JP2540071Y2 - パレット分配システムのキャリア機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案はパレット分配システム
のキャリア機構に関するものであり、さらに詳しくはワ
ークに加工を施す工作機械とパレットステッカーとワー
ク段取台との間でワークを載置したパレットを自動的に
移送分配するシステムにおけるキャリア機構のガイド構
造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】上記のようなパレット分配システムとし
ては従来から周行型のものと並設型のものとが一般に知
られているが、いずれもスペース的に大型であるという
共通の欠点を有している。これらの欠点を除いたものと
して、本出願人は別途提出の出願により新規なパレット
分配システムを提案した。この提案のパレット分配シス
テムにおいては複数のパレットをアドレス指定可能に収
容するべく水平方向に延在する少なくとも１組のストッ
カーを工作機械近傍に位置させ、ストッカーの延在方向
に往復動可能にストッカー上方にキャリア機構を跨設
し、ストッカーの延在方向と直交する方向（Ｘ）に往復
動可能にシフター機構をキャリア機構に架設し、上下方
向往復動可能にリフター機構をシフター機構に架設し、
パレットを保持解放するフック機構をリフター機構に架
設し、工作機械近傍においてバッファーをストッカーに
付設し、ストッカーに段取台を付設したものである。

【０００３】

【考案が解決しょうとする課題】上記従来技術のパレッ
ト分配システムにおいては、両脚門型のキャリア機構が
ストッカーに対して跨設状に設けられており、その両脚
部の下端に設けられた回転部材（例えばローラー）が固
定軌道部材（例えばレール）上に係合支持されている。
ところでキャリア機構はときに相当重量の大きなワーク
を載置したパレットを移送すべく移動するものであるの
で、その移動中の姿勢が安定していることが強く要求さ
れる。しかし上記したように従来のパレット分配システ
ムのキャリア機構の回転部材と軌道部材の係合部はとも
に移送状態（リフター機構のフックに支持された状態）
のパレットより低い位置にある。この故に２つの係合部
を結ぶ線がワークの重心から下方に離れる（換言すると
ワークの重心が該結ぶ線より上方に離れる）。この結果
キャリア機構周り全体の重心が高い位置にくることにな
り、非常に安定性の劣ったものとなる。そこで上記のよ
うなキャリア機構に代えて吊下げ型のクレーンを用いる
ことが考えられる。しかしそのようなクレーンを用いる
となると、工場全体の建築強度をかなり高いものとする
必要がある。加えてその設置に大掛りな工事を必要とす
ることになり、いずれにしても設備コストが大幅に増加
するのを免れない。かかる従来技術の現状に鑑みてこの
考案の目的は、設備コストの増加を招くことなしに、パ
レット分配システムのキャリア機構の移動中の姿勢を安
定化させることにある。

【０００４】

【課題を解決する手段】工作機械（Ｍ）の近傍に水平方
向に延在して設けられたストッカー（５）の上方に跨設
状に設けられてストッカーの延在方向に往復動するキャ
リア機構（１）と、このキャリア機構に上下方向に往復
動可能に設けられたリフター機構（３）と、リフター機
構に支持されてパレットの保持解放を行うフック機構
（４）とを含んでなり、工作機械とストッカーとワーク
段取台との間で立体的にパレットの移送分配を行うパレ
ット分配システムにおいて、上記のキャリア機構をスト
ッカーの延在方向に沿って設けた１対の軌道部材に回転
部材を介して支持するとともに、一方の軌道部材を移送
状態のパレットよりも低い位置に、他方の軌道部材を前
記パレットよりも高い位置に配置したことを要旨とす
る。

【０００５】

【作用】回転部材と軌道部材との２つの係合部を結ぶ線
が移送状態のワークの重心、あるいはそれよりも上方に
位置するようになる。その結果キャリア機構の支持位置
に対する全体の重心が低いものとなる。

【０００６】

【実施例】図１および図２にこの考案のキャリア機構の
一実施例を用いたパレット分配システムの一例を示す。
工作機械Ｍの側面に臨んでパレットを載置するためのス
トッカー５が床面上に設置されており、このストッカー
５は、２本の水平方向に延在するストッカーレール５０
１により構成され、図示の例では２組が互いに平行に設
けられている。これらストッカー５に対してその上方を
ストッカー５の延在方向（以下これを「Ｙ方向」と呼
ぶ）に往復動可能にキャリア機構１が跨設状に設けられ
ている。

【０００７】キャリア機構１にはストッカー５の延在方
向と直交する方向（以下これを「Ｘ方向」と呼ぶ）に往
復動可能にシフター機構２が載設されている。またこの
シフター機構２には上下方向（以下これをＺ方向」と呼
ぶ）に往復動可能にリフター機構３が架設されている。
このリフター機構３の四隅にはそれぞれフック機構４が
水平方向に揺動可能に設けられており、その揺動により
フック４０１がワークＷを載置したパレットＰを保持、
解放できるようになっている。

