JP2542201B2 - 過負荷溶断形抵抗器 - Google Patents

過負荷溶断形抵抗器

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JP2542201B2 JP61273789A JP27378986A JP2542201B2 JP 2542201 B2 JP2542201 B2 JP 2542201B2 JP 61273789 A JP61273789 A JP 61273789A JP 27378986 A JP27378986 A JP 27378986A JP 2542201 B2 JP2542201 B2 JP 2542201B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は民生用機器、産業用機器等に広く使われてい
る過負荷溶断形抵抗器に関するもので、その目的は過電
流が流れた時に抵抗皮膜自体の自己発熱により速やかに
溶断するものを提供することにある。
従来の技術及びその問題点 近年、装置の小形化、低電力化の要請に伴い、過負荷
溶断形抵抗器には、異状時における印加電力が定格電力
に対し低倍率であつても、電流を遮断できることが要求
されている。
従来、この種の過負荷溶断形抵抗器には、 (1)金属皮膜、金属酸化物皮膜またはカーボン皮膜等
の一般抵抗皮膜上に低融点ガラスペーストを塗布したも
の、 (2)抵抗皮膜とそれを支持或いは保護している材料の
熱膨張係数の差を利用したもの、 (3)部分的に電流通路を狭くして熱集中化を起こし溶
断させるもの、 (4)溶断形抵抗皮膜を使用するもの 等がある。
しかし、これらの従来の抵抗器にあつては、定格電力
の例えば4〜5倍程度の低倍率で溶断させることは一般
に困難である。このため、上記(4)のタイプの抵抗器
において改良が試みられており、定格電力の4〜5倍の
低倍率の印加電力で溶断するものも開発されているが、
抵抗皮膜材料の溶断温度が低くなりすぎ、はんだ付、取
付時等の外部からの熱により溶断することがあるという
問題点を有する。
問題点を解決するための手段 本発明者は、これら問題点を解消すべく、定格電力の
4〜5倍程度の印加電力により安定かつ正確に溶断して
電流を遮断できると共に、外部からの熱の作用を受け難
い過負荷溶断形抵抗器を開発すべく、鋭意研究を重ね
た。その結果、絶縁基体表面に、Cuを0.1〜50wt%の範
囲で含むSn−Pb−Cu合金皮膜層を備え、抵抗皮膜の一部
分または全体を覆うように熱軟化性樹脂層が形成され、
かつ全体が熱収縮チユーブ等の絶縁物で覆われた構造を
有する過負荷溶断形抵抗器は、定格電力の4〜5倍程度
の低倍率の電力で溶断すると共に、上記Sn−Pb−Cu合金
皮膜層の存在により外部からの熱影響に耐え、例えばは
んだデイツプ時の熱等によつても溶断することがないこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の過負荷溶断形抵抗器の製造方法
を提供するものである。
絶縁基体表面に活性化処理によりSn層、Ag層または
Pd層よりなる第1層を形成し、この上に銀鏡法または無
電解めつき法等の湿式めつき法若しくは気相めつき法、
イオンめつき法、スパッタリング法、蒸着法等の乾式法
によってAg層またはSn層、あるいはそれらの混合体層ま
たはそれらの積層体層よりなる第2層を、その何れの金
属の場合についても電気抵抗値が0.1〜15Ω・cmの範囲
となる厚さに被着させ、次いで硫酸、有機スルホン酸又
はホウフツ化水素酸による酸処理を行い、上記金属皮膜
が被着された基体を陰極としたバレル回転浴により、浴
組成が、Sn2+2〜25g/l、Pb2+2〜27g/l、Cu2+0.2〜3g/
l、H+80〜130g/l及び有機添加剤4〜30g/lであるSn−Pb
−Cu合金めつき浴中で、バレル回転速度6〜8rpm、陰極
電流密度0.1〜0.3A/dm2、浴温15〜25℃及び電圧1〜3V
の条件で電解めつきして、Cuを0.1〜50wt%の範囲で含
むSn−Pb−Cu合金よりなる第3層を析出生成させて抵抗
皮膜を形成し、該抵抗皮膜上に抵抗皮膜の一部分または
全体を覆うように熱軟化性樹脂層を形成し、全体を熱収
縮チユーブ等の絶縁物で覆う過負荷溶断形抵抗器の製造
方法。
抵抗皮膜を形成した後に、抵抗値修正用溝切りを施
す工程を有する前記記載の過負荷溶断形抵抗器の製造
方法。
