JP2547872Y2 - ヒューズ抵抗器 - Google Patents

ヒューズ抵抗器

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JP2547872Y2
JP2547872Y2 JP1991060973U JP6097391U JP2547872Y2 JP 2547872 Y2 JP2547872 Y2 JP 2547872Y2 JP 1991060973 U JP1991060973 U JP 1991060973U JP 6097391 U JP6097391 U JP 6097391U JP 2547872 Y2 JP2547872 Y2 JP 2547872Y2
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昭一 三沢
信之 武内
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帝国通信工業株式会社
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、ヒューズ抵抗器に関す
るものである。
【0002】
【従来技術】従来、定格動作時には一般の抵抗器と同等
に作用し、異常電流が流れた時には抵抗皮膜の発熱によ
りすみやかに溶断して電気回路を保護するヒューズ抵抗
器が実用化されている。
【0003】この種のヒューズ抵抗器としては、例え
ば、円柱状の絶縁基体の表面に酸化金属皮膜,金属皮
膜,又はカーボン皮膜を設け、該皮膜をスパイラル状に
カッティングし、該カッティングライン(切り溝)間の
皮膜に、低融点鉛ガラスを塗布したものがある。そして
このヒューズ抵抗器に異常電圧が印加されたときは、該
低融点鉛ガラスが溶解してヒューズ抵抗器が溶断され
る。
【0004】ところでこの種のヒューズ抵抗器の短時間
過負荷のJIS 規格として、定格電圧の2.5倍の電圧
(これを電力でみれば定格電圧の2乗の6.25倍の電
力)を5秒間印加した場合に、その抵抗値の変化率が1
%以内であることが要求されている。
【0005】従ってこの種のヒューズ抵抗器としては、
定格電力の6.25倍の電力を印加しても溶断せず、定
格電力を所定値以上超えて印加した場合は速やかに溶断
することが望まれる。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら従来のヒ
ューズ抵抗器の溶断電力は、その定格電力の12〜15
倍が普通であり、これを6.25倍に近づけることは困
難であった。
【0007】また溶断後のヒューズ抵抗器の残留抵抗値
はあまり高くならず、非常に高い電力が印加された場合
には電気回路を保護できなかった。
【0008】そこで本願考案者は、定格電力の7倍の電
力が印加されたときに溶断し、それ以下の電力が印加さ
れた場合は溶断せず、しかも溶断後の残留抵抗値が高く
なるヒューズ抵抗器を得ることを目的として、前記皮膜
抵抗の材質と、切り溝の構造について種々実験検討を繰
り返し、この結果本考案にかかるヒューズ抵抗器を考案
したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め本考案は、円柱状の絶縁基体11の表面に金属皮膜1
3を無電解メッキし、該金属皮膜13中にスパイラル状
の切り溝15をカットし、絶縁基体11の両端に金属製
のキャップ17,17を取り付けたヒューズ抵抗器にお
いて、前記金属皮膜13としてニッケル60〜90wt
%とリン5〜40wt%に、低融点金属として亜鉛5〜
20wt%を添加した金属を用い、且つ金属皮膜13の
有効長Lに対する切り溝のカット範囲幅1の割合(カッ
ト率)を50〜65%としてヒューズ抵抗器1を構成し
た。
【0010】
【作用】上記の如く本考案は、金属皮膜13を構成する
金属として複数の所定の金属を所定の割合で配合したも
のを用い、同時に該配合した金属の特性に合わせて切り
溝15のカット範囲幅1を所定の範囲に決定したので、
金属皮膜13の溶断が定格電圧の7倍程度の低い電力倍
率で安定且つ正確に行なえ、また金属皮膜13の発熱が
