JP2540682B2 - オフセット印刷機における汚れ除去装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、オフセット印刷機にお
ける版胴表面の汚れを除去するための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】オフセット印刷機により印刷を行う場
合、版胴の表面にインキ滓、紙粉等が付着してこれが印
刷物にヒッキーと呼ばれる汚れを生じさせることがあ
る。

【０００３】従来、そのようなヒッキーが発生すると印
刷機のオペレータが該当する版胴の所まで行き、治具を
版面に押し当ててインキ滓等の汚れを除去している。治
具は、例えば棒の先端にゴム片を付けたようなもので出
来ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な汚れとり作業は、オペレータが高速回転する版胴の所
まで足を運ばなければならないので、危険である。ま
た、汚れの位置を探して特定しなければならないので、
汚れ除去に時間がかかるという問題もある。

【０００５】本発明はそのような従来の汚れとり作業を
自動化することにより上記問題点を解決しようというも
のである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、オフセット印刷機の各色の印刷ユニット
の版胴１の表面に沿ってその中心軸方向に多数配列され
た版胴表面の汚れを掻き取る汚れ除去具７と、各汚れ除
去具７を版胴表面に対し接触及び離反させるエアシリン
ダ８と、各エアシリンダ８毎に配置された第１の電磁弁
１３と、各印刷ユニットの第１の電磁弁１３のマニホー
ルド１５と圧縮空気供給源との間に夫々設けられた第２
の電磁弁１４と、汚れの発生した版胴及びその版胴上の
汚れの位置について記憶し、該記憶に基づき該当する第
１と第２の電磁弁１３，１４を動作させることにより汚
れ除去具７を版胴表面の汚れ箇所に接触せしめる制御部
１６とを包含してなるオフセット印刷機における汚れ除
去装置の構成を採用している。

【０００７】

【作用】オフセット印刷機のオペレータはデリバリ部に
おいて印刷物に汚れ（ヒッキー）を認めると、その印刷
物を参照しつつ版胴表面上の対応する汚れ位置を特定す
る。

【０００８】次に、オペレータは、制御部のボタン操作
等により、版胴表面の汚れの位置に対応する電磁弁を動
作させる。これにより、該電磁弁に対応するエアシリン
ダが作動し、汚れ除去具を版胴表面に接触させる。汚れ
除去具は、回転する版胴表面から汚れを掻き取る。

【０００９】その後、タイマー等により電磁弁が復帰動
作し、汚れ除去具が版胴表面から離れる。このようにし
て、版面上の汚れは自動的に除去され、印刷物の汚れが
解消される。

【００１０】

【実施例】以下、図１ないし図４に基づき、本発明に係
る汚れ除去装置の好ましい実施例について説明する。

【００１１】第４図に示されるように、オフセット印刷
機の各色の印刷ユニットは版胴１、ブランケット胴２及
び圧胴３を有し、版胴１の上側にインキ装置４及び湿し
水装置５を備えている。

【００１２】版胴１の表面には、図２に示されるよう
に、インキ滓等の汚れａが付着することがあり、図１及
び図４に示されるように、この汚れａを除去するための
汚れ除去装置の本体部分６が版胴１の近傍に設置されて
いる。また、この汚れ除去装置の本体部分６は、版胴１
の表面のインキを若干掻き落としても良いように、版胴
１の表面がブランケット胴２より離れる箇所から湿し水
装置５に至る箇所までの間に設置されている。

【００１３】汚れ除去装置の本体部分６は、図１に示さ
れるように、オフセット印刷機の各色の印刷ユニットに
おける版胴１ａ，１ｂ，１ｃ，１ｄの表面に沿ってその
中心軸方向に多数配列された版胴表面の汚れを掻き取る
汚れ除去具７と、各汚れ除去具７を版胴表面に対し接触
及び離反させるエアシリンダ８とを備えている。

