JP2541655B2 - 電子レンジ用調理器 - Google Patents

電子レンジ用調理器

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、電子レンジ用調理器(調理容器)に関す
る、さらに詳しくは食品調理面が非粘着性を有し、電子
レンジで容器自体が発熱して、食品がこびりつくことな
く焦げ目のつく調理が簡便かつ安全にできる電子レンジ
用調理器に関するものである。
「従来の技術」 電子レンジで食品の調理を行う際に使用する器物は2
種に大別される。
1つは、器物自体はマイクロ波による影響をほとんど
受けず、発熱しないもので、例えば、耐熱ガラス製の器
物、ポリプロピレン、ポリカーボネート等のプラスチッ
クス製の器物等である。これらは単に容器としての機能
しか有しないものである。
他の1つは、フェライト(Fe3O4)等の強誘電体を有
し、この強誘電体がマイクロ波により誘電加熱され、そ
の熱で調理物を加熱する機能を有するものである。この
例としては特開昭60−223919号、同61−138028号公報に
示されるものがある。
従来の後者の器物は調理面となる金属板等の裏に強磁
性体をはりつけた皿を作成し、この皿を側方で支持する
プラスチック等の容器に接着複合化した構造であったた
め、発熱・放熱のバランスがとれにくかった。
このため、 I) 調理物に焦げ目がつきにくい。
II) 調理前は液状で調理後に固化する性質と、マイク
ロ波を吸収し易い性質を併せもつ調理物(例えば目玉
焼)を調理すると破裂飛散する。
III) I)、II)の問題点を解決すべく発熱を大きく
すると、調理器自体が蓄熱により破損する。
等の問題があった。
上記に鑑み、本発明はこの様な問題点を解消するため
開発されたものである。
即ち本発明は、金属皿の上面に弗素樹脂被膜を設け、
下面にマイクロ波により誘電加熱される発熱層を設け、
該発熱層の外側にマイクロ波透過性の被覆を設け、該被
覆の一部を、該皿の底面を支持する脚にしたことを特徴
とする電子レンジ用調理器である。
なお本発明の実施態様として少なくとも下記が含まれ
る。
イ 発熱層が主としてFe3O4を主成分とする強誘電体及
びフェニル基を含有するシリコーンゴムからなり、発熱
層底面の高さが脚の底面から13mm以上23mm以下の範囲に
位置し、脚の高さが10mm以上22.5mm以下の範囲であるこ
とを特徴とする上記本発明の電子レンジ用調理器。
ロ マイクロ波加熱時に発熱層の内部温度が、各部分で
ほぼ均一になるように、放熱の少ない部分の発熱層の厚
みが他の部分の発熱層の厚みよりも少なくとも薄く成形
されてなることを特徴とする上記本発明の電子レンジ用
調理器。
以下に詳細に本発明を例示の図面により説明する。
本発明者らは、従来のこのような問題点を解消すべく
鋭意検討した結果、金属皿の下面にマイクロ波により誘
電加熱される発熱層を設け、該発熱層の外側にマイクロ
波透過性の被覆を設け、該被覆の一部を脚にして、該皿
の底面を支持する構造とすることにより、発熱・放熱の
バランスがとれ調理器自体を破損することなく、調理物
に充分な焦げ目がつけられ、目玉焼も飛散することなく
調理できることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
第1図は本発明の一具体例を示し、断面図である。金
属皿(2)の上面に弗素樹脂被膜(1)が設けられ、調
理時に調理物がこびりつかない様に構成されている。
(2)の下面には発熱層(3)が設けられ、適切な
量、組成、構造に構成されている。(3)が電子レンジ
でマイクロ波により誘電加熱され、その熱が(2)に伝
わり、(1)上の調理物が加熱される。
(3)の外側には、断熱・放熱の機能を担う被覆
(4)が設けられ、この厚みにより断熱・放熱のバラン
スがとられる。その被覆の一部が脚(5)となって調理
器の底面を支持する。この部分は放熱が少なくなり、他
