JP2537259B2 - 和風便器の施工方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は和風便器を床に配設する際の施工方法に関
する。

（従来の技術） 従来より和風便器の床への配設は、例えば次のような
施工方法で行われている。

（イ）先ず、デッキプレートに開口部を設けて該開口部
に便器据置穴に相当する大きさの型枠を仮固定した後、
デッキプレート上面に基盤スラブ用のコンクリートを打
込む。

（ロ）その後コンクリートが固化し、基盤スラブが形成
されたら前記型枠を取り除き、便器挿入用の開口部（便
器据置穴）を形成する。

（ハ）その後この開口部に便器の耐火カバーを兼ねた支
持枠を設け、この支持枠で後に挿入される便器の通水路
段部下面を支持するとともに、この支持枠と便器との隙
間に不乾性シール材を設ける。

（ニ）更に前記支持枠下端に設けてある配管接続具に便
器の排水口部を接続し、又この配管接続具に配管を接続
する。

（ホ）一方、前記支持枠外周の基盤スラブ上には、この
支持枠を固定するためのモルタルを充填した後、漏水防
止の防水層を設け、更にこの防水層上にはシリンダーコ
ンクリートあるいはモルタルを充填した後仕上層を施し
て一連の施工作業を終了する。

（発明が解決しようとする課題） このように従来の施工方法においては、先ず、工程
（イ）（ロ）において基盤スラブを形成すると同時に、
該基盤スラブに便器据置用の開口部を形成し、しかる後
工程（ハ）（ニ）により便器の配設を行い、更にその後
工程（ホ）により基盤スラブ上に防水層、コンクリー
ト、又はモルタル等を充填して床スラブを完全に仕上げ
るようにしている。

従ってかかる従来の施工方法においては、便器を取り
付けるためには、当該便器を取付ける床自体を便器の施
工と同時に形成していかねばならず、即ち床スラブとの
同時施工が要求されることとなり、従って施工作業が大
掛かりとなるとともに、その作業効率も悪くなり、結局
便器施工のための時間、労力、コスト等が大幅に費やさ
れることとなる。

そこでこの発明はかかる従来の課題を解決すべく成さ
れたもので、その目的とする処は、便器の床への取付け
は、床スラブの形成後において当該床スラブの形成とは
別個独立して行うことができるようにすることで、便器
の取付け作業を簡単化し、その作業効率を向上せしめる
ことができ、従って又、低コストにて行い得る和風便器
の施工方法を提供するにある。

（課題を解決するための手段及び作用） 上記課題を解決するため、この発明に係る便器の施工
方法は、床スラブ１に上下に貫通する開口部1aを設ける
一方、プレート４に和風便器３の係止部4dを備えた便器
挿入孔4cを設けるとともに、該挿入孔4c周縁部を下方に
垂下せしめて耐火カバー4fを構成し、該挿入孔4c上方よ
り和風便器３を嵌挿してその所定位置3b−１を前記係止
部4dに係止せしめ、和風便器３が嵌挿される前記プレー
ト４を、その上面4bが前記床スラブ上面1cと面一となる
ように前記開口部1aに嵌挿支持するようにしてなる。

このような方法によれば、床スラブの形成時に便器を
取付けるための開口部さえ設けておけば、その後の便器
の取付けは床スラブの形成とは関係なく、別個独立に行
うことができ、従って便器の取付け作業が簡単で作業効
率を高めることができる。

（実施例） 以下にこの発明の実施例を添付図面に従って説明す
る。

第１図は床スラブへの便器の取付工程を示す図、第２
図は床スラブに便器を取付けた状態を示す図である。

第１図に示す床スラブ１は、矩形波状に成形されたデ
ッキプレート２にコンクリートを打込むことによって形
成される。この床スラブ１には上下に貫通する略長方形
状の開口部1aが設けられ、その開口部1a内周部には係止
段部1bが設けられている。

この開口部1aは、デッキプレート２に設けた開口2aに
不図示の型枠を取付けた後、コンクリートを打込み、該
コンクリートが固化した後に前記型枠を取り外すことで
形成される。

この開口部1aに嵌挿支持されるPC板（プレート）４
は、第３図からも明らかなように、その外形状は前記開
口部1aの外形状と略同一形状をなし、その外周端部には
前記開口部1aの係止段部1bに支持されるフランジ状支持
部4aを備える。この支持部4aの厚さは、前記係止段部1b
の深さに対応し、緩衝材12を介して当該支持部4aを係止
段部1bに支持させた場合に、当該PC板上面4bの高さが、
床スラブ１の上面1cと略面一となるように形成される。

