JP2863710B2 - 金属皮膜抵抗器の製造方法 - Google Patents

金属皮膜抵抗器の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属皮膜抵抗器の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属皮膜抵抗器は、各種電化製品や計測
器に使用されている。そして、近年高抵抗から10mΩ
程度の低抵抗領域にまで及ぶ精密抵抗、すなわち抵抗温
度係数が優れ、抵抗値許容差±1%程度の特性が要求さ
れている。従来、金属皮膜抵抗器において、高抵抗領域
から低抵抗領域にまで適用することができ、かつ抵抗温
度係数が優れたものとして、金属皮膜に銅−ニッケル合
金皮膜を用いたものがある。この抵抗器は、磁器基体に
銅とニッケルを交互に電析させ、幾層にも膜を積層させ
た後、800℃程度の高温度で熱処理して銅−ニッケル
合金皮膜を形成することにより製造されていた。また、
特に抵抗温度係数の優れた超精密級の金属皮膜抵抗器と
して、ニッケル−クロムの蒸着皮膜を用いたものがあ
り、これは抵抗温度係数±10ppm/℃、抵抗値許容
差±1%の特性を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前者の銅−ニッケル合
金皮膜を用いるものは、電析させた銅とニッケルを合金
化するために約800℃という高温の熱処理が必要であ
り、そのため抵抗値が変化し、また大量の電力が必要で
コスト高となる欠点を有している。また、得られる抵抗
器の抵抗温度係数は±250ppm/℃と悪い。後者の
超精密級金属皮膜抵抗器は、ニッケル−クロム皮膜を蒸
着により形成するため、厚膜形成が困難であり、従っ
て、抵抗値が100〜100kΩと高抵抗領域の抵抗器
しか作成できない。
【0004】従って、本発明は、高抵抗領域から低抵抗
領域まで適用可能で、抵抗温度係数の小さい優れた特性
の金属皮膜抵抗器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、銅塩とニッケ
ル塩を含むピロリン酸浴による電解めっき法により銅と
ニッケルを共析させることにより、銅−ニッケル合金皮
膜を形成し、これを抵抗器の金属皮膜抵抗体とするもの
である。ここに用いるピロリン酸浴としては、CuSO
4・5H2O;0.005〜0.030モル/l、NiS
4・6H2O;0.07〜0.30モル/1、K42
7;0.20〜0.50モル/1、pH;6〜8が好ま
しい。また、浴温度は20〜40℃、電流密度はバレル
めっきの場合0.1〜10A/dm2、シートめっきの
場合0.1〜100A/dm2が適当である。
【0006】本発明はまた、陽極にニッケルと銅を用
い、めっき電流を陽極のニッケルと銅とに一定の比率で
分配してめっき浴中のニッケルと銅の濃度比をほぼ一定
にしてめっきすることを特徴とする。さらに、本発明
は、前記の銅−ニッケル合金めっき皮膜を窒素雰囲気中
において500℃以上の温度で熱処理する工程を有す
る。
【0007】
【作用】上記のピロリン酸浴は、銅−ニッケル合金めっ
き皮膜の厚付けが可能であり、低抵抗領域の抵抗器を容
易に得ることができる。また、めっき条件を適切にする
ことにより、物性のよい合金めっき皮膜が得られる。さ
らに、電流効率が高く、浴安定性に優れている。また、
排水処理も比較的容易である。
【0008】浴のpHは、得られるめっき皮膜のニッケ
ル含有率および膜厚に影響を与える。浴のpHが高くな
ると、めっき皮膜中のニッケル含有率および膜厚が増加
する。pHを低くすると、めっき皮膜のニッケル含有率
が低下するのは、浴中の銅イオンの安定度がpHによっ
て影響され、錯化剤であるピロリン酸がニッケルに配位
し難しくなるためと考えられる。また、pHが高いとこ
ろでは、ニッケルの水酸化物の生成により膜厚の増加が
あり、pHが低いところでは、水素発生による電流効率
およびめっき皮膜の密着性の低下が生じる。
【0009】さらに詳しく説明すると、pH6で得た皮
膜は、SEM写真からクラックの多い表面を有し、ES
CAにより酸化ニッケルと金属ニッケルの混在するのが
