JP2544933B2 - 電気絶縁用粘着テ−プの製造方法 - Google Patents

電気絶縁用粘着テ−プの製造方法

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JP2544933B2
JP2544933B2 JP62173539A JP17353987A JP2544933B2 JP 2544933 B2 JP2544933 B2 JP 2544933B2 JP 62173539 A JP62173539 A JP 62173539A JP 17353987 A JP17353987 A JP 17353987A JP 2544933 B2 JP2544933 B2 JP 2544933B2
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恒一 津田
紀治 岩井
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Description

【発明の詳細な説明】 (a)産業上の利用分野 本発明は優れた難燃性を有し、しかも絶縁破壊電圧を
改善させた電気絶縁用粘着テープの製造方法に関するも
のである。
(b)従来の技術 火災その他の不慮の事故に対応するため、電気絶縁用
粘着テープとして難燃性のものが要求されている。
このため、難燃性の電気絶縁用粘着テープが市販され
ているが、このような難燃性の電気絶縁用粘着テープを
製造する方法としては、通気性のあるクロス類、不織布
類を支持体とし、その表面に難燃剤層を介在させて粘着
剤層を形成することが提案されている。
(c)発明が解決しようとする問題点 しかしながら、支持体の表面を難燃剤で処理する場
合、この難燃剤によって支持体の通気孔がふさがれて支
持体が通気性を失う。このため、得られた難燃剤層の表
面に粘着剤を塗布し、更にこれを乾燥して粘着剤層を形
成する際、粘着剤中の溶媒が支持体を通過することがで
きず、この溶媒の蒸散は粘着剤面側からしか行なわれな
いのであり、従って、溶媒蒸散による粘着剤層の発泡が
生じ、粘着テープの絶縁破壊電圧が難燃処理を施してい
ない同一支持体の電気絶縁用粘着テープより著しく低下
するなどの問題が発生する。
(d)問題点を解決するための手段 本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討を重
ねてきた。
その結果、通気性の支持体の表面に難燃剤を塗工し、
これを支持体側或いは難燃剤層側から気体を透過させつ
つ当該難燃剤層を乾燥させると、支持体の通気性を保持
されるのであり、このため、この難燃剤層側に粘着剤を
塗工してその溶媒を蒸散させる際、当該粘着剤層の溶媒
が粘着剤側からだけでなく支持体側からも蒸発し、この
ため、粘着剤層中に気泡が発生せず、絶縁破壊電圧が、
気体の透過処理を施さないものに比べて、著しく向上す
ることを見い出し、本発明を完成するに至ったものであ
る。
即ち、本発明は通気性の支持体の表面に難燃剤を塗工
する工程(A)、 上記工程(A)で得られた塗工シートをその支持体側
或いは難燃剤層側から気体を透過させつつ当該難燃剤層
を乾燥させると共に支持体の通気性を保持させる工程
(B)、 上記工程(B)でえられた積層シートにおいてその難
燃剤層側に粘着剤を塗工する工程(C)、 上記工程(C)で得られた塗工積層シートを乾燥して
溶媒を蒸散させる工程(D)、 より成ることを特徴とするものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、先ず、通気性の支持体の表面に難燃剤を塗
工する工程(A)を実施する。
本発明が適用される電気絶縁用粘着テープとしては支
持体が通気性のものであれば総てのものに適用される。
上記支持体としては通気性のあるシート状のものであ
れば特に限定されるものではないが、具体的にはアセテ
ートクロスやガラスクロス等のクロス類、不織布又は織
布が好適に用いられる。
そして、上記支持体には難燃剤が塗工されるが、この
方法としては難燃剤を溶媒に溶解ないし分散させ、これ
を、例えばフローティングナイフコーター、トップリバ
ースコーター等の方法により塗工すればよいのであり、
この場合、難燃剤(組成物)の濃度としては30〜70重量
%の範囲とするのが塗工性、乾燥工程等の作業性が良好