抵抗被膜を形成させるにあたり、Cuを6〜20wt%の
範囲で含むSn−Pb−Cu合金よりなる第3層を析出生成さ
せる前記または記載の過負荷溶断形抵抗器の製造方
法。
絶縁基体表面に活性化処理によりSn層、Ag層またPd
層よりなる第1層を形成し、この上に銀鏡法または無電
解めつき法等の湿式めつき法若しくは気相めつき法、イ
オンめつき法、スパッタリング法、蒸着法等の乾式法に
よってAg層またはSn層、あるいはそれらの混合体層また
はそれらの積層体層よりなる第2層を、その何れの金属
の場合についても電気抵抗値が0.1〜15Ω・cmの範囲と
なる厚さに被着させ、次いで硫酸、有機スルホン酸又は
ホウフツ化水素酸による酸処理を行い、上記金属皮膜が
被着された基体を陰極としたバレル回転浴により、浴組
成が、Sn2+2〜25g/l、Pb2+2〜27g/l、Cu2+0.2〜3g/
l、H+80〜130g/l及び有機添加剤4〜30g/lであるSn−Pb
−Cu合金めつき浴中で、バレル回転速度6〜8rpm、陰極
電流密度0.1〜0.3A/dm2、浴温15〜25℃及び電圧1〜3V
の条件で電解めつきして、Cuを0.1〜50wt%の範囲で含
むSn−Pb−Cu合金よりなる第3層を析出生成させて抵抗
皮膜を形成し、その後上記抵抗皮膜に熱処理を施した
後、該抵抗皮膜上に抵抗皮膜の一部分または全体を覆う
ように熱軟化性樹脂層を形成し、全体を熱収縮チユーブ
等の絶縁物で覆う過負荷溶断形抵抗器の製造方法。
抵抗皮膜を形成した後に、抵抗値修正用溝切りを施
す工程を有する前記記載の過負荷溶断形抵抗器の製造
方法。
抵抗皮膜を形成させるにあたり、Cuを6〜20wt%の
範囲で含むSn−Pb−Cu合金よりなる第3層を析出生成さ
せる前記または記載の過負荷溶断形抵抗器の製造方
法。
以下、本発明の実施態様を示す添付図面を参照しつ
つ、本発明を説明する。
第1図は、本発明の実施態様に係る抵抗器の一部を示
す断面図である。まず、第1図において、(1)は、絶
縁基体であつて、これは、この分野で通常使用されてい
る磁気等の材料から成る。その寸法、形状は、目的とす
る抵抗器の定格電力等により適宜決定されるが、典型的
には、例えば、直径1.7〜4.5mm、長さ5.5〜14.0mmの円
柱状磁器が例示される。かかる絶縁基体は、常法に従
い、粗化、脱脂等の通常行なわれる処理を施して使用す
る。
本発明の一実施態様においては、前記Sn−Pb−Cu合金
皮膜層を設けるに当り、まず、Sn、Ag又はPdからなる活
性化処理層(2)を設け、次いで第2層としてAg又はSn
層、これらの混合体層又はこれらの積層体層(3)を下
地層として設け、この下地層(3)上に前記Sn−Pb−Cu
合金皮膜層を電気メツキ法により設ける。
上記第1層たるSn、Ag又はPbからなる活性化処理層
(2)は、絶縁基体(1)上に上記下地層(3)を施す
ために前処理として施されるものである。尚、乾式法に
より下地層(3)を形成させる場合には、活性化処理層
(2)の形成は必ずしも必要ではない。該活性化処理層
(2)は、例えば、上記粗化、脱脂等の処理を行なつた
絶縁基体(1)を塩化第1錫溶液に浸漬して感受性を付
与し活性化することにより形成するか、又は、このよう
な湿式法の代りに蒸着法、スパツタリング法等の乾式法
による活性化処理によつて、Sn層、Ag層又はPd層を形成
することも可能である。かかる活性化処理層(2)の厚
さないし金属付着量は、下地層(3)形成のための活性
化に足る厚さないし量とすればよい。
かかる活性化処理層(2)により活性化後、Ag又はSn
層又はそれらの混合体層又はこれらの積層体層が下地層
(3)として形成される。該下地層(3)は、次の如き
条件を満足するものである。
a)電気不導体である絶縁基体(1)の表面に電気伝導
性を与えて、後のSn−Pb−Cu合金めつきの際の陰極とし
てめつき被着を可能ならしめること、そして、そのため
には好ましくは、15Ω・cm以下の電気抵抗値であるこ
と。
b)過熱によりSn−Pb−Cu合金皮膜が溶融する際に、初
期の導通を失い、抵抗値が無限大になること、そして、
そのためには下地層の厚さは薄いこと(1μm厚以
下)。
c)Sn−Pb−Cu合金皮膜層に拡散、混合し易いか表面の
なじみが良好であること。つまり絶縁基体(1)との密
着性が実用上支障ない程度に維持されるが、Sn−Pb−Cu
合金皮膜が溶融時、凝集することを防げない程度である
こと。
本発明において、下地層(3)の厚さは、抵抗値で0.