の部分と同等の厚みの発熱層とした場合には、他の部分
より温度が上り易く、破損の原因となるため、(6)の
如く厚みを薄くしている。
脚(5)の高さ(H)は高すぎるとマイクロ波の照射
量が増大し、過剰に加熱され、低すぎると発熱が不充分
になる場合や(以下図(a)参照)、受け皿(9)(図
(b)参照)を溶融破損する場合があるため、適切な高
さに調整されている。なお(G)は発熱層底面の高さ、
(S)は調理面である。
蓋(10)(図(b)参照)は調理物の乾燥や調理時に
油等液状物の飛散を防止するために設けられている。
(9)(10)とも熱による破損を防止し、調理器本体か
らの放熱バランスをとり易くし、又素手で取扱える温度
に維持するため、調理器本体とは(5)のみと接する構
造となっている。
本発明の電子レンジ用調理器は、出力500W程度の家庭
用電子レンジを使用することを前提に構成されている。
従って本発明の実施態様を含む明細書中に記載される設
計上の数値は電子レンジの出力、マイクロウエーブの照
射機構が大きく異なる場合には変化する可能性がある
が、本発明と全く同じ思想、手順により設計することは
容易である。
なお本発明の明細書中で述べる電子レンジは、シャー
プ(株)製ハイクッカーRE−122出力500Wを示す(同等
の特性の新機種としてはRE−130が発売されている)。
「作用」 金属皿の上面に設ける弗素樹脂被膜の主たる材質とし
ては、PTFE(四弗化エチレン樹脂)PFA(四弗化エチレ
ン−パーフロロビニルエーテル共重合体)、FEP(四弗
化エチレン−四弗化プロピレン共重合体)、ETFE(四弗
化エチレン−エチレン共重合体)、CTFE(三弗化塩化エ
チレン樹脂)及びこれらの混合物が用いられるが、耐熱
性の最もすぐれた四弗化エチレン樹脂が主成分であるこ
とが好ましい。
弗素樹脂を被覆する方法としては、金属表面を粗面化
した上に弗素樹脂分散液を塗布し、焼付ける方法あるい
は金属表面に接着剤を塗布した後に弗素樹脂分散液を塗
布し、焼付ける方法または弗素樹脂フィルムを貼合わせ
る方法等があるが、いずれを用いてもよく特に限定され
るものではない。
また弗素樹脂の被覆は金属板を皿に成形する前でもよ
く、又成形後に被覆してもよく、またさらには他の部材
を複合化した後でもよく、特に限定されるものではな
い。
弗素樹脂被膜の厚さは通常15〜50μm好ましくは20〜
40μmの範囲で、これらの数値は被膜の形成性や耐久性
が好適な範囲である。
金属皿の下面に設ける発熱層は、マイクロ波により誘
電加熱される材質すなわち強誘電体もしくは強誘電体を
含んでなるものであればよいが、食品衛生上また価格の
面からフェライト粒子(Fe3O4)をシリコーンゴムに分
散させたものが好適に用いられる。
フェライト粒子(Fe3O4)の粒径は、特に限定されな
いが、シリコーンゴムへの分散性や作業性から200μm
以下、好適には100μm以下のものが用いられる。
純度は特に問題なく、市販の95%前後のものでよい
が、不純物として食品衛生上問題となる金属や、シリコ
ーンゴムの加硫阻外を起こすものが含有されていないこ
とが必要である。
シリコーンゴムは、ポリジメチルシロキサン、ビニル
基を含有するポリジメチルシロキサン、フェニル基を含
有するポリジメチルシロキサン、弗素系シリコーンゴム
等いずれでもよいが、耐熱性の面からはフェニル基含有
ポリジメチルシロキサンが好適に用いられる。
発熱量はフェライト粒子の絶対量で決まるためフェラ
イト粒子の配合比率が低くても全量を同じにすれば同等
の発熱量が得られる。しかしながら、実使用上は調理面
の温度が問題であり、調理面が必要な温度に短時間で上
昇し、かつ、温度が上昇しすぎないことが好ましい。
第2図はフェライト粒子の配合比率が調理面の温度の
上昇速度に与える影響を示したものである。電子レンジ
による加熱は各時間での温度測定後、継続して行なっ
た。使用した電子レンジはシャープ(株)製ハイクッカ