集中するのでその溶断は高温且つ短時間で行え、また溶
断後のヒューズ抵抗器1の残留抵抗値を高くできるとい
う作用を同時に達成できることとなる。
【0011】
【実施例】以下、本考案の1実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図1は本実施例にかかるヒューズ抵抗器
1を示す図であり、同図(a)は側面図(但し被覆21
は省略してある)、同図(b)は概略側断面図である。
【0012】同図に示すようにこのヒューズ抵抗器1
は、円柱状の絶縁基体11の表面に金属皮膜13を無電
解メッキし、該金属皮膜13中にスパイラル状の切り溝
15を設け、前記絶縁基体11の両端に金属製のキャッ
プ17,17を取り付け、該キャップ17,17の両端
にリード線19,19を取り付け、さらにこのヒューズ
抵抗器1を覆うように被覆21を塗布して構成されてい
る。
【0013】次にこのヒューズ抵抗器1の製造方法を説
明する。まず低アルミナ磁器(アルミナ60〜80%)
を円柱状に形成した絶縁基体11を用意し、該絶縁基体
11の表面に金属皮膜13を無電解メッキする。ここで
この金属皮膜13には、ニッケル(Ni)60〜90w
t%とリン(P)5〜40wt%に、亜鉛(Zn)5〜
20wt%を添加したものを用いた。なお亜鉛は低融点
金属として添加するものであるが、この低融点金属の量
が20wt%以上だと皮膜を作るのが困難となり、5w
t%未満だと溶断しにくくなる。このため本願考案者
は、この低融点金属の添加量を5〜20wt%とした。
【0014】次にこの絶縁基体11の両端に金属製のキ
ャップ17,17を取り付ける。
【0015】次に金属皮膜13中に切り溝15をスパイ
ラル状にカッティングする。このとき図1(a)に示す
ように、金属皮膜13の有効長Lに対する切り溝15の
カット範囲幅lの割合(l/L)(以下「カット率」と
いう)は50〜65%の範囲内とした。
【0016】カット率を50%以上としたのは、50%
以下とすると切り溝15部分に熱が集中しすぎるためこ
れを定格電力で長時間(例えば1千時間)使用した場
合、ヒューズ抵抗器1の抵抗値の変化率が大きくなり、
その寿命特性が悪くなるからである。即ち抵抗器として
の性能が悪くなるからである。
【0017】一方カット率を65%以下としたのは、6
5%以上では熱が集中しないため異常電流が流れたとき
に即座に溶断せずヒューズとしての性能が悪くなるから
である。
【0018】なお抵抗値の微調整はこの切り溝15の長
さを変えることで調整できる。
【0019】そして次にキャップ17,17の両端面に
リード線19,19を溶接し、さらに金属皮膜13とキ
ャップ17,17の表面にシリコーン塗料からなる被覆
21を塗布すれば、このヒューズ抵抗器1は完成する。
【0020】図2は本考案にかかるヒューズ抵抗器1と
比較例にかかるヒューズ抵抗器〜の印加電力に対す
る溶断時間を比較した実験結果を示す図である。
【0021】ヒューズ抵抗器1,,,はいずれも
定格電力1/2W,抵抗値10Ωのものであり、その構造
はそれぞれ以下のとおりである。 ヒューズ抵抗器1・・・金属皮膜としてニッケルとリン
に亜鉛を15wt%添加したものを用い、切り溝のカッ
ト率を60%としたもの。即ち図1に示す本考案のヒュ
ーズ抵抗器1である。 ヒューズ抵抗器・・・金属皮膜としてニッケルとリン
の合金を用い、カット率を85%としたものに低融点鉛
ガラスを塗布したいわゆる従来品のヒューズ抵抗器であ
る。 ヒューズ抵抗器・・・金属皮膜としてニッケルとリン
に亜鉛を5wt%未満だけ添加したものを用い、切り溝
のカット率を60%としたもの。 ヒューズ抵抗器・・・金属皮膜としてニッケルとリン
に亜鉛を15wt%添加したものを用い、切り溝のカッ
ト率を85%としたもの。
【0022】同図に示すように、従来品のヒューズ抵抗
器は、金属皮膜に低融点鉛ガラスを塗布してあるが、
亜鉛を添加したものより溶融温度が高くしかもカット率
が85%なので熱が集中しないので、その溶断する電力
はかなり高くなってしまう。
【0023】これに対してヒューズ抵抗器は、切り溝
のカット率を60%として熱の集中を図ったため、ヒュ