1〜15Ω・cm程度、好ましくは0.7〜7Ω・cm程度とされ
る。下地金属としては、膜厚が薄くなければならないと
いう条件を考慮すると、Ag層が好ましい。
下地層(3)は、銀鏡法、無電解めつき法等の湿式法
又は気相めつき法、イオンめつき法、スパツタリング
法、蒸着法等の乾式法により形成される。これらのうち
でも、合金化後の皮膜特性の観点から銀鏡法が最も好ま
しい。銀鏡法は、Agイオンを含むI液と還元剤を含むII
液とを用い、絶縁基体(1)の表面上でI液とII液とが
混合接触するようにI液とII液とを別個のノズルから同
時にスプレーする方法、スプレーする直前にI液とII液
とを混合して1本のノズルからスプレーする方法、I液
とII液を混合した溶液に絶縁基体(1)を浸漬する方法
等により行なわれる。I液とII液の組成は、いずれも公
知のものが使用でき、例えば、下記第1表に示すものを
挙げることができるが、適宜組成を変更したり、還元剤
を変更することもできる。又、場合によつては、下記第
2表、第3表に示すように、3種又は4種の保存液を事
前に混合することもできる。
また、AgとSnの混合体の層を形成するには、AgとSnと
の合金めつきを被着させればよく、また、これらの積層
体の層を被着させるには、上記の銀鏡法と無電解めつき
法を任意の順序で連続して繰返せばよい。
こうして得られた下地層(3)の上には、第3層のSn
−Pb−Cu合金皮膜層(4)が形成される。該Sn−Pb−Cu
合金皮膜層(4)は、該Sn−Pb−Cu合金皮膜重量に対し
Cuを0.1〜50wt%程度、好ましくは、6〜20wt%程度含
有しており、残部Sn及びPbからなるものであつて、Snと
Pbとの割合は、Sn98〜10wt%に対しPb2〜90wt%、好ま
しくはSn80〜40wt%に対しPb20〜60wt%、より好ましく
はSn65〜55wt%に対しPb35〜45wt%である。上記Cu含量
が0.1wt%を下回る場合は、Sn−Pb−Cu合金皮膜層の溶
断温度を上昇させ、外部からの熱に対する耐性を向上さ
せるのに充分ではない場合が多く、一方、Cu含量を50wt
%以上とすることは、通常、条件的に安定性に欠ける点
で好ましくない。該Sn−Pb−Cu合金皮膜層(4)の厚さ
は、目的とする抵抗器の形状、定格電力等によつても変
り得るが、通常は、抵抗値で10〜120mΩ程度の範囲とす
ればよい。
上記Sn−Pb−Cu合金皮膜層(4)は、通常、前記下地
層(3)を酸により処理し、次いで下地層(3)を備え
た基体(1)を陰極として、Sn−Pb−Cu合金めつき浴中
で電解めつきを施すことにより形成される。上記酸とし
ては、例えば、硫酸又はアルカノールスルホン酸、アル
カンスルホン酸等の有機スルホン酸等の有機酸又はホウ
フツ化水素酸が特に好ましく、例えば硫酸100g/l程度の
水溶液、又はホウフツ化水素酸(30〜50%)の30ml/l〜
200ml/l程度の水溶液に短時間浸漬することにより酸処
理を行なえばよい。
上記Sn−Pb−Cu合金めつき浴の浴組成としては、例え
ば、Sn2+2〜25g/l程度、Pb2+2〜27g/l程度、Cu2+0.2
〜3g/l程度、H+80〜130g/l程度及び有機添加剤4〜30g/
l程度を含有するものが使用できる。特に、Sn2+、P
b2+、Cu2+はホウフツ化水素酸塩又は有機酸塩の形態で
あるのが好ましい。Sn2+、Pb2+、Cu2+がホウフツ化水素
酸塩の形態である場合、H+がホウフツ化水素酸であり、
有機添加剤としてはペプトン、ゼラチン、にかわ等を用
いるのが好ましい。Sn2+、Pb2+、Cu2+が有機酸塩の形態
