JP2544064B2 - 高精度スエ―ジング方法及び装置 - Google Patents

高精度スエ―ジング方法及び装置

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JP2544064B2 JP4181735A JP18173592A JP2544064B2 JP 2544064 B2 JP2544064 B2 JP 2544064B2 JP 4181735 A JP4181735 A JP 4181735A JP 18173592 A JP18173592 A JP 18173592A JP 2544064 B2 JP2544064 B2 JP 2544064B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、加工による振動の低
減と吸収により、加工精度を向上することを目的とした
高精度スエージング方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来スエージング加工は、回転軸の入力
側端と、ダイスホルダー側の軸承との間へ、フライホイ
ールを架設し、このフライホイールに回転力を付与し、
又は回転軸をモータと直結することにより行われていた
(例えば特公昭51−31232号)。
【0003】
【発明により解決すべき課題】前記従来のスエージング
装置によれば、ダイスホルダーに隣接して軸受けが設け
てある為に、ハンマーローラに予圧を加えることができ
ない問題点があった。前記のように、ハンマローラの予
圧ができない場合には、ハンマローラの公転状態が不均
一になるおそれがあり、その結果ダイスの材料に対する
打圧位置が設定通りにならないおそれがあり、少くとも
不均等角度で打圧が行われ、局部的に減径されたり、又
は製品の寸法精度の低下を招く問題点があった。
【0004】前記における材料を不均等角度で打圧する
時(例えば同一位置の複数打圧)には、図4のように製
品にフインを生じ、加工不良となることさえあった。こ
の様な場合には、製品の加工不良のみならず、フインに
よって材料に回転力を生じ、作業者に不慮の危害を加え
るおそれもあった。またフライホイールの回転が回転軸
を介してダイスにこじれ作用を与える為に、加工精度が
低くなり(例えば±0.02mm〜±0.05mm程度)、
製品の使途によっては、スエージング加工後、粗仕上げ
及び上仕上げの機械加工を必要とする問題点があった。
然してスエージング加工の特性上、ダイス加圧の断続
性、回転軸に掛る加工歪(振動)及び騒音の発生などの
改善は不可能視されており、従ってスエージング加工の
出来る製品の範囲も精度上制約が大きかった。
【0005】スエージング加工におけるダイスの加工部
の形状と、製品の外径との関係は例えば、図3のように
なっている。即ちダイス3の加工面中で、中央部60°
〜90°の範囲は、製品の外径と正確に一致する形状
(例えば眞円の一部)となっているが、左右の60°〜
90°の面は例えば中央部よりも曲率半径が大きくなっ
ていて、材料の逃げを容易にしている。従って打圧時に
材料の同一場所を二度打圧すると、該部の外径が減縮す
ることになる。同様にして打圧回転角の不均等も、製品
精度の低下を招くことになる。
【0006】
【課題を解決する為の手段】然るにこの発明は、フライ
ホイールをハウジングの加工油中に封入すると共に、フ
ライホイールを回転軸のダイスホルダーと、軸受けとの
間に架設することにより、ハンマーローラの予圧が可能
となつて、その公転が正確に行われるようにするなど、
前記従来の問題点を解決したのである。
【0007】即ちこの発明の方法はダイスホルダーを有
する回転軸をフライホイールと共に回転させるスエージ
ング方法において、前記フライホイールはスエージング
ハウジング内の流動液体中に封入されていることを特徴
とした高精度スエージング方法である。また液体を加工
油とし、該加工油はフライホイールの回転により一方向
への流動力を付与されたものである。次にこの発明の装
置は一側に回転力の入力手段を連結し、他側に加工手段
を設けた回転軸にフライホイールを架設したスエージン
グ装置において、前記フライホイールは、回転軸のダイ
スホルダーと、入力側軸受けとの間に架設されたことを
特徴とする高精度スエージング装置であり、一側に回転
力の入力手段を連結し、他側に加工手段を設けた回転軸
にフライホイールを架設したスエージング装置におい
て、前記フライホイールは、回転軸のダイスホルダー
