JP2558711Y2 - コンバインの穀稈掻込横搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ） 産業上の利用分野 本考案は、穀稈その他の農作物を刈取脱穀するコンバ
インの穀稈掻込横搬送装置に関する。

（ロ） 従来技術 従来、刈取フレームの前部に３条分以上の穀稈列に対
応する分草体と穀稈引起装置とを取付け、該穀稈引起装
置の下部後方に刈刃を装着し、該刈刃の上方に、横方向
に間隔を隔てた複数の縦掻込経路を配設し、該縦掻込経
路の側部に上中下３段の掻込帯を張設し、その後方に上
中下３段の横搬送帯からなる横搬送装置を設け、それに
より横搬送された穀稈を傾斜搬送装置により脱穀装置に
搬送するようにしたコンバインの穀稈掻込横搬送装置は
実開昭55-117214号公報により既に知られている。

（ハ） 考案が解決しようとする問題点 前記既知のコンバインの穀稈掻込横搬送装置における
上段および中段の掻込帯は横搬送装置の上段及び中段の
横搬送帯と略同一平面に配設されていて、それらから突
出した突起又はタイン等の軌跡がラップしないようにし
ていたので、穀稈の受継が不確実であり、また、穀稈が
長稈であると、その穂部が前倒れして茎部より受継が遅
れ、それにより著しい穂先遅れが発生し、それが原因で
脱穀時に稈切れや稈抜けが多く発生する等の問題点があ
った。

（ニ） 問題点を解決するための手段 本考案は、刈取フレーム６の前部に３条分以上の穀稈
列に対応する分草体９と穀稈引起装置10とを取付け、該
穀稈引起装置10の下部後方に刈刃11を装着し、該刈刃11
の上方に、横方向に間隔を隔てた複数の縦掻込経路Ａを
配設し、その後部に上，中，下３段の横搬送帯からなる
横搬送装置Ｂを設け、該横搬送装置Ｂの後方で脱穀装置
１との間に、後端側を支点に上下傾動可能な傾斜搬送装
置Ｃを設けたコンバインにおいて、前記各縦掻込経路Ａ
の側部に、下方から順に掻込輪12,株元掻込チエーン及
び茎部掻込帯を配設し、該茎部掻込帯の後方の輪体が取
付けられている掻込軸23を上方へ延出し、該掻込軸23
に、外周に複数の突起を有する掻込回転体を装着し、該
掻込回転体を前記横搬送装置Ｂの上段と中段の横搬送帯
38,39の高さ方向中間位置前方に配設すると共に、前記
掻込回転体の突起の回転軌跡を、前記横搬送装置Ｂの上
段と中段の横搬送帯38,39のタインが形成する搬送軌跡
の間に平面視でラップさせるように臨ませたことにより
前述の問題点を解決した。

（ホ） 作用 複数条の立毛穀稈は分草体により分草され、穀稈引起
装置により引起されると共に穀稈掻込経路を形成する穀
稈掻込装置により後方へ掻き込まれて刈刃により刈取ら
れる。該掻込装置により穀稈を掻込む際、株元部は掻込
輪及び株元掻込チエーンにより掻き込まれ、茎部は茎部
掻込帯により掻き込まれてそれぞれ横搬送装置の下段横
搬送帯と中段の横搬送帯とに受渡され、茎部掻込帯の終
端から立上がった軸に取付けてある掻込回転体の突起
は、上段と中段の横搬送帯の高さ方向中間位置で、それ
らから突出したタインの回転軌跡内へ穂側を強制的に押
込むこととなり、それにより穀稈の受継が確実で洩れが
なく、しかも長稈でも穂部搬送が遅れることなく適時に
整然と後部の横搬送装置に受渡すことができる。

