ポット
１０７とマガジンポット１０３とは、同一方向を向いて
いるが、距離Ｌだけ離れているため、副工具交換アーム
装置には、図１１に示すようにサブアーム１０６が工具
を把持するための移動用流体圧シリンダ１０９と、距離
Ｌだけ動かすための流体圧シリンダ１０８と二個の流体
圧シリンダを備えていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】従来の技術で述べた二
個の流体圧シリンダを備える自動工具交換装置は、構造
が複雑になりコスト高になるという問題点を有してい
る。このため中間ポット１０４とマガジンポット１０３
とを同心に配置すれば流体圧シリンダを一個減にするこ
とができるが、両ポットの同心度を許容範囲内に収める
ことが極めて困難で組立工数の増大と、経時変化量を修
正する保守が難しい等の理由で採用されていない。

【０００５】本考案は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、一個の流体圧シリンダで両ポットに対するサブア
ームの心合わせが容易な副工具交換アーム装置を有する
自動工具交換装置を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本考案における自動工具交換装置は、平行かつ同一方
向を向くマガジンポットと主工具交換装置の中間ポット
の間の工具交換を副工具交換装置によって行う自動工具
交換装置において、マガジンフレームに固着のポット軸
心方向の案内に沿って移動可能に設けられた前記副工具
交換装置の枠体に前記ポット軸心に対して直角方向に移
動可能に設けられた移動体と、該移動体を駆動する手段
と、該移動体に前記直角方向に移動可能に設けられたば
ねにより常時突出勝手に付勢され先端にグリッパを有す
るサブアームと、該サブアームに固着されたローラと、
工具交換位置の前記マガジンポット又は前記中間ポット
の下に固着され前記ローラと当接し前記ばねの力に抗し
て前記サブアームの移動を阻止しグリッパ中心を前記マ
ガジンポット又は中間ポットと同心に位置決めするスト
ッパと、前記枠体をマガジンポット側と中間ポット側に
移動するとともに工具の抜き差し動作をする二重駆動手
段とを含んでなり、何れか一方のポットに対するグリッ
パの心合わせをストッパにより行うものである。

【０００７】

【作用】ＮＣより次工具指令が出ると、次工具が装着さ
れたマガジンポットが工具交換位置に割出され、マガジ
ン側工具交換位置に停止中の副工具交換装置の移動台
が、駆動手段によりポット軸心に対して直角方向かつマ
ガジンポット側に移動され、サブアームに固着のローラ
がストッパに当接してばねの力に抗して移動が阻止さ
れ、グリッパ中心がマガジンポット軸心と同心となって
次工具を把持する。

【０００８】次いで二重駆動手段の一方の駆動手段によ
り、枠体がポット軸方向反マガジンポット側に移動し
て、サブアームに把持する次工具をマガジンポットから
抜き取り、移動台がポット軸心と直角かつ反マガジンポ
ット側に移動されたのち、二重駆動手段の他方の駆動手
段により枠体が中間ポット側工具交換位置に移動され、
再び駆動手段により移動台がポット軸心の直角方向かつ
中間ポット側に移動されるが、ここにはストッパがない
ためストロークエンドまで移動されて、サブアームに把
持する次工具が中間ポットと同心となる。

【０００９】次いで二重駆動手段の一方の駆動手段によ
り枠体が中間ポット側に移動して把持する次工具が中間
ポットに挿入され、移動台がポット軸心と直角方向かつ
反中間ポット側に移動してサブアームが次工具より離れ
る。

【００１０】

【実施例】実施例について図１〜図９を参照して説明す
る。図５の複合旋盤において、床上に設置されたベッド
の左側に主軸台１が設けられており、主軸台１に回転可
能に支承される主軸２の先端にチャック３が嵌着されて
いる。ベッド上にはＺ軸方向の案内が二組設けられてお
り、上側のＺ軸案内にＸ軸方向の案内面を有する往復台
４が移動位置決め可能に載置され，往復台４上に刃物台
５が移動位置決め可能に載置されている。