ーRE−122、出力500W、温度測定は表面温度計による直
接測定である。
温度上昇速度はフェライト粒子配合比率が大きい程速
く、好適で60%以上とすることが好ましい。また配合比
率の上限は80%であり、これはシリコーンゴムが結着材
として機能し、かつ、製造工程上、作業性のよい範囲と
して決められる。
次に発熱層の厚みについて言及する。上述のごとくフ
ェライト粒子の配合比率を60重量%以上80重量%以下と
限定すると発熱量は発熱層の厚みに依存することとな
る。
第1表は発熱層中のフェライト粒子の配合比率を70重
量%とし、発熱層の平均厚みをかえて、発熱性の異なる
調理器を作成し、発熱性(調理に必要な調理面温度であ
る200℃に加熱されるまでの所要時間)、調理時間、調
理性(焦げ目のつきやすさ)、調理前の予熱と同じ方法
(蓋をしないで空焼)を長時間行った際の耐久性、最も
厳しい誤使用条件として蓋をして空焼を行った際の耐久
性を調べた結果である。
発熱量の下限は本発明製品の目的である調理物に焦げ
目がつく範囲であることが必要となるから、発熱層中の
フェライト粒子の配合比率70重量%においては発熱層の
厚みは1.2mm以上が必要である。
一方、発熱量の上限は温度が上昇しすぎず本発明製品
が破損しにくい範囲すなわち、安全性が確保される範囲
であることが必要である。
本調理器の最も一般的な使用方法としては調理器本体
を受け皿に入れて電子レンジで予熱(蓋なし空焼)をし
て調理面を約200℃に昇温したのち、調理物をのせて蓋
をかぶせ、引続き電子レンジにて加熱調理するという方
法がある。
実際の調理では予熱直後が最も高温になり調理物をの
せると一旦熱がうばわれて温度が低下し、再び加熱する
と、又昇温するが、調理物がマイクロ波及び発熱層から
の伝熱の双方を吸収するため通常に調理を行う時間の範
囲ではさほど温度は上昇しない。
従って安全性の判断基準は、予熱の所要時間と蓋なし
空焼の耐久時間を比較するのが妥当と考えられる。また
最も厳格な見方をするならば調理に要する全時間と最も
厳しい誤使用での耐久時間を比較することになる。すな
わち調理時間と同等の時間、誤使用しても破損しないこ
とが安全上の下限と考えられるため、この観点から配合
比率70重量%に於ける発熱層の厚みは2.0mm以下とする
ことが必要となる。
この結果から発熱層中のフェライト粒子の配合比率70
重量%においては発熱層の平均厚みはおよそ1.2mm以上
2.0mm以下が好ましいと判断するものである。
また前述の配合比率60重量%以上80重量%以内の範囲
で好ましい厚みを限定するならば、フェライト粒子の絶
対量から計算し演繹すると、60重量%ではおよそ1.4mm
以上2.33mm以下、80重量%ではおよそ1.05mm以上1.75mm
以下である。
これらを図示したのが第4図ABCDで囲まれる斜線部で
ある。
次に脚や皿の高さ等の構造について述べる。
電子レンジによる加熱は、マイクロ波による誘電加熱
であるため発熱層へのマイクロ波の当り方により大きく
発熱量が変化する。特に本発明の調理器はマイクロ波を
反射する金属皿の下面に発熱体を成形しているため、皿
の高さ特に発熱層の高さにより発熱量が大きく変化し、
高くなるほどマイクロ波が照射され易く発熱量が増大す
る。
本発明の調理器の前述の設計で、所望の発熱量の範囲
を満足させるには発熱層の底面の高さを13mm以上23mm以
下とするとが必要である。脚の高さは被覆の厚みにも依
存する。
被覆の厚みは、発熱層の断熱材、放熱材としてのバラ
ンスを満たすと同時に、調理器全体の熱容量が大きくな
りすぎて調理面の昇温が遅くならない範囲で決定される
べきであり、通常0.5mm以上3mm以下が好ましい。
上記被覆厚みを発熱層底面の高さから差し引いて脚の
高さは10mm以上22.5mm以下が好ましいことになる。
発熱層の厚みは基本的には均一であることが好ましい
が、皿の形状や被覆厚み等によって若干の調整が必要と