と、入力側軸受けとの間に架設され、かつスエージング
ハウジング内の流動加工油中に封入されたことを特徴と
する高精度スエージング装置である。
【0008】更にこの発明の装置の、フライホイールの
外面には、加工油に一定方向の流動力を付与する為の溝
を設けた請求項3記載の高精度スエージング装置であ
る。
【0009】前記における加工油は、圧延油、スエージ
ング油等、一般に使用している加工油を使用することが
できる。この発明による加工精度は±0.005mmを容
易に達成できると共に、十分管理された状態で加工すれ
れば、±0.003mm以内の高精度を保持することがで
きる。
【0010】この発明において、高精度を発揮できるの
は、大凡次の理由によるものと考えられる。 (1) ハンマーローラに予圧を付与できること。ダイスホ
ルダーと、フライホイールとの間に軸受けが介在してい
ないので、ハンマーローラに予圧をかけることができ
る。従ってハンマーローラの公転を整然と行わせること
ができる。 (2) 振動(軸と直角の方向)を低減させたこと。フライ
ホイールをダイスホルダーに近接して架設することによ
り、フライホイールの回転と、ダイス加工時に生じるア
ンバランス振動を極力低減できる。 (3) 振動(軸方向)を低減させたこと。フライホイール
をハウジングの加工油中へ封入し、加工油に一定方向の
流動力を付与したので、その反力により、フライホイー
ルは常時一定方向へ押圧された状態で回転する。従って
フライホイールは定位置回転を強いられるので、回転軸
の軸方向振動を極力低減できる。 (4) 振動を吸収したこと。フライホイールは封入加工油
中で回転しているので、フライホイールに生じる振動エ
ネルギーが加工油に吸収され、その顕現化が極力抑制さ
れる。 (5) 熱膨脹が一定範囲で止められていること。フライホ
イールを利用して加工油を流動させる為に、この加工油
を用いて加工部材の各部を冷却し、恒温加工ができるか
ら、ダイスその他の熱膨張による変化が極力抑制でき
る。 (6) 加工部材の正常作動化ができる。スエージング加工
において、金属素材を高温加工すると、金属酸化物など
が加工関連部材の各部に挟まり、加工精度に悪影響を与
えるおそれがあるが、加工油の流動、清淨化、恒温加工
油の常時流動などによって、前記酸化物その他の異物の
生成及び介在を未然に防止することができる。 (7) 管理精度の向上が図れる。加工各部の熱膨脹その他
が正確に把握できることにより、所定の加工精度の保持
管理が容易になる。特に軸方向振動の激減は製品の長さ
方向の精度が著しく向上する。例えば回転軸をスエージ
ング加工した場合に、粗仕上げ程度の精度が出れば、必
要部(例えば軸受部)の上仕上げのみで製品となるの
で、加工費用の低減ができる。
【0011】
【作用】この発明によれば、回転軸と直角の方向はもと
より、回転軸の軸心方向の振動を低減させると共に、振
動を吸収することができる。
【0012】また騒音を遮断、吸収し、激減させること
ができる。
【0013】
【実施例1】ハンマローラの、公転回数は毎分242
回、毎秒の打圧回数は67回、回転軸の回転数毎分75
0回、加工物に対する加圧位置は30%の位置変化の条
件により加工した。この場合に加工物は、例えば炭素鋼
(標準焼戻材)で、素材直径6mmであり、これを製品直
径5.02mmに加工した。加工速度は毎秒30mmであつ
た。この場合における製品の直径精度は、±0.005
mmであり、軸方向における直径精度は±0.005mmで
あった。
【0014】
【実施例2】この発明の実施装置を図1、2について説
明する。
【0015】ハウジング1の中央部へ回転軸2を横架す
る。前記回転軸2の一側にはダイス3、3を保持するダ
イスホルダー4、4を設け、ダイス3、3を保持する
と共に、ダイス3、3の外側へバツカー5、5を放射方
摺動自在に設置する。前記ハウジング1の一側内壁
の、前記バツカー5、5と対向する位置にインナレース
6を設置し、インナレース6の内側と、バツカー5、5
の外壁との間へ8個のハンマローラ7、7を等間隔に配
列し、ハンマローラ7、7の軸を内外フレーム8、8a
で保持させたものである。前記ハウジング1の他側に
は、ハウジングカバー9を固定し、ハウジングカバー9
の中央部へ軸受け10を介して回転軸2を支持させ、回
転軸2の外端部にプーリー11を固定する。前記ハウジ
ング1の内腔12には、前記回転軸2に固定したフライ
ホイール13が収容されると共に前記内腔12の、空隙