【００１１】刃物台５に設けられたＸ軸方向の旋回軸の
まわりで旋回可能にタレット６が設けられており、タレ
ット６の外周面と端面に複数の回転工具取付ポジション
が設けられている。そして外周面の回転工具取付ポジシ
ョンに正面加工用回転工具軸７が、また端面の回転工具
取付ポジションに側面加工用回転工具軸８が、それぞれ
回転可能に支承され、ベッドの下側のＺ軸案内に心押台
１０が位置移動可能に設けられている。

【００１２】一方ベッドの右側には工具マガジン装置９
が設置されており、工具マガジン装置９は複数の工具を
Ｚ軸方向右向きにして貯蔵するマガジンポット１１をリ
ンク状の鎖でエンドレスに連結し、サーボモータ１２に
より指定ポットをＭＧ工具交換位置に割出すようになっ
ている。

【００１３】ベッドの上方にはビーム１３がＺ軸方向に
架設され、ビーム上のＺ軸案内に沿って主工具交換装置
１５のキャリア１４が移動可能に載架され、キャリア１
４は図示しないサーボモータによりボールねじを介して
駆動される。

【００１４】キャリア１４には交換アームユニット１６
がＹ軸垂直平面内において９０°旋回割出可能に設けら
れ、交換アームユニット１６の図示しない旋回中心軸の
先端は、キャリア１４を貫通して上方に僅かに突出し、
この突出部に中間ポット１７が固着されており、中間ポ
ット１７は後述の交換アーム１８の図示しない旋回軸と
平行かつ交換アーム側を向いて固着されている。

【００１５】交換アームユニット１６の交換アーム１８
は、両端にグリッパを有するツイン形で、ほぼ９０°と
１８０°に旋回可能かつ旋回軸方向に抜き差し可能とさ
れている。そして主工具交換装置１５はキャリア１４の
マガジン側への移動で右端所定の工具授受位置と、主軸
側への移動でタレット６のＺ軸位置に対応するＮＣ指定
の工具交換位置に位置決めされるようになっている。

【００１６】マガジンポット１１と中間ポット１７の間
の工具の受け渡しをする副工具交換装置２１は、マガジ
ンフレーム２２内に設けられており、副工具交換装置２
１の枠体２３はマガジンフレームに固着の二本のＺ軸方
向の案内棒２０に沿って移動可能に設けられている。枠
体２３内にはＸ軸方向の案内２４を有し、この案内２４
に沿って移動台２５が移動可能に支持されており、移動
台２５は枠体２３に固着の流体圧シリンダ２６のピスト
ンロッド２７の先端に連結金具２８を介して固着されて
いる。

【００１７】移動台２５には案内２４に対して平行な二
本の案内棒２９を有するサブアーム取付台３１がＸ軸方
向に移動可能に支持されており、取付台３１はばね３７
により常時＋Ｘ側に突出勝手に付勢され、突出量を規制
する調整ボルト３０が取付台に螺設されている。取付台
３１にグリッパ３２ａを先端に有するサブアーム３２が
固着されており、取付台３１の両側にローラ３３が回転
可能に枢支されている。

【００１８】このようにしてＸ軸方向移動可能なサブア
ーム３２を有する枠体２３は、案内棒２０に対して平行
に架設されたピストンロッド３４に、移動可能に嵌合さ
れる流体圧駆動のダブルシリンダ３５Ａ，３５Ｂによ
り、Ｚ軸方向右側のマガジンポット１１に対するＭＧ側
工具交換位置と、左側の中間ポット１７に対するＲＳ側
工具交換位置とに移動されるとともに、両ポット１１，
１７への工具の抜き差しを行うようになっている。

【００１９】一方マガジンフレームのＭＧ工具交換位置
の最下両側に、Ｚ軸方向に長い＋Ｘ方向位置決め用スト
ッパ３６が固着されており、サブアーム３２が枠体２３
の移動でＭＧ側工具交換位置に位置決めされ、更に取付
台２５の移動でサブアーム３２が＋Ｘ側に移動すると、
ローラ３３がストッパ３６の下面に当接して、グリッパ
３２ａの中心がマガジンポット軸心と同心となり、以後
ばね３２の力に抗して移動台２５が僅かに＋Ｘ側に移動
されて停止するようになっている。従ってマガジンポッ
ト軸心とグリッパ中心の心合わせはストッパ３６で、ま
た中間ポット軸心とグリッパ中心の心合わせは調整ボル
ト３０により行うようになっている。