なる。すなわち被覆の厚みが厚いことや形状等により放
熱量が少ない部分、又、成型工程で発熱層のかたよりを
生じて発熱層が局所的に厚くなる部分等は発熱層の内部
温度が局所的に高くなり、高温による破損をおこしやす
くなる。このような部分はあらかじめ発熱層の厚みを他
の部分よりも薄く成形し、発熱層の内部温度が各部分で
ほぼ均一になるようにすることが必要である。特に、脚
の部分に位置する発熱層は放熱が少なく、温度が上昇し
やすいので、他の部分よりも発熱層の厚みを薄くするこ
とが必要である。その範囲としては脚が成形される所か
ら1cm外側までの範囲が好適である。
被覆に用いる材料は発熱層と同様の観点からシリコー
ンゴム特にフェニル基を含有するポリジメチルシロキサ
ンが好適に用いられる。
発熱層、被覆のいずれに用いるシリコーンゴムも必要
に応じて着色剤を配合してもよい。成型方法としては金
型によるプレス成型が好ましく、公知の温度範囲時間で
加硫及び2次加硫を行なう。加硫剤としては通常シリコ
ーンゴムの加硫に用いる加硫剤が使用できる。また、金
属皿との界面にはシリコン系のプライマーを接着剤とし
て使用することが必要である。
受け皿はマイクロ波透過性の材料すなわち誘電損率の
低い材料から選ばれる。代表的には、ガラス、磁器、陶
器、ゴム、エンジニアリングプラスチックである。特に
炭化水素系のプラスチックとして、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1や、弗素系樹
脂としてPTFE、PFA、FEP、ETFE、その他のエンジニアリ
ングプラスチックとしてポリカーボネート、ポリスルホ
ン、ポリエーテルイミド等が好適に用いられる。
蓋も受け皿と同様の材料群から選択される。
受け皿や蓋の機能は、直接手で持って使用することが
できること、調理物の水分蒸発による乾燥や液状物の飛
散防止である。
受け皿と調理器本体は、発熱層からの伝熱で溶融破損
しないように、脚の底面のみで接している構造が望まし
い。
同様な観点から蓋は金属皿に接するのでなく、受け皿
に接することが必要である。
「実施例」 以下実施例によって本発明を更に説明する。
実施例1 外形φ200mm、厚さ0.8mmのアルミニウム板の表面に電
気化学エッチングを施して微細な凹凸を設け、その面に
四弗化エチレン樹脂分散液を塗布し、380℃で20分間焼
付けを行った。四弗化エチレン樹脂被覆面を上面にして
プレス成型を行ない内のり約φ170mmのアルミニウム皿
を得た。
このアルミニウム皿の下面にプライマーを塗布焼付け
したのち、Fe3O4(同和鉄粉工業株式会社製フェライトD
DM−31、純度約95%、粒径200μm以下)を70%含有す
るシリコーンゴム(信越化学社製KE552BU)を発熱層と
して、直径φ145mm、厚み2.4mmに成型し、その上及びア
ルミニウム皿の縁部に厚さ1.1mmのシリコーンゴム(KE5
52BU)を被覆として成型し、被覆の一部を高さ約15mmの
脚に成型し、金型でプレス加硫を行い脱型後さらに2次
加硫を行って調理器を得た。
この調理器を電子レンジ(シヤープ(株)製ハイクッ
カーRE−122,出力500W)にて3分間加熱したところ、調
理面の温度は210℃であった。
3分間の空焼きの後、市販の冷凍ピザ(明治乳業ピッ
ツア&ピッツア)をのせ、さらに3分間電子レンジにて
加熱したところ、ピザ生地の裏面に良好な焦げ目がつ
き、上面のチーズも溶けて良好な調理ができた。
実施例2 実施例1と全く同様にして得た調理器を、ポリ4−メ
チルペンテン−1からなる受け皿に入れ、電子レンジに
て3分間加熱したところ、調理面の温度は220℃であっ
た。3分間空焼きの後、市販の冷凍ピザをのせさらに3
分間電子レンジにて加熱したところ、ピザ生地の裏面に
良好な焦げ目がつき、上面のチーズも溶けて良好な調理
ができた。トレーの縁部分の温度は空焼き後37℃、調理
後も39℃と低く、素手で容易に取扱うことができた。