認められる。また、pH9で得た皮膜は、水酸化ニッケ
ルと金属ニッケルの混在するのが認められる。これらの
皮膜は、水素雰囲気中において600℃〜800℃で熱
処理すると酸素はほとんど消滅し、抵抗温度係数は低下
する。
【0010】一方、pH7および8で得た皮膜は、ES
CA分析からは上記のような酸化ニッケルや水酸化ニッ
ケルは観察されず、金属ニッケルのピークに近い波形が
得られる。このようにpH7〜8で得た皮膜が良質であ
る。そして、pH7で得た皮膜は、ニッケル含有率約5
0%で、抵抗温度係数が最も小さい値を示す。すなわ
ち、pH7で得た皮膜は、熱処理せずに抵抗温度係数±
200ppm/℃以下であり、500℃の熱処理で約±
50ppm/℃以下となり、600℃の熱処理でほぼ0
となる。熱処理の雰囲気は、水素でも不活性ガスでもよ
く、窒素を用いるのが最も経済的である。熱処理の時間
は、500℃において25分程度でよい。熱処理温度に
ついては、600℃を越えると、金属皮膜抵抗器同士が
くっついたり、金属皮膜がふくれたりするおそれがある
ので、600℃以下500℃以上の範囲が好ましい。
【0011】得られるめっき皮膜のニッケル含有率は、
前記のようにめっき浴のpHによって影響を受けるが、
めっき時間の進行とともにニッケル含有率は上昇する。
ニッケル含有率35〜60%の範囲が好ましい。ニッケ
ル含有率を一定にするには、陽極にニッケルと銅を用
い、めっき電流を陽極のニッケルと銅とに一定の比率で
分配してめっき浴中のニッケルと銅の濃度比をほぼ一定
にしてめっきするのがよい。この場合、銅はニッケルに
比して析出しやすいので、後記実施例に示すように、め
っき浴の銅の濃度をニッケルのそれより小さくし、かつ
陽極のニッケルと銅に分配する電流の比をめっき浴中の
ニッケルと銅のモル比にほぼ対応させるのが好ましい。
【0012】上記の本発明の方法において、好ましいめ
っき条件は次のとおりである。 電流密度;0.1〜10A/dm2(バレルめっきの場
合) 0.1〜100A/dm2(シートめっきの場合) 基板上にシート状にめっき皮膜をつける場合には、基板
と陽極との間隔を20mm以下にし、その間を液の流速
4m/sec程度の速度で循環させることにより、高電
流密度のめっきをおこなうことができる。従って、電流
密度範囲は、0.1〜100A/dm2となる。
【0013】本発明のピロリン酸浴の電解により得られ
る銅−ニッケル合金皮膜は、銅比率45〜60%で、め
っき直後から銅とニッケルが合金化していることから、
熱処理なしで抵抗温度係数が±200ppm/℃、50
0〜600℃程度の熱処理により±50ppm/℃のも
のを容易に得ることができる。また、後記実施例に示す
ようなサイズの基体を用いた場合、10mΩ程度の低抵
抗領域から、図2のように金属皮膜に溝切りをすること
により、10Ω程度の高抵抗領域の抵抗器を得ることが
できる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 [実施例1]直径3mm、長さ11mmの円柱状の1W
型抵抗碍子体をサンプルとし、以下の条件でエッチン
グ、活性化処理、および下地めっきとしての無電解ニッ
ケル−リン合金めっき処理をする。
【0015】(1) エッチング フッ酸 150cc/l 硝酸 50cc/l 温度;常温、処理時間;2分間
【0016】(2) 活性化処理 センシタイジング SnCl2 10g/l 塩酸 40cc/l 温度;常温、処理時間;2分間 アクチベイチング PdCl2 0.25g/l 塩酸 2.5cc/l 温度;常温、処理時間;2分間 以上のセンタイジングとアクチベイチングを2回繰り返
す。
【0017】(3) 下地めっき NiSO4・6H2O 30g/l NaH2PO2・H2O 10g/l クエン酸ナトリウム (Na3657・2H2O) 10g/l 温度;85℃、処理時間;5分間
【0018】以上の前処理をしたサンプル1000個を
バレルに入れ、下記の浴組成のメッキ浴量5リットル、
浴温度30℃、バレル回転数8rpmとし、陽極に白金
めっきしたチタンを用い、めっき電流3Aで8時間電解