になり、好ましいのである。
又、本発明においては、染・顔料、リン酸トリクレジ
ル(TPC、可塑剤)、三酸化アンチモン、水酸化アルミ
ニウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ
素、無水ケイ酸等の添加剤を加えて凝集性や難燃性等を
改善してもよいのである。
この添加剤の添加量としては、難燃剤(組成物固形分
比)全体に対し5〜50重量%、好ましくは10〜35重量%
とするのが望ましい。
添加剤の添加量が5重量%未満ではその効果が乏し
く、一方、50重量%を超えるとその意味がなくなるだけ
でなく、難燃剤と支持体との密着性に問題が生じる場合
があるから好ましくない。
上記難燃剤の支持体への付着量としては、用いられる
難燃剤によっても異なるが、8〜100g/m2、好ましくは1
0〜50g/m2、更に15〜40g/m2とするが望ましく、8g/m2
満では難燃剤の付着量が少な過ぎてその効果が乏しくな
り、一方、100g/m2を超えると難燃効果に限界が生じる
と共に不経済である。
又、この工程(A)で用いられる難燃剤としては、ポ
リ塩素化フォスホメート等の有機リン化合物、塩素化パ
ラフィンやデカゴロムジフェニルエーテル等の有機ハロ
ゲン化合物、水酸化アルミニウムや水酸マグネシウム等
の無機水和物が挙げられる。
本発明は、次に、上記工程(A)で得られた塗工シー
トをその支持体側或いは難燃剤層側から気体を透過させ
つつ当該難燃剤層を乾燥させると共に支持体の通気性を
保持させる工程(B)を実施する。
つまり、本発明の方法は、通気性の支持体に難燃剤を
塗工すると難燃性は向上するが、この難燃剤によって支
持体の通気性が失われる。このため、支持体に難燃剤を
塗工した後、気体を支持体側或いは難燃剤層側から圧
送、透過させつつ難燃剤中の溶媒を完全ないしほぼ完全
に蒸散させる。
この場合、最も重要なことは、難燃剤中の溶媒の蒸散
が不充分であると、この工程(B)での気体の透過処理
後、或いは後述する粘着剤層の形成工程中に、難燃剤の
塗料が支持体の通気孔を塞ぎ、このため、再度、支持体
の通気性が失われて所望の目的を達成することができな
いのである。
従って、この場合の乾燥条件は上述の留意点に着目
し、用いた難燃剤や溶媒の物性を充分に考慮に入れて決
定する必要がある。
そして、本発明においては、難燃剤の塗工と乾燥(気
体の透過)を交互に繰り返し、これによって、支持体の
通気性を一層保持させると共に、支持体の通気性を均一
にするのが望ましい。
この工程(B)で用いられる気体としては、特に限定
されるものではないが、水蒸気、空気又は窒素ガス等が
好適に用いられる。
本発明においては、次いで、上記工程(B)で得られ
た積層シートにおいてその難燃剤層側に粘着剤を塗工す
る工程(C)を実施する。
本発明に用いられる粘着剤としては、アクリル系粘着
剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニル系粘着
剤等が挙げられる。
そして、この難燃剤層側に粘着剤を塗工する方法とし
ては特に限定されるものではなく、例えば粘着剤(組成
物)を溶媒に溶解ないし分散させ、これを、常法により
塗工すればよいのであり、この場合、粘着剤の濃度とし
ては15〜70重量%の範囲とするのが塗工性、乾燥工程等
の作業性が良好である。
又、本発明においては、上記と同様に各種添加剤を加
えて凝集性や難燃性等を改善してもよいのである。
この添加剤の添加量としては、粘着剤(組成物固形
分)全体に対し5〜30重量%、好ましくは9〜20重量%
とするのが望ましい。
添加剤の添加量が5重量%未満ではその効果が乏し
く、一方、30重量%を超えるとその意味がなくなるだけ
でなく、粘着剤と支持体との密着性に問題が生じる場合
があるから好ましくない。
本発明においては、最後に、上記工程(C)で得られ
た塗工積層シートを乾燥して溶媒を蒸散させる工程
(D)を実施する。
この乾燥方法としては、特に限定されるものではな
く、種々の方法が採用されるが、具体的には、例えば、
温度80〜165℃の乾燥炉中を塗工積層シートの速度2〜2
0m/分で通過させればよいのである。
上記工程(A)〜(D)を経ることにより、難燃性で
絶縁破壊電圧の優れた電気絶縁用粘着テープが得られ
る。
(e)作用 本発明の方法は、上記構成を有し、通気性の支持体の