【００１４】エアシリンダ８は、各印刷ユニットの所定
のフレーム（図示せず）に対し各版胴１ａ，１ｂ，１
ｃ，１ｄと平行に固定された梁状のマニホールド９に一
定間隔で取り付けられ、図２に示されるように、そのシ
リンダ本体８ａはマニホールド９上にネジ１０で固定さ
れ、ピストンロッド８ｂの先端は版胴１の表面に対峙し
ている。そして、シリンダ本体８ａの後部にはマニホー
ルド９からの圧縮空気を導入する導入管１１が設けら
れ、シリンダ本体８ａ内の前部にはピストン８ｃを常時
後方に押すための圧縮コイルバネ８ｄが挿入されてい
る。

【００１５】このため、ピストンロッド８ｂは、圧縮空
気が供給されない時は、版胴１と反対方向に引っ込んで
おり、圧縮空気が供給されると版胴１側に突出すること
になる。

【００１６】汚れ除去具７は、硬質ゴム又は硬質樹脂等
で板状に作られており、前記ピストンロッド８ｂの先端
に横向きで取り付けられている。この汚れ除去具７の後
端部とシリンダ本体８ａとの間は、インキ等がシリンダ
本体８ａ中に侵入しないように、ゴム製のべローズ１２
で覆われている。汚れ除去具７は、望ましくはインキ装
置４の各インキ調整用ネジ（図示せず）に対応して設け
られ、例えば３２〜３６個設けられる。また、隣り合う
汚れ除去具７同士の間に隙間が生じないように、図２に
示されるように、望ましくは段違いに配列される。

【００１７】各汚れ除去具７は、対応するエアシリンダ
８の作動により、版胴１の表面に対し接触したり離れた
りすることとなる。前記各エアシリンダ８に対しては、
図１に示されるように、各エアシリンダ８毎に夫々第１
の電磁弁１３が配置されている。第１の電磁弁１３は、
印刷ユニット毎に電磁弁用のマニホールド１５に纏めら
れている。

【００１８】また、第２の電磁弁１４は、マニホールド
１５毎すなわち印刷ユニット毎にあてがわれており、圧
縮空気供給源（図示せず）から各マニホールド１５に至
る配管中に設けられている。

【００１９】前記第１と第２の電磁弁１３，１４は、図
１及び図３に示されるような制御部１６によりコントロ
ールされるようになっている。制御部１６は、版胴１の
表面の汚れａに対応して発生する印刷物１７上の汚れｂ
位置から版胴１の表面の汚れの位置を割り出して該当す
る電磁弁１４，１３を動作させることにより汚れ除去具
７を版胴１の表面の汚れ箇所に接触せしめるもので、制
御盤１８と、操作盤１９とを備えている。

【００２０】操作盤１９は、色見台２０の所定の辺に沿
って配置されている。色見台２０は、印刷物１７を平ら
に置くためのテーブルであり、通常印刷機のデリバリ部
の近傍に設置されている。この色見台２０の所定の辺は
印刷物１７の印刷機中における走行方向と直角な辺と平
行である。この場合、色見台２０上の印刷物１７はその
印刷図柄ｃ中にヒッキーと呼ばれる汚れｂを生じてお
り、印刷機のデリバリ部からオペレータにより抜き取ら
れたものである。

【００２１】なお、操作盤１９は印刷機のデリバリ部に
印刷物１７の流れと直角に取り付けるようにしてもよ
い。操作盤１９上には印刷物１７の辺に沿って多数の汚
れ位置指定ボタン２１が一列に設けられている。汚れ位
置指定ボタン２１は、望ましくは、前記インキ装置４中
に設けられているインキ調整用ネジ（図示せず）に対応
して配置される。

【００２２】また、操作盤１９上の一端部には印刷機の
各印刷ユニットに対応するユニット指定ボタン２２が設
けられている。図示例のように印刷機が４色刷りである
場合は、印刷ユニットは４個設けられ、各印刷ユニット
に対応して夫々ユニット指定ボタン２２が設けられてい
る。

【００２３】操作盤１９上には、更に洗浄用ボタン２３
が設けられている。これは、印刷機のインキ洗浄を行う
場合にエアシリンダ８を作動させて汚れ除去具７を版胴
１の表面に押し付けるためのものである。この洗浄用ボ
タン２３は、印刷機のデリバリ部に設けるようにしても
よい。