めっきする。なお、めっき浴のpHの調整は、高くする
ときは水酸化カリウムを、また低くするときは硫酸をそ
れぞれ用いる。 めっき浴組成 CuSO4・5H2O 0.01モル/l NiSO4・6H2O 0.09モル/l K427 0.30モル/l pH 6〜9
【0019】上記のめっきにより銅−ニッケル合金めっ
き皮膜を形成した後、熱処理しないもの、および水素と
窒素との体積比1:9の混合ガス雰囲気中において20
0℃、400℃、600℃、800℃の各温度で25分
間熱処理したものをそれぞれ金属皮膜抵抗器として特性
を測定する。
【0020】図1は、以上のようにして得られた金属皮
膜抵抗器を示す。1は前記の碍子からなる基体、2は下
地めっき皮膜およびその表面に形成された銅−ニッケル
合金めっき皮膜を表す。3は鉄素地に約1μmの銅めっ
きと約2μmの半田めっきをしたキャップで、リード4
を半田付けしてあり、上記めっき皮膜2を有する基体1
の端部を圧入により接合している。図2は、皮膜2に溝
5を形成することによって、抵抗値を約5Ωに増加させ
た抵抗温度係数(以下、TCRで表す)測定用の抵抗器
を示す。なお、以下に述べるTCRは、25℃と125
℃における抵抗値から求めたものである。
【0021】図3は、上記めっき浴のpHおよびめっき
皮膜の熱処理温度と得られた抵抗器のTCRとの関係を
示し、図4は同じくめっき浴のpHおよびめっき皮膜の
熱処理温度と得られた抵抗器の抵抗値との関係を示す。
図3から明らかなように、浴のpHを6〜8とし、皮膜
の熱処理温度を約600℃とすると、TCR±100p
pm/℃の特性を得ることができる。特に浴のpHを7
とすると、熱処理温度600℃以上でTCR±10pp
m/℃の特性を得ることができる。
【0022】抵抗温度計係数ではpH6〜8のものが優
れていたが、この条件で得られたものの抵抗値について
は、図4のように、pH7〜9のものが熱処理温度60
0℃以上で僅かに変化するだけであるのに対し、pH6
のものは大きく変化している。これらの結果から、優れ
た抵抗温度係数および低抵抗値が得られる条件はpH7
〜8である。
【0023】[比較例]実施例1と同様にエッチング、
活性化処理および下地めっきの前処理をしたサンプル1
000個について、めっき浴量5リットル、バレル回転
数8rpmとして、下記の条件で銅めっきとニッケルめ
っきを各4回ずつ重ねめっきをする。
【0024】(1) 銅めっき めっき浴組成 CuCN 50g/l NaCN 10g/l pH 12.5 浴温度 60℃ 陽極 銅板 めっき電流値 2A めっき時間 30分
【0025】(2) ニッケルめっき めっき浴組成 CuSO4・5H2O 280g/l NiCl2 50g/l pH 4 浴温度 50℃ 陽極 ニッケル板 めっき電流値 2A めっき時間 40分
【0026】上記のようにして、銅めっき皮膜とニッケ
ルめっき皮膜を交互に形成した後、熱処理しないもの、
および水素と窒素との体積比1:9の混合ガス雰囲気中
において200℃、400℃、600℃、800℃の各
温度で25分間熱処理したものについて特性を測定す
る。
【0027】図5は、本発明の実施例(実施例1におい
てめっき浴のpHを7とする)と比較例について、めっ
き皮膜の熱処理温度とTCRとの関係を示す。また、図
6は、同じく本発明の実施例と比較例について、めっき
皮膜の熱処理温度と抵抗値との関係を示す。これらの図
から明らかなように、本発明によれば、熱処理なしでT
CR±200ppm/℃以下のものを得ることができる
が、比較例では、同様の特性のものを得るには800℃
程度の熱処理を必要とする。また、比較例では、TCR
を小さくするため高温度で熱処理すると、抵抗値が上昇
する。
【0028】[実施例2]めっき浴のpHを7、めっき
電流値を2〜4Aとした他は実施例1と同じ条件で銅−
ニッケル合金めっき皮膜を形成し、次に実施例1と同じ
水素と窒素の混合ガス雰囲気中において800℃で25
分間熱処理する。図7に、めっき電流値およびめっき時
間と得られた抵抗器の抵抗値との関係を示す。また、図
8に、めっき電流値およびめっき時間と得られためっき
