JP2540080Y2 - コンバインにおける穀稈継送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、少なくとの３条以上の
穀稈を刈取って複数の縦掻き込み経路で縦送りし、それ
らの穀稈を機体の側部で合流させるコンバインにおける
穀稈継送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、刈取フレームの前部に３条分以上
の穀稈列に対応する分草体と穀稈引起装置とを取付け、
該穀稈引起装置の下部後方に刈刃を装着し、該刈刃の上
方に、横方向に間隔を隔てた複数の縦掻込経路を配設
し、その後部に複数段の横搬送帯からなる横搬送装置を
設け、下段横搬送帯の終端を後方へ向けて屈曲させ、一
側の縦掻込経路から掻込まれた穀稈を、他の縦掻込経路
から掻込まれて横送りされた穀稈に合流させるようにし
たコンバインにおいて、前記一側の掻込経路の外側の株
元合流掻込帯を横搬送経路と対向する部位まで後方へ延
出させ、該株元合流掻込帯の後部を横搬送経路と対向す
る部位まで延出させ、この株元合流掻込帯の後部から前
記下段横搬送帯の搬送面に向けてガイド杆を延出させる
ことはすでに知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前記既知のコンバイン
における穀稈継送装置は、すべての縦掻込経路から掻込
まれた刈取穀稈が、株元合流掻込帯の後部寄りで合流す
るが、このとき剛性の大なるガイド杆により挟持しよう
とすると稈量が少ない場合は稈抜けを生じ易く、稈量が
多いと合流が不円滑になり、また、合流部の後方部位で
は稈量が多い時にガイド杆が合流部で強く押し広げられ
ると、下段横搬送帯の搬送面から大きく離間して稈抜け
を生じたり稈姿勢が乱れる等の問題点があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は、刈取フレーム
６の前部に３条分以上の穀稈列に対応する分草体９と穀
稈引起装置１０とを取付け、該穀稈引起装置１０の下部
後方に刈刃１１を装着し、該刈刃１１の上方に、横方向
に間隔を隔てた複数の縦掻込経路Ａを配設し、その後部
に複数段の横搬送帯からなる横搬送装置Ｂを設け、株元
部を搬送する下段横搬送帯の終端を屈曲して後方へ延出
させ、合流した穀稈を傾斜搬送装置により後方の脱穀装
置に搬送供給するようにしたコンバインにおいて、横搬
送終端側に位置する縦掻込経路Ａの外側に、後部が少な
くとも横搬送経路の終端と対向する部位まで延出すると
ともに上下に間隔を隔てた複数段の掻込合流搬送帯から
なる掻込合流搬送体を設け、株元部を搬送する下段の掻
込合流搬送帯よりも内側から搬送経路に進出して前記下
段横搬送帯の後方へ向う搬送面に前部寄りと後部寄りと
で沿う少なくとも２本のガイド杆を設け、後部寄りで上
記搬送面に沿うガイド杆の剛性を前部寄りで沿うガイド
杆のそれよりも大にすることにより前述の課題を解決し
た。

【０００５】

【作用】複数条の立毛穀稈は分草体により分草され、穀
稈引起装置により引き起されると共に穀稈掻込経路を形
成する穀稈掻込装置により後方へ掻き込まれて刈刃によ
り刈取られる。該穀稈掻込装置により掻込まれる穀稈の
うち、一側以外の縦掻込経路から掻込まれた穀稈は横搬
送装置により一側へ横搬送され、一側の縦掻込経路から
掻込まれた穀稈は前記横搬送装置により横送りされた穀
稈に合流すると共に後方へ向けて搬送される。その際、
最終的な合流部からそれに続く一部では、剛性の弱いガ
イド杆により挟持されるので、穀稈が少ない場合でも挟
持間隙を狭くすることにより稈抜けを防止することがで
き、多い場合はその量に順応して変形するので無理なく
合流し、合流後に後送される過程では、剛性が大なる別
のガイド杆が穀稈の株元部を下段横搬送帯の後方へ向う
部分に圧接して確実に後送することができ、次いで、後
方へ向う傾斜搬送装置に受け継がれて脱穀装置に搬送供
給される。