【００２４】操作盤１９上には、その他、電源スイッチ
２８、メモリスイッチ２９、スタートスイッチ３０が設
けられている。電源スイッチ２８は当該制御部をＯＮ・
ＯＦＦさせるためのもの、メモリスイッチ２９は後述の
メモリ回路を駆動させるためのもの、スタートスイッチ
３０は制御盤１８の各種回路を始動させるためのもので
ある。

【００２５】制御盤１８は、前記操作盤１９の各種ボタ
ン２１，２２，２３，２８，２９，３０の操作により発
生する信号を得て各種電磁弁１４，１３を制御するもの
で、電磁弁駆動回路２４、メモリ回路２５、タイマ回路
２６、デジタルスイッチ２７等を含んでいる。

【００２６】電磁弁駆動回路２４は、汚れａの生じた印
刷ユニットに対応する第２の電磁弁１４、該印刷ユニッ
トの版胴１の表面上の汚れ箇所に対応する第１の電磁弁
１３を夫々開動作させるようになっている。

【００２７】メモリ回路２５は、前記ユニット指定ボタ
ン２２及び汚れ位置指定ボタン２１により指定される汚
れの発生箇所を記憶するようになっている。タイマ回路
２６は、第１と第２の電磁弁１３，１４を開けておく時
間を設定するようになっており、デジタルスイッチ２７
は、タイマ回路２６の時間設定を可変にするために設け
られている。

【００２８】また、電磁弁駆動回路２４は、洗浄用ボタ
ン２３のＯＮ操作により、全ての第２の電磁弁１４を開
動作させ、次に、タイマ回路２６の設定時間毎に第１の
電磁弁１３を一端のものから他端のものへと順次開閉動
作させるようになっている。第１の電磁弁１３を順に開
閉させるのは、全汚れ除去具７が一度に版胴表面に当た
ることによりマニホールド９等に大きな力が加わらない
ようにするためである。そのような不都合が生じない場
合は、洗浄用ボタン２３のＯＮ操作により全電磁弁１
３，１４を一度に動作させることもできる。

【００２９】なお、洗浄用ボタン２３がＯＮ操作される
のは、印刷終了後のインキ洗浄時であり、洗浄油が版胴
１の表面に供給されている時である。次に、上記汚れ除
去装置による汚れ除去作業について説明する。

【００３０】印刷機のオペレータは、印刷に際し、操作
盤１９上の電源スイッチ２８をＯＮにしておく。そし
て、図３に示されるように、色見台２０上に印刷物１７
を置き、汚れｂを発見すると、操作盤１９のボタン操作
により汚れ位置を指定する。

【００３１】例えば、印刷機のある色の印刷ユニットの
版胴１ａであって、インキネジNo．４の箇所に該当する
汚れであれば、まず当該色の印刷ユニット指定ボタン２
２を押し、次にNo．４の汚れ位置指定ボタン２１を押
し、更にメモリスイッチ２９を押す。

【００３２】他の色についても汚れが発見されれば、上
記と同様にして該当する色の印刷ユニット指定ボタン２
２を押し、汚れ位置指定ボタン２１を押し、更にメモリ
スイッチ２９を押す。

【００３３】他に汚れが生じていなければ、スタートス
イッチ３０を押す。これにより、制御盤１８は、汚れに
対応する第２の電磁弁１４及び第１の電磁弁１３を開動
作させる。そして、エアシリンダ８は圧縮空気の供給を
得て汚れ除去具７を版胴１の表面に押し付ける。汚れ除
去具７は、タイマ回路２６により設定された時間中版胴
１の表面に接触し、インキ滓、紙粉等の汚れを擦り取
る。タイマ回路２６が所定時間経過後に作動すると、第
２の電磁弁１４が閉じ、エアシリンダ８から圧縮空気が
排除され、汚れ除去具７は版胴１の表面から離れる。

【００３４】汚れａ，ｂが複数箇所に生じている場合
は、メモリ回路２５の記録内容に応じてエアシリンダ８
が作動し、上記汚れ除去とに並行し又は順次汚れ除去が
行われる。