である場合、H+が同じ有機酸であり、有機添加剤として
はホルマリン等を用いるのが好ましい。上記有機酸とし
ては、各種のものが使用できるが、アルカノールスルホ
ン酸、アルカンスルホン酸等の有機スルホン酸が特に好
ましく使用できる。上記Sn2+、Pb2+、Cu2+の濃度は、所
望のSn−Pb−Cu合金の組成に応じて適宜調整すればよ
い。めつき方式としては、通常、バレル回転浴を用いる
のが有利であり、その条件としては、例えば、次の如き
条件を採用できる。
バレル回転速度 6〜8rpm 陰極電流密度 0.1〜0.3A/dm2 浴 温 15〜25℃ 電 圧 1〜3V かくして、第1層の活性化処理層(2)、第2層の下
地層(3)及び第3層のSn−Pb−Cu合金皮膜層(4)
が、絶縁基体(1)の上に形成される。
本発明者の研究によれば、上記第1層、第2層及び第
3層からなる抵抗皮膜は、各層が独立したまま使用して
もよいが、更に、該抵抗皮膜を熱処理により合金化した
場合にも所望の効果が発揮されることを見出した。しか
も、この合金化を行なうことにより、本抵抗器製造工程
における加熱等に対する抵抗値変化が少なくなるという
効果も発揮される。上記合金化を行なう場合は、得られ
る合金がSn−Pb−Cu−Ag合金となるように、下地層
(3)をAg層とするのが好ましい。上記熱処理は、温度
140〜200℃程度で3〜24時間程度を要して行なわれる。
こうして第2図に示す如く、絶縁基体(1)上に、熱処
理により形成された合金層(5)が設けられた構造が得
られる。
以上のようにして得られた3層構造の皮膜又は熱処理
による合金皮膜には、必要に応じ、抵抗値修正用の溝切
りが行なわれる。
次に、本発明では、軟化性樹脂層を、溝切りを施し又
は施さない抵抗膜の一部の範囲又は全範囲に形成する。
第3図及び第4図は、夫々、第1図の3層構造皮膜及び
第2図の合金皮膜(5)上に、熱軟化性樹脂層(6)が
形成されている状態を示すものである。第5図は、第2
図の第2図の合金層(5)からなる抵抗皮膜上に、絶縁
基体(1)の両端において、キヤツプ(9)を圧入し、
これにリード線(10)を溶接したもので、上記合金層
(5)の周面には、溝切りにより形成された溝切り部
(8)が設けられている。その溝切り中央部(即ち、溝
切りを施された部分の中央部)の一部分に、前記熱軟化
性樹脂層(6)が設けられている。
上記熱軟化性樹脂層(6)は、過負荷時の発熱により
軟化し、粘度の低下及びフラツクス作用により、溶融し
た抵抗皮膜の溶断を助長するものであり、例えば、ロジ
ン、オレフイン系、スチレン系、ナイロン系、フエノー
ル系、キシレン系の樹脂及びこれらの変性品等の熱軟化
性樹脂が例示できる。これら熱軟化樹脂は、抵抗皮膜の
溶断時の温度付近(一般に90〜260℃程度)にて軟化
し、粘度が低下するものが好ましく、特に、溶融した抵
抗皮膜が表面張力により球状化することを助ける作用を
有するものがより好ましい。熱軟化性樹脂層(6)の厚
さは、使用する樹脂の種類等によつても変わり得るが、
一般に2〜20μm程度、好ましくは5〜15μm程度とす
ればよい。かかる熱軟化性樹脂層(6)は、熱軟化性樹
脂の溶液又は融解物を筆状のもので塗布するか、浸漬法
又は印刷方式で形成される。
最後に、第6図に示すように、抵抗器全体を、この分
野で慣用されている絶縁物からなる保護層(11)、例え
ば熱収縮チユーブ等で覆うことにより、過負荷溶断形抵
抗器が完成する。
発明の効果 本発明のそれぞれの過負荷溶断形抵抗器は、いずれ
も、定格電力の4〜5倍程度の低電力倍率で、安定かつ
信頼性高く溶断し、電流を遮断するものである。その溶
