JP2539382B2 - 液晶フイルムの製造方法 - Google Patents

液晶フイルムの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱的寸法安定性、機械強度、耐薬品性等に
すぐれた液晶樹脂をフィルム化する方法に関する。
〔従来技術〕
液晶樹脂は従来の熱可塑性及び熱硬化性樹脂にはない
剛直性、線膨張係数、熱変形性、成形時寸法安定性等の
熱的寸法安定性を有しており、近年特に注目をあびてい
る。液晶樹脂のうちいわゆるリオトロピック液晶樹脂は
溶液状態で液晶構造となることを特徴とするが、Dupont
社Kevlarで代表される様に繊維で成形加工されている
が、溶融加工ができないため、織布、不織布等布状形態
か、成形品では一般の樹脂に混合し剛直性や寸法安定性
を向上する目的で用いられている。従って、樹脂単一の
成形品やフィルムは成形加工が困難か非常に高価なもの
にならざるを得ない。一方溶融成形可能な液晶樹脂はサ
ーモトロピック液晶樹脂として規定されるが、最近その
剛直性、熱的寸法安定性に着目され、耐熱性を要求され
る精密成形部品に用いられ始めている。しかしフィルム
加工に於ては、その特徴である高度の結晶配向性が災い
して、溶融押出製膜が非常に困難であり、未だ良好な外
層、厚み精度を持ったフィルムが完成されていない。サ
ーモトロピック液晶樹脂の溶融押出製膜上の問題は大別
して3点ある。第一点は、単純に押出しただけでは結晶
構造間で空隙が出来、脆いフィルムしか出来ない。この
為に溶融押出直後、冷却固化する直前にロール間で圧着
し上記の空隙を埋め、かつ表層を高度に結晶化させたス
キン層を形成する方法が提案されている。しかしこの方
法は溶融状態直後に樹脂が冷却固化する直前に物理力で
圧着固化する必要があるため、自ずとダイスと圧着ロー
ルは非常に接近した構造を取る必要性がある為特殊なダ
イス、圧着ロールシステムが要求される。現在では均一
なスキン層を有したフィルムは得られていない。
第二点は、溶融直後の凝集力が小さいために、ダイス
先端のリップの摩擦力で、外皮が容易にむしられ、リッ
プに樹脂が堆積するという問題である。加工上のロング
ラン性がなく、又外観上の問題も発生するため、致命的
な問題と言える。
第三点は、溶融時の延展性が無いと言う点である。一
般に溶融押出製膜での厚みの厚薄コントロールは、リッ
プクリアランスと、押出線速度対引き取り速度の比率で
なされるが、液晶樹脂の場合、後者の速度比率による延
伸を行うとフィルムが破断してしまうので、前者のリッ
プクリアランスのみで厚みの厚薄コントロールを行う必
要があり、厚み精度が良くない。薄肉フィルムが製造し
にくい、厚み変更をするのに時間が掛る、等の問題があ
る。
〔発明の目的〕
本発明は、以上に述べた様なサーモトロピック液晶樹
脂の溶融押出製膜上の問題を解決せんとして、鋭意研究
した結果、共押出製膜法を応用することにより、良好な
液晶フィルムを得ることができるとの知見を得、本発明
を完成するに至ったものである。
〔発明の構成〕
本発明は、中間層が全芳香族ポリエステル系サーモト
ロピック液晶樹脂層であり、外層がポリプロピレン樹脂
層又はポリエチレン樹脂層であって、各層を三層の共押
出ダイスを用いて、ダイス温度が該液晶樹脂の溶融温度
より高い温度で同時に押出し、ダイリップ直下の冷却ロ
ールで冷却すると同時に冷却ロールに対向するピンチロ
ールで圧着させた後、外層のポリプロピレン樹脂層又は
ポリエチレン樹脂層を剥離し、中間層の全芳香族ポリエ
ステル系サーモトロピック液晶樹脂層を取出しフィルム
状とすることを特徴とする液晶フィルムの製造方法であ
る。
本発明に用いられる液晶樹脂とは、バルク状態からの
加熱過程に於て液晶性を示す、サーモトロピック液晶樹
脂を言い、下図で示す一般的構造を有する液晶形成単位
を持つ高分子材料の総称を言う。
本発明の全芳香族ポリエステル系サーモトロピック液
晶樹脂は、p−フェニレン環を有するものであって、セ
ラニーズ社のVectraとかダートコート社のXYDARが挙げ
られる。
本発明に用いられる液晶樹脂層と熱接着しない熱可塑
性樹脂としては上記液晶樹脂とともに共押出成形したと
きに、溶融状態及び冷却後に於ても剥離分離できるポリ
プロピレン又はポリエチレンである。
外層の熱可塑性樹脂層と中間層の液晶樹脂層の厚み比
率は任意で良いが、好ましくは外層の合計厚みが中間層
の厚みより薄い方が良い。
本発明に於ては、Tダイ法、インフレーション法等の
共押出製膜法が用いられる。中間層の液晶樹脂層と外層
の熱可塑性樹脂層は共押出直後もしくは、三層フィルム
巻取り後剥離分離を行う。又は押出後引取り機の中で行