部に加工油充滿させてある。前記フライホイール13
の外周壁には螺旋溝14が刻設してあり、フライホイー
ル13の回転によって螺旋溝14により加工油を一方向
強制移動させるようになっている。図中15はハウジ
ングカバー9に設けた加工油の流入口、16はベアリン
グ止リングである。前記実施例において、モータ(図示
してない)を回転し、その回転力をプーリー11に伝え
ると、回転軸2が回転するので、ダイスホルダー4も図
2中矢示17の方向へ回転する。そこでバツカー5、5
の外壁面が、ハンマローラ7に当接するごとに、バツカ
ー5、5は矢示18、18の方向へ強制加圧され、ダイ
ス3を同方向へ加圧して被加工物19を所定の外形に加
工する。
【0016】前記において、フライホイール13が回転
軸2と同方向へ回転すると、フライホイール13の外壁
に設けた螺旋溝14が、ハウジングの内腔内の加工油を
例えば矢示20の方向に加圧し流動させる。この場合
に、フライホイール13には、矢示21のような反力が
掛るので、フライホイール13は常時矢示21の方向に
押圧された状態で回転することになり、その回転位置は
一定している。また内腔12内の加工油が流動すること
により、加工油は矢示22のように流入口15から流入
し、前記のように内腔12内を流動した後、再び外界へ
排出される。排出された加工油は濾過、冷却などの処理
を経て、再びスエージングハウジング内へ送り込まれ
るので、長時間運転した場合であっても、加工条件に変
化がなく、同一精度を保有することができる。前記実施
例においては、プーリーを用いて入力したが、モータ軸
と回転軸とを直結することもできる。
【0017】
【発明の効果】この発明によれば、フライホイールをダ
イスホルダーに近接して架設(軸受けの介在なし)した
ので、フライホイールによるこじれを防止すると共にハ
ンマーローラに予圧をかけることを可能となり、ハンマ
ーローラーの公転を整然と行うことができる。またフラ
イホイールをハウジング腔内へ収容すると共に、加工油
中で回転するようにしたので、加工時にスエージング装
置各部の各種振動を加工油に吸収してこれを低減すると
共に、騒音を著し低減する効果がある。またフライホイ
ールにより加工油を強制移動させることによって、フラ
イホイールの安定回転ができるので、フライホイール自
体の振動を防止し、特に軸心方向の変動を極力制御する
効果がある。また加工油の強制移動、冷却、清淨化など
により、加工各部の熱膨張を一定にし、加工各部への異
物の介在を阻止して加工精度に悪影響を及ぼす原因を未
然に防止するなどの諸効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の縦断正面図。
【図2】同じく縦断側面図。
【図3】同じくダイス加工の説明図。
【図4】加工不良になった場合の製品の一部拡大斜視
図。
【符号の説明】
1 ハウジング 2 回転軸 3 ダイス 4 ダイスホルダー 5 バツカー 6 インナレース 7 ハンマローラ 8、8a 内外フレーム 9 ハウジングカバー 10 軸受 11 プーリー 12 内腔 13 フライホイール 14 螺旋溝

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一側にダイスホルダーを有する回転軸を
    フライホイールと共に回転させるスエージング方法にお
    いて、前記フライホイールは、ダイスホルダーと軸受け
    との間の回転軸に固定されており、スエージングハウジ
    ング内の加工油中に封入されていると共に、前記フライ
    ホイールの回転により前記液体を流動させることを特徴
    とした高精度スエージング方法。
  2. 【請求項2】 一側に回転力の入力手段を連結し、他側
    に加工手段を設けた回転軸にフライホイールを架設した
    スエージング装置において、前記フライホイールは、回
    転軸のダイスホルダーと、入力側軸受けとの間に架設
    され、かつスエージングハウジング内の加工油中に封入
    されると共に、加工油を一定方向へ流動させる手段を付
    与したことを特徴とする高精度スエージング装置。
  3. 【請求項3】 加工油を流動させる手段は、フライホイ
    ールの外面に、加工油に一定方向の流動力を付与する為
    の溝を設けた請求項記載の高精度スエージング装置。
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