【０００６】

【実施例】本考案を図面に示す５条刈コンバインについ
て説明すると、１は左右一対のクローラ２を有する機台
３上の左側に搭載した脱穀装置であって、右側には図示
してないが前方から順に、操作盤及び運転席を囲んだキ
ャビン、穀粒タンク等を配設し、前記機台３の前部に立
設した支柱４には、メインフレーム５とその前部に固定
した刈取フレーム６とからなる前処理フレームの後部を
横方向の支軸７により上下回動可能に軸支し、機台３の
前部とメインフレーム５との間に昇降用の油圧シリンダ
ー８を介装してある。

【０００７】前記刈取フレーム６の前端には５条の穀稈
を分草すべく６個の分草体９を取付け、それらの後部か
ら斜め後方上方に向けて斜設した５個の穀稈引起体から
なる穀稈引起装置１０の下部後方には、刈刃１１を取付
け、該刈刃１１の上方には、６個のスターホイールから
なる掻込輪１２を縦軸１３により軸支し、後方から見て
右端の掻込輪１２は内側の縦掻込経路Ａ（対設するガイ
ド杆の図示を省略）を隔てて独立とし、他の４個の掻込
輪１２は互いに噛合させることにより２つの縦掻込経路
Ａを構成し、対をなす掻込輪１２の右側に位置するもの
の縦軸１３の上端に取付けた大径のプーリー１５とその
軸保持筒から前方へ延出したブラケット２０に軸支した
小径のＶプーリー１６とに可撓ラグ付きの茎部掻込ベル
ト１７を張設し、その左側に噛合した掻込輪１２の縦軸
１３の上端にも大径のＶプーリー１５を取付け、その軸
保持筒から斜め前方と後方へ延出したブラケット２０，
２１にそれぞれ小径のＶプーリー１６，２２を軸支し、
これらのＶプーリー１６，２２と前記Ｖプーリー１５と
に可撓ラグ付きの茎部掻込ベルト２５を張設し、中央の
縦軸１３の下部に取付けたスプロケット２６とブラケッ
ト２１の後端よりやや後方に軸支した輪体２７とに株元
掻込チエーン２８を張設し、右端の掻込輪１２の縦軸１
３の下部に取付けたスプロケット２６と後述する横搬送
経路を後方へ横断した部位のスプロケット３０とに株元
掻込チエーン３１を張設してある。

【０００８】左端の掻込輪１２の縦軸１３に取付けたス
プロケット２６と横搬送経路の終端回行部の外側後方に
配設されている伝動ケースから立上った軸３３のスプロ
ケット３４には、株元合流掻込チエーン３５を張設して
駆動し、それにより左端の掻込輪１２はその右側に順次
噛合する掻込輪１２を従動回転させ、前記株元合流掻込
チェーン３５の上方にはタイン付チェーンからなる中段
の茎部合流掻込帯３５ａと、タイン付チェーンからなる
穂側合流掻込帯３５ｂとを上下に間隔をおいて張設して
ある。

【０００９】後方のＶプーリー２２の軸２３は上方へ延
出していてその上端には、縦掻込経路側で突出するフィ
ンガーを有するドラム又はスターホイール３７を装着し
てある。横搬送装置Ｂは、起伏するタイン付のチエーン
からなる上、中段の横搬送帯３８，３９と突起付チエー
ンからなる下段横搬送帯４０とで構成されており、該下
段横搬送帯４０の駆動スプロケット４１をギヤケース４
２から前記縦軸１３等と平行に立上がった軸４３に取付
け、中段横搬送帯３９の戻り側中間部を巻き掛けた駆動
スプロケット４５は、ユニバーサルジョイント４８を介
し軸４３に対して後方へ傾斜した中間軸４４の上部に取
付け、上段横搬送帯３８の左側後部を巻き掛けた駆動ス
プロケット４６を上端に取付けた軸４７は、下端にもス
プロケット４７ａを有し、このスプロケット４７ａを中
段横搬送帯３９に噛合させることにより上段横搬送帯３
８が駆動され、下段横搬送帯４０の移送終端のみは後方
へ大きく延出しており、前記ギヤケース４２には、前記
メインフレーム５の一方の構成部材となっているパイプ
５ａ中の伝動軸により伝動される。

【００１０】また、上段と中段の横搬送体３８，３９の
前部の穂側引起空間を拡大することができ、更に、前記
上段と下段の横搬送帯３８，３９から搬送作用側（前
側）で起立突出するタインの前下がり角度が小さくな
り、横搬送される穀稈がタインから外れたり、抜け落ち
たりすることが著しく少なくなる。なお、前記下段横搬
送帯４０は前述のスプロケット３０を駆動する。