このPC板４の中央部には、和風便器３を挿入する挿入
孔4cが設けられ、その内周部には和風便器３を支持する
段状の係止部4dが設けられている。そしてこの挿入孔4c
の内周部には、前記段状の係止部4dの下部より下方に延
出される垂下部4eが形成され、その下端部を閉塞するよ
うにして耐火カバー4fが形成される。この耐火カバー4f
の底部4gには接続孔部4hが形成され、外接続孔部4hに配
管接続具５が取り付けられる。

かくしてPC板４に挿入孔4cが形成されると、当該挿入
孔4cには和風便器３が挿入支持される。和風便器３は、
リム3a、その下部の流水通路部3b、トラップ部3c、及び
排水口部3d等を備えてなり、挿入孔4cにはこの排水口部
3d側より挿入され、PC板４の係止部4dにその流水通路部
3bの段部3b−１が係止支持される。尚、このとき流水通
路部3bの外周壁面3iとPC板の係止部4d上部の当接壁面と
の間には、アスファルト材６及び水膨張性のゴムシール
材７等が介設される。

こうして便器３がPC板４に挿入されると、耐火カバー
4fの底部4gに設けられた配管接続具５を、排水口部3dに
形成されたネジ状接続部3eに接続し、又PC板４を床スラ
ブ１の開口部1aに嵌挿させてそのフランジ状支持部4aを
係止段部1bにて支持する。

かくして床スラブ１へのPC板４の取付けが終了する
と、PC板上面4bから床スラブ上面1cにかけて仕上層８を
施すとともに、床スラブの開口部1aの周辺、及び耐火カ
バー4fの外周部周辺には断熱材たるロックウール９を塗
布し、本実施例における和風便器の施工作業を終了す
る。

以上、この発明の一実施例について説明したが、この
発明に係る実施例に限定されることはなく、例えばPC板
４の床スラブ開口部1aへの支持は、第３図に示されるよ
うに床下の枠10を利用し、当該枠10で床スラブ１の開口
部端部を支持するとともに、当該枠10上に高さ調整板11
を重ねてその上にPC板端部4jを支持することで、大きな
重量を有するPC板４をも支持し得るようにし、従ってそ
の耐火カバー4fを厚くし得、その耐火機能を向上せしめ
るようにすることもできる。又、便器の設置はPC板４の
配設後に行うようにしてもよい。

（発明の効果） 以上の説明より明らかなように、この発明に係る和風
便器の施工方法によれば、床スラブの形成時に便器を取
付けるための開口部さえ設けておけば、その後の便器の
取付けは、床スラブの形成とは全く関係なく別個独立し
て行うことができ、従って便器の取付け作業が簡単で作
業効率も向上し、もって低コストにて便器の取付けを行
うことができる。

又、この発明によれば配管接続具を耐火カバーに取付
けるようにしたため、この配管接続具と便器の排水口部
の位置出し、及び配管接続具に対する配管の位置決めが
容易となり、便器に対する配管の接続が容易となる。

更にこの発明によれば、和風便器を支持するPC板を下
方へ垂下させて耐火カバーを構成するようにしたため、
耐火カバーを別個に設ける必要がなく便利である。

更に又、この発明によれば、和風便器を支持するプレ
ートは、床スラブ上面と面一となるように支持したた
め、トイレ床面を通路等の床面と同一高さとすることが
でき、安全で美感に優れたものとなる。

尚、この実施例によれば、プレートたるPC板を床下の
枠を利用して支持するようにすることにより、相当大き
な重量をも支持することができ、従って耐火カバー等を
厚くでき、その耐火機能を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は床スラブへの便器の取付を示す図、第２図は床
スラブに便器を取付けた状態を示す図、第３図はこの発
明の別実施例を示す図である。 そして図面中、１は床スラブ、1aは開口部、３は和風便
器、４はPC板（プレート）、4cは挿入孔、4dは係止部、
4fは耐火カバーである。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】床スラブに上下に貫通する開口部を設ける
   一方、 プレートに和風便器の係止部を備えた便器挿入孔を設け
   るとともに、該挿入孔周縁部を下方に垂下せしめて耐火
   カバーを構成し、 該挿入孔上方より和風便器を嵌挿してその所定位置を前
   記係止部に係止せしめ、 和風便器が嵌挿される前記プレートを、その上面が前記
   床スラブ上面と面一となるように前記開口部に嵌挿支持
   するようにしてなることを特徴とする和風便器の施工方
   法。