皮膜の膜厚との関係を示す。低い抵抗値を得るために
は、めっき時間を長くするか電流値を大きくして、めっ
き皮膜の膜厚を大きくすればよい。
【0029】[実施例3]めっき浴中の金属濃度を変え
た場合のめっき時間と得られた抵抗器の抵抗値との関係
を図9に示す。aは、めっき浴のpHを7、めっき電流
値を4Aとした他は実施例1と同じ条件で銅ーニッケル
合金めっき皮膜を形成し、次に実施例1と同じ条件で熱
処理をした場合である。また、bは、めっき浴のニッケ
ル塩および銅塩をaの2倍とした他はaと同じとした場
合である。
【0030】[実施例4]めっき電流値を2.5Aとす
る他は実施例2と同じ条件で銅−ニッケル合金めっき皮
膜を形成し、次に実施例2と同じ条件で熱処理をする。
図10にめっき時間と得られた抵抗器のTCRおよび抵
抗値との関係を示し、図11に同じくめっき時間と得ら
れた銅−ニッケル合金めっき皮膜の銅およびニッケルの
比率との関係を示す。なお、銅、ニッケルの比率の算出
に際しては、下地めっき皮膜のニッケル分は差し引いて
ある(以下、同じ)。これらの図から、銅−ニッケル合
金めっき皮膜の銅比率45〜65%の範囲で抵抗温度係
数±100ppm/℃のものが得られる。図12は、め
っき時間と、めっき浴中の銅、ニッケルの濃度および銅
含有率(銅、ニッケル中に占める銅の割合)との関係を
示す。めっきの初期段階では、銅含有率の高いめっき皮
膜が得られるが、めっき時間とともにめっき浴中の銅イ
オン濃度が下がるため、めっき皮膜の銅比率は低下して
いく。
【0031】[実施例5]めっき浴のpHを7として実
施例1と同じ条件で銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成
し、次に実施例1と同じ水素−窒素混合ガス雰囲気中ま
たは窒素雰囲気中において25分間熱処理をする。図1
3に、熱処理温度と得られた抵抗器のTCRとの関係を
示す。熱処理雰囲気は、窒素単独としても水素を含む窒
素中と同様の特性が得られる。また、熱処理温度を50
0℃以上にすることにより、TCR±50ppm/℃以
下のものが得られる。
【0032】[実施例6]以上の実施例では、めっき浴
に銅、ニッケルを補給しないため、めっき時間とともに
浴中の金属濃度が減少する。従って、得られるめっき皮
膜中の銅とニッケルの比率が変動し、TCRが安定しな
い。そこで、本実施例では、浴中の金属濃度を一定にす
るため、陽極に白金めっきしたチタン板の代わりにニッ
ケル板と銅板を用いる。そして、めっき電流値を3Aと
し、2.7Aをニッケル板に、0.3Aを銅板に各々流
れるように分配する。このめっき電流の分配比は、めっ
き浴中のニッケルと銅のモル比に対応する。この他は実
施例2と同じ条件で銅−ニッケル合金めっき皮膜を形成
し、次に実施例2と同じ条件で熱処理をする。
【0033】図14にめっき時間と得られためっき皮膜
のニッケルおよび銅含有率との関係を示し、図15に同
じくめっき時間と得られた抵抗器のTCRおよび抵抗値
との関係を示す。陽極にニッケルと銅を用いることによ
り、得られるめっき皮膜のニッケルと銅の比率は約5
5:45とほぼ一定した値となり、また、TCRもめっ
きの初期段階を除きほぼ±50ppm/℃程度以下とな
る。
【0034】以上の実施例では、円筒形の抵抗器につい
て説明した。図1および図2では、示していないが、金
属皮膜の酸化防止のため、少なくとも金属皮膜を覆うよ
うに、通常はキャップ端子の部分まで、エポキシ樹脂な
どの保護膜を形成するのが好ましい。本発明は、円筒形
のみでなく角形のチップ固定抵抗器など金属皮膜を抵抗
体とする抵抗器に適用できることはいうまでもない。以
下に角形のチップ固定抵抗器に適用した例を説明する。
【0035】[実施例7]大きさ64mm×50mm、
厚さ0.6mmのアルミナ基板(Al23 96%、S
iO2 4%)をサンプルとし、これに以下の条件でエッ
チング処理、活性化処理および下地めっきとしての無電
解ニッケルーリン合金めっき処理をした。この基板は、
複数のチップを同時に生産するため、縦方向および横方
向に分割用スリットが入っている。