実施例3 実施例1と全く同様にして得た調理器を、ポリ4−メ
チルペンテン−1からなる受皿に入れ、電子レンジにて
3分間加熱したところ、調理面の温度は225℃であっ
た。
3分間空焼きの後、生の鶏卵をのせ、受け皿のみと接
するように成型されたポリ4−メチルペンテン−1製の
蓋をかぶせたのち、約2分間電子レンジにて加熱したと
ころ、裏面に焦げ目のある目玉焼が良好に焼き上り、表
面も乾燥することなく、フライパンと同等の調理ができ
た。
目玉焼は調理面に全く付着せず、簡単に取り出すこと
ができた。
蓋の縁部は調理後も35℃と低温で取扱いが容易であっ
た。
実施例4 発熱層の厚みを2.1mmとし、被覆の厚みを0.9mmとした
ことを除いて実施例1と同様にして得た調理器を、ポリ
4−メチルペンテン−1からなる受け皿に入れ、電子レ
ンジにて3分間加熱したところ調理面の温度は210℃で
あった。
3分間空焼の後、生の鶏卵をのせ、受け皿のみと接す
るように成型されたポリ4−メチルペンテン−1製の蓋
をかぶせたのち、約2分間電子レンジにて加熱したとこ
ろ、裏面に焦げ目のある目玉焼が良好に焼上がり、表面
も乾燥することなくフライパンと同等の調理ができた。
目玉焼は調理面に全く付着せず簡単に取り出すことがで
きた。
実施例5 発熱層の厚みを2.0mmとし、被覆の厚みを1.0mmとした
ことを除いて実施例1と同様にして得た調理器を、ポリ
4−メチルペンテン−1からなる受け皿に入れ、電子レ
ンジにて3分間加熱したところ調理面の温度は207℃で
あった。
3分間空焼の後、生の鶏卵をのせ、受け皿のみと接す
るように成型されたポリ4−メチルペンテン−1製の蓋
をかぶせたのち、約2分間電子レンジにて加熱したとこ
ろ、裏面に焦げ目のある目玉焼が良好に焼上がり、表面
も乾燥することなく、フライパンと同等の調理ができ
た。目玉焼は調理面に全く付着せず、簡単に取り出すこ
とができた。
実施例6 発熱層の厚みを1.6mmとし、被覆の厚みを0.9mmとした
ことを除いて実施例1と同様にして得た調理器を、ポリ
4−メチルペンテン−1からなる受け皿に入れ、電子レ
ンジにて4分間加熱したところ、調理面の温度は224℃
であった。
4分間空焼の後、生の鶏卵をのせ、受け皿のみと接す
るように成型されたポリ4−メチルペンテン−1製の蓋
をかぶせたのち、約2分間電子レンジにて加熱したとこ
ろ、裏面に焦げ目のある目玉焼が良好に焼上がり、表面
も乾燥することなく、フライパンと同等の調理ができ
た。目玉焼は調理面に全く付着せず、簡単に取り出すこ
とができた。
本調理器を放冷して室温にもどしたのち、最も厳しい
誤使用条件として受け皿及び蓋をセットしたまま空焼し
たところ、10分後に脚の周囲のシリコーンゴムがふくれ
た。さらに5分間加熱したところ、シリコーンゴム被覆
全体にφ5〜30mm程度のふくれが数個発生した。
実施例7 第3図に示すように発熱層の厚み(Y)を1.6mmと
し、脚に相当する部分及びその周囲(W)1cmの範囲の
み発熱層の厚み(Z)を0.8mmとして発熱層を成型し、
被覆の厚みを0.9とし、他の条件は実施例−1と同様に
して得た調理器をポリ4−メチルペンテン−1からなる
受け皿に入れ、電子レンジにて4分間加熱したところ調
理面の温度は218℃であった。
4分間空焼の後、生の鶏卵をのせ、受け皿のみと接す
るように成型されたポリ4−メチルペンテン−1製の蓋
をかぶせたのち、約2.5分間電子レンジにて加熱したと
ころ、裏面に焦げ目のある目玉焼が良好が焼上がり、表
面も乾燥することなく、フライパンと同等の調理ができ
た。目玉焼は調理面に全く付着せず、簡単に取り出すこ
とができた。
また、空焼の時間は同様に4分間とし、調理物を入れ
てからの加熱時間を調理物の量によって1分〜4分間ま
で変化させ、ピザ、ギョウザ、クレープ、ベーコン、ハ
ム、肉等の調理を行なったところ、いずれも焦げ目のあ
る良好な調理ができ調理面に付着することもなかった。