表面に難燃剤を塗工し、これを支持体側或いは難燃剤層
側から気体を透過させつつ当該難燃剤層を乾燥させるも
のであり、これによって、支持体の通気性を保持させた
後、この難燃剤層側に粘着剤を塗工してその溶媒を蒸散
させる際、当該粘着剤層中の溶媒が粘着剤側からだけで
なく支持体側からも蒸発し、このため、粘着剤層中に気
泡が発生せず、絶縁破壊電圧が著しく向上する作用を有
するのである。
(f)実施例 以下、本発明の方法を実施例に基づき詳細に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。
第1図に示すように、通気性の支持体(1)として厚
さ0.18mmのアセテートクロスを用い、その表面に、第1
表に示す成分からなる難燃剤(組成物)(2)をトップ
リバースコーター(3)を用いて塗工し(工程
(A))、かくして得られた塗工シートをその支持体
(1)側或いは難燃剤層側、この場合、難燃剤層側から
気体(温度100℃の熱風)を透過させつつ当該難燃剤層
を乾燥させると共に支持体の通気性を保持させた(工程
(B))。
次に、上記工程(B)で得られた積層シート(4)に
おいてその難燃剤層側に、第2表に示す成分からなる粘
着剤を塗工し(工程(C))、かくして得られた塗工積
層シートを乾燥して溶媒を蒸散させて(工程(D))、
電気絶縁用粘着テープを得た。
かくして得られた電気絶縁用粘着テープは、厚さが0.
23mmであり、絶縁破壊電圧が3.7KVであった。
比較例1 上記実施例において、気体の透過を行わないもの、つ
まり支持体の通気性がなくなったものを用いた。
この粘着テープは、厚さが0.23mmであり、粘着剤層を
形成した後、乾燥工程で気泡が発生し、絶縁破壊電圧が
1.6KVであった。
比較例2 上記実施例において、難燃剤処理を行わないもの、つ
まり、支持体(アセテートクロス)に粘着剤層を直接形
成したものを用いた。
この粘着テープは、厚さが0.23mmであり、絶縁破壊電
圧が3.7KVであったが、可燃性で防火上問題が認められ
た。
(g)発明の効果 本発明は、上記構成を有し、通気性の支持体の表面に
難燃剤を塗工し、これを支持体側或いは難燃剤層側から
気体を透過させつつ当該難燃剤層を乾燥させて支持体の
通気性を保持させている結果、更に粘着剤を塗工した
後、乾燥させる際、当該粘着剤層中の溶媒が粘着剤側か
らだけでなく支持体側からも蒸発して、粘着剤層中に気
泡が発生せず、このため、絶縁破壊電圧が、気体の透過
処理を施さないものに比べて、著しく向上する効果を有
するのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の電気絶縁用粘着テープの製造方法の一
実施例を示す工程図である。 (1)……支持体、(2)……難燃剤(組成物)、
(3)……トップリバースコーター、(4)……塗工シ
ート。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】通気性の支持体の表面に難燃剤を塗工する
    工程(A)、 上記工程(A)で得られた塗工シートをその支持体側或
    いは難燃剤層側から気体を透過させつつ当該難燃剤層を
    乾燥させると共に支持体の通気性を保持させる工程
    (B)、 上記工程(B)でえられた積層シートにおいてその難燃
    剤層側に粘着剤を塗工する工程(C)、 上記工程(C)で得られた塗工積層シートを乾燥して溶
    媒を蒸散させる工程(D)、 より成ることを特徴とする電気絶縁用粘着テープの製造
    方法。
  2. 【請求項2】上記工程(A)において、支持体はクロス
    類、不織布類又は織布である特許請求の範囲第1項に記
    載の電気絶縁用粘着テープの製造方法。
  3. 【請求項3】上記工程(A)において、難燃剤が有機リ
    ン化合物、有機ハロゲン化合物、無機水和物である特許
    請求の範囲第1項又は第2項に記載の電気絶縁用粘着テ
    ープの製造方法。
  4. 【請求項4】上記工程(B)において、気体が水蒸気、
    空気又は窒素ガスである特許請求の範囲第1項ないし第
    3項のいずれかに記載の電気絶縁用粘着テープの製造方
    法。
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