断機構は、未だ完全に解消されていないが、おそらく、
本発明の抵抗皮膜、特に3層構造の場合の第3層のSn−
Pb−Cu合金皮膜層(4)又は熱処理により形成された合
金皮膜層(5)(殊にSn−Pb−Cu−Ag合金皮膜層)は比
較的低融点であり、抵抗皮膜の温度が過負荷時の発熱で
その融点に達すると、上記抵抗皮膜が融解し、また同時
に熱軟化性樹脂層(6)の熱軟化による粘度の低下及び
フラツクス作用が相俟つて、融解した抵抗皮膜は表面張
力により球状化し、こうして溶断が達成されるものと推
察される。
本発明の抵抗器は、定格動作時には、一般の抵抗器と
同等の性能、信頼性を有する過負荷溶断形抵抗器とな
る。
また、本発明抵抗器の抵抗皮膜は、はんだ取付時等の
リード線からの熱伝導等の外部からの熱に対しては安定
した耐性を示す。
しかも、抵抗皮膜硬度が高いので、製造工程における
設備との接触等の外力による傷がつきにくいという利点
もある。
加えて、抵抗皮膜上に熱軟化性樹脂層が形成されてい
るので、溶断特性が高く、溶断後の耐電圧も大きいもの
である。
また、従来の皮膜抵抗器の製造工程をそのまま活用で
きるため、製造コストも低く、有利である。
実施例 以下、実施例を掲げて、本発明を更に詳しく説明す
る。
実施例1 径1.7mm、長さ5.5mmの碍子1万個に以下の如くめつき
を施し、抵抗値50mΩの過負荷溶断形抵抗器を得た。
粗化液として67%稀硝酸20ml/l及び55%フツ化水素酸
10ml/lの混酸を用い、上記碍子を室温にしてバレル回転
速度8rpmの条件下で15分間粗化を行なつた。次いで水洗
し、約5%塩酸溶液で酸処理を2分間行ない、次いで水
洗を行なつた。これを前処理とする。
第1層としてPd層を形成するべく、塩化第1錫2水和
物15g/l及び塩酸10ml/lを含有した溶液で2分間処理し
た後、塩化パラジウム0.7g/l及び塩酸1.5ml/lを含有し
た溶液で2分間処理した。
第2層として、硝酸銀20g、アンモニア水20ml、水酸
化カリウム5g及び水400mlを成分とするI液と砂糖90g、
硝酸4ml及び水1を成分とするII液を用いてAg層を抵
抗値0.3〜0.6Ωとなるまで形成させた。
第3層としてのSn−Pb−Cu層を形成するに当り、5%
のアルカノールスルホン酸を含有する溶液で1分間酸処
理した後、Sn2+20g/l、Pb2+8g/l、Cu2+0.8g/l、H+100g/
l及びペプトン5g/lを含有した溶液(各金属イオンはい
ずれもホウフツ化水素酸塩の形態であり、H+はホウフツ
化水素酸である)中に浸漬し、電流密度0.3A/dm2、電圧
2V、通電時間27分、バレル回転速度8rpmで50mΩの抵抗
体を得た。なおこの皮膜中に含まれる銅は15.7重量%で
あつた。
該皮膜の鉛筆硬度を熱処理前及び170℃、3時間の熱
処理後において測定したところ、熱処理前は4H相当で、
熱処理後の従来品にほぼ相当するのに対し、熱処理後は
6H相当であつた。
尚、鉛筆硬度の測定方法は、次の通りである。即ち、
抵抗体表面に対し40〜50°の角度で、規定の硬度を有す
る鉛筆(H〜9H)で抵抗体表面をこすり、傷の有無を観
察し、傷がなく単に鉛筆の跡のみが残る最高の鉛筆硬度
でもつて皮膜の硬度を評価する。
上記実施例1で得られた本発明の過負荷溶断形抵抗器
の溶断特性を試験した。試験方法は、次のとおりであ
る。第7図に示す回路にて試験を行ない、電源は定電圧
電源を使用するものとする。第7図において、R1は供試
抵抗器である。R2は高電力・安定抵抗器であり、その抵
抗値はR1の30〜50倍とし、R1にシリーズ接続しておく。
あらかじめ、試験抵抗器R1の代わりに高電力ダミー抵抗