【００１１】更に、前記株元合流掻込チエン３５の後部
は下段横搬送帯４０の後方へ向かう搬送面に少し上部で
対向し、茎部合流掻込帯３５ａのタインの搬送軌跡ａは
中段横搬送帯３９のタインの終端回行軌跡上に近接して
ラップし、穂側合流掻込帯３５ｂの搬送軌跡ｂは横搬送
経路と対向する部位から中段横搬送帯３９の後方へ向か
う部分の上方に沿いながら後述する傾斜搬送体Ｃの穂側
搬送チェーン５０のタインの始端回行軌跡の上方にラッ
プしており、これらの株元合流掻込チェーン３５、茎部
合流掻込帯３５ａ、穂側合流掻込帯３５ｂは前記下段横
搬送帯４０、中段横搬送帯３９、上段横搬送帯３８とほ
ぼ同一の搬送速度にしてある。

【００１２】そして、横送終端側の前記株元合流掻込チ
ェーン３５のチェーンケース５５の下面中間部には、一
端の折返し部がピンに係止されていてその近傍が軸杆に
ループ状に巻かれてから、合流部を斜め後方へ横切って
下段横搬送帯４０の後方へ向かう部分の前半部の搬送面
に沿う第１ガイド杆５６を取付け、前記チェーンケース
５５の後部寄りには、一端が係止されていてループ部を
軸で支持された第２ガイド杆５７を装着し、これをチェ
ーンケース５５の後端内側から後方へ向けて延出させる
と共に第１ガイド杆５６の後端の直後から前記下段横搬
送帯４０の後方へ向かう部分の搬送面に沿わせてあり、
第１ガイド杆５６及び第２ガイド杆５７はいずれも弾性
杆からなり、第２ガイド杆５７は第１ガイド杆５６より
も太くかつ大なる剛性を有している。５８，５９，６
０，６１は第１ガイド杆５６とほぼ同じ太さのガイド
杆、６２，６３はそれらより更に可撓性に富んだガイド
杆である。

【００１３】傾斜搬送装置Ｃはタイン付でガイド杆が対
設されている穂側搬送チエーン５０と、挟持レールが対
設されている株元搬送チエーン５１とで構成されてい
て、その前端は、横搬送終端側で下段横搬送帯４０の上
方で上中の横搬送帯３８，３９の背面に臨み、後端部は
傾斜軸とギヤケースとを介して前記支軸７に上下傾動可
能に支承され、後方のスプロケットの傾斜軸は前記キャ
ビン３ａ側へ傾斜している。５２は上記挟持レール及び
ガイド杆を支持する逆Ｕ字状杆、５３は穀稈引起装置１
０の背面に取付けられていて縦掻込経路の間の後部で横
搬送経路の前面を形成する案内板である。

【００１４】前述のコンバインにおいて、分草体９によ
り分草された穀稈は、穀稈引起装置１０により引き起さ
れると共に、株元部を掻込輪１２と株元掻込チエーン２
８，３１，３５により、その上方を茎部掻込ベルト１
７，２５により、また穂側はスターホイール３７（又は
タイン付きドラム）の回転により掻き込まれ、その間に
刈刃１１が根元際を刈取る。

【００１５】そして、掻込輪の上部から前方と後方へそ
れぞれ延出した一連の前記茎部掻込ベルト２５・・のラ
グ２５ａ・・は、引起開始直後の安定している立毛穀稈
の下部寄りを係止し、この状態で斜め上方後方の横搬送
経路Ｂまで連続的に係止搬送し、終端回行部では、横搬
送装置に受止められる穀稈茎部の抵抗に順応して撓みな
がら無理なく横搬送装置に押付けて整然と受渡す。