【0036】(1) エッチング フッ酸 20cc/l 硝酸 20cc/l 温度;常温、処理時間;5分 (2) 活性化処理 実施例1と同じ (3) 下地めっき 実施例1と同じ
【0037】以上の前処理をしたサンプルに下記の組成
のめっき浴を用いて、温度40℃、電流密度1A/dm
2で1時間めっきした。この際、サンプルと、白金めっ
きしたチタン板からなる陽極との間隔を4mmとし、そ
の間を液流4m/secの速度でめっき液を循環させ
た。使用しためっき液量は20リットルである。
【0038】めっき浴組成 CuSO4・5H2O 0.01モル/l NiSO4・6H2O 0.09モル/l K427 0.3モル/l pH 8〜9
【0039】上記のめっきにより銅ーニッケル合金皮膜
を形成した後、水素と窒素との体積比1:9の混合ガス
雰囲気中において800℃で25分間熱処理をした。次
に、目的の抵抗値が得られるようめっき皮膜をレーザで
トリミングして抵抗値を修正した。次に、めっき皮膜の
特定部分に耐湿、耐熱特性に優れたエポキシ系樹脂のペ
ーストをスクリーン印刷し、大気雰囲気中において20
0℃で30分間加熱して樹脂を硬化させた。この後、サ
ンプルを横方向のスリットの部分で切り離して、個々の
チップが横方向につながっている状態にし、次に前記の
分割した面からめっき皮膜にまたがって樹脂に銀粉を混
合した導電性ペーストをローラー塗布機により塗布し、
大気雰囲気中において200℃で30分間硬化処理をし
た。次に、サンプルを縦方向のスリットの部分で分割し
て個々のチップに切り離した。そして、はんだ付け時の
信頼性を確保するため、電解めっきによりニッケルめっ
き皮膜(厚さ約5μm)、次いではんだめっき皮膜(厚
さ約5μm)を形成して角形金属皮膜抵抗器を得た。
【0040】図16は、上記の抵抗器の構造を示す。1
1は基板を示している。この基板は、その表面にニッケ
ルーリン合金めっき皮膜12、および銅ーニッケル合金
めっき皮膜13を有する。14はめっき皮膜13の特定
部分に被覆されたエポキシ系樹脂の硬化膜からなる保護
膜であり、めっき皮膜13の酸化などを防止する役割を
もっている。この保護膜を形成後に、基板11は図16
の紙面の左右の部分で切り離され、一対の電極15が形
成される。次いで、基板は紙面に平行な部分で個々のチ
ップに切り離され、めっき皮膜16、17が形成され
る。こうして抵抗器が製造される。上記のようにして得
た抵抗器(基板部分の大きさ縦4.5mm、横3.2m
m)は、抵抗値が銅ーニッケル合金皮膜の厚さを調製す
ることにより約10〜400mΩの範囲にあり、TCR
は±30ppm/℃であった。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、低抵抗領域にまで適用
することができ、しかも熱処理をしないかまたは従来よ
りも低い温度の熱処理で抵抗温度係数の優れた金属皮膜
抵抗器を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における金属皮膜抵抗器の一部
を断面にした正面図である。
【図2】本発明の実施例における抵抗温度係数測定用金
属皮膜抵抗器の正面図である。
【図3】各種pHのめっき浴を用いて得た金属皮膜抵抗
器の熱処理温度と抵抗温度係数との関係を示す。
【図4】同じく熱処理温度と抵抗値との関係を示す。
【図5】実施例および比較例の金属皮膜抵抗器の熱処理
温度と抵抗温度係数との関係を示す。
【図6】同じく熱処理温度と抵抗値との関係を示す。
【図7】各種めっき電流で得た金属皮膜抵抗器のめっき
時間と抵抗値との関係を示す。
【図8】めっき電流およびめっき時間と得られためっき
皮膜の膜厚との関係を示す。
【図9】めっき浴中の金属濃度を変えた場合のめっき時
間と得られた抵抗器の抵抗値との関係を示す。
【図10】めっき時間と得られた抵抗器の抵抗温度係数
および抵抗値との関係を示す。
【図11】めっき時間と得られためっき皮膜の銅および
ニッケルの比率との関係を示す。
【図12】めっき時間とめっき浴中の銅濃度、ニッケル
濃度、および銅含有率との関係を示す。
【図13】窒素雰囲気および水素−窒素雰囲気中で熱処