（ヘ） 実施例 本考案を図面に示す５条刈コンバインについて説明す
ると、１は左右一対のクローラ2,2を有する機台３上の
左側に搭載した脱穀装置であって、右側には図示してな
いが前方から順に、操作盤及び運転席を囲んだキャビ
ン，穀粒タンク等を配設し、前記機台３の前部に立設し
た支柱４には、メインフレーム５とその前部に固定した
刈取フレーム６とからなる前処理フレームの後部を横方
向の支軸７により上下回動可能に軸支し、機台３の前部
とメインフレーム５との間に昇降用の油圧シリンダー８
を介装してある。

前記刈取フレーム６の前端には５条の穀稈を分草すべ
く６個の分草体９を取付け、それらの後部から斜め後方
上方に向けて斜設した５個の穀稈引起体からなる穀稈引
起装置10の下部後方には、刈刃11を取付け、該刈刃11の
上方には、５個のスターホイールからなる掻込輪12を縦
軸13により軸支し、後方から見て右端の掻込輪12は内側
の縦掻込経路Ａ（対設するガイド杆の図示を省略）を隔
てて独立とし、他の４個の掻込輪12は互いに噛合させる
ことにより２つの縦掻込経路Ａを構成し、対をなす掻込
輪12,12の右側に位置するものの縦軸13の上端に取付け
た大径のＶプーリー15とその軸保持筒から前方へ延出し
たブラケット20に軸支した小径のＶプーリー16とに可撓
ラグ付きの茎部掻込ベルト17を張設し、その左側に噛合
した掻込輪12の縦軸13の上端にも大径のＶプーリー15を
取付け、その軸保持筒から斜め前方と後方へ延出したブ
ラケット20,21にそれぞれ小径のＶプーリー16,22を軸支
し、これらのＶプーリー16,22と前記Ｖプーリー15とに
可撓ラグ付きの茎部掻込ベルト25を張設し、中央の縦軸
13の下部に取付けたスプロケット26とブラケット21の後
端よりやや後方に軸支した転輪27とに株元掻込チエーン
28を張設し、右端の掻込輪12の縦軸13の下部に取付けた
スプロケット26と後述する横搬送経路を後方へ横断した
部位のスプロケット30とに株元掻込チエーン31を張設
し、左端の掻込輪12の縦軸13に取付けたスプロケット26
と横搬送経路の終端外側に設けられている伝動ケース33
aから立上った軸33のスプロケット34にも株元掻込チエ
ーン35を張設して駆動し、それにより左端の掻込輪12は
その右側に順次噛合する掻込輪12を従動回転させる。

後方のＶプーリー22の軸23は上方へ延出していてその
上端には、縦掻込経路側から横搬送経路側に亙る部位で
突出するフインガー36aを有するドラム36（第１図
（ｂ）参照）又はスターホイール37（第１図（ａ）及び
第２図参照）を装着してある。

横搬送装置Ｂは、起伏するタイン付のチエーンからな
る上，中段の横搬送帯38,39と突起付チエーンからなる
下横搬送帯40とで構成されており、該下横搬送帯40の駆
動スプロケット41をギヤケース42から前記縦軸13等と平
行に立上がった軸43に取付け、中横搬送帯39の戻り側中
間部を巻き掛けた駆動スプロケット45は、ユニバーサル
ジョイント48を介し軸43に対し後方へ傾斜した中間軸44
の上部に取付け、上横搬送帯38の左側後部を巻き掛けた
駆動スプロケット46を上端に取付けた軸47は、下端にも
スプロケット47aを有し、このスプロケット47aを中横搬
送帯39に噛合させることにより上横搬送帯38が駆動さ
れ、下横搬送帯40の移送終端のみは後方へ延出してお
り、前ギヤケース42には前記メインフレーム５の一方の
構成部材となっているパイプ5a中の伝動軸により伝動さ
れる。

また、上，中段の横搬送帯38,39の前部の穂側引起空
間を拡大することができ、更に、前記上，中段の横搬送
帯38,39から搬送作用側（前側）で起立突出するタイン
の前下がり角度が小さくなり、横搬送される穀稈がタイ
ンから外れたり、抜け落ちたりすることが著しく少なく
なる。なお、前記下横搬送帯40は前述のスプロケット30
を駆動する。