器を使用し、溶断特性仕様に定められた条件になるよう
に電源の電圧をあわせておく。次に、ダミー抵抗の代わ
りに試験する抵抗器を取り付けスイツチSを入れる。ス
イツチを入れてから規定の電流が流れているか電流計で
確認し、規定の電流になつていない場合、すみやかに
(1秒以内)微調整を行なう。ただし、それ以降は電源
の調整は行なわない。スイツチを入れてから断線するま
での時間を測定する。抵抗器の断線状態に至つたことの
判定は、電流値が最初の試験電流の1/50以下になつた状
態をもつて行なう。結果を第8図に示す。
また、上記実施例1で得られた本発明抵抗器の外部か
らの熱に対する耐性を試験した。即ち、抵抗器をシリコ
ンオイルに浸漬し、徐々に温度を上昇させていつた場合
の抵抗値変化率を測定した。
また、第3層としてSn−Pb層を形成した他は、実施例
1で得られた過負荷溶断形抵抗器と同様にして得られた
抵抗器(比較例1)について、同様にして抵抗変化率を
測定した。
結果を第9図に示す。
なお、比較例1の第3層は以下の手順に従って形成し
た。すなわち、第2層を形成させた後、5%のアルカノ
ールスルホン酸を含有する溶液で1分間酸処理した後、
Sn2+13.5g/l、Pb2+30g/l、H+350g/l及びペプトン3.75g/
lを含有した溶液(各金属イオンはいずれもホウフツ化
水素酸塩の形態であり、H+はホウフツ化水素酸である)
中に浸漬し、電流密度2.7A/dm2、電圧3V、通電時間27
分、バレル回転速度6rpmで30mΩの抵抗体を得た。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施態様に係る抵抗器の一部を示
す断面図である。 第2図は、本発明の他の実施態様に係る合金化抵抗皮膜
を備えた抵抗器の一部を示す断面図である。 第3図及び第4図は、夫々、第1図及び第2図の抵抗皮
膜上に熱軟化性樹脂層を形成後の断面図である。 第5図は、本発明抵抗器の完成直前の要部側面図であ
り、第6図は、絶縁物で被覆し完成した本発明抵抗器の
要部断面図である。 第7図は、溶断特性測定用の回路図であり、第8図はこ
れを用いて測定された実施例1の抵抗体の溶断特性図で
ある。第9図は実施例1の抵抗体及び比較例1の抵抗体
の外部温度上昇に伴う抵抗値変化率を示すグラフであ
る。 (1)……絶縁基体 (2)……Sn、Ag又はPdの活性化処理層 (3)……Ag又はSnの下地層 (4)……Sn−Pb−Cu合金皮膜層 (5)……熱処理により形成された合金抵抗皮膜 (6)……熱軟化性樹脂層 (8)……溝切り部 (9)……キヤツプ (10)……リード線 (11)……絶縁物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 栄治 大阪市西成区津守3丁目7番27号 株式 会社サトーセン内 (72)発明者 細川 善右エ門 門真市大字門真1006番地 松下電器産業 株式会社内 (72)発明者 進藤 泰宏 門真市大字門真1006番地 松下電器産業 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−188029(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁基体表面に活性化処理によりSn層、Ag
    層またはPd層よりなる第1層を形成し、この上に銀鏡法
    または無電解めつき法等の湿式めつき法若しくは気相め
    つき法、イオンめつき法、スパッタリング法、蒸着法等
    の乾式法によってAg層またはSn層、あるいはそれらの混