理して得た抵抗器の熱処理温度と抵抗温度係数との関係
を示す。
【図14】溶解性陽極を用いためっきにより得られるめ
っき皮膜のニッケルおよび銅の含有率の変化を示す。
【図15】溶解性陽極を用いためっきにより得られる抵
抗器の抵抗温度係数および抵抗値の変化を示す。
【図16】図16は本発明の他の実施例により得た金属
皮膜抵抗器の縦断面図である。
【符号の説明】
1 基体 2 金属皮膜 3 キャップ 4 リード 5 溝

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも絶縁性基材、前記基材の表面
    に形成された金属皮膜抵抗体、および前記金属皮膜抵抗
    体に接触する一対の電極からなる金属皮膜抵抗器の製造
    方法で、前記金属皮膜抵抗体を形成する工程が、0.0
    05〜0.030モル/lの硫酸銅、0.07〜0.3
    0モル/lの硫酸ニッケルおよび0.20〜0.50モ
    ル/lのピロリン酸カリウムを含むピロリン酸浴を電解
    することにより、銅比率40〜65重量%の銅−ニッケ
    ル二元合金めっき皮膜を形成することからなる金属皮膜
    抵抗器の製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも絶縁性基材、前記基材の表面
    に形成された金属皮膜抵抗体、および前記金属皮膜抵抗
    体に接触する一対の電極からなる金属皮膜抵抗器の製造
    方法で、前記金属皮膜抵抗体を形成する工程が、0.0
    05〜0.030モル/lの硫酸銅、0.07〜0.3
    0モル/lの硫酸ニッケルおよび0.20〜0.50モ
    ル/lのピロリン酸カリウムを含み、pHが6〜8のピ
    ロリン酸浴を浴温度20〜40℃で電解することによ
    り、銅比率40〜65重量%の銅−ニッケル二元合金め
    っき皮膜を形成することからなる金属皮膜抵抗器の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも絶縁性基材、前記基材の表面
    に形成された金属皮膜抵抗体、および前記金属皮膜抵抗
    体に接触する一対の電極からなる金属皮膜抵抗器の製造
    方法で、前記金属皮膜抵抗体を形成する工程が、銅塩お
    よびニッケル塩を含むピロリン酸浴を電解して銅−ニッ
    ケル合金めっき皮膜を形成することからなり、かつ陽極
    にニッケルと銅を用い、めっき電流を陽極のニッケルと
    銅とに一定の比率で分配してめっき浴中のニッケルと銅
    の濃度比をほぼ一定にしてめっきすることを特徴とする
    金属皮膜抵抗器の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属皮膜抵抗体を形成するに先立っ
    て、前記基材を活性化する工程および銅−ニッケル合金
    の下地として無電解めっきによりニッケル層を析出させ
    る工程を有する請求項1、2または3記載の金属皮膜抵
    抗器の製造方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも絶縁性基材、前記基材の表面
    に形成された金属皮膜抵抗体、および前記金属皮膜抵抗
    体に接触する一対の電極からなる金属皮膜抵 抗器の製造
    方法で、前記基材を活性化処理する工程、下地として無
    電解めっきによりニッケル層を析出させる工程、および
    銅塩およびニッケル塩を含むピロリン酸浴を電解して銅
    −ニッケル合金めっき皮膜からなる金属皮膜抵抗体を形
    成することを特徴とする金属皮膜抵抗器の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記銅−ニッケル合金めっき皮膜を窒素
    雰囲気中において500〜600℃の温度で熱処理する
    工程を有する請求項1、2、3または5記載の金属皮膜
    抵抗器の製造方法。
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