更に、前記ドラム36のフインガー36aの回転軌跡は前
記上，中段の横搬送帯38,39の間で、それらから起立突
出したタインの横搬送軌跡により形成される横搬送経路
内に平面視で侵入し、両軌跡がラップして穀稈の穂部を
前方から強制的に掻き込むこととなる。

また、左側の伝動ケース33aから立上がった軸33の上
部には第２図及び第３図に示す如く上，中段の横搬送体
38,39の搬送終端で後方へ向かう部分の間に外側方から
対面する茎部継送チエーン29を張設してあり、これに装
着した多数のタイン29aは軌跡29bで示す如く前部で起立
突出し、後部で回転方向と逆向きに倒伏し、合流した穀
稈の茎部を受止めて搬送方向を後方へ変換する。傾斜搬
送装置Ｃはタイン付でガイド杆が対設されている穂側搬
送チエーン50と、挟持レールが対設されている株元搬送
チエーン51とで構成されていて、その前端は第１図及び
第２図に示すごとく下横搬送帯40の上方で上，中段の横
搬送帯38,39の横搬送終端背面に臨み、後端部は傾斜軸
とギヤケースとを介して支軸７に上下傾動可能に支承さ
れ、後方のスプロケットの上記傾斜軸は前記キャビン3a
側へ傾斜している。

52は上記挟持レール及びガイド杆を支持する逆Ｕ字状
杆、53は穀稈引起装置10の背面に取付けられていて縦掻
込経路の後端部の間で横搬送経路の前面を形成する案内
板である。

前述のコンバインにおいて、分草体９により分草され
た穀稈は、穀稈引起装置10により引き起されると共に、
株元部を掻込輪12と株元掻込チエーン28,31,35により、
その上方を茎部掻込ベルト17,25により、また穂側はス
ターホイール37（又はタイン付きドラム36）の回転によ
り掻き込まれ、その間に刈刃11が根元際を刈取る。

そして、掻込輪12の上部から前方と後方へそれぞれ延
出した一連の前記茎部掻込ベルト25・・のラグ25a・・
は、引起開始直後の安定している立毛穀稈の下部寄りを
係止し、この状態で斜め上方後方の横搬送経路まで連続
的に係止搬送し、終端回行部では、横搬送装置Ｂに受止
められる穀稈茎部の抵抗に順応して撓みながら無理なく
横搬送装置Ｂに押付けて整然と受渡す。

このようにして縦掻込経路Ａから掻き込まれた穀稈
は、一定位置に配設されている上，中，下段の横搬送帯
38,39,40に受継がれるが、その際、上，中段の横搬送帯
38,39の軸47は軸43や13等に対して後傾姿勢になってい
るので、望ましい起立姿勢で受止められて横搬送されな
がら順次合流し、横搬送終端に達すると株元部は株元掻
込チエーン35と搬送面がラップすると共に同一方向とな
っている下横搬送帯40の後方へ向かう部分に整然と受継
がれ、次いで、その上方部分が傾斜搬送装置Ｃの株元搬
送チエーン51に受渡され、穂側は上，中段の横搬送帯3
8,39の間、若しくはそれより上方（長稈の場合）で穂側
搬送チエーン50に受渡され、この状態で、斜め後方上方
へ搬送された後、株元部は脱穀装置１のフィードチエー
ン1aと挟扼レールとに受継され、穂側は供給口に挿入さ
れて脱穀処理される。