【００２０】続いて本実施例の作用について説明する。
ＮＣより次工具指令が出ると、次工具に指定された工具
Ｔが装着されるマガジンポット１１がＭＧ工具交換位置
に割出され、図６に示すようにＭＧ側工具交換位置に停
止中の副工具交換装置のサブアーム３２は、流体圧シリ
ンダ２３の後室に流体圧が送られて移動台２５と共に＋
Ｘ側に移動され、図７に示すようにサブアーム取付台３
１に固着のローラ３３が、ピストンロッド２７のストロ
ークＳに対して距離ｅだけ手前でストッパ３６に当接し
てグリッパ３２ａ中心がマガジンポット１１と同心とな
って次工具を把持する。

【００２１】次いでダブルシリンダの外側シリンダ３５
Ｂの右室に流体圧が送られて、サブアーム３２がＺ軸方
向右側に移動し、次工具Ｔをマガジンポット１１より抜
き取る。次いで流体圧シリンダ２６の前室に流体圧が送
られて、次工具を把持するサブアーム３２が−Ｘ側に移
動したのち、ダブルシリンダの内側シリンダ３５Ａの左
室に流体圧が送られてサブアーム３２がＺ軸方向左側に
移動してＲＳ側工具交換位置に位置決めされて図８の状
態となる。

【００２２】次いで再び流体圧シリンダ２６の後室に流
体圧が送られてピストンロッド２７がストロークＳだけ
前進して、グリッパ３２ａに把持する次工具が中間ポッ
ト１７と同心となり、外側シリンダ３５Ｂの右室に流体
圧が送られてサブアーム３２がＺ軸方向中間ポット側に
移動して、次工具Ｔが中間ポット１７に挿入され、図９
の状態となる。次いで流体圧シリンダ２６の前室に流体
圧が送られてサブアーム３２が−Ｘ側に移動して次工具
Ｔから離れ、主工具交換装置１５はこの状態でＮＣより
工具交換指令が出力されるまで待機する。

【００２３】タレット６の外周の例えば正面加工用回転
工具軸７の装着工具Ｔによる切削の一区割が終わると、
タレット６が旋回して回転工具軸７が工具交換位置に割
出され、刃物台５がＸ軸方向に移動して所定の工具交換
位置に位置決めされ、ＮＣ内で刃物台５のＺ軸現在位置
から最適工具交換位置が自動設定されて、工具交換指令
が出力される。この工具交換指令でキャリア１４と刃物
台５が同時にＺ軸移動して互いに接近し、自動設定され
た工具交換位置に位置決めされ、交換アーム１８がぼぼ
９０°旋回されて、中間ポット１７の次工具Ｔと回転工
具軸７の使用済工具Ｔを同時に把持する。

【００２４】次いで交換アーム１８が旋回軸方向に伸び
て把持する両工具Ｔを中間ポット１７と回転工具軸７よ
り抜き取り、１８０°旋回して両工具の位置が入れ替わ
り、交換アーム１８が旋回軸方向に縮んで次工具が回転
工具軸７に、使用済工具が中間ポット１７に挿入され、
交換アーム１８がほぼ９０°旋回して両工具から離れ
る。

【００２５】次いで刃物台５が主軸側へ移動して切削加
工に入ると同時に、キャリア１４がマガジン側に移動し
て右端の工具授受位置に位置決めされる。次いで副工具
交換装置２１の流体圧シリンダ２６の後室に流体圧が送
られてサブアーム３２が＋Ｘ側に移動してグリッパ３２
ａで使用済工具を把持し、外側シリンダ３５Ｂの右室に
流体圧が送られて、サブアーム３２がＺ軸方向右側に移
動し、中間ポット１７から使用済工具を抜き取る。

【００２６】次いでサブアーム３２が−Ｘ側に移動した
のち、内側シリンダ３５Ａの右室に流体圧が送られてサ
ブアーム３２がＺ軸方向右側に移動してＭＧ側工具交換
位置に位置決めされ、流体圧シリンダ２６の後室に流体
圧が送られて＋Ｘ側に移動され、位置決めローラ３３が
ストッパ３６に当接して、把持する使用工具Ｔがマガジ
ンポット１１と同心となる。