ーズ抵抗器に比べて溶断する電力は低くなる。しかし
ながら、金属皮膜への亜鉛の添加量が少ないため、目的
の溶断電力(定格電力の7倍の電力)よりも高くなって
しまう。
【0024】一方ヒューズ抵抗器は、亜鉛の添加量を
15%として金属皮膜自体の溶融温度を下げたため、ヒ
ューズ抵抗器に比べて溶断する電力は低くなる。しか
しながら、切り溝のカット率を85%のままとしたため
熱が集中せず、目的の溶断電力よりも高くなってしま
う。
【0025】これに対して本考案にかかるヒューズ抵抗
器1は、亜鉛の添加量を15%として金属皮膜自体の溶
融温度を下げ、しかも切り溝のカット率を60%として
熱の集中を図ったため、定格電力の7倍の電力を60se
c 印加したときに溶断することができた。なお同図から
わかるように、定格電力の7倍以下の電力では、ヒュー
ズ抵抗器1は極めて溶断しにくい。
【0026】次に図3は本考案にかかるヒューズ抵抗器
1と従来品にかかるヒューズ抵抗器の溶断後の残留抵
抗値を示す図である。
【0027】同図に示すようにヒューズ抵抗器よりも
ヒューズ抵抗器1の残留抵抗値の方が平均値で約6倍高
いことがわかる。
【0028】これは本考案にかかるヒューズ抵抗器1の
方が金属皮膜が高温で短時間に溶断し、その溶断が確実
に行われるためと考えられる。
【0029】以上本考案にかかるヒューズ抵抗器の1実
施例を説明したが、本考案はこれに限られず、例えば、
上記実施例においては切り溝のターン数を2ターン弱と
したが、抵抗値に応じて該ターン数を増やしても減らし
ても良い。
【0030】
【0031】
【0032】
【考案の効果】以上詳細に説明したように、本考案にか
かるヒューズ抵抗器によれば、金属皮膜としてニッケル
60〜90wt%とリン5〜40wt%に、低融点金属
として亜鉛5〜20wt%を添加した配分の金属を用い
ると同時に、該配合した金属皮膜の特性に合わせて切り
溝のカット範囲幅の割合を金属皮膜の有効長に対して5
0〜65%としたので、これによって始めて金属皮膜の
溶断が定格電圧の7倍程度の低い電力倍率で安定且つ正
確に行なえ、また金属皮膜の発熱が集中するのでその溶
断は高温且つ短時間で行え、また溶断後のヒューズ抵抗
器の残留抵抗値を高くできるという効果を同時に達成で
きるという優れた効果を有する。
【0033】
【0034】
【0035】また金属皮膜は所定配分のニッケルとリン
に亜鉛を添加するだけで製造でき、またこの金属皮膜は
通常の無電解メッキで形成され、しかも該金属皮膜への
切り溝のカッティング方法も従来の抵抗器製造用の自動
カッティング機を使用できる。このため本考案にかかる
ヒューズ抵抗器は低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の1実施例にかかるヒューズ抵抗器1を
示す図であり、同図(a)は側面図(但し被覆21は省
略してある)、同図(b)は概略側断面図である。
【図2】本考案にかかるヒューズ抵抗器1と比較例にか
かるヒューズ抵抗器〜の印加電力に対する溶断時間
を比較した実験結果を示す図である。
【図3】本考案にかかるヒューズ抵抗器1と従来品にか
かるヒューズ抵抗器の溶断後の残留抵抗値を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 ヒューズ抵抗器 11 絶縁基体 13 金属皮膜 15 切り溝 17,17 キャップ

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円柱状の絶縁基体表面に金属皮膜を無電
    解メッキし、該金属皮膜中にスパイラル状の切り溝をカ
    ットし、前記絶縁基体の両端に金属製のキャップを取り
    付けたヒューズ抵抗器において、前記金属皮膜としてニッケル60〜90wt%とリン5
    〜40wt%に、低融点金属として亜鉛5〜20wt%
    を添加した金属を用い、 且つ金属皮膜の有効長に対する
    切り溝のカット範囲幅の割合を50〜65%としたこと
    を特徴とするヒューズ抵抗器。
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