【００３５】なお、汚れ位置指定ボタン２１、印刷ユニ
ット指定ボタン２２及び洗浄用ボタン２３は、内部にラ
ンプを保有し、所定動作中は点滅表示するようになって
いる。

【００３６】上記汚れ除去に際し、汚れ除去具７にはイ
ンキ滓等が付着するが、これは洗浄用ボタン２３を操作
することにより除去する。すなわち、印刷機のインキ洗
浄時に対応するユニット指定ボタン２２を押し、続いて
洗浄用ボタン２３をＯＮにする。これにより、洗浄すべ
き印刷ユニットの第２の電磁弁１４が開動作し、続いて
該印刷ユニットの第１の電磁弁１３がメモリ回路２５の
メモリに従い一端側から他端側へと順に開閉動作する。
第１の電磁弁１３を開いておく時間はタイマ回路２６に
よりコントロールされる。

【００３７】しかして、洗浄中の印刷ユニットにおい
て、エアシリンダ８の列は一端側から他端側へと順に動
作して汚れ除去具７を版胴１ａ，１ｂ，１ｃ，１ｄの表
面に押し付ける。版胴１ａ，１ｂ，１ｃ，１ｄの表面に
は洗浄液が付着しており、汚れ除去具７に付着した汚れ
ａはこの洗浄液により溶かされ除去される。タイマの設
定時間により汚れ除去がなされると電磁弁１３，１４は
閉じエアシリンダ８への圧縮空気の供給を断つ。

【００３８】

【発明の効果】本発明は、以上のように構成されている
ことから、オペレータが、汚れの発生した版胴の印刷ユ
ニットまで行かなくとも、また高速回転する版胴に近付
かなくとも、また汚れ除去具を版胴に沿って移動させず
とも、汚れ取り作業を行うことができ、したがって版胴
上の汚れを速やかにかつ安全に除去することができ、損
紙も低減できる。また、汚れの発生した版胴及びその版
胴上の汚れの位置について記憶し、該記憶に基づき汚れ
除去具を版胴表面の汚れ箇所に接触せしめるので、汚れ
が版胴上複数箇所にわたって発生した場合、複数の版胴
上に発生した場合であってもすべての汚れを正確にかつ
効率良く除去することができる。

【００３９】また、各印刷ユニットの第１の電磁弁のマ
ニホールドと圧縮空気供給源との間には第２の電磁弁が
夫々設けられることから、圧縮空気供給源から第２の電
磁弁を経て第１の電磁弁のマニホールドに至る配管を簡
素化し、印刷機から引き出す配管の本数を低減すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るオフセット印刷機の汚れ除去装置
の構成を示すブロック図である。

【図２】上記汚れ除去装置の汚れ除去具の一部を示す平
面図である。

【図３】上記汚れ除去装置の操作盤を色見台と共に示す
斜視図である。

【図４】上記汚れ除去装置を備えたオフセット印刷機の
ある色のユニットの概略側面図である。

【符号の説明】

１…版胴 ７…汚れ除去具 ８…エアシリンダ １３…電磁弁 １６…制御部 ａ…版胴表面の汚れ ｂ…印刷物上の汚れ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 オフセット印刷機の各色の印刷ユニット
   の版胴の表面に沿ってその中心軸方向に多数配列された
   版胴表面の汚れを掻き取る汚れ除去具と、各汚れ除去具
   を版胴表面に対し接触及び離反させるエアシリンダと、
   各エアシリンダ毎に配置された第１の電磁弁と、各印刷
   ユニットの第１の電磁弁のマニホールドと圧縮空気供給
   源との間に夫々設けられた第２の電磁弁と、汚れの発生
   した版胴及びその版胴上の汚れの位置について記憶し、
   該記憶に基づき該当する第１と第２の電磁弁を動作させ
   ることにより汚れ除去具を版胴表面の汚れ箇所に接触せ
   しめる制御部とを包含してなることを特徴とするオフセ
   ット印刷機における汚れ除去装置。