【００１６】このようにして縦掻込経路Ａから掻き込ま
れた穀稈は、一定位置に配設されている上中下段の横搬
送帯３８，３９，４０に受継がれるが、その際、上中段
の横搬送帯３８，３９の軸４７は軸４３等に対して後傾
姿勢になっているので、望ましい起立姿勢で受止められ
て横搬送されながら順次合流し、横搬送終端では、右側
から横送りされた３条分の穀稈に対し、左側の縦掻込経
路Ａから掻き込まれた２条分の穀稈を、上下３段の合流
掻込帯３５，３５ａ，３５ｂにより株元部と茎部と穂側
とをそれぞれほぼ同じ速度で両側から挟むようにして強
制的に合流させ、株元部は株元合流掻込チェーン３５の
後端より少し手前で第１ガイド杆５６が穀稈合流を阻害
しない状態で下段横搬送帯４０の後方へ向かう部分の前
半部に比較的弱く圧接されながら後送され、次いで該第
１ガイド杆５６の後端より後方では、第２ガイド杆５７
により強く圧接された状態で更に後送され、後部寄りに
至ると、穂側は脱穀装置１に向かう傾斜搬送装置Ｃの穂
側搬送チェーン５０のタインに平面視でラップした状態
で受け渡され、株元部は株元搬送チェーン５１の始端に
受継がれて脱穀装置１に搬送供給され、この搬送中に傾
斜搬送装置Ｃを傾動することにより扱深さ調節が行われ
る。

【００１７】

【考案の効果】本考案は前述のように構成したので、刈
取穀稈を横送りしてすべて合流させる時、株元部を比較
的剛性の小なるガイド杆５６が下段横送搬送帯４０の終
端の後方へ向かう部分の搬送面に沿いながら圧接するこ
ととなり、それにより藁屑や雑草等が多く付着した株元
部の円滑な合流を阻害しない状態で後方へ無理なく案内
することができ、その後部では、合流が完了した穀稈の
株元部を、剛性の大なるガイド杆５７が下段横搬送帯４
０の後方へ向かう部分に強く圧接して傾斜搬送装置Ｃに
向けて挟持搬送することとなり、稈量が多い時は勿論の
こと少ない場合でも確実に挟持して傾斜搬送装置Ｃに受
け渡すことができる。また、下段横搬送帯４０の終端の
後方へ向かう部分で、穀稈を後送する際、合流部又はそ
のすぐ後部に多量の穀稈が挟持されて前方のガイド杆５
６が大きく外側方へ押し出された場合、後部のガイド杆
５７はその影響を受けることがなく、強い挟持力により
稈洩れを防止しながら確実に搬送することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバインの後方から見た左側の縦断面図であ
る。

【図２】図１の矢印イ方向からの同上平面図である。

【図３】茎部及び穂側合流掻込帯を省略した同上縦断面
図である。 １ 脱穀装置 １０ 穀稈引起装置 １２ 掻込輪 ２５ 茎部掻込ベルト ２８ 株元掻込チエン ３１ 株元掻込チエーン ３５ 株元合流掻込チエーン ３５ａ 茎部合流掻込帯 ３８ 上段横搬送帯 ３９ 中段横搬送帯 ４０ 下段横搬送帯 ５０ 穂側搬送チェーン Ａ 縦掻込経路 Ｂ 横搬送装置 Ｃ 傾斜搬送装置

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】刈取フレーム６の前部に３条分以上の穀稈
   列に対応する分草体９と穀稈引起装置１０とを取付け、
   該穀稈引起装置１０の下部後方に刈刃１１を装着し、該
   刈刃１１の上方に、横方向に間隔を隔てた複数の縦掻込
   経路Ａを配設し、その後部に複数段の横搬送帯からなる
   横搬送装置Ｂを設け、株元部を搬送する下段横搬送帯の
   終端を屈曲して後方へ延出させ、合流した穀稈を傾斜搬
   送装置により後方の脱穀装置に搬送供給するようにした
   コンバインにおいて、横搬送終端側に位置する縦掻込経
   路Ａの外側に、後部が少なくとも横搬送経路の終端と対
   向する部位まで延出するとともに上下に間隔を隔てた複
   数段の掻込合流搬送帯からなる掻込合流搬送体を設け、
   株元部を搬送する下段の掻込合流搬送帯よりも内側から
   搬送経路に進出して前記下段横搬送帯の後方へ向う搬送
   面に前部寄りと後部寄りとで沿う少なくとも２本のガイ
   ド杆５６，５７を設け、後部寄りで上記搬送面に沿うガ
   イド杆５７の剛性を、前部寄りで沿う前記ガイド杆５６
   のそれよりも大にしたことを特徴とするコンバインにお
   ける穀稈継送装置。