【００２７】次いで外側シリンダ３５Ｂの左室に流体圧
が送られてサブアーム３２がＺ軸方向左側に移動し、使
用済工具Ｔをマガジンポット１１に挿入し、再び流体圧
シリンダ２６の前室に流体圧が送られてサブアーム３２
が−Ｘ側に移動し、使用済工具から離れる。

【００２８】

【考案の効果】本考案は上述のとおり構成されているの
で次に記載する効果を奏する。平行かつ同一方向を向く
マガジンポットと中間ポットとの間の工具交換を行う副
工具交換装置の枠体を、マガジンフレームに固着のポッ
ト軸心方向の案内に沿って移動可能とし、この枠体にポ
ット軸心に対して直角方向に移動可能に設けられた移動
体にばねにより常時突出勝手に付勢され先端にグリッパ
を有するサブアームをポット軸心に対して直角方向に移
動可能に設け、工具交換位置のマガジンポット又は中間
ポットの何れか一方の下に固着のストッパに、サブアー
ムに固着のローラが当接してばねの力に抗してサブアー
ムの移動を阻止し、ポット軸心に対してグリッパ中心を
同心に位置決めするようにしたので、従来二個必要であ
ったアクチュエータが一個ですみ、中間ポットとマガジ
ンポットの同心度を数ｍｍ以上の大きな許容値内に納め
ればよいので、マガジン組付時の工数が大幅に削減でき
るとともに、マガジンポットに対するグリッパ中心，中
間ポットに対するグリッパ中心のそれぞれの心合わせを
簡単な機構で単独かつ容易に行うことができ、心合わせ
の工数が削減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例の工具交換装置のマガジンポットに対
するサブアームの移動位置決め状態を仮想線にて表す副
工具交換装置の部分側面図である。

【図２】図１の正面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線視断面図である。

【図４】図１のＢ−Ｂ線視断面図である。

【図５】本実施例の自動工具交換装置付複合旋盤の姿図
である。

【図６】本実施例の動作説明図で、サブアームがマガジ
ン側工具交換位置に位置決めされたところを表す図であ
る。

【図７】本実施例の動作説明図で、サブアームがマガジ
ンポットの工具を把持した状態を表す図である。

【図８】本実施例の動作説明図で、サブアームが中間ポ
ット側交換位置に位置決めされたところを表す図であ
る。

【図９】本実施例の動作説明図で、サブアームが中間ポ
ットの工具を把持した状態を表す図である。

【図１０】従来の自動工具交換装置付複合旋盤の姿図で
ある。

【図１１】従来のサブアーム用Ｘ軸駆動用流体圧シリン
ダの略図である。

【符号の説明】

１１ マガジンポット １５ 主工具交換装置 １７ 中間ポット ２０ 案内棒 ２１ 副工具交換装置 ２３ 枠体 ２５ 移動体 ２６ 流体圧シリンダ ３２ サブアーム ３２ａ グリッパ ３３ ローラ ３５Ａ，３５Ｂ ダブルシリンダ ３６ ストッパ ３７ ばね

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 平行かつ同一方向を向くマガジンポット
   と主工具交換装置の中間ポットの間の工具交換を副工具
   交換装置によって行う自動工具交換装置において、マガ
   ジンフレームに固着のポット軸心方向の案内に沿って移
   動可能に設けられた前記副工具交換装置の枠体に前記ポ
   ット軸心に対して直角方向に移動可能に設けられた移動
   体と、該移動体を駆動する手段と、該移動体に前記直角
   方向に移動可能に設けられたばねにより常時突出勝手に
   付勢され先端にグリッパを有するサブアームと、該サブ
   アームに固着されたローラと、工具交換位置の前記マガ
   ジンポット又は前記中間ポットの下に固着され前記ロー
   ラと当接し前記ばねの力に抗して前記サブアームの移動
   を阻止しグリッパ中心を前記マガジンポット又は中間ポ
   ットと同心に位置決めするストッパと、前記枠体をマガ
   ジンポット側と中間ポット側に移動するとともに工具の
   抜き差し動作をする二重駆動手段とを含んでなり、何れ
   か一方のポットに対するグリッパの心合わせをストッパ
   により行うことを特徴とする自動工具交換装置。