    合体層またはそれらの積層体層よりなる第2層を、その
    何れの金属の場合についても電気抵抗値が0.1〜15Ω・c
    mの範囲となる厚さに被着させ、次いで硫酸、有機スル
    ホン酸又はホウフツ化水素酸による酸処理を行い、上記
    金属皮膜が被着された基体を陰極としたバレル回転浴に
    より、浴組成が、Sn2+2〜25g/l、Pb2+2〜27g/l、Cu2+
    0.2〜3g/l、H+80〜130g/l及び有機添加剤4〜30g/lであ
    るSn−Pb−Cu合金めつき浴中で、バレル回転速度6〜8r
    pm、陰極電流密度0.1〜0.3A/dm2、浴温15〜25℃及び電
    圧1〜3Vの条件で電解めつきして、Cuを0.1〜50wt%の
    範囲で含むSn−Pb−Cu合金よりなる第3層を析出生成さ
    せて抵抗皮膜を形成し、該抵抗皮膜上に抵抗皮膜の一部
    分または全体を覆うように熱軟化性樹脂層を形成し、全
    体を熱収縮チユーブ等の絶縁物で覆う過負荷溶断形抵抗
    器の製造方法。
  2. 【請求項2】抵抗皮膜を形成した後に、抵抗値修正用溝
    切りを施す工程を有する特許請求の範囲第1項記載の過
    負荷溶断形抵抗器の製造方法。
  3. 【請求項3】抵抗皮膜を形成させるにあたり、Cuを6〜
    20wt%の範囲で含むSn−Pb−Cu合金よりなる第3層を析
    出生成させる特許請求の範囲第1項または第2項記載の
    過負荷溶断形抵抗器の製造方法。
  4. 【請求項4】絶縁基体表面に活性化処理によりSn層、Ag
    層またPd層よりなる第1層を形成し、この上に銀鏡法ま
    たは無電解めつき法等の湿式めつき法若しくは気相めつ
    き法、イオンめつき法、スパッタリング法、蒸着法等の
    乾式法によってAg層またはSn層、あるいはそれらの混合
    体層またはそれらの積層体層よりなる第2層を、その何
    れの金属の場合についても電気抵抗値が0.1〜15Ω・cm
    の範囲となる厚さに被着させ、次いで硫酸、有機スルホ
    ン酸又はホウフツ化水素酸による酸処理を行い、上記金
    属皮膜が被着された基体を陰極としたバレル回転浴によ
    り、浴組成が、Sn2+2〜25g/l、Pb2+2〜27g/l、Cu2+0.
    2〜3g/l、H+80〜130g/l及び有機添加剤4〜30g/lである
    Sn−Pb−Cu合金めつき浴中で、バレル回転速度6〜8rp
    m、陰極電流密度0.1〜0.3A/dm2、浴温15〜25℃及び電圧
    1〜3Vの条件で電解めつきして、Cuを0.1〜50wt%の範
    囲で含むSn−Pb−Cu合金よりなる第3層を析出生成させ
    て抵抗皮膜を形成し、その後上記抵抗皮膜に熱処理を施
    した後、該抵抗皮膜上に抵抗皮膜の一部分または全体を
    覆うように熱軟化性樹脂層を形成し、全体を熱収縮チユ
    ーブ等の絶縁物で覆う過負荷溶断形抵抗器の製造方法。
  5. 【請求項5】抵抗皮膜を形成した後に、抵抗値修正用溝
    切りを施す工程を有する特許請求の範囲第4項記載の過
    負荷溶断形抵抗器の製造方法。
  6. 【請求項6】抵抗皮膜を形成させるにあたり、Cuを6〜
    20wt%の範囲で含むSn−Pb−Cu合金よりなる第3層を析
    出生成させる特許請求の範囲第4項または第5項記載の
    過負荷溶断形抵抗器の製造方法。
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