【０００８】工作機械Ｍの側面に面しては２個のパレッ
トを載置可能なバッファー６がＹ方向に往復動可能に設
けられている。また工作機械Ｍから離れた方のストッカ
ー５の端部に臨んでワークの段取台７が設けられてい
る。なお図中Ｃ１はシステム全体の動作制御装置、Ｃ２
は工作機械周りの動作制御装置、Ｃ３は段取台周りの動
作制御装置、Ｃ４はキャリア機構１の制御装置、Ｃ５は
バッファー６の制御装置である。図中丸印で示したのは
パレットのためのアドレスであって、この例では０〜７
アドレスが示されており、アドレス１、２、４および６
が機械に近い側にアドレス０、３、５および７が機械か
ら離れた側に配置されている。しかしアドレスの個数お
よび配置はこれに限定されるものでなく、図示のものは
飽く迄説明の便宜上定めた一例である。

【０００９】図２においてキャリア機構１は垂直方向に
延在するキャリアポスト１１１とこれに支持されて水平
方向に延在するキャリアフレーム１０８とからなる跨設
状の構造を有している。キャリアフレーム１０８の一端
上にはギアケース１０５を付設した駆動モーター１０４
が載設されている。

【００１０】キャリアフレーム１０８の他端にはカップ
リング１０７を介して回転部材であるピニオン１０２が
付設されており、このピニオン１０２は床面上に据え付
けられたスタンド９上に載置されたＹ方向に延在するラ
ック９０１（軌道部材）と噛合い係合している。カップ
リング１０７は駆動軸１０６によりギアケース１０５に
作動連結されている。

【００１１】キャリアポスト１１１の下端には回転部材
であるローラー１０１が回転自在に付設されており、床
面上に設けられた基礎上でＹ方向に延在するレール９０
２（軌道部材）に係合している。さらにキャリアポスト
１１１の下端にはカップリング１１０を介してピニオン
１０３が付設されており、このピニオン１０３は上記基
礎上でＹ方向に延在するラック９０１と噛合い係合して
いる。なお、図示の例では床面上に基礎を設け、この上
に軌道部材であるレール９０２を載設しているが、軌道
部材を直接床面上に設ける構成としてもよい。

【００１２】上記の構成により２組の回転部材と軌道部
材との係合部を結ぶ線Ａ−Ｂが、移送状態、すなわちワ
ークＷが載置されたパレットＰがキャリア機構１のフッ
ク機構４により保持され、リフター機構３により上昇位
置に移動された状態、でのワークＷの重心よりも上方に
位置する。したがってキャリア機構１の移動時にもワー
クＷの姿勢が安定した状態で移送が行われる。なお、本
考案においては２組の回転部材と軌道部材の配置は上記
のものに限らず、両者の係合部を結ぶ線が移送状態のワ
ークの重心の下方近傍となるようなものでもよい。要す
るに２組の回転部材と軌道部材のうち、一方の組が移送
状態のパレットよりも高い位置で係合し、他方の組が低
い位置で係合するような構成であればよい。

【００１３】また、上記の実施例ではキャリア機構１に
はストッカー５の延在方向と直交する方向に往復動可能
なシフター機構２が付設されている。しかし、ストッカ
ー５が１組しか設けられていない場合は、シフター機構
２はキャリア機構１に付設されていなくてもよい。

【００１４】

【考案の効果】上記したように、本考案の構成により回
転部材と軌道部材との２つの係合部を結ぶ線を移送状態
のワークの重心の近傍あるいはそれよりも上方に位置さ
せることができ、キャリア機構の支持位置に対する全体
の重心が低いものとなる。これによりキャリア機構の安
定性が従来の両脚門型のものに比べて格段に優れたもの
となり、姿勢を安定させた状態でワークの移送を行うこ
とができる。また、１対の軌道部材をそれぞれ支持する
スタンドの一方を省略あるいは低コストで充分な強度が
得られる低いものとすることにより、従来の吊下型クレ
ーンを使用する場合のような設備コストの増加を招くこ
とがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のキャリア機構を使用したパレット分
配システムの一例を示す平面図である。

【図２】同じく側面図である。

【符号の説明】

１ ：キャリア機構 ２ ：シフター機構 ３ ：リフター機構 ４ ：フック機構 ５ ：ストッカー ６ ：バッファー ７ ：段取台 ９ ：スタンド Ｍ ：工作機械 Ｐ ：パレット Ｗ ：ワーク １０１ ：ローラー １０２ ：ピニオン １０３ ：ピニオン １０４ ：モーター ９０１ ：ラック ９０２ ：ラック ９０３ ：レール

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】工作機械（Ｍ）の近傍に水平方向に延在し
   て設けられたストッカー（５）の上方に跨設状に設けら
   れてストッカーの延在方向に往復動するキャリア機構
   （１）と、このキャリア機構に上下方向に往復動可能に
   設けられたリフター機構（３）と、リフター機構に支持
   されてパレットの保持解放を行うフック機構（４）とを
   含んでなり、工作機械とストッカーとワーク段取台との
   間で立体的にパレットの移送分配を行うパレット分配シ
   ステムにおいて、上記のキャリア機構がストッカーの延
   在方向に沿って設けられた軌道部材に回転部材を介して
   支持されるとともに、一方の軌道部材が移送状態のパレ
   ットよりも低い位置に、他方の軌道部材が前記パレット
   よりも高い位置に配置されていることを特徴とするパレ
   ット分配システムのキャリア機構。