本調理器を放冷して室温にもどしたのち、最も厳しい
誤使用条件として、受け皿及び蓋をセットしたまま空焼
したところ、10分後の調理面の温度は292℃に達した
が、調理器には全く異常がなかった。さらに5分間加熱
を続けたところ脚の付近のシリコーンゴムに約φ20mmの
ふくれが生じたが、他には異常がなかった。
実施例8 実施例1と全く同様にして得た調理器を受け皿に入れ
て、ふたをせず空焼したところ30分間加熱しても全く異
常がなかった。さらに続けて30分間加熱したところ、φ
5〜30mmのふくれ4個が発生した。これを冷却し、再度
加熱したところ、ふくれが発生する以前と全く同等の発
熱性であった。
「発明の効果」 以上説明したように、本調理器は、発熱層の熱が金属
皿に伝わって調理物を加熱するために、電子レンジで調
理しながらフライパン調理と同様に焦げ目をつけること
ができる。又、調理面に弗素樹脂被膜が設けられている
ため調理物が焦げてもこびりつくことがない。また受け
皿は高温にならないため素手による取扱いが可能であ
る。
しかも、本発明の調理器は、本発明に於ける設計によ
り、加熱・放熱のバランスが良好に調整されるため、誤
って使用しても長時間の耐久性にすぐれたものとなすこ
とも可能である。従って、家庭における簡単な焼物調理
を簡便、清潔かつ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)、(b)は本発明の電子レンジ用調理器の
1例の断面図で、図(a)は調理器のみ、図(b)は受
け皿に入れ蓋をかぶせた調理器である。 第2図は発熱層中のフェライトの配合比率をかえ、電子
レンジで加熱した時の発熱特性を示すグラフである。 第3図(a)、(b)は、放熱の少ない部分の発熱層の
厚みを、他の部分の発熱層の厚みよりも薄く成形した1
具体例を示す平面図(図(a))及び断面図(図
(b))で、破線は被覆成形後の脚の位置を示し、斜線
は厚みが他の部分よりも薄く成形されている部分を示
す。 第4図は発熱層に含まれる強誘電体の組成と発熱層の平
均厚みの好適な範囲を図示したものである。 (1)……弗素樹脂被膜、(2)……金属皿、 (3)……発熱層、(4)……被覆、 (5)……被覆の一部で、脚となる部分、 (6)……発熱層のうち脚及びその周囲の上方に位置す
る薄肉の部分、 (8)……受け皿、(10)……蓋、 (H)……脚の高さ、(G)……発熱層底面の高さ。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属皿の上面に弗素樹脂被覆を設け、下面
    にマイクロ波により誘電加熱される発熱層を設け、該発
    熱層の外側にマイクロ波透過性の被覆を設け、該被覆の
    一部を、該皿の底面に支持する脚にしたことを特徴とす
    る電子レンジ用調理器。
  2. 【請求項2】発熱層が主としてFe3O4を主成分とする強
    誘電体及びフェニル基を含有するシリコーンゴムからな
    り、発熱層底面の高さが脚の底面から13mm以上23mm以下
    の範囲に位置し、脚の高さが10mm以上22.5mm以下の範囲
    であることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載
    の電子レンジ用調理器。
  3. 【請求項3】マイクロ波加熱時に発熱層の内部温度が、
    各部分でほぼ均一になるように、放熱の少ない部分の発
    熱層の厚みが、他の部分の発熱層の厚みよりも少なくと
    も薄く成形されてなることを特徴とする特許請求の範囲
    第(1)項記載の電子レンジ用調理器。
JP1083829A 1989-03-31 1989-03-31 電子レンジ用調理器 Expired - Fee Related JP2541655B2 (ja)

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