（ト） 考案の効果 本考案は前述のように刈取フレーム６の前部に３条分
以上の穀稈列に対応する分草体９と穀稈引起装置10とを
取付け、該穀稈引起装置10の下部後方に刈刃11を装着
し、該刈刃11の上方に、横方向に間隔を隔てた複数の縦
掻込経路Ａを配設し、その後部に上，中，下３段の横搬
送帯からなる横搬送装置Ｂを設け、該横搬送装置Ｂの後
方で脱穀装置１との間に、後端側を支点に上下傾動可能
な傾斜搬送装置Ｃを設けたコンバインにおいて、前記各
縦掻込経路Ａの側部に、下方から順に掻込輪12,株元掻
込チエーン及び茎部掻込帯を配設し、該茎部掻込帯の後
方の輪体が取付けられている掻込軸23を上方へ延出し、
該掻込軸23に、外周に複数の突起を有する掻込回転体を
装着し、該掻込回転体を前記横搬送装置Ｂの上段と中段
の横搬送帯38,39の高さ方向中間位置前方に配設すると
共に、前記掻込回転体の突起の回転軌跡を、前記横搬送
装置Ｂの上段と中段の横搬送帯38,39のタインが形成す
る搬送軌跡の間に平面視でラップさせるように臨ませた
ので、縦掻込経路Ａに沿って配設されている掻込輪12・
・及び株元掻込チエーン28,31,35は、穀稈の株元部を後
方へ掻き込んで下段の横搬送帯40に受渡し、茎部掻込帯
（茎部掻込ベルト17,25）は、穀稈の茎部を後方へ掻き
込んで中段の横搬送帯39に受渡す。

その際、長稈の穂部は茎部掻込帯の後部から立上がっ
た軸23に取付けられている掻込回転体（ドラム36,スタ
ーホイール37）の突起に係止されて、その直後にある上
段と中段の横搬送帯38,39の高さ方向中間位置の横搬送
経路内へ強制的に掻き込まれ、更に上段と中段の横搬送
帯38,39両方に対して確実に押込んで洩れなく受け渡す
こととなり、穂側の移送遅れをなくし、適時に整然と横
搬送装置Ｂに受け渡すことができる。

そして、穀稈を整然とした姿勢で横搬送装置Ｂから傾
斜搬送装置Ｃに継送し、脱穀装置１のフィードチエーン
1aに受け渡すことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであって、第１図
（ａ），（ｂ）はコンバインの後部を省略した中央部の
縦断面図、第２図は第１図の矢印イ方向からの同上平面
図、第３図は左側の縦断面図である。 １……脱穀装置 ９……分草体 10……穀稈引起装置 12……掻込輪 17,25……茎部掻込ベルト（茎部掻込帯） 28,31,35……株元掻込チエーン 36……ドラム（掻込回転体） 37……スターホイール（掻込回転体） 43,47……軸 41,45,46……駆動スプロケット Ａ……縦掻込経路 Ｂ……横搬送装置 Ｃ……傾斜搬送装置

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】刈取フレーム６の前部に３条分以上の穀稈
   列に対応する分草体９と穀稈引起装置10とを取付け、該
   穀稈引起装置10の下部後方に刈刃11を装着し、該刈刃11
   の上方に、横方向に間隔を隔てた複数の縦掻込経路Ａを
   配設し、その後部に上，中，下３段の横搬送帯からなる
   横搬送装置Ｂを設け、該横搬送装置Ｂの後方で脱穀装置
   １との間に、後端側を支点に上下傾動可能な傾斜搬送装
   置Ｃを設けたコンバインにおいて、前記各縦掻込経路Ａ
   の側部に、下方から順に掻込輪12,株元掻込チエーン及
   び茎部掻込帯を配設し、該茎部掻込帯の後方の輪体が取
   付けられている掻込軸23を上方へ延出し、該掻込軸23
   に、外周に複数の突起を有する掻込回転体を装着し、該
   掻込回転体を前記横搬送装置Ｂの上段と中段の横搬送帯
   38,39の高さ方向中間位置前方に配設すると共に、前記
   掻込回転体の突起の回転軌跡を、前記横搬送装置Ｂの上
   段と中段の横搬送帯38,39のタインが形成する搬送軌跡
   の間に平面視でラップさせるように臨ませたことを特徴
   とするコンバインの穀稈掻込横搬送装置。