っても良い。外層の熱可塑性樹脂は同一樹脂であって
も、異なる種の樹脂であっても良い。
〔発明の効果〕
本発明の主眼は、液晶樹脂の単層製膜押出で問題であ
る圧着固化の困難さ、ダイリップ部分への樹脂の堆積及
び溶融延展性がないことの3点の問題を解決することに
あるが、本発明に於ては、中間層の液晶樹脂層が熱可塑
性樹脂外層に被覆されて押出されるために、中間の液晶
樹脂層が保温され圧着されるまでに固化しにくく、ロー
ル圧着が効果的に行える。又ダイリップ部分への樹脂の
堆積は全くない。溶融延展性に於ても、押出線速度に対
し5倍までの比率で引き取り速度を上げることができ、
同一リップクリアランスに対し薄肉化が可能である。
〔実施例〕
以下、本発明方法を実施例によって具体的に説明す
る。
実施例−1 50mm押出機3台を用い、第1、第3の押出機には、ポ
リプロピレン樹脂(住友化学工業製 ノーブレンAW−56
4)を230℃にて押出し、第2の押出機には芳香族ポリエ
ステル液晶樹脂(セラニーズ社 Vectra溶融温度320
℃)を320℃にて押出し、第1図の共押出3層ダイス−
1にポリプロピレンはマニホールド2、4に、該液晶樹
脂はマニホールド3に導入し、合流しダイス温度330℃
にて押出した。3層共押出物5はダイリップ直下の冷却
ロール6で冷却され、かつ冷却ロールに対向するピンチ
ロール7で圧着させた。3層共押出物は冷却後外層ポリ
プロピレンフィルム8、9を剥離し、中間層該液晶樹脂
フィルム10を単層で取り出し、巻取機11により巻取っ
た。該液晶樹脂フィルム厚みは100μmであった。得ら
れた液晶樹脂フィルムは、配向性も少なく手では容易に
引き裂けなかった。又、厚み精度は100μmに対して±1
0%の範囲に入っておりフィルム外観ともに良好であっ
た。
実施例−2 50mm押出機2台を用い、第1の押出機には、ポリエチ
レン(住友化学工業 スミカセンG801)を200℃にて押
出し、第1図共押出3層ダイス−1にマニホールド2、
4に導入した、第2の押出機には芳香族ポリエステル液
晶樹脂(ダートコ社 XYDAR)を330℃で押出しマニホー
ルド3に導入し、3層を合流し、ダイス温度340℃にて
押出した。実施例−1と同様に冷却後外層ポリエチレン
フィルムを剥離した後、該液晶樹脂を単独で巻き取っ
た。該液晶樹脂フィルムは配向性も少なく手では容易に
引き裂けなかった。又、厚み精度は得られた厚み50μm
に対して±10%の範囲に入っておりフィルム外観ともに
良好であった。
比較例−1 65mm押出機及びその先端に取りつけた単層コートハン
ガーダイを用い、芳香族ポリエステル液晶樹脂(セラニ
ーズ社 Vectra)をシリンダー温度300℃、ダイス温度3
20℃にて押出した。結果、ダイスリップ先端へ樹脂の堆
積が激しいため、厚み精度、外観とも良好なフィルムが
得られなかった。
比較例−2 実施例−1と同一の3層押し出しを同一の樹脂を用い
て行った。但し、ダイス温度を300℃と液晶樹脂の溶融
温度よりも低く設定した。得られた液晶樹脂フィルムは
流れ方向への配向がきつく手でも容易に引き裂けてしま
った。
ちなみに、厚み精度は100μmに対して±10%の範囲
に入っており外観ともに良好であった。
比較例−3 実施例−1と同一の3層押し出しを同一の樹脂を用い
て行った。但し、押し出しされた3層共押出物の冷却
は、ダイリップ直下の冷却ロールのみで冷却しピンチロ
ールでの圧着は行わなかった。得られた液晶樹脂フィル
ムは外観が悪く、平坦性も無く厚み精度も100μmに対
して±40%の範囲で大きくふれた。
ちなみに、配向性は少なく手でも容易には引き裂けな
かった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の製造方法の実施例を示す側面図であ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中間層が全芳香族ポリエステル系サーモト
    ロピック液晶樹脂層であり、外層がポリプロピレン樹脂
    層又はポリエチレン樹脂層であって、各層を三層の共押
    出ダイスを用いて、ダイス温度が該液晶樹脂の溶融温度
    より高い温度で同時に押出し、ダイリップ直下の冷却ロ
    ールで冷却すると同時に冷却ロールに対向するピンチロ
    ールで圧着させた後、外層のポリプロピレン樹脂層又は
    ポリエチレン樹脂層を剥離し、中間層の全芳香族ポリエ
    ステル系サーモトロピック液晶樹脂層を取出しフィルム
    状とすることを特徴とする液晶フィルムの製造方法。
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